郡司昇のリテール・ニュー・フレームワーク

計画購買と非計画購買(1)

第1回購買行動は「計画購買」と「非計画購買」に分けて理解する

購買行動の理解なくして、お客に喜んでいただける店づくりは不可能です。お客は店頭で商品を購入するとき、いったいどのような理由でその商品を手に取るのでしょうか?お客の立場から購買行動をあらためて分析します。ポイントとなるのは、その買物が計画的かどうかです。

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計画購買と非計画購買

購買行動には、「計画購買」と「非計画購買」の2種類があります。

「計画購買」とは、入店前にそもそも何を買うのかを決めている購買行動のことです。たとえば、家で使っているA社のラップを買うという目的で来店し、実際にA社のラップを買ったというように、「入店前の意向」と「入店後に購入したもの」が結果として同じであった場合を「計画購買」と言います。

一方の「非計画購買」はたとえばA社のラップを買おうとしていたものの、店舗で実際に購入したのはB社のラップだったというように、入店前の意図とは違うものを買うことを指します。そもそも買うつもりがなかったものを、店舗で見つけて購入したり、ビールを買うつもりだけれども銘柄は店頭で決めようという購買行動も非計画購買に入ります。

非計画購買の4種類

非計画購買には4種類あります。(非計画購買の分類は人によって違うことがありますが、筆者は4種類に分ければ十分だと考えています)。

1つ目は「純粋衝動購買」です。売場を歩いていて気になった「これいいな」と思ったものを購買することです。もともとビールを買うつもりはなかったのだけれども、ビールの新製品が出ていたので買ってみたというものです。

2つ目は「想起衝動購買」です。日常の必需品を売場で思い出して購入することを指します。たとえば、売場でPOPを見て「そういえば家のマヨネーズがそろそろ切れそうだ」と思い出して購入することです。これは、売場で何かを思い出したことによって発生した非計画購買と言えます。

3つ目は「提案受入衝動購買」です。一番わかりやすいのが、店舗の従業員が薦めてくれたものを購入する例です。ドラッグストアの店頭で「最近疲れがたまっているんです」と相談したところ、店員さんが栄養ドリンクをお勧めしてくれたので、それを購入したというような購買行動を指します。当然接客による推奨だけではなく、POPやデジタルサイネージ、大量陳列による提案を受け入れて購入することもこれに含みます。「提案受入衝動購買」も、売場に行かなければ発生しない非計画購買です。

4つ目は「計画的衝動購買」です。「入店前に買うものの品種までは決めているけれども、品目までは決めていない」場合などがこれにあたります。「キャベツを買うと決めているけど、どの産地・サイズのキャベツを買うかは店に行ってから決めよう」「一番安いシャンプーを買おう」などの購買行動を指します。鮮度や品揃え、特価やクーポン値引き、ポイント還元率のアップなど、店頭で提供される情報によって品目が選定されます。

カテゴリーによって購買行動の種類・割合は違う

業態やカテゴリーによって、どの購買がどの比率で起きるのかは異なります。

たとえば、生鮮食品や日配は非計画購買が多いカテゴリーと言えます。これらの食品に関しては、店頭で実際に買うものを決めようと思うお客が多いのです。皆さんも「肉を買う」とは決めていても、具体的にどの肉をどれぐらい購入するのかは、その日の価格や鮮度、品揃えを見て店頭で決めることが多いのではないでしょうか。納豆を買うときも「今日は特売の納豆にしよう」とか「少し高いけどおいしそうな納豆にしよう」と考えて購入している人が多いはずです。ですから食品スーパーマーケットは、8割がた非計画購買であるといわれています。

一方、医薬品や調味料のような必需品は計画購買が多いカテゴリーです。「いつも使っているあの風邪薬を追加で購入しよう」「冷蔵庫のあのメーカーのマヨネーズがもうなくなりそうなので買いに行こう」という必需品の追加購入が多いからです。

計画購買の需要を満たすことは、客数に影響します。一方、非計画購買をいかに起こすかによって、客単価が影響します。

次回はこのことについて詳しく説明していきましょう。

(談、まとめ:編集部 鹿野恵子/イラスト:一秒)

著者プロフィール

郡司 昇
郡司 昇グンジ ノボル

小売業のICT活用研究所代表。薬剤師。前職は大手ドラッグストアにおけるマーケティングとEC 事業の責任者としてグループ統合マーケティング戦略を立案・実行。現在は主に(1)IT企業のCRM、位置情報、画像AI解析などの小売業活用 (2)事業会社のEC・オムニチャネル改善についてコンサルティング活動中。