特別企画:ES向上のための働き方改革 21社アンケート調査②

省人化・アウトソースの一方「営業時間の短縮」に踏み切る企業も

月刊MDによるドラッグストアおよび小売業各社へのアンケート調査第2回。今回は労働時間の削減と労働生産性の向上にスポットを当て、実施または実施予定の施策を具体的に聞いた。特に「多様な正社員制度」に着目した。(月刊マーチャンダイジング2018年10月号より転載)(文/社労士事務所ワークスタイルマネジメント・小林麻理 調査/月刊マーチャンダイジング編集部)

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前回の記事「7割以上の企業が労働生産性の向上などに着手」はこちら。

Q4 「労働時間の削減」「労働生産性の向上」を実施・実施予定である場合、具体的などのような施策を実施・実施予定していますか?

「省人化」や「作業アウトソース」が進むなか、「営業時間の短縮」に踏み切る企業も

実施・実施予定の「労働時間の削除」「労働生産性の向上」の具体的な手段としては、店舗と本部ともに「業務手順見直しによる効率化」が最多となった。追加の設備投資や人の採用は不要なため、まずはここからというところだろう。

〈店舗業務〉


省人化を促す設備投資の導入についてたずねた「自動発注システム」「ITツール」「セミセルフレジ・セルフレジ」の中でもっとも回答が多かったのは、「自動発注システムの導入」だった。労働時間の削減の面はもちろん、接客の面などお客への影響がなく、在庫の適正化にも役立つということから、導入意向が高いのもうなずける。

逆に「人の採用」とした企業も8社と一定数にのぼった。いずれの手段も検討、実施した結果だろうか、1社のみだが「営業時間の短縮」まで踏み切るとする企業があったことは特筆したい。

〈本部業務〉


店舗同様の項目が上位にあがるほか、本部ならではの項目である「会議回数の削減」に取り組む企業も5社あった。

Q5 「多様な正社員制度」に取り組んでいる/取り組む予定と答えた方は、自社内の呼び方を教えてください。

  • 時間限定:短時間○○社員(○○は企業名)
  • 職務限定:ユニットコース社員、社員、限定社員
  • 勤務地限定:地域一般職、地域限定社員、転居異動なし社員、コンシェル社員、限定○○社員、エリア従業員、ゼネラルコース、L区分社員、エリア限定社員、エキスパート社員(○○は企業名)
  • その他:「勤務時間、勤務エリア、業務内容、職責に制限がある社員をまとめて限定社員と呼ぶ」「勤務地+時間限定で限定正社員と呼んでいる(フレキシブル正社員制度によるもの)」

(複数回答) n=9

「勤務地限定」正社員制度を約半数が導入、職務限定の社員の導入企業も

多様な正社員に関する具体的な内容(時間限定、職務限定、勤務地限定)については「勤務地限定」正社員制度を導入している企業が9社と最多だった(時間限定は1社、職務限定は2社)。「勤務地限定」はとくに子供がいる主婦にとって譲れない条件というケースは多い。そのための対応策をいち早く取っているという企業が多いことがうかがえる。

パートタイマーが正社員になるために、時間や勤務地を限定した正社員制度を設計することは、人手不足対策にもつながる大事な手段となるだろう。