セルフで選びやすいことが顧客満足向上のポイント
顧客満足度調査は、全国の500店のDgSを、主婦のミステリーショッパー(覆面調査員)が訪問し、クリンリネス、レジ応対、接客などの調査項目を採点し、もっとも顧客満足度の高い企業と店舗を決定する企画です。
その中に「総合満足度」という調査項目があります。調査の最後にミステリーショッパーが「この店は友人・知人に自信をもって推薦できる店ですか?」という質問に10段階評価で回答するものです。総合満足度の高い店は、顧客の「再来店意向が強い店」つまり「固定客がつきやすい店」と評価します。
さらに、「相関係数」という統計的な指標を活用して、総合満足度に相関の高い調査項目を数値化します。総合満足度と相関の高い調査項目は、その項目を改善すれば、総合満足度に直結することになります。
今年の調査では、接客の重要性の高い[医薬品]に関して、「目薬は疲れ目、かすみ目、ドライアイ、コンタクト等の機能別、悩み別にわかりやすいく分類されていて、見つけやすかったですか?(メーカー別に分類されていて、その中で機能別、悩み別に分類されているものも含む)」という質問が総合満足度と相関の高い調査項目でした。一方で、「風邪薬売場で商品を探していた時、店舗従業員からの声掛けはありましたか?」という調査項目は、総合満足度との相関が低いという結果になりました。つまり、声かけをしても総合満足度は高まらないようです。
もちろん、買物客ではないミステリーショッパーなので、「声をかけられて調査しにくくなった」という理由で顧客満足度との相関が低いという結果になったのかもしれません。しかし、DgSに顧客が求めていることは、「まずはセルフで選びやすい」ことだというのは間違いないと思います。
質問されたら親切に対応する接客が重要
また、医薬品同様に接客が重視される化粧品でも、「洗顔料はブランド別、悩み別、剤型別(泡洗顔、チューブ、石鹸等)にわかりやすく分類されていて、見つけやすかったですか?」「テスターは清潔に保たれており、周りは整備されていましたか?」という調査項目が、総合満足度との相関が高いという結果でした。「わかりやすい分類」で「きれいな売場」であることが、固定客化のために重要であることがわかります。
化粧品の接客に関しては、「ファンデーションは何が良いかと聞いた時、悩みのヒアリングや、具体的な商品の提案はありましたか?」という調査項目が、総合満足度との相関が高いという結果でした。つまり、まずはセルフで選びやすく、クリンリネスが維持されており、「質問には丁寧に答えてくれる店」の総合満足度が高いことがわかります。
デパートのような「対面接客販売」とは異なり、自由に商品を選べるが、質問したいときには的確に答えてくれる「側面接客販売」が、顧客がDgSに求める接客のようです。
一方、前回調査まではなかった「他のチェーン(違う看板のお店)には無い特長や工夫を感じましたか? 」が、総合満足度に大きく影響を与える調査項目でした。大量出店で成長してきたDgSは、「看板を取ったらどの企業の店かわからない」と揶揄されるほど同質化していました。しかし、今後は「看板を取っても〇〇ドラッグとはっきりとわかる」ほどの個性を持っことが顧客満足の向上対策であり、競合対策でおり、アマゾン対策でもあると感じました。
つまり、これからの最大の経営課題は「ブランディング」なのです。