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36%が買い場にドラッグストアを選択!

第32回注目高まる冷凍食品。販路・商品拡大で半数近くが週2回以上利用

コロナ禍の巣ごもり需要やまとめ買い、テレワークのランチなど、簡便・保存性の高さから以前より需要が伸長する冷凍食品。冷凍食品の購買行動の変化、消費者が冷凍食品に求めることとは何か——ソフトブレーン・フィールド社が全国のPOB会員に対し、2021年9月に実施した「冷凍食品の利用状況に関するアンケート」結果から紐解きます。(N=2609人、普段冷凍食品を購入する人:平均年齢47歳、全国エリア)。

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「冷凍食品」レシート調査 販路・商品拡大で「週2回以上利用する人」は半数近く

まずアンケートでは、「冷凍食品を購入する場所」および、「利用頻度」を、前回2018年10月結果と比較しました。

普段冷凍食品を購入すると回答した人(2018年N=2806人、2021年N=2609人)に、「冷凍食品を購入する場所」を尋ねると、主戦場は「スーパー」であり、およそ9割を占めますが(2018年89.2%、2021年94.1%)、特にコロナ禍では、冷凍食品売り場の拡大により、「ドラッグストア」が<12.8%→36.5%:+23.7pt>、PB冷凍総菜や冷凍野菜といった商品投入により、「コンビニエンスストア」は、<5.9%→26.6%:+20.7pt>と、いずれも大きく伸長しました。

コメントをみると「スーパーやコンビニで冷凍食品コーナーを覗く機会も増え、よく購入する(就業中50代女性)」店頭で商品を手に取る機会が増えた人や、「ドラッグストアで決まったものを特売の時に買うことが多い(就業中60代女性)」特売を利用してストックする人も多くことがわかりました。

また、「ネット通販」は少数派ながらも、<1.1%→6.3%:+5.2pt>」となり販売チャネルが広がっていることがわかります。「宅配の場合はスーパーに売っていない珍しい冷凍食品が多いので最近はスーパーよりも多く買っている(就業中50代女性)」といったコメントがありました。

「冷凍食品の利用頻度」は、「週2回以上利用する人」が<38.8%→49.8%:+11.0pt>と最も増加し、日常的に利用する人が増えていることがわかりました(図表2)。

利用頻度が増えたのは「外食に行けない」「自炊機会増え楽したい」から

次に、普段冷凍食品を購入すると回答した人(N=2609人)に、「コロナ感染拡大前と現在における冷凍食品を食べる頻度の変化」を尋ねると、7割が「今も感染拡大前も利用頻度は変わらない(70.7%)」と回答しましたが、2割以上が「現在のほうが利用頻度が増加した(24.9%)」と回答しました。年代別では、「20代~30代(26.0%、N=573人)」、「40代~50代(25.0%、N=1721人)」、「60代以上(21.9%、N=315人)」となり、若い人ほど「利用が増えた」と感じていることがわかりました。

そして、「現在のほうが冷凍食品の利用頻度が増加した」と回答した人(N=649人)に、「その理由(選択肢・複数回答)」を尋ねると(図表3)、「外食に行けないから(55.2%)」、「自炊機会が増え少しでも楽したい(54.7%)」といった、コロナ禍の食卓ニーズを解消する目的で利用が増えていることがわかりました。

また、「おいしくなったから(31.3%)」というように、「手頃でおいしいものが増えたから」など、味への評価を挙げるコメントが多くみられました。また、「価格が安定しているから(33.4%)」や「節約のため(25.0%)」といった、天候などによる野菜の高騰を受けにくいことや、調理時間短縮のために下ごしらえ済みの冷凍野菜を支持するといった声もありました。

次に、普段冷凍食品を購入すると回答した人(2018年N=2806人、2021年N=2609人)に「冷凍食品を利用するシーン(選択肢・複数回答)」を尋ねると、最多回答は「夕食」で<57.7%→60.6%:+2.9pt>となりましたが、「昼食<40.4%→48.1%:+7.7pt>」や「お弁当<25.3%→30.9%:5.6pt>」は、「夕食」よりも増加率が高いことがわかりました。

その理由としては、「テレワークのランチ利用」といったコメントが多く挙がり、「コロナで人混みを避けるため、ランチを買いに行かず冷凍食品中心の弁当を作るようになった(就業中50代女性)」コロナ禍で弁当を作るようになったなど、テレワーク中のランチ事情と大きく関わりがあることがコメントから伺えます。

前半の調査結果からは、コロナ禍における冷凍食品の利用状況は、外出自粛やまとめ買い、テレワークなどライフスタイルの変化により、主戦場はスーパーだけではなく、ドラッグストアやコンビニエンスストア、ネット通販など、販売チャネルや商品カテゴリーが広がり、利用頻度は「週2回以上利用する人」は半数近くとなりました。

味や質においても、消費者の評価は高く、様々な食卓ニーズを取り込み、食生活の一部となっていることがわかりました。

餃子、から揚げの購入回数アップ

フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:木名瀬博)は、全国のアンケートモニター(以下、POB会員)から月間1100万枚のレシートを収集する国内最大規模の(提携サイト含める)、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPointofBuyⓇ(以下、POBデータ)」を活用し、生活者の購買行動を分析しています。

後半は「レシートデータから購入状況や購入商品」、「冷凍食品に期待することやニーズ」を探ります。

最初に、普段冷凍食品を購入する人(N=2609人)に、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品はあるか」尋ねると、およそ3割が「購入が増えた冷凍食品がある(28.3%)」と回答しました。

購入が増えた冷凍食品がある人(N=738人)に、その商品を尋ねると、5割を越えたのが「餃子(61.4%)」、「からあげ・竜田揚げ(52.0%)」で、「メインにもつまみにもなる」、「昔より美味しくなって、温めるだけで十分に晩御飯のおかずになる」といったコメントが多くみられました。それに次ぐ、「チャーハン・ピラフ(46.7%)」、「パスタ(43.5%)」は、「テレワークのランチでパスタやチャーハンを食べる機会が増えたため(50代男性)」といった声が多く挙がり、在宅勤務中のランチに重宝している家庭が多いことがわかります。

また、料理用の冷凍素材を充実させるスーパーも増えており、「冷凍野菜(42.3%)」の他、「冷凍・魚などの切り身(19.5%)」、「冷凍・肉類(18.0%)」、「冷凍・果物類(17.6%)」の購入が増えたと感じる人が、およそ2割となりました。

その理由としては、「買い物の回数を減らすために、保存がきく冷凍野菜や果物、魚の切り身などが増えた(女性40代女性)」コロナ禍での買い物行動の変化や、「冷凍野菜は価格が安定し、下茹での必要がなく調理が楽。(50代女性)」「間食や朝食など、手軽な冷凍フルーツを食べるようになった(40代女性)」、料理時間の短縮や利便性、健康意識により購入するようになった人もみられました。

業態別・企業別にみる冷凍食品買い方状況

次からは、当社が独自に収集する「冷凍食品」のレシートデータから(調査期間:2021年1月~9月)購買行動を分析していきます。

業態別では、「スーパー(N=179,028枚)」・「コンビニエンスストア(N=30,360枚)」・「ドラッグストア(N=20,627枚)」の購入状況(レシート1枚あたりの平均購入個数・購入金額)と、スーパーのチェーン別では、「イオン(N=8,590枚)」、「イトーヨーカドー(N=4,227枚)」・「オーケー(11,488枚)」・「ライフ(6,225枚)」をセレクトして、購入商品をみてきましょう。

まず、上図の業態別では、「スーパー」・「コンビニエンスストア」・「ドラッグストア」の冷凍食品のレシート(2021年1月~9月平均値)から、購入状況(レシート1枚あたり:平均購入点数と平均購入単価)をみると、購入点数は<1.3~1.5個程度>、平均購入金額は、「スーパー(315円)」と「ドラッグストア(324円)」が横並びで、「コンビニエンスストア(258円)」となりました。

スーパーのチェーン別では、「平均購入金額(343円、4チェーンの平均値)」で、平均値を上回ったチェーンは「イトーヨーカドー(368円)」、「オーケー(347円)」でした。

どういった冷凍食品が購入されているか、チェーン別で詳しくみていきましょう。

上図は、「イオン」・「イトーヨーカドー」・「オーケー」・「ライフ」の冷凍食品購入レシートの冷凍食品購入レシート(2021年1月~9月平均値)におけるブランド別レシート出現率を表したものです(上位10ブランドまで)。

図表2で述べた、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品」で上位回答をとなる、餃子は「味の素ギョーザ」や「イートアンド王将餃子」、冷凍パスタや炒飯は、「日清フーズママ―」や「ニップンオーマイ」、「ニチレイ本格炒め炒飯」といった商品が、一定数購入されていることがわかります。

「イオン(トップバリュ)」、「イトーヨーカドー(セブンプレミアム)」における、10位以内のPB(プライベートブランド)商品のレシート出現率に注目すると、「トップバリュ(7.4%)」よりも、「セブンプレミアム(15.7%)」のほうが、<+8.2pt>と出現率が高く、イトーヨーカドーでは、「セブンプレミアムさぬきうどん(レシート出現率7.5%」や「セブンプレミアムハンバーグステーキ主に和風ソースの直火焼きハンバーグ(レシート出現率4.0%)」のレシート出現率が高く、NB(ナショナルブランド)商品よりも、PB商品のほうが多く購入される傾向があります。

子育て世代は大容量訴求、40代以上は本格志向の味を支持

最後に、今後冷凍食品に期待するニーズを探るべく、まずは「冷凍食品において、どういったキーワードに購買意欲がそそられるか」調査をしました(選択肢・複数回答)。

年代別でみると「20代~30代」では、子育て中のファミリー層も多く、「大容量パック(46.4%)」や、「まとめ買いセール(35.3%)」といたお得感や値ごろ感がある言葉が響き、「40代以上」になると、「家庭で専門店の味(42.6%、40代以上平均値 N=2036人)」といった、本格的な味に対する支持が高まることがわかりました。

また、どの年代においても「野菜たっぷり(33.9%、全体平均値)」は、3割以上に選ばれ、「カロリーや塩分カット(25.2%、全体平均値)」を挙げた人からは、「コロナ太りが気になる」「中性脂肪が気になるから」といった声があり、「糖質オフ(24.2%、全体平均値)」は、若年層「20代~30代(26.7%)」の支持が高いことがわりました。

他にも、「冷凍食品に対する要望」を尋ねると、「安くておいしい商品」といった声はもちろん、女性からは「冷凍野菜や肉・魚など調理用の食材を増やして欲しい」・「国産の冷凍野菜の種類を増やしてほしい」といった、日常的に冷凍食材を料理に取り入れたいという意識が感じられました。

パッケージや包装においては、「ごみができるだけ出ないような包装にしてほしい」、「冷凍野菜は、冷凍庫に沢山入るように、かさばらない包装にしてほしい」といった声があり、限りある冷凍庫の週能力を補うための「セカンド冷凍庫」のニーズが急速に高まり、従来の上開きタイプに加え、前開きタイプも普及していると言います。

コロナ禍で食に手軽さを求める傾向は今後も続き、冷凍食品の需要が伸びることが予想されます。新たな提案が商機となりそうです。

[調査概要]
調査期間:2021年9月25日~9月26日 インターネットリサーチ
エリア:全国
調査機関:ソフトブレーン・フィールド

著者プロフィール

石井麻美
石井麻美

mitoriz(旧ソフトブレーン・フィールド)所属。広告代理店の企画営業や、制作会社でのメディアプロデューサーなど10年以上インターネットメディアに関する職に従事。2017年にソフトブレーン・フィールド株式会社に入社。入社後は経営企画部に所属し、POB会員メディアの企画運営および、POBデータを利用した調査リリース、および業界紙への記事執筆を行う。