すべての米国小売業は「vsアマゾン」が戦略テーマ
最大の「アマゾン対策」は、オリジナル商品開発を含む、店舗としての明確な「ブランディング」を実現することだと思います。安さ以外の「その店に行く理由」を明確にすることが、リアル店舗の生き残り戦略なのです。
成熟している米国の流通業では、売上高トップ100の小売企業の中で、店舗数、売上ともに2桁増の企業は4社しかありません。スプラウツファーマーズマーケット(以下スプラウツ)は、2017年度の売上が4046億円となり、対前年比12.6%増、店舗数も253店舗、対前年比17%増加し、米国小売業の売上ランキングで82位に成長し、ついにトップ100以内にランクインしました。
「FLONH」というライフスタイルを「低価格で」という明確なコンセプト
米国におけるスーパーマーケット企業の潮流のひとつが、FLONH(フロン)と呼ばれるスローガンです。FLONHとはFresh(新鮮)、Local(地産) Organic(有機) Natural(自然) Healthy(健康)の頭文字をとったものです。かつてのホールフーズマーケットがこれらのスローガンを掲げ、SM(スーパーマーケット)の品揃え革命を行ったことは記憶に新しいところです。
スプラウツは、FLONHというライフスタイルを、手頃な価格で実現できるという明確なコンセプトの「ライフスタイルストア」といえます。商品ではなくて、ライフスタイルを売ることが、「vsアマゾン」の回答のひとつであると考えます。
スプラウツの特徴は、居抜き物件にも入れる800坪程度の売場面積で、一般的なSMの半分程度の面積です。インストア加工を最小限として、低価格で「FLONH」(後述)を提供することです。ちなみに同社のスローガンは「Healthy life for less」(廉価で健康的な生活を)です。
売場の半分は青果売場
図表はスプラウツファーマーズマーケットの基本レイアウトです。左右の入りの相違はあるものの、レイアウトはほぼ統一され、ベーカリー、日配、デリ(惣菜)、肉、シーフードが続き、奥壁面から店舗面積の半分程度が青果売場です。
青果とレジの間に、ホットミールとバルク販売があり、酒、卵、ヨーグルト、冷凍食品が奥からレジに向かう主通路壁面に設置され、グロサリー、家庭雑貨(紙類など)、ヘルス&ビューティが差し込まれています。生鮮が主力ですが、サプリメントに力をいれているのも同店舗の特徴で、いかにもアメリカらしい組み合わせといえます。