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透明ペットボトル飲料の買われ方

第6回新商品が続々登場した透明飲料。来年の夏はどう動く?

店頭に多数並ぶ透明のペットボトル飲料。従来のフレーバーウォーターだけではなく、ついにコカ・コーラや、ノンアルコールのビールテイスト飲料まで登場し、この夏のトレンドとなりつつあります。そこで今回は、人気の透明ペットボトル飲料について独自データに基づき分析します。

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購入理由は60.7%が「試し買い」

まずは、自主調査でPOB会員3994名を対象に「透明ペットボトル飲料の購入に関する」アンケートを実施し、透明飲料の購入経験について調査をします。

透明ペットボトル飲料の購入経験は、「購入したことがある」が55.0%で、2人に1人が購入した経験があり、購入者層の男女比はほぼ半々で、男性は50代、女性は30代がボリュームゾーンとなります。

次に、透明ペットボトル飲料の購入経験がある方を対象に購入理由について調査をします。(N=2196名)

透明飲料の購入理由は、「試し買い」が60.7%とダントツで、購入時に重視される味に関する「おいしそうだから」はわずか22.0%となります。ほかにも「流行っている・話題だから」が15.5%、「珍しいから」が15.1%、「新商品だったから」が14.2%など、購入理由からは、ほとんどの方が、新しさに手を伸ばすトライアル購入者であることがわかります。

一番人気の「ヨーグリーナ&サントリー天然水」

次に、代表的な透明飲料の銘柄をピックアップし、購入経験について調査をします。

購入したことがある透明ペットボトル飲料について、1位~10位までをみると「サントリー」天然水シリーズと「コカ・コーラ」い・ろ・は・すなどの、既に定着している商品が目立ちます。中でも1位の「ヨーグリーナ&サントリー天然水(サントリー)」は、45.2%と半数近くの方が購入したことがあると回答し、多くの支持を集めました。

「乳酸菌飲料なのに、甘過ぎずにしつこくなくて、スッキリ飲める。夏でもスッキリした味の乳酸菌飲料なので気にいっている。(40代女性)」や、「無色透明なのに、ヨーグルトの味がする不思議さ。子どもが好きで頼まれて購入(30代男性)」など、乳製品のコクがありながらも、甘酸っぱくスッキリした味は、代替品が少なく、2015年4月から発売され、透明飲料市場を切り開いたブランド力で長く、幅広い年代に定番商品として親しまれています。また、今年3月にはリニューアルを実施し、乳酸菌UPでさらにヨーグルト感を味わえるようになりました。

また2位の「い・ろ・は・す 白桃(コカ・コーラ)」は、25.4%で、2015年10月から発売している「い・ろ・は・す もも」の後継品として、今年2月に発売され、「「もも」が「白桃」にリニューアルされたことを知っており店頭で見つけて購入。甘さや香りが強すぎずに飲みやすい(50代男性)」や「以前から気に入って購入していたが、白桃にリニューアルされ、購入したくなり店頭に行くと、かなりのお客様が関心を持ったようで商品も少なくなっていた。白桃のみずみずしさがよい(40代男性)」など、リニューアルがきっかけで購入につながり、商品に対する満足度がよりアップしていることがわかります。また10位以内には、4位に「コカ・コーラ クリア(20.1%)」、10位には、「爽健美水(10.2%)など、コカ・コーラは6月に発売されたばかりの2商品がランクインしましたが、コーヒーフレーバーの「クリアラテ from おいしい水(アサヒ飲料)」や、ノンアルコールビールテイスト飲料の「オールフリーオールタイム(サントリー)」は、少数派で、以前から発売され、既に定着している「ヨーグリーナ」や「い・ろ・は・す」の人気が根強いことがわかります。

では、透明ペットボトル飲料を購入しなかった方の理由について調査をします。(N=1556名)

透明飲料を購入しなかった理由については、「透明より通常の色のほうがよい」が33.6%でもっとも多く、「おいしそうにみえないから」が33.0%、「成分などが不安」が28.7%と続きます。本来は色がついている飲み物が透明であり、味やペットボトルのデザインが異なっても、どれも同じものに見えてしまうため、商品からのおいしさがみえにくいのと、透明である仕組みに疑問をいただく方が多いことがわかります。

コーヒー・ビール・お茶を選ぶのは少数派

今年6月には、サントリーからノンアルコールビアテイスト飲料の「オールフリーオールタイム」が発売され、様々なジャンルの透明飲料が揃いました。今後どのジャンルの透明ペットボトル飲料を飲みたいか聞きました。

今後飲んでみたい透明ペットボトル飲料のジャンルは、1位が「炭酸水」で23.3%、2位が定番の「フレーバーウォーター」が18.7%と続き、この2つのジャンルに人気が集まり、3位以下は少数派で、3位は「コーヒー」で4.3%、4位は「ビール・発泡酒」が3.9%、5位は「お茶」で3.8%と続きます。

最後に、今後新商品の透明ペットボトル飲料が発売された場合、消費者の購入意欲について調査をします。

今後新商品の透明ペットボトル透明飲料が発売された際の購入意欲は、「購入したい」が9.3%、「やや購入したい」が19.9%で、約3割の方が「購入したい」と回答しました。一方で、「あまり購入したくない」が32.7%、「購入したくない」が14.9%で、約4割以上の方が、「購入したくない」と回答しました。理由としては、様々なカテゴリの透明飲料が出揃ってしまった今後は驚きのカテゴリやフレーバーが発売されない限り、購入につながりにくくなっているのかもしれません。

この夏は、たくさんの消費者が透明飲料を試し買いしたと考えられますが、「ヨーグリーナ&サントリー天然水」のように、他社にはない味の追及や、「コカ・コーラ クリア」の今まで何十年も変わらぬ色を変えてしまう挑戦など、消費者に継続的に購入してもらうための、様々な企業の努力が感じられた調査結果となりました。

 

POBデータとは

「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ」データベース。

全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データのデータベース。消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。

「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、当社登録会員「キャスト」で構成された約20万人のネットワーク。マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く”を企業・メーカーに提供します。

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。