回答企業の7割がパートタイマーの正社員化進める

月刊MDによるドラッグストアおよび小売業各社へのアンケート調査第3回。今回はパートタイマーへの評価や待遇に関する各社の取り組みをまとめた。ぜひ前回・前々回の記事と併せて参考にしていただきたい。(月刊マーチャンダイジング2018年10月号より転載)(文/社労士事務所ワークスタイルマネジメント・小林麻理 調査/月刊マーチャンダイジング編集部)

前回の記事「省人化・アウトソースの一方営業時間の短縮に踏み切る企業も」はこちら

Q6 パートタイマーは、賞与を受け取ることができますか?

賞与をすでに「受け取れる」企業が半数、検討している企業も1割

パートタイマーへの賞与支給の状況については、すでに「受け取れる」と回答した企業が半数に上った。検討している企業も入れると、賞与の支給に前向きな企業の方が多い。

「賞与は正社員がもらうもの」というイメージが強いため、企業から賞与をもらうことができれば、パートタイマーの企業への帰属意識やモチベーションを高めるのに十分な要素になることは間違いない。

また制度解説で述べたとおり、「均衡」を考慮した待遇として「賞与」の支給は今後必要になる可能性が高い。原資が必要なだけに、いまから十分な検討をしておかなければならない。

Q7 今年、5年以上勤務しているパートタイマーのうち何人を無期転換しましたか?

無期転換は「100人以上」と「0人」の企業が同数で取り組み状況に開きが生じる

「無期転換」に関しては積極的に対応を行おうとする企業とそうでない企業で回答にハッキリと差が出た。

まず、「もともと全員無期雇用」は1社。法制度対応をES向上へとつなげようとする先進企業といえる。また、10人以上と回答した企業は8社で、うち4社は100人以上が無期転換している。

100人以上が無期転換している企業では、企業側から通算5年以上働く有期雇用労働者に対し、説明会などを通じて情報を提供し無期転換を促したと考えられる。逆に「10人未満」と回答したのは5社で、うち「0人」という企業が4社あった。通算5年以上働く有期雇用労働者が0人という可能性は低いだろうから、「従業員から請求されたら対応する」というスタンスなのかもしれない。しかし制度解説で述べたとおり、無期転換申込権は今年から発効しており、対応が後手になると混乱も大きい。早めの対応が望まれる。

Q8 「パートタイマーのキャリアップ支援」で自社ですでに実施していること、もしくは実施予定のことはありますか?

Q9 「パートタイマー向けのスキルアップ制度がある、取り組む予定や関心がある」と答えた方は、どのようなことを実施、または実施予定ですか?

※その他(施策の概要):「レジマイスター制度、職務に応じた研修、医薬品カウンセラー、ビューティカウンセラー、作業トレーナー」「登録販売者(登販)資格取得のための学習、取得後の実務研修、資格者としての接客対応研修などの充実」「薬剤師、登販など専門知識を習得する研修への参加、登販資格を取得するための研修への参加支援、登販資格維持にかかる奨励金の支給、社内資格試験の受験」

Q10 パートタイマーの正社員化推進の取り組みを実施している、または検討していると答えた方はどのような手段で実施、または検討する予定ですか?

「正社員化の推進」済み企業が7割を超え、定期の昇給機会を設ける企業も一定数に

Q8を見ると、「正社員化の推進」をすでに取り組んでいると回答した企業は7割に達していることがわかる。その手段を聞いたQ10では「定期的な昇給機会」を設けている企業が8社もあることも判明した。これは随時の推薦よりも「正社員化」の道筋がパートタイマーにも示しやすいという点で評価できる。

また、納得感を得られやすい「評価制度」の結果を条件にしている企業も6社にのぼる。

パートタイマーの正社員化は、正社員不足を補うものになるほか、将来のキャリアビジョンを描きやすくなるため、従業員の定着率アップの効果も期待できる。もちろん、直近のパートタイマー不足の改善につながる可能性も大いにある。

Q8で実施済みの取組みとして2番目に多かったのは「スキルアップ制度」だ。その内容を尋ねた研修への参加がもっとも多いことがQ9からわかる。講師を社員が務める社内研修会を実施するほか、外部研修を活用するなどの工夫により、比較的取り組みやすい項目ともいえる。

独自の制度設計が必要な「職能に応じた技能制度」や「社内試験・資格の整備」にも一定数の企業が着手しており、パートタイマーのスキルアップへ力を入れていることがうかがえる。こうしたスキルアップ制度の整備は、ES向上はもちろん、採用時に上手にアピールすることで人手不足の改善につながる取組みといえよう。

正社員とパートタイマーの比較

「業績」「勤務態度」への評価比重でパートと正社員にハッキリとした違いが出る

「評価制度」導入状況についての調査結果の図は割愛したが、正社員に関しては全社が導入済みとの回答があった。一方で、パートタイマーの評価制度をすでに実施している企業は10社、導入を予定している企業は4社だった。

また具体的に項目を見ていくと、パートタイマーも正社員も「能力評価」「職務の難易度など」が重視される傾向にあることがわかる。しかし正社員は「業績」がより重視されるのに対し、パートタイマーは「勤務態度」がより重視されることが特徴的な違いとなった。

「業績」に対する責任は「同一労働同一賃金」における「均衡(バランス)」を見るうえでも重要な要素となる。業績責任がある分、正社員が同じ労働をするパートタイマーよりも給与が高くてもいいからだ。

このような「同一労働同一賃金」の考え方へ対応する際には、ガイドライン案のほか厚生労働省が提示している職務評価法(要素別点数法)も参考になるだろう。これは、パートタイマーの「職務」を正社員と比較して評価要素ごとに点数化するのがポイントで、「専門性」「裁量性」「対人関係の複雑さ(社内、社外)」「経営への影響度」などが要素の例として示されている。たとえば、部門間の調整やクレーム対応をしないパートタイマーは「対人関係の複雑さ」の項目で点数が低くなり、その分金額に差がでてもいいということになる。こうした考え方は、昇格や昇給へも適用できる。

ここで昇給に関する調査を見ておこう。

パートタイマーも正社員も勤続年数に対する比重は低く、評価制度の結果を給与に反映している状況がうかがえる。どのような制度を採用するにせよ、だれでもわかるような「基準」を設けることが、法律に対応することはもちろんES向上にとって重要となるだろう。

アンケート総評

「働き方改革」に前向きな企業がES向上目指して試行錯誤

今回、集計対象となった企業は、広範囲に及ぶアンケート内容に回答いただけたということからも、小売業のなかでも比較的高い関心をもって「働き方改革」に取り組んでいると推測される。意識の高い分差し引いて考える必要があるが、有給休暇取得推進といった労働時間改善に関するものや、賞与支給や正社員化を含めたパートタイマーの処遇改善に関する様々な施策を、多くの企業が取り組み済みだったことは驚きだった。

同時に、1つの項目へと回答が集中することが少なく回答結果が割れた印象もあり、各社が法律対応という面だけでなくES向上をも視野にいれて試行錯誤している状況がうかがえた。

法律対応という点では、労働時間に関しては2019年4月、同一労働同一賃金対応に関しては2020年4月が多くの規定で基本の開始ラインとなっており、それほど猶予はない。今回のアンケートを参考にしながらES向上を念頭においた、自社にとっての最適な取り組みを検討いただきたい。

オープンデータを使って販売実績を分析する

前回は複数の数値項目データを使って散布図を表示する方法を説明しました。データの分布から特徴や共通項を探り出し、更に傾向線を引くことで相関関係の有無や強さを見ることもできました。これまでは自社内で蓄積されていく販売実績データをベースとした分析でしたが、この第6回では一般に公開されているデータを組み合わせて活用する方法を説明します。

1.オープンデータ

売上や仕入、在庫といった業務上のデータ以外にも、世の中には様々なデータであふれています。身近なもので言えば気温や降水量、ガソリン価格などが挙げられますし、もっと大きな視点なら為替や株価、人口動態などもあります。これらの中には、国や自治体が収集・集計して公開しているものもあり、そのようなデータを「オープンデータ」と呼びます。国と自治体はオープンデータ戦略を推進しており、近年は「政府統計の総合窓口 e-Stat」の整備が進み、人口や経済など様々なデータが公開されています。また業界団体などの非政府系組織もデータを公開して民間企業に活用してもらうことに積極的に取り組む流れが出来つつあります。

オープンデータは社会全般のデータであり、自社の影響を受けていない部分を少なからず含んでいます。このオープンデータと自社データの2つを組み合わせることで、「販売実績に影響を与える外部要因は何か」「自社は世の中や業界のトレンドに追従しているだろうか」といったことを分析することができます。

2.二つのデータを同時に使う

Tableauではひとつの分析ファイル内に複数のデータファイルを読み込むことができます。今回はオープンデータと自社データという、異なる2つのデータを読み込む方法を説明します。気象のオープンデータと自社データの販売実績を用いて、「暑いとき/寒いときに売れるものは何か」をテーマに進めます。

2.1.Excelファイルの読み込み

今回は販売実績データ気象データを利用します(それぞれのリンクからデータをダウンロードすることができます)。Tableauを起動し、左上にある「接続→ファイルへ→Microsoft Excel」をクリックして、ダウンロードした「sales.xlsx(月次販売データサンプル)」のファイルを選択します。データが読み込まれたらシート1に移動しましょう。

2.2.月ごとの売上を表示する

まずは月ごとの売上を棒グラフで表示します。メジャーにある年と月を右クリックメニューからディメンションに変換します。

<図2-1 メジャーからディメンションへの変換>

ディメンションに変換された年と月を列に、メジャーから売上を行にドラッグ&ドロップすると棒グラフが表示されます。

<図2-2 年、月、売上の配置>

<図2-3 月ごとの売上>

ここに気温の情報を追加していきます。気温のデータはダウンロードした「weather.xlsx(気象データサンプル)」のExcelファイルに入っていますので、このデータに接続します。

2.3.二つめのExcelファイルに接続する

Tableauに複数のデータファイルを接続するときは、画面上部の「新しいデータソースを追加」アイコンからファイルを選択します。「「weather.xlsx(気象データサンプル)」のExcelファイルを使用します。なお、過去の気象データは気象庁などからダウンロードすることが可能です。

<図2-4>

「「weather.xlsx(気象データサンプル)」のファイルを選択してシートに戻ると、月次販売データの下に気象データが追加されています。気象データの年と月も最初はメジャーにありますので、先ほどと同様にディメンションに変換しておきます。

<図2-5>

2.4.気温のグラフを追加する

このように2つ以上のデータファイルを読み込んだとき、データを連携させて表示することができます。Tableauではこの機能を「データブレンディング」と呼びます。データを連携させるには、共通する項目(ディメンション)をリンクさせることが必要です。

気象データのディメンションを見ると、年と月の横に鎖のアイコンがあります。

<図2-6 鎖のアイコン>

このアイコンが青色になっているときはリンクしていません。アイコンをクリックしてオレンジ色にするとリンクしたことになり、異なる2つのデータファイルを連携させることができます。ここでは年と月の両方をオレンジ色の状態にしておきます。

<図2-7 リンクさせた状態>

年と月をリンクさせた状態で気象データのメジャーにある平均気温を行に追加すると、売上と同時に気温のグラフが表示されます。

<図2-8>

マークから売上のグラフタイプを棒に、平均気温のグラフタイプを線にして、行の平均気温の右クリックメニューから「二重軸」を選択すると、売上と気温のグラフを重ねて見ることができます。

<図2-9 グラフタイプの変更>

<図2-10 二重軸>

<図2-11>

以上のようにして、自社データと社外のデータを組み合わせることができます。ここから、第5回のときのように売上と気温の散布図を作ってそれぞれの関係をもう少し詳しく見てみます。

2.5.散布図を作成する

散布図は分布や相関を見るのに適した表現方法です。ここでは売上と気温の散布図を作って「暑さの影響を受ける品種は何か」を探ってみます。

新しいシートを作り、月次販売データの売上を行に入れてから、気象データの年と月をリンクさせます。それから気象データの平均気温を列に、月次販売データの年と月をマークの詳細に配置します。月次販売データのディメンションにある品種をフィルターにドラッグ&ドロップして、試しに「アイスクリーム・シャーベット」のみを選択します。

「アイスは暑いときに売れる」という認識は、なんとなく皆さん持っていることと思いますが、このデータからも明らかになりました。

<図2-12 散布図>

散布図が表示されたら傾向線を表示しておくと、データの傾向と相関を簡単に見ることができます。フィルターもドロップダウンリストなどで表示しておくと、切替をスムーズに行うことできます。

<図2-13 傾向線の表示>

<図2-14 フィルターの表示>

フィルターを切り替えて見ていくと、色々な発見をすることができると思います。

例えばこのサンプルデータなら、「しめじよりもえのきたけのほうが傾向線の傾きが小さいので、寒いときの伸びが良い」「コーヒー豆は通年で気温の影響をあまり受けないが、缶やペットボトルのコーヒー飲料は暑いときに売れて、年々売上が増加している」「うどんは夏場は乾麺、冬場は生麺」といったことが見てとれます。

また、気温の変化による変動幅を表す「傾向線の傾き」や、気温と売上の関連性の強さを表す「相関係数」は、計算によって求めることもできます。品種ごとの傾きと相関係数を棒グラフで表示して並び替えたり散布図にプロットしたりすれば、「暑いとき/寒いときに売れるものは何か」を一目で見ることも可能です。 ※1

<図2-15 傾きの棒グラフ 左は寒いときに売れ、右は暑いときに売れる>

3.まとめ

今回はデータブレンディング機能を使用して、自社データにオープンデータを組み合わせる方法を説明しました。自社内のデータでExcelとCSVのようにファイル形式が異なるデータがあっても、同じように連携させて分析することができます。

オープンデータのような「自社の外側」のデータは活用の機会が数多くあります。世帯と人口を用いた商圏分析やアンケート調査などから分かる需要動向は、営業戦略に大きな影響を与えます。限定的な自社のデータだけでなくオープンデータなども活用して、分析をより精緻に深めてみてはいかがでしょうか。

[注釈]

※1 気温は月の影響を強く受けますので、気温の変化によるものか月に特有の事情なのかは注意が必要です。たとえば、このサンプルデータでは「えび」や「もち」は寒いときに売れているように表示されますが、実態はお正月準備のために売れていますので、気温ではなく月に特有の事情による変動です。

[PR] 症状別で選べるわかりやすい売場に。高付加価値かぜ薬で市場を活性化

残暑が終わり、気温が下がる秋の入りに売上が上がり始めるかぜ薬カテゴリー。自店での購入を獲得するには、タイムリーな展開はもちろん、選びやすくわかりやすい売場づくりが不可欠だ。客単価アップ、売上増にも直結する付加価値の高い季節商品を導入し、シーズン・ファースト・バイを勝ち取ろう。

ブランドサイトURL : https://benza.jp/index.html

市場概況とベンザブロックプラス

かぜ薬の単価上昇でカテゴリーの売上好調

少子高齢化によって人口減が続き、さまざまな市場がシュリンクしていくなか、ここ数年、総合感冒薬カテゴリーの売上が拡大している(図表1)。大きな要因のひとつは、これまで主流だった家族でひとつのかぜ薬を使うファミリータイプから、近年、各自が自分用のかぜ薬を使うパーソナルタイプへと移行する流れにあること。医薬品メーカー各社がパーソナルタイプの比重が高まりつつあるという点だ。

また、消費者ニーズが価格に見合う高付加価値商品へと移り変わり、かぜ薬一個当たりの平均単価が2014年から上昇( 出典:SDI)。市場でも、高単価で強い効き目を訴求したかぜ薬が伸びる傾向にある。

図表1 総合感冒薬市場と生産年齢人口の推移

ベンザブロックプラス「自分の症状に合う」で支持

パーソナルユースのパイオニアとして、一貫した症状別訴求で市場をけん引してきたトップシェアブランドがベンザブロックシリーズだ。リーズナブルで求めやすいベンザブロックに対し、より症状のことを考えた処方なのがベンザブロックプラスで、シリーズの売上も年々拡大している。

武田コンシューマーヘルスケアの調査によれば、かぜ薬の購入理由として最も大きいのが「自分の症状にあっている」こと( 図表2)。一方で、ベンザブロックプラスの購入理由でも「自分の症状にあっている」という回答は他ブランドと比較して最も高い(図表3)。ここからもベンザブロックプラスは消費者のニーズにマッチしたフラッグシップアイテムといえる。

図表2 かぜ薬カテゴリー購入の決め手
図表3 購入の決め手を「自分の症状にあっているから」と回答した割合(ブランド別)

※図表2、3 2018年3月 タケダ調査 20代〜70代 直近半年間でかぜ薬を購入された方(n=3,310)
※購入の決め手:上位項目のみ抜粋(図表2)

売場づくり

最大の訴求ポイントは「症状別」、「ひき始めの対処」を啓発

パーソナルタイプのかぜ薬の単価は高く、自店における売上を拡大していく実りの多い商材だ。ベンザブロックプラスユーザーは、総合感冒薬購入者全体平均に比べ、かぜ関連商品の期間併買金額が約1.4倍(出典:SOO パネルデータ)と高いこともわかっており、消費者支持率の高い同ブランドの導入が、自店のカテゴリー売上規模を確保するためにも有効だといえるだろう。

売場展開における最も大切なポイントは、最大の消費者ニーズである「自分の症状にあったかぜ薬」を前面に出して訴求すること。症状別にかぜ薬を展開することで、売場自体に、わかりやすさ、選びやすさを与えることもできる。また、かぜは悪化することで回復が遅れ長引く。2つめのポイントとして、ひき始めに多いの鼻・のど・熱への対処こそが早期回復への近道であることを改めて啓発し、効き目の高い「症状別」かぜ薬へと導きたい。

綾瀬はるかのイメージを強みに 店頭ではテレビPOP も活用

9月下旬から放映予定のテレビCM には、引き続き綾瀬はるかを起用。かぜ薬のテレビCMとしては最大量を投下予定で、ひき始めこそ「鼻・のど・熱タイプ別」「早めのベンザが効果的」というメッセージを、ドミノを使った演出で表現し、消費者とのコミュニケーションを図る。

長年、好感度の高いタレントイメージを維持し続けている綾瀬はるかとベンザブロックブランドのマッチング度は高い。店頭ではその強みを生かし、テレビPOP 等を用いて「あなたにあった」かぜ薬が売場にあることをアピールしたい。通年、残暑を過ぎた9月、最低気温が15度を下回るタイミングでトライアルが跳ねるといわれている。かぜ薬の平均購入回数は約1.67回(ジェイビートゥビー調べ)。初動が命ともいえる季節商材のファースト・バイを獲得しよう。

効果を高めるPOINT PICKUP

テレビPOP、ボードなど販促ツールの複合的な活用で、月平均販売金額がアップ!(実験済み)

1.テレビPOP

〈効果を高めるポイント〉
綾瀬はるかによる呼びかけで、お客さまへの聴覚刺激を高める

〈テーマ〉
ブランドとのマッチング度が高いタレントの声で「自分のかぜのタイプにあった」かぜ薬が見つかる売場であることを伝える

2.プロモーション売場ツール

〈効果を高めるポイント〉

①トップボードを活用し、視覚刺激を高める
②ブランドブロッキングで、棚間の高さが狭い売場も目立たせる
③ 「LED 突き出しPOP」の光の効果で、売場誘引を促進させる

〈テーマ〉
タレントのビジュアルと、3色の色分けというブランド資産を最大限活用し、店頭におけるブランド効果を高める

3.定番売場ツール

〈効果を高めるポイント〉

①フェースに合わせて展開幅が変えられる「定番用トレイ」で視認性アップ
②可変式の囲みPOP で、棚上部を有効活用
③プラス&ブロック両ブランドで「トレイ」「囲みPOP」を設置し、ブランド強化

〈テーマ〉
ブランドブロッキングによって世界観を醸成し、ベンザブロック&プラスの両ブランドの相乗効果を活用した訴求力の強い売場をつくる

若年層の購買が減少するビール系飲料。男女でこんなに異なる「買い方」

ビール大手5社が7月に発表した18年1-6月期(上半期)のビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の課税出荷数量は、前年同期比3.6%減の1億8337万ケース(1ケースは大瓶20本)となり、6年連続で減少し過去最低を更新したといいます。各社巻き返しを図るためにも、新商品の投入や既存商品のリニューアルが相次いで行われている中、今回はビールの買われ方について調査をします。

最近では、発泡酒や第三のビールでも、コクや旨み、喉越しやキレなどビールを飲んだときの体験を味わうことができる商品が増えています。

最初にPOB会員のレシートから、ビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の購入者に占める「ビール」購入者の割合はどのように変化しているのか調査をします。

ビール購入者、各年代で減少傾向

POB会員のビール系飲料(ビールおよび発泡酒・第三のビールを含む)の購入者に占める「ビール」購入者の割合をみると、20代~40代において、過去3年間(2016年から2018年)減少傾向であることがわかります。ビール購入者の減少率がもっとも高い年代は40代です。2016年は44.0%が、2018年では7.8ポイント低い36.2%となります。それに続く30代は、2016年の42.6%から、2018年では6.2ポイント低い36.4%となります。

30代40代でのビール購入者の減少率が高い理由については、「独身の頃はアサヒスーパードライを購入することがほとんどでしたが、節約志向で安い物に惹かれています(30代女性・サッポロ 麦とホップ購入)」など、独身から子育世代へと、ライフスタイルの変化による節約がきっかけで、ビールから発泡酒にシフトしたという方や、「発泡酒と違うビールの濃さが感じられる。クーポンをもらったので、せっかくなので一週間働いたご褒美に購入(40代女性・サントリー ザ・プレミアムモルツ 購入)」いつもよりお得に購入できるクーポンや、普段の日と使い分けて、ビールを購入しているといったことがコメントからわかります。

一方で、50代~60代になると減少はしているものの、20代~40代と比較すると減少率は低く、50代は2016年の41.5%から、2018年では3.4ポイント低い38.1%、60代では、2016年の37.1%から、2018年では2.3ポイント低い34.8%となります。

次からは、男女別でビール系飲料の購買行動について調査をします。

スーパー・コンビニで好きな銘柄を1本ずつ購入

ビール系飲料のもっとも購入者が多い業態は、男女ともに「スーパー」で、女性が57.7%、男性が53.1%です。次が「コンビニエンスストア」で、女性が25.5%で、男性が4.6ポイント高い30.1%となります。

次に、男女別に購入商品タイプをみると、男女ともに350ml缶や500ml缶を1缶単位で購入する方が多く、「350ml缶」では、女性が38.8%に対し、男性は3.1ポイント高い41.9%、「500ml缶」では、女性が23.0%に対し、男性は3.2ポイント高い26.2%となり、男性のほうが1缶単位で購入する割合が女性より高いことがわかります。

一方で、「350ml缶 6本パック」になると、女性では21.3%に対し、男性が6.1ポイント低い15.2%となります。これは、男女別の購入業態の違いによるもので、女性のほうが、スーパーで購入する方の割合が高いため、男性よりも6本パックを購入する割合が高いことがわかります。

また、「350ml缶 24本入りケース」になると、男女ともに購入者が5%にも満たないことから、店頭よりも自宅まで配送してくれるネット購入や宅配などを利用していることが考えられます。

次に、男女別で購入理由の違いについて調査をします。

半数近くがいつも飲んでいる銘柄を購入

POB会員のビール系飲料の男女別・購入理由選択肢をみます。(複数回答・上位10位を抜粋)まず、男女ともにもっとも多かったのは、「いつも買っている」で、女性では39.3%に対し、男性は6.2ポイント高い45.5%となります。ビール系飲料に関しては、半数近くの方がいつも同一銘柄を選び、女性よりも男性のほうがその傾向が強いことがうかがえます。

次に、女性では、「家族が気に入っている」が23.7%となり、男性では8.1%で(4位)15.6ポイントも差があります。これは、ビールの購入決定者の違いにあります。(図表4-2)

男性では、ほとんどの方が「自分」が購入決定者であるのに対し、女性の購入決定者は、「自分」の他、約2割以上が「配偶者」であるため、家族が気に入った銘柄を購入していることがわかります。また、女性のほうが、お得や特売・セールがフックになり購入する傾向が高く思われますが、意外にも「(価格が)他の商品に比べてお手頃だった(男性13%・女性9.0%)」や、「特売・セール(男性6.4%、女性4.7%)」を購入理由の選択肢として選んだのは、女性よりも男性の割合が高く、価格に敏感であることがわかりました。

また、「試し買い(男性17.4%、女性16.3%)」という結果からも、男性のほうがトライアル購入につながりやすいことがわかります。このことから、女性は男性よりも、家族の好みを重視する傾向にあります。また、家計を管理している方も多いために、特売やセールなどの場合でも、男性よりも購買に結び付きにくいのかもしれません。

次に、ビール系飲料の人気銘柄について調査をします。

今年の春は、縮小しているビール市場の活性化を狙うためにも、缶チューハイ同様に高アルコールの「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」や「アサヒ クリアアサヒクリアセブン」や、飲みごたえのある「キリン 本麒麟」などが相次いで発売されました。ビールランキングに変化はあったのか調査をします。

2大人気は、アサヒスーパードライとサントリー金麦

ビールの売れ筋について、1位は女性が「サントリー 金麦(8.3%)」、男性が、「アサヒスーパードライ(8.1%)」、2位は、女性が「アサヒ スーパードライ(8.2%)」、男性が「サントリー金麦(6.1%)、となり、元祖辛口ビールで不動の人気である「アサヒ スーパードライ」と新ジャンルの中で確固たるポジションを確立している「サントリー 金麦」が2大人気銘柄となります。
そして、男女共に3位が「キリン のどごし<生>」、4位が「キリン 一番搾り」と、リニューアルをした銘柄が続き、5位には、唯一今年春に発売された新商品である「キリン 本麒麟」がランクインしました。
6位以降に関しては、男女ともに新ジャンルが多くランクインしています。

では、新商品「キリン 本麒麟」の人気の秘密に迫ります。

キリンファンだけではなく、他メーカーからのスイッチが多かった「本麒麟」

「キリン 本麒麟」は、今年3月に「ビールに期待される力強いコクと飲みごたえのあるうまさを味わる」商品として発売され、発売から約半年で2億本(350ml缶換算)達成し、新ジャンルの大型新商品として注目されています。

当社レシートの購入者(2018年3月~8月)をみると、「CMの印象がとてもよく美味しそうに感じた。新ジャンルだけど美味しい(50代女性)」や、「豪華な女優さんや俳優さんのCMが気になっていた。風味がよくデザインもインパクトのある赤で目立っていてかっこいい。(40代男性)」など、おいしさにフォーカスしたCMや、「LINEのクーポンで購入。本格的な味わい(40代女性)」、「ローソンのクーポン券で普段よりもかなり安く購入できた。後味がスッキリで飲みやすい(50代男性)」など、店頭と連動した販促で、トライアルが続伸しています。

次に、前回どの銘柄を購入した方が「キリン 本麒麟」を購入していたのか調査をします。

「本麒麟」を購入した方の前回購入銘柄は、男女ともに、同じ新ジャンルの「アサヒ クリアアサヒ」がもっとも多く、女性では「サントリー 金麦」、男性では「キリン のどごし<生>」が続きます。

また、「アサヒ スーパードライ」や、「キリン 一番搾り」、「サントリー ザ プレミアムモルツ」などのビールを前回購入していた方もみられ、根強いキリン派だけではなく、他メーカーからスイッチし購入していることがわかります。

まとめ

  • ビール系飲料の購入者に占めるビール購入者の割合は過去3年間でみると全年代で減少傾向である。中でも40代の減少率が高い。
  • ビール離れが進む若者の支持を得るためには、マスマーケティングだけではなく、SNSに投稿したくなる話題性、インスタ映えするような演出、売場作りなど、若い世代を意識したPRの手法が重要。
  • 新商品のPRおよび、店頭誘引の手法としてLINEクーポンが効果的。

省人化・アウトソースの一方「営業時間の短縮」に踏み切る企業も

月刊MDによるドラッグストアおよび小売業各社へのアンケート調査第2回。今回は労働時間の削減と労働生産性の向上にスポットを当て、実施または実施予定の施策を具体的に聞いた。特に「多様な正社員制度」に着目した。(月刊マーチャンダイジング2018年10月号より転載)(文/社労士事務所ワークスタイルマネジメント・小林麻理 調査/月刊マーチャンダイジング編集部)

前回の記事「7割以上の企業が労働生産性の向上などに着手」はこちら。

Q4 「労働時間の削減」「労働生産性の向上」を実施・実施予定である場合、具体的などのような施策を実施・実施予定していますか?

「省人化」や「作業アウトソース」が進むなか、「営業時間の短縮」に踏み切る企業も

実施・実施予定の「労働時間の削除」「労働生産性の向上」の具体的な手段としては、店舗と本部ともに「業務手順見直しによる効率化」が最多となった。追加の設備投資や人の採用は不要なため、まずはここからというところだろう。

〈店舗業務〉


省人化を促す設備投資の導入についてたずねた「自動発注システム」「ITツール」「セミセルフレジ・セルフレジ」の中でもっとも回答が多かったのは、「自動発注システムの導入」だった。労働時間の削減の面はもちろん、接客の面などお客への影響がなく、在庫の適正化にも役立つということから、導入意向が高いのもうなずける。

逆に「人の採用」とした企業も8社と一定数にのぼった。いずれの手段も検討、実施した結果だろうか、1社のみだが「営業時間の短縮」まで踏み切るとする企業があったことは特筆したい。

〈本部業務〉


店舗同様の項目が上位にあがるほか、本部ならではの項目である「会議回数の削減」に取り組む企業も5社あった。

Q5 「多様な正社員制度」に取り組んでいる/取り組む予定と答えた方は、自社内の呼び方を教えてください。

  • 時間限定:短時間○○社員(○○は企業名)
  • 職務限定:ユニットコース社員、社員、限定社員
  • 勤務地限定:地域一般職、地域限定社員、転居異動なし社員、コンシェル社員、限定○○社員、エリア従業員、ゼネラルコース、L区分社員、エリア限定社員、エキスパート社員(○○は企業名)
  • その他:「勤務時間、勤務エリア、業務内容、職責に制限がある社員をまとめて限定社員と呼ぶ」「勤務地+時間限定で限定正社員と呼んでいる(フレキシブル正社員制度によるもの)」

(複数回答) n=9

「勤務地限定」正社員制度を約半数が導入、職務限定の社員の導入企業も

多様な正社員に関する具体的な内容(時間限定、職務限定、勤務地限定)については「勤務地限定」正社員制度を導入している企業が9社と最多だった(時間限定は1社、職務限定は2社)。「勤務地限定」はとくに子供がいる主婦にとって譲れない条件というケースは多い。そのための対応策をいち早く取っているという企業が多いことがうかがえる。

パートタイマーが正社員になるために、時間や勤務地を限定した正社員制度を設計することは、人手不足対策にもつながる大事な手段となるだろう。

[PR] もっと「つや玉」が輝く肌へ。進化したエリクシールの充実したラインナップ

「つや玉の輝く肌に導く」というブランド訴求のもと、躍進を続けるエリクシール。2018年秋・冬は「つや玉」をより美しく、より輝かせるための「化粧水」「乳液」「朝用乳液」「ファンデーション」、しわ改善という新たな市場の創造と牽引に貢献している「リンクルクリーム」を中心にブランド強化を図る。

ブランドの特長

11年連続シェア1位(※1) スキンケア市場で圧倒的存在感

エリクシールの販売実績(ブランド別金額シェア)

エイジングケア(※2)ブランド「エリクシール」は、ブランド誕生以来、先進の研究・開発力を生かし「肌とコラーゲンの関係」に着目。2016年下半期からは、「つや玉」を軸にしたコミュニケーションを実施し、「つや玉」の認知も高まり、順調に実績を伸ばしてきた。

その結果2007年から2017年までの11年間連続でスキンケア市場シェア第1位を獲得(※1)。

※1 インテージSRIスキンケア市場2007年1月〜2017年12月
※2 年齢に応じたうるおいケア

3つのターゲットに分けてエイジングケアの拡大を狙う

図表1 エリクシールのターゲット戦略

リンクルクリーム

しわ改善市場でシェア75%(※3) 圧倒的な強さには理由がある

2017年6月、日本で唯一、「純粋レチノール」配合によるしわを改善する効能の認可を受け「リンクルクリーム(医薬部外品)」を発売。社会で広く注目され「しわ改善」という新たな市場形成の主導的な役割を果たした。

2018年6月にはリピーターの声も捉えてラージサイズを発売。この市場における数量シェアはNo.1と圧倒的な強さを見せている(※3)。

この強さの理由は有効成分「純粋レチノール」による確かな使用実感だろう。1989年レチノールへ着目したことを出発点に30年以上に渡り、140人以上の研究者が携わるという連綿とした研究の末生まれたのが「純粋レチノール」である。

製造にあたっては、工場内の温度、酸素濃度などを細かく管理。光、酸素を遮断した特殊な機器を使用している。こうした繊細な条件のもと資生堂だけがしわ改善の薬用有効成分として扱える有効成分「純粋レチノール」の圧倒的な強さの源泉となっている。

図表2 純粋レチノールの効果

※3「しわを改善する」効果効能が認められた薬用化粧品におけるアイテム別販売数量シェア 2017年1月〜2018年5月 資生堂調べ

本格エイジングケア層に向けた2018年9月21日からの提案売場

売場づくりの目的

本格エイジングケア層の立ち寄りが多い、スキンケアの定番外売場に、リンクルクリームと化粧水・乳液を同時展開。CM に接触して来店したエリクシールを使ったことがない本格エイングケア層に関心を持ってもらい、トライアルにつなげる

【STOP(足を止めてもらう)】
「テレビCMと連動した目立つ店頭」「しわ改善市場売上No.1」であることを訴求し、立ち寄りを促進する

【HOLD(棚の前に引き留める)】
純粋レチノールとヒアルロン酸、水分量との関係、しわが改善するメカニズムをPOP等で説明。「使用感がいい」などユーザーの実感クチコミを紹介。「首まで使えること」を訴求しテスターの近くに目線を移動させる

【CLOSE(購買決定へ誘導)】
「みずみずしい心地よい使用感」「お得な増量サイズがあること」「価格・容量」「すこやかな肌を保つには化粧水・乳液がお勧めであること」を訴求しリンクルクリームの購入と化粧水・乳液の併買を促進

化粧水・乳液・朝用乳液

10月21日リニューアル新発売

美しい肌の証「つや玉」の実感をより高める

「つや玉」とは、頬の高い位置に光るみずみずしいつやのこと(図表1)。ハリと透明感に満ちたすこやかで美しい肌のしるし。エリクシールでは「つや玉」のある肌へ導くことをブランドベネフィットとしている。

資生堂の調査によると、「つや玉が輝く肌」は、「女性らしい」「幸せそう」「好感が持てる」「褒めたくなる」という印象を与えるという。また「マット肌」「テカリ肌」と比較して「つや玉がある肌」は見た目の印象が平均で3歳若く見えるというアンケート結果も得ている(※4)。

こうした印象度に関する調査結果からも分かるように、「つや玉」があることは女性にとってベネフィットであり、「つや玉のある肌を目指しましょう」というメッセージは、カウンセリングやPOPのキーワードとしても有効である。

※4 資生堂調べ(2018年)

「つや玉」の認知率64% 「つや玉」を実感している52%

資生堂の調査によると「つや玉」を知っていると回答した人は64%、「つや玉」のある肌になりたい人は96%にも達している。一方で自分の肌には「つや玉」がないという回答も52%で、「つや玉」を認知している人のほぼ全員がつや玉のある肌を希望している※1。実感をより高めるために、エリクシールでは化粧水、乳液、朝用乳液をリニューアルした。

パッケージデザインはシンプルで上質感を感じるデザインに刷新

リニューアルされたパッケージデザイン

今回のリニューアルに際してボトルのデザインも変更。現代の消費者は分かりやすい高級感、プレミアム感よりも、軽やかさのある上質感を好む傾向にある。そこで新しいエリクシールは、さりげない輝きで透明感のあるパッケージにした。新成分と合わせリニューアルで訴求できるポイントだ。

つや玉ファンデーション

10月21日新発売

自然にカバーしながら「つや玉」が輝く新感覚のファンデーション誕生

化粧水、乳液で「つや玉」をつくっても、ファンデーションを塗ると隠れてしまうのではないかと懸念するユーザーも多い。こうした声に応えて、エリクシールでは、頬の高い位置に光を集めながら、シミ、毛穴などの肌悩みを自然にカバーする「つや玉ファンデーション」を新発売。

つけたときは、みずみずしく肌に溶け込むようになじみながら、伸ばすうちにサラサラに仕上がる、これまでにない新感覚の「生感触新タイプ」。ファンデーションに合わせて「つや玉」を表現した専用ケースとスポンジも発売する。

一般的にベースメイクは一度使って仕上がりや感触が気に入れば、同じブランドを使い続ける傾向が高い。新規客の獲得がブランドおよび化粧品部門の拡大につながる。「つや玉」という共通ベネフィットがあるので、エリクシールの既存客は特に有望な新規客候補である。ブランド全体の売場づくりが大事になる。

「つや玉ファンデーション」の特長

「つや玉ファンデーション」の仕上がり

毛穴やシミ・ソバカスなどの肌悩みを自然にカバーしながら、頬の高い位置に「つや玉」が美しく輝く仕上がり

エイジングケアエントリー層に向けた2018年10月からの提案売場

売場づくりの目的

エイジングケアエントリー層の立ち寄りが多いスキンケア定番外の売場に、化粧水、乳液と一緒にベースメイクも展開。CMに接触して、店頭に来たエリクシール未使用者のターゲット層をトライアル購買につなげる。

エンド展開提案

定番提案

各ターゲットのモデルビジュアルを設置し、各ターゲットが自分向けの商品を選びやすい売場展開を実施

化粧水、乳液のポイント

【STOP(足を止めてもらう)】
「テレビCMと連動した目立つ店頭」を訴求し、立ち寄りを促進する

【HOLD(棚の前に引き留める)】
「つや玉が目立たなくなること」、「コラーゲン研究により肌になめらかで、均一なハリを与えること」「エリクシールは11年連続で売上No1であること」を訴求し、テスターの試用を促進

【CLOSE(購買決定へ誘導)】
「心地よい使用感」「つや玉の実感」「ハリが気になる方にはエリクシール シュペリエルがあること」「ハリと透明感が気になる方にはエリクシール ホワイトがあること」「価格・容量」を訴求し、化粧水・乳液の本体購入を促進

ファンデーションのポイント

【STOP(足を止めてもらう)】
「テレビCMと連動した目立つ店頭」「10月21日新発売」であることを訴求し、立ち寄りを促進する

【HOLD(棚の前に引き留める)】
「自然にカバーしながらつや玉が輝くこと」を訴求し、テスター近くに視線を移動させる。「みずみずしい生感触タイプであること」「素肌に溶け込むようにフィットし、仕上がりはサラサラであること」「全6色あること」を訴求しテスターの試用を促進

【CLOSE(購買決定へ誘導)】
「つや玉がきれいに見える仕上がり」「価格・容量」を訴求し、ファンデーションの購入を促進

重要ポイントのまとめ

  • エリクシールは11年連続スキンケア市場で売上No.1
  • もっと「つや玉」。という分かりやすいキーワードを前面に出し販促
  • フック商品から化粧品、乳液、ファンデーションの基幹美類につなげることで固定化を図る

7割以上の企業が「労働生産性の向上」などに着手

2018年6月の働き方改革関連法案の可決を受け、月刊MDではドラッグストアおよび小売業各社にアンケートを実施、その関心度と各施策の取組み状況について調査した。集計結果と分析を読み解きながら、自社および自店の「働き方改革における課題」を精査してみよう。(月刊マーチャンダイジング2018年10月号より転載)(文/社労士事務所ワークスタイルマネジメント・小林麻理 調査/月刊マーチャンダイジング編集部)

調査概要

  • 調査時期/2018年7月
  • 調査方法/無記名式書面アンケート
  • 有効回答数/設問によって異なる(各図表に明記)

回答者属性

  • 協力社数/21社
    ドラッグストア 14社、コンビニエンスストア2社、食品スーパー1社、総合スーパー1社、バラエティストア1社、ホームセンター1社、100円ショップ1社
  • 対象者/人事もしくは労務部門の責任者、総務、店舗運営、マーケティング部門などに所属する広報担当者※各社において一人が回答

Q1 「働き方改革」はES(従業員満足)向上に寄与するとおもいますか?

「働き方改革」は取り組み方を間違えるとES低下の危機を招く

「働き方改革」はES向上に寄与すると回答した企業は75%。

そうした意識はほぼすべての企業が持っているだろう、と予想したのに反し、25%の企業が「どちらかといえば寄与しない」「まったく寄与しない」との回答だった。「働き方改革」は取り組み方を間違えるとES向上どころか、低下を招く危険があるということを感じさせる結果である。

たとえば、「残業削減」を現場に命令しつつも、業務量や業務手順がまったく変わっていなければ、当然ESは低下するだろう。

「残業削減は現場が頑張ればなんとかなる」というように、対応を現場任せにするトップのもとで、かけ声のみが先行する「働き方改革」は従業員にとって厳しいものとなる。大事なのは、号令をかけるだけで終わらず「どのような作業に時間がかかっているのか」といった現場の問題を把握し、働き方の仕組みを企業として見直すことである。

Q2 「働き方改革」に関連して自社ですでに実施していること、もしくは実施予定のことはありますか?

大半の企業が「働き方改革」の具体的な取り組みを実施

実施と実施予定の合計で上位にあがった「労働生産性の向上」「パートタイマーのキャリアアップ支援」「労働時間の削減」については、取組中の企業が7割以上となった。

また、パートタイマーの処遇改善に着手している企業は11社、関連する「多様な正社員制度」の導入済み企業も9社と一定数にのぼった。

そして、対応は遅れがちになるだろうと予想していた「有給休暇取得の推進」も10社が実施済みだった。制度解説で触れたとおり、一定の有給休暇の取得は義務化される。先行して取組んでいる企業が多いようだ。

「勤務間インターバル制度」については実施中の企業が3社(予定は5社)にとどまったが、全体として多くの企業が、「働き方改革」に具体的に取り組んでいることがわかる結果となった。

Q3 「働き方改革」に関して学びたい事項、関心のある事項はありますか?

「多様な正社員制度」とともに考えたい「同一労働同一賃金」

関心事の上位に「働き方改革」全般、法律(働き方改革関連法案)全般が挙がった。これは「働き方改革」が浸透している半面、すべての取り組み内容を把握するのが難しいほど幅広いものであることの裏返しともいえる(実際、今回アンケートで取り上げた内容も「働き方改革」の一部分のみである)。

法律に関しては、「裁量労働制」など一部の内容が大きく報道される一方で、実務としてどのような影響があるのかについての情報提供があまりなかったからという面もあるだろう。

また、法律全般と同様に「多様な正社員制度」が多くの票を集めたのは、勤務条件を限定して働くパートタイマーが多数活躍する小売業ならではかもしれない。「多様な正社員制度」は、職務に応じた賃金や評価制度について改めて考える必要がある。それを反映してか「多様な正社員制度」に関心がある企業は「同一労働同一賃金」にも関心あるという傾向が見られた。

小売業界がAIやデータ活用で失敗しないためにすべきこと

これまでの連載の中で、AIについて、また小売業界に限らず幅広い業界でAIやデータの利活用が進んでいることを紹介してきた。今回の記事では、AIやデータを利活用するにあたって必要な考え方や準備すべきことを紹介する。

事業におけるAIやデータ活用の有用性を考える

AmazonGoはもちろんだが、2016年末に中国のアリババが「ニューリテール戦略」を発表したように、中国などでは無人店舗が既に実現されており、O2Oなどの取り組みも進んでいる。そんな中、これからの小売業界がデータやAIを活用するという意思決定は必然だろう。

その際にまず考える必要があるのは、データ活用の有効性である。例えば「数店舗の展開で、来店客数が少ない会社」と「全国に1000店鋪以上展開し、1店鋪あたりの来店客数も多い会社」では、データ活用による有効性が異なることは直感的にお分かりいただけると思う。

上記の例は極端ではあるが、事業に対して、AIやデータ活用によってどのくらい効果が見込め、活用して行く必要性があるか、ということを考えるべきであると伝えたい。

一般的に、規模が小さい会社では、AIやデータ活用への投資に対する効果が規模が大きい会社よりも小さくなってしまう。AIやデータ活用は、主に数パーセントの改善や自動化で力を発揮する。

そのため、規模が小さい会社では、AIやデータ活用以外の部分に注力する方が効果が大きく、逆に規模が大きい会社、例えば、数パーセントの改善が大きくインパクトをする会社などは、AIやデータ活用によるコスト削減や、サービスレベルの向上に意味が出てくる。

AIやデータ活用で解くべき課題を考える

自社でAIやデータ活用によって、事業にインパクトが出そうかどうかを考えると同時に、AIやデータ活用で解くべき課題を考えることも必要である。AIやデータ活用のサービスを提供している立場ではあるが、それらはあくまで手段であり、課題解決のためのひとつの選択肢だと考える。

「AIが流行っているから、なにかやってみたい」

こういう一言も、「新しい技術を先駆けて取り入れてみる」という観点では素晴らしい。しかし、第二回目の記事で述べたように、実際にそのプロジェクトから成果を得るためには、課題の整理から行うべきである。

私の経験上、「とりあえずAIを使ってみたい」と始まったプロジェクトと、「特定の課題を解決するためにAIを使いたい」と始まったプロジェクトでは、プロジェクトの成功確率が全く異なる。

もちろん、前者の経緯で始まったプロジェクトでも、その目的が「その新しい技術で何が可能で、何が不可能かを検証する」というような内容であれば、プロジェクトとしては成功であると思う。しかしながら、実際には前者の経緯で始まったプロジェクトでも、事業上の成果を求められることがほとんどである。

具体的な企業名は伏せるが、AIやデータが必要な課題として、以下のような例がある。

「従来より、POSデータで分析を行ってきた。しかし、POSデータからは分析ができない”購入していないお客様”の年齢・性別、手に取った商品や見た商品を分析し、より購入していただけるような施策を打ちたい”」

例えば、この例であれば「既にPOSのデータを活用して購入者の情報を分析してきたが、それ以上の課題を解決することが売上向上には必要だと考えたから、購入していないお客様の分析もしたい」となっており、新しいデータを使わないと解けない課題があることがわかる。

AI・データ活用に必要なステップ

AIやデータ活用の有用性や解くべき課題が確認できたら、以下のようなステップに沿って進めていく。

  1. 目的設定
  2. 指標決定
  3. 必要なデータの取得・蓄積
  4. データの可視化
  5. 自動化可能な部分の特定
  6. AIを活用した自動化の検証
  7. 自動化のためのシステム開発

先ほどの例を使って説明する。今回は、「購入していないお客様に、購入いただける施策を打つ」という目的設定をする。

次に、この目的を達成するために、どのような指標を見るべきかを考える。指標の例としては以下のようなものが挙げられる。

  • 来店者数
  • 来店者の属性情報(年齢・性別)
  • 購入者数
  • 購入者の属性情報(年齢・性別)
  • 買上率(購入者数 ÷ 来店者数)

POSから取得できる指標もあるが、POSから取得できない、以下のような指標もある。

POSデータ以外で取得可能なお客様のデータ

これらのデータから、買上率が低い属性区分があることが発見できるかもしれない。また、特定の店舗が、来店者数は多いが買上率が他店舗に比べて低いなど、POSデータだけでは発見できない課題が発見できるかもしれない。これらの発見をもとに、施策を打てるようになる。

目的設定、指標設定まで終えたところで、「それらのデータをどのように取得できるか」について考えるというステップに移行する。

取得方法としては、店内にカメラを設置し、そのデータを取得、そのデータからAIを使って属性を判定するという方法がある。

  • 年齢
  • 性別
  • 購入客と非購入客の店内導線の分析

このような方法でデータが取得できるようになったら、エクセルなどを使って分析・可視化することをお薦めする。最初から高度な分析ツールを使う必要はなく、エクセルなどの手元にある身近なツールを使って分析し、設定した目標を達成できそうかを検証することが重要である。

これで、最初に設定した「購入していないお客様に購入していただける施策を打ちたい」という目標を達成するためのステップのイメージがついたと思う。

小さく、とにかく小さく始めることが大事

具体例を用いてAI・データ活用におけるステップを紹介したが、最初から「非購入者に購入していただけるようなOneToOneマーケティングがしたい」など、ステップを大きく跨ぐような目標を設定してはいけない。

小さく、とにかく小さく始めることが大事である。これにはいくつかの理由がある。

1つ目は有効性検証の観点である。十分な検証無しに、大きな費用を投下してしまうと、その取り組みによる効果が薄い、もしくは運用に乗りにくいと判明した場合に、大きな損失になってしまうからだ。まずは、上述の例のように、その分析により目的を達成できそうかを検証することが重要である。

2つ目は運用可能性の観点である。新たな取り組みという性質上、新たな業務が生じやすい。また、その業務に対して業務フローを構築する必要も出てくる。仮に、最初から全店舗で新たなシステムやデータ活用を始めた場合、その業務フローが不十分な設計だった際の影響度合いは大きい。そのため、小さく始めて、上記の有効性の検証を行いつつ、大規模に拡大した場合の業務フローもしっかりと構築することが重要である。

上記2点より、まずは少数の関係者で、小さい予算で始め、それを少しずつ組織に伝搬させていく、そのようなステップを踏むことも重要だ。

データ分析でやってはいけない4つの間違い

少し前に見た記事で、非常に興味深かった記事がある。それは、「The Four Cringe-Worthy Mistakes Too Many Startups Make with Data」という記事で、これはHotel Tonightというサービスを提供しているスタートアップの方が書いた記事だ。

この記事では、スタートアップがデータ分析をする際に陥る4つのパターンということで、以下の4つが紹介されている。

  • Starting with Metrics Instead of a Goal(目的の代わりに指標から初めてしまう)
  • Rampant Personalization(パーソナライズの横行)
  • Hiring a Dedicated Data Scientist(専門のデータサイエンティストを雇ってしまう)
  • Chasing After the Latest Toolset(最新のツールの追っかけ)

これらは本当によく陥りがちなことである。多くの場合、データ分析を始めるにあたって、最新のツールを使う必要も、専門のデータサイエンティストを自社で雇う必要もない。

上述のステップの通り、まずは目的を設定し、必要なデータを集めたら、すぐにエクセルなど手元にあるツールでデータを見る。そのデータから課題を特定し、施策を打つ。そして、この分析の有効性を検証する。これが最初の一歩である。

このような意識が薄いと、あくまで手段であるAIやデータ活用が目的に替わってしまいがちである。結果として、目的として押さえ続けるべき、事業成長に関わるアクションが手薄になってしまう。

AI・データ活用がスタンダードになるこれからを見据えて

世界的に見ても、これまで小売業をやっていなかったテクノロジーカンパニーが、新しい技術を使って無人店舗などの次世代店舗と言われるような取り組みを実施している。しかしながら、最初から同等の内容を実施するのではなく、「急がば回れ」の考えで、まずは小さく、始めることをお勧めする。

読者の中で「データを使って何かしてみたい」と思っている方がいれば、まずは何が目的なのか、そのために必要な指標やデータは何か、そして自分や周りの数名だけでできる小さな目標は何か、などを考えて見てはどうだろうか。

次回は、現在の小売とAI・データ分析で行われていることや、今実現できていることや将来実現できることについて紹介する。

浸水と物流ストップからの店舗復旧へ ~レデイ薬局の災害対応 後編~

「平成30年7月豪雨」では市内全域に避難指示が発令され、臨時休業の対応や情報収集に追われた㆑デイ東大洲(ひがしおおず)店。今回の記事では、浸水による被害や道路の不通による物流ストップを乗り越え、店舗復旧にこぎつけるまでの本部や現場スタッフの奮闘を紹介する。(月刊マーチャンダイジング2018年10月号より転載)

前編の記事はこちら

①店舗確認

2018年7月8日(日)
小康状態になった雨 9日の復旧作業への準備開始

7日(土)朝、3店舗の休業を決定してから、越智氏をはじめとする店舗関係者は自宅待機となる。雨は7日の日中は激しく降り続き、越智氏の住む2階建てマンションの1階部分はほぼ浸水。社用車は高台にある場所に移動していたものの、自宅からは出られない状況であった。東大洲店が浸水したのも、この日の午後比較的早い段階だったのではないかと推測できる。

大洲市の地形は場所により高低差があり、道路を隔てて隣り合う建物でも浸水したもの、免れたものがあり建物の立地により明暗が分かれた。

7日夜になり大洲市の雨は小康状態になった。道路の水も引き越智氏が店舗確認できたのは8日(日)の午前9時ころのことだった。7日に休業した3店舗で浸水被害に遭ったのは東大洲店のみで、8日、ほか2店舗は営業を再開することができた。

越智氏は東大洲店の店内に入り、店内の被害状況を写真に撮り、店舗運営部長に連絡。連絡を受けた本部では8日は現状のまま、9日に復旧作業を行うことを決定し、本部からの応援態勢、メーカー、ベンダーへの協力依頼を健康フェスタの開場前に行った。

田村氏の自宅がある伊予市から店舗までの道は、8日の時点でも開通していなかった。田村氏は東大洲店の写真を送ってもらうなど、自店の被害状況の把握に努め、9日の復旧作業に従事できる従業員の確認作業を行った。この日の大洲市の天候は雨が降ったりやんだりという程度であった。

7日までの大雨により大洲市内で営業している小売店は少なく、大洲店には水や食料などを求めて多くのお客が訪れた。越智氏は休業中の東大洲店から水や菓子パン、ベビーフード、紙食器などを大洲店へと移送する作業を行った。

浸水時の水位を示す田村店長。下2段目まで水が浸入した

②本部の対応

2018年7月8日(日)
四国への物流がストップ ツルハからも支援便が

本州と四国を陸路で結ぶ3つのルートは、豪雨により7日時点でいずれも不通。四国内にあるレデイ薬局の物流センターに土曜配送される予定の納品が滞る事態になっていた。

「瀬戸大橋※1、しまなみ海道※2が開通したのが8日の夜中くらいだったでしょうか、そこから物流が動きだすようになりました。センターへの到着が送れる分仕分け作業も遅れ、食品を中心にカップラーメンや水など緊急時に需要の高い商品は、発注しても限られた量しか手配できないという状況が続きました。ツルハグループになってよかったとおもったのはツルハグループマーチャンダイジングの江口社長が10トン車に水などの商品を積み必要なエリアに配送するという協力を申し出てくれたことです。当時トラックが到着できるのは岡山県までだったので、県内の数店舗に直納してもらう手配を取りました」(白石氏)

※1 岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶルート
※2 広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶルート

店舗復旧

2018年7月9日(月)
従業員、本部スタッフ、協力会社総勢90人で復旧作業開始

田村店長の号令の下、東大洲店の従業員たちは午前8時、店舗復旧のため店に集合した。本部からの応援メンバーに加え、前日に依頼していたベンダー、メーカーの応援部隊も駆け付け東大洲店復旧チームは90人ほどになった。

「当日は道路が復旧していたこともわかっていたので、午前7時前には東大洲店に到着しました。当日駆け付けた従業員の中には、自宅が浸水したり断水になるなど困難な状況にある人もいましたが、自分がドラッグストアという地域に貢献する店に勤務しているという責任感から店舗復旧に駆け付けてくれた人もいました」(田村氏)

店舗復旧にあたり本部からは営業本部副本部長を筆頭に、商品部長、店舗運営部長の3人が陣頭指揮を執り作業が進められた。第一に行ったのが、浸水で廃棄処分となった商品の運び出し。それらすべてをいったん駐車場に集め、罹災証明用の写真を撮った後、設置されたコンテナの中に廃棄する作業が行われた。

当日は炎天下で作業に携わる人たちの熱中症に注意する必要があった。田村氏によると、冷蔵庫が浸水で故障したので、冷たい飲み物を十分には確保できなかったが、二次被害を出さないためにも、水や塩分の補給には注意したとのことだ。

店内から廃棄物を出し終わると、床や什器の清掃に取り掛かった。店舗内の床清掃、消毒には外注した清掃業者も加わった。

「事前の報告により什器の下段が浸水被害に遭ったということだったので、最下段と下から二番目の棚にある商品は前日に本部から発注をかけていました。9日午前に発注した商品が到着。廃棄物の撤去、床の清掃・消毒、商品の補充を終え東大洲店を再開させたのは10日の正午ころというスピーディな展開でした」(白石氏)。

田村店長は当初、被害状況から見て店舗の再開までには1週間くらいかかるのではと心配したが、作業に加わったメンバーのチームワークで、驚異的なペースで店は復旧していった。

越智大介氏(左) 田村博氏(右)

豪雨被害からの教訓

状況把握、情報の一元管理の難しさを痛感

大雨による被害として平成以降もっとも多くの犠牲者を出した今回の災害から、どのような教訓を得たかを聞いた。

「縦横の連絡の重要性をおもい知りました。店舗の従業員同士横の連絡を取り合い、それを上に上げる。そして上からの指示や情報を横に展開する。こうした縦横の連絡をいかにスムーズに取れるかが、災害時には大切だと実感しました」(田村氏)

「店舗運営部長から最初に『従業員の安全を何より優先させろ』という指示を受けたときには、この会社に入ってよかったとおもいました。教訓でいうと『判断』と『決断』することの難しさ、大切さを学びました。7日に店を休業するという決断を下さなかったら従業員やお客さままで危険にさらすことになったとおもいます。難しい判断だったとおもっています」(越智氏)

店舗という「現場」に直面している店長、SVの教訓に共通しているのは、状況をつかむことの重要性だろう。店長は緊密な横の連絡で状況をつかみ上に報告し、SV自身も集まった情報をもとに判断、決断した。

8日以降本部に常駐して、全出店エリアから情報を集め一元管理して対応を協議し決断、指示した立場の白石氏はこう語る。

「今回の災害で考えさせられたのは『避難指示』という言葉の重さです。避難指示が出ているエリアで店を開けるのか、従業員の安全をいかに守るのか、どの小売業も迷ったとおもいます。『避難指示』区域の状況もさまざまあって、一辺倒に開けろ、閉めろといえないので、SVや店長の情報のもとに考えなければいけないと、より一層考えさせられました」

SNSは即時性あるが真偽の裏が取りにくい

先述のように、白石氏は情報収集のためにSNSやインターネットを活用した。そこから得た教訓を次のように語る。

「広島県呉市の従業員が断水でお風呂に入れないという状況が続いたので、車で岡山の入浴できる施設まで連れていこうかと考えていたときに、インターネットで呉地域で営業中の温泉一覧のような情報ページがあり、それを参考に近くの入浴施設を案内することができました。

Twitterは速報性や瞬時に広がる強さはありますが、真偽のほどは確かめようがありません。私たちも状況を把握するためにTwitterを活用しましたが、勘違いやうわさも拡散してしまうという難点もあります。

速報情報としては頼りになるが、それをもとに何かアクションを起こすというレベルまでは至らないといった感想です。

今後、SNSを正式に緊急時対策用に使う予定です。社内SNSアプリを幹部やSV50人ほどをメンバーにして導入する予定です。

先ほど店長の話にもありましたが、今回従業員の対応には本当に頭が下がります。自分たちが大変なときに店や地域を優先させ、現場に駆け付けてくれました。こうした従業員の貢献は社長の三橋信也からも全社向けのビデオ朝礼で報告しましたし、今後折に触れ紹介していこうとおもっています」

今回の一件では、①広域で起こる自然災害対応の難しさ、②「避難指示」という新たな対策基準、③LINEを使った連絡網の有効性、④SNS、インターネット情報の活用法などが教訓として浮き彫りになった。

また、自分の困難よりも店舗復旧を優先させた従業員がいるように、同社では企業文化の定着に成功している。これは、不幸な出来事からの大きな収穫だろう。同社の企業スローガンは「すべては『お客様』のために」である。具体的なマニュアル整備とともに、企業文化の発信と定着も災害対策となり得る。

くすりのレデイ東大洲店のスタッフの皆さん

リアル小売業とIT企業の協業で取り組むべき5つの革新

ユニクロは9月19日、同社が目指す「情報製造小売業」の実現に向けて、アメリカのグーグル(Google)とIT分野で協業すると発表しました。これからのリアル小売業は、IT企業との協業、提携、もしくはM&Aは不可欠の経営戦略です。リアル小売業とIT企業の協業は、ネット販売だけにとどまらない多岐にわたるものになります。

ウォルマートは、グーグルホームに話しかけると商品が届くサービスも開始している

IT企業を買収し、事業モデルとIT人材を獲得したウォルマート

リアル小売業の「デジタルシフト化」は、今後加速していくでしょう。最近のニュースを見ていると、リアル小売業とIT企業の協働・提携によって目指すべき革新は、大きく分けると、以下の5項目になります。

「(1)ネット販売の強化」に、ものすごい投資をしているのはウォルマートです。同社は2016年に、ネット通販の有力企業「ジェット・ドットコム」を約33億ドルで買収し、創業者のマーク・ロア氏をウォルマートのネット戦略の責任者として抜擢しました。ロア氏は、ウォルマートのネット事業の急成長の中心人物といわれています。

ウォルマートは、ITベンチャーを買収することで、ITビジネスのノウハウを得るだけでなく、優秀なIT人材を獲得することが大きな目的だったようです。これからのリアル小売業は、IT企業との協働、提携、買収を行うことで「IT人材」に積極的に投資していく必要があります。この発想は、IT人材の少ないリアル小売業にとっては、とても重要なM&A戦略だと思います。

「ウォルマート・ドットコム」では、7,500万点の商品を取り扱い、リアル店舗では品揃えできない「ロングテール」に対応しています。

ウォルマートの2018年のネット販売(アメリカ国内)の売上は40%の急成長率を見込んでいます。アメリカのネット通販市場のウォルマートのシェア率は約5%に達しています。アマゾンのアメリカのネット通販市場のシェア率40%と比較すると、まだまだ低いですが、ウォルマートのネット販売の成長率はアマゾンを凌駕しています。

一方でウォルマートは、リアル店舗の新規出店を年間で30店以内にスローダウンさせており、リアル店舗よりもネット販売への投資を拡大しています。

ウォルマートは2017年、アマゾンと対抗するために、「グーグル」とネット販売事業で提携しました。グーグルのネット販売サービス「グーグルエクスプレス」に日用品10数万点を出品。アマゾンのアレクサに対抗して、グーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」に話しかけると注文できるサービスも開始しました。

また、「ネットで注文して宅配」「ネットで注文して店舗受け取り」「店舗から自宅へのお届けサービス」など、買物の選択肢を増やす「(2)オムニチャネル化」も推進しています。この連載の第4回の記事「ウォルマートのピックアップタワー」で紹介したように、店舗受け取りの自動化・無人化にも取り組んでいます。ウォルマートのEC売上の50%強が、「ネットで注文して店舗受け取り」のようです。これはリアル店舗(拠点)を持つ企業の強みですね。

AIによる需要予測と業務の生産性向上

ユニクロとグーグルの協業に関する記事を読むと、ユニクロはまず、「(3) AI活用による需要予測」に関して、グーグルと協業するようです。グーグルが持つAI(人工知能)を使った画像認識技術を活用して、ユニクロの店舗で、接客を担当する社員がカメラに商品をかざすだけで、AIが商品のトレンドや併買商品、在庫情報などを瞬時に教えてくれます。文字による情報提供だけでなくて、音声で問い合わせれば、音声で回答してくれるサービスも実験するようです。

ユニクロは、顧客接点である店舗にデータ提供し、現場で意思決定することで、需要予測の精度を高めようとしていると思います。IT技術の進化によって、従来の「ピラミッド型の意思決定組織」から、「顧客接点の現場で意思決定できる組織」へ、リアル小売業の組織は大きく変わっていきます。

「中央集権型マネジメント」から、「自立型マネジメント」への変革も、ITの進化によって、これから起きる未来だと思います。

さらにユニクロは、店舗、本部、生産、物流拠点のすべてで、全社員が情報を共有するために、グーグルのグループウエア「G Suite」を採用します。グーグルとの協業によって、コミュニケーションの強化、「(4) サプライチェーンの効率化」を進めようとしています。

一方、グーグルは、全世界で、AIを活用した「カスタマーセンター(顧客からの問合せ窓口)」の省人化技術の、リアル店舗への導入を推進しています。今後、ユニクロが「AIカスタマーセンター」を実験する可能性もあります。

ユニクロが進めようとしている、グーグルのグループウエアの採用、AIを活用した業務の省人化などの協業の目的は、「(5)リアル小売業の業務の効率化と生産性の向上」です。ネット販売だけが、IT企業との協業ではないのです。