サンフランシスコのダウンタウンにある「スタンダードストア」。
カメラで購買行動を補足するジャスト・ウォークアウト方式
アメリカのスタートアップ企業「スタンダードコグニション社(Standard Cognition)」が、米国サンフランシスコのダウンタウンで実験中の「スタンダードストア」を見てきました。日本の大手卸売業「PALTAC」が提携して話題になった企業です。
東北のドラッグストア「薬王堂」が、スタンダードコグニション社(以下SC社)の技術を導入して、レジなし店舗の実験を開始する計画です。SC社は、今年の6月に東京オフィスを開設し、日本でも小売業向けの「レジ無人化システム」の導入を計画しています。
SC社の技術は、アマゾンゴーと同様に「AIカメラ」でお客の購買行動を補足し、お客は商品を自分のバッグに入れて、そのまま退店すれば精算が完了します。アマゾンゴーとの違いは、アマゾンゴーよりもカメラの台数が少なくてすむため、投資額が低いことです。また、アマゾンゴーは棚に「重量センサー」が付いていますが、SC社の技術では「カメラのみ」でお客の購買行動を補足できます。
さらに、アマゾンゴーのAIカメラが記録したお客の「購買前行動」のデータは原則非公開になるであろうと推測されるのに対し、SC社は「購買前行動」のビッグデータを小売業や取引メーカーに公開します。AIカメラが記録した「ショッパーリサーチ」のマーケティングデータを、製配販で分析し、売り方の改善に結びつけられるのは魅力ですね。
退店してから約10分後に電子レシートが来る
事前に「SC Checkout」の無料アプリをダウンロードし、メールアドレス、パスワード、クレジットカード情報を入力すると、下の画面が出てきます。入店した後に、「CHECK IN」を押すと買物がスタートします。
スタンダードストアは、あくまでもSC社のプレゼン用のモデル店舗なので、営業時間も平日3時間程度です。売場面積は約40坪の小型店で、1回に来店できる人数は5人以内に制限されていました。この店舗でデータを蓄積し、本格的な「レジ無人化システム」の実現を目指している段階のようです。スタンダードストアは、ノースカロライナ、トロント、ヒューストンにもありますが、売場面積の小さな「売店」からスタートしています。
店内には約30台のカメラがあります。商品を棚から取って、店の外に出ると、買物が完了します。店を出てから約10分後にアプリに電子レシートが飛んできます。今回体験した人達の中で「合法的万引」に成功した人はおらず、カメラのみで購買行動を正確に補足していました。