ビー・アンド・ディー「既存の強みと標準化で、次のステージ目指す」

愛知県春日井市に本社を置く株式会社ビー・アンド・ディーは県内に68店舗を出店。売上高294億6,000万円(2020年5月期)のローカルドラッグストアだ。売場づくりの完成度には定評があり、店舗運営レベルも高い。2018年からツルハグループの一員となり、DgS激戦区愛知県での勝ち残りを図る。2019年6月、代表取締役社長に就任した上條明子氏に聞いた。(聞き手:本誌編集長 野間口 司郎/月刊マーチャンダイジング2021年4月号より抜粋の上転載)

出店エリアに合わせ地域密着を徹底追求

──愛知県は全国でも有数のDgS激戦区です。こうした環境にあってどのような店づくりを目指されているでしょうか。

上條 よくいわれる言葉ですが、地域密着型の営業を徹底する、それに尽きるとおもいます。地域密着とひと言でいってもそれを実現させるのは大変に難しいことです。当社の出店エリアである愛知県は高齢化が進んでいる地域、比較的若い方の多い地域などエリア特性はさまざまです。店舗も150坪、300坪など立地により売場面積が異なります。地域密着とは地域や店の状況に合ったコミュニケーションスタイルでお客さまとの距離をいかに縮められるかだとおもっています。

当社にはほかのDgSから転職してきた社員が多数おりますが、多くの転職者たちはB&Dドラッグストア(以下B&D)の従業員とお客さまの関係を見て驚きます。たとえば、店長の出勤スケジュールを把握しているお客さま、旅行に行ったらお土産を買って届けてくださるお客さまなどがいらっしゃいます。商品とは関係のない何気ない会話の時間を持つ、店長の異動も抑えてなるべく長い期間ひとつの店で働いてもらう。お客さまのご要望は可能な限り取り入れることなどが、このような緊密な関係づくりには重要だとおもいます。

私たちはお客さまから品揃えしてほしいというご要望があった商品は、そのときだけの取り寄せで終わるのではなく、定番化しようという考えをずっと持ってきました。たとえ、それがDgSらしい商品でない場合もです。一人のお客さまの声が地域を代表しているケースは少なくありません。

また、パート従業員の方は女性が多いので、家事や子育てを最大限応援することで長く働ける環境をつくることにも注力しています。子供さんの急な発熱や学校行事などでお休みを取らなければいけなくなったときは絶対にイヤな顔をせず、快く了承するようにと前社長のときから店舗には厳命してきました。こうした取組みを地道に続けていくことで本当の意味での地域密着型の店をつくっています。

食品の売上構成比約40% 早い時期から小商圏対応の店舗に

──部門別のざっくりとした売上構成比、標準店の売場面積など教えていただけますか。

上條 申し上げたように、店ごと、地域ごとで売場面積、売り方も違うので一概にはいえないのですが、平均すると食品が40%近く、化粧品、医薬品、日用雑貨は各20%といったところです。DgSの小商圏化を感じて食品に力を入れ始めたのも早かったですし、雑貨に特色を持たせることにも昔から注力しています。B&Dは創業者の意向や競合との差別化を図る意味でも「バラエティストア」のようなDgSを志向していましたし、現在もその路線は継続しており、食品、雑貨の品揃えを工夫することで、バラエティストア色を発揮しやすくなります。

当社の店舗はドン・キホーテのような感じがするとたまにいわれることがあります。面白い商品があるという意味では褒め言葉ですが、老若男女にさまざまな商品が選びやすいという意味ではまだまだ改善すべき点が多いとおもっています。そして、今後のB&Dにとってもっとも重視している視点は「優しさ」なんです。ちょっとした気づかいが売場に反映されてこそリアル店舗の意味はあるのだと考えています。

売場面積は昨年の全店平均で197坪。よい物件があれば300坪の店も出しますし、まだ挑戦していませんが400坪、500坪といった大型店にも挑戦していきたいです。地域に合った個性のある店をつくれる自信はあります。ただ、150坪型には150坪型のよさがあると個人的には考えています。

──調剤薬局に関してはいかがでしょう。

上條 現在、DgS併設、単独店合わせて調剤薬局を21店舗運営しています。これまで立地のいい場所にクリニックを誘致して医療モールをつくることを得意にしていました。ツルハグループに入ってノウハウを共有できることもあり、今後はDgS併設型をどんどん進めていきます。売上も大変順調です。

カウンセリング販売の基本は商品を好きになり理解すること

──今後の成長戦略でもっとも重視することは何でしょうか。

上條 接客、カウンセリングの強化を進めています。HBCは当然ですが…

続きは月刊マーチャンダイジング2021年4月号で!

食品構成比50% 顧客満足重視の繁盛店「B&D 長久手東浦店レポート」

2020年12月号に掲載した「顧客満足度調査2020」の店舗部門にて、500店舗中5位にランクインした「B&D 長久手東浦店」をリポートする。B&Dは、平均197坪の店舗に常時売場スタッフを多数配置し、お客が質問できる態勢を整えている。顧客満足向上に徹底的にこだわることで、地域シェアを高める経営方針である。

同店は、食品・雑貨の品揃えを工夫することでバラエティ色を演出している。他店と差別化できる品揃えにするため、ツルハグループ専売品を強化して「目的来店性」をつくっている。手の込んだPOPは読み応えがあり、担当者の創意工夫にあふれた楽しい売場である。

加藤 淳一店長

入り口外にB&Dの売れ筋である「紙製品」「スリッパ」を陳列。地域客のニーズに応える
大迫力のお菓子のプロモーション
ドラゴンボールの「フリーザ」が「フリーザーバッグ」を推奨
買上点数の多いカップ麺プロモ

[DATA]
店舗名/B&D 長久手東浦店
所在地/愛知県長久手市東浦1009
店舗面積/250坪
平均月販/約4,000万円
食品(酒込み)/構成比 約50%

続きは月刊マーチャンダイジング2021年4月号で!

NFI定例セミナー「狭小商圏時代の『新業態開発』最前線」(2021/05/19 13:00~16:00)開催ご案内(リアル/リモート)

2021年5月のニューフォーマット研究会定例セミナーは、「新業態開発最前線」をテーマに「リアル」と「リモート」の同時開催。より狭小商圏で成立させるため、新カテゴリーのラインロビングに挑戦する事例が増えています。300坪型が主流だったドラッグストアが600坪に挑戦する事例も増加。最前線の事例を解説します。また、店舗のICT活用研究所の郡司昇氏を特別講師にお招きし、「リアル小売業のDX最前線」について解説してもらいます。

開催概要

・開催日:2021年5月19日(水) 13:00~16:00
開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・実施方法:リアルとzoomによるリモートセミナー
(アクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
※会場の関係で、密になりそうな人数に達した場合、リアルセミナーの定員を締め切らせていただく場合もあります。
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2021年5月10日(月)

スケジュール

(1)新業態のラインロビング&売場づくり
[13時00分~14時頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

・狭小商圏時代のマーチャンダイジング戦略
・新業態のラインロビング戦略
・新業態の売場レイアウト分析  他

(2)リアル店舗の「価値づくり」戦略
[14時10分頃~14時50分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

・リアル店舗の価値とは何か?
・接客強化と販促のパーソナル化
・調剤併設型ローカルドラッグストア好調の理由  他

(3)特別講座・リアル小売業のDX最前線
[15時頃~16時頃]

店舗のICT活用研究所 郡司 昇氏

・リアル小売業のDX成功のポイント
・Withコロナ時代のデジタルシフトの事例研究
・新しい買物体験と1to1マーケティング  他

※最近、埼玉県の北本市にコスモス薬品の500坪が開店して話題になっています。ウエルシア、セイムス、スギ薬局、クスリのアオキとも競合しています。リアルセミナーにご参加の方は店舗見学をして帰られることをお薦めします。

会場案内図

【会場詳細】
〒103-0024
東京都中央区日本橋小舟町4-1 伊場仙ビル7階
URL:https://www.ibasen.co.jp/pages/access2

●東京メトロ銀座線でお越しの方
三越前駅A4出口より徒歩5分
●東京メトロ半蔵門線でお越しの方
三越前駅A4出口より徒歩5分
●JR総武本線でお越しの方
新日本橋駅5番出口より徒歩5分

~その他のアクセス~
●東京メトロ日比谷線でお越しの方
小伝馬町駅3番出口/人形町駅5番出口より徒歩7分
●都営地下鉄浅草線でお越しの方
人形町駅5番出口より徒歩7分

注意事項

・今回のセミナーは、「リアル」とZoomを利用した「リモート」の同時開催セミナーです。
Zoomの具体的な接続手順、URLなどは、受講者様にお送りいたします。あらかじめ https://zoom.us/ にアクセスできるパソコンをご用意ください。スマートフォンでも受講できますが、パワーポイントのスライドを画面に共有して進めますので、なるべくパソコンでの受講をおすすめしております。

・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。

・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)。また、受講者様側の都合で当日受講できなかった場合も返金は致しかねますのでご了承ください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

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「値入率」と「粗利益率」ってどう違うの?

値入率と粗利益率の違いを知らない人は意外と多いようです。今回は、その違いを解説します。

値入率とはロス前の売買差益率

値入率は、以下の公式で計算します。

値入率=値入高(売価-仕入れ原価)÷売価(販売価格)×100

たとえば、仕入れ原価が50円で売価(販売価格)が100円の商品の値入率は50%になります。小売業の組織では、商品部の商品の採用基準のひとつが値入率の高さです。値入率50%は儲かる商品と考えて仕入れて、全店に配荷(はいか)することも多いようです。

また、小売業の商品部がPB(プライベートブランド)を開発する目的のひとつも値入率の高さです。「相乗積」(下記図)の考え方では、値入率の高いPBの売上構成比が高まれば、企業全体の粗利益率の改善に結びつくと考えているからです。しかし、値入率の高いPBを全店配荷しても、必ずしも粗利益率が高くなるとは限りません。

なぜなら値入率は、ロス(不明ロス、値下げロス、廃棄ロス)がまったくないことを前提とした「売買差益率」だからです。

値入率が50%(儲けが半分)のPBを全店配荷しても、店頭で売れなくて不良在庫化した結果、PBを値下げし、廃棄すれば、粗利益率は大きく低下します。小売業のPBが失敗するのは、商品開発担当者の「高値入率主義」が原因であることが大半です。PB開発担当者は値入率の高いPBの販売状況、在庫状況にも責任を負う必要があります。

粗利益率とはロス後の売買差益率

一方、粗(荒)利益率は、以下の公式で求められます。

粗利益率=粗利益高(売上高-売上原価)÷売上高

粗利益率を確定させるために必要な「売上原価」は、以下の公式で求められます。

売上原価=期首原価棚卸高+期中原価仕入れ高-期末原価棚卸高

つまり、粗利益率(高)は、期中と期末で正確な棚卸作業を行って在庫確定した「ロス後の数値」ということになります。つまり、正確な在庫、正確な粗利益率、さらには正確な営業利益率を確定するために、もっとも重要な作業は棚卸作業なのです。棚卸のいい加減な企業は、すべての数値がいい加減になります。正しい数値管理の出発点が、正しい棚卸作業です。

読者の皆さんが「棚卸作業」の重要性を部下に説明するときには、上記の公式を使って解説してあげると分かりやすいと思います。

ロス後に在庫確定した後のPBの粗利益率が50%であれば、「相乗積」(粗利ミックス)の計算式によれば、企業全体の粗利益率の改善に大きく貢献します。粗利益率50%のPB(プライベートブランド)の売上構成比を高めれば、企業全体の粗利益率がどのくらい改善するかのシミュレーションを以下に図解します。

 

利益の設計図「相乗積」で読み解く小売業の経営方針

「定番」と「非定番」の違い 知っていますか?

Withコロナ時代は、短期特価特売による「プロモーション」(非定番)よりも、「定番」売場の選びやすさが重要になります。今回は意外と知らない「定番」と「非定番」の定義について解説します。

Withコロナ時代は短時間の買物が求められる

Withコロナ時代は、消費者の購買行動が大きく変化していきます。

第1の変化は、狭い床面積の店舗に商品と人を詰め込み、効率を追求するという「日本型繁盛店」の売り方が敬遠されるようになり、EDLP(エブリデイロープライス。毎日低価格)への転換が本格的に進むことです。「短期特価販売」による集客は、開店前に行列をつくり、特定の日に来店客が集中するために、Withコロナ時代の消費者は敬遠するようになります。プロモーション(非定番)よりも「定番売場」で商品を購入する客が増えていきます。

第2の変化は、買物客の「店での滞在時間」が短くなることです。凸版印刷によるコロナ前とコロナ後のスーパーマーケットの滞在時間の調査結果によれば、買物客の滞在時間はコロナ前と比較して明らかに短くなっています。スーパーマーケットに「30分以上滞在する買物客」は、コロナ前は来店客の33.8%を占めていましたが、コロナ後の2020年12月では23.6%と大きく減少しています。一方で、「10分以内の滞在客」は、コロナ前の5.2%から、コロナ後には8.8%と増加しています。

店に長居したくない買物客にとって、「商品の発見のしやすさ」が重視されるようになり、定番売場の1商品あたりの陳列量が増えていきます。また、一度来店したのだから「まとめ買いしたい」というニーズも高まります。

つまり、Withコロナ時代の消費者は、「ショートタイムショッピング」と「ワンストップショッピング」の両方を求めるわけです。従って、コロナ前よりも「定番売場」の重要性が高まります。

「定番」は維持する売場 「非定番」は変化する売場

それでは「定番売場」の定義とは何でしょうか?図にまとめてみました。


(再掲:定番と非定番の違い)

定番売場とは13週以上の期間、商品構成グラフ(棚割の状態)を維持する売場のことです。小売業のマーチャンダイジング(MD)のサイクルは13週が基本単位です。有名な「ウォルマート」とメーカーの協働取り組みであるJBP(ジョイントビジネスプラン)のサイクルも13週です。13週で協働することを決めて、13週後に数値検証し、次の13週の仮説・実践プランを決定します。つまり、13週単位でPDCAサイクルを回すことが、JBPの基本なのです。

JBP

「定番商品」とは、13週間以上の期間、売り続ける商品のことです。商品部の最大の職務は、定番売場の売れ筋商品を品切れすることなく継続集荷することです。

一方、「非定番売場」(プロモーショナル、シーズナル)は、13週間以内に変化する売場のことであり、非定番商品とは、13週間以内に売り切る商品のことです。短期特価特売品や季節品、ホット商品などの期間限定の商品です。「エンド」や「平台」などが非定番商品を陳列する売場になります。

「定番」と「非定番」の売上構成比は8対2もしくは、7対3と、定番の売上の方が高いことが一般的です。しかし、非定番売場は、新しい発見、安さの刺激、季節の刺激などを来店客に与える重要な売場です。13週間変化しない定番だけの売場では面白くないですからね。とはいえ、短期特価特売を乱発していた時代は、非定番売場の売場づくり作業に忙殺され、定番売場を放置していたことも多かったようです。しかし、Withコロナの時代で、EDLP型の売り方が主流になると、定番売場の維持・管理の重要性が大きく高まっていきます。

商品構成グラフのカタチを維持することが重要

定番売場の棚割の状態を表したものが「商品構成グラフ」です(下の図)。商品構成グラフは、(1)プライスポイント(陳列量の最も多い売価・商品)、(2)プライスレンジ(価格帯)、(3)プライスライン(売価の種類)を決定することが出発点です。商品構成グラフは、「カテゴリー(顧客の購買行動の単位)」で作成することが基本になります。あまりグルーピングを大きくしないことがコツです。たとえば、「歯磨き」で作成するよりも、「美白歯磨き」といった小さな単位で作成した方が良いと思います。

商品構成グラフでもっと重要なことは、プライスポイントの山を13週間以上の期間にわたり維持することです。プライスポイントの商品は売れ筋なので、売れ筋の陳列量が多い状態を維持すれば、売れ筋商品が発見しやすく、Withコロナ時代のショートタイムショッピングのニーズを満たすことができます。また、プライスポイントの山を維持すれば、売れ筋が欠品する可能性が少なくなります。さらに、売れ筋の陳列量が多いので、補充作業が軽減化され、ローコストオペレーションにも貢献します。

商品構成グラフ(棚割の状態)の維持・管理という言葉をあえて使っているのは、商品構成グラフは時間の経過とともに悪く変化するからです。たとえば、売れ筋の継続集荷ができなくなり、プライスポイントの山が低くなる。新商品が後から棚に追加されて、売れ筋のフェース数が減る。在庫削減の指示を受けた店舗が「発注抑制」し、売れ筋の在庫が減る、などが原因で、商品構成グラフは悪く変化します。

商品構成グラフが悪く変化した状態を、私は「射的陳列」(下の図)と呼んでいます。定番の商品構成(棚割)は、つくることも重要ですが、カタチを13週間維持することの方が重要です。射的陳列になると、とくに売れ筋の商品が発見しにくくなり、欠品が続出し、店内作業量も増えてしまいます。売上の8割を占める定番売場の維持・管理こそが、Withコロナ時代の最大の売上・利益対策なのです。

※商品構成グラフについてはこちらの記事にも詳しく記載されているのでご一読ください。

基礎からわかる!「商品構成グラフ」のつくり方・読み方・使い方

※好評発売中の『ドラッグストア拡大史』が発売1か月で増刷されました。まだ読んでない方はぜひご購入ください。

全国書店・Amazonで発売中

AutoStore、冷蔵温度帯に対応するマイクロ・フルフィルメントセンター用ソリューションを展開

ロボットを使った高密度収納・ピッキングシステムを展開するAutoStoreは、2021年3月17日、マイクロフルフィルメント向けロボティクスソリューションの開発支援のためのテストセンター「Innovation Hub」開設に関するオンライン会見を行なった。様々な温度帯に対応することで、多様化するニーズに応える。(ライター:森山和道)

AutoStoreの現状 国内サイトは40以上

オートストア・システム株式会社社長 鴨弘司氏

<a href=”https://autostoresystem.com/ja/” rel=”noopener” target=”_blank”>AutoStore</a>はノルウェー発の企業で1996年創業。専用コンテナを高密度に収納してロボットが出し入れするキューブストレージを活用したロボット倉庫型ピッキングシステムを提供している。オートストアでは空間を最大限有効活用できる収納・保管・搬送システムだとしている。会見ではまず日本法人であるオートストア・システム株式会社社長の鴨弘司氏が概要を紹介した。

AutoStoreは5つのモジュールで構成されている。

1)アルミニウムで格子状に組まれたグリッド
2)『ビン』と呼ばれるコンテナ。3種類から選択できる
3)システムの各種コントローラー
4)グリッド最上部のトラックを動き回り、ビンの上げ下げを行うロボット
5)入庫・出庫を行うステーションであるポート

AutoStoreの5つのモジュール

スループットに応じていくつかの種類があるが、必ずこの5つの標準モジュールで構成されている。

最大の特徴はスペースの効率化。通路がなく天井近くまで空間を有効活用できる。これは土地コストが高い都市部における倉庫では大きな強みとなる。鴨氏は、よく聞かれる質問として「コンテナビンを掘り起こす必要があるのではないか」という質問を受けると紹介した。これに対してAutoStoreは取ったビンを上に返すので使用頻度が高いビンが上段のほうに集まり、頻度が高くないビンは運用しているうちに下のほうに自然に集まるようにソートされる仕組みとなっている。ロボットの電気使用量が競合他社に対して低いことも売りの一つだ。

AutoStoreはもともと自社の倉庫の改善、空間を有効活用するために開発された。2005年に外販を開始し、2010年には3カ国10サイトにインストール。2012年ごろから急成長しはじめ、2020年には500システムを世界30カ国に販売している。2021年3月現在では、590を超えたシステムを販売しており、ロボットの数は22,436以上。コンテナビンの数は2,000万以上。導入業種業態は20以上。販売数が上がるに従い、知名度・信頼性ともに伸びているという。

スケールを見ると、小さいサイトではロボット3台から稼働している。平均稼働数は36で、大きいものでは300台近くが稼働している。日本では2万ビン、ロボット30台程度が平均的なシステムとなっている。

国別に見ると、一番販売数が多いのがドイツ、次がアメリカ。続いてノルウェー、日本となっている。日本ではオカムラトーヨーカネツが代理店として販売導入を行なっている。なおオートストアでは直接販売はせず、各国に代理店をおいてビジネスを行なっている。

AutoStoreの各国代理店

AutoStoreではコンテナビンに入るものであれば扱えるので、業態は選んでいない。そのため業態業種は多種多様となっているが、業種のトレンドを見ると、3PLが増え、特に直近ではアメリカでグロサリーやフードを扱うニーズが増大している。これは新型コロナウイルス禍によって加速したという。

AutoStoreの導入先業種。グロサリーやフードを扱うニーズが増大中

日本法人立ち上げは2019年。国内累計販売実績は40件以上。ニトリ、パナソニック、コープさっぽろ、トラスコ、佐川などで活用されている。国内需要は「ECトレンドを含めて強く感じており、平置き棚の既存倉庫から自動化へのシフトが加速している」とのこと。鴨氏は「新型コロナウイルス禍で人材不足や省人化ニーズが高まり、加えて感染対策が必要となっている。人を介さないオペレーションを築くために自動化は待った無しの状況にある」と語った。なお鴨氏は「国内ではグローバルの1割を取りたいと考えており、グローバルが600システムなら60台を目指すということになる」と述べた。

自動化に対しては、2020年前半は新型コロナ禍のため出足が悪かったが、後半から2021年にかけてすごい勢いで伸び始めたとのこと。日本では海外に比べて遅いが、業種に関しては、そんなにグローバルと変わりはなく「ここ数年は3PLが伸びたが、今後はリテール、特に食品小売業の伸びが高いのではないかと考えている」とのことだった。

多様な温度帯をテスト可能なAutoStore「Innovation Hub」

AutoStore 最高製品責任者 カルロス・フェルナンデス氏

続けて、AutoStore 最高製品責任者(Chief Product Officer)のCarlos Fernandez(カルロス・フェルナンデス)氏がノルウェーのKarmoy(カルモイ)に設立された「Innovation Hub」について紹介。さらにマイクロフルフィルメントによってこれからのショッピングがどう変わるか、ローカルな店舗がどう変化していくかなどを解説した。

フェルナンデス氏は「オートストアの中核は技術革新。これからもイノベーションとディスプラプションを起こしていきたい」と述べて、レッドとブラックの二つの世代のロボットと、2020年に新しく発表されたソフトウェアアーキテクチャー「Router」を紹介した。

ロボットがどう動くかのアルゴリズムを改良することで、よりダイナミックにロボットが動けるように、そしてより少ないスペースのなかでたくさんのロボットが扱えるようになり、ロボットの生産性と効率では最大40%、ロボットシステム全体のスループットを最大4倍向上させるという。

従来のアルゴリズムではロボット台数を増やしても途中でパフォーマンスが上がらなくなってしまっていたが、「Router」ではパフォーマンスが向上し続ける。ポートでのピッカーの待ち時間も短縮され、全体の生産性が上がるという。また、ロボット一台あたりの効率が高まるので、必要台数も少なくなり、初期投資や保守費用も下げられるという。なお「Router」の使用はオプションとされている。

「Innovation Hub」は本社の横にあり、中ではAutoStoreの完全なシステムがインストールされている。市場に出す前に新しいアイデアをテストして検証確認できる場所であり、外見は他と全く変わらないが「未来の食品小売業がどうなるかを示している」とフェルナンデス氏は紹介した。

「Innovation Hub」内部

「Innovation Hub」には多様な温度帯でテストできる設備が整っている。-30度から45度まで世界中の様々な温度環境、すなわち冷凍や中東地域における流通センターなど様々なテストができ、さらに多くのアプリケーションに対応できるようになるという。

「Innovation Hub」では多様な温度帯のテストができる

内部には空調システムが設計されており、ゾーンごとに様々な異なる環境条件を作り出すことができる。たとえばスーパーマーケットで買い物するときのことを想像すると、常温環境のものもあれば、牛乳や野菜が置かれている冷蔵、あるいは冷凍エリアもある。それらの様々な条件下の食料品をAutoStoreのシステムのなかに全て入れてしまうことができるのだと述べた。

ゾーンごとに異なる環境条件を作り出せる空調システム

マイクロフルフィルメントのグローバルトレンド

オンライン食品小売業が成長し始めている

マイクロフルフィルメントのグローバルトレンドを見ると、消費者は、実店舗で買ってもオンラインで買っても同じ体験ができることを期待している。だが食品小売業分野は他に比べるとECの成長が遅い。他の商品よりも「直接、目で見て確かめた上で選びたい」という要望が強いからだ。しかし、新型コロナによって安全なかたちで商品にアクセスできることが非常に重要になった。そのため、食品についてもオンライン購入が急成長しているという。

食品小売業はニーズに応えるために従業員やパートタイマーに店頭で商品をピックさせるようになった。しかしこれではやがて、個別の需要に対応しきれなくなる。フェルナンデス氏は「現在は、消費者がマニュアル作業で商品を店舗内から集めているわけだが、未来はより経済的なかたちで消費者がマニュアル作業でやっていたことを置き換える必要がある」と指摘した。

オムニチャネルの店舗も出現し始めたが課題に直面

さらにオムニチャネルの店舗も人気だ。つまりオンラインで買って実際の商品を店舗でピックアップするというスタイルだ(※編集部注:近年ではBOPISとも呼ばれている形態)。だが、多くの店舗は、元来そういった用途を想定して設計されておらず、店舗内で注文の充足を行おうとすると高くついてしまう。店舗内のショッピング体験改善にも繋がらない。店舗において在庫を正確に把握することは難しく、欠品など多くの課題が現在の小売店にはある。つまり、オンラインの顧客は高いサービスレベルを要求するが、現在の店舗はそれを満たすことができていない。

マイクロフルフィルメントセンターには柔軟性、拡張性、信頼性が重要

そういった課題を解決するためにマイクロフルフィルメントセンターは受注において柔軟性、拡張性、信頼性が重要になる。フェルナンデス氏は「そのための最善のテクノロジーはAutoStoreだ」とし、AutoStoreは単一ポイントでの障害がネックにならず、オンサイトに人がいる必要がなく、既に設置されている580サイトでは99.6%の稼働時間を実現していると紹介した。AutoStoreによってシームレスなかたちで注文の取りまとめができ、よりよい顧客体験を実現できるという。

店舗にAutoStoreが併設される未来の店

マイクロフルフィルメントセンターが併設された未来の小売店

未来のローカルストアはどう変わるか。フェルナンデス氏は「世界は過去と同じではない。パンデミックによって買い物の仕方そのものが大きく変わろうとしている」と述べて、AutoStoreが活用される未来のアパレルショップや食品小売業などの将来像を示した。

AutoStoreを店舗に併設することで、プレミアムロケーションに出店しても設置面積は狭く、最大限の体験をもたらすことができ、最大限の在庫を持つことが可能になり、ショッピング体験を向上させられるという。またスーパーマーケットでもオンライン注文と組み合わせることで、豊富な商品の実店舗での受け取りと、既存の店舗での買いまわりを両立させられると述べた。消費者からすれば「自分にとって大切な商品は時間をかけて選ぶ。そうでないものは自動的に集められてピックアップするだけでいいということになる」。リテール業者にとっても多様なニーズに応えるための品揃えが限られた店舗容積で可能になり、最大限効率よく設置面積を活かせるようになる。

冷蔵アプリケーションは国内でも展開へ、冷凍は2022年以降に

冷蔵温度管理されたAutoStore

食品小売業にとって温度管理は非常に重要だ。数十万ドル規模の投資を行った「Innovation Hub」で開発したソリューションでは、AutoStore内にワイヤレスセンサーネットワークを作り、温度湿度を常に測定。パートナー企業や顧客にとって信頼性高いソリューションになったという。AutoStoreを使うことでより高いアイテム密度が実現でき、企業は1オーダーあたりコストを下げることができる。ダークストアも実現できるようになる。

フェルナンデス氏は常温環境、冷蔵商品、それぞれにおいてAutoStoreが稼働し、冷凍食品を扱う冷凍庫ではマニュアルで作業するといった具体例を示した。オーダーはバッチ処理を行い、オペレーターを在庫をリアルタイムに把握しながら、代用品や例外対応を行う。様々なデリバリー形態にも対応可能だという。

AutoStoreとマニュアルピックを組み合わせたマイクロフルフィルメントセンターの作業の流れ

冷蔵アプリケーションは既に国内でも提供可能。冷凍にはまだ対応できてないが製品開発中で、2022年には市場に出せる予定。なおアメリカではテキサス州とメキシコで約400店舗を展開するスーパーマーケットの「H-E-B」に既に冷蔵アプリケーションが採用されて好評だとのことだった。

冷蔵アプリケーションは米国スーパー「H-E-B」には既に導入済み

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EC、棚チェック、清掃…小売業におけるロボット活用状況[2021年版]

リテールテインメント志向する「ウエルシア」の手書きPOP研究

「ものを言わない販売員」と言われるPOP。お客の目を止め足を止め、商品の価値をアプローチし、プラス1品を誘発する役割などがある。さらに手書きPOPを書くことによって担当者が商品知識を覚え、全スタッフに商品知識を伝える役割もある。ウエルシアは以前から手書きPOPを重視し、選びやすく買いやすい売場づくりにこだわってきた。熟練のPOPづくりの秘訣を、300坪型繁盛店「ウエルシア立川柏町店」従業員の皆さんに伺う。(月刊マーチャンダイジング2021年3月号より編集の上転載)

おすすめ商品に手書きPOPを付ける共通認識

――ウエルシアも2,000店を超え、店舗ごとの標準化が難しくなっていると思いますが、店舗格差を少なくするには?

POPのレベルに個人差はあります。しかしウエルシア全体でおすすめの商品にはPOPを付けるという共通認識は持っています。店舗ごとに質も量も満足とはいかないまでも極力手書きを付けようという意識は皆持っています。(中村淳樹エリアマネジャー)

入口すぐの場所には、処方せんの受付ボードが高いPOPで隠れないように、POPの高さを低くするようにルール化されている
他店の上手なPOPをエリアで共有している

高付加価値・高品質商品に優先的に

Q POPの効果はありますか?

メーカーのPOPや本部からのPOPも大事ですが、手書きPOPは明らかに効果があります。視覚に入ることで明らかに目を止め足を止める効果が上がります。

目線の高さに説明POP、セット販売を強化

Q すべての商品に手書きPOPはなかなか付けられない中で、手書きPOPをつける売場の優先順位はありますか?

特にいわゆるファーストチョイス=高付加価値・高品質商品には手書きPOPを付けることを意識しています。お客様の足を止めて興味を持ってもらうために、ファーストチョイス商品には手書きPOPを付けて差別化し、それ以外の商品には商品名と値段のPOPを付けます。

ハンドクリームのエンド。ゴールデンゾーンのファーストチョイス(高付加価値・高品質商品)が目立つ
疲れ目、かすみ目の目薬のエンド。上段に高付加価値品、下段に量販品を陳列

Q POPを付けるルールはありますか?

時間と手間と費用対効果を意識して、お客様に価値を訴求したい商品中心にPOPを付けることは意識しています。まずは遠目を意識してカテゴリーの用途機能は高い位置に付け、POPも比較的大きくし、お客様の目と足を引っ張るよう工夫しています。そして売場に立ち止まった時にファーストチョイス商品に目が止まり、商品の用途機能・品質特徴をしっかり伝えられる工夫もしています。(石井智晴店長)

胃腸薬のプロモーション、症状別の展開がわかりやすい
「乙類焼酎」「甲類焼酎」が分かれていて分かりやすい酒売場

POPのコンプライアンスの重要性

Q POPを付ける際の注意点は?

第一にコンプライアンスです。化粧品でいうと…。

豊富な店頭POPの写真盛りだくさん!
続きは月刊マーチャンダイジング 2021年3月号にて!

「Amazon Hub」の設置は新規客と来店頻度を増やす!

2020年12月8日に開店した都市型大型店舗「ココカラファイン東京新宿三丁目店」の2階にAmazon HuB(ロッカー)が設置されていました。同社の話では、「予想上に利用者が多い」ということです。来店目的をつくる新しいサービスとして注目されます。

予想よりも利用者が多いAmazon Hub(ロッカー)

ココカラファイン新宿三丁目店は、東京新宿東口からすぐの立地。隣が「紀伊国屋書店」です。4層の建物で約200坪の売場面積。1階が新しい発見のあるアンテナスペース、2階がヘルスケア、3階がメイクアップ、4階がスキンケア。ワンフロアが約50坪。上り下りのエスカレーターで移動する多層階の店舗です。

2階のエスカレーターの前に、写真のようなスペースがありました。インバウンド客向けの「荷物預かり用のロッカー」「ガチャガチャ」と並んで「Amazon Hub」を設置していました。

Amazonのサイトを見ると、ココカラファインのAmazon Hub設置店舗は約150店まで増えていました(2021年2月25日現在)。Amazonで注文した商品の受取場所をココカラファイン新宿三丁目店に設定すると、仕事帰りなどの好きな時間にロッカーで注文商品を受け取ることができるわけです。

取材した同社の担当者の話によれば、「当初に想定した以上にAmazon Hubの利用者が多いことに驚いています」ということです。Amazon Hubがリアル店舗の客数を増やすサービスとして機能していることがわかります。

Amazon利用者の衝動購買も期待できる

アメリカの大手小売業の「ウォルマート」と「ホームデポ(ホームセンター)」は、過去5年間くらいは新店をつくらず、店舗数をほとんど増やしていません。オムニチャネル化によって「新しい買物体験」を顧客に提供することでリアル店舗の売上高を大きく増やしています。

自社のアプリを使ってもらって「オンラインで注文して店舗受け取り」「オンラインで注文して自宅へ配達」「オンラインで注文した商品を店舗で返品」「店舗のショールーム化」などの新しい買物の選択肢を増やすことで、新店を増やさないでも既存店の売上高を増やして成長しています。

ココカラファイン新宿三丁目店の1階入り口付近では、「通販専用商品」を陳列し、触って確かめられるショールームのスペースになっています。

「オンラインで注文して店舗受取り」、アメリカではBOPIS(Buy Online Pickup In Store)と呼ばれる新しい買物体験によるリアル店舗の売上増の効果が高いようです。配送料の高いアメリカでは、60%以上の顧客は自宅への配達よりもBOPISを選ぶそうです。BOPISを目的にリアル店舗に来店することで客数が増えます。しかも、BOPISを目的に来店した人の70%近くは、他の商品も購入して帰るという調査結果もあり、リアル店舗の「買上点数」を増やす効果もあるわけです。

Amazon Hubも同様に、リアル店舗の来店目的を増やすサービスです。アメリカの小売業でAmazon Hubを設置している店舗は、「受け取り」だけでなくて、「返品ボックス」を設置しています。「購入したけどイメージと違うので返品したい」という要望は、返品大国のアメリカでは多く、Amazonの返品ボックスもリアル店舗の来店目的を増やす重要なサービスになっているわけです。

アメリカの「コールズ」という郊外型デパートの店内にAmazon Hubを設置した店舗では、未設置店舗よりも「新規客」が多いという調査結果が出ました。つまり、コールズを今までまったく利用したことがない人が、Amazon Hubで商品を受け取ったついでにコールズで商品を購入した結果、新規客が増える結果につながったようです。Amazon Hubは、「来店頻度」を増やすと同時に、「新規客」を増やす効果も期待できるわけです。

ココカラファイン東京新宿三丁目店。店舗の詳細リポートは月刊MD5月号(4月20日発行)に掲載予定です。

店長からSVにステップアップするために必要な5つのスキル

月刊マーチャンダイジング2021年3月号は特集「店長・スーパーバイザーの教科書」を掲載しています。そこで、1980年代の株式会社ツルハに入社し、スーパーバイザー(SV)、部長を経て、2020年8月 関東店舗運営本部長に就任、総勢20名のSVを率いる半澤剛本部長に、「SVに求められるスキル」とは何かを伺いました。(月刊マーチャンダイジング2021年3月号より編集の上転載)

SVは担当地域の店を統括する経営者

半澤 店長がSVになるために必要なスキルは以下です。

①「現場」と「数値」の両方が分かること。
②完全作業を徹底させる3原則(報告・連絡・相談)を徹底していること。
③小売業の基本5原則の理解と実行(整理・整頓・清潔・清掃・躾)ができていること。
④顧客が買いたい売れ筋商品が、探しやすく店頭欠品のない状態で維持できていること。
⑤商売の原点を理解し実行していること。

――御社におけるSVの役割について教えてください。

半澤 私がSVをやっていた2003年当時はマニュアルがなく、毎日失敗しながら覚えていきました。(1)少ない経費で営業利益を上げる、(2)店のデコボコをなくす、(3)本部と店のパイプ役、(4)本部の指示の徹底といったヒト・モノ・カネすべての管理が当時の職務でした。

現在は、店舗数が2,000店舗を超え、分業体制が確立されました。現在のSV最大の役割は、経営者の「意思と意図」を現場に落としこむための「総責任者」という位置づけです。

基本的にSVの担当エリアの店舗数は10~12店舗です。OJTによって、現場での不完全作業を指摘し、その場で自らが手本を示して「作業の標準化」を推進します。店舗格差をなくし「標準化」することがSVの最大の職務です。

2003年当時は、ツルハの新しい商勢圏である山梨県エリアのSVを担当していました。店長兼任ではなく、店は持たずにSVとして活動していました。3年で黒字を目指すため、チラシを4回から1回に減らす経費削減も実行しました。常に売価について考えていたわけです。数値を管理する「経営感覚」は、今のSVにも絶対に必要なスキルです。

SVの適正能力は「リーダーシップ」

──SVの数値管理はどのように定義されていますか。

半澤 売上・粗利・利益の目標をすべて達成することです。達成する気がないなら、やってはいけない職務だと思います。現場仕事が中心の店長と異なり、SVは8割がた「数字」で評価されます(人時売上高は最低1万7,000円、粗利は5,000円が目安)。目標を担当エリアの店長、部下と一緒に「共有」して達成していくわけです。

つまり、10~12店舗の店長を同じ方向に向かせる力がSVには必要です。SVと店長は違います。優秀な店長が、SVになれば優秀とは限りません。

1店舗のスペシャリストよりも、人を引っぱっていける「リーダーシップ」や「マネジメント」の能力がSVには重要なのです。

OJTによる練習の徹底が担当エリアを底上げする

──SVは具体的にはどのようにして10~12店舗のデコボコをなくす「標準化」するのですか?

半澤 よくある話ですが、10店舗あるので手がかからない「いい店」に訪店したがるんですよね。本来は逆で…。

続きは月刊マーチャンダイジング 2021年3月号にて!

株式会社ツルハ 関東店舗運営本部長
半澤 剛氏

ロピア「精肉」の強みは牛肉の「部位の種類の豊富さ」と「ボリューム」

ドラッグストア業界で売上高構成比が増加を続けている食品部門。しかし、いまだ「単に並べて販売している」だけの領域から出ていない企業も多い。業態としての歴史の長い食品スーパーの売場から学ぶべきものは多いはずだ。本企画では、月刊「食品商業」誌の元編集長である筆者が、注目の食品スーパーの新店をストアコンパリゾンし、色気のある売場づくりのヒントを探る。(エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦 美浩/月刊マーチャンダイジング2021年2月号より編集の上転載)

楽しく、感動を目指し突出した人気を誇る

TBSラジオの番組内企画「スーパー総選挙」で2019年、オーケー、ライフ、ヤオコーに次いで第4位に入ったのが今回紹介する株式会社ロピア(高木勇輔社長)である。上位3社のオーケー(123店/2020年3月末)、ライフ(275店/2020年4月末)、ヤオコー(178店/2020年3月末)が100店以上の店舗網を有するのに対し、ロピアの店舗数は56店舗(2020年12月)と半分以下。この店舗数で上位に匹敵するポイントを稼ぐのだから、その人気の高さは突出している(ちなみに得票は3位・ヤオコーが658票に対し、ロピアは591票と拮抗)。

ロピアの創業は1971年、精肉専門店「肉の宝屋」として神奈川県で誕生した。その後、1996年には社名を「ユータカラヤ」に変更し、その後「新鮮大売ユータカラヤ」を出店、さらに新業態の「ロピア」を開店し、2011年には社名を「ロピア」に再変更している。2012年には大型SC、ららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市)にテナント出店し大成功、ここから快進撃が始まる。

店舗網は神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県の関東と、2020年9月から出店開始し現地で大反響を起こした大阪府、兵庫県の3店舗を加え、2020年12月現在で56店舗で、年商は1,595億円(2020年2月期)である。

ロピアの企業名、店舗名は「ロープライスのユートピア」の略。「食生活♥♥(ラブラブ)ロピア」をモットーに、「ユートピア=楽しく感動していつも行きたいところ」を目指すとしている(同社HPより)。

ではその「楽しく感動」は、どのような背景で生まれているのか。ストコンで探ってみよう。

部位のバラエティとボリューム 「2つの驚き」の牛肉が強み

今回視察したのは、西武池袋線の小手指(こてさし)駅から約1km離れた島忠・ホームズ所沢店にテナント出店した店舗である。小手指駅前にはセブン&アイ系のSM、ヨークフーズと西友の大型店があり、競争状況は厳しいエリアだ。

ロピア 所沢島忠ホームズ店は2019年10月に増床オープンしたホームセンター内の1階にテナント出店した。SC全体では1万4,000㎡になり約2倍の売場面積になった

2016年に開店したホームズ所沢店は2019年10月に売場を約2倍に拡大してリニューアルオープン、商業施設の面積は4,242坪だ。この間、島忠へのテナント出店が相次いでいるロピアは、駅から少し離れた国道沿いのこの商業施設への集客力の中核を担っている。

ロピアの人気の秘密は、精肉専門店出身ということからの「肉の強み」にほかならない。売場は野菜・果物、鮮魚、精肉と続き、肉売場は奥の壁面沿いにスペースを確保されている。食品中心のSMで、肉は大変重要な商材である。たとえば、総務省の家計調査の消費支出(全国・2人以上世帯)で見ると、この重要さがよくわかる(図表1)。

生鮮食品の中で1ヵ月の購買頻度(100世帯当り)がもっとも多いのが生鮮野菜の3,839回(1世帯当り38.3回とほぼ毎日)。これは野菜が肉料理、魚料理いずれにも使用される「共通食材」である点から当然だ。次に高いのが生鮮肉で、生鮮肉は購入頻度が月間1,232回で、うち豚肉586回、鶏肉347回、加えて加工肉(ハム・ソーセージ)の459回と肉関連では高い。生鮮魚介(生の丸魚、切り身、貝類)は月の購入が717回で、生鮮肉+加工肉の半分以下の購買頻度でしかない。

金額でいうと生鮮肉は生鮮魚介の約2倍の6,447円で、加工肉を加えると8,000円近い。とくに牛肉は月190回(1世帯当り2回以下)でしかないのに、支出金額は1,771円と額が大きく、「ごちそう」であることがわかる。

このように食品SMにおいて野菜と肉が購買頻度、購入金額のいずれにおいても重要なのである(ちなみにDgSで扱う石けん類・化粧品などボディ関連が3.7回・4,010円、ラップ、柔軟剤など家事用消耗品が8.0回・1,953円となっている)。

とくにロピアの精肉売場の人気の理由は「牛肉の強み」にある。

ロピアは店ごとの品揃えや売価は、それぞれの店の各部門の責任者であるチーフが決める。たとえば所沢店の場合、平日は交雑(こうざつ)種(乳用牛であるホルスタイン種の雌牛と黒毛和牛の雄牛を掛け合わせた比較的安価な国産牛)と輸入牛を中心に販売している。

交雑種は「みなもと牛」という4等級(肉質は上から2番目のランク)を扱うが、精肉専門店出身ということで丸ごと一頭買いで仕入れ、自社加工ができ多彩な部位と、低価格が両立できている(通常のSMは「パーツ」という精肉メーカーが部位ごとに加工しパックして、納品する形態が多いため、人気部位を自由に買うことは容易でない)。焼き肉などでおいしい希少部位の「みすじ」なども100g500円前後で販売している(調査は2020年12月初旬)。

輸入牛はアメリカ産のアンガス種の熟成肉を販売。たとえば「アンガス牛・牛肩ロースステーキ肉」は100g189円と「豚肉以下」価格。大きさは25cm超で厚さは1.5cm程度。1枚361gで682円(税抜き)なので食べ盛りの子供は大喜びだ。ロピアの牛肉は自社加工なので、焼き肉店ぐらいでしか食べられないような珍しい部位も選べるし、値ごろ価格で提供できる。輸入牛なども100g単価が安いので思い切って厚く、大きくカットして販売できる。

米国産のプレミアムアンガス牛・熟成肉は100g189円の安さ。大きさは25㎝超で厚さは約1.5㎝と厚い。たとえばバーベキューなどでこれを焼いたら子供たちは大喜びするだろう

購買頻度は低いが、金額は高くなる「ごちそう」の牛肉を、部位のバラエティと、見た目のボリュームの「2つの驚き」で販売する、これがロピアの牛肉の強みだ。2020年12月8日〜14日のチラシでも生鮮のトップは牛肉。週半ばの火曜日の98円、水曜日の198円から、週末の398円、498円へと部位をランクアップさせてごちそう感を醸成、土日は低価格の牛肉も交えて、こだわりと安さの両面作戦を採用する。

12月初旬のチラシは上段のトップの商品が牛肉。火曜日から98円、198円、298円とランクアップして週末の金曜日は398円、土・日曜日は498円、458円の「ごちそう」部位を販売する

「大容量」「バンドル販売」で安さと驚きのイメージを訴求する売場

ロピアは青果、鮮魚、精肉、総菜などの店舗の各部門を事業部という形態で分離、独立させている。既述したが仕入れ、品揃え、売価も各店・各部門のチーフが決定し、各店舗の各部門が独立した運営を行っている。

各部門には個人商店のように屋号が付けられており、たとえば「肉のロピア」「八百物屋 あづま」「日本橋魚萬」「Meat Deli 肉の十八番」などの看板が店内に掲げられている。

ロピアの売り方の特徴は、同一商品を2個、3個とまとめて売るバンドル販売(束売り)である。自社製造の加工肉に関してもバンドルを多用しており…。

続きは月刊マーチャンダイジング2021年2月号で!

駅前250坪超の進化形「matsukiyo LAB市川駅南口店」レポート

matsukiyo LABは、薬剤師、管理栄養士、ビューティスペシャリストの専門スタッフが美容と健康を総合的にサポートする専門性の高い業態で、2015年9月に千葉県松戸市に1号店をオープン。現在、26店舗を出店しており(2020年12月末)、市川駅南口店は2020年10月30日オープンの最新店である。美容と健康関連商品の充実はもちろんのこと、食品、日用雑貨の品揃えも豊富で、新たな可能性を追求した店舗である。(月刊マーチャンダイジング2021年2月号より抜粋)

自社開発の電子台帳を使って接客履歴を記録

店舗はJR総武線市川駅前に立地している。市川駅から東京駅まではJR総武線快速で20分。商圏内には東京へ通勤・通学する人も多い。

入り口は歩道に面した場所と駅ビルに面した場所の2ヵ所あり、後者からの入店客が約7割を占める。駅直結という立地特性から入り口付近には飲料や菓子、朝食として簡単に食べられる食品などを品揃え、コンビニや駅売店的なニーズに応えている。

駅前立地なのでレジ付近には、ガム、あめ、菓子、飲料などを販売

matsukiyo LAB業態では、「HEALTH CARE Lounge」(処方せん受け付け、ヘルスチェック)」、「SUPPLEMENT Bar」(サプリメント、健康カウンセリング)、「BEAUTYCARE Studio」(化粧品カウンセリング)、この3つの機能を持つことが条件となっている。

市川駅南口店は地上1階、地下1階の2層で、売場面積は地下1階、1階合わせて約260坪。駅前立地が多いmatsukiyo LABでは2018年11月にオープンした妙典駅前店と並んで最大レベルである(妙典駅前店は1層)。この広さを生かしてHBC(ヘルス&ビューティケア)の深い品揃えと同時に、地下では食品、日用品を幅広く揃えている。

壁面には制度化粧品を陳列。 店内は木調のフロア、 明るい照明で商品を演出
マツモトキヨシグループでの専売品、化粧下地「プリマヴィスタ」のトーンアップ(明るい発色)商品

化粧品売場は壁面に制度化粧品を陳列し、中面にはセルフ商品を展開。コロナ禍でニーズが高まる目元メイクはとくに品揃えを強化している。若年層のニーズに応えるために、バラエティストアなどで扱うブランド「excel(エクセル)」、人気韓国コスメ「espoir(エスポア)」や、「マジョリカマジョルカ」「キャンメイク」「セザンヌ」など特徴ある商品、ブランドを取り揃えている。

中面に配置されたセルフ化粧品売場には「エクセル」などバラエティストアなどで扱うブランドを品揃え
espoir、CLIOなど人気韓国コスメを集めた棚
テスターの備品も充実

ビューティコンサルタント(BC)はすべて自社スタッフ。matsukiyo LABでは電子台帳を採用しており、メーカー、ブランド問わず接客、サンプリングの履歴は保存され、次回のカウンセリングに生かされる。また、管理栄養士が使う電子台帳の記録と化粧品の記録は相互に閲覧可能で、管理栄養士が肌悩みに合ったサプリを紹介することもある。

カウンセリングカウンターには肌チェック機を設置、肌の状況を定期的に見ることで必要なケアや商品の案内ができ、継続来店を促進できる。

化粧品のカウンセリングカウンター、背面にはPBの「THE RETINOTIME」を陳列
肌チェック機、肌状態を測定することで、継続的な来店、カウンセリングができる

日配、冷凍食品、酒類は郊外型以上、豊富な品揃え

地下にはヘアケア、ボディケアなどのトイレタリーを含む日用雑貨と食品売場を配置している。階段を下りて最初の壁面は男性化粧品売場。3尺8本の棚があり…。

続きは月刊マーチャンダイジング2021年2月号で!