アンケートの対象は、20代~60代の女性2631人(平均年齢:44歳)で2022年1月23日~25日にインターネット調査を実施しました。
7割以上の女性が生理前から生理中に不調を感じる
最初に、「生理前および生理中に感じる心身の不調」を聞くと、女性2111人のうち、「生理前に感じる」(77.2%)で、「生理中に感じる」(77.0%)の割合とほとんど変わらず、生理前〜生理中の期間において、何らかの不調を7割以上の女性が感じていることがわかりました。
次に、生理前と生理中の心身の不調を聞くと、「生理前の不調」は、「イライラ・情緒不安定」(61.3%)が最も多く「腹痛(生理痛)」(50.8%)、「乳房の張り・痛み」(39.7%)「頭痛」(38.7%)、「腰痛」(36.4%)、「肌荒れ」(33.8%)を上回りました。そして「生理中の不調」は、「腹痛(生理痛)」(75.8%)が7割以上で、「腰痛」(43.2%)は生理前と比較すると<+6.8pt>増加し、「イライラ/情緒不安定」(42.1%)、「頭痛」(35.9%)、「乳房の張り・痛み」(19.2%)、「肌荒れ」(24.1%)の不調を感じる人の割合は減少することがわかりました。
若い年代ほど関心度が高いフェムテック
続いて、近年「フェムテック」や「フェムケア」といった言葉を耳にするようになり2021年の「新語・流行語大賞」にも「フェムテック」がノミネートされるなど、新しい市場として社会的にも注目度が高まっています。
「フェムテック」はFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性が抱える様々な悩みをテクノロジーによって解決に導く商品やサービス、「フェムケア」は、Feminine(女性の)とCare(ケア)を掛け合わせた造語で、女性の体や健康をケアする商品やサービスを指し、経済産業省の調査(※)によると、2025年時点の「フェムテック」による経済効果は約2兆円/年と推計されています。
※経済産業省「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査」
アンケートでは、女性全員に対して言葉を説明した上で、「フェムケアやフェムテック領域」に関して、4割が「興味関心がある」(43.7%)と回答し、「30代 N=835人」では(46.2%)となり<+2.5pt>高く若い年代ほど関心度が高いことがわかりました(図表3)。
そして、「フェムケア・フェムテック領域に興味関心があると回答した人」を対象に、年代別でその内容をみると、「〜30代 N=386人」では、「PMS(月経前症候群)の解消法」(68.4%)が最多回答で、「生理中の悩みの解消」(53.1%)、「生理周期の管理アプリ」(36.3%)がそれに次ぎ、主に生理に関する悩みの解消が上位となり、特にPMSに関するコメントが多く「PMSが気軽に相談できる場があればよい(20代)」「PMSについては相談したことはないが、解消法があるなら知りたい(30代)」など、PMSがつらいときなど、産婦人科でカウンセリングや治療などが受けられることがあまり知られていない印象を受けました。
そして、「40代 N=422人」、「50代 N=303人」になると、いずれも「更年期障害の解消グッズ」が最も多く、40代(57.8%)、50代(69.9%)と割合は大きくなり、「更年期の症状は個人差があるし、理解されにくいと思う。心構えなどわかれば助かる(40代)」「更年期の時に飲むと良いサプリや、受診した方が良い症状など色々な情報がわかるとありがたい(50代)」といった声がありました。
他にも50代では、「尿漏れ」(39.9%)など、年齢とともに相談しにくいデリケートな悩みを抱えるケースもあり「女性特有の病のオンライン診療」(27.4%)が、他年代よりも回答を集めました。
今回の調査結果から、生理や女性特有の悩みを多くの女性が抱え、生理前や生理中の不調への対処法としては、多くの女性が「何もしない」「鎮痛剤の服用や、身体を温める、ゆっくり休む」などといった内容が多く、「主人に伝えて、家事を手伝ってもらう(30代)」「家族にマッサージしてもらう(30代)」など、若い年代の女性は、身近な家族に理解や協力を求める人もいました。
また、PMSに関しては、自身の関心だけではなく、「娘がPMSに悩んでいるので関心がある(50代)」「娘が月経痛に悩まされているので、生理前からとても辛そうで何か情報が欲しい(50代女性)」といった声もありました。
今まであまり語られることがなかった生理や女性特有の悩みの解消において、政府関連では、20年10月にフェムテック振興議員連盟(会長:野田聖子議員、事務局長:宮路拓馬議員)が発足して普及に向けた規制見直しを進め、昨年3月にファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)が、「フェムテック」市場への参入を発表するなど、ポジティブな影響を与える大きな動きが広がっています。