第5回 ハピコムエッセイコンテスト入賞作紹介「私のドラッグストアストーリー」

日本最大のドラッグストア(DgS)グループであるハピコムでは、小売業の原点である感謝の気持ちはそのままに、お客さまとのエピソードから学び、成長していく自らのエネルギーとなる「成長の瞬間」や「未来の姿」をエッセイという形で募集。本記事では、大賞・準大賞・入選の25作品を紹介します。

大賞:泣いて、笑って

ウエルシア薬局(株) ウエルシア清水駒越店
浅川 美乃(登録販売者)

昼下がり。お薬の売り場で佇む女性。腕には赤ちゃんかな?

「こんにちは。塗り薬をお探しですか?」ビクッと肩を揺らすお客様。赤ちゃんは眠ったまま。

「乳児湿疹かな、と思って、あの、薬を…」小さな声で答えてくださった。

「ご相談いただきまして、ありがとうございます。生後1ヶ月から使える保湿剤やお薬もございます。ただ、赤ちゃんだとお医者様の診断のもとお薬をお使いいただくのが安心かと思います。お医者様には行かれたりしましたか?」

すると、小さな声がますます消え入りそうになりながら、「お医者さん、行ってるんですけど、でも…」もう、涙がこぼれそう。

「少しお話聞かせていただけませんか?」

ちょうど人のいない化粧品カウンター。ぽつり、ぽつりと言葉がこぼれる。赤ちゃんに病気があること。手術が必要なこと。今日も通院の帰りだということ。

そして「いつもこの湿疹のこととか、いろいろ訊きたいって思って病院に行くんですけど、お医者さんの前に座ると、緊張して何にも話せなくなっちゃうんです。」母親失格です…と、とうとう涙があふれた。

咄嗟に「今日ここに来てくださってありがとうございます。私の子どもも赤ちゃんのとき手術してるんです。で、やっぱりお医者さんに訊きたいこと、怖くて何にも訊けなかった…」だから私も母親失格です。

と言うと、お客様「そんなこと…」、「ね。お客様が母親失格だと、私も母親失格になっちゃうんです。だからぜひ一緒に母親合格になってください!」と笑顔で言えば、今日初めての微笑みを見せてくださるお客様。

そして「私、訊きたいことはよくメモを書いてお医者様に渡していました。今私が書きますので、訊きたいこと何でも話してください」書き上がったメモを手にしたとき、お客様は安堵の表情を浮かべていた。

「泣かずに待ててお利口ですね」「私たちが泣いちゃって」顔を見合わせて笑う私達の間を、空腹に目覚めた赤ちゃんの泣き声が通り始めた。

準大賞:私の胸の中のお守り

(株)ツルハ 大和駅前店
高柳 幸(ビューティーアドバイザー)

私には、いつも胸の中にいる大切な会員様がいます。
出会いは12年前、商品を一緒にお探ししたことがきっかけでお話するようになり、「化粧品もあなたに選んでほしいわ」と私の会員様第1号になってくださいました。
当時は会員様が少なく、ゆっくりお話ができたのですが、次第に忙しくなり、お待たせしてしまう日が増えてしまいました。それでも、いつも笑顔で待っていてくださるので、すっかり甘えてしまっていました。どんなにお待たせしてしまっても、必ず最後には、
「忙しいみたいだけど、身体だけは気をつけてね。今日も会えて嬉しかったわ」
とおっしゃってくださる優しさに支えられ、それがずっと続くと思っていました。
ある時、ご予約の品を取りに来られず心配していたところ、ご主人からのお電話で、脳梗塞で倒れお亡くなりになったことを聞きました。私と話す時間が大好きで、娘のように思っていたことも聞き、寂しさで涙が止まらず、その日は一睡もできませんでした。
私たちは普段、お客様を、
「またお待ちしています。」
とお見送りをしますが、またお会いできるのは当たり前ではないのだと実感するきっかけになりました。
だから私は、私にできる精一杯の親切を心がけ、「来てよかった」「会えて嬉しかった」と言っていただけるような接客をしています。
それがお客様に信頼していただける一番の近道だと思っています。
初心を忘れそうになったときは、お守りとしてそのお客様の台帳の一部が入った名札を握りしめ、今日もとびきりの笑顔で「いらっしゃいませ」と出迎え、感謝いっぱいの「ありがとうございました」で見送りたいと思います。

準大賞:いつものお姉さんの、あの店で

(株)クスリのアオキ 新発田新富店
星野 舞(登録販売者)

もうすぐ桜が満開になろうかという、4月の初め。見覚えのある小さな男の子が店内に飛び込んできた。
「僕ね1年生になったから、一人でお買い物に来たんだよ!」
私の所に駆け寄って来て得意げに話すその子の姿を見て、私もつい笑顔になる。
「そうなんだ、お兄さんになったね!」
ふと外の駐車場に目をやると、店内の様子を伺っている男の子のママの姿があった。心配そうな顔をしている彼女に向かって、私はお辞儀をした。
大丈夫ですよ、という意味を込めて。

その親子は、オープン当初からの常連さんだ。男の子は人懐こい性格で、おしゃべりが大好き。彼の相手をしている私に向かって、ママはいつも申し訳なさそうに謝ってくる。
穏やかで可愛らしい親子、という印象。
商品の案内や薬の接客などを通して、次第にママとの会話も増えていき、私の中で二人は少し特別な存在になっていた。

そして、男の子の『はじめてのおつかい』から数日後。
買い物に来ていたママに「この間はありがとうございました」と声をかけられた。
「息子が、1年生になったから一人で買い物に行きたいって言い出して。いつものお姉さんがいるこちらのお店がいいって言うもので。」
迷惑をかけてすみません、といつものように謝るママ。
「またいつでも来てください」と声をかけると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
幼い子どもを一人で買い物に行かせるなど不安だっただろうに、それでもその『デビュー』の日に、私が働いている店を選んでくれたことが嬉しかった。従業員やこの店自体を身近に感じてくれているのだと感じ、胸が温かくなったことを覚えている。

今日のドラッグストアは、薬だけではなく食品も日用品も買える日常的な場所へと変化している。様々な人が訪れるからこそ、改めて気づかされることも多い。
あの親子にとって『いつものお姉さん』であるように、これからも私はお客様の身近な存在であり続けたい。

準大賞:寄り添う心がつなぐ未来

ウエルシア薬局(株) 鹿嶋大野店
斎藤 直美(登録販売者)

ある日、年配の女性のお客様が訪れ、ご主人の介護について相談されました。表情には疲労がにじみ、とても疲れている感じがしました。彼女の悩みは、ご主人が認知症を患い、おむつを外してしまうことによる布団の汚れ。その状況にどう対処すれば良いのか途方に暮れている様子でした。

最初は商品の説明だけで終わるかと思いましたが、話を聞くうちに、彼女の心の重さが伝わってきました。「誰にも迷惑をかけたくない」という思いと「どうしたらよいのか分からない」という無力感。その心の葛藤を感じ、私は寄り添いながら話を聞きました。そして、彼女が少しでも負担を減らせるよう、吸収力の高い商品や防水シートの利用法を提案し、また介護の負担を和らげる地域のサポート窓口についても情報をお伝えしました。

お客様が帰る際、「ありがとう、少し気持ちが楽になったわ」と言ってくださった瞬間、ただ商品を売るのではなく、心を軽くする手助けができたことに、大きなやりがいを感じました。それは、目に見えない形で人の暮らしに寄り添うというドラッグストアの仕事の本質を教えてくれた出来事でした。

この経験を通じて、私は「小さな会話が誰かの人生の支えになることがある」ということを学びました。日々の業務の中で忙しさに追われて見過ごしてしまう時もありますが、一人ひとりのお客様との対話を大切にしていきたいと改めて思いました。介護や病気など、誰にも相談できず孤独に悩む方が少しでも「ここなら安心して話せる」と感じられる場所を作る。それが私たちの仕事だと感じています。

こうした経験を活かし、もっと多くの人に寄り添える存在でありたい。「働く」という行為が、ただ収入を得るためのものではなく、誰かの心に小さな明かりを灯す行動であると気づけたからこそ、これからも前向きに自分の役割を全うしていきたいと思います。

準大賞:頑固なお爺さんと私の小さな成功

(株)クスリのアオキ 藤木薬局
棚田 穣(薬剤師)

ある日のこと、いつものように無愛想に処方箋を差し出すお爺さん。無口で頑固な方という印象で、私はいつもその険しい表情に緊張を覚えていた。

お薬手帳に記された血圧がいつもより高めだったのを見て勇気を出して声をかけたものの、やはり「問題ない」の一言で片付けられてしまい、自分の未熟さを痛感する日々が続いていた。

ある日、お爺さんの降圧剤の処方日数がいつもより短くなっていることに気づき、「最近お薬が余ることはありませんか?」と聞いてみた。

「飲み忘れることが増えてね」 気まぐれだったのか、返答が返ってきたことに驚いた。続けて傾聴すると、奥さまが入院してしまい、それ以降食事の時間が不規則になってつい飲み忘れるのだという。 そこで、「時間が多少ずれてもいいので、まずは薬を食卓に置いておくのはどうでしょう」と提案すると、お爺さんは「そうだな、それなら忘れないかもしれない」と頷いてくれた。

次の来局時、「あの方法、良かったよ」と、珍しく自分から話しかけてくれたお爺さん。薬の管理方法を一緒に工夫する中で、少しずつ会話が増えていった。

血圧手帳の記入も、「教師だった時の習慣で、こういう記録をつけるのは嫌いじゃない」と、意外な一面を覗かせてくれたりもした。

ある日、久しぶりに元気な様子で来局されたお爺さん。「家内が退院してね、また二人で食事ができるようになった」と、珍しく家族の話もしてくれた。 「先生は、うちの孫と同じくらいの年かね」 突然そう言われて驚いたが、その言葉に込められた温かさを感じた。

些細なことでも、会話が始まると患者様のいろんな背景や人柄を汲み取り、より患者様を知ることができる。そのコミュニケーションを通してよりよい治療の提供につながる。このお爺さんとの出会いは、薬剤師として、小さな自信を持てるきっかけになった。

入賞:私のプレゼント

(株)ツルハ ツルハドラッグ手稲前田6条店
山岸 優(薬剤師)

「山岸さん」

そう患者様から呼ばれるたびに、私は初めての面接を思い出す。

薬剤師として受ける初めての面接で「薬剤師さんではなく、名前で呼んでもらえるような、患者様と1対1の関係を築ける薬剤師になりたいです」と、緊張した声で言ったのを覚えている。

今年の夏、私は一人薬剤師の店舗に異動になった。
秋に差掛る頃、このお店に来て初めて、
ある患者様が「山岸さん」と、私を呼んでくれた。
患者さんから名前でよんでもらえた。
「お名前、覚えていただいてありがとうございます」
ついそう声を掛けると、患者様は笑顔で、「お一人なのにいつも素敵な対応をしてくれるから」と続けてくれた。
一人薬剤師の店舗で働きはじめ、一番頑張っていたのは接客だった。
受付から投薬、お見送りまで、すべて自分。私が薬局の顔なのだと、また来てもらえるように頑張っていた。
また別の日、今度は血糖測定器を買いに来た方に、名前を聞かれた。「山岸さんね、すごくわかりやすい説明だったから。また来るね」。そう続けた方も、笑顔だった。

「女性の薬剤師さん」「いつもの薬剤師さん」
患者様それぞれが、私のことを呼んでくれる。それだけでもうれしいけれど、やっぱり、名前で呼ばれるのが一番うれしい。
名前を呼んでくれる人に、「覚えてくれてありがとう」と伝えると、みんな理由を言ってくれる。私にプレゼントをくれる人は、私が一生懸命接客を行う中で、何かをプレゼントできた人なんだ。
今の店舗に来て、接客に一層力を入れるようになり、私は今更ながら気が付いたのだ。

私は今、薬局の顔として働いている。物理的にも1対1、こんなに恵まれた環境はないと思う。まずは今いる店舗の患者様みんなから名前で呼ばれる薬剤師になるために、これからも、たくさんの患者様にいろんなプレゼントを渡していきたい。
そして患者様からもらったプレゼントを胸に、これから出会うはじめましての方に、新しいプレゼントを届けるのだ。

入賞:子供でも「一人の大切なお客さま」

(株)ドラッグイレブン 知覧店
大岩本 雅士(登録販売者)

小さいお子様連れのお客さまに対し、皆様はどのような接客をされていますか?

入社当時の私は、どのように接すれば良いのか分からず、お子様の存在を無視した接客をしていました。

ある日、横にいた店長が変顔をして男の子を笑わせると、それを見ていたお母様が嬉しそうに微笑み、最後は男の子とグータッチをしてバイバイすると、お母様は少しだけ私の方に目を向けた後、店長にだけお礼を言って帰られました。横で見ていた私は、「凄いなぁ」って感動したのと同時に、私の力不足と寂しさを感じました。「子供でもお客さんなんだから無視しないで話しかけてごらん。自分の将来につながるから」と教えて頂いたのですが、その時の私は意味を分かっていませんでした。

22年の時が経ち、先日、お客さまのアプリの会員登録をお手伝いしていると、うしろにピッタリとくっついて退屈そうに待っている男の子に気づきました。手に持っている人形を見て、「アンパンマンとバイキンマンどっちが好き?」と話しかけると、男の子は私に、「アンパンチー」と小さいこぶしを向けてきたので、思わず私も、「アンパーンチ」と拳を向けました。

お互いの拳がくっついた時、男の子は嬉しそうに、「もっ回!」と喜んでくれました。その時思い出した店長の姿と、あの言葉。

改めて、大切な事だと気づかされました。最後に男の子ともう一度「グータッチ」をして、バイバイしながら外までお見送りした時、お客さまから頂いた言葉が、「ありがとう」でした。

天国にいる店長へ「教えたかった事、…ですよね?」と空を見上げながら心の中で尋ねると、頬に触れた雨が優しく褒めてくれた様で嬉しかったです。後から知った事ですが、店長が接客した男の子のお母様も、子供の頃から店長のお客さまだったそうです。私ももっと沢山の子供達の笑顔を作り、その子供達が大きくなっても、「会いに行きたい店員さん」で在りたいと思います。

入賞:たった1枚の絆創膏

(株)クスリのアオキ クスリのアオキ 本堅田店
西村 若菜(登録販売者)

ドラッグストアで働くこと。その意義は、「薬の販売」を通して多くの人々の役に立てることだと考えていた。

ある日、「いらっしゃいませ!」と絆創膏売り場で声をかけた女性。腕には包帯。思わず近寄り、「お怪我なさったのですか?」と尋ねた。

「痛む膝を庇って、家の階段で転んで擦りむいてしまったの。しみて痛いから包帯巻いたんだけど、これでもしみるし、何しろ一人だから上手くできなくて。良い絆創膏でもないかと思って。」

白いガーゼに染まる赤い跡、表情、話し方からそのお客様の「痛み」を感じた。私が完全防水・保護機能のある絆創膏を薦めると、お客様は
「ありがとう。これにするわ。お忙しいところ悪いんだけど、貼っていただけませんか。」
とおっしゃった。

少子高齢化が社会の大きな問題となった現代。高齢者が抱える問題に加えて、一人暮らしの方は心の痛みも抱えているかもしれない。そう思った私は、
「私でよければ、よろこんで!」
と返事し、お客様の腕の「痛み」に封をする。
「暖めると密着度がアップするんです!手を触れてもよろしいでしょうか。」
そう尋ねたうえで絆創膏の上に手を重ねる。すると、お客様は、
「ありがとう。暖かいわ。これでもうしみないわね。本当にありがとう。」
そう言って、笑顔で退店された。

これまでの私にとっては、ただ商品としてのたった1枚の絆創膏にすぎなかった。だが、この1枚がお客様を笑顔にしてくれた。そして、私まであたたかい気持ちになった。

医薬品だけでなく、食品や生鮮まで、全て手に入る近くて便利な存在で。そんなドラッグストアで働く私たちはただの販売員ではない。商品の力を通して、私たちが「人」と「人」として接することでお客様を笑顔にすることができ、お客様の笑顔から幸せを感じることができる。どんなお客様も、ドラッグストアに来てくださったらもう一人じゃない。一人でも多くのお客様にとって拠り所になれるそんな存在でありたい。

入賞:私がお渡しできるもの

(株)ツルハ 南吉成店調剤
名和 美和子(その他)

私はドラッグストア内調剤室で事務をしている。元気になりますようにと患者様をお見送りする日々も10年を超えたが、その中で忘れられない患者様がいる。その方は高齢の女性だったが踵の高いブーツを履きこなし、おしゃれなサングラスをかけ、お気に入りの薬剤師との会話を楽しみに来局される方だ。

ある日家族の方から『姉が倒れて入院している』とお伺いした。その後遺症で記憶が不鮮明になっていると。その後は施設へ入所されたようだった。

それから数年後、車椅子に乗り店内でお買い物をしている高齢女性を見かけた。その見覚えのある懐かしい姿に思わず近寄り声をかけた。「ミチコさんこんにちは。お久しぶりです。」私から声をかけられたその女性は、少し驚いた表情を見せ、少し微笑んでこう言った。「私の事を覚えているの?ごめんなさいね、覚えてないの。妹からここの薬局使ってたでしょって言われるのだけど、全然覚えてなくて。」そうだ。記憶に障害が…。 私に何が出来るだろうと考え、彼女がこの薬局で過ごした時の事をお話しすることにした。

あの素敵なブーツやサングラス。彼女が大好きだった薬剤師の事や、直接聞いたお話も。楽しく過ごされていた薬局での時間を思い出しながら伝えた。うんうんと頷きながら、時折り涙をハンカチで押さえながら、彼女は私の話を聞いていた。「お話聞けて良かった。ここは私の大切な場所だったのね。私の事を覚えていてくれて本当にありがとう。また来るわね。」そして迎えに来た施設の方に連れられ帰って行った。その翌年ミチコさんはお亡くなりになった。

私は、ミチコさんが失ってしまった思い出の少しでも、お渡しすることが出来ただろうかと今でも考える。そして最後にお会いした時『ここは私の大切な場所だったのね』と言ってもらえた事は生涯忘れない。これから先、この薬局で出会う患者様に彼女のようにこの場所を好きになって貰えるよう接し続けて行きたい。

入賞:きっかけは一瞬

(株)ツルハグループ ドラッグ&ファーマシー西日本 ウェルネス神門店
長岡 玲奈(登録販売者)

入社した頃、私は夕方の行列ができる時間帯、ただ流れ作業のようにレジを打ち、無心でお客様をさばいていました。お客様のことを考える余裕もなく、ただ業務をこなすことに追われていたのです。それにも関わらず、雨の日も雪の日も、お客様は変わらずお店に来てくださる。その温かい存在に、私は感謝の気持ちを持つことができていませんでした。

しかし、入社して数年が経ち、業務にも少しずつ慣れてきた頃、ある出来事が私の働き方を大きく変えました。ある日、お客様から「駐車場で動けなくなっている人がいる」と言われ、急いで駆けつけると、顔面血だらけのおじいさんが倒れていました。私は止血をしながら救急車を呼び、必死に対応しました。

数日後、忙しい夕方のレジで、頭に包帯を巻いたおじいさんが私のレジに並んでくれました。一目であの時のお客様だと気づき、「助けてくれてありがとう」と言われた瞬間、私は胸が熱くなり、今にも涙がこぼれそうになりました。必死に堪えながらレジを打ち、「あなたの顔見にまたくるけんね」と言われた一言が、私の心に強く響きました。

この出来事から、私はレジの時間もお客様と向き合える大切な時間だと気づきました。それ以来、毎日の接客において、お客様の声や表情を大切にし、少しでも安心していただけるよう心掛けています。お客様と何気なく交わす会話、そしてお客様の笑顔を見ることが、私の活力になっています。

おじいさんの「ありがとう」という言葉は、私にとって一生忘れられない瞬間でした。今では、単なる商品提供にとどまらず、お客様に寄り添い、生活をサポートできることが、この仕事の大きな喜びだと感じています。私は今後もさらに成長できるよう感謝を忘れず、お客様へ幸せを届けていきたい。そして、私のドラッグストアストーリーが、次の世代やお店、仲間たちにとって、少しでも良い影響を与えられるよう、日々努めていきます。

入賞:あなたの人生の伴走者に

(株)ドラッグイレブン 薬局 佐敷店
池内 晶哉(薬剤師)

「人生はマラソンだ」という言葉を耳にすることがある。それを聞くと、私が勤務するドラッグストアを頻繁に利用してくれるSさんとのエピソードを思い出す。

Sさんは最近ランニングを始めたようで、大量の湿布を購入していた。さまざまな場所が痛くて、1日に何枚も湿布を張っているようだ。湿布を過剰に使用すると、胃腸障害などの副作用発現の恐れがある。また、根本的な原因が解決されなければ痛みは続くだろうと考え、病院受診を勧めた。

後日、近医を受診したSさんが来店。痛みは身体の硬さや筋力低下が原因とのこと。ケアの仕方やタンパク質を十分摂るようにアドバイスされたようだ。私がテーピングとプロテインを案内したところ、とても喜んでくれた。

しばらくして身体の痛みが良くなったSさんは、初めてのフルマラソンに挑戦するとのこと。マラソン前に鉄分を補給したいと、サプリメントの購入を希望された。最初は湿布だけ購入していたSさんだったが、その後もさまざまな商品を購入してくれた。鼻が詰まって走りづらいと言われた際には鼻炎薬を、疲れが取れにくいと言われた際には栄養ドリンクを提案した。

私はこの経験から「お客様が何を求めて来店したのか」を意識するようになった。きっとただ湿布を売っているだけではSさんは何度も来店してくれなかっただろう。「痛みなどの悩みを解決してランニングを楽しみたい」というSさんの思いに気付けたことが、私自身の成長に繋がったのだ。

フルマラソンを完走したSさんは来店後にこんな言葉をかけてくれた。

「来店するたびに適切なサポートをしてくれたおかげで完走できたよ。このドラッグストアはまるで僕の伴走者だね。これからも利用させてもらうからよろしくね。」
人生はマラソンのように調子のいい時もあれば、苦しくて辛い時もある。今後もさまざまなお客様の人生に、伴走者のように寄り添えるような従業員でありたいと心から思う。

入賞:誰かのために、がいつしか自分のためにも、に。

(株)ツルハ ツルハドラッグ中標津中央店
松尾 真美(登録販売者)

自分のために頑張ることができないわたしは、いつも自分を大切にできなかった。子供の頃、頑張れなかったことの一つが勉強だった。

「登録販売者に興味はありますか?」そう質問されたのは転職活動中に受けた面接でだった。

人と関わり、できれば誰かの役に立てるような仕事がしたい。そう思っていたわたしは登録販売者がどんな仕事なのか漠然としか知らない状態で「はい!」と答えた。

ほぼ生まれて初めての猛勉強だった。登録販売者として働く人たちを間近で見て、この中で一緒に働けたらわたしも人の役に立てるのかもしれない。そうなりたいと思った。あんなに頑張れなかった勉強を大人になってから頑張ることになるなんて。

試験に合格したあともまだまだ勉強を続けた。合格したら終わりではなく、登録販売者として働いてる人たちは常に勉強し続けていることがわかったから。

「この間の薬よく効いたよ」「紹介してもらったのを飲んだらすごく楽になったよ、続けてみるね」こんな風に嬉しい言葉をかけてもらえることも増えた。

いつしか勉強が楽しくなった。勉強をすることによって知識が増えていくことも、お客様のお役に立てる機会が増えていくことも、一緒に働く仲間たちと知恵を絞り出して目標に向かって行けることも、全部全部楽しくなった。

ある日、よくお会いするお客様に言われた。

「あなたの働いている姿を見るのが好きです、あなたはよく勉強していることが伝わってくるから」

ずっと誰かの役に立てるならと頑張っていたけれど、そんな自分を見てくれている人がいた。

誰かのためにも、仲間のためにも、そしてこれからは自分のためにも頑張りたい、もしかしてこれが自分を大切にするということなのかも。

今日も明日も、わたしは勉強を続けていく。

入賞:私たちは、薬と人を結ぶ架け橋

(株)ツルハ 錦町店調剤
成田 拓未(薬剤師)※登録販売者としてのアルバイト時代のエピソード。現職は薬剤師です。

朝日が差し込むドラッグストア。私がここで働き始めて4年。白衣を着る度に、胸が高鳴る。この白衣は、単なる制服ではない。誰かの痛みを和らげ、笑顔を取り戻す魔法の羽織なのだ。「私たちは、薬と人を結ぶ架け橋なんだよ。」店長の言葉が、いつも私の背中を押してくれる。最初は意味が分からなかったその言葉が、今では誇りとなっている。

ある雨の日のこと。いつもは笑顔いっぱいの常連のおばあちゃんが、沈んだ表情で来店された。声をかけると、最近眠れないという。薬剤師と相談しながら、一緒に丁寧に話を聞いた。すると、別の病院からもらっていた薬との飲み合わせが問題かもしれないと分かった。私たちは、かかりつけ医への相談を提案。一時的な対処法も伝えた。おばあちゃんの曇った目に、小さな光が灯った。

数日後、おばあちゃんが満面の笑みで戻ってきた時、私の心は喜びで満たされた。「あなたたちのおかげで、久しぶりに夢を見たのよ。孫と公園で遊ぶ夢。明日、本当に孫を公園に連れていくわ」。その瞬間、薬の向こうにある人生に触れた気がした。私たちは薬を売っているのではない。夢と希望を届けているのだと。白衣のポケットに、おばあちゃんの笑顔と感謝の言葉を忍ばせて。

今日も私は、薬と笑顔をつなぐ小さな架け橋になる。 この仕事で私は、薬の知識だけでなく、人の痛みに寄り添う心、そして明日への希望を灯す力を学んでいる。それは、どんな教科書にも載っていない、かけがえのない宝物だ。明日はどんな出会いが待っているだろう。どんな人生に、薬を通じて触れられるだろう。その期待に胸を膨らませ、私は今日も笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかける。

入賞:人生を大きく変えたサイン

(株)ツルハ 十和田南店
高谷 香織(登録販売者)

大学の頃、憧れだったツルハでアルバイトをしていました。レジでお客様から紙を渡されてキョトンとしてお客様の顔を見返した時、その方は耳の横で手をパタパタとされました。メモには「私は耳が聞こえません。〜はありますか?」と書かれていました。初めて聴覚障がい者と呼ばれる方に会った私は慌ててしまい、気づいたら店長の元に走り出して居ました。「店長!レジに耳の聞こえ無い方が来ていて、私、手話とか出来なくてどうしたら良いですか!?」店長は驚く様子もなく「筆談すれば伝わるよ」と答えました。そんな当たり前な事も気づかずに慌ててしまった自分が恥ずかしくなりました。待たせてしまって居たお客様の元に戻り、自分のメモに問い合わせの返答を書くとお客様は自分の胸に手を置き、トントンと理解してくれたようでした。なんて失礼な事をしてしまったんだろう…。この出来事がきっかけで聴覚障がい者の方の事をちゃんと知りたいと思うようになり、手話サークルに通いました。

その後、採用試験を受けてツルハに入社し、毎日が怒涛のように過ぎ去りました。忙しさから手話の事も忘れていました。そんなある日コーナーでお迷いのお客様に声をかけると驚いた表情の後、耳の横で手をパタパタとしました。そう、耳が聞こえないと言うことを伝えるあのサインでした。昔の後悔の気持ちが蘇って来て、今度こそ慌てずに対応するんだ!と冷静を装い筆談と簡単な手話ん交えて対応しました。お客様は素敵な笑顔で「手話でお話できると嬉しい」と言ってくれ、それからも良く買い物に来てくれて居ます。

あの女性ともっとスムーズに話したいと思い、手話の勉強を再開。現在、手話通訳者の養成講座に通っています。私の夢はいつか調剤にお薬を貰いにきた聴覚障がい者の方と薬剤師の先生の架け橋になる事です。

入賞:わたしとおばあちゃんの物語

(株)ツルハ たまプラーザ駅前店
朝比奈 希(薬剤師)

「患者様一人一人に寄り添い、地域の方を支えられる薬剤師になりたいです」面接で意気揚々とそう話した私は、新店へ配属された。そこで出会った一人のおばあちゃん。おしゃべりで、いつも笑顔で、すぐに仲良しになった。「家がすぐそばだから、近くに新しい薬局ができてうれしいわ」おばあちゃんは薬局に置いてある給茶機のお茶が大好きだった。「ここのお茶が世界でいちばん美味しい」そういって、いつも薬局に顔を出してくれて、お茶を飲みながらたくさんお話をした。

しかし、少しずつおばあちゃんの様子がおかしくなっていった。「家まであと少しなのになんだか体力がなくて。ここで美味しいお茶飲みながら少し休憩させてね」おばあちゃんの顔にいつもの笑顔はなく、健康的だった身体も痩せたように見えた。その日を境にぱたりとおばあちゃんの姿が見えなくなり、しばらくたったある日、薬局に一本の電話が入った。電話の向こうから聞こえるか細い声、声の主はおばあちゃんだと気づいた。「実はね、入院していて、動けなくて、何もできなくて。でもここに電話すれば何とかなると思ったの」

おばあちゃんの身体は憎い憎いがんに蝕まれていていたのだ。「トイレもできなくなっちゃって、おむつが欲しいの。あとね、あの美味しいお茶、また飲みたいなあ」おばあちゃんの力になりたい。おばあちゃんにあったおむつを選び、おばあちゃんが大好きなお茶は届けることができないけれど、「美味しいお茶用意して待ってるね。寂しくなったらいつでも電話してね」メッセージカードを添えてご家族の方に渡した。

そこから季節が巡り、ご家族が来局された。「生前は大変お世話になりました。いつも薬剤師さんの話ばかりでした。またお茶を飲むのを楽しみにしてましたよ」涙がとまらなかった。おばあちゃん、最後まで私を支えにしてくれていてありがとう。私もおばあちゃんとの思い出は、薬剤師としての糧になっているよ。

入賞:看板の光が照らす安心の場所

(株)ツルハ 燕吉田店
齋藤 史弥(登録販売者)

店内でいつものように作業をしていた昼下がり、一人の男性から声をかけられました。微笑みながら応じると、こう話しかけてくれたのです。

「新潟にもツルハがあるんですね!つい最近、北海道から出張でここに単身で来たのだけれど、慣れない土地で心細かったんです。」

続けて、
「そんな時ツルハの看板を見て嬉しくって、特に何か欲しいわけじゃなかったけれど店に入ってしまったんです!ありがとう、これからも頑張って!!」

私は驚きとともに、温かい気持ちが胸に広がるのを感じました。自分が何か特別なことをしたわけではありません。ただ、この店舗がその方にとって心の拠り所のような存在になっていることを知り、私も元気になりました。

このお話を振り返ると、ここに続くまでの先人の努力が思い浮かびます。 お客様の生活に寄り添った接客や、安心感を提供する店づくりが積み重なり、このような「信頼」が生まれました。そして今、私が携わっている日々の業務も、確かにお客様の生活に豊かさや余裕を届ける一端を担っているのだと感じました。

例えば、棚の商品を丁寧に整理すること、笑顔でお客様に挨拶すること、これらの作業に加えて、風邪薬などを購入されるお客様に対して「無理せずお休みくださいね」と声をかけると、安心した表情で帰られることがあります。その一言が、お客様にとっては心地よい思いやりに感じられるのです。

こうした自分の働きが、遠く離れた土地にお住まいのお客様にまで安心感を届けうる力を持つのだと思うと自然と気持ちが引き締まります。毎日の作業の積み重ねが、誰かの生活を支え「豊かさ」へと続いていきます。

この学びをもとに、より一層お客様の気持ちに寄り添える存在になりたいと考えました。 そして「この薬局に来てよかった」と思っていただける店舗づくりを目指し、仲間とともにこれからも努力を続けていきます。

入賞:完全装備

(株)ツルハ 佐川店
片岡 李奈(ビューティーアドバイザー)

ツルハのBAとして働いて丸2年、私の昔と今と未来へのストーリー。

「知識の防具をつけよう!」
と私が仕事で上手く行かず落ち込んでいた時に、薬剤師のT先生がそう言ってくれました。(防具?装備…なにそれ笑)その時の私は日々の仕事に追われ、接客に時間を割く事もままならない状態で、すごく悩んでいました。さらに気持ちが落ちている時に限って笑顔にもなれず、失敗が続いてしまい昔の私は全然ダメダメでした。

先生のこの言葉でハッと気付かされたのは、勉強不足と時間配分のミスでした。それからの私は限られた時間の中で確実に仕事がこなせるように、タイムスケジュールを組み直し、そして悔しさに負けない為に化粧品と医薬品の勉強時間の確保とイメージトレーニング、OJTの際にメーカー様や先輩に手伝って頂き接客トレーニングも積極的に今も続けています。

そんな中、先日一緒に働いているOさんから「さっきの接客近くて聞こえてきたけど、声のトーンとやさしさ、思いやりも伝わってきてすごく良かった。」
と言ってくれました。

「ありがとうございます!!神対応を目指して、次も来て貰えるように心掛けています!」と私が返すと

「絶対来てくれますよ」と今世紀最大にテンション爆上がりの、お言葉ばかり言ってくれて、凄く幸せな気持ちになりました。

何故か恥ずかしくて言えなかったお客様の名前も言えるようになったり、知識の防具はまだまだですが少しずつ身に付いてくると、今までとは違って接客がとても楽しくなってきました。

今は目標を細かく決めて、トライアンドエラーを日々繰り返しゲーム感覚で頑張っています。

あの時のT先生の言葉がなかったら、努力もしない、何の装備もない弱々キャラのままでした。未来の私は完全装備で戦いに挑んでいることだと思います。

そろそろ仕事の時間なので、「行ってきます!」

私の成長、Lvアップはまだまだ続きます。

入賞:一期一会の出会いを大切に

(株)クスリのアオキ 森田薬局
境 玲(薬剤師)

ある日、高齢のお客様からお薬の相談をうけた。小さな疑問でも納得するまで、質問を何度でも投げかけてくる方だった。説明が上手く伝わっていないときにはお客様が納得するまで質問が続いた。私もその質問に答えようと時間をかけて精一杯答えた。すると最初は不安でこわばっていた表情もだんだんと優しい笑顔になり、最後は納得していただけた。それからその方は来店してくださる度に私に声をかけてくれて、お薬の相談だけでなく、世間話など他愛もない話をしてくれるようになった。その方の来店を私は密かに楽しみにしていた。そんなことが一年ほど続いたある日、私の県外への人事異動が決まった。そのことをそのお客様に伝えるとこんな言葉が返ってきた。

「今まではどうやったら安らかに最期を迎えられるかばかりを考えていた。でもお薬のことや他愛もない話をして、あなたの笑顔を見ていると明るい気持ちになって、毎日を前向きに生きようと思わせてくれた。買い物に来てあなたと話すことが日常の楽しみだった。本当にありがとうね。」

この言葉を頂いたとき私の笑顔がお客様を笑顔にできていた、それに対する喜びが心の底から込み上げてきた。活き活きとした表情は人から人へと伝染する。私は自分が笑顔にしていたお客様から笑顔にしてもらったのだ。

お客様との出会いは一期一会だと感じている。何度もご来店頂けるお客様もいれば、中には一度しかお会いできない方もいる。一度目の出会いを二度目に繋げられるような最高のおもてなしを常に心がけなければならない。

私は今秋から社内で最も大きな薬局を任せてもらえることになった。一人一人のお客様に費やせる時間は自然と限られてしまう。しかしお客様との出会いはこれからも変わらず大切にしていきたい。今、新天地での新しい出会いに胸を膨らませている。

入賞:私にできること

(株)クスリのアオキ 上田原薬局
荒井 善貴(薬剤師)

私にとって定期的に来局される患者さまの形姿の変化は、服薬指導における大切な情報のひとつだ。

ある夏の日、担当している患者さまが華奢になっていることに気がついた。 「最近は暑い日が続きますが、お食事など召し上がれていますか?」 世間話も兼ねて質問をした。すると、 「そうねぇ。何を食べても味がしなくてね。」 表情や声のトーンに違和感を覚えた私が 「そうですか。夏バテのような感じですか?」 と聞くと、少し間をおいて 「実は、春に主人が亡くなってね。1人だとご飯を作っても食卓が寂しいし、今まではこの時期に主人が桃を剥いてくれたり、2人でとうもろこしを茹でたりしたのよ。」 と、寂しげにお話をされた。

長い間共に歩んだ人が突然消えてしまう寂しさはどんなに大きいだろう。その悲しみは計り知れない。私にできることはなんだろうかと考え、「少しずつでも大丈夫ですので、口に入るものを召し上がってくださいね。よかったらまたお話も聞かせてください。」 と言うと、 「ありがとうね。」と小さく微笑んでご帰宅された。

数日後、再度来局された際に 「最近は何を召し上がっていますか?私は暑いとそうめんばかりになってしまいます。」 とお声かけをすると、 「おそうめんは私もよく食べるわ。梅干しを添えたり、大葉を刻んだりしてね。大葉は小さい鉢で育てているの。風味が良くてね。」 とたくさんお話ししてくださった。 それからは来局される度に、お食事のお話やお料理のコツをしてくださるようになった。 そして気づけば華奢になっていたお身体が豊かに戻った頃、 「いつも楽しくお話を聞いてくれてありがとう。ここにくるのが楽しみなのよ。」 と、嬉しいお言葉をいただいた。

日々、業務に追われる中で自分の職務に悩むことは多い。しかし、患者さまにとって信頼できる薬剤師として治療のサポートを行なっていくことが私にできることだと改めて感じた。

入賞:お節介な薬剤師さん

ウエルシア薬局(株) 焼津三ケ名店
渡辺 優樹(薬剤師)

「土曜日にまた来ますので前金用意しておいてくださいね」二人組の感じの良い若い男が玄関を後にした。 私は薬剤師でその時、居宅訪問先で薬を服薬カレンダーに入れていた。

今の話は恐らく詐欺に違いない。なぜならこの付近で同様の訪問詐欺があったと店舗従業員から聞いていたからだ。部屋を見渡すとほどなく200万円の契約書が見つかった。契約日は一昨日、契約者は患者様。

「○○さんさっきの話大丈夫ですか?お金って」 「え?誰か来たのかい?」認知症なのでこれが普通の反応だ。 私はどうすべきなんだ。クーリングオフすれば間に合うかもしれない。ふと弊社のスローガンが頭に浮かんだ。「変わる、変える、未来のウエルシア」気付いたらケアマネージャーに連絡していた。

そして私は警察、ケアマネージャーは地域包括へ連絡することになった。連携の結果、クーリングオフが成立した。

「それでは多職種連携会議を始めます。今回の議題は先日の詐欺事案についてです。薬剤師の渡辺さん、経緯等の説明をお願いします。」 会議では今後同様の被害にあわないよう、何が出来るかを話し合った。週一で居宅訪問している私の意見は特に重宝された気がした。

在宅では患者本人は問題意識がなく、サポートしている周りが奔走しているケースが少なくない。 「○○さん、お薬をカレンダーに入れておきますね」 「ありがとうね」 「あれから詐欺みたいな人来てないですか?」 「うちに詐欺なんて来た事一度もないよ」 やっぱり覚えてないか。これは薬剤師の仕事なのか?職務の範囲を越えたことをしていないか?という思いがよぎった。

「じゃあまた来週来ますね。」 「いつもお世話になってます。」 認知症で表情があまり変わらない○○さんの表情がその時少しだけ柔らかく見えた。そうだ、これは「私のお節介」ということにしよう。薬局に向けて歩き出す足が少し軽くなった気がした。

入賞:「ありがとう」のバトン。

(株)クスリのアオキ 一関薬局
田村 樹凜(薬剤師)

どんなに経験豊かな薬剤師であっても、最初はみんな一歩目から始まります。私もまた、薬剤師としての第一歩を踏み出す時、未来への大きな希望と少しの不安を抱えていました。当時の私には薬剤師としての明確な目標はなく、直属の上司である薬局長のもとで薬剤師業務を見学し、ただ一歩一歩学びながら日々を過ごしていました。

ある時、薬局に訪れた高齢の女性が、暗く沈んだ表情で話されていました。「薬が増えるばかりで、体調がよくならないのよ。週末に来る孫と公園に遊びに行くのが楽しみだったけど、今ではそれもできなくて悲しいわ。」その言葉からは、どこか途方に暮れたような気持ちが感じられました。薬局長は静かにその悩みを聞き、優しくアドバイスを続けました。やがて女性の顔に少しずつ光が戻り、最後には笑顔で「ありがとう」と感謝の言葉を口にされました。その瞬間、私は薬剤師として目指すべき場所を見つけた気がしました。

それからしばらくして、私は服薬指導を任されるようになり、体調が回復したその患者さんが嬉しそうに話してくれました。「この間、孫と一緒に公園に行ったら、お婆ちゃん元気になってくれてありがとうって言われたよ」その言葉を聞き、私は目の前の患者さんからその先にいる家族まで、「ありがとう」のバトンが繋がっていくのを感じました。薬剤師として、薬を通じて、どれだけ多くの人に感謝を伝えることができるのか、その可能性に胸が高鳴りました。

月日が流れ、今では薬局長として後輩を指導する立場にあります。あの頃、私が薬局長に見た頼もしい背中を、今の私は後輩に見せられているでしょうか。今でも、私の目指す場所は変わりません。今まで出会った仲間と、これから出会う仲間と共に。今日も誰かの「ありがとう」のために。そしてその先に続くもっと大きな「ありがとう」のために。今日も私は「ありがとう」のバトンを繋いでいきます。薬を通じて、心を込めて。

入賞:心の健康と思いやり

(株)クスリのアオキ 古府店
吉村 友輔(登録販売者)

新入社員として入社してしばらく経った頃、ある高齢の男性がご来店されました。 その男性はしばらく、お店を見て回った後、品出しをしている私に言いました。

「妻が最近、体調が芳しくなくて。薬はお医者さんから出してもらってるからいいんだが、食べ物も介護食をすすめられてしまって」 話を聞く私にその男性は続けて、 「ただ、妻は食事が好きだから。毎回同じものを食べさせて気が滅入ってしまったらどうしようかと」 そう聞いた私は、 「それでしたら、パウチになっている介護食がございます。意外と種類も多くて食事を楽しみながらお使いいただけます」 とお答えしました。 なるほどその手があったか、と男性の表情は明るくなりました。

「妻が体調を崩して、ずっと表情が暗かったんだ。何か元気づけられないかとずっと悩んでいたんだ。そう思うと私も辛くてね」 私はこの男性の奥様を思う気持ちに胸打たれていました。 「これなら妻も明るく食事できるよ!ありがとう!」 そういった男性は会計を終え、私の方に笑顔で手を振ってくれました。

この男性は私に、健康とは思いやりの現れだと教えてくれた気がしました。身体と心の健康が大事な現代で、心に寄り添えるということは私たちドラッグストアの従業員がより親身になって相談に乗ることなのかもしれません。そうすれば、将来的に、皆さんが笑顔で暮らせる世の中を実現できるのかもしれない。そんな希望を抱きました。 またあの男性とどこかでお顔を合わせることができたとしたら、元気に手を振ってもらえるよう、日々みなさんの心の元気を支えていきたいです。

入賞:心に寄り添う薬局の物語

(株)ツルハ 天王寺真法院店
玉利 海(薬剤師)

薬局カウンター越しに訪れる日常は、時に一つの物語として心に刻まれます。その中で特に忘れられない出会いがあります。一組の夫婦との特別な出会いです。

ある陰鬱な午後、年配の女性が心配そうな表情で薬局に足を運びました。彼女は「主人が肺がんの抗がん剤治療を受けていますが、うまく食事が取れず心配しています。タンパク質が足りず、足が浮腫んでしまって…どうか助けていただけませんか?」と祈るような思いで訴えました。その言葉の背後には、病に苦しむ夫への深い愛情と強い願いがあり、それはまるで心の中に直接響いてくるかのようでした。

その瞬間、私の心は動かされました。なんとか彼女の助けになりたい、その一心で私は考えを巡らせました。そして、「プロテインドリンク」を提案しました。液体なら喉を通りやすく、食欲が無くても摂取しやすいとの説明に、奥様は真剣に耳を傾け、一縷の希望を手にして帰られました。

数日後、再び彼女は姿を見せました。その表情は前回とは違い、一片の明るさを帯びていました。「主人はまだ浮腫みが完全に治ったわけではありませんが、プロテインを美味しく口にしてくれています。本当にありがとう。」その感謝の言葉は、暖かな感動の波となって心に広がりました。小さな提案が彼らの日々に光をもたらしたのだと思うと、私の胸には喜びと誇らしさが込み上げました。

この経験を通して、薬剤師としての仕事は単に薬を手渡すだけのものではなく、患者様の悩みや苦しみに寄り添い、共に解決を模索していくことに、本当の価値があるのだと気づかされました。

奥様から受け取った感謝と笑顔は、これからも私の原動力となります。この経験を胸に、明日もまた新たな日常の中で、誰かの支えになれるよう努めていきます。人生は続きますが、一つ一つの出会いに誠実に向き合い続けることが、私の使命だと心に刻みました。

入賞:服薬指導って難しい

(株)ツルハ 藤が丘
市川 達也(薬剤師)

私はドラッグストアで働く薬剤師。毎日が勉強の日々で社会人になってあっという間に8ヶ月が経った。接客が好きだからという理由で病院や調剤薬局ではなくドラッグストアという業界に進んだが、初めは何もうまくいかず悔しい日が続いた。

何が悔しかったかというと患者が自分の服薬指導に対して必要性を感じていなかったことだ。体調を伺っただけで「あなたに言ってどうなるの?」と小馬鹿にされたことや「早く薬だけくれ」と怒られたこともある。それがどうしても悔しかった。自信もなくなり、投薬するのが怖くなった。薬剤師として、ただ薬を渡すだけではなくコミュニケーションもとり、この薬局に来てよかったと思ってもらえるような服薬指導を行いたかった。

そんな中、前社長の「お客様、患者様は承認欲求を満たされにドラッグストアへ来ている」という言葉を思い出した。承認欲求とは、「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という願望である。

それから私は患者に対して、挨拶はもちろん、相手の目を見て名前を呼んで投薬することを意識し始めた。「〇〇さん最近体調いかがですか?」、「〇〇さん今日血圧どのくらいでしたか?」こう語りかけるだけで患者の態度は全く違った。怖そうなおじさんでも多少愛想は良くなる。次第に患者から「市川さんいつもありがとう。」「市川さんに薬の相談をしてよかった。」と声をかけていただくことも増えてそれが原動力となり働くことができている。

最初は怖かった服薬指導も好きになった。毎日患者と話すことを楽しみに出勤している。「挨拶」「目を見る」「名前を呼ぶ」これだけで相手の対応が変わってくる。私はこれからもこの3つを大切にして患者と関わっていきたい。これから入社してくる後輩や、もし服薬指導や患者とのコミュニケーションで困っている人がいればこのことを伝えたいと思う。

入賞:小さな未来

(株)クスリのアオキ 桂店
増田 興亮(登録販売者)

最近少し、この仕事が楽しいと感じる。 仕事に慣れ、丁寧な接客ができるようになった最近、お客様から感謝の言葉をいただくことが多くなった。そのたびに私は、胸の中に小さな幸せを感じている。

梅雨明けの晴れた日に一組の親子が買い物に来た。お母さんと6歳くらいの男の子だ。男の子は真っ赤なスニーカーを履き、元気そうに「こんにちは」とあいさつしていた。 呼び止められ話を聞くと、夏に家族で旅行に行くため、酔い止めのお薬が欲しいとのことだった。私は男の子の年齢を確認して大丈夫なことを判断し、酔い止めのお薬を提案した。子供用の酔い止めだったため味が何種類かあり、お母さんが男の子に確認すると、「ブドウ味!」と元気な声で返事をしていた。

思えば商品の説明をしているときも、彼ははずっとそわそわしていたように感じる。彼にとっては酔い止めのお薬を買いに来るということから、すでに旅行はスタートしているのかもしれない。 お母さんはその後レジへと向かったが、男の子は私の方を見て大きな声で「ありがとうございました!」と一言いい、レジへと走って向かった。 私はその瞬間に小さな喜びを感じた。

後日その親子らしき姿を別の場所でみた。男の子は真っ赤なスニーカーを履いていた。お母さんとの会話の中で「今日あそこ行かないのー?」と話しているのが聞こえた。私のお店だ。私は少しうれしくなった。この前の接客が良かったのかはわからない。だが彼は少なくとも私のお店を気に入っているようだった。

男の子が将来私のお店を利用してくれるかはわからない。しかし彼にとっては、私のお店は安心して利用できるお店なのは間違いないだろう。彼のような小さな安心を守ることが最近の私の喜びである。また彼のような存在が将来安心して利用できるお店を作り続けていくことが、私の今の働く目標である。

会員の購買単価が1.8倍になったカインズの「CAINZ DIY Square」

ホームセンターの大手カインズは、DIY(Do It Yourself)をテーマにしたオンラインコミュニティ「CAINZ DIY Square」を2021年にスタートさせた。運営開始からわずか3年あまりで会員数は4万5,000人に到達。コミュニティを通じてDIY関連の商品開発やサービス改善のヒントを得るだけでなく、店舗でのワークショップなどと連動したファン拡大に成功している。今回は、このコミュニティを立ち上げ、運営しているカインズ面白事業部の澁谷慶子氏にお話を伺った。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

DIY文化を広げるための“オンライン拠点”

CAINZ DIY Square

カインズは、「DIY」がもっと生活の一部として根付くよう、「DIYer100万人プロジェクト」を2019年11月から掲げている。そこでは「暮らしをちょっと良くすること」をすべてDIYと捉え、料理やガーデニング、キャンプや梅酒づくりまで含めて幅広く“DIY”と定義。「DIYに挑戦する人=DIYer」として、彼らを増やすことが大きな目標だ。

DIYerとカインズの接点は従来、店頭ワークショップ(WS)やイベントなどオフラインが中心だった。さらにオンラインを活用してお客同士のつながりや情報共有を深めたい─こうした思いから2021年にスタートしたのが「CAINZ DIY Square」である。

単なる「カインズファンの集まり」ではなく、「DIYが好きな人が集う場」というコンセプトを掲げるのが特徴だ。

同コミュニティは2021年7月にまず10人のコアメンバーのみを招待し、3ヵ月ほどクローズドで運営をはじめた。その間にオンライン座談会や試験的な企画を重ね、投稿の盛り上げ方や管理体制のノウハウを蓄積。

その後、9〜10月にかけて店頭WSでの声掛けや会員向けキャンペーンを少しずつ実施し、同年11月に公式リリースという形でオープン。「DIYer100万人プロジェクト」をオンラインで加速するための“拠点”として、本格稼働を始めたのである。

リリース当初は数百人規模だったが、その後キャンペーンや店舗誘導、アプリ配信などを通じて徐々に会員数が増え、2025年2月現在は約4万5,000人に到達した。

オンラインの承認欲求を満たす

「DIYと聞くと木工や本格的な日曜大工をイメージしがちですが、当コミュニティではくらしを楽しむためのあらゆる工夫や手づくりをDIYとして捉えています。したがって料理や園芸、手芸など投稿ジャンルは実に多彩です」と澁谷氏は語る。

CAINZ DIY Squareの投稿イメージ

ユーザーの男女比はおよそ半々。実店舗のWSは女性が多いが、オンラインでは男性ユーザーの熱量も高いという。

その背景について、澁谷氏は「DIY好きなユーザーの声を聞くと、家族から『またつくってるの?』とあきれられてしまうことも少なくないそう。ところがコミュニティに投稿すれば、同好の士から称賛や質問をたくさんもらえる。そこが継続の大きなモチベーションになっているようだ」と説明する。

オンライン上でやりとりしていたユーザー同士が、実店舗のWSやイベントを通じてさらに深くつながるケースもあるという。

コミュニティのユーザーが、WS参加時に名前のバッジをコミュニティネームで書いたところ、「もしかしてあの〇〇さんですか?」と意気投合。終わったあと店舗併設のカフェ「CAFE BRICCO」でお茶をし、それが縁となって「カインズ遠征」を企画して複数店舗を巡る“DIYツアー”を楽しむ…といった行動も生まれているという。

「オンラインだけの関係だと不安に思うかもしれませんが、店舗を介すことで安心感があり、実際に会ってみようと積極的になられているようです」と澁谷氏は語る。

投稿への“いいね!”で心理的安全性を高める

コミュニティの盛り上がりには、立ち上げ当初の地道な運営が大きく貢献している。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

“女性特有の悩み”を網羅するトモズ 白金高輪店のフェムケア売場

首都圏を中心に259店舗(2025年2月現在)を展開するドラッグストア(DgS)、トモズ。同社が白金高輪店で展開しているフェミニンケア(フェムケア)売場は、吸水ショーツや温活アイテムといった定番アイテムにとどまらず、デリケートゾーンケア、妊活関連など、幅広く、そして深いアイテムをラインナップする。その狙いを聞いた。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

月経ケア、デリケートゾーンケア、妊活…女性の悩みに寄り添う売場

トモズ 白金高輪店

地下鉄白金高輪駅から徒歩数分、国道1号線沿いのマンション1階に立地するトモズ 白金高輪店。2024年に改装オープンした同店舗で、ひときわ目を引くのがフェムケア売場だ。

3尺棚3本の売場に「女性特有の悩みを解決する」というコンセプトに合わせたアイテムが品揃えされている。

生理用品の棚から続くフェムケア売場の左側の棚には、ワコールのYOJOY、Bé-A(ベア)の吸水ショーツなどの月経関連アイテムが並び、棚下部にはアロマアイテム、温活グッズなどを配置。

おすすめ新商品としてPBであるAPSのデリケートゾーンケアアイテムとモアディーテを陳列

一番目につく中央の棚上段には、人気が高まるデリケートゾーンケアのアイテムが陳列されている。トモズのプライベートブランド(PB)ブランドである「APS」では新ライン「APSfond of me」のデリケートゾーンケアアイテムを展開。

Woman‘s Health Careコーナーとして、3尺棚3本で展開

 

具体的な売場の品揃えは月刊マーチャンダイジング note版で!

[店舗概要]

店舗名 トモズ 白金高輪店
所在地 東京都港区高輪1-3-1 プレミストタワー白金高輪1階
売場面積 126坪
営業時間 9:00~22:00

知っておくべき薬機法改正~OTC販売制度の変更~

厚生労働省は、2024年「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会」(以下部会)において10回の会議を重ね医療用医薬品、OTC医薬品の製造、流通、販売に関して見直し、2025年に薬機法の改正を行う見通しである。ここでは、ドラッグストア(DgS)に関係する2つの見直しについて解説する。なお、本記事の編集時点では、途中経過のみ公表されているので、内容は最終決定ではない。(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

濫用等のおそれのある医薬品の販売方法の変更

[図表1]全国の精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の「主たる薬物」の推移

近年、若年層が風邪薬や咳止め薬などを規定量を超え大量に服用し、意図的に高揚感を得る、いわゆる「オーバードーズ」が社会的に問題視されている。図表1は厚生労働省が発表している資料だが、10代の薬物依存で治療を受けたことがある人が、主にどのような薬物に依存したかという問いに対して市販薬(OTC医薬品)と回答した人は年々増加している。

これを防ぐために、常習性を引き起こす特定の成分を含むOTC医薬品=「濫用等のおそれのある医薬品」の販売方法を厳格にする対策が厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」にて検討された。

2024年の見直しでは、濫用等のおそれのある医薬品の陳列は購入者の手に届かない場所とする(空箱陳列等)、購入者の住所、氏名等を記録し保管するなどの対策が検討された。検討対象である濫用等のおそれのある医薬品を販売する主要チャネルはDgSである。

また、JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)のアンケート調査によれば、濫用等のおそれのある医薬品を150品目以上揃えている店舗は、回答37社の1万3,401店舗中、約72%に当たる9,600店舗あった。DgS側は、JACDSを中心に、この見直し案は実際に法律化されると、販売店側は大幅な作業増加につながり、本来の説明販売する余力がなくなるとして対案を提示するなどして厚生労働省と協議を重ねた。

その結果、2025年の1月に公表された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ(以下とりまとめ)」では、次のように記載されている(一部抜粋)。

続きは月刊MD note版で!

 

【冷凍食品は食卓の主役になれるか】イオンリテール(@FROZEN)食品本部デイリーフーズ商品部長 青木郁雄氏インタビュー

@FROZEN(アットフローズン)は2022年8月、「イオンスタイル新浦安MONA」内に1号店がオープンしたイオンリテール直営の冷凍食品専門店。日常食とは離れた有名店の逸品料理、日本各地の名産品、海外の人気商品など「非日常的な食を自宅で手軽に楽しもう」という新たなライフスタイル提案をしている。同事業の商品責任者であるイオンリテール(株)食品本部デイリーフーズ商品部長の青木郁雄氏に話を聞いた。(聞き手/月刊MD編集主幹 野間口 司郎)(月刊マーチャンダイジング2025年6月号より抜粋)

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

冷食に注力し続けるイオンの力と市場成長により専門業態が誕生

─まず、@FROZEN開業の意図や経緯について教えてください。

青木 イオンリテールは従来から冷凍食品に力を入れており、イオンスタイル北戸田では、実験的な要素もありましたが、他店と比較してもかなり広い売場を冷凍食品に充てており、品揃えに苦労したという過去もあります。こうした努力の積み重ねで、当社の冷凍食品のマーチャンダイジング(MD・商品政策)は進化してきました。それと並行して市場も成長しています。

以前は冷凍食品というと手抜きのイメージが強く、簡単にできるが味はもうひとつというのが現実でした。最近は冷凍技術が飛躍的に進歩して、味も品質も相当に高いレベルになっています。

加えて、女性の社会進出、単身化、高齢化が進んで、時短、簡便な食を求め「料理のつくらない化」が進行しています。さらに、1人分や2人分といった量をうまくつくるのは難しく、つくり過ぎて結局廃棄するというフードロスの問題もあり、それならおいしくなった冷凍食品でいいという考えが広く浸透してきました。

こうした状況をトータルに踏まえて、今後伸びる冷凍食品に投資しようということで@FROZENが誕生しました。

─開業した2022年8月はコロナ禍の最中でしたが、これは意図したタイミングでしょうか。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

イオンリテール(株)
食品本部デイリーフーズ商品部長
青木 郁雄氏

「管理栄養士おすすめ」ブランドで付加価値アップ目指すツルハグループの食品PB改革

ツルハグループの食品プライベートブランド(PB)では、「管理栄養士おすすめ」など、専門性をイメージさせるネーミングと健康を意識した機能性で付加価値づくりに成功している。このブランドを含む同社の食品PB改革のプロセスをTGMD※に取材した。
※TGMD=株式会社ツルハグループマーチャンダイジング。ツルハグループの物流、商品調達、店頭サポート、PB商品の企画・販促、通信販売(EC)事業を担う企業。
(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

ひと目でPB商品と分かる食品PBがなかった

ツルハグループでは2018年、それまでの日用品とHBC(ヘルス&ビューティケア)商品のプライベートブランド(PB)を、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」に刷新。PB開発の本格的な強化に乗り出した。以降、PB商品のSKU数、売上高を順調に伸ばしている。

[図表1]ツルハグループのPB商品業績(2024年5月期決算)

図表1は、ツルハホールディングス(HD)の2024年5月期のPB商品実績である。PB商品合計の売上高は943億2,400万円、売上高に占める構成比は10.5%となっている。

同社ではメーカー専売品(ツルハグループだけで販売するNB商品)もPB商品に含んでおり、PB商品全体の粗利益率は41.8%で収益への貢献性は高い。くらしリズム、くらしリズムMEDICALの合計の売上高は496億4,900万円、構成比5.5%となる。

日用品とHBCには、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」で対応、順調に開発を進めている一方で、食品PBに関しては核となるブランドを確立できていないという課題感もあった。

「食品PBは店頭で見てもそれがPB商品であるかどうかが分からない、PB商品でもパッケージデザインに統一感がないといった課題がありました。ここを修正しようということで、コンセプトやブランドを整理して全体的な開発マップをつくりました」(TGMD 食品MD本部 本部長 寺西正芳氏)

食品PBの改革に当たっては、通常PB開発本部の下で行われる開発を、寺西氏が本部長を務める食品MD本部の管轄に置き、寺西氏の前職である杏林堂商品本部長時代の経験も生かし、開発メンバー一丸となりフルスクラッチ(ゼロから)に近いかたちで臨んだ。

[図表2]食品PB開発軸のマップ

図表2は、食品PB開発軸のマップである。管理栄養士のおすすめやおくすり屋さんを前面に出した「①健康・美容」、ツルハ発祥の地である北海道にこだわった北海道シリーズを中心とする「②食べたくなる、おいしそう」、価格を訴求する「③買いやすい」、若年世代に面白さを提供する「④エンタメ、ダブルチョップ」以上4つの軸である。

「管理栄養士おすすめ」ブランドのオートミール。ツルハグループ内で売れ行き好調

「新しい食品PBづくりに着手して、1年経ちようやく形になってきました。既存の食品PBもこのどこかに当てはめてつくり直すことに現在力を入れています。今期中に140〜150のSKUを上市する予定です」(寺西氏)

コンセプト、ターゲットを明確にし、4つの開発軸を定めることで急ピッチの開発に成功している。

油の吸収率を抑えるパン粉でカテゴリー拡大

DgSは小商圏化に伴い、繰り返し来店につながる食品部門の重要性が増している。この分野でリピートも高い粗利も取れるPB商品の開発は各社にとって重要な戦略となっている。

先に見たようにツルハグループの専売品を含むPB商品の粗利益率は40%を超える優良分野である。重要戦略を任された開発チームがとくに期待しているのが「管理栄養士おすすめシリーズ」だ。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

左から PB商品開発部PB商品開発グループ 上條 俊之氏
食品MD本部 本部長 寺西正芳氏
食品MD本部 PB商品開発担当 嵩山しげみ氏

セブン−イレブン「成長に向けた取り組み」と「次世代店舗システム導入」による発注効果

昨年6月にセブン−イレブン・ジャパン執行役員商品本部長に就いた羽石奈緒氏。国内店舗売上5兆3,000億円を誇るセブン−イレブンの成長を担うキーパーソンである。折しもカナダのコンビニ大手からの買収提案に揺れる中で、セブン&アイの中核企業であるセブン−イレブン・ジャパンは独自の成長路線を明確にし、実証していく必要がある。2025年3月26日に会見を開いた羽石氏が「将来への成長に向けた取り組み」を語った。その内容とともに、今春から導入を図る「次世代店舗システム」との関連にも言及したい。
(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年5月号より抜粋)

ヨコ軸のお店の使われ方の幅とタテ軸の食場面の幅を拡大する

「我々が提供する商品は、あくまでも調理の補助(的な位置付け)だったものから、食卓を彩る一品になり、食卓のメインになるような商品の品揃えが増え、幅を広げています。自宅でもオフィスでも購入できるお店として幅が広がっています。これからもセブンイレブンの使われ方、利用のされ方、体験価値を地道に、地道に押し上げていくことによって、成長を遂げていきたい」(羽石氏)

[図表1]セブン−イレブン・ジャパンが目指す姿とは

会見で羽石氏が語るのは、セブン−イレブンが今後目指す姿だ(図表1)。

創業から早い段階でセブン−イレブンの成長を加速させたのが、移動の際に片手で食べられる、おにぎりやサンドイッチなどのワンハンド商品だ。当初は他社から仕入れた「いなりずし」をレジ前に置いて販売していたが、すぐにベンダーと協力して、おにぎりやサンドイッチなどの専用商品の導入を図った。

次に中華まんやおでん、揚げ物をカウンターに陳列、出来たてをすぐに食べたい需要を満たし、その後2013年に全店に導入したセブンカフェにより、挽きたてのレギュラーコーヒーを提供。さらに2025年2月に立地上、導入可能な全店にお届けサービス「7NOW」を取り入れている。図表のヨコ軸のように「来店目的・お店の使われ方の幅」を広げてきた。

一方のタテ軸については、例えば「カップデリ」(丸形容器の惣菜)を2017年に開発、サラダ、おつまみ、副菜を軸に約20アイテムを展開し、「食卓を彩るプラス1品」として「食場面の幅」の広がりに尽力してきた。

図表の右上が現時点の目指す姿であり「買い回りよくワンストップショッピングが可能」と位置付けている。冷凍食品を拡大し、プライベートブランド(PB)比率を高めると同時に、売場はアイスケース、中島冷凍リーチインを拡大する。また、日配商品を拡充し、2025年度より青果物のいっそうの拡大を図り、2030年までにオペレーションの体制を整えていく。

既存のミニスーパーとは異なる、コンビニが手掛けるワンストップショッピングの新しい業態開発を推進させていく考えである。

以上のような道筋を示した上で、将来への成長に向けて現在取り組んでいるのが、カウンターで販売する「出来たて商品の強化」である。

「我々の強みの一つである出来たての商品が家の近くで購入できれば、お店の使われ方が“さらに近く”に変わっていく、ここをチャンスと捉えて力を入れていきたい」(羽石氏)

出来たて商品は、おでんや中華まん、セブンカフェへと充実を図ってきた。現在は定番商品の「ななチキ」「揚げ鶏」に加えて、新たに「若鶏のからあげ」280円(本体価格、以下同)を販売する。

そして将来の成長に向けて、埼玉県29店舗でテストを実施(2025/1/9〜店舗改装せず、設備導入にて対応)、新たな商材として「セブンカフェティー」「セブンカフェベーカリー」として焼きたてのベーカリー(メロンパン、チョコクッキー、フィナンシェなど)をラインナップとして加えた。既存の揚げ物、カレーパン、ドーナツも継続している。

出来たて商品の拡充によるワンストップショッピング効果

カウンター商材に新たに加わるセブンカフェティー。コーヒーとカニバリせず、売上の上乗せに期待する

セブンカフェティーは、アールグレイ、アッサムブレンド、ダージリンティーの3種類の茶葉をアイス、ホット、ミルクから選択できるようにして、レギュラーサイズ、ラージサイズで展開している。

「テスト販売は好調です。女性客比率が高く、午後の時間帯が売れて、スイーツや菓子と一緒に購入されるお客様が多い。コーヒーとはカニバリせずに上乗せになることが、テストで分かっている状況」(羽石氏)

この埼玉県の29店舗のテスト店の売上動向だが、テスト前の11月を100とした指数で、新カウンターの商材を品揃えした店舗では、1月6日の週から3月10日の週の平均では、155と売上を大きく乗せることができた。

テスト店と同じ埼玉地区の他の店舗については、11月と比較した際に、1月6日の週から3月10日の週の期間は、一般的に(おでん・中華まんの低下にともない)87%とダウントレンドにあるが、テスト店では逆にカウンター商材を大きく伸ばしている。

また売上もカウンター商材だけではなく、それを買い求めるお客の来店により客数が前年4.2%増と効果を確認している。

出来たてのカウンター周りの商品だけでなく、併売効果によりカウンター商材の売上以上の効果を生んでいるという。カウンター商品は粗利率が高いので、全体の荒利を押し上げる効果も確認ができている。

お届けサービス「セブンNOW」についても、テスト店では焼きたて、揚げたて効果により注文が伸長している。

前述と同様に11月を100とした指数で、1月6日の週から3月10日の週の平均で1.5倍の注文件数の増加を確認している。

設備機器の導入について、ベーカリーの焼成機は2025年度上期に4,000台、下期には8,500台、セブンカフェティーは3月時点で90店だが、下期に2,000台を導入していく。

「商品タグ付け機能」による消費シーンを想定した発注

セブン−イレブンは今春より新たな基幹システム「次世代店舗システム」を順次導入している。これまでセブン−イレブンの情報システムは、基幹システムの集配信サーバを経由して、店舗ごとのストアコンピュータ(通称ストコン)に店舗システム機能を構築してきた。

それを改めて、今後はクラウドに店舗システム機能とデータを集約して、基幹システムとクラウドの間でデータを送受信する。基本的には有事の際を除いて全てをクラウド化にする。

加盟店オーナーは、情報が欲しければ、いつでもクラウド上でアクセスし、チェーン本部と円滑なコミュニケーションを図ることができる。

店舗システム機器については、既存のストコンを撤廃、また、これまでの「専用端末」に代わって「汎用端末」を利用する。従業員が普段から使い慣れているデバイス(タブレットとモバイル端末)で業務を行うため、店舗オーナーにとっては教育負荷の削減と、それに伴うコストの軽減を期待できる。

レジに関しても、タブレットを用いた小型サイズのものに2026年度から切り替えていく。小型化によりレジカウンターに30%程度の余裕をつくり、前述したベーカリー、あるいはセブンカフェの新シリーズに充当する。

商品発注に関して、既にセブン−イレブンは「AI発注」を加工食品や飲料などに取り入れており、今後は長鮮度商品(チルド温度帯)にも拡大を図っていく。弁当や惣菜は、加盟店の意思を反映するため、AI発注には現状は含まれていない。

また商品発注の際に、店側の欲しい商品やイベント、例えば「気温上昇時」に必要な商品とは何か?といった「商品タグ付け機能」により、消費シーンでの絞り込みや検証を可能としている。商品タグは、既存のカテゴリー別のタテ割り発想ではなく、カテゴリーをヨコ串にした、横断的な発注の切り口として期待が掛けられている。

「お店の方たちが発注する際に、暑ければ冷たい麺(冷やし中華や冷やしそばなど)だとピンときます。ただ、消費動向を見ると冷たい麺だけじゃなくて、冷たいパスタとかパスタサラダ、あとは梅のニーズとか、一緒に売れるものが変化しています。タグ機能により関連商品の発注が増えてくる、あるいは発注カウンセリングがしやすくなるメリットがあります」

新たな情報システムの導入により、店舗責任者(オーナー、もしくは店長)はストコンを使わずに、タブレットやモバイル端末からの商品発注やシフト管理を可能として、事務所という場所に縛られず、店舗経営に専心できるようになる。

セブン−イレブンの将来に向けた成長には、「出来たて」という付加価値の高い商品、その半面、最新デジタル機器を拡充した店舗運営の効率化により、成長を図っていく。

セブン−イレブン・ジャパン
執行役員商品本部長
羽石 奈緒氏

統計から「踊り場」脱却は見えないが売上高、客数、店舗数で前年クリアと上向き傾向のコンビニ業界

日本の小売業を牽引してきたコンビニ業態が「踊り場」から脱却できていない。日本のセブン−イレブンを実質創業した鈴木敏文氏は1979年3月、セブン−イレブンがわずか800店舗の時代に、「食品小売業75万軒の1割の7万軒、少なくとも5万軒はCVS(コンビニエンスストア)の可能性ありと考えています」とコンビニ業態の未来を語っている。その数は的中したものの、5万店の半ばで足踏みした状態が長らく続いている。コンビニ業態に成長の余地はあるのか─。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

来店客数は前年を上回るが2019年の水準には達せず

コンビニ大手はフランチャイズ方式を基本としている。加盟店とチェーン本部が車の両輪として、各自の役割を遂行することで、互いの発展を可能としてきた。2010年代中盤まで、特に東日本大震災の後に、それまで訴求が弱かった女性や中高年を上手に取り込みながら、リーマンショック後に停滞していた店舗数を再び拡大基調に乗せた。

一方で、2010年代の後半になると、本部の好業績に反して加盟店の窮状が一部で伝えられるようになる。人手不足や人件費上昇に耐えられず、コンビニの未来に黄色信号が灯った。

こうした状況を受けて、2019年6月に経済産業省は有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」を立ち上げた。チェーン本部は「拡大」よりも、加盟店の「利益」を重視しないと、コンビニの将来が見通せないとする危機感が業界全体で共有された。

そして2020年春から始まったコロナ禍の収束が見えてきた折、燃料価格の上昇と食品原材料価格の高騰がコンビニを襲った。生活者の最も近くで日常生活を支えるコンビニは、加盟店、本部ともに厳しい対応を迫られている。

そうした大きな変化に、コンビニは上手に対応できているのか、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が発表した2024年(1〜12月)におけるコンビニ7社の統計データをもとに、過去の数字と比較しながら考えてみる。

[図表1]コンビニエンスストア統計データ

2024年は売上高(全店、既存店)が過去最高、客単価の既存店ベースも過去最高となった(図表1)。全店売上高は2022年に11兆円を超えて、2024年は11兆7,953億円、2025年は12兆円に届くか届かないかの伸び率を示している。

ただし2024年の売上高については、消費者物価指数(2020年比)が106〜108%で推移、コンビニの商品も値上げ傾向にあるので、業態の成長と単純に見てはいけないだろう。

例えばセブン−イレブンは、カウンターで販売するホットコーヒー(レギュラー)を2022年7月に100円(税込み)から110円へ、2024年3月に110から120円に値上げしている。おにぎりやサンドイッチ、米飯弁当も、内容を変更しながらも単価を上げてきた。コーヒー豆や小麦粉、鶏卵など原材料の値上げを価格に転嫁した結果の売上高になる。

そこで着目すべきは、業態への支持を最も適格に示す「客数」になる。新規客が増えたのか、来店頻度が高くなったのか、いずれにせよコンビニ業態へのお客の支持を見る尺度として重要である。

2024年の来店客数は全店と既存店ともに前年を上回った。2022年、2023年と3年連続で上昇している。一方でパンデミックにより、2020年と2021年に連続して減少、2024年は上昇傾向とはいえ2019年の水準には達していない。2024年を2019年と比較すると全店ベースでマイナス6.2%の水準になる。2019年と比較して店舗数は0.2%増加しているので客数の減少は問題である。

高齢化が進み、人口が減少する日本は、今後ますます商圏が狭小化していく。商圏人口が減少する環境下では、既存のお客に足繁く自店に通ってもらえる店づくりがポイントになる。飽きのこない商品力もフレンドリーな接客も大切で、スマホアプリを顧客接点とする、お得な特典の付与も効果があるだろう。

セブンは“コンビニは高い”の印象を松竹梅の梅にスポットを当て解消

客単価は2019年より毎年上昇している。客単価は「1品単価×買上点数」になり、本来であれば、お客の欲しい“もう一品”の品揃えによる買上点数の増加が業態の成長にとって好ましいのだが、値上げラッシュ時には多くの店舗で1品単価の上昇が客単価に強く影響した。コンビニは加盟店ビジネスであり、大前提として重視すべきは「お客の利益」であるが、もう一つ「加盟店の利益」も重要になる。その点が直営店ビジネスと大きく異なる。

年々上昇する店舗従業員の時給に十分に耐えうるように加盟店の売上と利益を高める必要がある。チェーン本部は主力の弁当や調理パン、惣菜の価格を上げてきた。原材料費の上昇も理由にあるが、加盟店の利益確保を目指した値上げもこれに含まれる。

もちろん高単価であっても、価格以上の品質やおいしさを実現できれば、お客は喜んで手に取ってくれるであろう。その一方で、高単価が先にありきで、他業態の相場と比較してお値打ち感に乏しい商品も散見されている。

例えば、チルドの調理麺について、品質の向上が図られていても、中国料理の外食チェーン店と比較して、明らかに高価格帯のポジションを取れば、消費者に「コンビニは高い」といった印象を与えてしまう。実質賃金の下落が続く昨今の環境下において、価格重視のお客も多くなっている。

実際にセブン−イレブンは、松竹梅の価格戦略の中で、「梅」に相当する商品がお客に訴求できていなかった反省に立ち2024年9月に「うれしい値!宣言」をスタート。オリジナルのフレッシュフードについては、さまざまな業態の価格を確認しながら65アイテム(首都圏規格)を「うれしい値!」に設定、それまで「安心価格」で展開してきた205アイテムを「うれしい値!」に名称を統一、さまざまな販促物を用いて、買いやすい価格を訴求している。

2024年9月18日の会見でセブン−イレブン・ジャパン取締役常務執行役員商品戦略本部長の青山誠一氏は「お求めやすい商品も、しっかりと品揃えしていることを、より多くのお客様にお伝えしたい。数カ月は連続して、うれしい値!宣言を実施しなければいけない」と述べている。

図表1の)コンビニ業態では2024年の客単価は全店ベースで前年マイナスになった。セブン−イレブンの「うれしい値!宣言」と、それが競合チェーンに波及したことも要因として考えられるが、仮に1品単価の下落が影響を与えているとすれば、その分、買上点数が増えて、客単価の上昇が見られるのが理想であろう。とはいえ、従来と同じような品揃えでは、もう一品には手を出しづらい。

セブン−イレブンは「SIPストア(セブン−イレブン松戸常盤平駅前店)」でスーパーマーケット機能を備えた品揃えを展開し、成功事例を既存店へ導入している(2025年1月15日、筆者撮影)

そこで過去10年以上にわたって買上点数アップの方向性を示したのがスーパーマーケットの代替機能である。コンビニは、家庭の食卓に上るチルド惣菜やカット野菜など利便性の高い商品を強化してきた。昼食用の米飯弁当や調理パン、調理麺といった即食品を目的に来店したお客に、今日の夕食に出せる商品の購入を促してきた。新しい利用動機を創出して、買上点数の増加につなげようとしてきたのだ。

買上点数向上のもう一つの突破口は出来たて商品の提供である。セブン−イレブンは「お店で揚げたカレーパン」のインフラを活用した「お店で揚げたドーナツ」の展開をスタートさせている。カウンターで販売するドーナツを2024年9月段階で5,000店舗に導入、店舗平均販売数25個/日、日販効果プラス0.4%、粗利効果プラス0.2%を本部は確認している。2025年2月末までに導入可能な全店に拡大を図っている。

一般に出来たて商品の提供は、店内オペレーションの負荷が大きいことと、商品の完成度にブレが生じる懸念があり、特にコンビニのような加盟店ビジネスにはなじまないとされてきた。

しかし一方で「出来たて」は訴求力が強く、目的来店性に効果が認められるため、各コンビニチェーンは、商品を絞り込んで販売を強化してきた。ファミリーマートのファミチキや、ローソンのからあげクン、ミニストップのハロハロなどを看板商品にしている。各コンビニチェーンは、商品を絞り込み、店舗の負荷軽減を図りながら出来たてを育成してきた。集客の武器となる「出来たて」商品の拡大について、店舗への負荷と、どのように折り合いをつけていくのか、チェーン本部に問われている。

出店数は頭打ちも配送サービスを強化

2024年の店舗数は55,736店舗で、前年をクリアしたものの、2021年の55,950店舗に達していない。2010年代の半ばにセブン−イレブンは年間1,000店舗の純増、他チェーンも数百規模の純増を経験してきた。そうした往時と比較すると、現在は成熟期に入ったといえそうだ。

しかし店舗数に関しては別の見方もある。セブン−イレブンは2025年2月末までに、お届けサービスの「7NOW」を配達が可能な全ての店舗に導入している。

ローソンもミニストップも、ウーバーイーツや出前館といったフードデリバリーサービスと組んでお届けを強化する方向にある。デリバリーサービスによって商圏の拡大や深耕が図れるわけだから、新規出店に固執する必要はないとする考え方である。

将来的には配送ロボットやドローンの活用も普及していくだろう。新規出店によるドミナント構築だけではなく、お届けサービスによる商圏の占有率向上も期待できる。

現状デリバリーサービスの売上は、加盟店売上と利益を格段に高めるものではないが、今後の成長が見込まれる分野だけに、本部および加盟店は、車の両輪として拡大を図っていく必要があるだろう。

躍進するディスカウント系スーパーマーケット「オーケー」が関西に初出店した高井田店の実力

ディスカウント系スーパーマーケットの勢いが止まらない。実質賃金が伸び悩み、所得の中央値が減少する中、低価格の強さが改めて見直されている。ここでは2024年11月26日に関西に初出店したオーケーの店づくりを見ていきたい。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年2月号より転載)

安くなる仕組みを構築し、無駄なコストを削減

2024年11月26日にオープンしたオーケー高井田店。大阪府内で大阪市、堺市に次いで多い人口約48万人を抱える東大阪市に出店

日本で現在、成長を続けている業種・業態を考えてみると、ドラッグストア業態が真っ先に頭に浮かぶ。2023年度の市場規模は前年比5.6%増の9兆2,022億円(日本チェーンドラッグストア協会調べ)で、同じペースで伸長すれば2025年度には10兆円を超えそうだ。

もう一つはEC(消費者向け電子商取引)業態。「令和5年度電子商取引に関する市場調査」(経済産業省調べ、2024年9月25日)によると、日本国内のEC市場規模は、24.8兆円(前年比9.23%増)、うち物販系分野は14.7兆円(前年比4.83%増)と伸長している。

そして今回言及するのが「ディスカウント系スーパーマーケット」である。既存のスーパーマーケットと線引きが難しく、市場規模を示す数字もないため、業種・業態に分類できるのか、明確な答えはないが、該当企業の成長スピードを見ていけば、その傾向は顕著に表れている。

ディスカウント系スーパーマーケットのトップランナーがオーケー(本社/横浜市)である。店数は157店舗(2024年12月末)、売上高(テナント除く)は6,228億円(2024年3月期)で前期比12.7%増、コロナ禍前の2019年3月期が3,930億円だから、5年間で58.4%増という急成長を遂げている。2024年3月期の経常利益は379億円で売上高対経常利益率は6.1%とスーパーマーケットの中では群を抜いている。

二番手でオーケーを追い掛けるのがロピア(本社/川崎市)だ。店数は110店舗(24年12月)、売上高は2024年2月期が4,126億、2025年2月期に5,000億を計画している。2023年2月期より他のスーパーマーケットを連結子会社に加えたため、比較可能な2022年2月期(年商2,469億円)と2012年2月期(年商437億円)を見ると、10年間で5.6倍に成長している。

三番目は「業務スーパー」(経営/神戸物産、加古川市)。フランチャイズビジネスのため上記2社と売上高の比較はできないが、店舗数で見ると、2024年10月期が1,084店舗、2019年10月期が845店舗なので5年間で28.3%増と出店エリアを北海道から九州まで広げている。

最後はイオン系の「まいばすけっと」(本社)。2024年2月期で1,119店舗、売上高は2,578億円、これを2019年2月期と比較すると765店舗、1,537億円となり、5年間で店舗数は46.3%増、売上高は67.7%増と成長を加速させている。「まいばすけっと」は自らを「都市型小型食品スーパー」と称している。

ディスカウント系に分類するには異論もあるが、近年のコンビニ価格を高いと感じる層を集客しているため、コンビニ業態と比較してディスカウント系スーパーに分類してよいだろう。

以上4チェーンは、競合する既存業態と比較して価格を抑え、集客力を強めて、1店舗当たりのトップライン(売上高)を高める一方、徹底して無駄なコストの削減を試みている。

オーケー、ロピア、業務スーパーは、商品アイテムを絞り込み、大容量パックの比率を高め、店内作業を削減、店舗人員の抑制に努めて、人時生産性を高めている。

「まいばすけっと」についても、深夜営業をせず、納品も品出しも集約化、カウンターフーズの販売やチケットの発券などコンビニが有するサービスはせず、店内作業の軽減に注力して、最少人数でのオペレーションを可能にしている。各社、それぞれ「安くする仕組み」を構築しているが、本稿では2024年11月26日に関西に初出店したオーケー高井田店を取り上げる。

調剤は処方箋枚数の伸長に苦戦 ビジネス自体の勉強に注力

オーケーは、2023年6月に東大阪市が競争入札を実施した約1,100坪の土地を約27億円で落札、5階建ての店舗を建設した。地下1階を自社の売場とし、1階に100円ショップのダイソーをテナントで入れて、2階から4階を192台の駐車場、5階を自社の関西事務所に充てている。

同社の店舗では首都圏でも多くが地階を売場にしている。仮に1階を売場にすると、トラックが荷物を運んで来る搬入場や、階上の駐車場に向かうスロープなどに1階のスペースが取られてしまう。売場面積を建物の都合で縮小しないように、地階に確保するパターンを関西でも踏襲した。

「いろいろな制約の中で売場と駐車場を広くとるため、売場を地階に配置しています。当然その分の建設コストは上りますが、客数増による売上アップでカバーできると考えています」(オーケー代表取締役社長の二宮涼太郎氏)。

オープン直後のオーケー高井田店。開店前に数百人が列を成した。2021年、関西市場への足掛かりとするため、関西スーパーマーケットに買収提案を試みたが株主総会で否決されて裁判にまで発展した騒動も結果的に知名度アップに貢献したようだ

高井田店の売場面積は770坪。同社のなかでは大型店の位置付けになる。チェーン全体として見ると、売場面積は100坪から1,500坪、形態はテナントから土地・建物を自社所有、あるいは借地に自社物件など柔軟に対応している。中でも高井田店のような土地・建物の所有比率は同業他社と比較して高いという。

「土地取得によるリスクはあります。一方でディスカウントをする上では、土地を自社で所有し、長期にわたり営業すれば、コスト競争力につながっていきます。高井田店については、やはり関西1号店なので、売場面積と駐車台数を確保したいと考えて土地を購入しました」(二宮氏)

次に商品の価格について独自の方法を考案している。

オーケーは顧客に自社カード(オーケークラブ会員カード)への加入を勧めている。この会員カードには、食料品(酒類を除く)を現金払いしたお客に対して本体価格から3%相当額を割引く特典を付けている。1989年の消費税3%が導入されたときから施策として定着している。

「関西では初めての店なのに、オープン前に200円(発行費用)お支払いになって会員になられた方が3,000人もいます。非常に手応えを感じています」(二宮氏)

オーケーは地域で最も安値を保障している。社員が競合店の価格を調査して、自店が1円でも高ければ「競合店対抗」により即座に値下げを断行する。その際に条件とするのがオーケークラブ会員カードの提示だ。

現金払いのお客には3%の割引を適用し、その割引後の価格が競合店と同じか、それより安くなるように設定することで、扱う商品の最安値を保証している。実際に会員カードで買物をする人の割合は8割に達する。残りはキャッシュレスを好む一定割合の買物客になる。

経営方針は「高品質・Everyday Low Price」、商品政策は経営方針にあるエブリデー・ロープライス(EDLP)としている。その一方で、一時的に条件を付けて値下げする商品もあれば、メーカーの特別提供品も多く扱う。

関東では物流に関して2024年5月以降に冷凍商品を自社物流センター経由で店舗に納品している。3拠点の賃借冷凍倉庫を活用し、常温食品同様に冷凍商品は「センター着原価」での買付として価格競争力を高めている。関西はまだ1店舗なのでベンダーの物流を活用しているが、今後店舗数の増加を見極めて、自社物流に切り替えるなどして、店舗を含めた物流の効率化を図っていく。その際に、取扱商品の見直しを図り、冷凍分野の競争力を高めていくという。

新規事業として調剤薬局を2021年からスタートさせ、首都圏では13店舗を展開。高井田店では医薬品を扱うが調剤薬局は置いていない。

高井田店では日用雑貨など非食品ゾーンに医薬品の売場を設置、登録販売者と専用レジを置いている。調剤薬局は首都圏13店舗でこれからの展開を検証している

「需要が高いところもあれば、まだ処方箋枚数の伸びに苦戦しているところもある。調剤薬局というビジネス自体を一生懸命勉強している最中です。まず関東を強化して、その後に関西を考えていきたい」(二宮氏)

オーケーは2025年に兵庫県の5店舗、そして2026年に大阪府で7店舗をオープンすると公表した。

「既に様子を見る段階ではありません。当然ドミナント出店であり関西の中で規模感を出そうとすれば10店舗、20店舗の水準ではありません。どんどん増やしたい」(二宮氏)

首都圏を第1ドミナントとすれば関西圏は第2ドミナント、そこへわずか1、2年でチェーン化を試みる。かつてセブン-イレブンが新規エリアに怒涛の出店を繰り広げてきた展開と同じような勢いをディスカウント系スーパーマーケットのトップランナーが見せている。

NFI定例セミナー「ドラッグストアの「未来店舗」研究」ほか(2025/7/16 13:00~16:00)開催ご案内(リアル・リモート)

今回のテーマは、「ドラッグストアの未来店舗研究」です。ドラッグストアの未来戦略というテーマで、新業態の選択肢を解説します。また、「次世代型小売業をつくり上げるトピックス」というテーマで、この半年の取材活動で見えてきた、2030年代の小売業をつくり上げるために知っておきたいトピックスを紹介します。

2025年7月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回のテーマは、「ドラッグストアの未来店舗研究」です。ドラッグストアは、勃興期から30年以上が経過し、業態サイクルの後期を迎えています。従来の業態の延長線では、業態の衰退サイクルに突入します。新しい業態(乗り物)に転換しなければ、生き残れない転換期を迎えているのです。

ドラッグストアの未来戦略というテーマで、新業態の選択肢を解説します。また、月刊MDで取材してきた、各社が挑戦している未来店舗の戦略と戦術についても解説します。

また、「次世代型小売業をつくり上げるトピックス」というテーマで、この半年の取材活動で見えてきた、2030年代の小売業をつくり上げるために知っておきたいトピックスを紹介します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2025年7月16日(水) 13:00~16:00(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館7階(701)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2025年7月7日(月)

スケジュール

新業態を確立しなければ生き残れない
ドラッグストアの「未来店舗」研究

[13時~14時50分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

(1)ドラッグストアの未来戦略→新業態開発の方向性
(2)ドラッグ各社の新業態研究
→ツルハドラッグ、薬王堂、キリン堂、イオンリテール、セイムスなど
(3)失墜した米国ドラッグストアのようにならないためのポイント 他

SMの新業態開発、DXを活用した次世代型小売業
次世代型小売業のトピックス

[15時頃~16時00分頃]

MD NEXT編集長 鹿野 恵子

(1)軽量食品スーパーマーケットとドラッグストアの戦い(クルベ、ゲンキーなど)
(2)オムニチャネルとネットスーパー事業の最前線
(3)レジ・キャッシュレスの動向、ロボット活用の補充作業実験
(4)生成 AI が小売業をどう変えるのか 他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館7階(701)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

③リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。7月11日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。