ツルハHDの「キャッシュレス戦略」 |自社Payサービス「HAPPAY」導入の背景と展望

日本におけるキャッシュレス決済比率が4割に迫る中、決済手数料を抑制するために「自社Payサービス」に関心を寄せる小売事業者が増えている。そんな中、ツルハホールディングスでは2023年6月、グループアプリに自社Payサービス「HAPPAY(ハッペイ)」を搭載した。自社Payサービスの提供開始に踏み切った背景や同社のキャッシュレス決済戦略を、ツルハHD 執行役員の小橋 義浩氏、デジタル推進部長の小原直之氏、経営企画部の大崎洋平氏に聞いた。

消費者の利便性向上のため自社Payサービスを開始

—はじめに、貴社がグループ内で利用できるPayサービスを展開するに至った背景についてお聞かせください。

小橋:我々は過去1年間で1度でも店舗でお買い物をしていただいたお客様を「アクティブユーザー」と定義しています。1,000万人を超えるアクティブユーザーの方に対し、デジタルの力でお客様の利便性をより高めたいと考えて、2019年11月にリリースしたのが、ツルハグループアプリです。そしてこのアプリをリリースした当初から、ポイントカードやクーポン情報、商品に関するさまざまな情報の提供をするとともに、自社Payサービスによるキャッシュレスにも取り組む構想がありました。

現在はおかげさまでアプリのダウンロード数は900万件を達成していますが、このようにアプリが一定の広がりを見せ、「プラットフォーム」と呼べるようになったことから、当初より計画していた自社Payサービスの搭載を実現することになりました。

もう1つの背景として、キャッシュレス決済の手数料をお客様に還元したいという点が挙げられます。日本国内ではいま、キャッシュレス決済比率が40%に達しようとしています。今後この比率がより高くなるにつれて、決済手数料は無視できない金額に膨らんでいくでしょう。

自社Payサービスを展開すれば、キャッシュレス事業会社に支払う決済手数料を削減できます。その分をお客様に還元し、より利便性を高めることで、ツルハグループでのお買い物頻度をさらに高めていただけるのではないかと考えました。

開発スピード、安定性・堅牢性の観点から「Wallet Station」を採用

—今回自社Payのための決済システムとしてインフキュリオンの「Wallet Station(ウォレットステーション)」を導入されましたが、採用に至った背景を教えてください。

小原:「Wallet Station」を採用した理由は大きく2つあります。開発スピードの速さと、堅牢性・安定性です。

ツルハHD 経営戦略本部 デジタル推進部長 小原直之氏

 

1つ目の開発スピードについて、今回、決済システムの導入を決定してからリリースまでの期間が1年以内に限られていました。ベンダーを探す期間なども含めると、開発にかけられるのは6カ月間。限られた時間の中で開発をスピーディーに進めるためには、一番時間がかかるPOSの通信部分の開発を短縮することが最適解と考えました。

そこで、すでに当社のPOSレジのQR決済に関する通信を担ってくれているインコム・ジャパンのコード決済ゲートウェイと自社Payシステムを連携することでPOS改修の負担を軽減させようと思い、この連携をスムーズに実現できる自社Payシステムとしてインフキュリオンの「Wallet Station」を導入することになったのです。

また、このシステム連携によって、店員は決済手段ごとにPOSレジを選択しなくても、提示されたバーコードを読み取るだけで決済が可能となり、自社Pay導入によるオペレーションの手間も減らすことができました。

2つ目の安定性・堅牢性についてですが、ツルハグループは全国に2,500店舗以上を展開しています。そこにPOSの台数を掛け合わせると、通信のトランザクション量が膨大になります。かつ、店舗は北海道から沖縄まで全国にまたがり、それぞれ通信環境も異なります。こうした事情から、全国規模で安定して稼働するシステムを提供できるベンダーを選定する必要がありました。

この点、インフキュリオンのシステムは「Coke ON Wallet」の決済機能としても採用されており、安定性・堅牢性に関しては当社の希望に合うものでした。

—「HAPPAY」の開発の過程ではどういったことに苦労されましたか?

小原:ツルハグループには8つ事業会社ブランドがあって、「HAPPAY」はそのうち7つのブランドで利用可能です。たとえば、お客様が店頭でアプリを利用する際は、「ツルハドラッグ」はツルハドラッグの、「くすりの福太郎」はくすりの福太郎のアプリをそれぞれダウンロードして提示していただく必要があるのですが、「HAPPAY」の口座は1つです。つまり、ツルハドラッグ、くすりの福太郎、いずれのアプリからも「HAPPAY」にアクセスできて、グループ横断で利用できます。

インフキュリオン側で開発される際、この部分が技術的にもっとも難しく、苦労した点と聞いています。

従業員にも利用してもらい、オペレーションの周知を徹底

—2023年6月に「HAPPAY」がリリースされました。現場の従業員やお客様へはどのように広げていったのでしょうか。

小原:6月の一般リリースを前に、5月16日にごく一部の人たちでテストをしました。動作を確認したあと、「HAPPAY」の運用について店舗にどう伝えていくべきか整理して、準備万端でリリースに臨みました。

6月のリリース時にはまず、従業員に対してキャンペーンを行いました。「HAPPAY」について従業員に知ってもらい、運用に役立ててもらう意図です。当社はグループ全体で約1万人の従業員がいます。全員のスマートフォンにアプリをダウンロードしてもらい、マニュアルを見ながら「HAPPAY」を使ってもらいました。この手順を踏んだことで、お客様に「HAPPAY」についてお伝えできる体制が整い、大きな混乱なくリリース日を迎えることができました。

現在は「HAPPAY」ユーザーを獲得するために、主にインセンティブを与えることで会員数を増やしています。「ツルハアプリへの登録で10%オフ」「この期間に『HAPPAY』で決済するとポイント付与」などですね。

小橋:小原がシステムを選定する際もっとも注意を払ったのが、お客様のお金を扱うのだからミスは許されないという点です。そうした観点から、お客様にご迷惑がかからないよう、混乱が起きないように慎重に進めてきました。コールセンターの設置もその一環です。

小原:「HAPPAY」に関してわからないことがあると、お客様は必ず従業員に問い合わせをするだろうと考えました。中には、従業員でもわからないことも出てくるでしょう。そこでまず、お客様向けのコールセンターを全国に立ち上げました。

また、決済エラーが出た場合など、現場の従業員がシステムについて何らかの問い合わせをするケースも想定して、従業員向けにインコム・ジャパンと、インフキュリオンにつながるコールセンターも設置しました。

コールセンターを設置するまでは、当社の情報システム部と各事業会社の担当者がお客様や現場からの問い合わせに対応していました。コールセンターを設けたことで社内のオペレーションも整理されましたし、本部でもいつ来るかわからない問い合わせに対して構える必要がなくなり、本来の業務に集中できるようになりました。

また、コールセンターに集まった問い合わせを分析することで、システム改善にもつながるという副次効果も生まれています。

—HAPPAYでの決済を開始して、社内外からの反響はいかがでしたか?

小原:1つは便利性に対する反響ですね。アプリ1つで決済までできて、かつ自社Payなのでツルハグループのポイントも付与されます。通常のお買い物で得られるポイントに加えて「HAPPAY」による決済でもグループポイントが付く点はお客様にとっての魅力だと思います。

小橋:2023年8月に開催された株主総会で、高齢の男性から「『HAPPAY』は非常に使いやすい。PayPayなど大手のQRコード決済サービスに対抗できるくらいの規模に育ててほしい」という声をいただきました。キャッシュレス決済サービスは若い方が使うイメージでしたが、幅広い年齢層の方に利用していただけているという手応えを感じています。

アプリこそ「One to Oneマーケティング」の入り口

—今後「HAPPAY」を発展させて、新しいサービスを展開する計画があればお聞かせください。

小橋:現在欧米では若者を中心に、BNPL(Buy Now Pay Later=後払い決済)が普及しています。ドラッグストアの消費者が1回の買い物で支払う平均的な金額は2,000〜3,000円。少額ですので、厳格な審査は必要なく後払いサービスをご利用いただけると考えています。こうした後払いサービスが導入できれば、その場で手持ちの現金がなくてもお買い物いただけるので、より利便性が高まるでしょう。

また、販促の方法も変化させていく必要があります。これまではクーポンの発行や一律での割引きが主な販促手段でしたが、今後は「『HAPPAY』で決済した場合は○%割引き」といったように、決済方法を絡めた販促手段を取り入れていきたいですね。

小原:ツルハアプリは他社のPayサービスと比較してシンプルにできているため、ご年配の方含め幅広い年齢層にご利用いただけます。一方で、今後は遊び心をプラスしていきたいですね。ゲーム性を持たせ、来店するたびにワクワクするような体験を提供したいと考えています。

また、利便性をより高める取り組みも必要です。現在、「HAPPAY」のチャージ方法は現金もしくは銀行口座チャージに限られています。今後チャージ方法を拡大することは必須ですが、そうなると手数料の問題が発生します。この辺りのバランスを考慮しながら、利用者が使いやすい決済方法を目指したいですね。

もう1つ、アプリ上で広告を展開していきたいと考えています。現状は広告を掲載する場所がないので、「HAPPAY」を通してお客様にお買い得情報をお知らせする機能を搭載し、利便性をアピールしたいですね。

—ツルハグループが目標とする自社Payの比率と、それを達成した際のコスト削減効果をどれくらい見込んでいますか?

小橋:キャッシュレス決済全体で「HAPPAY」が占める割合を4分の1にすることが目標です。

現在、当グループの売上は年間1兆円規模。将来的にはそのうち半分の4,000億〜5,000億円をキャッシュレス決済が占めるようになる想定です。このうち4分の1を「HAPPAY」が占めれば、年間10億円以上の手数料が抑制できると考えています。その分をお客様に還元し、お買い物をより楽しんでいただくための取り組みを強化したいですね。

—「HAPPAY」だけでなく、ツルハアプリ全体では今後どのようなことに取り組んでいかれますか?

大崎:当社の直近の中期経営計画では、デジタル会員比率を50%まで引き上げることを目標として、今期のアプリのダウンロード数920万件を目指しています。現状は順調に推移していまして、今期中の目標の達成と、その先の1,000万件ダウンロードに向かって走り出そうというところです。

今後はUI/UXを含め、より使いやすいアプリを目指して改善を重ねていきたいと思います。昨年の改修では、クーポンをあらかじめお気に入り登録して、レジで一斉に使えるようにする機能を追加するなどしましたが、よりアプリを進化させ、お客様にとっての使いやすさを追求していきたいですね。

当社では、デジタル技術を活用し、お客様一人ひとりのニーズに合わせた「One to Oneマーケティング」を掲げています。お客様との接点としてアプリを重要な「入り口」と考え、アプリを介してお客様一人ひとりに寄り添った心地よい販促やサービスを提供できるよう、引き続き尽力してまいります。

小橋:昨今、生成AIが加速度的に進化しています。今後は生成AIの技術を活用し、アプリ上でヘルスケアや医薬品、ビューティーに関する情報の発信や、商品を選定する際のアドバイスなど、お客様サポートを充実させていきたいですね。

また、バーチャルとリアリティとの融合も進めていきたいと考えています。たとえば自分のほしい商品が店舗のどこにあるかをアプリ上で示し、短時間でその場所にたどり着けるようにする。また、各商品の特徴を表示して商品選びの参考にしていただく。

小売業界では働き手不足に悩む企業が少なくありませんが、アプリを活用したこうした接客サービスを提供することで、お客様にストレスを感じさせないよう工夫することができます。お客様との接点の起点となるアプリに、店舗の課題を解決するような機能を搭載していく必要があるのではないかと考えています。

ー本日はありがとうございました。

小売業が熱視線を注ぐ「エンベデッド・ファイナンス」とはなにか?

企業が自社サービス内に金融機関を“組み込む”、エンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance)。「組み込み型金融」とも呼ばれるこの概念が、顧客にシームレスな購買体験を提供するとして、小売業界で関心が高まっている。エンベデッド・ファイナンスを導入することで、実際に何ができるのか、自社Payからどうサービスを拡張させていけばよいのか。株式会社インフキュリオン Embedded Fintech事業部 ビジネス開発2部 部長の伊與隆博(いよ たかひろ)氏にお話を伺った。

自社サービスに金融機関を“組み込む”「エンベデッド・ファイナンス」

「エンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance)」は、あまり聞き慣れない言葉かもしれない。直訳すれば「組み込み型金融」だ。「企業が自社サービス内に金融機能を組み込む」ことを指す。

国内で「エンベデッド・ファイナンス」への関心が高まったのは、2020年前後だ。背景には、消費者の行動様式の変化がある。総務省が発表した「令和3年通信利用動向調査」によると、生活者の74%がスマートフォンを保有。59%の人たちが、商品やサービスの購入・取引にインターネットを利用しているという。インターネットとスマートフォン経由での購買行動が定着していることが分かるだろう。

日常的な購買行動においてスマートフォンで様々なサービスを利用する「デジタル消費者」は、小売事業者とアプリを通じた接点がある。一方で、小売事業者もアプリを使って、クーポンや商品情報の配信など、販促・マーケティングを行うようになった。

そこに登場したのが、PayPayやau PAY、d払いといったコード決済だ。従来、ドラッグストア(DgS)で買物をする際は、レジで紙のクーポンを提示し、ポイントカードを読み込み、現金やカードで支払うという流れだった。コード決済アプリでは、アプリでクーポンを表示し、そのまま決済すれば、自動的にポイントまで付与される。

ただ、PayPayやd払いを決済手段として用いる場合、手数料を決済事業者に支払う必要がある。また、楽天ポイントやPontaポイントなどの共通ポイントを運営している企業に対して、ポイントの費用も負担する必要が出てくる。であれば、小売事業者が持つ自社アプリに、「自社Pay」という形で決済を組み込んでしまえばよい。

購買体験には「販促・マーケティング」「決済」「継続利用促進」と3つの段階があるが、従来の小売事業者のアプリ内における購買体験では、「決済」が抜け落ちていた。そこに決済や金融機能を組み込むことができれば、来店〜購買〜退店〜再来店をシームレスにつなげられる。こうしたユーザーの自然な購買体験を合理化したものが「エンベデッド・ファインナンス」なのだ。

小売事業者によるエンベデッド・ファイナンスの例の一つとして、UNIQLOが提供している「UNIQLO Pay」というコード決済が挙げられる。アプリに銀行口座やクレジットカードを登録すると、店頭でアプリをかざすだけで支払いが完了する仕組みだ。アプリを通じてお客に多様な購買体験を提供し、スピーディーな決済でより利便性を感じてもらえるよう、2021年1月よりサービスを開始した。

また、百貨店を営む高島屋では、自社で運営していた「積み立て友の会」をデジタル化し、申込みから積み立て、買い物の際の支払いまですべてアプリで完結できるようにした。

DgSに目を向ければ、ツルハホールディングスがアプリ上で銀行口座チャージや決済処理、および残高管理の機能「HAPPAY」を提供。ポイントやクーポンの利用、支払いが一つのアプリで完結できる、シームレスな決済を実現している。これもエンベデッド・ファイナンスの事例の1つといえる。

エンベデッド・ファイナンスは、「ペイメント(決済)」「カード」「レンディング(融資)」「バンキング(銀行)」「インシュアランス(保険)」「インベストメント(投資/証券)」の6つの領域に分類される。

これらに共通するポイントは、それぞれに法的規制がある点だ。金融サービスは、保険であれば保険業法、銀行であれば銀行法など法律が制定されており、ライセンスを持った事業者でなければ運営できないということだ。エンベデッド・ファイナンスは、こうしたライセンサーたちのライセンスを借りてサービスに組み込むイメージだ。

新たな収益源の確保に。小売業界がエンベデッド・ファイナンスに取り組む意義

小売業界がエンベデッド・ファイナンスに取り組む意義は2つある。

1つ目は、顧客の消費体験を向上させてさらなる「囲い込み」の強化を図ることができる点だ。従来は「販促・マーケティング」「決済」「継続利用促進」のうち、「決済」のみ、現金やクレジットカード、PayPayなど外部のコード決済サービスを頼るしかなかったが、ここを自社のペイメントサービスに置き換えることで、アプリ1つあればクーポンの配信、決済、ポイント付与から事後のマーケティングまでの一連を自社でハンドリングできる。これにより、消費者の購買体験の向上と囲い込みにつながる施策が打ちやすくなる。

2つ目は、新たな収益源となるサービスを提供できる点だ。先ほど示したエンベデッド・ファイナンスの6つの類型の中でも、決済・カードと保険は非常に相性がいい。例えば、クレジットカードを持つ人へ旅行のキャンセル保険を提案する。クレジットカードを持つ人が旅行をする際、多額の現金を持ち歩かずクレジットカードで決済する傾向がある。そこで、夏休み前に旅行のキャンセル保険についてダイレクトメールを打つと、契約が取りやすい傾向がある。

DgSでエンベデッド・ファイナンスを導入した場合、決済データをもとに、ベビーおむつを購入している人には学資保険を、機能性表示食品など健康に気を遣った商品を購入している人には医療保険を勧めるといったことが可能となる。これまでも、ID-POSデータを使ってそうした提案をすることはできたが、アプリに決済機能をエンベデッドすることで決済登録時に本人認証が行われるため、ユーザー属性の確からしさを担保することができ、より正確にセグメントを絞り込んで保険の提案を可能にする。

近年、多くのDgSが、顧客への「トータルヘルスケア」をテーマに掲げている。「薬を売る」だけでなく、生涯に渡ってお客様の「健康な明るい人生を支えること」をミッションとし、サービスを提供しようとしている。こうした取り組みも、エンベデッド・ファイナンスを導入すれば次のように実現できる。

まず、日常の消費は、自社のアプリに組み込んだ決済機能が担う。結婚や出産などのライフイベントが発生した場合、アプリまたは店頭で保険の見直しを提案したり、ローンを勧めたりする。決済データから介護用おむつを購入していることがわかれば、終活に向けて保険や信託を提案することができる。

さらに一歩進めれば、歩数アプリと連携して、健康的な生活をしていると推測される人は自動的に保険料が安くなるというような提案も可能になってくるだろう。 

「特別なリワード」で顧客ロイヤリティを高め、ファンを増やす

ポイントカードの発行や、ポイントアプリの提供まではすでに多くのDgSが実践している。インフキュリオンではさらに、エンベデッド・ファイナンスで自社Payを導入し、決済手段まで自社でまかなうことを提案する。

自社Payを利用する顧客は、その事業者の熱狂的なファンと言っていい。こうしたファンに向けて「特別なリワード」を提供することで、さらに強力な囲い込みを狙う。熱狂的なファンが増えれば、それだけ多くの決済データが取得でき、そのデータを他の事業に還元することが可能となる。

自社Payを導入することは、LTVの向上だけでなく、他社クレジットカードやコード決済の利用により発生していたキャッシュアウトの抑制にもつながる。

自社Payを含めたアプリをうまく展開しているのがドン・キホーテだ(運営:PPIH)。同社はmajicaアプリにポイント機能と決済機能を搭載。アプリで決済することでポイント料率が高くなるなど、特別感を打ち出している。このことで同社の自社Payを含む自社決済費比率は40%を超えており、2025年6月までに50%超を目指そうと計画している。(出典:https://ppih.co.jp/ir/library/earnings/pdf/PPIH_FY2023_Q2_Presentation_J.pdf

また、人気商品であるカラーコンタクトを購入する際、あらかじめ処方せんや健康保険証を取り込んでおくことで、原本を提示しなくてもカラーコンタクトの購入を可能にした。「処方せんと健康保険証を都度提示するのは面倒だ」という消費者のペインをアプリによって解消した好事例だ。

現状、DgSでは顧客の来店頻度を増やすために、オフライン施策を充実させる傾向にある。例えば、店舗に健康診断書を持参すると、栄養士が食生活に関するアドバイスをしてくれるといったサービスだ。エンベデッド・ファイナンスを導入すれば、アプリ上で保険を売るといったクロスセルの動きができるようになる。

現在はまだエンベデッド・ファイナンスがスタートしたばかりで大きな成功事例は聞こえてこないが、今後はオフラインとオンラインを組み合わせたサービス事例が出てくるだろう。町のコミュニケーションスペースとなるポテンシャルを秘めたDgSならではの今後の動向に期待する。

信頼できるアドバイザーを見つけることがカギに。エンベデッド・ファイナンス導入のポイント

最後に、小売事業者がエンベデッド・ファイナンスを導入する場合の手順と導入のポイントを紹介したい。

エンベデッド・ファイナンスには3つのプレイヤーが存在する。1つ目が、DgSなどのBtoC事業者。2つ目が、銀行や保険などの金融事業者。3つ目が、BtoC事業者と金融事業者をつなぐ「イネーブラー」だ。

BtoC事業者が自社Payを導入したいと考えた場合、連携先の金融事業者(銀行・企業・機構等)と、エンベデッド・ファイナンスを技術的にサポートするためのイネーブラーを選定する。この「イネーブラー」は、金融事業者とBtoC事業者を結ぶテクノロジー企業だ。多様な金融機能をサービスに組み込む際に複数の金融事業者と連携を取ることがあるため、イネーブラーを介した商流が注目されている。

このとき注意したいのが、BtoC事業者はまず、ユーザーに新しい購買体験を提供したいという強い思いと、サービスに関する明確なビジョンを持つことが重要だということだ。

さらにエンベデッド・ファイナンスを導入するうえで最大のポイントとなるのがイネーブラーの選定だ。金融システムは複雑で強固にできている。そうしたシステムを自社アプリにつなぎ込むために、共に粘り強く取り組んでくれる事業者を選びたい。インフキュリオンではこうした技術的なサポートの他に、「そもそもエンベデッド・ファイナンスとは何か」といった相談にも対応する。こうしたアドバイザーを見つけることが、エンベデッド・ファイナンス導入の第一歩と言えよう。

BtoC事業者と金融事業者をつなぐイネーブラーの登場で、エンベデッド・ファイナンス導入に対するハードルは技術的にもコスト面でも低くなってきている。まずはイネーブラーに相談するところからスタートしてみてはいかがだろうか。

監修:株式会社インフキュリオン 伊與隆博

プロフィール

2004年株式会社クレディセゾン入社。提携クレジットカードの企画、 営業を経て、クレジットカード会員向けのデジタルサービス企画開発などに従事。 2019年に提携先と協業でクレジットカードの入会受付、本人確認、発行、 決済利用までをデジタル完結し、即日利用が出来るデジタルカードサービスの構築に参画。 2020年5月よりインフキュリオンに参画し、Embedded Fintech事業部ビジネス開発部長として 金融機関や流通小売の新規事業立ち上げに参画中。

 

[緊急提言]セルフメディケーション推進に逆行する「一般用医薬品の販売規制」に反対します!

令和5年(2023年)の2月から開催されていた『医薬品の販売制度に関する検討会』のとりまとめ資料が令和6年(2024年)1月12日に公表された。これはドラッグストア(DgS)の一般用医薬品の販売規制であり、DgSに大きな負担を強いる、「DgSつぶし」と言ってもいい内容である。もっとも問題なのは、日本社会の医療費削減に貢献する「セルフメディケーション」の推進に完全に逆行していることだ。今回の規制強化は、DgSにとっても、地域の患者さんにとってもメリットのないものである。月刊MDは断固として反対する。(月刊MD主幹 日野眞克)

医薬品の販売制度に関する検討会 とりまとめ資料

濫用等のおそれのある医薬品の個人情報記録・保管の問題点

『医薬品の販売制度に関する検討会』で話し合われた一般用医薬品の販売規制で特に問題なのが、(1)濫用等のおそれのある医薬品の販売制度に関する問題、(2)一般用医薬品の分類と販売方法に関する問題の2つである。

(1)濫用等のおそれのある医薬品の販売規制で問題なのは、A.購入者の個人情報の記録・保管、B.購入者の手の届かない場所に陳列することなどが盛り込まれていることだ。

A.購入者の個人情報の記録・保管に関する規制強化に関して、『医薬品の販売制度に関する検討会』のとりまとめ資料によると、濫用等のおそれのある医薬品は、原則一人一包装単位の販売とすると書かれている。

また、「ア.20歳未満の者による購入の場合、イ.20歳以上の者による複数個または大容量製品の購入の場合」などについては、「購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証等の氏名等を確実に確認できる方法で確認を行い、店舗における過去の購入履歴を参照し、頻回購入でないかを確認する。また、販売後にはこれらの情報及び販売状況について記録しその情報を保管する」と書かれている。

JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)は、「購入者の氏名・年齢等を記録・保管すること」に明確に反対している。反対の理由は、顧客管理のためのシステム開発費や運営コスト等、ドラッグストア等の販売店への負担があまりにも大きいことだ。また、個人情報保護の観点からも、サイバー攻撃による個人情報漏洩のリスクがあり、個人情報の記録・保管に拒否反応を起こす消費者も多い。過剰な「本人確認」は医薬品購入の心理的なハードルになり、セルフメディケーション推進を大きく阻害することになる。

そもそも個店で個人情報の記録・保管を行ったとしても、近隣の店舗で買い回りされれば、濫用を防ぐことはできない。検討会構成員からも、過剰な規制に対する濫用防止対策としての実効性の低さついて、「バランスを欠いた措置」との指摘があった。

令和6年(2024年)3月22日に開催された厚労省の「医薬品等行政評価・監視委員会」において、委員長を務める慶應義塾大学大学院法務研究科の磯部哲教授は、この規制強化について「確信犯的に買い集めようとしたときに、本当にそれで防げるのか」と疑問視した上で、20歳で区切る「合理的な根拠が必要」と指摘し、エビデンスに基づかない検討会のとりまとめ内容に疑義を呈した。規制改革推進会議など各方面からも同様の指摘がなされており、検討会の議論の進め方そのものに疑問が投げかけられている。

濫用等のおそれのある医薬品の陳列方法の変更の問題点

濫用等のおそれのある医薬品の販売規制の第2である「B.購入者の手の届かない場所に陳列すること」に関しては、その医薬品を必要とする購入者の利便性が著しく損なわれる過剰規制である。

現物は医薬品カウンターの中、「売場は空箱陳列」という運用が想定されるが、このような規制強化は現実的ではない。約1500アイテムもあるといわれている濫用等のおそれのある医薬品の空箱陳列は、市販薬メーカーの大きなコスト負担につながり、ドラッグストア等の販売店のオペレーションの煩雑さにつながる。

濫用等のおそれのある医薬品について、若年層による濫用が社会問題化しているため、その対策は必要である。薬剤師・登録販売者が、濫用等のおそれのある医薬品の販売に際して、適切に関与する必要があることに異論はない。一方で、多くの適正使用者のアクセスを阻害しないことや販売現場を疲弊させることのない、実態に即した販売方法の検討も重要であろう。

濫用等のおそれのある医薬品とは、「エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロモバレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン」の水和物及びそれらの塩類を有効成分として含有する製剤のことである。

一般用医薬品の濫用事例を示す文献である一般用医薬品による中毒患者の現状とその対策」(廣瀬正幸他 日臨救急医会誌・JJSEM)では、「本検討では『濫用等のおそれのある医薬品』として指定されている鎮咳薬による薬物中毒患者は全体の6%と決して多くはない」と書かれている。リスクの低さに対して過剰規制であると思う。

医薬品販売のあり方について、今後、細かな運用ルールはガイドライン等を作成することになると思われるが、セルフメディケーションの推進を阻害しないように、国民のための販売制度になることが求められる。

登録販売者の多くは医薬品の説明責任を果たす

規制強化の第2は、(2)一般用医薬品の分類と販売方法に関する問題である。この問題に関しては、A.第二類医薬品と第三類医薬品を統合することと、B.薬剤師等(登録販売者含む)をレジ等に常駐させることと検討会の資料には書かれている。

この規制強化が進むと、薬剤師が不在時には販売できない第一類医薬品と同様に、登録販売者がレジにいなければ第二類、第三類医薬品を販売できなくなる。地域の購入者の利便性は著しく損なわれる。ドラッグストアつぶしを意図したと勘ぐりたくなるほど時代に逆行する規制強化である。

検討会のとりまとめ資料によると、「薬剤師・登録販売者は必要な情報提供などを行った上で医薬品を販売するという役割を担う専門家であり、薬剤師・登録販売者が一切関与しないまま医薬品が販売されるべきではない」と断言している。

この規制強化の背景には、検討会での「登録販売者は医薬品に関する説明責任を果たしていないではないか」という指摘がある。しかし、その指摘を裏付けるようなエビデンスは一切示されていない。

一方で、厚労省の「令和4年度医薬品販売制度実態把握調査結果」によれば、「第二類医薬品等を販売する際の対応状況」として、「相談内容に関して、適切な回答があった」のは、店舗販売業全体で99.1%であった。また、「その相談に対する回答が薬剤師または登録販売者により行われた」のは、店舗販売業全体で90.8%であった。さらに、「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとした時の対応」について、「販売方法が適切であった店舗の割合」は店舗販売業全体で76.9%(令和3年度調査では、81.9%)であったことが示されている。

この調査結果を見れば、濫用等のおそれのある医薬品の販売対応については、更なる改善の余地があると言えるが、その他の一般用医薬品について、既に一定の説明責任を果たしていると言えるのではないだろうか。

大手ドラッグストア幹部からは『一般用医薬品を販売する際、お客様に対して「お薬のご説明は必要でしょうか?」と質問しても99%の方が必要ないと回答される。それどころか、「昔から使っているので説明は必要ない。いちいち聞くな!」とクレームに発展することすらあるとの声が聞こえる。この規制強化は誰のためのものなのだろうか?一般用医薬品は「購入者の選択により使用されることが目的とされている医薬品」であることを踏まえれば、このような購入者の声も十分に考慮する必要があるだろう。

そもそも従来の一般用医薬品の安全性・適正使用は十分に担保されてきた。たとえば、第三類医薬品の副作用報告割合は「0.00002%」と極めて低く、極めて安全であることが証明されている。

業界関係者の幹部からは、「エビデンスのない第二類医薬品と第三類医薬品の統合には反対し、現行の医薬品区分と販売制度の維持が必要ではないか」という意見もある。

ドラッグストアは地域の健康を守るインフラである

日本のドラッグストアは、総売上高9兆2,022億円(内調剤売上1兆2,811億円、一般用医薬品売上9,906億円)、総店舗数は2万3,041店舗(2023年調査)と全国に店舗網がある。出店立地は都市部だけに止まらず、郊外立地、田舎立地、離島・へき地にも店舗展開している。ドラッグストアは、コンビニに次いで店舗数が多く、地域社会のインフラである。

しかも、医療機関、調剤薬局の多くが休業する土日祝日(年間120日)も営業し、夜間の時間帯に営業する店舗も多い。急な体調不良の際にも、必要な一般用医薬品をすぐに購入することができる。ドラッグストアにおける一般用医薬品の販売金額は約1兆円と市場シェアの約80%を占めている。ドラッグストアで一般用医薬品を販売促進することで、セルフメディケーション推進、医療費軽減化に大きく貢献している。

すでに地域の健康を支えるインフラであるドラッグストアの一般用医薬品の販売規制強化は、地域生活者の利便性を著しく損なう過剰規制であり、セルフメディケーションの推進による医療費削減に逆行する間違った規制強化である。地域インフラであるドラッグストアの健康ステーションとしての灯を消してはならない。

※この記事は紙のメディアである月刊MD(マーチャンダイジング)と、無料閲覧できるウエブメディアMD NEXTの両方で掲載しています。とくにMD NEXTの記事に関しては拡散していただき、一般用医薬品規制強化に反対する機運を盛り上げましょう。

2024年最新版:小売業界キャッシュレス決済完全ガイド

スマートフォンの普及や消費者行動の変化により、キャッシュレス決済比率が伸びている。経済産業省でも将来的に「フルキャッシュレス社会」を目指すとしており、今後もこの流れが止まることはないだろう。ドラッグストア・スーパーマーケットをはじめとするチェーンストアにとっても、レジの省力化や顧客の囲い込み効果といったメリットがあるキャッシュレスを導入しない手はない。小売業界のキャッシュレス事情や自社Payの魅力について、株式会社インフォキュリオン Embedded Fintech事業部 ビジネス開発2部 部長の伊與隆博(いよ たかひろ)氏にお話を伺った。

小売業界をとりまく決済環境の動向

日本におけるキャッシュレス決済比率が右肩上がりに伸びている。経済産業省の発表によると、2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%と、前年の32.5%に比べ3.5%アップ。同省が掲げる「キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にする」という目標に迫る勢いだ。直近ではスマートフォンアプリによるコード決済の利用率が伸び、消費者の中でもキャッシュレス決済は当たり前のものとなりつつある。

 

キャッシュレス決済比率が飛躍的に伸びている背景には、消費者の行動や意識の変容がある。

決済市場では2018年にPayPayがサービスの提供を開始したことで、ゲームチェンジが起きた。それまで、キャッシュレス決済の主体はクレジットカードだった。しかし、クレジットカードは18歳以上で、審査を通らなければ所持できない。

そこに登場したのがコード決済だ。今や、スマートフォンは年代問わず、日常的に欠かすことのできないツールとなっている。かつ、コード決済であればサービスを比較的簡単に利用することができ、現金をチャージして使用するプリペイド形式のため使いすぎ防止の観点からも安心感がある。折しもコロナ禍が発生し、非接触による決済へのニーズが高まったことも、スマートフォンアプリを用いたキャッシュレス決済の利用を後押しした。

消費者にとっても、財布から小銭を探して支払いをするよりも、スマートフォンをかざすだけで決済が完了するほうが素早く手軽だ。そうした高い利便性も、スマートフォンによるキャッシュレス決済の定着を促進している。

また、小売事業者の顧客囲い込み戦略もキャッシュレス決済の利用率を押し上げる理由の1つとなっている。小売事業者にとって、クレジットカードや各種コード決済、共通ポイントは、店舗に集客をするための有効な手段だ。これらを活用して集客した顧客に対し、小売事業者は自社ポイントサービスを提案することで店舗への再来店を促す。

「ここに自社店舗のみで利用できる決済手段(自社Pay)を組み込むことで、さらに顧客に対しロイヤリティを高めることができます」と伊與氏は提案する。「ポイントサービスだけでなく、決済手段まで組み込んだ自社アプリを利用してくれる顧客に対しては、“特別なリワード”をうまく活用することで、さらに踏み込んだマーケティングが可能となるでしょう」。

キャッシュレス決済の歴史

日本の小売業界におけるキャッシュレス決済の歴史は、戦後復興期までさかのぼる。白黒テレビや冷蔵庫、洗濯機といったいわゆる三種の神器が登場し、それを買い求める消費者が、物販クレジットのローン分割を利用しはじめた。ただ、物販クレジットの場合、ローンを組むために書類に記入し、クレジット会社の審査に都度通らなければならない。そこで1980年代に登場したのがクレジットカードだ。一度審査を通れば、与信枠内でいくらでも買い物ができる利便性が評価され、あっという間に広まった。

やがて、VISAやJCBなどのクレジットカードに小売事業者の屋号がついた提携カードが登場すると、提携カードを持つ顧客に対し特典を付帯して囲い込みを始めた。

ただ、クレジットカードは審査を通過した限られた人にしか持つことができない。そこで、より多くの顧客が利用できるサービスで顧客ロイヤリティを高めるために生まれたのが、ポイントカードや「ハウスプリペイド」と呼ばれる電子マネーだ。

その後、スマートフォンが普及したことで、プラスチックや紙のカードに情報を載せていた電子マネーが、スマートフォンアプリへと形を変えた。PayPayや楽天Payといったコード決済の登場である。

顧客の囲い込み効果と本人確認、決済機能と、できることは電子マネーと大きく変わらない。ただ、スマートフォンアプリであれば広告やクーポン、位置情報を使ったプロモーションなどが可能だ。ユーザーに届けられる情報量は、電子マネーとは比べものにならないほど増えている。

四六時中肌身離さず持ち歩くスマートフォンにポイントや決済機能が組み込まれていれば、ポイントカードを忘れたことによる機会損失も起きにくい。そうした利点も、スマートフォンアプリによるコード決済が広がる一因となっている。

キャッシュレス決済、4つのメリット

小売事業者がキャッシュレス決済に取り組むメリットは多い。1つは、レジの省人化だ。キャッシュレス決済は釣り銭のやり取りがないため、円滑な決済が可能だ。レジスタッフの関与を減らし、負荷を軽減できる。大手小売事業者ではセルフレジ、セミセルフレジを導入する店舗が増えているが、そこにキャッシュレス化が進むことで省人化にも貢献する。労働人口の不足が深刻化するなかでは大きなメリットではないだろうか。当然、採用費も抑えられる。

2つ目が、売上管理の効率化だ。キャッシュレス決済は現金でのやり取りとは異なり、データ上での売上記録・管理が可能なため、作業の多くを自動化できる。売上データを蓄積して分析・活用することで、効率のよい運営も可能となる。また、いわゆる「内引き」などの不正を防止できることから、セキュリティ効果も期待できる。

3つ目は、機会損失の防止だ。今や、「財布を自宅に忘れても、スマートフォンは忘れない」というほどスマートフォンは生活の中に浸透している。スマートフォンに決済アプリを入れていれば、現金を持ち歩かない消費者でも店頭での機会損失を防止し、売上増加効果が見込める。

4つ目が、顧客体験の向上による囲い込み効果だ。そもそも、電子チラシやクーポン配布といった購買の動機付けをするデジタルマーケティングツールとキャッシュレス決済は相性がいい。スマートフォンでチラシを見て、クーポンを取得し、決済するという購買行動の動線をつくることで、消費者はお得に買い物ができる。インフキュリオンが実施した「キャッシュレス決済未導入店における機会損失」に関する調査では、キャッシュレス決済を利用する4割強のユーザーが、キャッシュレス決済に非対応の店舗の利用を避けるという結果もある。

一方で、キャッシュレス決済を導入することにはデメリットもある。その1つが、故障や通信障害など、イレギュラーが発生し機器が使用できなくなると、決済自体が行えなくなる点だ。前述したように、経済産業省では今後キャッシュレス利用比率8割を目指すと宣言しているが、不足の事態に備え、一定の現金決済を残した運営をすることが必要とされる。

そして、キャッシュレス決済の最大のデメリットとなるのが決済手数料などのコストだ。キャッシュレス決済を導入する際、決済に対応したクレジットカードやバーコードなど情報を読み取る端末が必要となる。また、機器の取扱いを周知するためのマニュアル作成や研修といった従業員への教育コストも必要だ。

コストがかかることでキャッシュレス決済に二の足を踏む小売事業者は少なくない。しかし、キャッシュレス化への大きな流れが止められない以上、いかにコストを最小に抑えて運営するかを考えるのが得策だ。

伊與氏は以下のように語る。

「インフキュリオンでは、手数料負担を抑える方法を推奨しています。例えば、クレジットカードの手数料は約2〜3%ですが、自社Payであればより低料率で運営が可能です」。

そこで、一般的に高料率と言われる決済手段の伸長を抑えつつ、低料率の自社Payを導入することで、顧客の満足度を維持しながら手数料負担を抑えることを提案する。

また、現金のみでの決済と比較した場合、レジ対応する従業員の人件費、現金を安全に輸送するためのセキュリティコストなどを併せれば、自社Payのコスト(システム利用、ポイント還元など)のほうが安価ですむ場合もある。

自社アプリと連動した「自社Pay」が注目を集める3つの理由

キャッシュレス決済の中でも、現在注目を浴びているのが自社Payだ。インフキュリオンでは自社Payについて、クーポンやチラシなど小売事業者がすでにCRM戦略として導入している自社アプリに決済機能を組み込んだものと定義する。

自社Payには、大きく次の3つの特長がある。1つ目が、高い利便性だ。自社Payは会員情報やクーポン・ポイント機能と連携し、一連の購買体験をシームレスに提供できる。顧客はアプリを1つダウンロードするだけで、お得に便利に買い物ができる。さらに事業者側では、顧客の購買履歴や属性情報を分析し、再来店を促すための施策を打つことが可能だ。こうした販促ツールとしても非常に有用である。

2つ目が、決済機能の拡張性・柔軟性だ。キャッシュレス決済事業者が提供するサービスとは異なり、自社Payであれば機能の拡張が柔軟に行える。地域性に合ったキャンペーンを自由に実施できたり、電子レシートやチャージ手段の拡張をしたり、顧客のニーズに対応した固有のサービス設計が可能だ。

3つ目が、サービスの拡張性だ。自社Payは決済を起点とし、顧客のLTVに寄り添ったサービスの拡張を実現する。例えば、ドラッグストアのアプリから得られた商品の購買履歴といったデータなどから、健康相談を提供したり、ライトな保険商品を提案するようなことが可能になるだろう。

また、多くのドラッグストアがポイントサービスに力を入れているが、顧客囲い込みのためにポイントを付与したものの、ポイント引当金として会計に与えるインパクトも大きい。そのため、いかに適切にポイントを使っていただくかを悩みとしている事業者は少なくない。

そこで自社Payとポイントを連携させれば、例えば自社ポイントを原資として投資商品を購入してもらうような「ポイント運用」などのサービスを柔軟に提供することも可能である。

自社Payは消費者の購買行動に一番近いサービスとして、昨今注目を集めているリテールメディアとのより深い連携も容易になるだろう。ID-POSデータなどの幅広い購買情報に基づいた広告の効果を高めるために、自社Payのチャージ完了画面にクーポンを掲載するなど、購買意欲の高い消費者に適切なタイミングで情報発信することができる。

「経済産業省がフルキャッシュ社会を掲げ、キャッシュレス利用率8割を目指すなか、今後キャッシュレス化の波は止めることができないはずです。キャッシュレス事業者にイニシアチブを握られないよう早めに施策を打つことで、キャッシュレス化の波をうまく泳ぎ切っていきましょう」。(伊與氏)

監修:株式会社インフキュリオン 伊與隆博

プロフィール

2004年株式会社クレディセゾン入社。提携クレジットカードの企画、 営業を経て、クレジットカード会員向けのデジタルサービス企画開発などに従事。 2019年に提携先と協業でクレジットカードの入会受付、本人確認、発行、 決済利用までをデジタル完結し、即日利用が出来るデジタルカードサービスの構築に参画。 2020年5月よりインフキュリオンに参画し、Embedded Fintech事業部ビジネス開発部長として 金融機関や流通小売の新規事業立ち上げに参画中。

 

2025年度には売上高1兆円規模の企業が3社登場![月刊MD 2023年10月号の読みどころ]

月刊MD 2023年10月号の特集は恒例のドラッグストア白書です。上場12社を中心にドラッグストア(DgS)の決算数値を分析しています。 本年に発表された決算数値から何が読み解けるのでしょうか!?

2023年に発表された決算において、売上高ではウエルシアホールディングス(HD)が、1兆1,442億7,800万円で1位、次いでツルハHDが9,700億7,900万円で2位、3位はマツキヨココカラ&カンパニーで9,512億4,700万円、4位はコスモス薬品の8,276億9,700万円となりました。
順位 企業名 売上高
(億円)
1位 ウエルシアHD 11,443
2位 ツルハHD 9,701
3位 マツキヨココカラ&カンパニー 9,512
4位 コスモス薬品 8,277
5位 サンドラッグ 6,905
6位 スギHD 6,676
7位 クリエイトSD HD 3,810
8位 クスリのアオキHD 3,789
9位 カワチ薬品 2,819
10位 Genky DrugStores 1,691
11位 薬王堂HD 1,288
12位 サツドラHD 875
上位10社の売上高合計は6兆6,661億円でDgS市場の76.5%を占め、上位寡占化が進行しています。中期経営計画などから、2026年には1兆円企業が6社誕生する見通しです。マツキヨココカラ&カンパニー、コスモス薬品は2025年度に、ほぼ確実に1兆円を達成すると思われます。
図表1 DgS営業利益率ランキング
収益性、儲かり具合を見てみると(図表1)、営業利益率ではマツキヨココカラ&カンパニーが6.5%と頭ひとつ抜けています。マツモトキヨシグループ単体では7.3%とさらに上がります。都市部中心で利益率の高いヘルス&ビューティを中心に営業するビジネスモデルの恩恵です。インバウンドが戻ればさらに収益性は高まるでしょう。
郊外型中心で食品の売上構成比が40%を超えるクリエイトSDが営業利益率5.0%というのは評価に値します。継続的、安定的に経費をコントロールしています。
調剤事業も好調、この部門でDgS1位はウエルシアHDで売上高2,281億600万円、これは調剤専業チェーンを入れて3位の売上、1位がアインHD、2位が日本調剤(図表2)。出店ペースから考えればいずれウエルシアHDが1位になることも予想されます。
図表2 DgS、調剤専業チェーン、調剤事業売上高ランキング
その他、特集では各企業の「部門別売上構成比」、「商品回転率ランキング」、「交差比率ランキング」、「自己資本比率ランキング」、「ROEランキング」、「ROAランキング」、「キャッシュフロー分析」など、DgSの財務状況を徹底分析、業界関係者必読のデータとなってます。
業界への理解を深めるため、自社の立ち位置を読み解くため、是非ご購読ください!

ドラッグストア白書がデジタルで読める、月刊MD note版はこちらから

調剤薬局のデジタイゼーション・DXの現状と展望「労働環境の整備による採用効果に期待」

調剤薬局のDXと聞いて「正確で早い処方が可能になりそう」と明るい印象を抱く方は多いのではないだろうか。しかし、現状は医療業界の構造的な影響があり、それほどスムーズに普及していない現状があるという。今回は「店舗のICT活用研究所」代表の郡司昇氏に、調剤薬局のデジタル導入における課題や、調剤薬局がどのような視点でデジタイゼーション・DXに取り組めば良いかお話を伺った。

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郡司昇氏プロフィール:店舗のICT活用研究所代表。薬剤師であり、前職ではココカラファインのマーケティングとEC事業の責任者としてグループ統合マーケティング戦略を立案・実行した。現在はIT企業の所有する技術の店舗への活用や小売業のICT戦略・戦術に関するコンサルタントとして多数の企業の課題解決に携わる。
HP: https://ngunji.com/

普及率2.6%。出足が鈍い電子処方箋

2023年1月26日から全国の調剤薬局で電子処方箋の導入が始まった。これまで紙だった処方箋がデジタルデータになることで、患者は処方箋の紛失や有効期限切れのリスクがなくなり、調剤薬局は患者の処方履歴などの情報をデータベース上で確認できるようになる。一見患者、調剤薬局双方にメリットがありそうな電子処方箋だが、運用開始から半年経った8月27日時点での導入率は2.6%にとどまっており、順調な普及状況とはいえない。

電子処方箋はいわゆるこれまで紙だったものをデジタル化するデジタイゼーションに当たる動きだ。デジタルを活用してビジネスモデルの変革を意味するDX(デジタルトランスフォーメーション)の前段階として欠かせない。しかし、ここ最近の医療業界を見渡してみるとこのデジタイゼーションもそれほど順調に進んでいるとはいえない現状がある。

例えば電子カルテは一般病院全体での普及率は57.2 %。この数字自体も決して高いとはいえないが、病床数200床未満の中小規模の病院だと48.8 %と過半数を切っている。また、院内で患者の状況を共有し部署を超えてオンライン上で指示を出せるオーダリングシステムは、一般病院全体だと62.0%、病床数200床未満の中小規模の病院だと52.3%にとどまる。

つまりこれらのデジタイゼーションは日本全国の医療機関の半分程度しか進んでおらず、特に大部分を占める町の中小の医療機関においてはいまだにアナログな人海戦術に頼っている状況が浮かんでくる。

※令和2年度厚生労働省発表資料による

郡司氏としては調剤薬局をはじめとする現場でのデジタイゼーション並びにDXのいまについてどう見ているのか。

「大手の医療機関に関しては、比較的早くからデジタルへの移行を進めてきました。例えば薬剤師が一人しかいない調剤薬局であれば調剤した薬剤をデジカメで撮影して、オンライン上で離れたところにいる別の薬剤師にダブルチェックしてもらうといったシステムを、10年以上前から運用している。また、待ち時間の短縮というところで患者が紙の処方箋をスマホのカメラで撮影して調剤薬局にデータを送ることで、調剤薬局内で長時間待たなくても完成したら受け取りに行けるというサービスも運用されています。ただ、これは大手など一部の動きで業界全体としてはあまりデジタル化は進んでいない状況です」

デジタル化しても採算が合わない

患者の生命に関わる医療情報を膨大に扱う調剤薬局であれば、業務効率化や新たな価値創出の面でデジタル化は恩恵が大きそうに感じる。データ管理や共有が容易になったり、渡し間違いなどの事故防止、さらに患者の待ち時間の短縮や情報開示など、デジタル活用の道は多岐に渡りそうだが、なぜデジタル化は進んでいないのだろうか。

一番大きな理由は…(続きはこちらから【登録不要】)

supported by  “Safie(セーフィー) 現場DXサイト”

日本の小売業界に貴重な情報と知識を提供し続けてきた月刊MD

月刊マーチャンダイジングにゆかりのある経営者の皆様から、創刊25周年を記念してお祝いの言葉をいただきました。今回は、ウエルシアホールディングス株式会社 代表取締役会長 池野 隆光氏のコメントをご紹介します!

月刊マーチャンダイジングが発刊から25周年を迎えるというこの素晴らしい節目に、心からお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。

長い年月をかけて培われた月刊マーチャンダイジングの功績と成長は、業界内外に大きな影響を与えてきました。ドラッグストアの商業誌として、日本の小売業界に貴重な情報と知識を提供し続けてきたことに、深い敬意と感謝の念を抱いています。

月刊マーチャンダイジングは、一貫して優れた記事と独自の視点を通じて、小売業界のトレンドや動向を追い求めてきました。その情報は、数多くの経営者や関係者にとって、ビジネスの成功や成長に不可欠な存在となっています。読者の立場に立ちながら、細やかな分析と的確な指摘を織り交ぜた記事は、常に読者の期待を超える価値を提供し続けて頂いています。

25年と言う年月は小売業が大きく成長した時代であり当ウエルシアに於いては1998年(25年前)に店舗数が40店舗で売上高は127億円でありました。25年で実に売上では100倍になった事になります。

更に情報の進化はめざましく、パソコンや携帯電話の進化が情報競争も激化させる事となりました。

販売促進で主流となった「ポイント販促」についても、リライト方式からデジタル化に大きく変化し、それは小売業に於いて軽視出来ない状況となっております。当社では月刊マーチャンダイジングの年間購読者を募集して、自主的に学ぶツールとして多くの社員が活用しております。

ほぼ時を同じくして誕生したのは、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)であります。JACDSが設立されたのは1999年6月で、2024年に25周年を迎えます。設立翌年の1997年の実態調査では、ドラッグストアを運営する企業数は579社で11,787店舗でした。

それが、昨年度の調査では381社22,084店舗と、企業数は198社減少し、一方、店舗数は10,297店増加しました。2009年の薬事法改正で医薬品登録販売者が誕生した事がドラッグストアの発展に大きく寄与しました。

JACDSの設立は宗像守氏、根津孝一氏、松本南海男氏、明神正雄氏、小田兵馬氏たち皆様の想いと情熱により設立にこぎつけたと聞きました。JACDSの設立に関わり、代表幹事の明神正雄氏は次のように挨拶されました

「ドラッグストアのここ2~3年の急成長は目覚ましいものがある。年率30%以上の売上の伸びを示している企業も数多く存在しているがそれが真に地に足のついた成長小売業であるかは疑問視される部分もある。規制が緩和されればさらに多くの業態が業界に参入すると思われる。そこで近い将来やってくる真の競争を勝ち抜くために、ドラッグストアを大きな産業にすべく発足させた。これからのドラッグストアは事業と医療の2足のわらじを履き、日本の生活者に貢献できるような産業にしていく必要がある。」(著書 山本武道 「ドラッグストア真化論」評言社より転載しました)

この様な大きな変化の中で企業とのパートナーシップを築き、さまざまなイベントや研修を通じて、業界全体の発展に寄与していることも忘れてはなりません。ご協力いただいた企業や専門家の方々との連携によって、ドラッグストア業界の未来に対する洞察力を高め、革新的なアイデアや最新の販売戦略を共有することで月刊マーチャンダイジングは常に時代の先端を走り続け、情報のリーダーとしての地位を確立してこられました。

これからも、月刊マーチャンダイジングは常に時代のニーズに対応し、読者の期待に応えるために進化し続けることでしょう。新たな技術やトレンドを取り入れながら、小売業界の未来を見据えた情報を提供し続けることは、ますます重要な役割となっています。

今後も、月刊マーチャンダイジング誌が情報のリーダーとして、小売業界の発展と繁栄に貢献し続けることを期待しています。さらなる飛躍と成功を祈りつつ、心からのお祝いと感謝の気持ちをお伝えします。

25周年おめでとうございます!これからも素晴らしい成果といっそうの活躍を期待しています。

改めて日野社長様に心からの祝福を込めて「おめでとうございます!」

 

日本の小売業が自動発注で抑えるべきポイントとは? ゲンキーが採用した「至れり尽くせり」な自動発注システム

2023年6月、ゲンキー株式会社がオプターク合同会社の自動発注システム「Real」を正式に導入したと発表。ゲンキーといえば、店舗の標準化を進め、手間がかかる食品の売上高構成比が70%近くあるのにも関わらず、販管費率が16.5%という効率経営を実現しているのが特徴の一つ。そんなゲンキーは、自動発注システムにどのような機能を求めたのか。

4桁出店に追従できる拡張性を求めて

ゲンキーは、もともと自動発注システムを導入していたが、年間1,000店舗の高速出店体制構築に追従できるような、より拡張性の高い自動発注システムを探していた。

そこで同社が目をつけたのが、丸本健二郎氏の立ち上げたオプタークの自動発注システム「Real」である。丸本氏はダイソーの情報システム部で国内3,000店規模の各種システムの立ち上げ、運用などを経験している。

AWS(Amazon Web Services)のユーザーコミュニティでも活躍しており、2019年に同社退社後オプターク合同会社を設立。「Real」には、丸本氏がダイソーの情報システム担当として得た経験や、ゲンキーのニーズがふんだんに盛り込まれているという。

自動発注にとっては「正確な販売予測に基づいて発注を行う」ことよりも、「どのタイミングで発注を行うのか」「在庫をどうコントロールするか」の方が重要だというのが丸本氏の考えだ。

在庫最適化、販売予測、推奨計算の機能を提供

そんなRealは(1)在庫最適化、(2)販売予測、(3)推奨計算の3つの機能を備える。

(1)在庫最適化

Realは「売れ数を正確に算出する」ことよりも「在庫数を適切に保つ」ことに軸足を置く。

一般的に、在庫データの精度が落ちると自動発注システムの精度も落ちるが、Realは、在庫データがぶれても自動発注への影響度は最小限になるように設計されている。また、過去のPOSデータや出荷データの連携における遡及計算も行うことができるため、今だけでなく過去の在庫を正しく分析に用いることも可能だ。また保有日数を計算することで、販売数以上に在庫を持ってしまっている商品に対して店舗間移動などを推奨する仕組みも備える。

(2)販売予測

過去の販売の売れ方だけではなく、広告や気温などの外部要因によって売れ方が変わることを考慮した販売予測計算を行う。

商品の一生には、「導入」「売り始め」「リピート」「売り減らし」の4つの状態がある。たとえばリピート期において、Realは以下のようなロジックで、販売予測を行う。

①過去の販売実績によって「基礎販売力」を算出、②曜日別の販売特徴、気温などのトレンドを把握、③価格の変更や陳列場所の変更など、小売業の内部要因による変動も反映、④天候による客数の変動、競合店などの例外指数など状況変化も加味、これら①~④の検討を経て、リピート期の販売数量を予測する。

また、実績がないため販売予測が立てられず、自動発注にも適さないといわれてきた「売り始め期」においても、独自の計算方法で販売予測を立てる。

(3)推奨計算

最低在庫数を手入力する必要のある自動発注システムは少なくないが、Realでは、各種パラメーターも自動で作成される。

「よくあるのが、パレートの法則で、一般的には2割の在庫で売上の8割を稼いでいる企業さんで、8割の最低在庫数を3″などに固定してしまうケースです。しかし、これでは棚がスカスカになってしまいます。なんとかしようと結局手入力で最低在庫数を入力すると、より作業時間が増えてしまいかねません」(丸本氏)。
そんな自動発注にまつわる本末転倒を防ぐためにも、なるべく自動化を目指している。
商品サイズと棚の奥行や幅などの情報を突合して、見栄えのよいような陳列量を算出し、自動発注、在庫コントロールを行う機能もある。

この(1)(2)(3)の機能で、適切な自動発注を実現するとしている。

かゆいところに手が届く機能の数々

このほかRealには、これまでの導入企業のニーズにこたえる過程で付与されてきた、たくさんの現実的な機能があるのも特徴的だ。

・エンドに陳列された商品を登録すると、店舗が考えた陳列ボリュームをシステムが自動で維持する。エンド終了時の売り減らし発注もシステムが自動計算を行う。最終的に定番棚に戻された際の販売パワーも計算し、定番棚に合わせた発注を行う。
・おせち用野菜、恵方巻などの季節の特需の変化に対応。
・価格変更の際、販売力を先読みして、売変前に販売力を算出。発注量を自動で増減する。
・商品の改廃に関して、旧商品の在庫が残っている間、新商品の投入を待つように設定。
・バナナのように、鮮度が見た目に現れる商品において、店頭に陳列されている商品の鮮度を意識し、傷んだ商品だけが陳列されないような発注コントロールを実施。
・おにぎりのように、どの具の商品を何個陳列するかという、バランスも重要なキーを握るジャンルについて、バランスも加味した上で最適な数量の発注を行う。

ユーザー自身が仕様を変更できるマイクロサービステクノロジー

マイクロサービステクノロジーのアーキテクチャを採用しているのもポイントの一つ。ビジネスの変更に合わせてユーザー企業自身がサービスを変更できるというもの。

「これまでの情報システム部の経験では、要件定義をした上で、システムを構築しても、完成したものを見たユーザーから『これではない』といわれることが少なくありませんでした」(丸本氏)。そこで、ユーザー企業自らが、多くの仕様を変更できるような設計にしているのだという。

また、ユーザーの要望によって、さまざまな機能がパッケージに追加され続ける予定だ。システムを導入するときにはイニシャル費用を原資として、ユーザーからの要望をパッケージに組み込む。導入がひと段落して運用フェーズに入ると、運用費用を原資にして、ユーザーが実際にシステムを使ってみて気づいた必要機能をパッケージに組み込むことができる。常に新しい機能が追加され続け、他社の要望で追加された機能もすべての導入企業で利用できる。

「Real」は元々ゲンキーのために開発された自動発注システムだが、ユーザー企業が拡大する過程でさまざまな機能が組み込まれ、このタイミングで一般に提供することになった。現在Realは、ゲンキーをはじめ、生協ひろしま、ホームセンターのグッデイなどに導入されている。

日本のチェーンストアのまさに「至れり尽くせり」な在庫管理、陳列に対する思想が反映されたシステムといっても過言ではなさそうだ。

※2023/11/13 20:30 導入企業に誤りがありましたので修正をいたしました。

 

2023年上半期、MD NEXTで最も読まれたのはアフターコロナの〇〇売場に関する記事

早いもので、2023年も半分以上が過ぎました。今回は、夏休み特別企画ということで、MD NEXTで1月から8月までにどのような記事が読まれたのかをご紹介していきます!

今回集計対象にしたのは、2023年に公開された記事の、2023年1月から8月9日までの閲覧数です。

1位)ドラッグストア「アフター・コロナの食品強化策」

ドラッグストア「アフター・コロナの食品強化策」

第1位に輝いたのはエイジスリテールサポート研究所 所長 三浦美浩さんの、こちらの記事!コロナ禍の進行により食品の買物に変化が起こっている一方で、ますます進行する狭小商圏化で、ドラッグストア(DgS)は食品部門を強化せざるを得ない状況です。DgSの食品強化の方向性、具体策を食品スーパー業界に精通した三浦さんに寄稿していただきました

2位) PALTAC「リテールサポート」の全貌

 

PALTAC「リテールサポート」の全貌

PALTACのリテールサポートの全貌を紹介す本記事が、2位にランクイン。

店頭実現・状況確認・実績検証を可視化するPITシステムや店頭実現を担当する約250人の店舗支援部隊などについて、紹介しています!

3位)TGN 社長 村上正一氏に聞く「原理原則」による経営を実践。営業利益率8%の高収益体質を実現

TGN 社長 村上正一氏に聞く「原理原則」による経営を実践。営業利益率8%の高収益体質を実現

 

グループによるスケールメリットと、エリア企業による地域密着力の相乗効果を実現するツルハグループ。広島、鳥取、島根などの中国エリア、北部九州をドミナント化するTGN(ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本)の村上正一社長に、同社の高収益の秘密を聞きました。

4位)ドラッグストアは一番最初に駆け込める地域の健康生活拠点を目指す

ドラッグストアは一番最初に駆け込める地域の健康生活拠点を目指す

 

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、地域で健康に困った生活者が、一番最初に相談できる「健康生活拠点化」を推進しています。物販だけではないドラッグストア(DgS)の新しい役割と機能について、健活ステーション推進委員会委員長・塚本厚志氏と、JACDS事務総長の田中浩幸氏へのインタビュー記事です。

5位)米国トレンドから予測!5年以内に必ず起こる、小売流通業5つの大変化

米国トレンドから予測!5年以内に必ず起こる、小売流通業5つの大変化

 

アメリカの小売業を定点観測する理由は、アメリカで起きている変化は、日本でも5年以内に必ず起こる「未来」だからです。アメリカで起きている変化の本質を整理し、5年以内に日本で起こるであろう変化を整理してみました。

6位)2023年の経営課題は「狭小商圏時代対応」。客数・売上対策の打ち手10

2023年の経営課題は「狭小商圏時代対応」。客数・売上対策の打ち手10

リアル小売業の商圏は、小さく狭くなっています。この原稿では、2023年年始の提言として、限られた商圏人口の中で、売上と客数を増やすための10の対策を整理します。大商圏時代のMDとは大きく異なることがわかると思います。

7位)ChatGPTは小売業に革命をもたらすのか? 効率的な業務運営のための活用アイデア

ChatGPTは小売業に革命をもたらすのか? 効率的な業務運営のための活用アイデア

AI技術の進化は小売業界を変革するのでしょうか?昨今大規模言語モデルのChatGPTに注目が集まっています。顧客対応、業務効率化、従業員教育の強化で競争力アップを実現するといわれているChatGPT。これを活用して未来の小売業界をリードするための秘策を探ります。

8位)脱コロナ禍で見えてきたコンビニ業態の新たな3つの稼ぎ方

脱コロナ禍で見えてきたコンビニ業態の新たな3つの稼ぎ方

第8位にランクインしたのは、連載「コンビニネクスト」の記事。コンビニチェーン本部、および加盟店は売上・利益ともに回復基調にあります。コロナ禍に関しては2022年3月21日にまん延防止等重点措置が終了、同年7月、8月には第7波が到来、過去最大の感染者数を記録するものの行動制限の要請はなく、人の移動で売上が伸びるコンビニ業態にとって、望ましい環境が各社の業績を後押ししました。ここでは脱コロナ禍で見えてきた新たな稼ぎ方を主にセブン−イレブンに見ていきます。

9位)ドラッグストア食品PB、4つの定石

ドラッグストア食品PB、4つの定石

プライベートブランド(PB)は、小売業が製造工程の設計や原材料の調達、ものづくりの段階まで入って開発を行っている商品のことです。食品の取り扱い比率が高まるドラッグストアにおいて、食品PBをいかに開発していくかは重要な戦略の一つ。本稿では、取材から見えてきたドラッグストア食品PBの定石を解説し、食品売上構成比率の高いドラッグストアの代表格であるコスモス薬品、クスリのアオキHD、Genky Drugstores3社のPB事例を解説します。

10位)レデイ薬局、有効期限管理ツール「セマフォー」導入で、店頭での期限チェック人時を70%削減

レデイ薬局、有効期限管理ツール「セマフォー」導入で、店頭での期限チェック人時を70%削減

レジ作業、先入れ先出し、前出し、プライスカードの変更…店頭作業は数あれど、期限チェックほど払う労力の割に報われない作業はありません。中四国を中心に235店舗(2022年5月現在)を展開するレデイ薬局は、スウェーデン生まれの有効期限管理ツール「Semafor(セマフォー)」の導入によって、店頭での期限チェック人時を70%削減しました。導入の経緯と、その波及効果を、同社営業本部業務改善部の矢野智則部長に聞きました。

これからも「新しい売り方」をどんどん発掘して記事にしてまいります!お楽しみに。

九州のホームセンター「グッデイ」に学ぶ小売業のクラウドカメラ活用術

九州北部と山口県を中心に64店舗(2023年3月現在)を展開しているホームセンター、グッデイは、2022年6月に開催された第1回「日本DX大賞」にて、初代DX大賞を受賞しました。DXの遅れを指摘されることが多い小売業界で、どのように店舗DXを実現したのか、ITパートナーとしてクラウドカメラを提供しているセーフィーが実際にお話を伺ってきました。今回取材に対応してくれたのは、グッデイ姪浜店の松木店長さん。Safieカメラを活用して一体どのようなスマート店舗運営をされているのでしょうか。

セーフィー現場DXサイトより転載/元記事はこちらから

カメラ映像で店舗内のスタッフ配置を最適化

セーフィー
カメラの映像はレジ周辺の対応で使うことが多いのでしょうか?
松木店長
そうですね。導入のきっかけがコロナ禍での密回避の状況確認のためということで、レジ前でなるべくお客さまをお待たせしないために使っています。
セーフィー
具体的にはどう運用されているのでしょうか?
松木店長
店長の日常業務としては、バックヤードでメールの確認や売り上げ確認などの作業があります。そういう作業をしながら目の前にカメラ映像を映しておいて、いつでも店内の様子が見えるようにしているんです。
松木店長
店舗では、POSレジとカメラが連動していて、レジが混雑、つまり一定時間内に一定数のお客さまがレジを通過すると、通知が映像と一緒に来るようになっています。通知が来たら実際のレジの状況を映像で確認して、応援スタッフを送るかどうかの判断をしています。

セーフィー
バックヤードにいながらレジ周辺の状況を判断、指示出しまでされているんですね。現在のフローになる前はどう対応されていたんですか?
松木店長
私が定期的に売り場を巡回してレジの状況を把握するか、レジのスタッフが自分で応援を呼ぶことが多かったです。でも、どのくらい混雑したら応援を呼ぶか、という判断はスタッフによって違っていたりして、結果的にお客様をお待たせしてしまうこともありました。
松木店長
これまでピークタイムは無条件にレジを3台稼働させていたんですが、今はレジを2人体制にして、バックヤードで映像を確認しながら適宜フォローしています。混んで来たらレジスタッフを3人に増やすといったように、柔軟にスタッフを配置していますね。

セーフィー
レジ周辺以外の業務でカメラ映像を使うことはありますか?
松木店長
木材カットの窓口や金物のコーナーにはお客さまがスタッフを呼び出せるボタンがついていて、それが押されるとインカムに呼び出し音が入ってくるんですが、お客さまの元にスタッフが到着したかどうかを映像で確認しています。誰も対応できていなければ、どなたか行けますかとインカムで聞いて、フォローに入ってもらうことができますよね。このような接客業務で非常に助かっています。

 

MD NEXTのつぶやき

こちらの図表にもあるように、レジ作業は店内作業の26%も占めるという調査結果があります。実際のところ、このレジ作業時間の中には、待機時間という無駄な時間も含まれているわけです。

一方で、レジ人員が足りず、お客様をお待たせしてしまっているという状況もあります。お客様をレジでお待たせすることは、顧客満足度の低下に直結するため、小売業各社では、レジ待ちをいかになくすかに知恵を絞っています。

クラウドカメラを活用したオペレーション改善は、その解決策の一つとなるでしょう。

店舗内のスタッフやお客さまの動線を把握し、サービスの品質を向上

セーフィー
お客さまの様子だけでなく、スタッフの動線も確認できることが店舗業務の改善につながっているとも伺いました
松木店長
スタッフの動線が俯瞰で見えるので、店長としては本当に助かりますね。例えば、新人スタッフがレジに入る時、私がずっとついているわけにもいきませんが、バックヤードで他の仕事をしながら映像を確認しているので、サポートができます。困っても応援を呼べない方もいるので、何かあった場合やレジが滞っている場合にはこちらから応援スタッフを送ることができる。
松木店長
他にも、木材カット対応でずいぶん時間がかかっていたら、後からそのスタッフにどういう状況だったのか聞いたりします。どんな要望だったのかをスタッフから聞いて、次からどう対応すべきかアドバイスしたりしています。
セーフィー
リアルタイムでのカメラ活用の好例ですね。逆に、カメラの録画映像を振り返って、業務に役立てるケースもあるんでしょうか?
松木店長
例えば急に職人の方しか買われないような高額な商品が売れた場合、購入された時間の映像を確認すれば、どんな方が買っていかれたのかがわかります。
松木店長
もし接客している様子が映っていれば、接客したスタッフにヒアリングをして、どんなことをおっしゃっていたかを把握できる場合もあります。こういうものがあったらもっとよかったというような話があれば、品揃えも少し考慮しないといけないかもしれませんので、どういったお客さまがどういった商品を買っているのかということは我々にとっては必要な情報だと思います。
セーフィー
DXのイメージとは少し離れた意外なところでも、カメラが効果を発揮していると聞きました
松木店長
意外と役に立っているのは、忘れ物関係ですね。レジ周りで忘れ物が結構あるんですが、お客さまからバッグを忘れたと電話がかかって来て、その時間帯の映像を見てみるとちゃんと脇に挟んで店から出て行くところが映っていることも。そうすると、少なくともここでは忘れていないとお伝えできます。

売場全体を常に俯瞰で見ることで、販売機会ロスを防ぐ

セーフィー
グッデイ姪浜店では1階と2階に出入口がありますが、週末などは2階の出口から帰るお客様が増えるそうですね
松木店長
2階のエレベーター付近のカート置き場がカメラで見えるんですが、週末になると2階から帰られるお客様が多いので、カートがたまってくるんですよね。カメラで確認してカートがたまっていたら、2階のカートを1階に戻すよう指示を出せます。
松木店長
カメラの映像を活用して本当に無駄なく全員が動けるので、すごく助かっています。さらに、映像を見て初めて気付いたこともありました。
セーフィー
初めて気づいたこと?
松木店長
レジに並ぶお客様の誘導についてです。足元にシールを貼っていたんですが、お客様はなんとなく別の方向に並んでしまっていて、そこに来た方とぶつかって苦情が来たこともあったんですシールのとおりに並んでくれるだろうと思っていたんですが、実際には全然そうなっていなくて。どういう状況の時にそうなってしまうか、カメラで見て把握することができました。
松木店長
同じように、園芸コーナーでもお客様の列が他のお客様の邪魔になっていることがわかって、誘導するための系統を作る必要に気付いたこともあります。
セーフィー
店舗内での売り上げに関わる効果も生まれているのでしょうか?
松木店長
あると思います。例えば、リフォームコーナーを長時間見られているお客さまがいる場合、何か相談ごとがあるかもしれませんよね。ずっと同じところを見ているお客さまがいると思ったら、お声がけしてみるようにスタッフに指示を出すんです。それでお声がけをしたところ、実際に受注につながりました。
松木店長
また、特に一番目につく売り場などでは、陳列状況をカメラで確認してすぐに手直しの指示を出せるので、機会損失を防ぐことができているのではないかと思います。

 

MD NEXTのつぶやき

店舗を俯瞰してみることができるというのは、小売業を科学的に運営するために非常に重要な観点です。

以下の図表は月刊マーチャンダイジングで以前実施したとある店舗の客動線調査の結果です。このような客動線調査は、以前は人力で行われており、膨大な人時数がかかるため、なかなか頻繁に行うことはできませんでしたが、クラウドカメラなどの映像デバイスの活用によって、低コストで、繰り返し実施し、仮説の検証などに役立てられる可能性が見えてきています。

映像を介した意思決定が、効率化と顧客体験の向上を実現する

セーフィー
これまでお話いただいた個別事例での有用さを超えて、店舗運営全般でDXの効果を実感されている部分はありますか?
松木店長
カメラで解決することもずいぶん多いので、他の業務に時間を割けるようになりました。姪浜店はまだ新しい店舗で、今からいい文化を作っていかないといけないので、やはり店舗スタッフの教育は非常に重要になってきます。
松木店長
これまでは店舗に出ていることが多く多忙で時間が割けませんでしたが、カメラで業務効率化ができている分、きめの細かいフォローがしやすくなったと思います。お店にはたくさんのスタッフがいますが、カメラのおかげでそれぞれの仕事ぶりもわかります。スタッフ全体のレベルを上げていくことで、店舗全体が良くなっていく。そういったところですごく役に立ちます。
松木店長
教育という点では、他の店舗の映像も見ていきたいと思っています。他の店舗が売り場をどうしているか見ることもすごく役に立つと思いますし、接客が上手な人が映っていたらそれも自店での教育に活用できそうです。
セーフィー
ここまでに色々な成果を教えていただきましたが、改めてカメラについてどう思いますか?
松木店長
正直に言うと、もっとたくさんあってもいいですね。例えば観葉植物の売り場などは、維持していくのがなかなか大変なんです。植物の仕入れ担当と連携しながら、必要な分をキープしてもらう必要がありますし、社長からももっとボリュームを出してジャングルのような感じにして欲しいと言われています。観葉植物の売り場にさらにカメラを何台か設置して、仕入れ担当がいろんな角度から売り場を確認できれば、現地に来てもらわなくてもどこに何を置こうか検討してもらえますよね。仕入れ担当は1人で50店舗を担当しているので、物理的に移動しなくてもオンラインで完結出来れば、売り場の維持がやりやすくなるように思います。

松木店長がお話ししてくださったとおり、より多くのカメラを活用すれば、さらに効果的な売り場づくりが可能になりそうです。このように、DXの最先端を走り続けている株式会社グッデイさまは、2016年からデータドリブン経営に舵を切り、5年間で売上25%アップという驚くべき急成長を実現しています。

グッデイ姪浜店での数々の事例から、カメラの映像データを介した意思決定の積み重ねが、業務の効率化や顧客体験の向上、ひいては売り上げの拡大につながっていることを実感していただけたのではないでしょうか。

DXは敷居が高いと感じている人もいるかもしれませんが、既存の防犯カメラをセーフィーのクラウドカメラに置き換えるという、ごく簡単な一歩から始めることができます。

グッデイさまの映像データ活用、さらにデータドリブン経営についてもっと知りたい方は、柳瀬さま(株式会社グッデイ 代表取締役社長)とのこちらの対談動画をぜひご覧ください。また、グッデイさまのような店舗マネジメントのコツについては、実践的なアイデアを集めたこちらの動画もぜひご活用ください。

他サービスと連携。拡張性が高いクラウドカメラ

グッデイは映像による課題解決にクラウドカメラを利用してDXを推進していますが、そもそもカメラと一口に言っても色々な種類があり、大きく分けるとオンプレ型とクラウド型の2種類があります。

オンプレ型のカメラは、撮影した映像データをハードディスクに保存するタイプが一般的です。そのため、カメラ本体か近くにハードディスクを設置する必要があります。

一方、クラウド型のカメラはインターネットに接続することで、クラウドのサーバーにデータを保存することが可能で、インターネットが繋がる場所であればどこからでもカメラの映像を確認できることが大きな特徴です。

グッデイがクラウドカメラを選んだ理由として、他のWEBベースのサービスと連携しやすく、業務効率化として拡張性が高い点や、ローカル(パソコン端末など)にデータをダウンロードして加工作業をする手間がない点があるようです。

グッデイさまにご利用いただいている「Safie」は、カメラとインターネットをつなぐだけで、いつでもどこでも映像を確認できるクラウド録画サービスシェアNo.1のサービスです。

「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、人々の意思決定に映像をお役立ていただける未来を創造し、企業から個人まで誰もが手軽に利用できる映像プラットフォームを目指しています。「映像データであらゆる産業の”現場”をDXする」というビジネスコンセプトを掲げ、小売り、土木・建設、製造、医療などのあらゆる現場のDXを率先して推進しています。

セーフィー現場DXサイトより転載/元記事はこちらから

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