今週の視点

発見は縦方向、比較は横方向

第110回陳列の基本技術「上下の法則」「左右の法則」を知っていますか?

買いやすく、選びやすい陳列が、「ショートタイムショッピング(短時間の買物)」と「ワンストップショッピング(買上点数の多さ)」を両立させます。買いやすさ、選びやすさを実現する定番売場の2つの陳列技術を紹介します。

  • Facebook
  • Twitter
  • Line
  • Hatena

商品の発見段階はバーチカル陳列

写真1 バーチカル(縦方向)陳列は商品を発見しやすい

買いやすく、選びやすい定番売場の第1の陳列技術は「バーチカル陳列」です。バーチカル陳列とは縦方向の陳列という意味です。巻頭の写真1は、典型的なバーチカル陳列です。一般的に商品を発見する段階の陳列はバーチカル陳列が適しています。写真1は、「焼肉のたれ」「お酢系商品」という共通したカテゴリーを、ゴンドラ単位で縦方向にまとめています。

同一カテゴリーを縦方向にまとめることで、買物客の視線が上にあっても、下にあっても「焼肉のたれ」を発見することができます。一方で、ゴンドラの上半分を「焼肉のたれ」、下半分を「お酢系商品」と横方向に陳列すると、下方向に視線を向けて買い回りする買物客は、焼肉のたれを見逃してしまいます。

店が買物客から聞かれることの大半は、「この商品はどこにあるのですか?」という質問です。同一カテゴリーを縦方向にまとめて陳列することで、商品を発見する可能性は高くなり、選びやすく、買いやすい定番売場になります。縦方向に陳列したカテゴリーが連続している定番売場は、ショートタイムショッビングとワンストップショッピングの両方に貢献します。つまり、商品を発見する段階の陳列はバーチカル陳列が正しいのです。別の言葉では、この陳列技術のことを「上下の法則」と呼びます。

定番の棚は、女性の目線の30度下の角度の範囲を「ゴールデンゾーン」といいます。かつてはゴールデンゾーンには販売数量の多い「売れ筋商品」を陳列することが多かったのですが、最近は高利益率や高機能・高単価の「売り筋商品」をあえてゴールデンゾーンに陳列する陳列方法が増えています。

この陳列のポイントは、販売数量の多い売れ筋商品は棚の下段に陳列するかわりに、単品の陳列量を多く並べることが原則になります。売れ筋は、下段の悪い陳列場所(劣位置ともいう)でも、陳列フェースを広く維持すれば目立つので、商品を見逃す確率が低くなるからです。この陳列方法のことも「上下の法則」といいます。利益率の高い売り筋をゴールデンゾーン陳列することで、定番ゴンドラの「粗利ミックス」を目指すための陳列技術でもあります。

商品の比較段階はホリゾンタル陳列

写真2 左右の法則でブランドスイッチを促進

買いやすく、選びやすい定番売場の第2の陳列技術は「ホリゾンタル陳列」です。ホリゾンタル陳列とは横方向の陳列という意味です。写真2は、典型的なホリゾンタル陳列です。商品を発見する段階の陳列はバーチカル陳列が適していますが、商品を比較して購入を決定する段階はホリゾンタル陳列が適しています。

同一カテゴリーは縦方向にまとめますが、同一の用途・機能の中で、どのブランドを選ぶかは横方向に商品を陳列することで比較購買を促します。商品の発見段階は縦方向、比較・選択段階は横方向と覚えておくといいでしょう。

写真2は、「幅広歯ブラシ」という同一用途・機能の棚の左側に「売れ筋商品」を陳列し、その右隣にPB(プライベートブランド)の「売り筋商品」を比較陳列している事例です。一般的に、その棚の中で「買上率」の高い売れ筋商品の右隣が「優位置」であるといわれています。買上率の高い売れ筋商品は、その棚の中でもっとも視認率が高く、その右隣は視認率の高い良い場所という意味です。理由は、この文章のように、横文字が左から右に流れることに日本人は慣れているので、売れ筋を見た買物客は、自然にその左隣の商品を見るからです。この陳列技術のことを「左右の法則」といいます。利益率の高い売り筋商品を左に陳列すれば、「上下の法則」と同様に粗利ミックスが実現できます。

横文字が右から左に流れるアラビア語圏で商売をすれば、売れ筋の左隣が優位置になるかもしれませんね(笑)

参考記事

お客様の視線の「上下」「左右」に気を付けて売場を作ろう

商品陳列、「発見段階」はバーチカルに、「選択段階」はホリゾンタルにする理由

著者プロフィール

日野眞克
日野眞克ヒノマサカツ

株式会社ニュー・フォーマット研究所代表取締役社長。月刊『マーチャンダイジング』主幹を務める。株式会社商業界の「月刊販売革新」編集記者を経て、1997年に独立し、株式会社ニュー・フォーマット研究所を設立。