冷蔵庫をサイネージ化したサンフランシスコのウォルグリーン。
冷蔵庫の中の商品をサイネージに表示
ウォルグリーンは、冷蔵庫の扉をサイネージ化する実験を開始しました。冷蔵庫の扉の後ろと前にカメラがついています。後ろのカメラは冷蔵庫の庫内を撮影しており、扉のサイネージに在庫商品の画像を映します。欠品している棚は、白い空欄で表示されます。
扉のサイネージには「動画」のコマーシャルを流すことができます。おすすめ商品やお買い得商品を目立たせるように表示したり、動画で目立たせることもできます。ウォルグリーンは冷蔵庫の扉を、ラスト・ワンマイルを促進する効果的な広告メディアとして、メーカーから広告収入を得るビジネスモデルの実験を開始しました。
テレビCMの影響が低下しているアメリカでは、店頭は非常に重要な広告メディアです。その商品の特徴を動画で放映したり、キャンペーンの告知を行うこともできます。
ウォルグリーンは現在、数十店規模で、冷蔵庫のサイネージ化の実験を始めていますが、8,000店を超える全店で導入すると、すごく影響力のあるメディアになりますね。
店頭はマーケティングの実験場になる
冷蔵庫の前のカメラは、来店客の購買行動を録画しています。POSデータは何がいくつ売れたかというデータしか取れません。このカメラでは、来店客(ショッパー)の「購買前行動」を記録することができます。たとえば、「購入商品を決めていてすぐに購入したのか?」「あれこれ迷って購入したのか?」「あれこれ迷って購入しないで帰ったのか?」「来店客はどの画面や動画を見たのか?」が記録されます。そのビッグデータをメーカーと小売が分析することで、「ラスト・ワンマイル」の精度を高めます。
ウォルグリーンは、画面に放映する「動画コンテンツ」や「購買前行動」などのビッグデータは、すべてマイクロソフトの「Azure(アジュール)」というクラウドサービスで管理しているそうです。
たとえば、メーカーがウォルグリーンのサイネージに投影する動画広告のコンテンツをアップロードする場合も、クラウドサービスを使えば、メーカー本社のパソコンから、遠く離れた店舗のコンテンツを変更することができます。
これまで多くの小売業がアマゾンのクラウドサービス「AWS」を採用していながら、自社の顧客売上データ、購買行動データ、決済データなどを商売上の競合が提供するシステム上に保管することを快くは思っていませんでした。近年「ウォルマート」「クローガー」「ウォルグリーン」などのリアル小売企業が、続々とマイクロソフトのアジュールを採用するようになったのです。
アメリカでは、アジュールが、アマゾンのAWSのシェアを逆転しました。「アジュール連合」vs「アマゾン」の熾烈なデータ覇権争いが勃発しているわけです。