今週の視点

店舗数・売上ともに2桁増の好調食品スーパー

第5回明確なコンセプトでアマゾンと差別化する「スプラウツ」

今週も、米国視察ツアーの報告です。現在、すべての米国の小売業は、「アマゾンといかに差別化できるか」が、最大の経営テーマです。たとえば、取扱商品におけるSB(ストアブランド)、PB(プライベートブランド)の比率が80%以上と高い「トレーダージョーズ」や「アルディ」は、アマゾンで取り扱っていないオリジナル商品を販売しているので、アマゾンと完全に差別化できています。

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すべての米国小売業は「vsアマゾン」が戦略テーマ

最大の「アマゾン対策」は、オリジナル商品開発を含む、店舗としての明確な「ブランディング」を実現することだと思います。安さ以外の「その店に行く理由」を明確にすることが、リアル店舗の生き残り戦略なのです。

成熟している米国の流通業では、売上高トップ100の小売企業の中で、店舗数、売上ともに2桁増の企業は4社しかありません。スプラウツファーマーズマーケット(以下スプラウツ)は、2017年度の売上が4046億円となり、対前年比12.6%増、店舗数も253店舗、対前年比17%増加し、米国小売業の売上ランキングで82位に成長し、ついにトップ100以内にランクインしました。

「FLONH」というライフスタイルを「低価格で」という明確なコンセプト

米国におけるスーパーマーケット企業の潮流のひとつが、FLONH(フロン)と呼ばれるスローガンです。FLONHとはFresh(新鮮)、Local(地産) Organic(有機) Natural(自然) Healthy(健康)の頭文字をとったものです。かつてのホールフーズマーケットがこれらのスローガンを掲げ、SM(スーパーマーケット)の品揃え革命を行ったことは記憶に新しいところです。

スプラウツは、FLONHというライフスタイルを、手頃な価格で実現できるという明確なコンセプトの「ライフスタイルストア」といえます。商品ではなくて、ライフスタイルを売ることが、「vsアマゾン」の回答のひとつであると考えます。

スプラウツの特徴は、居抜き物件にも入れる800坪程度の売場面積で、一般的なSMの半分程度の面積です。インストア加工を最小限として、低価格で「FLONH」(後述)を提供することです。ちなみに同社のスローガンは「Healthy life for less」(廉価で健康的な生活を)です。

売場の半分は青果売場

出荷段階で陳列を考慮したケースを採用。積み重ねることで、迫力が出る。しかもローコスト。

図表はスプラウツファーマーズマーケットの基本レイアウトです。左右の入りの相違はあるものの、レイアウトはほぼ統一され、ベーカリー、日配、デリ(惣菜)、肉、シーフードが続き、奥壁面から店舗面積の半分程度が青果売場です。

青果とレジの間に、ホットミールとバルク販売があり、酒、卵、ヨーグルト、冷凍食品が奥からレジに向かう主通路壁面に設置され、グロサリー、家庭雑貨(紙類など)、ヘルス&ビューティが差し込まれています。生鮮が主力ですが、サプリメントに力をいれているのも同店舗の特徴で、いかにもアメリカらしい組み合わせといえます。

健康に良いナッツなどのバルクフーズの売場。量り売りで自分好みにカスタマイズする売り方も人気だ。
FLONHというライフスタイルには、サプリメントは不可欠。サプリメント売場は充実している。

著者プロフィール

日野眞克
日野眞克ヒノマサカツ

株式会社ニュー・フォーマット研究所代表取締役社長。月刊『マーチャンダイジング』主幹を務める。株式会社商業界の「月刊販売革新」編集記者を経て、1997年に独立し、株式会社ニュー・フォーマット研究所を設立。