ペットケア売場の強化はロイヤルカスタマーの獲得に貢献する!

顧客満足度調査によれば、ペットケア売場に満足感を感じた消費者は、店全体の顧客満足を高める相関偏差値が高いことがわかった。ペットケア売場の強化は、店全体の顧客満足向上に直結する最重点カテゴリーである。ペットケア売場強化のロードマップを解説する。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

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ペットケア売場は店全体の総合満足度に直結する

[図表1]ペットケア売場と顧客満足度の相関関係

顧客満足度調査によれば、ペットケア売場に満足感を感じた消費者は、店全体の顧客満足を高める相関偏差値が高いことがわかった(図表1)。

ペットケア売場の強化は、店全体の顧客満足向上に直結する最重点カテゴリーである。ペットケア売場強化のロードマップを解説する。

ペットケアは「購入頻度」「購入金額/人」が高い

[図表2]ペットケア売上の因数分解

図表2の既存店のSOOパネルによれば、犬・猫の合計の「購入頻度」は平均で7.5回である。全品目(182品目)の平均が1.9回なので、ペットケアの購入頻度は高い。

また、犬・猫の合計の「1人当り購入金額」は平均で8,700円である。全品目の平均は1,859円なので、ペットケアの購入金額/人が高いことがわかる。

ペットケアは店全体の「購入頻度=繰り返し来店」「購入金額/人=客単価」を上げる戦略カテゴリーである。

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「来店頻度」「客単価」「リピート率」を向上する

[図表3]ペットケア購入者の店全体への貢献度

ペットケアの購入者は、ペットケアの非購入者と比較して、購入頻度が1.7倍、1人当りの客単価は2倍、リピート率は4.1%増と高まることがわかった(図表3)。

化粧品の購入者、医薬品の購入者と比べても、ペットケアの購入者の店全体に対する貢献度は高い(図表3参考値)。

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ペットケアは店全体の「新規率」を向上する

[図表4]店全体、ペットケアカテゴリーの新規率

店全体の新規率9.7%と比較して、ペットケアカテゴリーの新規率は21.2%である(図表4)。ペットケア売場の強化は、人口減少のなか、店全体の新規客の獲得に直結する。

「併買者」が占める金額構成比が高い

犬・猫ともフード・排泄ケア併買者の購入人数構成比は低いが、金額構成比は高くなっており、併買者が売上金額に及ぼす影響は非常に高くなっている。

たとえば、「猫排泄ケア(用品)」と「猫フード」の購入者のうち、併買者の人数構成比は…

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会員の購買単価が1.8倍になったカインズの「CAINZ DIY Square」

ホームセンターの大手カインズは、DIY(Do It Yourself)をテーマにしたオンラインコミュニティ「CAINZ DIY Square」を2021年にスタートさせた。運営開始からわずか3年あまりで会員数は4万5,000人に到達。コミュニティを通じてDIY関連の商品開発やサービス改善のヒントを得るだけでなく、店舗でのワークショップなどと連動したファン拡大に成功している。今回は、このコミュニティを立ち上げ、運営しているカインズ面白事業部の澁谷慶子氏にお話を伺った。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

DIY文化を広げるための“オンライン拠点”

CAINZ DIY Square

カインズは、「DIY」がもっと生活の一部として根付くよう、「DIYer100万人プロジェクト」を2019年11月から掲げている。そこでは「暮らしをちょっと良くすること」をすべてDIYと捉え、料理やガーデニング、キャンプや梅酒づくりまで含めて幅広く“DIY”と定義。「DIYに挑戦する人=DIYer」として、彼らを増やすことが大きな目標だ。

DIYerとカインズの接点は従来、店頭ワークショップ(WS)やイベントなどオフラインが中心だった。さらにオンラインを活用してお客同士のつながりや情報共有を深めたい─こうした思いから2021年にスタートしたのが「CAINZ DIY Square」である。

単なる「カインズファンの集まり」ではなく、「DIYが好きな人が集う場」というコンセプトを掲げるのが特徴だ。

同コミュニティは2021年7月にまず10人のコアメンバーのみを招待し、3ヵ月ほどクローズドで運営をはじめた。その間にオンライン座談会や試験的な企画を重ね、投稿の盛り上げ方や管理体制のノウハウを蓄積。

その後、9〜10月にかけて店頭WSでの声掛けや会員向けキャンペーンを少しずつ実施し、同年11月に公式リリースという形でオープン。「DIYer100万人プロジェクト」をオンラインで加速するための“拠点”として、本格稼働を始めたのである。

リリース当初は数百人規模だったが、その後キャンペーンや店舗誘導、アプリ配信などを通じて徐々に会員数が増え、2025年2月現在は約4万5,000人に到達した。

オンラインの承認欲求を満たす

「DIYと聞くと木工や本格的な日曜大工をイメージしがちですが、当コミュニティではくらしを楽しむためのあらゆる工夫や手づくりをDIYとして捉えています。したがって料理や園芸、手芸など投稿ジャンルは実に多彩です」と澁谷氏は語る。

CAINZ DIY Squareの投稿イメージ

ユーザーの男女比はおよそ半々。実店舗のWSは女性が多いが、オンラインでは男性ユーザーの熱量も高いという。

その背景について、澁谷氏は「DIY好きなユーザーの声を聞くと、家族から『またつくってるの?』とあきれられてしまうことも少なくないそう。ところがコミュニティに投稿すれば、同好の士から称賛や質問をたくさんもらえる。そこが継続の大きなモチベーションになっているようだ」と説明する。

オンライン上でやりとりしていたユーザー同士が、実店舗のWSやイベントを通じてさらに深くつながるケースもあるという。

コミュニティのユーザーが、WS参加時に名前のバッジをコミュニティネームで書いたところ、「もしかしてあの〇〇さんですか?」と意気投合。終わったあと店舗併設のカフェ「CAFE BRICCO」でお茶をし、それが縁となって「カインズ遠征」を企画して複数店舗を巡る“DIYツアー”を楽しむ…といった行動も生まれているという。

「オンラインだけの関係だと不安に思うかもしれませんが、店舗を介すことで安心感があり、実際に会ってみようと積極的になられているようです」と澁谷氏は語る。

投稿への“いいね!”で心理的安全性を高める

コミュニティの盛り上がりには、立ち上げ当初の地道な運営が大きく貢献している。

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“女性特有の悩み”を網羅するトモズ 白金高輪店のフェムケア売場

首都圏を中心に259店舗(2025年2月現在)を展開するドラッグストア(DgS)、トモズ。同社が白金高輪店で展開しているフェミニンケア(フェムケア)売場は、吸水ショーツや温活アイテムといった定番アイテムにとどまらず、デリケートゾーンケア、妊活関連など、幅広く、そして深いアイテムをラインナップする。その狙いを聞いた。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

月経ケア、デリケートゾーンケア、妊活…女性の悩みに寄り添う売場

トモズ 白金高輪店

地下鉄白金高輪駅から徒歩数分、国道1号線沿いのマンション1階に立地するトモズ 白金高輪店。2024年に改装オープンした同店舗で、ひときわ目を引くのがフェムケア売場だ。

3尺棚3本の売場に「女性特有の悩みを解決する」というコンセプトに合わせたアイテムが品揃えされている。

生理用品の棚から続くフェムケア売場の左側の棚には、ワコールのYOJOY、Bé-A(ベア)の吸水ショーツなどの月経関連アイテムが並び、棚下部にはアロマアイテム、温活グッズなどを配置。

おすすめ新商品としてPBであるAPSのデリケートゾーンケアアイテムとモアディーテを陳列

一番目につく中央の棚上段には、人気が高まるデリケートゾーンケアのアイテムが陳列されている。トモズのプライベートブランド(PB)ブランドである「APS」では新ライン「APSfond of me」のデリケートゾーンケアアイテムを展開。

Woman‘s Health Careコーナーとして、3尺棚3本で展開

 

具体的な売場の品揃えは月刊マーチャンダイジング note版で!

[店舗概要]

店舗名 トモズ 白金高輪店
所在地 東京都港区高輪1-3-1 プレミストタワー白金高輪1階
売場面積 126坪
営業時間 9:00~22:00

知っておくべき薬機法改正~OTC販売制度の変更~

厚生労働省は、2024年「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会」(以下部会)において10回の会議を重ね医療用医薬品、OTC医薬品の製造、流通、販売に関して見直し、2025年に薬機法の改正を行う見通しである。ここでは、ドラッグストア(DgS)に関係する2つの見直しについて解説する。なお、本記事の編集時点では、途中経過のみ公表されているので、内容は最終決定ではない。(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

濫用等のおそれのある医薬品の販売方法の変更

[図表1]全国の精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の「主たる薬物」の推移

近年、若年層が風邪薬や咳止め薬などを規定量を超え大量に服用し、意図的に高揚感を得る、いわゆる「オーバードーズ」が社会的に問題視されている。図表1は厚生労働省が発表している資料だが、10代の薬物依存で治療を受けたことがある人が、主にどのような薬物に依存したかという問いに対して市販薬(OTC医薬品)と回答した人は年々増加している。

これを防ぐために、常習性を引き起こす特定の成分を含むOTC医薬品=「濫用等のおそれのある医薬品」の販売方法を厳格にする対策が厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」にて検討された。

2024年の見直しでは、濫用等のおそれのある医薬品の陳列は購入者の手に届かない場所とする(空箱陳列等)、購入者の住所、氏名等を記録し保管するなどの対策が検討された。検討対象である濫用等のおそれのある医薬品を販売する主要チャネルはDgSである。

また、JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)のアンケート調査によれば、濫用等のおそれのある医薬品を150品目以上揃えている店舗は、回答37社の1万3,401店舗中、約72%に当たる9,600店舗あった。DgS側は、JACDSを中心に、この見直し案は実際に法律化されると、販売店側は大幅な作業増加につながり、本来の説明販売する余力がなくなるとして対案を提示するなどして厚生労働省と協議を重ねた。

その結果、2025年の1月に公表された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ(以下とりまとめ)」では、次のように記載されている(一部抜粋)。

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「管理栄養士おすすめ」ブランドで付加価値アップ目指すツルハグループの食品PB改革

ツルハグループの食品プライベートブランド(PB)では、「管理栄養士おすすめ」など、専門性をイメージさせるネーミングと健康を意識した機能性で付加価値づくりに成功している。このブランドを含む同社の食品PB改革のプロセスをTGMD※に取材した。
※TGMD=株式会社ツルハグループマーチャンダイジング。ツルハグループの物流、商品調達、店頭サポート、PB商品の企画・販促、通信販売(EC)事業を担う企業。
(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

ひと目でPB商品と分かる食品PBがなかった

ツルハグループでは2018年、それまでの日用品とHBC(ヘルス&ビューティケア)商品のプライベートブランド(PB)を、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」に刷新。PB開発の本格的な強化に乗り出した。以降、PB商品のSKU数、売上高を順調に伸ばしている。

[図表1]ツルハグループのPB商品業績(2024年5月期決算)

図表1は、ツルハホールディングス(HD)の2024年5月期のPB商品実績である。PB商品合計の売上高は943億2,400万円、売上高に占める構成比は10.5%となっている。

同社ではメーカー専売品(ツルハグループだけで販売するNB商品)もPB商品に含んでおり、PB商品全体の粗利益率は41.8%で収益への貢献性は高い。くらしリズム、くらしリズムMEDICALの合計の売上高は496億4,900万円、構成比5.5%となる。

日用品とHBCには、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」で対応、順調に開発を進めている一方で、食品PBに関しては核となるブランドを確立できていないという課題感もあった。

「食品PBは店頭で見てもそれがPB商品であるかどうかが分からない、PB商品でもパッケージデザインに統一感がないといった課題がありました。ここを修正しようということで、コンセプトやブランドを整理して全体的な開発マップをつくりました」(TGMD 食品MD本部 本部長 寺西正芳氏)

食品PBの改革に当たっては、通常PB開発本部の下で行われる開発を、寺西氏が本部長を務める食品MD本部の管轄に置き、寺西氏の前職である杏林堂商品本部長時代の経験も生かし、開発メンバー一丸となりフルスクラッチ(ゼロから)に近いかたちで臨んだ。

[図表2]食品PB開発軸のマップ

図表2は、食品PB開発軸のマップである。管理栄養士のおすすめやおくすり屋さんを前面に出した「①健康・美容」、ツルハ発祥の地である北海道にこだわった北海道シリーズを中心とする「②食べたくなる、おいしそう」、価格を訴求する「③買いやすい」、若年世代に面白さを提供する「④エンタメ、ダブルチョップ」以上4つの軸である。

「管理栄養士おすすめ」ブランドのオートミール。ツルハグループ内で売れ行き好調

「新しい食品PBづくりに着手して、1年経ちようやく形になってきました。既存の食品PBもこのどこかに当てはめてつくり直すことに現在力を入れています。今期中に140〜150のSKUを上市する予定です」(寺西氏)

コンセプト、ターゲットを明確にし、4つの開発軸を定めることで急ピッチの開発に成功している。

油の吸収率を抑えるパン粉でカテゴリー拡大

DgSは小商圏化に伴い、繰り返し来店につながる食品部門の重要性が増している。この分野でリピートも高い粗利も取れるPB商品の開発は各社にとって重要な戦略となっている。

先に見たようにツルハグループの専売品を含むPB商品の粗利益率は40%を超える優良分野である。重要戦略を任された開発チームがとくに期待しているのが「管理栄養士おすすめシリーズ」だ。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

左から PB商品開発部PB商品開発グループ 上條 俊之氏
食品MD本部 本部長 寺西正芳氏
食品MD本部 PB商品開発担当 嵩山しげみ氏

統計から「踊り場」脱却は見えないが売上高、客数、店舗数で前年クリアと上向き傾向のコンビニ業界

日本の小売業を牽引してきたコンビニ業態が「踊り場」から脱却できていない。日本のセブン−イレブンを実質創業した鈴木敏文氏は1979年3月、セブン−イレブンがわずか800店舗の時代に、「食品小売業75万軒の1割の7万軒、少なくとも5万軒はCVS(コンビニエンスストア)の可能性ありと考えています」とコンビニ業態の未来を語っている。その数は的中したものの、5万店の半ばで足踏みした状態が長らく続いている。コンビニ業態に成長の余地はあるのか─。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

来店客数は前年を上回るが2019年の水準には達せず

コンビニ大手はフランチャイズ方式を基本としている。加盟店とチェーン本部が車の両輪として、各自の役割を遂行することで、互いの発展を可能としてきた。2010年代中盤まで、特に東日本大震災の後に、それまで訴求が弱かった女性や中高年を上手に取り込みながら、リーマンショック後に停滞していた店舗数を再び拡大基調に乗せた。

一方で、2010年代の後半になると、本部の好業績に反して加盟店の窮状が一部で伝えられるようになる。人手不足や人件費上昇に耐えられず、コンビニの未来に黄色信号が灯った。

こうした状況を受けて、2019年6月に経済産業省は有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」を立ち上げた。チェーン本部は「拡大」よりも、加盟店の「利益」を重視しないと、コンビニの将来が見通せないとする危機感が業界全体で共有された。

そして2020年春から始まったコロナ禍の収束が見えてきた折、燃料価格の上昇と食品原材料価格の高騰がコンビニを襲った。生活者の最も近くで日常生活を支えるコンビニは、加盟店、本部ともに厳しい対応を迫られている。

そうした大きな変化に、コンビニは上手に対応できているのか、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が発表した2024年(1〜12月)におけるコンビニ7社の統計データをもとに、過去の数字と比較しながら考えてみる。

[図表1]コンビニエンスストア統計データ

2024年は売上高(全店、既存店)が過去最高、客単価の既存店ベースも過去最高となった(図表1)。全店売上高は2022年に11兆円を超えて、2024年は11兆7,953億円、2025年は12兆円に届くか届かないかの伸び率を示している。

ただし2024年の売上高については、消費者物価指数(2020年比)が106〜108%で推移、コンビニの商品も値上げ傾向にあるので、業態の成長と単純に見てはいけないだろう。

例えばセブン−イレブンは、カウンターで販売するホットコーヒー(レギュラー)を2022年7月に100円(税込み)から110円へ、2024年3月に110から120円に値上げしている。おにぎりやサンドイッチ、米飯弁当も、内容を変更しながらも単価を上げてきた。コーヒー豆や小麦粉、鶏卵など原材料の値上げを価格に転嫁した結果の売上高になる。

そこで着目すべきは、業態への支持を最も適格に示す「客数」になる。新規客が増えたのか、来店頻度が高くなったのか、いずれにせよコンビニ業態へのお客の支持を見る尺度として重要である。

2024年の来店客数は全店と既存店ともに前年を上回った。2022年、2023年と3年連続で上昇している。一方でパンデミックにより、2020年と2021年に連続して減少、2024年は上昇傾向とはいえ2019年の水準には達していない。2024年を2019年と比較すると全店ベースでマイナス6.2%の水準になる。2019年と比較して店舗数は0.2%増加しているので客数の減少は問題である。

高齢化が進み、人口が減少する日本は、今後ますます商圏が狭小化していく。商圏人口が減少する環境下では、既存のお客に足繁く自店に通ってもらえる店づくりがポイントになる。飽きのこない商品力もフレンドリーな接客も大切で、スマホアプリを顧客接点とする、お得な特典の付与も効果があるだろう。

セブンは“コンビニは高い”の印象を松竹梅の梅にスポットを当て解消

客単価は2019年より毎年上昇している。客単価は「1品単価×買上点数」になり、本来であれば、お客の欲しい“もう一品”の品揃えによる買上点数の増加が業態の成長にとって好ましいのだが、値上げラッシュ時には多くの店舗で1品単価の上昇が客単価に強く影響した。コンビニは加盟店ビジネスであり、大前提として重視すべきは「お客の利益」であるが、もう一つ「加盟店の利益」も重要になる。その点が直営店ビジネスと大きく異なる。

年々上昇する店舗従業員の時給に十分に耐えうるように加盟店の売上と利益を高める必要がある。チェーン本部は主力の弁当や調理パン、惣菜の価格を上げてきた。原材料費の上昇も理由にあるが、加盟店の利益確保を目指した値上げもこれに含まれる。

もちろん高単価であっても、価格以上の品質やおいしさを実現できれば、お客は喜んで手に取ってくれるであろう。その一方で、高単価が先にありきで、他業態の相場と比較してお値打ち感に乏しい商品も散見されている。

例えば、チルドの調理麺について、品質の向上が図られていても、中国料理の外食チェーン店と比較して、明らかに高価格帯のポジションを取れば、消費者に「コンビニは高い」といった印象を与えてしまう。実質賃金の下落が続く昨今の環境下において、価格重視のお客も多くなっている。

実際にセブン−イレブンは、松竹梅の価格戦略の中で、「梅」に相当する商品がお客に訴求できていなかった反省に立ち2024年9月に「うれしい値!宣言」をスタート。オリジナルのフレッシュフードについては、さまざまな業態の価格を確認しながら65アイテム(首都圏規格)を「うれしい値!」に設定、それまで「安心価格」で展開してきた205アイテムを「うれしい値!」に名称を統一、さまざまな販促物を用いて、買いやすい価格を訴求している。

2024年9月18日の会見でセブン−イレブン・ジャパン取締役常務執行役員商品戦略本部長の青山誠一氏は「お求めやすい商品も、しっかりと品揃えしていることを、より多くのお客様にお伝えしたい。数カ月は連続して、うれしい値!宣言を実施しなければいけない」と述べている。

図表1の)コンビニ業態では2024年の客単価は全店ベースで前年マイナスになった。セブン−イレブンの「うれしい値!宣言」と、それが競合チェーンに波及したことも要因として考えられるが、仮に1品単価の下落が影響を与えているとすれば、その分、買上点数が増えて、客単価の上昇が見られるのが理想であろう。とはいえ、従来と同じような品揃えでは、もう一品には手を出しづらい。

セブン−イレブンは「SIPストア(セブン−イレブン松戸常盤平駅前店)」でスーパーマーケット機能を備えた品揃えを展開し、成功事例を既存店へ導入している(2025年1月15日、筆者撮影)

そこで過去10年以上にわたって買上点数アップの方向性を示したのがスーパーマーケットの代替機能である。コンビニは、家庭の食卓に上るチルド惣菜やカット野菜など利便性の高い商品を強化してきた。昼食用の米飯弁当や調理パン、調理麺といった即食品を目的に来店したお客に、今日の夕食に出せる商品の購入を促してきた。新しい利用動機を創出して、買上点数の増加につなげようとしてきたのだ。

買上点数向上のもう一つの突破口は出来たて商品の提供である。セブン−イレブンは「お店で揚げたカレーパン」のインフラを活用した「お店で揚げたドーナツ」の展開をスタートさせている。カウンターで販売するドーナツを2024年9月段階で5,000店舗に導入、店舗平均販売数25個/日、日販効果プラス0.4%、粗利効果プラス0.2%を本部は確認している。2025年2月末までに導入可能な全店に拡大を図っている。

一般に出来たて商品の提供は、店内オペレーションの負荷が大きいことと、商品の完成度にブレが生じる懸念があり、特にコンビニのような加盟店ビジネスにはなじまないとされてきた。

しかし一方で「出来たて」は訴求力が強く、目的来店性に効果が認められるため、各コンビニチェーンは、商品を絞り込んで販売を強化してきた。ファミリーマートのファミチキや、ローソンのからあげクン、ミニストップのハロハロなどを看板商品にしている。各コンビニチェーンは、商品を絞り込み、店舗の負荷軽減を図りながら出来たてを育成してきた。集客の武器となる「出来たて」商品の拡大について、店舗への負荷と、どのように折り合いをつけていくのか、チェーン本部に問われている。

出店数は頭打ちも配送サービスを強化

2024年の店舗数は55,736店舗で、前年をクリアしたものの、2021年の55,950店舗に達していない。2010年代の半ばにセブン−イレブンは年間1,000店舗の純増、他チェーンも数百規模の純増を経験してきた。そうした往時と比較すると、現在は成熟期に入ったといえそうだ。

しかし店舗数に関しては別の見方もある。セブン−イレブンは2025年2月末までに、お届けサービスの「7NOW」を配達が可能な全ての店舗に導入している。

ローソンもミニストップも、ウーバーイーツや出前館といったフードデリバリーサービスと組んでお届けを強化する方向にある。デリバリーサービスによって商圏の拡大や深耕が図れるわけだから、新規出店に固執する必要はないとする考え方である。

将来的には配送ロボットやドローンの活用も普及していくだろう。新規出店によるドミナント構築だけではなく、お届けサービスによる商圏の占有率向上も期待できる。

現状デリバリーサービスの売上は、加盟店売上と利益を格段に高めるものではないが、今後の成長が見込まれる分野だけに、本部および加盟店は、車の両輪として拡大を図っていく必要があるだろう。

コンビニ各社が「ローリングストック」の啓発強化

ローリングストックとは「普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法」(農林水産省ホームページ)を意味する。なぜ今、ローリングストックの啓発なのか、コンビニ各社の取り組みを解説する。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より転載)

自然災害多発地帯に生きる 日本人のライフスタイルを変える

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では1週間を過ぎても物資が届かない地域があることがローリングストックの啓発強化につながった (Photo by Adobe Stock)

本年1月で阪神淡路大震災から30年が経過した。昨年は1月に令和6年能登半島地震、8月には宮崎県の日向灘で地震が発生、翌日の神奈川でも地震が発生したことから、南海トラフ地震の関連を疑う人たちが買いだめに走り、スーパーマーケットの店頭から飲料水や米、パンなどが消えるなど、ちょっとしたパニックを生んだ。昨年から今年にかけて大地震を意識せざるを得ない状況にあるといってよい。

(一社)日本フランチャイズチェーン協会は、コンビニ各社と専門家を委員とする「大規模災害対応共同研究会」を2021年12月に設置、その最終報告書「首都直下地震・南海トラフ地震対応の共同研究成果」を本年1月16日に公表した。

その一環として同協会および加盟するコンビニ7社がローリングストック啓発キャンペーンを約1年間継続して実施するとした。

具体的には、各家庭が最低3日、通常は1週間を目標に食料や日用品の備蓄を促していく。例えばセブン-イレブンではホームページにイラスト入りで次のように訴えている。

コンビニでできるローリングストックの準備として、優先的に必要なのが飲料水と湯を沸かす道具、紙皿等の食器類だ。水は1人あたり1日3リットルを目安として、ラップもあれば皿にかぶせて汚れを防ぐこともでき便利と提案している。

コンビニでそろう備蓄の食料として、米のレトルトパック(5個入り)とスパゲティ(4束入り)を推奨、「これだけで、一人が3日間、9食分の食事をとることができます」と訴えている。これ以外にも「そうめんやひやむぎは茹で時間が少なく、ガスを節約できます」と提案している。

「ご飯の副菜」としてレトルトカレーや鯖缶、パスタの副菜としてレトルトのミートソースやフリーズドライのオニオンスープ、「ホッとひと息するための備え」として、普段から食べている菓子を推奨する。

食べ物以外の備蓄については、コンビニでの扱いとは関係なく、おむつや乳幼児のミルクや離乳食、代替えのきかない常備薬やコンタクトレンズ、また下水管の破損に備えて「家族の人数×5〜7回×3〜7日分」の携帯トイレを訴えている。

セブン-イレブンに限らず各社では、SNS(X)を活用してローリングストックの取り組みを発信している (ハッシュタグ#コンビニでローリングストック)。それに加えてコンビニ店舗においては、ポスター、レジ画面、店内放送などによる啓発について、国や自治体と連携して検討するとしている。

こうしたローリングストックの普及促進について日本フランチャイズチェーン協会専務理事の大日方良光氏は次のように訴える。

「被災者への物資輸送に関して、どれだけ事前の準備を尽くしたとしても発災後3日以上、物資を届けることができない地域が必ず出てしまう。また南海トラフ地震の被害想定地域は非常に広範囲にわたっており甚大な被害が想定される。そこでコンビニ各社ができることの一つとして、ローリングストックによって、各家庭で備えをすることの重要性を国民の皆様に周知をしていくべきだという結論に達した」

仮に南海トラフ地震により沿岸部の道路が寸断されると、コンビニの物流を機能させるために多くの時間を要してしまうことが懸念される。

(一社)日本災害食学会理事・副会長の別府茂氏は、首都直下地震、南海トラフ地震の発生が想定されるだけではなく、被害の規模まで具体的に想定がされて、それに備えることができる状況にあると説明する。

例えば、30年前に発災した阪神淡路大震災は予測が進んでいなかったので、被災者の生活が非常に困窮したと指摘している。

現在は当時と比較して、耐震性能が向上した家屋や集合住宅が増えている。その意味では在宅避難ができる人たちが増える。

さらに電気や水道が止まっても、バッテリー、カセットコンロ、飲料水が身の回りにあれば、レトルトご飯を温めたりパスタを茹でたり簡単な調理ができる。震災時でも温かい食事をとれるような備え方が向上している。

「ローリングストックは非常食とは全く違う考え方になる。健康を守る食事を自分で選択できるし、災害時に発生する品不足を抑制できる。こうした取り組みが自然災害多発地帯に生きる日本人のライフスタイルを変える一つのきっかけになると期待できる」(別府氏)

ローリングストックにより地域社会で品不足を抑制できれば、結果的に「共助」につながるとする考え方になる。すなわち自助と共助に貢献できるのだ。

内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)の後藤隆昭氏も自助、共助、公助の三つが大事だと訴える。

「能登半島地震では災害関連死を含めて500名以上の方が亡くなっている。過疎地、高齢化が進んで、特にアクセスが非常に難しい地域であり、非常に困難な対応を迫られた。発災時の公助は私ども(国、自治体が)努力しているが、なかなか公助が行き届かず、自助、共助が大事だと考えて、ローリングストックという形で、日頃購入している食品や生活必需品を無理なく備蓄する方法があるので、ぜひ実践してほしい」

コンビニの震災支援については、1995年1月の阪神淡路大震災時に存在感を発揮している。当時ダイエーとローソンを率いた中内㓛氏は発災から3日後に現地入りをして、電気が通じず、店を閉じているローソンを見て、駐車場や店頭に商品を並べてでも販売するように発破をかけたといわれている。

当時、被災地の大阪府・兵庫県に店舗もなかったセブン-イレブンも、滋賀県の工場からおにぎりなどの救援物資を積み込んで神戸にヘリコプターを飛ばしている。

コンビニがライフラインとしての認知を深めた事例であるが30年が経過して、物資の供給において確実性、効率性を高める公助に加えて、より安全性を高めるためにローリングストックという日頃からの自助の啓発に注力を始めている。

コンビニ配送車が緊急通行車両に

前述した最終報告書「首都直下地震・南海トラフ地震対応の共同研究成果」について以下、ポイントを記しておく(※報告書は日本フランチャイズチェーン協会のホームページからダウンロードできる)。

本報告書には、国、自治体、コンビニエンスストアの実態から抽出した具体的課題とその解決方法を検討した結果がまとめられている。

[図表1]大規模災害時の国・自治体と民間(コンビニ)の目標と役割

第1の成果は「官民の相互理解が促進したこと」(図表1)。共同研究の目標として全ての被災地を支援する物流を実現するという参加者全員で共通の目標を置いて国、自治体、コンビニ各社が一緒になって検討してきた。

「当初は国の方々、そして自治体の方々は避難所を中心に考えていて、在宅避難者について、あまり関心を示していなかった。一方、民間であるコンビニ各社は、いかにお店に商品を届けるのか、交通規制などクリアしたい課題があった。それぞれの思惑が異なり、考え方が違う中で、お互いを知りながら、そしてコンビニ各社は国の制約や法律などを学びながら共通の目標に向かって進めてきた」[大規模災害対応共同研究会座長の中澤剛氏(セブン-イレブン・ジャパン リスクマネジメント室エキスパート)]

その結果、第2の成果が「災害時における物流の迅速化の推進」だ。商業物流の早期回復による在宅避難者への食料供給のために、「指定公共機関のコンビニ配送車も緊急通行車両」であるという認識を共有。

その上で、2023年9月1日、警察庁を中心とした関係省庁の協力で「緊急通行車両確認標章」の事前交付を可能とする政令改正を実現できた。さらに、配送車は遠距離輸送の際の燃料供給についても中核給油所で給油が可能な旨を確認した。

「官民相互理解のもとで成果を得ることができたが、共同研究の最後の1年は能登半島地震が発災、その教訓として、どんなに物資を届けたいという思いがあっても、3日や1週間では物が届かない地域があることを現実として私たちコンビニが受け止めざるを得ないと認識をした。そこで自助努力により水や食料品を備蓄する。この災害準備を促進するために、私たちコンビニ各社と国、自治体と一緒になって、ローリングストックの普及促進に努めていきたい」(中澤氏)

こうした取り組みにより、ローリングストックを新たなライフスタイルとして定着させることが、チェーンストアに求められている。

躍進するディスカウント系スーパーマーケット「オーケー」が関西に初出店した高井田店の実力

ディスカウント系スーパーマーケットの勢いが止まらない。実質賃金が伸び悩み、所得の中央値が減少する中、低価格の強さが改めて見直されている。ここでは2024年11月26日に関西に初出店したオーケーの店づくりを見ていきたい。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年2月号より転載)

安くなる仕組みを構築し、無駄なコストを削減

2024年11月26日にオープンしたオーケー高井田店。大阪府内で大阪市、堺市に次いで多い人口約48万人を抱える東大阪市に出店

日本で現在、成長を続けている業種・業態を考えてみると、ドラッグストア業態が真っ先に頭に浮かぶ。2023年度の市場規模は前年比5.6%増の9兆2,022億円(日本チェーンドラッグストア協会調べ)で、同じペースで伸長すれば2025年度には10兆円を超えそうだ。

もう一つはEC(消費者向け電子商取引)業態。「令和5年度電子商取引に関する市場調査」(経済産業省調べ、2024年9月25日)によると、日本国内のEC市場規模は、24.8兆円(前年比9.23%増)、うち物販系分野は14.7兆円(前年比4.83%増)と伸長している。

そして今回言及するのが「ディスカウント系スーパーマーケット」である。既存のスーパーマーケットと線引きが難しく、市場規模を示す数字もないため、業種・業態に分類できるのか、明確な答えはないが、該当企業の成長スピードを見ていけば、その傾向は顕著に表れている。

ディスカウント系スーパーマーケットのトップランナーがオーケー(本社/横浜市)である。店数は157店舗(2024年12月末)、売上高(テナント除く)は6,228億円(2024年3月期)で前期比12.7%増、コロナ禍前の2019年3月期が3,930億円だから、5年間で58.4%増という急成長を遂げている。2024年3月期の経常利益は379億円で売上高対経常利益率は6.1%とスーパーマーケットの中では群を抜いている。

二番手でオーケーを追い掛けるのがロピア(本社/川崎市)だ。店数は110店舗(24年12月)、売上高は2024年2月期が4,126億、2025年2月期に5,000億を計画している。2023年2月期より他のスーパーマーケットを連結子会社に加えたため、比較可能な2022年2月期(年商2,469億円)と2012年2月期(年商437億円)を見ると、10年間で5.6倍に成長している。

三番目は「業務スーパー」(経営/神戸物産、加古川市)。フランチャイズビジネスのため上記2社と売上高の比較はできないが、店舗数で見ると、2024年10月期が1,084店舗、2019年10月期が845店舗なので5年間で28.3%増と出店エリアを北海道から九州まで広げている。

最後はイオン系の「まいばすけっと」(本社)。2024年2月期で1,119店舗、売上高は2,578億円、これを2019年2月期と比較すると765店舗、1,537億円となり、5年間で店舗数は46.3%増、売上高は67.7%増と成長を加速させている。「まいばすけっと」は自らを「都市型小型食品スーパー」と称している。

ディスカウント系に分類するには異論もあるが、近年のコンビニ価格を高いと感じる層を集客しているため、コンビニ業態と比較してディスカウント系スーパーに分類してよいだろう。

以上4チェーンは、競合する既存業態と比較して価格を抑え、集客力を強めて、1店舗当たりのトップライン(売上高)を高める一方、徹底して無駄なコストの削減を試みている。

オーケー、ロピア、業務スーパーは、商品アイテムを絞り込み、大容量パックの比率を高め、店内作業を削減、店舗人員の抑制に努めて、人時生産性を高めている。

「まいばすけっと」についても、深夜営業をせず、納品も品出しも集約化、カウンターフーズの販売やチケットの発券などコンビニが有するサービスはせず、店内作業の軽減に注力して、最少人数でのオペレーションを可能にしている。各社、それぞれ「安くする仕組み」を構築しているが、本稿では2024年11月26日に関西に初出店したオーケー高井田店を取り上げる。

調剤は処方箋枚数の伸長に苦戦 ビジネス自体の勉強に注力

オーケーは、2023年6月に東大阪市が競争入札を実施した約1,100坪の土地を約27億円で落札、5階建ての店舗を建設した。地下1階を自社の売場とし、1階に100円ショップのダイソーをテナントで入れて、2階から4階を192台の駐車場、5階を自社の関西事務所に充てている。

同社の店舗では首都圏でも多くが地階を売場にしている。仮に1階を売場にすると、トラックが荷物を運んで来る搬入場や、階上の駐車場に向かうスロープなどに1階のスペースが取られてしまう。売場面積を建物の都合で縮小しないように、地階に確保するパターンを関西でも踏襲した。

「いろいろな制約の中で売場と駐車場を広くとるため、売場を地階に配置しています。当然その分の建設コストは上りますが、客数増による売上アップでカバーできると考えています」(オーケー代表取締役社長の二宮涼太郎氏)。

オープン直後のオーケー高井田店。開店前に数百人が列を成した。2021年、関西市場への足掛かりとするため、関西スーパーマーケットに買収提案を試みたが株主総会で否決されて裁判にまで発展した騒動も結果的に知名度アップに貢献したようだ

高井田店の売場面積は770坪。同社のなかでは大型店の位置付けになる。チェーン全体として見ると、売場面積は100坪から1,500坪、形態はテナントから土地・建物を自社所有、あるいは借地に自社物件など柔軟に対応している。中でも高井田店のような土地・建物の所有比率は同業他社と比較して高いという。

「土地取得によるリスクはあります。一方でディスカウントをする上では、土地を自社で所有し、長期にわたり営業すれば、コスト競争力につながっていきます。高井田店については、やはり関西1号店なので、売場面積と駐車台数を確保したいと考えて土地を購入しました」(二宮氏)

次に商品の価格について独自の方法を考案している。

オーケーは顧客に自社カード(オーケークラブ会員カード)への加入を勧めている。この会員カードには、食料品(酒類を除く)を現金払いしたお客に対して本体価格から3%相当額を割引く特典を付けている。1989年の消費税3%が導入されたときから施策として定着している。

「関西では初めての店なのに、オープン前に200円(発行費用)お支払いになって会員になられた方が3,000人もいます。非常に手応えを感じています」(二宮氏)

オーケーは地域で最も安値を保障している。社員が競合店の価格を調査して、自店が1円でも高ければ「競合店対抗」により即座に値下げを断行する。その際に条件とするのがオーケークラブ会員カードの提示だ。

現金払いのお客には3%の割引を適用し、その割引後の価格が競合店と同じか、それより安くなるように設定することで、扱う商品の最安値を保証している。実際に会員カードで買物をする人の割合は8割に達する。残りはキャッシュレスを好む一定割合の買物客になる。

経営方針は「高品質・Everyday Low Price」、商品政策は経営方針にあるエブリデー・ロープライス(EDLP)としている。その一方で、一時的に条件を付けて値下げする商品もあれば、メーカーの特別提供品も多く扱う。

関東では物流に関して2024年5月以降に冷凍商品を自社物流センター経由で店舗に納品している。3拠点の賃借冷凍倉庫を活用し、常温食品同様に冷凍商品は「センター着原価」での買付として価格競争力を高めている。関西はまだ1店舗なのでベンダーの物流を活用しているが、今後店舗数の増加を見極めて、自社物流に切り替えるなどして、店舗を含めた物流の効率化を図っていく。その際に、取扱商品の見直しを図り、冷凍分野の競争力を高めていくという。

新規事業として調剤薬局を2021年からスタートさせ、首都圏では13店舗を展開。高井田店では医薬品を扱うが調剤薬局は置いていない。

高井田店では日用雑貨など非食品ゾーンに医薬品の売場を設置、登録販売者と専用レジを置いている。調剤薬局は首都圏13店舗でこれからの展開を検証している

「需要が高いところもあれば、まだ処方箋枚数の伸びに苦戦しているところもある。調剤薬局というビジネス自体を一生懸命勉強している最中です。まず関東を強化して、その後に関西を考えていきたい」(二宮氏)

オーケーは2025年に兵庫県の5店舗、そして2026年に大阪府で7店舗をオープンすると公表した。

「既に様子を見る段階ではありません。当然ドミナント出店であり関西の中で規模感を出そうとすれば10店舗、20店舗の水準ではありません。どんどん増やしたい」(二宮氏)

首都圏を第1ドミナントとすれば関西圏は第2ドミナント、そこへわずか1、2年でチェーン化を試みる。かつてセブン-イレブンが新規エリアに怒涛の出店を繰り広げてきた展開と同じような勢いをディスカウント系スーパーマーケットのトップランナーが見せている。

NFI定例セミナー「売上を増やすための2つの重点課題」ほか(2025/5/21 13:00~16:10)開催ご案内(リアル・リモート)

今回の第1のテーマは、売上を増やすための2つの重点課題「完全作業と機会損失対策」です。MD活動の70%は「完全作業力」で決まります。完全作業の原理原則、成功事例などを解説します。

2025年5月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回の第1のテーマは、売上を増やすための2つの重点課題「完全作業と機会損失対策」です。MD活動の70%は「完全作業力」で決まります。完全作業の原理原則、成功事例などを解説します。

第2のテーマは、「米国小売業の最新情勢解説」です。4月に視察する米国小売業の変化の本質を解説します。

第3のテーマは、「食品売場のLCO(ローコストオペレーション)と完全作業」です。現在ドラッグストアの食品部門の売上構成比は全国平均で30%を超えており、年々増加しています。食品は売れますが、一方で作業コストもかかります。LCOの仕組みつくることが最大の経営課題です。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2025年5月21日(水) 13:00~16:10(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(601)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2025年5月12日(月)

スケジュール

売上を増やすための2つの重点課題
完全作業と機会損失対策
米国小売業の最新情勢解説

[13時~14時40分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

(1)完全作業の意味と原理原則
(2)部門別の営業利益管理の進め方
(3)欠品の意味と欠品対策の原理原則
(4)米国小売業の最新情勢解説
(5)米国のオムニチャネルリテーラーの解説 他

売れて利益も出す食品売場の作業管理
食品売場のLCOと完全作業

[14時50分頃~16時10分頃]

エイジスリテイルサポート研究所所長 三浦 美浩

(1)食品売場のLCO(ローコストオペレーション)の原則
(2)ドラッグストアの食品強化のポイント
(3)ドラッグストアの生鮮食品導入のポイント
(4)ドラッグストア食品の商品管理、ロス対策 他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

③リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。5月16日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。
申し込みフォーム

NFI定例セミナー「MDの3つの設計図」(2025/3/18 13:00~16:10)開催ご案内(リアル・リモート)

今回のテーマは、MDの3つの設計図「商品構成、商品分類、相乗積」と、年々存在感を増している「ドラッグストアの食品強化戦略」です。売れ数比例配分の商品構成を維持することの意味と重要性。関連購買、需要創造を実現する商品分類と売場レイアウトの原則。売場の粗利ミックスを実現する相乗積への取り組み方を解説します。

2025年3月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回のテーマは、MDの3つの設計図「商品構成、商品分類、相乗積」と、年々存在感を増している「ドラッグストアの食品強化戦略」です。

売れ数比例配分の商品構成を維持することの意味と重要性。関連購買、需要創造を実現する商品分類と売場レイアウトの原則。売場の粗利ミックスを実現する相乗積への取り組み方を解説します。

これまではスーパーマーケットの補完的な役割だったドラッグストアの食品売場が大きく変わろうとしています。スーパーマーケットが2024年の1年間で50店しか増えなかったのに対して、ドラッグストアは550店以上も店舗数が増えており、日常的な食品の購入場所として存在感が高まっています。

ドラッグストアの食品MDのポイント、商品管理のポイントを解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2025年3月18日(火) 13:00~16:10(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(601)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2025年月3月10日(月)

スケジュール

MDの3つの設計図
商品構成、商品分類、相乗積

[13時~14時40分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

(1)商品構成の原理原則
(2)商品分類の原則と需要創造(フェムテックなど)
(3)売場レイアウトの基本
(4)粗利ミックス・相乗積管理の進め方 他

SMの補完業態から食品のメイン業態へ
ドラッグストアの食品強化戦略

[14時50分頃~16時10分頃]

エイジスリテイルサポート研究所所長 三浦 美浩

(1)統計データに見るドラッグストアの食品市場の急成長の実態
(2)ドラッグストアで成長しているの食品カテゴリー
(3)ドラッグストアの食品 MD のポイント
(4)ドラッグストア食品のローコストオペレーション、商品管理 他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

③リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。3月14日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。