@cosme STORE事業で売上500億円突破目指すアイスタイル

アイスタイルは、美容のクチコミサイト@cosmeから事業をスタートさせ、マーケティング支援、リテール、海外事業と事業の幅を広げ、2024年6月期の売上高は561億円(前年比31%増)、2025年6月期は売上高660億円(同17.7%増)を予想している。同社の売上のうち、リテール事業は75.1%を占める(2024年6月期)。アイスタイル代表取締役社長COOで、@cosme STOREを立ち上げた遠藤宗氏にこれからの化粧品販売について聞いた。
(聞き手/月刊MD編集主幹 野間口 司郎)(月刊マーチャンダイジング2025年7月号より抜粋)

滞留時間を長くして買上点数を上げる店づくり

─今回はアイスタイルのリテール事業の戦略を伺うとともに、御社の店づくりや売り方、遠藤社長からドラッグストア(DgS)の化粧品売場がどのように見えているかなどを伺い、DgSの化粧品売場の参考にさせて頂きたいと考えています。

[図表1]アイスタイルの事業セグメント構造

遠藤 店舗で化粧品を販売する方法は、@cosme STOREや@cosme TOKYOのような店があってもいいし、DgSのような便利に使える店があってもいいと思います。

私たちは、あえて「非効率」な売場レイアウトにすることで、滞留時間を長くして買上点数を上げるお店にしています。決して高額な商品を売ろうとしているわけではありませんが、圧倒的な客数を呼べるようにマーチャンダイジング(MD=品揃え)を深く掘り込んで人も配置しています。

DgSの化粧品売場は、私たちの店づくりとは真逆の方向性だと思います。セルフで効率的に圧倒的に探しやすい売場が基本ではないでしょうか。

目的の商品がどこにあるかがわかりやすく、関連性のある商品の売場もすぐわかる。商品特徴もPOPやサインでわかりやすい。当然実行されていると思いますが、ぱっと見て、売場、特徴が「わかりやすい売場」を充実させるのがいいのではないかと思います。

─DgSは比較的商圏が狭い(商圏人口が少ない)ということもあり、セルフ販売に加え、顧客台帳を整備してカウンセリング販売に注力している企業も多いと思います。

遠藤 全部の店をその販売スタイルにすると儲からなくなるので、そうする店としない店を立地条件や商圏規模で明確に選別する必要があると思います。また、多くのDgSはPOSデータの分析などで、そのように選別しているのではないでしょうか。

─店舗視察などすると、対面カウンターがありカウンセリングに人手をかける態勢になっているのに、人が配置されていない化粧品売場も多くみられます。

遠藤 そもそも接客することとカウンターを設置することは同義ではありません。私たちの店では対面カウンターはほぼつくらず、側面接客がメインです。椅子と鏡をどこかの壁面に置くだけで立派な接客スペースになります。DgSは気軽に買えるというのが魅力なので、気楽に買える場所としての接客のあり方、そのためのハードのあり方を考えるといいのではないでしょうか。

DgSの売場を見ていると、メーカー、ブランド単位で単純に区切られているという印象を受けます。私たちは什器を設計する際は、商品の取りやすさや出会い方などを徹底的に考えています。DgSは規模が大きく、防犯も考慮しなくてはいけないので大変だとは思いますが、効率的に買物できる什器はどうあるべきかを考えて設計するのがいいと思います。

─効率重視ではなく、楽しさ重視の「面白い」店づくりをしたい場合、「面白い」とはどういう売場でしょう。

遠藤 様々な要素が複雑に絡み合うと思います。売場レイアウト、動線設計、編集売場の配置、そもそもどういうブランドを品揃えするかなど、それぞれの要素を組み合わせて、自分が探している商品にいかに出会うか、新しい発見をするか、その「わくわく感」を引き出せるのが面白い売場だと思います。

卸との良好なネットワーク構築はスピーディな商品改廃には必須

─韓国コスメに代表されるように、最近の流行は移り変わりが早く、店舗は人気商品の導入、改廃が追いつかない、その結果、欲しいものが欲しいときになく、チャンスロスが発生することもあります。これにはどのように対応すべきでしょうか。

遠藤 トレンドが変われば、単純にそれに対応しなければいけないでしょう。韓国コスメはブームではなく定番のカテゴリーのひとつとなっていますが、プレーヤーは目まぐるしく変わります。昨年大流行していたものが今年は売れないということは普通にあります。流行の変化は現場が努力し、わかっているので、高頻度で入れ替えることは、非常に大事です。

DgSが韓国コスメを扱っているのなら、本社のMDの感覚、センスを磨くためにどう情報をインプットするかは大事です。放っておくと市場では終わっている商品が棚を占拠することになるので、トレンドに合わせた商品の改廃はキモになります。

感度高くアンテナを張って、取引先の皆さんとも面白い商品があれば、すぐに仕入れられる態勢を構築しておく。いま取引している卸、代理店が人気ブランドを扱っているとは限らないので、複数の取引先のネットワークをつくるのも重要です。はやっているからといって自社でメーカーと直接取引することほど怖いことはありません。人気商品がすぐに不良在庫化する危険があります。

卸との関係性を強くすることは大事です。最近、あらたさんが韓国コスメに力を入れているので、私たちもよい関係を築かせてもらって、商品を紹介して頂いています。

短くなる商品サイクル データ分析でロングセラー化を支援

─先日、御社のデータを活用した新規事業の説明会で、制度品メーカーの方が、新商品を開発し続けて、新規客を獲得するのは大変なコストだと語っておられました。目まぐるしいトレンドの変化に対応しようとすると莫大なコストがかかることについてはどう思われますか。

遠藤 新商品開発はどのメーカーにとっても苦しいものではないでしょうか。一番いいのは、開発した商品の人気が長持ちして売れ続けることです。

しかし、いまの時代は頑張って新商品を開発して売上をつくると、短期間で売上が鋭角的に落ちていく。この繰り返しです。そして、そのサイクルが早くなっています。鋭角的に落ちていくのを防いで、緩やかに落ちていくのなら、つまり、ヒット商品がある程度の期間そのままであり続ければ、それほど早く新商品を開発しなくていいはずです。

そのために、私たちは@cosmeはじめ、アイスタイルに蓄積された膨大なデータを分析して、どのようなお客様にどのような情報を伝えていけばよいのかを解明しようとしています(編集部注:アイスタイルではデータに基づいたソリューション提供を事業化するため、アイスタイルデータコンサルティング株式会社/ISDCを2025年2月に立ち上げた)。

新商品を発売して投資回収が終わらないうちに、また新商品の開発、発売を余儀なくされる。この悪循環が続かないように、データ分析に基づいて自分たちの商品の良さをわかってくれる人たちとコミュニケーションしてロングセラー商品を育成する必要があると思います。ISDCではそれをお手伝いしています。

─韓国コスメのように小回りの利く企業と制度品メーカーでは、投資の負荷が違うように思いますがいかがでしょうか。

遠藤 ヒット商品がどれだけ長持ちするかは、トレンドに合わせる能力と商品力の掛け算だと思います。日本の制度品メーカーのヒット商品は長持ちする商品が多くあります。

一方で、プロダクトライフサイクルが短くなっていることは確かなので各メーカー、開発から発売までをいかにクイックにできるか、そこには向き合っているし、必要だと思います。

 

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

株式会社アイスタイル
代表取締役社長 COO
遠藤 宗氏

中期計画「FUJI2030」策定、2030年にグループ売上5,000億円を目指す富士薬品

富士薬品は配置薬事業から端を発し、医療用を含む医薬品の開発・製造からドラッグストア(DgS)まで「複合型医薬品企業」という独自の立ち位置で事業を展開している。2030年には創業100周年を迎え、この節目の年までにグループ売上高5,000億円、DgS事業4,500億円を目指す。目標に向けての事業展開を、中核であるドラッグストア事業部商品統括部の伊藤秀樹氏に聞いた。
(聞き手/月刊MD代表 日野 眞克)(月刊マーチャンダイジング2025年7月号より抜粋)

自宅を訪問する配置薬営業員のラストワンマイルの営業力を活用

─御社はDgS、配置薬、ECの3拠点連携の事業推進をしています。この戦略について教えてください。

[図表1]DgS、配置薬、ECの3拠点をつないだオムニチャネル戦略

伊藤 おっしゃったように3つの拠点を結んだオムニチャネル化を進めています。とくに、配置薬事業は、営業員がお客様のご自宅に入って薬箱の補充などを行うというラストワンマイルのサービスを実践しており、これは他社にはまねのできない独自性だと思います。

このことにより、例えば、ペットフードのサンプリングを行う場合、飼育しているペットの種類、おおよその年齢など、購買データなどでは分からないことまで把握できるので、非常に精度の高いパーソナライズされた販促が可能になります。

配置薬の営業員は全国で約1,500人、契約者は全国に250万軒、うち一般の世帯は約190万世帯です。そのうちセイムスの会員登録をされている会員は60万人以上です。

これだけの数のお客様とフェーストゥフェースの関係ができているので、クーポン発行やサンプル配布などでは高い効果を挙げ始めており、メーカー様の相談や依頼も多数受けるようになりました。

また、お宅を訪問した際に整腸剤をご利用のお客様がいれば、関連する健康食品の案内をしてクーポンをお渡しして、興味があれば近くのセイムスをご利用くださいとお奨めする、このような店舗送客も行っています。

富士薬品の配置事業とセイムスが結びつかない人もいます。配置薬で培ったお客様との信頼関係は厚いので、案内されると健康食品や生活必需品をセイムスでご購入頂けるようになるケースは多いです。

セイムスご利用のお客様にも、家に置くだけで使った分だけ料金が発生する利便性、災害時には無償で医薬品を提供するといった配置薬のメリットをお伝えしてご利用を促進する活動も行っています。このような配置薬とセイムスの相互送客は積極的に行っています。

─調剤事業と配置薬事業、DgSの連携に関してはいかがでしょう。

伊藤 最近始めたサービスですが、配置薬の利用者様は高齢の方が多く、高血圧や高血糖値など慢性疾患を抱え通院している方もいらっしゃいます。

そこで、配置薬の営業員が処方せんをお預かりしてセイムスの調剤薬局で薬を受け取りお客様にお届けする。服薬指導はオンラインで受けて頂く、オンラインの服薬指導の設定や機器の操作も営業員がお手伝いする。このようなサービスをエリア限定で試験的に始めており非常に好評です。ゆくゆくは提供可能な全エリアに拡大する予定です。

配置薬の営業員とお客様の間で信頼関係を築けているからこそ、こうしたサービスの提供が可能になります。将来的にはこうした関係の上に立ち、生活全般の相談に乗れるライフコンシェルジュのような事業も可能になると思っています。

調剤薬局併設率70%が目標 調剤と物販の壁を越えサービス提供

─調剤事業は今後どの程度強化されるでしょう。

伊藤 2030年までに調剤薬局の併設率70%を目指します。この数値は業界の中でもトップレベルだと思います。現在、約40%で今期(2026年3月期)中に47%に達する見込みです。

[図表2]富士薬品連結決算ハイライト

調剤事業でやろうとしているのは、物販(DgS)と調剤の融合です。具体的には薬剤師は調剤業務の手の空いているときは、物販のフロアで医薬品や健康食品の接客もしますし、品出しの手伝いもします。物販の従業員も調剤業務以外の薬局の作業をお手伝いします。こうした連携を意識的にして、調剤と接客の壁がなるべくできないように意図しています。

お客様からすれば、セイムスの中に物販も調剤薬局もあり、薬剤師に相談したいこともあるでしょうし、薬剤師が接客に関われば、より専門的なアドバイスができてお客様の満足度も物販の売上も上がります。

第一三共ヘルスケアから目の充血をとって白目がさらに白くなる目薬「マイティアルミファイ」(要指導医薬品)が発売されていますが、これはアイメイク、ビューティケア要素の強い医薬品です。こうした商品を化粧品の美容部員が声掛けして、薬剤師が説明して販売する。こうした連携をすれば、顧客満足度、売上双方が向上します。こうした連携を模索しています。

当社の売上高はグループで3,860億円(2024年3月期)です。DgSのトップグループが2兆円、1兆円という状況の中、規模で勝負していくことは難しいです。医薬品の開発・製造、販売、DgS、配置薬、調剤薬局など様々な事業を持っている複合型医薬品企業の強みを最大限生かすためには事業間の連携、お客様の満足という視点で、それぞれの事業が縦割りではなく一致団結することだと思っています。

1年間で1,000店舗以上にデジタルサイネージを一気に導入

─以前取材させて頂きましたが(2024年6月号掲載記事参照)デジタル事業も積極的に推進されています。

伊藤 まず、大きな役割を果たすのがセイムスアプリです。現在230万ダウンロード、前年比130%程度でここ数年推移しています。アプリを通じた各種サービスはご好評を頂いております。

このアプリの中に「ARUTANA」というシステムを導入してアプリ内に広告枠を設けています。ポップアップ、バナー、動画などの広告が掲載可能です。広告を見るだけでなく割引、ポイント加算、プレゼントなどの付いたお得なキャンペーン案内や新製品情報も入手できます。

リテールメディアの中で、最も規模が大きいと思われるのがデジタルサイネージです。この1年間で約1,000店舗に導入しました。1店舗当り平均6台を設置しています。設置場所は医薬品、化粧品、食品、日用雑貨、オーラルケアなどの売場です。紙の販促物は情報量が限られていますが、動画ではそれが格段に改善されます。また、販促物を付けたり、外したりする作業も省略です。例えば、毎月22日はフジちゃん(富士薬品キャラクター)の日でポイントが22倍になります。この日のために案内ポスターを貼ったり、はがしたりするのは大変な作業です。デジタルサイネージならモニターに映すだけなので、1,000店以上で作業効率が図れ、視認性も上がります。

店内のサイネージで、自社制作の動画を流しブランディングを図る(セイムス神田小川町店)

─オーラルケア売場にもサイネージを付ける理由は何でしょう。

伊藤 高齢者になるとオーラルの悩みは深くなり、口内を健康に保つための商品は単価の高い高機能な商品となります。

 

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《取材協力》

富士薬品
ドラッグストア事業本部商品統括部 執行役員 統括部長
伊藤 秀樹氏

イノベーションが足りないコンビニ業態、セブン−イレブン新社長が過去と決別

セブン−イレブン・ジャパンの不調を多くのメディアが報じている。アナリストも決算会見で厳しい意見を発している。その実態を他チェーンと比較しながら、再成長に向けてセブン−イレブンは何をしたいのか、トップ交代を受けて新社長が語った内容とファミリーマート、ローソンの目指す方向について記しておきたい。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年6月号より転載)

店舗ベースでは否めない飽和感 求められる新たな取り組み

セブン−イレブンは東日本大震災の後の2010年代、年間1,000店舗以上を増店させていた(2012〜15年度)、また2012年8月より2017年9月まで62ヵ月連続で既存店売上の前年超えを達成させている。現在のような物価高騰の影響もない状態で、規模拡大を果たしてきた。

そこからコロナ禍において、セブンは果敢な動きを見せる一方で、世の中が本格的に日常を取り戻した2024年度(2025年2月期)、店舗の売上が低調に終わっている。ファミリーマート、ローソンと比較しても見劣りのする数字が並んでいるのだ。

2024年度の既存店売上前年比を見ると、セブン−イレブンは7勝5敗と負けが込んでいるのに対して、ファミマは全勝、ローソンも全勝と好調をキープしてきた。創業から他チェーンには負けない業績を築いてきたセブン−イレブンを考えると、現状の物足りなさは否めないだろう。

[図表1]国内コンビニ事業の営業数値(2020年2月期と2025年2月期の比較)

そこで、大手3チェーンの現在の姿をより正確に記すために、2020年2月期と2025年2月期の5年間の成長を比較してみた(図表1)。

チェーン全店の売上高を増減率で見るとファミマ、ローソン、セブンの順になる。一方で店舗数(エリアフランチャイジー含む)の増加ではセブンが他を圧倒している。

ファミマの店舗数減少について簡単に記しておきたい。これには事情がある。2016年9月にファミマが主導してサークルKサンクスと経営統合した。当時(同年8月末)の店舗数はファミマが11,945店舗あり、ここにサークルKサンクスの6,295店舗を加えて18,240店舗に達した。セブン−イレブンの19,044店舗に追い付くのにあと800店舗と肉薄した。

しかし、ファミマはいたずらにセブンの店舗数を追わなかった。サークルKサンクスに不採算店や低日販店が数多くあり、スクラップ&ビルドを優先し、店舗の再配置を推進した。数ではなく、質の追求を指針にしたのだ。その結果、店舗数を減らす一方で、全店平均日販を高めた経緯がある。

この5年間の成長を店舗ベースで見ていくと飽和感は否めない。もう一段の成長を見せるには新たな取り組みが求められる。セブン−イレブンが2013年にカフェ(コンビニコーヒー)導入、他社も追随して以降、イノベーションに乏しいといわれるコンビニ業態に、大手3チェーンはどのような風を吹かせるのか。

過去の成功体験を捨て去る覚悟 従来の延長線上に成長はない

セブン&アイ・ホールディングスは4月17日、セブン−イレブン・ジャパン(以下、セブン−イレブン)の代表取締役社長に阿久津知洋氏(現執行役員)が昇格する人事を発表した(永松文彦代表取締役社長は取締役会長に退く)。同日会見に臨んだ阿久津氏、永松氏はセブン−イレブンを再び成長軌道に乗せる道筋を示した。

阿久津氏はセブン−イレブンの歴史を振り返り、次のような思いを語った。1990年までは日本経済が伸長していた時代に、“開いててよかった”というキャッチフレーズを訴求して「タイムコンビニエンス」の利便性を提供してきた。

その後、“近くて便利”に言葉を変えて、家庭の食の負の解消を求めてミールソリューションに取り組んだ。「私たちが抱えている課題として成長戦略が見えづらいといった面があります。潜在マーケットをしっかりと顕在化させて、お客様ニーズのどこに変化があったのか、改めて問い直す必要があるのです」と阿久津氏は指摘する。

SIPストア(千葉県松戸市にある実験店舗のセブン−イレブン常盤平駅前店)

阿久津氏が挙げたのはコロナ禍の影響で人々の価値観や生活様式が変わったことへの対応である。“開いててよかった”や“近くて便利”に代わるような価値を提供できていない。そこで2024年2月、通称「SIPストア」(セブン−イレブン松戸常盤平駅前店)を千葉県松戸市にオープン、セブン−イレブンの未来を創造するテスト店と位置付けて、さまざまな実証実験に取り組んでいる。

例えば、ここでは店内で焼いた焼きたてのパンがあり、それを受けてチェーン本部は2025年度に焼成機を1万店以上に拡大すべく準備を進めている。また売上が大きなセブンカフェでは、紅茶を実証実験して、導入店舗の拡大を図っている。

加盟店の生産性向上が求められる中で、阿久津氏は省人化の取り組みも強化していくという。「実際に(フル)セルフレジ化を図ったり、ファストフードをセルフでお客様にお取りいただくセルフサービス化の試み、またセーフティガードシステムという従業員が安心して深夜に働けるような仕組みを取り入れています。こうした取り組みを継続して、成長戦略の他に事業継続という二つの意味合いで、セブン−イレブンは進化できるし、それが私たちに課せられた責務だと思っています」

省人化では、セブン−イレブンは今春から「次世代店舗システム」の導入を進める。永松氏はオペレーションの飛躍的改善効果を期待する。

「店舗従業員の働く時間を3分の2に減らそうと取り組んでいます。複数店を経営する加盟店が増えていますが、次世代店舗システムを稼働させると、コミュニケーションがIT化されるようになり、2店、3店を経営するオーナーさんが、他店とのやり取りを全てオンラインでできるようになります。お店を(実際に)回らなくても他店の状態を把握できる仕組みをつくっています」

チェーン本部側についても省力化を進めるとして、1人のOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=店舗経営相談員)が担当する7店舗前後について、タブレット端末を用いたオンラインミーティングを導入することで10店ほどに増やす仕組みも実験的に進めている。

セブン−イレブンの新しいトップには、常識を疑い、周囲の反対を押し切っても、イノベーションを起こしていくリーダーシップが求められる局面もあるかもしれない。セブン−イレブンは創業時からカリスマ経営者と呼ばれるトップのもとで発展を遂げてきた。

そのカリスマ経営者自身が“過去の成功体験を捨てよ”と繰り返し語ってきた。阿久津氏は次のように考える。「これまで私たちのトップが実践してきた政策は、その時代に適した政策であり、必要であったと評価できるものです。過去のリーダーから私自身も学びを得て今日があります。そういう意味では決して過去を否定するわけではありません。ただし、現状の課題を考えてみたときに、過去の成功体験がそのまま活用できる場面は多くはありません。今の時代に適した成長戦略も、事業継続のための加盟店支援も、過去とは異なる視点で考え続けることが必要です。過去の成功体験を捨て去る覚悟を持って政策を進めたい」

従来の延長線上に新たな成長はないと決めて臨んでいく。

少子高齢化や地方過疎化など社会課題に向き合い支援する

ファミリーマートは全国1万店以上に設置したデジタルサイネージの認知度向上と利用目的の拡大により広告メディア事業を拡大させている。リテールメディア領域の関連事業会社3社の営業利益も50億円程度に成長させた。

デジタルサービスを拡大する一方で、激化しているサイバー攻撃なども考慮に入れてセキュリティプラットフォームの強化にも取り組む。

店舗支援ではタブレット上で商品発注などをフォローする人型AIを7,000店舗に導入拡大した。「本部業務や個店コンサルへのAIの活用が一気に進みました。AIの活用はファミリーマートでは既に常識になっています」(ファミリーマート代表取締役社長の細見研介氏)

他にも、ストアスタッフの勤務管理を自動作成するファミマワークシステムを導入し、店舗人件費の抑制をサポートしている。

「中期経営計画(2022〜2024年度)では、チャレンジする方のコンビニであること、また再成長の軌道に乗せること、この二つを大きな目標の柱にしてきました。新しい事業分野やデジタル活用にチャレンジすることで、コロナの難しい時期を乗り切り、次のステージに加速度を持って突入することができたと手応えを感じています」(細見氏)。

ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏は2030年度に向けて、中期経営方針「ローソングループChallenge2030」を発表した。国内コンビニについては、AIを活用した発注システムによる品揃えの強化や、デリバリーのさらなる推進、人手不足対策や従業員の働きやすさ向上に向けたオペレーション削減への抜本的改革など、あらゆる分野にテクノロジーを活用していく。

その結果、日販30%アップ、店舗オペレーション30%削減、オーナー1人あたり店利益2倍、本部利益2倍をチャレンジ指標に定めている。海外事業においても、現在の2倍となる店舗数と売上高を指標に掲げて、グループとして成長を目指していく。ローソンは少子高齢化や地方過疎化など、社会課題に向き合い、誰もが安心して便利に楽しく暮らせるマチづくりをグループ一体となって進めていくという。

チェーン本部は、加盟店の売上アップとコスト削減をベースに、店舗数の増加と日販の向上に努めていく。

ドン・キホーテ流「四方よし」のリテールメディアで広がるPPIHグループの新領域

ディスカウントストア大手のドン・キホーテ(PPIHグループ)は、ここ数年リテールメディアへの取組みを進めている。同社のリテールメディア事業を担う株式会社pHmedia(ペーハーメディア)代表取締役社長の奥田薫氏と、同取締役CDO兼マーケティング企画開発部部長、小林真美氏への取材内容をもとに、その戦略と狙いを解きほぐす。(月刊マーチャンダイジング2025年6月号より抜粋)

需要創造型のテストマーケティングを提供

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リテールメディアとは、「小売業が持つ店舗・ECサイト・アプリなどの接点を広告媒体化し、広告主に販売するビジネス」を指す。米国ではウォルマートやアマゾンが本格的に参入し、小売の売上とは別に、広告収益を大きく伸ばす事例が注目されている。

一方、日本の小売企業でも、デジタル化やID-POSの普及を背景にリテールメディアを手掛け始める動きがあるが、取組み規模は業態によって様々だ。
ドン・キホーテの場合、棚で商品を展開するのはもちろんのこと、店内のサイネージやPOP、店外の懸垂幕やOOH、majicaアプリ、SNSなどを“メディア”として用い、商品販促にとどまらない施策を実施しているのが特徴だ。

ドン・キホーテのリテールメディア事業を担うpHmedia取締役CDOの小林真美氏はこう語る。

「メーカー様の広告を単に配信するだけではなく、出稿の結果どういうお客様の層にご購入頂いたのか、以前、何を購入した人が購入してくれたのかというデータ検証まで含めて、メーカー様にお返しする仕組みが大切だと考えています。それを更に発展させ、私たちは“テストマーケティング”という、商品を小規模店舗で試しに展開してデータを得るプランも提案しています。目指すのは『四方よし』の状態です。ここで四方というのは、小売側(ドンキ)、お客様、メーカー様の広域営業部、ブランド/マーケティング部を指します」

こうした考え方を、同社社長の奥田薫氏は「需要創造型のテストマーケティング」と表現する。

大手メーカーにとって、ドラッグストア(DgS)や総合スーパーと異なる新しい商品に出逢いに来ている客層を抱えるドン・キホーテで“最小限”の実売検証ができ、かつID-POSやアプリからの購入動向データを取得できるのは、ブランドやマーケティング担当にとって大きな魅力だ。

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店舗×オンライン×SNSを連動

ドン・キホーテが持つアセットは多岐にわたる。全国展開している店舗群、利用者数が多い専用アプリ「majicaアプリ」はもちろん、若年層を中心に盛り上がるSNS(とくにTikTokやInstagram)などの動画メディアにも強い。

ドン・キホーテの店頭を活用したリテールメディアの例。渋谷本店で1月から2月にかけて実施された、キットカットの展開では、同時期にmajicaアプリにも告知バナーを掲載した。

それらを広告枠として活用し、ターゲット層を絞ったキャンペーンやブランド認知拡大のプロモーションを展開している。

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《取材協力》

(右)株式会社pHmedia 代表取締役社長
奥田 薫氏
(左)株式会社pHmedia 取締役CDO兼
マーケティング企画開発部 部長
株式会社カイバラボ Kaiba Media商品開発責任者兼務
小林 真美氏

店舗レポ|クリニック、薬局、介護サービスを集積。ツルハ運営の「ダ・ヴィンチモール」全貌

札幌駅から徒歩10分の立地に、3層式の医療モールの「ダ・ヴィンチモール」がオープンした。ダ・ヴィンチモールのビルを借りてツルハが展開している。1階が「ツルハドラッグ北6条店」。同フロアには「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」が開局した。
(月刊マーチャンダイジング2025年6月号より抜粋)

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駅前立地の医療モールがオープン

札幌駅から徒歩10分の立地に、3層式の医療モールの「ダ・ヴィンチモール」がオープンした。ダ・ヴィンチモールのビルを借りてツルハが展開している。

医療モールの「ダ・ヴィンチモール」に共同出店したツルハ。1階には「ツルハドラッグ北6条店」、「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」がオープン。2階には「ツルハN6薬局」がオープンした

1階が「ツルハドラッグ北6条店」。同フロアには「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」が開局した。1階は調剤併設型DgSのフォーマットである(図表1)。

[図表1]1階のDgS、調剤薬局のレイアウト

同ビルの2階では「ツルハN6薬局」が開局した。同フロアには形成外科・内科・循環器内科・消化器科の「ソリス札幌クリニック(4月21日開業)」、また、「あお内科・内視鏡クリニック(5月7日開業)」が開業している(図表2)。リハビリ施設の「チャレンジドジム(自立訓練専門施設)」「メディカルフィットネス(指定運動療法施設)」も5月1日に開業した。

[図表2]2階のクリニック、調剤薬局のレイアウト(1~3はクリニック)

同ビルの3階では高度医療クリニックを展開しており、2025年4月3日時点で「札幌すがわら皮フ科」「札幌さとみ乳腺クリニック」が開業している。痛み専門の「ペインクリニック」も開業予定。クリニックは3階だけでも最多で9院入居できる(図表3)。

[図表3]3階のクリニックのレイアウト(1~9はクリニック)

同ビルの真横には「カレス記念病院」が隣接しており、処方せん枚数の増加が期待できる。

駅前にSMがないので総菜、生鮮、冷凍食品を強化した

[図表4]ツルハドラッグ北6条店の売場レイアウト(約390坪)

ダ・ヴィンチモール1階の「ツルハドラッグ北6条店」の開店は2025年3月27日。売場面積は390坪で、ツルハの標準タイプの300坪型よりも大きい。

[写真1]地元の業者から仕入れた総菜・お弁当を実験的に導入している。駅前周辺にSMがないため、新しい商品群として総菜・お弁当をラインロビングしている。現在、総菜・お弁当は廃棄ロスを防ぐため16時以降は、時間帯に合わせ2割引きから半額にして基本的に売り切っている
[写真2]外部業者と提携する「コンセッショナリー方式」ではあるが、精肉、青果はSM並みの売場面積である。既存店の売れている店舗をベースにした売場を展開している。青果はバナナとイチゴがとくに売れている
[写真3]地域客、通勤客などに人気のパンコーナー

同店の駅前周辺にはスーパーマーケット(SM)がないので、食品を強化して利便性を高めており、総菜・お弁当(写真1)、精肉・青果(写真2)、パン(写真3)を導入している。

[写真4]地域客に大人気のサンドイッチを導入。営業開始時間が早い店舗なので、朝早くから通勤客が多く購入しているという

また、開店後、地域客に大人気のサンドイッチを導入し、大好評だという(写真4)。

地域の「生活ストア」として位置付けており、店舗から車で3分圏内で19万人の商圏人口を想定している。単身世帯が増加している商圏なので、

 

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《取材協力》

株式会社ツルハ 北海道第一店舗運営部 部長
医薬品登録販売者
坂口 貴志氏
株式会社ツルハ 調剤運営本部
第一調剤運営部 部長 薬剤師
寺澤 亮氏
株式会社ツルハ 調剤運営本部
第一調剤運営部 スーパーバイザー 薬剤師
工藤 剛裕氏

[店舗概要]

店舗名 「ツルハドラッグ北6条店」「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」「ツルハN6薬局」
所在地 北海道札幌市東区北6条東3-1-1ダ・ヴィンチモール1階「ツルハドラッグ北6条店」、「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」、2階「ツルハN6薬局」
営業時間 ツルハドラッグ北6条店」8:00~23:00「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」平日8:30~20:00、土曜日9:00~18:00「ツルハN6薬局」 月〜土曜日8:30~18:00
開店日 「ツルハドラッグ北6条店」2025年3月27日「調剤薬局ツルハドラッグ北6条店」2025年4月1日「ツルハN6薬局」2025年4月1日
総従業員数 DgS20人、1階の調剤薬局13人、2階の調剤薬局6人

食品スーパーの歴史と曲がり角に差しかかった現況

いよいよ流通業界の再編が始まった。食分野の“主役”であったGMS、SMなどの“スーパー”勢力の隆盛の歴史と、衰退しつつある現状を公的数値、協会団体の統計などを用い解き明かしていく。(エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦 美浩)(月刊マーチャンダイジング2025年5月号より抜粋)

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部門や品揃え、投資、人手 「足し算」続けたSMの歴史

[図表1]2024年スーパーの類型別店舗数

全国スーパーマーケット協会が公表した最新の『2025年版スーパーマーケット白書』(以下『白書』)によれば、2024年の食料品を扱うSMは全国に2万3,039店舗、企業数は856社で総販売額25.4兆円、総従業員数は109万人である(図表1)。

売上規模はDgSの8.9兆円(総店舗数1万9,664店舗)、コンビニの12.2兆円(5万5,988店舗)よりも大きい(経済産業省「商業動態統計」2024年)。SMはDgSの販売額の2.9倍、まさに食品を中心に扱う“最大フォーマット”である。

SMの多くは戦前からの青果商、鮮魚商、精肉商、乾物商などの「業種店」が出発点で経営の特徴は“軽投資・低価格・高回転”だ。店は数坪で戸板一枚を売場にしレジもなく、金銭は吊り下げたかごでのやりとりだった。冷蔵設備もなく低価格で当日売り切り、売り切れごめんのため、当然に商品回転率は高かった。

戦後の1953年、アメリカのPX(軍の購買部)を参考に、紀ノ國屋がはじめてレジスターを導入したSMを開店、さらに1957年から始まった主婦の店運動で各地にSMが広がった。そのSMの歴史は、かつての業種店の“不”を解消する取組みだ。

SMが取り組んできたことは、以下の6点に分類できる。

①部門を加え続けて総合化
②セルフサービス方式を採用
③衛生管理と鮮度管理を徹底
④インストア加工とカンバン方式、SKUを拡大
⑤多品目品揃えと少量・多頻度の配送、品出し
⑥決済方法多様化、ポイントカード

以下では、それぞれについて説明をしていこう。

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ゲンキー 藤永賢一氏 「最後の砦として踏ん張るためには低損益分岐点しかない」

食品スーパーマーケット(SM)が「軽量」な店舗で戦線を拡大する一方、ドラッグストア(DgS)もその便利さや低価格さが評価され、食品販売における主要プ㆑イヤーの一角を担おうとしている。急先鋒に立つのが北陸・中部に454店舗(2025年3月現在)を展開するDgS「ゲンキー」(本社:福井県坂井市)だ。同社は完全に標準化された300坪の小商圏ローコスト型フォーマット「R店」において、エブリデーロープライス(EDLP)で、野菜・肉などの生鮮、総菜までを含めた食品を販売。売上構成比率の69%は食品が占め、2040年には1万店舗という目標を掲げる。同社代表取締役社長の藤永賢一氏に、食品販売戦略を聞く。
(聞き手・まとめ/編集部 鹿野 恵子)(月刊マーチャンダイジング2025年5月号より抜粋)

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「徹底」には社長が寝ても覚めても考えること

[図表1]レギュラー店の特徴

─2024年6月期決算では、食品の売上構成比率が69%とほぼ70%に迫る勢いです。経営戦略の中で、食品部門をどのように位置付けていらっしゃいますか。

藤永 総務省が毎年更新している家計支出調査と照らし合わせて、生活必需品分野における食品の構成比と店内の売上構成比を揃えることで、小商圏に挑もうと考えています。

小商圏フォーマットでは、同じ人が繰り返し来店することで商売が成立します。そして、そのお客様の家で、1ヵ月に野菜に何円、総菜に何円、パンに何円使います…というところが店内の売上構成比と合っていると、「自分にピッタリのお店」と感じて頂ける。そこがずれていると、中・大商圏に戻らなければならなくなるだろうというのが、大前提です。

消費者は、生活必需品分野のうち70数%を食品に使っています。ですから我々も食品の構成比が70%を超えるのは当然のことと言えます。

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─小商圏に対応するための戦略部門という位置付けですね。御社がDgSの中での差別化要素としてあえて「食品」を選ばれた経緯を教えてください。

藤永 私たちが食品を取り扱い始めたのは25年前になります。当時私たちは福井県で27店舗を展開していましたが、カワチ薬品のお店を見てこのやり方は県外でも通用するのではないかと思いました。

それで、150坪から900坪に転換しようとして、カワチさんのように4割は食品を置こうと思ってスタートし、それがうまくいったわけです。

その後、女性の社会進出が増えてショートタイムショッピングへの要望が強くなり、300坪の店舗を開発しましたが、食品をやめるという選択肢はありませんでした。店舗面積は3分の1になりましたが、アイテム数は1万6,000SKUから1万2,000SKUと3割しか減らしていません。価格帯の高いアイテムはどんどんやめて、低価格のもの、生活必需品、消耗品だけのお店にしていきました。

─それがいまの食品につながってきたのですね。

藤永 はい。いまでは300坪型の1号店が9年目になりました。その間により小商圏化してきて、食品の構成比率は45%から70%まで増えました。

8年前にはじめて生鮮の導入に取り組んだときには「フード&ドラッグ」という名前をお店の看板に付けました。当時、アメリカのコンビネーションストアの看板には大体「フード&ドラッグ」と書かれていて、それをまねしたのがスタートです。ここ3年ほどで、フード&ドラッグという名前は全国的に聞かれるようになりました。

─食品の構成比率が増えるに伴い、生鮮比率も上昇しています。DgSが青果、精肉を取り扱うのは高難易度かと思いますが、御社ではどのように取り組まれたのでしょうか。

 

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《取材協力》

ゲンキー株式会社
代表取締役社長
藤永 賢一氏

ディスカウント×エンタメで攻める「クルベ北入曽店」レポート

軽量級の食品スーパーマーケット(SM)の急先鋒が「ベルク」が展開する「クルベ」だ。2023年に立ち上げたディスカウント型の新業態で、EDLP(Every Day Low Price)方式、つまり特売に頼らず毎日安く商品を提供する手法を採用。商品は絞り込み、作業や「すべきこと」を減らすことによって、EDLC(Every Day Low Cost)、ひいてはEDLPを実現しようとしている。
(月刊マーチャンダイジング2025年5月号より抜粋)

大胆な絞り込みと作業の削減

クルベはベルクの本拠地である北関東エリアを中心に展開。2025年3月現在、群馬県と埼玉県に合計3店舗を展開する。

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1号店の「クルベ江木店」は群馬県高崎市に所在し、旧ベルク江木店を業態転換する形でオープン。続いて2号店「クルベ竜舞店」が群馬県太田市にて2024年2月にオープンしている。そして2025年2月には、埼玉県狭山市に同業態としては初の新築店舗となる「クルベ北入曽店」が開業した。

クルベの売場は、毎日の食材や生活必需品をできるだけ安くまとめ買いしたいお客に向けて構成されており、品揃えや作業をドラスティックに減らしているのが特徴だ。

例えば青果売場であれば、基本的に1品種1品目で大量陳列が中心。既存のSMのように、細かい品揃えをして売るのではなく、安さと視認性の高さ、また品出し回数の削減を重視していると推測される。精肉も平冷ケースに大容量の商品を圧倒的な量で展開し、ユニットプライスの低価格をアピール。豆腐も平冷ケースで大量に陳列。豆腐は壁面で展開するという思い込みを排除した売場といえる。

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[店舗概要]

店舗名 クルベ北入曽店
所在地 埼玉県狭山市入間川3141-1
営業時間 10:00〜21:00
売場面積 670坪

ペットケア売場の強化はロイヤルカスタマーの獲得に貢献する!

顧客満足度調査によれば、ペットケア売場に満足感を感じた消費者は、店全体の顧客満足を高める相関偏差値が高いことがわかった。ペットケア売場の強化は、店全体の顧客満足向上に直結する最重点カテゴリーである。ペットケア売場強化のロードマップを解説する。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

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ペットケア売場は店全体の総合満足度に直結する

[図表1]ペットケア売場と顧客満足度の相関関係

顧客満足度調査によれば、ペットケア売場に満足感を感じた消費者は、店全体の顧客満足を高める相関偏差値が高いことがわかった(図表1)。

ペットケア売場の強化は、店全体の顧客満足向上に直結する最重点カテゴリーである。ペットケア売場強化のロードマップを解説する。

ペットケアは「購入頻度」「購入金額/人」が高い

[図表2]ペットケア売上の因数分解

図表2の既存店のSOOパネルによれば、犬・猫の合計の「購入頻度」は平均で7.5回である。全品目(182品目)の平均が1.9回なので、ペットケアの購入頻度は高い。

また、犬・猫の合計の「1人当り購入金額」は平均で8,700円である。全品目の平均は1,859円なので、ペットケアの購入金額/人が高いことがわかる。

ペットケアは店全体の「購入頻度=繰り返し来店」「購入金額/人=客単価」を上げる戦略カテゴリーである。

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「来店頻度」「客単価」「リピート率」を向上する

[図表3]ペットケア購入者の店全体への貢献度

ペットケアの購入者は、ペットケアの非購入者と比較して、購入頻度が1.7倍、1人当りの客単価は2倍、リピート率は4.1%増と高まることがわかった(図表3)。

化粧品の購入者、医薬品の購入者と比べても、ペットケアの購入者の店全体に対する貢献度は高い(図表3参考値)。

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ペットケアは店全体の「新規率」を向上する

[図表4]店全体、ペットケアカテゴリーの新規率

店全体の新規率9.7%と比較して、ペットケアカテゴリーの新規率は21.2%である(図表4)。ペットケア売場の強化は、人口減少のなか、店全体の新規客の獲得に直結する。

「併買者」が占める金額構成比が高い

犬・猫ともフード・排泄ケア併買者の購入人数構成比は低いが、金額構成比は高くなっており、併買者が売上金額に及ぼす影響は非常に高くなっている。

たとえば、「猫排泄ケア(用品)」と「猫フード」の購入者のうち、併買者の人数構成比は…

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