環境にやさしい食品原料の「殺虫剤」「除草剤」がトレンドに

2015年9月に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals「持続可能な開発目標)」に関心が高まる中、地球環境にやさしい新商品が続々登場しています。そういう商品を消費者が積極的に支持するようになり、メーカーのマーケティング戦略も大きく変化しています。

食品原料99.9%の園芸用殺虫剤「ロハピ」(アースガーデン)。

99.9%食品原料の園芸用害虫対策商品「ロハピ」

10月10日に園芸業界最大の商談会「国際ガーデンエクスポ」に行ってきました。園芸・ガーデニングの人口は確実に増えています。たとえば、「家庭園芸薬品市場」は、2013年約250億円が、2019年は約320億円(フマキラー調べ)と着実に市場が拡大しています。

市場拡大を牽引しているのは、「除草剤」「園芸用不快害虫」です。注目すべきは、草を枯らす、害虫を殺すことを目的とした商品が、地球環境にやさしい食品原料の新商品が主流になっていることです。

アース製薬の展示ブースの一押し商品は、園芸用不快害虫対策の「ロハピ」でした。ロハピとは、「ロハス+ハッピー」の略で、環境にやさしい商品であることを強調したネーミングになっています。食品原料99.9%の病害虫対策商品です。以前の殺虫剤では、たとえばトマトの収穫の1週間以上前には使用を禁止する必要がありましたが、ロハピでは収穫の前日まで安心して使用できます。

また、アースガーデンでは、「まもるくん」というキャラクターをLINE登録し、病気にかかった葉・実・花の写真をスマホで送ると、AIが病名を特定して、対策をアドバイスしてくれるサービスを開始しました。スマホで園芸相談ができる時代なのですね。

LINEで園芸相談できるサービスも開始した(アース製薬のホームページより)。

酢の力ですばやく枯らす食品原料の除草剤「ビネガーキラー」

フマキラーも、食品生まれの除草剤「ビネガーキラー」を新発売しました。食品原料のお酢を使用した、安心・安全の除草剤です。2010年の1月20日より、全国のドラッグストア、ホームセンター、スーパーで販売する計画です。除草剤は、2013年対比で市場が約165%も成長している有望市場です。

小さな子供のいる家庭では、除草剤を使うのは心配と考える人がほとんどでした。私も小さな子供がいた時代は、庭に除草剤をまくのをためらい、夏場に汗だくになって除草したことを覚えています。ビネガーキラーは、食品原料の除草剤なので、小さな子供やペットのいる家庭でも安心して使用できます。また、畑や花壇の除草にも躊躇せず使用できるのは良いですね。

お酢でできた除草剤「ビネガーキラー」(フマキラー)。

「ロハピ」「ビネガーキラー」ともに、SDGsの流れに合った、地球環境にやさしく持続可能な新商品です。最近の消費者は、商品選びをするときに、社会に貢献している商品かどうかを重視する傾向が高まっています。新しい消費の主役「ミレニアル世代」(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人)にその傾向が顕著なようです。自然環境にやさしい殺虫剤、除草剤も、ミレニアル世代に選ばれる商品です。

また、スターバックスコーヒーが、「このコーヒー豆は、労働環境の良い農場でつくられた商品(フェアトレード)である」とシアトルのワシントン大学の売店でアピールしたところ、価格が高いフェアトレードコーヒーが爆発的に売れたそうです。これ以外にも、ピンクリボン運動を支援しているメーカーの商品を積極的に購入するなど、社会貢献のストーリーが売れ方に大きく影響を与える時代です。このトレンドを「社会貢献型マーケティング」といいます。

チェーンストアは 「平均点」を上げる教育が重要だ

2020年には1,000店を超える「4桁チェーン」のDgS(ドラッグストア)が、8社も登場します。1企業当たりの店舗数は10年前と比較すると桁違いに増えました。チェーンストアは店舗数が増えれば増えるほど「標準化」が重要になります。標準化とは、人による「バラツキ」、店による「バラツキ」を減らし、平均点を上げることです。「大量店舗」時代だからこそ、標準化の重要性を再確認すべきです。そのために、月刊マーチャンダイジング2011年7月号に掲載した「今月の視点」を再掲載します。今読んでも十分に通用する論理であると自負しています。

凡時徹底が組織力を高める

「小売業はイチローである」という話を講演でしたことがあります。対比すればメーカーはホームランバッターです。打率は2割3分台で、ヒットを打つ確率は低くても、一人の天才的研究者が稀に画期的な特許を取得したり、一人の天才的マーケッターが満塁ホームラン的メガブランドを当てれば、大きな売上と利益を獲得することができます。

一方、小売業には画期的な発明はほとんど存在しません。イチローのように、内野安打やシングルヒット、盗塁のような日々のコツコツとした「店内作業」を繰り返し、徹底することが最大の差別化策です。

「凡時徹底が非凡を産む」という言葉があります。だれにでもできる平凡な店内作業を、全店全員が徹底することは、とてつもなく非凡なことです。つまり、小売業の教育は、一握りの天才をつくる教育よりも、現場社員の平均点を上げる教育の方がはるかに重要なのです。

組織としての平均能力の高さこそが、小売企業の最大の差別化戦略です。たとえば、「レジ対応」は、買物客(ショッパー)が店舗で必ず通るコミュニケーションポイントです。どんなに安い商品を購入し、どんなに親切な接客を受けたとしても、最後のレジ対応で嫌な思いをすると、それまでの幸せな買物体験の記憶は吹き飛び、その店に対する印象は最悪の結果に終わってしまいます。「レジ対応」は、店の印象を決めるもっとも大切な最後の関所なのです。

「そんなこと分かっているよ」といわないで欲しい。マニュアル通りのレジ打ち作業と言葉使い、身だしなみ、笑顔を全店全員が徹底できている小売業は多くはありません。店の印象を決めるもっとも重要なコミュニケーションポイントであるにもかかわらずです。まさに凡時徹底が非凡を産む作業の典型が「レジ対応」です。

「100の指示より1の徹底」。ダメな組織ほど、社長、副社長、専務、常務、部長—etc.と、ありとあらゆる方向から膨大な異なった指示が現場に降り注いでいます。しかも、命令者はその時の気分で指示を出し、命令の出しっぱなしで報・連・相を要求しないから、現場は「やらなくても怒られない」ことが分かると、馬耳東風になり、「100の指示が来るが何もやらない」というダメ組織の典型になります。

行動改革で強い「企業文化」をつくる

企業の競争力は、「組織力」の強化です。そのためにもっとも大切なことは、「行動改革と強い企業文化づくり」です。意識改革をいくら教育しても、行動が変わらなければ意味はありません。経営者がいっていることと、現場の行動が異なる、つまり「いっていることとやっていること」の異なる組織では競争には勝てません。

「魂は細部に宿る」という言葉もあるように、現場での「行動」の細部を突き詰められるかどうかが勝敗を分けます。企業経営は、「企業文化づくり」に始まり、「企業文化づくり」に終わるといわれます。企業文化とは、その企業の「経営理念」や「経営哲学」が、単なるお題目ではなくて、その企業に属する社員全員の意識に深く浸透し、それが全員の「行動」の変化に結びついた状態のことをいいます。店数が増えれば増えるほど、行動改革を繰り返して、強い企業文化をつくることが、もっとも重要な経営対策になります。

小売業の教育は、現場の平均点を上げる教育であると同時に、結果よりも「行動(プロセス)」を評価する教育です。チェーンストアは、組織が有機的に連携し、チームワークで任務を遂行する組織です。そのためには、「結果管理」よりも、「プロセス(行動)管理」を重視しなければなりません。

一般的に、チェーンストア組織のスーパーバイザー(エリアマネジャー。7~10店を統括)は、担当エリアの売上・粗利・営業利益の数値責任を持ちます。しかし、「店長」は、売上責任の割合は少なくて、売上結果よりも、決められた行動・職務を徹底したかどうかのプロセスを評価する割合の方が高く、結果管理よりも、プロセス管理を重視します。

チームワークで任務を遂行する組織にとってもっとも重要なルールは、報・連・相(ほうれんそう)の徹底です。報・連・相とは、組織としてスムーズに仕事を遂行するための、上司への「報告・連絡・相談」のことです。仕事の問題点、解決策の相談・途中経過・終了報告を、指示を出した上司に伝えることで、個人プレーではなくて、チームワークで仕事を行う行動様式を徹底することです。報・連・相は、組織で仕事をするためのすべてであるといっても過言ではありません。

スーパーバイザーは「標準化」の徹底者

平均点を上げる教育とは、別の言葉を使えば「標準化」を進めることです。標準化とは、「バラツキを少なくすること」です。店舗によるバラツキ、人によるバラツキを極力少なくし、どの店に行っても一定の誤差の中で均質化されたサービスを受けられることがチェーンストアの本質的な価値です。

標準化を推進するためのキーマンがスーパーバイザー(≒エリアマネジャー)です。彼等は、担当しているエリアの店舗間格差を少なくするために、店舗を巡回し、不完全作業を摘発し、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で、その場で手本を示して作業方法を教育し、人による作業のバラツキを減らし、「完全作業」の精度を高めることが最大の「職務」
です。

スーパーバイザーがOITで完全作業を徹底させる責任者であるならば、スーパーバイザーは最新の機械の使い方、最新の作業方法を常に習得し続けなければなりません。ややもすると、現場から離れて、最新のレジを使えない「上司」という役割だけのスーパーバイザーになってしまいます。スーパーバイザーは店内作業のプロフェッショナルでなければならないのです。

また、完全作業を徹底するだけでなくて、PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を繰り返し、常に最新の作業方法などの新しい仕組みや制度を創り出すことも、スーパーバイザーの重要な職務です。いわれたことだけをやるのではなくて、新しい制度を創造し、それを新しいルールとして水平展開し、新しい作業方法をOJTで教育する「PDCAサイクル」も担当してもらいたいと思います。

また、小売業に属する実務家は、「現場感覚」を常に研ぎ澄ます必要があります。常に商品に触ったり、棚卸し作業をやったり、最新の現場作業を習得し続けることで現場感覚は磨かれます。現場感覚の鋭いスーパーバイザーや店長は、売場とバックヤードを見ただけで、およその「在庫金額」が分かるはずです。

セブンイレブンのOFC(オペレーションフィールドカウンセラー)の初期教育は、「棚卸作業」です。棚卸作業を繰り返すことで、売場を見ただけで在庫金額が分かるレベルまで商品と原価を覚えることが、OFCが経験する最初の教育だそうです。

(月刊マーチャンダイジング2011年7月号の「今月の視点」を一部修正して掲載)

「店舗数減少」でも売上を伸ばすウォルマート、ホームデポの戦略

アメリカの大手小売業は、新規出店投資を抑えて、EC、IT投資を拡大することで、既存店の売上を増やす方向に大きく舵を切っています。店舗数が減少しても、企業全体の売上を増やすためのオムニチャネル戦略の現状を分析してみます。

ウォルマートもホームデポも店舗数が減少している

月刊MDの読者が多い日本のドラッグストア(DgS)は、大量出店、陣取り合戦の真っただ中です。大手DgSは、今期も100店ペースの新規開店を継続しています。2020年の予測では、店舗数が1,000店を超える「4桁チェーン」のDgSが8社も誕生します。

一方、ウォルマート、ホームデポなどのアメリカの大手小売業は、この数年、店舗数を増やさないで、オムニチャネル化によって既存店の売上を増やす戦略に大きく転換しています。
図表1は、ウォルマートの過去5年間の店舗数の推移です。毎年、100店舗以上の新規出店を継続してきた同社ですが、2017年頃から出店ペースが鈍化し、2019年は前年比で約350店舗も店舗数が減少しています。

店舗数が約350店も減少しているにもかかわらず、2019年は前年比で2.9%も売上を増やしています。特筆すべきは、既存店売上伸長率が前年比で4.0%も増えていることです。

同様にホームデポも過去5年間、店舗数は横ばいです(図表2)。2019年は、2018年比で18店舗も店舗数が減少していますが、売上高は9.3%も増えています。ウォルマート同様に既存店売上伸長率が5.2%と高いことが、店数が減っても売上が増えている理由です。

オムニチャネル化で買物体験の質を向上

ウォルマートは、2019年期も実店舗とオンラインを融合させたオムニチャネル戦略を推し進め、新規出店投資を削減し、EC関連の投資を強化しました。オンラインで注文した食品を店舗の駐車場で受け取るオンライン・グローサリー・ピックアップ(カーブサイドピックアップ)の対応店舗は期末までに2,100店を超えました。また、オンラインで注文した食品を店舗のパーソナル・ショッパーが集め顧客の自宅まで届ける宅配サービス、オンライン・グローサリー・デリバリーを提供する店舗の数も800店に増えました。

オムニチャネル化を進めることで買物の便利性と選択肢を増やしたことが、既存店・既存顧客の売上増につながったようです。5年前の既存店売上伸長率が0.5%と低迷し、アマゾンの影響をモロに受けていましたが、2019年は既存店売上伸長率が4.0%と大きく伸びており、オムニチャネル化によるアマゾン対抗策の手ごたえを感じているようです。

一方、ホームデポは2017年から導入された「ワン・ホーム・デポ」戦略によって、オムニチャネル化を着実に進めています。店舗とデジタルのシームレス(つなぎめのない)な買物体験を推進し、顧客満足度を高めています。通常の店舗では3万から4万のアイテムが在庫されていますがが、オンラインでは100万以上のアイテムが販売されています。

オンラインでの買物は、BOPIS(Buy OnlinePickup In Store:オンライン注文、店舗でピックアップ)、BOSS(Buy Online Ship to Store:オンライン注文、店舗に配送)、BORIS(Buy OnlineReturn In Store:オンライン購入、店舗で返品)、BODFS(Buy Online Deliver From Store:オンライン注文、店舗から配達)の4つのプログラム(選択肢)を用意しています。オンライン注文した人の50%以上の顧客が「店舗ピックアップ」を選択しています。リアル店舗では在庫していない商品の売上が加わることで、店舗数が横ばいでも、既存店の売上を増やしているわけです。

日本のDgSは現在「大量出店時代」の真っただ中にあります。しかし、日本は人口が減少し、いつかは店舗数が飽和化し、大量出店時代は終わります。また、1店当たりの商圏人口が減少し、既存店の売上が低下する時代が必ず到来します。ウォルマート、ホームデポの現状は、日本の小売業の未来です。「オムニチャネルなどまだ先の話」と考えないで、売上減少時代に今から備える必要があると思います。

10年前とは様変わりしたドラッグストアの勢力図

この10年間でドラッグストア(DgS)の勢力図はどのような変化を遂げたのでしょうか?10年前の売上ランキングと現在のランキングを比較してみます。

上位15社の売上合計は約5.6兆円に達した

上場DgS15社の決算発表が出そろったので、図表1にまとめてみました。売上高第1位がツルハHD、僅差の第2位がウエルシアHD。この2社は8,000億円弱の売上に達し、グループで1兆円突破も視野に入っています。

第3位がコスモス薬品です。前年4位でしたが、サンドラッグを抜いて単独3位に入りました。上位2社がM&Aによって規模を拡大しているのに対して、コスモス薬品は自社の出店だけで成長しており、何年間も純増店舗数100店規模の高速出店を継続しています。

バローグループの中部薬品を含むDgS15社の売上高合計は約5.6兆円です。DgSは上位寡占化が一気に進んでいます。

10年前は40社で3.5兆円の売上高

図表2は、10年前の月刊MD2008年10月号の『ドラッグストア白書』で掲載した売上高ランキングです。未上場の企業も含めた40社のランキングを掲載しました。この40社の売上高合計は約3.5兆円です。10年前と比較して、企業数が大幅に減少し、40社対15社の比較ですが、売上高合計が1.6倍に増えています。

ちなみに、昨年の月刊MD2018年10月号の『ドラッグストア白書』 では、集約化が進み、未上場企業も含めて正確な数値が取れる企業数が減ったために、30社ランキングを掲載しています。10年前は、DgS企業が群雄割拠していたが、それが、この10年間で淘汰と集中が進んだことがわかります。

売上高ランキングも10年間で大きく変化しました。10年前の売上高第1位はマツモトキヨシHD、第2位がスギHDでした。現在は同5位、6位に順位を下げています。ココカラファインHDとの経営統合計画を進めている両社ですが、M&Aによって起死回生を図ろうとしているようです。

現在のウエルシアHDは、10年前は「グローウェルHD」という名称でした。懐かしいですね。グループ企業は、ウエルシア関東、高田薬局、寺島薬局、イレブンの企業名が入っており、この当時から積極的なM&Aを仕掛けていたことがわかります。10年前のグローウェルHDの売上高は約1,930億円なので、10年間で4倍も売上を増やしており、この10年間で驚異的な成長を遂げたことがわかります。大手DgSの中ではナンバーワンの成長率です。

中堅企業の中で、この10年間でもっとも成長した企業は、クスリのアオキです。10年前約490億円だった売上高が、2018年度決算では約2,500億円と、5倍以上の売上高成長を達成しています。また、薬王堂も10年前約375億円の売上高が、2018年に約910億円と10年で3倍近くも売上高を増やしています。

中部薬品も10年前の売上高約460億円が、2018年に約1,270億円と、こちらも約3倍も売上高を増やしています。ゲンキー(現在はGenky Drug Stores)も10年前約370億円が、2018年は約1,030億円と10年間で大きく規模を拡大しました。

10年前の売上高ランキングを見ると、この10年の間に、M&Aなどで屋号がなくなった企業がたくさんあることがわかります。群雄割拠していた戦国時代は、個性的な経営者がたくさんいて面白かったなあ。寡占化の進行は、産業として成熟していく過程では不可欠なプロセスなのでしょうが、ちょっと寂しい気もします。

ミヨシ石鹸がSalesforce導入で目指す新しい営業像とは?

2019年5月16日、WeWorkなんばにて「WeWork×Salesforceで持たない経営を志向するミヨシ石鹸のリアルボイスと共に」と題したイベントが開催された。新しい時代のBtoB営業のありかたについて、セールスフォース・ドットコムの敏腕営業マンとミヨシ石鹸の営業部長が取組を発表。WeWorkの洗練されながらもアットホームな雰囲気のなかで語られた本イベントの概要をレポートする。

国内CRMツールのリーディングカンパニー、トップ営業の仕事術

本イベントでは、まず、株式会社セールスフォース・ドットコム 関西支社 第7営業部部長の西澤宗さんが「セールスフォース・ドットコム敏腕営業が語る、成果に結びつく営業のコツ」と題して、同社の営業手法について語った。

西澤さんは、2017年にセールスフォース・ドットコムへフィールドセールス(営業)として入社。最短・最年少で部長へ就任し、現在は関西支社においてフィールドセールスのマネージャとして多くのお客への提案活動に取り組んでいる。

Salesforceはクラウド上で提供されているCRM(カスタマーリレーションマネジメント、顧客関係管理)ツールだ。単なるCRMではなく、中心に顧客のデータベースを置きながら、営業支援、カスタマーサービス効率化、マーケティング効率化などさまざまなソリューションを提供しているというのが特徴だ。

多くの中小企業は、顧客管理、マーケティングのためのメール配信、顧客管理、ユーザーサポートなど、業務ごとに異なるシステムを使っているため、経営の見える化が進まず、生産性が下がっているという課題を抱えている。しかし、Salesforceを活用すれば、一元的に顧客情報を管理し、業務を効率化することができるのだという。

逆算思考で月何案件対応するかを設定する

そのセールスフォース・ドットコムでトップ営業マンとして活躍する西澤さんは営業の際に「プランニング」「マインド」を意識しているという。

まずプランニングでは、目標を掲げ、どうそれを達成するかの計画をたてることが重要です。中でも重要なのは『逆算思考』。目の前の案件をとにかくこなすのではなく、目標の数字から逆算して、どう達成するかを考えています」(西澤さん)

西澤さんの方法論はこうだ。営業案件は、「新規」と「既存」の2つに分かれるので、まず新規と既存の受注金額の目標を設定。さらに「新規」と「既存」の受注金額の平均から、では何件の商談をクローズ(=受注)すればよいのかを算出する。そしてその受注数を獲得するためは、どれだけの商談を行えばいいのかを確定する。この数字を月次でレビューし、年間計画を立てる。計画通りにいかないときには、プランを立て直し、その月に何件案件をつくるかを目標にすることで「確実に勝てる戦い」をする。

「既存と新規、受注金額の大小、どちらにも依存せず、確率論で勝てる戦い方をするべきです」(西澤さん)

次に、お客様と接するときにどう考えるか「マインド」についても西澤さんは言及。「勝てない商談」を見極め、リソースをかけるべきところに集中するのが重要であるという。

ではいったいリソースをかけるべきところとそうでないところをどう優先順位づけるべきなのか?西澤さんは「提案価値」と「推進力」で判断することを薦める。

自分の提案がお客にとって価値があるのかどうかを「提案価値」と呼ぶ。企業経営において重要なのは、いかにして継続的に利益を上げ続けるかだが、これは「売上を上げる」「コストを下げる」「原価を下げる」ことに因数分解することができる。たとえば日報をシステムに登録して営業活動を管理することをお客に提案したとき、それが最終的に「売上」「コスト」「原価」のどこにつながるのか。そこの部分まで提案するのだ。

そして担当者に推進力があるかどうかを見極めたうえで商談に臨む。BtoB営業は、推進力のあるキーマンに接触しなければ受注にはつながりにくい。ここが担保できない場合、商談としての優先順位を引き下げると西澤さんは言う。経営目線で我々の提案にどのようなインパクトがあるのかを訴求することで、最終的には担当者の株をあげるような提案を心がけているという。

このほか、西澤さんはセールスフォース・ドットコムにおける敏腕営業を生み出すための組織体制や仕組みなどについても紹介。いかにして「売れる営業」を組織的に作り上げるかについて紹介をした。

情報共有の推進は「データを持たせない」こと

次に登壇したのは、ミヨシ石鹸取締役営業本部長の中野浩之さん。同社のSalesforce活用について紹介した。

ミヨシ石鹸は2018年年末に大阪営業所をWeWorkなんば内に移転。そのタイミングで営業車も廃止し、「持たない経営」を志向している。

「訪問する営業から来訪していただける営業に変わるため、営業車を廃止して公共交通やカーシェアリングを使うことにしました。持たないということは、気軽に新しいことに取り組めるという意味でもあります」(中野さん)

ミヨシ石鹸は、それまで情報共有に関していくつかの課題を抱えていた。一つは、東京と大阪に営業所が分かれていることにも起因して、情報共有ができていないという点だ。さらにエクセルで情報管理をしていたこともあり、顧客管理や営業案件管理も十分にできていなかった。そして社内に散らばるさまざまなデータを統合して分析・活用することも課題だった。

そこで中野さんが考えたのが「個々人のコンピュータ上にデータを持たせない」ことだ。データの管理はSalesforceに一元化。売上の推移を日次で確認できるのはもちろんのこと、営業日報や、コールセンターに届くお客様の声もSalesforceにインプットすることで、ベストプラクティスや課題を全社で共有することができるようになったのである。

AI「Salesforce Einstein」で製造ラインの効率アップ目指す

「これまでは営業の状況は担当営業しか把握していませんでした。ですが、Salesforce使って情報共有をしたことで、誰がどんな商談をして何が決まったのかを関係者が知ることができるようになりました。営業自体のレベルも上がったと感じています」(中野さん)

カスタマイズも簡単で、項目ごとの集計もできる。ミヨシ石鹸では、営業の業務内容を「商談」「内勤」「打ち合わせ」「店頭フォロー」などいくつかの種類に分類。それぞれにどれだけ時間を割いているかを数値化し、会社全体でどのようにリソースを割いているのかなどを分析しようとしている。将来的にはダッシュボードに掲載して、利用者全員が見られるようにしたいと中野さんは語る。

現在ミヨシ石鹸は、株式会社コアコンセプト・テクノロジーと共同で営業の状況などから生産計画を自動で作成するシステムを開発中だ。商談レポート、在庫データ、配荷店舗数、前年実績、直近の出荷実績などをセールスフォース・ドットコムが提供する人工知能エンジンである「Salesforce Einstein」(アインシュタイン)に入力し、より効率のよい製造計画を策定しようとしているのだ。

中小のメーカーはほとんど人が情報を整理し予測を立て製造ラインを動かしているのが現状。それをAIを活用することで、きちんと根拠のある判断ができるようにしたい」(中野さん)

システム導入で肝心なのは「あきらめないこと」

パネルディスカッションでは、司会をつとめたセールスフォース・ドットコム スタートアップ戦略部 広域ビジネス戦略部の福本加央里さんが登壇者たちに質問を投げかけた。

まず、Salesforce導入時に難しいと感じた点については、中野さんが「とにかくはじめは言葉がわからなくて苦労しました。時間はかかりましたがやっていくうちに少しずつ理解できました。あきらめないことが大事」と回答。

「持たない経営」やそれにともなうSalesforce活用で不便を感じたことは無いかと?いう質問に対しては、ミヨシ石鹸の営業担当者が、「個人的にはそんなに不便とは感じていません。情報の入力に関しても、スタート時には入力が大変と感じたが、今はスマートフォンからの入力ができるようになるなど、現場の要望に応じて改善をしてくれているので楽になった」と答えた。

Salesforce活用の今後について聞かれると、最終的にはCRMを目指していると中野さん。

社内にある様々な情報を、まずはSalesforceで整理し、Salesforce Einsteinにインプットする事でどのような結果が得られるのかを試してみたい。その時に一番大切になるのは『目的変数』です。何を最大化すべきか、何を最小化すべきかという軸を私たち自身が持たないと、いくら優れたAIで分析をしても意味が無い結果になってしまいます。最終的にはCRMを実現していきたいです。」(中野さん)

懇親会では登壇者と参加者がビールを片手に意見を交換し、盛況のうちにイベントは幕を閉じた。

消費者起点の新・需要創造をテーマにした「ピップ」の展示会

7月18日、ウエルネス・カンパニーを目指すピップ株式会社の展示会に行ってきました。健康寿命延伸のための売場づくりの提案が充実していたので、その一部を紹介します。

ライフステージに合わせた「悩み」を解決しよう

「人生100年時代」に突入する日本にとって、健康寿命の延伸こそが、解決すべき最大のテーマです。「健康寿命」とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。上の図で示したように、平均寿命と健康寿命の差の年数は、「フレイル(虚弱)」「寝たきり」などで健康上の問題で日常生活が不自由な期間のことです。男性で8.84年、女性で12.35年は不健康な期間です。この期間をできる限り短くすることが日本社会の最大の課題と言われています。

ピップでは、「女性のライフステージ」におけるそれぞれの悩みを、5つの「KIN活」で解決する「悩み別の売場」を提案していました(下の図参照)。従来のヘルスケアの売場は、「悩み」や「症状別」の売場は非常に少なくて、健康食品などはさまざまな商品が雑多に並べられているだけの売場がほとんどです。

Amazonでなんでも買える時代において、リアル店舗は、もはや消費者に商品を供給する唯一の販売チャネルではありません。ただ商品を陳列するだけで、商品を育成する力や、悩みを解決する力がなければ。リアル店舗の存在理由はなくなると思います。そういう意味では、ピップが提案した「女性の悩み別」の新・定番売場はとてもいいと思います。ピップでは、年代別、悩み別に、「筋活」「均活」「勤活」「菌活」「禁活」の5つの切り口を提案していました。

ヘルスケアは新・定番づくりの宝庫

ヘルスケア売場の多くは、「業界別」に商品をただ並べているだけの売場がほとんどです。たとえば、予備軍も含めて2,000万人はいるといわれている「糖尿病患者」の悩みを解決する糖尿病の定番売場のあるドラッグストアはほとんど存在しません。アメリカのウォルグリーンでは全米の8,000店全店で、調剤コーナーの近くに120cmの棚2本の「糖尿病の定番売場」があります(写真参照)。そんなに売れない商品も多くありますが、糖尿病の悩みを解決する定番を持つことは、ドラッグストアの社会的な使命だと思います。

ウォルグリーンの糖尿病対策(diabetes care)の定番売場。全店で展開されている(120cm×2本)。

また、「消費者起点の新・需要創造」をテーマに、「WLS(ウエルネス)」「ヘルス」「シニア」「ベビー」の新・定番を提案していました。需要創造の切り口としては、CDT(カテゴリー・デシジョン・ツリー)を作成して、悩み別にさまざまな業界の商品をアソートメントしていました。

「WLS」では、「プレコンセプションケア」を提案していました。プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら、自分たちの生活や健康と向き合うことと定義していました。さらに、ピップでは、妊娠だけでなくて、健康寿命延伸のキッカケにしたいと捉えていました。若い時からのケア意識が重要ということで、プレコンセプションケアを始めるタイミングを「18歳」と定義づけていました。

オーラルケア、骨の健康に影響するビタミンD摂取の提案などを組み合わせた売場。

プレコンセプションケア売場の作り方:妊活売場不在のDgSに、お客の約7割が不満

また、「シニア」のフレイル対策として、買上率が非常に高い、つまり、ヘルスケア売場よりも圧倒的に立ち寄り率の高い「パン売場」に、フレイル対策の健康食品を関連陳列する提案がありました。目に触れる機会の少ないヘルスケア商品と食品を組み合わせる提案は良いですね。

パン売場にフレイル対策商品を関連陳列する提案。

「ベビー」に関しては、人口が都市に集中している中で、「都市型店舗」のベビー売場の提案が興味深かったです。私も都心のマンションに住んでいますが、同じマンションでベビーを育てている世帯が非常に多いことに驚かされています。一方、私が子育てをした郊外の自宅の近くには小さな子供が少なくなり、私の子供が小さな頃に遊んだ公園の遊具が撤去された姿を見ると、人口(とくに子育て世代)の都市集中が実感できます。

ピップの調査では、郊外店舗と都市型店舗では、ベビーの消費傾向に大きな違いがあるそうです。それを以下のボードにまとめていました。その違いに合わせて、棚のゾーニングを決定し、90cmの棚2本で提案したのが、最後の写真です。

都市型店舗のベビー売場の提案。

ただ商品を並べているだけの売場が多いヘルスケア売場は、逆説的にいえば、まだ未開拓の新・需要創造の宝庫であると思います。

店頭で商品を育成できなければリアル店舗の価値はなくなる

労働人口の減少によって、リアル店舗の省人化→生産性向上の取り組みが加速しています。しかし、なんの情報発信もない「無人店舗」で買物するくらいなら、ネットで買物した方が便利です。店頭で商品価値を伝えて、商品を育成する力がなくなれば、リアル店舗の存在価値はなくなり、リアル店舗は滅びてしまうのではないでしょうか?

小売業だけが「販売チャネル」だった時代は過去のものに

先日、ウエルシアHDの池野隆光会長とお話をする機会がありました。その際に、池野会長から、「今後、メーカーは小売業を通さないで、直接ネット販売で売る商品を増やしていくのではないでしょうか? それが、これからのリアル店舗の最大の危機だと思いますね」という趣旨の発言をされたことが、とても印象に残りました。

事実、サントリーウエルネスなどは、オンライン広告を大量投入し、効能効果を伝え難い健康食品を、オンラインで育成し、直販しています。Yahoo!のトップ画面を開くたびに、サントリーのセサミンなどのレクタングル広告が目に入り、ついついクリックしてしまいます。

一方、DgS(ドラッグストア)の健康食品売場に行くと、商品はただ陳列されているだけで、商品の価値を伝えるPOPも少なく、売場の前でお客が迷っていても、誰も声をかけてはくれません。価値を伝えるのが難しい商品を育成する販売チャネルが、オンラインの方が優れているのであれば、リアル店舗の存在理由は果たしてあるのでしょうか?

リアル小売業だけが販売チャネルだった時代は過去のものです。しかし、サラリーマン化したリアル小売業のバイヤーは、メーカーに対して「価格」と「リベート」の話しかしません。テレビで話題になった商品を安売りし、「仕入れてやるからリベートよこせ」という商談は得意ですが、店頭で商品を育成することは不得意です。店頭に置いてあるだけで、売れなければ「返品」するという悪しき商習慣をやめなければ、メーカーに愛想をつかされるのではないかということを、ウエルシアHDの池野会長は危惧されているのではないかというのが私の感想です。

小売業が、価格とリベートの話しかしなくて、安易に返品し、売り難い商品を育成してくれないのであれば、「もう仕入れてもらわなくて結構です。インターネットで売ります」とリアル店舗に見切りをつけるメーカーが登場するかもしれません。「良い商品を自信をもって販売・育成し、地域の顧客に感謝される」という、リアル店舗の商売の原点に回帰すべきだと思います。

省人化→生産性向上と顧客サービス向上を両立

しかし、人手不足による賃金の上昇は深刻ですので、省人化→生産性向上の取り組みは待ったなしの状況です。「アマゾンGO」や「スタンダードコグニション」(日本ではパルタックが実験開始)などの「レジフリー」の実験は急速に進むと思われます。店内作業に占めるレジ作業時間は30%弱と、もっとも作業時間が多いのがレジ作業です。

もし将来、レジなし店舗でのスキャン&ゴーによる精算が主流になると、小売業の「人の生産性」は飛躍的に向上します。しかも、レジ担当者の教育にかかるコストは膨大です。レジ担当者の教育コストも考慮すると、非常に大きな経費の削減につながります。

腕時計型のウェアラブル端末で作業指示が表示されるオペレーションの実験も行っていた(サムズクラブ・ナウ)

しかし、大切なことは、レジフリーによる生産性向上を進めると同時に、空いた時間と人員を活用して接客などの「カスタマーサービス」を強化することが大切です。アメリカでは、ウォルマートが小型店の「サムズクラブ・ナウ」でレジフリーの実験を行っていました。しかし、サムズクラブ・ナウは、レジとキャッシャーがなくなっても、店舗の総人員数は減らさない「カスタマーサービス」強化の実験店でした。「ローコストオペレーション」が代名詞のウォルマートでさえ、顧客接点での有人サービスは、リアル店舗の重要な価値であると考えているようです。

「レジなし店舗」の実現で、小売業の生産性は飛躍的に向上する

もちろん、人手不足は今後も続くことは予想されますので、新しいテクノロジーを活用した「接客のオートメーション化」に取り組むことも重要です。たとえば、タブレットを活用して、化粧品や医薬品の接客をサポートすることも、人手を増やさないで、接客を強化するイノベーションにつながると思います。

タブレットを活用した接客サポートの良い点は、「誰が、どのくらいの時間、どんな内容の接客をしたか」という社員の接客のログ(記録)が残り、「接客を可視化」できることです。また、ITが接客を補助してくれるので、商品知識の勉強などの教育時間が短縮できます。また、誰が担当しても、一定の範囲内で均質化された接客ができることも、多店舗展開しているチェーンストアとしては重要な武器になります。最近ではRetail Marketing One社が提供するタブレットによる接客ツール「SmartCounseling 」の導入企業も増えているようです。

レジ作業をなくす一方で、タブレットを活用したカスタマーサービスを強化しているサムズクラブ・ナウ。

一方、省人化→無人化を進めている「パルタックのRDC」のように、顧客接点ではない単純作業の部分は、徹底的に省人化・無人化を進めるべきでしょう。顧客接点は有人サービス、顧客接点以外の単純作業は省人化・無人化の二面作戦が、これからのリアル小売業には不可欠の戦略になります。

池澤あやかの卸売業突撃レポ!PALTACのRDC新潟で感じた「包容力」

タレント/エンジニアの池澤あやか(@ikeay)さんによるPALTAC「RDC新潟」潜入レポートの後編です。AIロボに感動したあとは、一見地味?なケースを自動で開ける機械が登場!そして池澤さんが物流倉庫に「包容力」を感じた理由とは?後編も、ここでしか見られない萌える技術のオンパレードです!(構成・文/MD NEXT 鹿野恵子、写真/千葉太一)

オートカートンカッター:どんな箱でも器用に開封!

三木田
ここから先は、商品をバラの状態にして保管するための工程になります。この「オートカートンカッター」は、段ボール箱の上面を自動でカットする装置です。
池澤
わぁ、すごい!
三木田
上面をカットして、次の工程でバラバラにして保管します。
池澤
どうしてこれはピカッと光っているんですか?
三木田
人間の目で見ると同じように見えるケースでも、角がつぶれていたりして、一つ一つ状態が違うので、決められた位置に単純にカッターを当てて切るだけでは中のものまで傷つけてしまう可能性があります。
池澤
なるほど。
三木田
この装置は光ってカメラでケースの角の位置を推定し、カッターの位置を正確に制御することで、そのような失敗を防いでいるんです。
小さなカメラが付いたことで性能がアップした。
池澤
多少へこんでいても大丈夫なんですね。
三木田
はい。カッターで上面を切った後は、上の蓋を吸着してとって送り出します。
池澤
きれいにケースの蓋が取れますね!

 

三木田
実は先ほどお見せしたAIケースピッキングロボットよりもこちらの方が皆さん驚かれているんです。自動カッターを実現したのは弊社がはじめてで、この装置を使わせてほしいという企業様が多いので、外販を検討しております。
池澤
さすが。1つ1つ違う種類のケースが流れてくるのに、みんな同じようにスパッと蓋が取れるのは壮観ですね…!

三木田
ただ、ケースにびっしり商品を詰めているものに関しては、自動でカットすると中の商品まで切れてしまう可能性があるので、手作業で行っているものもあります。
池澤
やはり人間の手を介さないといけない部分もまだあるんですね。

 

三木田
そうですね。あの緑の道具が「SSカッター」といって、約4秒でケース上面をカットする弊社オリジナルのカッターです。ホームセンターでも販売していて、特許も取得しているんですよ。
池澤
特許、お好きですね(笑)。確かに作業が早いです!
三木田
やってみますか?
池澤
え、は、はい……。
緊張気味の池澤さん。
できた!この笑顔。
池澤
わ!簡単にできますね。でもそれなりに力も必要なので、オートカートンカッターの便利さがよくわかりました。

ストレージトレーステーション:バラエリア補充作業を歩行無しで実現

三木田
ここはストレージトレーステーションです。先ほどの上面を切ったケースが送られてきて、「保管トレー」に移し替えます。重量計がついていて、何個移しかえたのかを間違いなく数えることができます。
池澤
この保管トレーにバーコードがついていて、どの商品が何個、どのトレーに保管されているのかということがわかる仕組みなんですね。

三木田
その通りです。以前はこの作業を広い倉庫を歩き回りながら行っていたのですが、商品が手元に搬送されてくることで「歩行」がなくなりました。
池澤
だいぶ省力化できましたね。
三木田
商品を取り出した後の空き箱は全部頭上のコンベヤラインに乗せて、圧縮してリサイクル業者さんに販売します。
池澤
この作業はだいぶ複雑ですね。箱からトレーに詰めて、ケースを上に払う。ゴミの形状もバラバラですし。

三木田
おっしゃる通り、ケースの中にびっしり詰まっているものを取り出すというのがロボットは苦手です。ここの部分の自動化はまだ後回しだと考えています。
池澤
自動化にも順番があるんですね。
三木田
そうですね。この先は、小売業から出荷の依頼があった商品が、トレー自動倉庫などから出庫されて、小売業さんに送るために仕分けられる作業が始まるのですが、私はそこからロボット化したいと考えています。行ってみましょう。

MTCピックステーション:入庫と出庫を同時に行い、生産性2倍に

三木田
ここがMTCピックステーションです。奥の構造物が「トレー自動倉庫」です。トレー自動倉庫から自動的に出てきた保管トレーから、お店が必要としている個数だけ、バラ商品を青いピックトレーに詰め替えます。
池澤
この時点からお店の注文に従って商品を仕分けるわけですね。
三木田
はい。奥のトレー自動倉庫は、クレーンが「商品の出庫」と「商品の入庫」を同時に行うため、「出庫だけをする」「入庫だけをする」に対して効率は2倍です。新開発の技術でもちろん特許を取っています。特許大好き企業なんで(笑)。

池澤
入庫と出庫を同時にするということは、あのトレー自動倉庫の中でどうトレーが配置されるかというのって、意外と重要じゃないですか?

三木田
そうですね。どの商品をどこに置けば同時に出し入れができるかという「最適配置」を算出して制御しています。どの商品が何個、いつ頃出荷するかまで考えて配置する必要があります。現在は本当に簡単なアルゴリズムで配置していますが、もう一歩前進させたいです。

パックステーション:ロボット化、最後の難所

三木田
先ほどピックトレーに詰め替えられたバラ商品は、クロスベルトソーターで店舗ごとに割り当てられた間口に高速に仕分けられます。
池澤
本当に大きなソーターですね!

 

三木田
手元に搬送されてきたピックトレーのバラ商品は、人が手でオリコンに詰めます。
池澤
詰めるスピードがめちゃくちゃ早いし丁寧です!
三木田
バラ商品をどういう風にオリコンに詰めるかでトラックの積載効率が全然違いますから、なるべく満杯にしたい。満杯になったらプリンタからラベルが出てきますので、それを貼って出荷のラインに乗せます。
池澤
これはなかなかロボット化は難しそうですね。
三木田
そうですね。バラバラの形状のものを、なるべくオリコンをいっぱいにするように入れていくのは、ロボットには難しいです。ロボットは「置く」作業は簡単にできても「詰める」のは難しい。
池澤
人間だったら柔軟にできますけどね…。
三木田
ですので私はここがロボット化の最後の難所になるのではないかと考えています。

オリコンスタッカー:荷積みの順番まで考え、積載効率を上げる

三木田
これも当社オリジナルの技術「オリコンスタッカー」です。自動でオリコンを6段まで段積みします。
池澤
6段まで積むと、人の身長より高くなりますから、人間が手で行おうとすると大変な作業ですね。
三木田
あとはラベルに書かれた出荷口のところに運んで、トラックに荷積みして出荷します。どの順番でパレットやオリコンをトラックに積み込めば生産性が高いかということまで考えて作業をしているんですよ。
池澤
この段積みされたオリコンは、車輪がついた台車に乗っていて、女性でも簡単に移動できそうですね。
三木田
そうですね。でもこの工程もゆくゆくは自動化する予定なんです。自律移動ロボットで搬送したいと考えています。
池澤
まさに自動化の”鬼”ですね(笑)。

 

池澤
三木田さん、産業用ロボットは面白いですか?
三木田
楽しいですね。これまで自動車メーカーでロボット開発に携わってきましたが、こちらの仕事は使っている人の感想がダイレクトに届きますし、開発のサイクルも非常に速いです。
池澤
しかもこちらはダイレクトに企業の利益やコストカットにつながるところも面白いですよね。
三木田
そうですね。では最後の工程、返品の仕分けに行きましょう。

返品:減らすことで小売業もメーカーもお客様もハッピーになる

三木田
ここは小売業さんから送られてきた返品商品をメーカーさんごとに仕分けするソーターです。流通業界には膨大な量の返品があります。小売業さんは、消費者の方が商品を品切れで買えないという状況を避けるために、多めに発注されるんです。そうするとどうしても返品が発生してしまいます。
池澤
そんなにたくさん返品があるんですね!
三木田
バーコードを読み取ってメーカーさんごとに仕分けをして、最後はメーカーさんに送り返します。

池澤
ここはもうかなり効率化されているように感じます。
三木田
そうですね。ここを効率化するより、返品そのものをなくしたほうが根本的な問題の解決につながると私は思っていて、そのような研究をしています。余分なコストがなくなれば、メーカーも、卸も、小売りもハッピーになる。もちろん消費者の皆さんにも還元されます。

池澤
卸売業の皆さんが頑張っていただくと、もっと早く、安く、よいものが買えるようになる。全員幸せになりますね。頑張ってもらいたいです!

工夫の数々に「懐の広さ」を感じた

三木田
さて、これで見学は終わりですがどうでしたか?
池澤
思っていたより人は少ないし、機械と人が助け合っている様子を物流センターで見られるとは思っていなかったので、そのような光景が見られてびっくりしました。
三木田
そうですね。
池澤
製造業の工場では「ある一つのものを作る」ために同じ動きに特化したロボットを作ればいいのですが、物流センターは他社が作った商品を持ち寄っているので、取り扱うものの規格がバラバラで、そこにどう機械がフィットするかという工夫をたくさん見ることができました。懐の深さとか、包容力が必要なお仕事なんですね。秋にできる物流センターも楽しみにしています!
三木田
ありがとうございます!

池澤あやかの卸売業突撃レポ!PALTACのRDC新潟で最新鋭AIロボに萌える

小売業やメーカーがどんな業務なのかを理解しやすいのに対して、その間を結ぶ卸売業の役割は多くの人にとって謎に包まれています。そこで今回、MD NEXTでは1周年を記念して、タレント/エンジニアの池澤あやか(@ikeay)さんに、日用品卸大手のPALTACが2018年夏にオープンした大型物流倉庫「RDC新潟」のレポートを依頼。ロボットやAIについての知識も豊富な池澤さんに、卸売業がどんな役割を担っているのかを現地取材してもらいました。(構成・文/MD NEXT鹿野恵子、写真/千葉太一)

物流倉庫のイメージがひっくり返る!?

今日の案内役をつとめるのは本誌連載でもおなじみのPALTAC研究開発本部長の三木田雅和さん。前職では自動車メーカーでロボットエンジニアをしていたという異色の経歴の持ち主。

池澤
はじめまして!三木田さん。今日はよろしくお願いします!!
三木田
よろしくお願いします。さっそくですが、池澤さんはそもそも物流センターにどのようなイメージを持っていますか?
池澤
うーん、日常生活で意識したことはあまりなくて、人がたくさんいて棚からモノを出し入れしている…「ザ・倉庫」という感じでしょうか…。
三木田
普通はそうですよね。でも弊社のセンターを見ていただければ、イメージがひっくりかえるかもしれませんよ。まずは全体の流れをご説明します。

まずは三木田さんの授業がはじまりました。

三木田
現在日本の労働人口は、急激に減少しています。卸売業でも働き手の減少は免れません。そこで当社はこの労働人口減少の問題に取り組むため、SPAID(スペイド)という次世代型物流システムを自社で研究開発したんです。
池澤
自社でシステムを開発したんですか!
三木田
はい。まずはRDCの仕事の全体像を見てみましょう。RDCは「Regional Distribution Center」の略称です。全体の工程は大きく以下のような流れになっています。(クリックで大きく表示されます)

三木田
図表には細かく長く書いてありますが、「メーカーから届いた商品を、適切な状態で保管し、小売業の依頼に合わせて出荷する」というのが業務の核です。
池澤
そう説明してもらえるとわかりやすいです!
三木田
保管時の形状は大きく①パレット、②ケース、③バラの3種類です。このRDCでは、バラの商品は保管トレーというトレーに載せて「トレー自動倉庫」で保管します。

三木田
小売業から商品出荷の依頼があると、パレット、ケース、バラの状態で保管している商品が自動的に出庫されて、店舗ごとに仕分けられます。バラの商品はピッキングされて「オリコン」というプラスチック製のケースに入れて出荷します。
池澤
つまりこの、パレット、ケース、トレーに入ったバラの商品、それぞれを適切な状態で保管し、トラックに積み、小売業に届けるのがRDCの仕事なんですね。

三木田
はい。そこで2点改良をした点があって、その1つ目がバラピッキングです。
池澤
バラピッキング?
三木田
従来のバラピッキングというのは、広大なバラエリアを、作業する人がピッキングカートを押しながら歩行し、棚から商品をピッキングしていたんですね。棚への商品補充も作業者がカートを押しながら歩行して行っていました。
池澤
えーー!広い物流センターをカートを押しながら歩いていたんですか!?大きなお店で商品を探してカートを押しながら歩くのって大変ですけど、同じようなことをやっていたわけですね。これはかなり体力がいりそうなお仕事です…。
三木田
そこで弊社では、人が動くのではなく、逆に商品が動くシステムを開発したんです。これまでは作業時間の半分を「歩行」が占めていたのですが、新方式を採用したことで歩行がなくなり、生産性は従来方式の2倍になっています。
池澤
2倍!
三木田
もう一つ大きなポイントとして、これまで人間が行っていたパレット自動倉庫からの出庫作業をロボットを活用することで自動化しています。
池澤
ロボット!めっちゃ自動化進めていますね。実物を見るのが楽しみになってきました。
三木田
では実際に倉庫に行ってみましょう。
池澤
よろしくお願いします!!

入庫エリア:人にやさしい物流倉庫を目指して

池澤
これが物流センターですか。思ったより人が少ないですね!あと、なんだかいい感じの音楽も流れています。
三木田
働く人にとってやさしい環境づくりを心掛けていますので、音楽も重要です。

三木田
ここは入庫エリアです。メーカーさんから来たトラックが到着します。まずするのが検品作業です。荷物についているバーコードを読み込むと、ケースに何が入っているのかパソコンに表示されるので、入荷予定データと合っているか確認して、OKだったら検品完了となります。
池澤
これだけ広いということは、かなり大量の商品が入荷するんですね。
三木田
はい。検品完了になるとラベルが印刷されるので、その指示にしたがってフォークリフトで商品を移動します。パレットのまま保管する「パレット自動倉庫」に行くものもあれば、ケースのままで保管する「ケース自動倉庫」に行くものもあります。ケース出荷するものはパレット自動倉庫へ、バラ出荷する商品はケース自動倉庫に行くことが多いですね。
池澤
ここで行先が振り分けられるわけですね。
三木田
パレットからケースに分ける作業も、作業者の負担を考えて、持ち上げなくても作業できるようにしました。

池澤
重いもののはずなのに結構楽々ですね。
三木田
楽だし早いですね。今年11月に埼玉にオープンする新しい物流センターでは検品も自動化する予定です。それと、今は商品をフォークリフトで運んでいますが、ここも自動化します。環状線のようにぐるぐる回っているコンベアの上にパレットを放り込み、所定のところにきたら払い出すというシステムです。
池澤
それはヤバイ仕組みですね…。実物を見てみたいです。

パレット自動倉庫:どんな状況でも出荷体制を守り続ける

三木田
こちらがパレット自動倉庫です。決められた場所にパレットを置くと、クレーンが取りにきて自動で入庫します。
池澤
かなり大量に保管できそうです。
三木田
3,872パレットを保管することができますよ。最大10日分の保管量がありますが、高効率運用のために6日間分の保管量で運営をしています。
池澤
高く積んであるので、揺れには弱そうですが…?
三木田
免振装置がついていて、あまり揺れないように設計しています。私たちは生活必需品を扱っているので、地震などで出荷できなくなると、皆さんの暮らしに大きな影響を与えかねません。
池澤
どんな状況でも出荷できる体制を維持しようとなさってるんですね!すごい。

AIケースピッキングロボ:目と脳を持つロボに「柔軟性」を感じる

池澤
これが噂のロボットですね~。次々とパレットの上のケースを持ち上げています。アームが縦横無尽に移動していて同じ動きがありませんね!!
三木田
これまでのロボットは決まった商品に対し、同一の動作しかできなかったのですが、このロボットは上部にビジョンセンサーという「目」があって、ケースの形状を認識し、AI(脳)が適切な指示を出すことで、任意の位置から任意の位置へケースを自由に搬送することができるようになったんです。
池澤
荷物の重量も機械にかかる負荷には関係してくると思うのですが、それはビジョンセンサーだけではわかりませんよね?
三木田
新商品が出てきたときに、あらかじめケースの形や重量を人間がマスタに登録しておくんです。ビジョンセンサーがケースを認識したときに、マスターに登録されている荷姿や重量の情報と紐づけて、最適な搬送方法をリアルタイムで判断します。
池澤
ケースを持ち上げているのは吸盤ですか?
三木田
はい。真空状態にして吸い上げています。
池澤
次から次へといろいろな形状のケースを運んでいます。さっきはかなり大きなケースを運んでいましたが、今度はとても小さなケース。賢いですね!ロボットの柔軟性を感じますね…。
三木田
昔はこれも全部人の手でやっていたんですよ。私も新人研修でやったことがありますが、腰がもたなくて途中でギブアップしました(苦笑)。
池澤
これは本当に大変そうです。ロボットを導入したことでどれぐらい効率化されたんですか?
三木田
人が作業すると1時間に150ケースをさばくことができるんですが、このロボットを使うと1時間に600ケース対応できますので4倍です。人はどうしても疲れてしまいますが、ロボットは疲れませんので。
池澤
人とロボットで分担をした方がいいですね。お互い得意な分野をすると幸せになれそうです。
三木田
では次の工程に向かいましょう!
池澤
はい!ってこんなところ通るんですか~~!?(悲鳴)

 

後編に続く

アプリで注文して駐車場で受け取る「カーブサイド・ピックアップ」に注目

お客が、スマホのアプリで買物商品を注文すると、店舗のスタッフが売場を回って商品をピックアップ(買物代行)し、駐車場の専用場所で買物商品を受け取れる「カーブサイド・ピックアップ」が、アメリカで急速に普及しています。「買物時間」を短縮できる新しい「買物体験」が、アメリカの消費者に支持されているようです。

ダラス郊外のシャーマン地区にあるウォルマートスーパーセンターでは、店舗の側面のカーブサイド・ピックアップで、オンラインで注文した商品を無人で受け取ることができるサービスを開始した。

「完全無人」で商品を受け取れるウォルマート

テキサス州のダラス郊外のシャーマン地区にあるウォルマートスーパーセンターでは、カーブサイド・ピックアップをオートメーション化(無人化)する実験を行っています。「ウォルマート・グローサリー」という名称で、オンラインで注文された生鮮食品を含むすべての商品を、自動販売機のような仕組みで無人で受け取ることのできるサービスです。

上記の写真のように、店の左側面が一面ピックアップのスペースになっています。「オートメイテッド(自動)・ピックアップ」のスペースは、横幅が約40m、5つの専用窓口でピックアップできます。消費者は、スマホのアプリを使ってオンラインで商品を注文し、指定した時間に車でピックアップスペースに取りに行けば、店内に入らないで買物を完結することができます。

カーブサイド・ピックアップに車を駐車し、注文商品を無人で受け取ることができる。
専用の窓口(端末)にスマホに届いたコードをかざすと、買物袋に入った注文商品を自動で運んでくれる。わずか1~2分で商品が運ばれる。

消費者は、ピックアップスペースに車を駐車し、上記写真の窓口(端末)に、スマホに届いたコードをかざすと、1~2分後に扉が左右に開きます。3つの青い箱(オリコンのような箱)に置かれた買物袋(注文商品)を取り出すことができます。注文商品が多い場合は、「2グループのうち1つを用意できました。バッグをお取りください」と表示されて、次のグループの商品が再度運ばれてきます。買物袋に入った注文商品をすべて取り出すと、扉が自動的に閉まってピックアップが終了です。スタッフから手渡しされる従来のピックアップ・サービスよりも、無人のオートメイテッド・ピックアップの方が手軽なので、利用者が増えているそうです。

一方、テキサス州とメキシコに約400店を展開するリージョナルスーパーマーケットの「HEB」は3年前から、カーブサイド・ピックアップの実験を開始し、現在では100店以上の店舗に導入しています。カーブサイド・ピックアップの1日の注文件数が50件以上、平均の客単価が120ドルの店もあり、リアル店舗での買物プラスアルファの売上増に貢献していることがわかります。ネットスーパーを別にやるよりも、店内商品をヒックアップした方が在庫や廃棄のロスが少なくて、効率的だと思います。

カーブサイド・ピックアップに取り組む「ウォルマート」と「HEB」には、オンラインで注文した商品を店内でピックアップ(買物代行)する専門スタッフがいます。ウォルマートは、専用のショッピングカートで商品をピックアップしていました。一方、「HEB」は大量の注文を処理できるような専用のカートでピックアップしていました(下の写真)。

ネットで何でも買える時代において、リアル店舗の価値づくりこそが、もっとも重要な経営戦略です。「リアル店舗で買える」「オンラインで注文して配達してくれる」「オンラインで注文して店で受け取ることもできる」といった買物の「選択肢」を増やし、リアル店舗の買物をもっと便利にすることが、リアル店舗がネット販売に対抗するための回答のひとつだと思います。

オンラインで注文された商品を売場でピックアップする専用スタッフ(ウォルマート)。
大量の注文をさばけるように専用カートでピックアップしているテキサス州のリージョナルスーパーマーケット「HEB」。