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他メーカーからのスイッチが多かった「キリン 本麒麟」

第7回若年層の購買が減少するビール系飲料。男女でこんなに異なる「買い方」

ビール大手5社が7月に発表した18年1-6月期(上半期)のビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の課税出荷数量は、前年同期比3.6%減の1億8337万ケース(1ケースは大瓶20本)となり、6年連続で減少し過去最低を更新したといいます。各社巻き返しを図るためにも、新商品の投入や既存商品のリニューアルが相次いで行われている中、今回はビールの買われ方について調査をします。

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最近では、発泡酒や第三のビールでも、コクや旨み、喉越しやキレなどビールを飲んだときの体験を味わうことができる商品が増えています。

最初にPOB会員のレシートから、ビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の購入者に占める「ビール」購入者の割合はどのように変化しているのか調査をします。

ビール購入者、各年代で減少傾向

POB会員のビール系飲料(ビールおよび発泡酒・第三のビールを含む)の購入者に占める「ビール」購入者の割合をみると、20代~40代において、過去3年間(2016年から2018年)減少傾向であることがわかります。ビール購入者の減少率がもっとも高い年代は40代です。2016年は44.0%が、2018年では7.8ポイント低い36.2%となります。それに続く30代は、2016年の42.6%から、2018年では6.2ポイント低い36.4%となります。

30代40代でのビール購入者の減少率が高い理由については、「独身の頃はアサヒスーパードライを購入することがほとんどでしたが、節約志向で安い物に惹かれています(30代女性・サッポロ 麦とホップ購入)」など、独身から子育世代へと、ライフスタイルの変化による節約がきっかけで、ビールから発泡酒にシフトしたという方や、「発泡酒と違うビールの濃さが感じられる。クーポンをもらったので、せっかくなので一週間働いたご褒美に購入(40代女性・サントリー ザ・プレミアムモルツ 購入)」いつもよりお得に購入できるクーポンや、普段の日と使い分けて、ビールを購入しているといったことがコメントからわかります。

一方で、50代~60代になると減少はしているものの、20代~40代と比較すると減少率は低く、50代は2016年の41.5%から、2018年では3.4ポイント低い38.1%、60代では、2016年の37.1%から、2018年では2.3ポイント低い34.8%となります。

次からは、男女別でビール系飲料の購買行動について調査をします。

スーパー・コンビニで好きな銘柄を1本ずつ購入

ビール系飲料のもっとも購入者が多い業態は、男女ともに「スーパー」で、女性が57.7%、男性が53.1%です。次が「コンビニエンスストア」で、女性が25.5%で、男性が4.6ポイント高い30.1%となります。

次に、男女別に購入商品タイプをみると、男女ともに350ml缶や500ml缶を1缶単位で購入する方が多く、「350ml缶」では、女性が38.8%に対し、男性は3.1ポイント高い41.9%、「500ml缶」では、女性が23.0%に対し、男性は3.2ポイント高い26.2%となり、男性のほうが1缶単位で購入する割合が女性より高いことがわかります。

一方で、「350ml缶 6本パック」になると、女性では21.3%に対し、男性が6.1ポイント低い15.2%となります。これは、男女別の購入業態の違いによるもので、女性のほうが、スーパーで購入する方の割合が高いため、男性よりも6本パックを購入する割合が高いことがわかります。

また、「350ml缶 24本入りケース」になると、男女ともに購入者が5%にも満たないことから、店頭よりも自宅まで配送してくれるネット購入や宅配などを利用していることが考えられます。

次に、男女別で購入理由の違いについて調査をします。

半数近くがいつも飲んでいる銘柄を購入

POB会員のビール系飲料の男女別・購入理由選択肢をみます。(複数回答・上位10位を抜粋)まず、男女ともにもっとも多かったのは、「いつも買っている」で、女性では39.3%に対し、男性は6.2ポイント高い45.5%となります。ビール系飲料に関しては、半数近くの方がいつも同一銘柄を選び、女性よりも男性のほうがその傾向が強いことがうかがえます。

次に、女性では、「家族が気に入っている」が23.7%となり、男性では8.1%で(4位)15.6ポイントも差があります。これは、ビールの購入決定者の違いにあります。(図表4-2)

男性では、ほとんどの方が「自分」が購入決定者であるのに対し、女性の購入決定者は、「自分」の他、約2割以上が「配偶者」であるため、家族が気に入った銘柄を購入していることがわかります。また、女性のほうが、お得や特売・セールがフックになり購入する傾向が高く思われますが、意外にも「(価格が)他の商品に比べてお手頃だった(男性13%・女性9.0%)」や、「特売・セール(男性6.4%、女性4.7%)」を購入理由の選択肢として選んだのは、女性よりも男性の割合が高く、価格に敏感であることがわかりました。

また、「試し買い(男性17.4%、女性16.3%)」という結果からも、男性のほうがトライアル購入につながりやすいことがわかります。このことから、女性は男性よりも、家族の好みを重視する傾向にあります。また、家計を管理している方も多いために、特売やセールなどの場合でも、男性よりも購買に結び付きにくいのかもしれません。

次に、ビール系飲料の人気銘柄について調査をします。

今年の春は、縮小しているビール市場の活性化を狙うためにも、缶チューハイ同様に高アルコールの「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」や「アサヒ クリアアサヒクリアセブン」や、飲みごたえのある「キリン 本麒麟」などが相次いで発売されました。ビールランキングに変化はあったのか調査をします。

2大人気は、アサヒスーパードライとサントリー金麦

ビールの売れ筋について、1位は女性が「サントリー 金麦(8.3%)」、男性が、「アサヒスーパードライ(8.1%)」、2位は、女性が「アサヒ スーパードライ(8.2%)」、男性が「サントリー金麦(6.1%)、となり、元祖辛口ビールで不動の人気である「アサヒ スーパードライ」と新ジャンルの中で確固たるポジションを確立している「サントリー 金麦」が2大人気銘柄となります。
そして、男女共に3位が「キリン のどごし<生>」、4位が「キリン 一番搾り」と、リニューアルをした銘柄が続き、5位には、唯一今年春に発売された新商品である「キリン 本麒麟」がランクインしました。
6位以降に関しては、男女ともに新ジャンルが多くランクインしています。

では、新商品「キリン 本麒麟」の人気の秘密に迫ります。

キリンファンだけではなく、他メーカーからのスイッチが多かった「本麒麟」

「キリン 本麒麟」は、今年3月に「ビールに期待される力強いコクと飲みごたえのあるうまさを味わる」商品として発売され、発売から約半年で2億本(350ml缶換算)達成し、新ジャンルの大型新商品として注目されています。

当社レシートの購入者(2018年3月~8月)をみると、「CMの印象がとてもよく美味しそうに感じた。新ジャンルだけど美味しい(50代女性)」や、「豪華な女優さんや俳優さんのCMが気になっていた。風味がよくデザインもインパクトのある赤で目立っていてかっこいい。(40代男性)」など、おいしさにフォーカスしたCMや、「LINEのクーポンで購入。本格的な味わい(40代女性)」、「ローソンのクーポン券で普段よりもかなり安く購入できた。後味がスッキリで飲みやすい(50代男性)」など、店頭と連動した販促で、トライアルが続伸しています。

次に、前回どの銘柄を購入した方が「キリン 本麒麟」を購入していたのか調査をします。

「本麒麟」を購入した方の前回購入銘柄は、男女ともに、同じ新ジャンルの「アサヒ クリアアサヒ」がもっとも多く、女性では「サントリー 金麦」、男性では「キリン のどごし<生>」が続きます。

また、「アサヒ スーパードライ」や、「キリン 一番搾り」、「サントリー ザ プレミアムモルツ」などのビールを前回購入していた方もみられ、根強いキリン派だけではなく、他メーカーからスイッチし購入していることがわかります。

まとめ

  • ビール系飲料の購入者に占めるビール購入者の割合は過去3年間でみると全年代で減少傾向である。中でも40代の減少率が高い。
  • ビール離れが進む若者の支持を得るためには、マスマーケティングだけではなく、SNSに投稿したくなる話題性、インスタ映えするような演出、売場作りなど、若い世代を意識したPRの手法が重要。
  • 新商品のPRおよび、店頭誘引の手法としてLINEクーポンが効果的。

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

ソフトブレーン・フィールド所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。