オンラインセミナー「コロナ後に激変する リアル店舗の売り方・接客・オペレーション」(2020/7/15 13:15~16:05)開催ご案内

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、大きな業務の変化に直面する小売業。今回のセミナーは、月刊MD主幹 日野眞克による指針の提示、リテールマーケティングワンの渡會公士氏による化粧品、ヘルスケアの「新しい売り方」解説、エイジスリテイルサポート研究所所長の三浦美浩氏による食品小売業の動向分析など、小売実務者にとって価値ある貴重な情報を提供いたします。

開催概要

・開催日:2020年7月15日(水) 13:15~16:05
開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
※開始時間が変更になりました。
・実施方法:zoomによるオンラインセミナー
(アクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:1万5,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:7月8日(水)

スケジュール

(1)変化はゲームチェンジのチャンス
コロナ後に激変するリアル店舗の売り方
[13時15分~14時15分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

・コロナ後には「絞り込み」「わかりやすいレイアウト」が基本になる
・新しい接客スタイルを確立しよう
・店舗の省人化・省力化・レジフリーが進む   他

(2)コロナ後に変わるリアル店舗の「接客」
化粧品・ヘルスの新しい接客対応
[14時20分頃~15時頃]

株式会社リテールマーケティングワン 代表取締役社長 渡會 公士氏

・三密を避けるドラッグストアの新しい接客
・リモートカウンセリングの可能性
・デジタルで示すビフォーアフター、新しいテスター管理  他

化粧品、ヘルスケアの「デジタル接客」を推進している株式会社リテールマーケテイングワンの渡會公士氏を特別講師に招いて、コロナ後の新しい接客スタイルについて提言していただきます。

(3)コロナ後に売場の省人化・省力化が進む
食品SMに学ぶ「これからのローコストオペレーション」
[15時5分頃~16時5分頃]

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦 美浩氏

・コロナ後の新しいオペレーション(レジ・マイバッグ対応、補充・陳列など)
・コロナ後は品目数が減る→「オーケーストア」に学ぶ絞り込みの極意
・注目のローコストSM「エイヴイ」のローコストオペレーション  他

月刊「食品商業」「販売革新」の元編集長。食品スーパーマーケットの実務に精通しているエイジスリテイルサポート研究所の三浦美浩所長を特別講師に招き、コロナ後に進むことが予測されるローコストオペレーションのポイントを解説していただきます。

注意事項

・今回のセミナーはzoomを利用して実施します。具体的な接続手順、URLなどは、受講者様にお送りいたします。 あらかじめ https://zoom.us/ にアクセスできるパソコンをご用意ください。スマートフォンでも受講できますが、パワーポイントのスライドを画面に共有して進めますので、なるべくパソコンでの受講をおすすめしております。

・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。

・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)。また、受講者様側の都合で当日受講できなかった場合も返金は致しかねますのでご了承ください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

行列のできる繁盛店は過去の風物詩になる!?

ポストコロナ社会では、消費者の「購買行動」を収集することが、コロナ前よりも容易になります。その結果、固定客の個別の購買行動に応じたパーソナルな販売促進が主流になります。一方で不特定多数の浮動客向けの販促である「チラシ」「告知→行列」などが過去の「売り方」になります。

プライバシー意識がコロナ以前よりも低くなる!?

日本語版が出版されて話題になった『サピエンス全史』を執筆したイスラエルの歴史学者「ユヴァル・ノア・ハラリ」氏は、新型コロナ後の人類は、プライバシー(個人情報)を外部に提供することへの抵抗感が低くなると予言しています。

新型コロナを封じ込めたと自称している韓国政府は、国民の位置情報、クレジットカードの利用履歴、移動記録などのプライバシーを徹底的に追跡管理することによって、新型コロナの感染爆発を防いだといわれています。まるで独裁国家のように国民を監視したわけですが、政府のコロナ対策への韓国国民の支持率は高く、先の総選挙では現政権の圧勝に終わりました。まさにハラリ氏の予言のように、新型コロナ後の人類は喜んで監視されることを選択するのかもしれません。

昨年、「渋谷プロジェクト」という複数の書店で万引き犯の情報を共有するプロジェクトが、「プライバシーの侵害に当たる」という理由で頓挫したという記事を読みました。最近のAIカメラは高性能なので、渋谷のA書店で万引きした犯人の画像情報を複数の書店でデータ共有するプロジェクトです。B書店のAIカメラが、A書店の万引き犯の来店画像を特定したら店員にアラート(警告)が出て、万引き犯の行動を監視する仕組みです。

新型コロナ以前は、こういう個人情報の収集には根強い反対がありましたが、コロナ後の日本でも相対的にプライバシーの壁は低くなると思います。大阪府がQRコードでクラスターの参加者を追跡する仕組みを導入しています。ある程度プライバシーを外部に提供した方がコロナ対策には有効だったという成功体験は、コロナ後にも続くと思います。

前置きが長くなりましたが、新型コロナ後の日本では、消費者の「購買行動」「購買データ」「移動情報」などのプライバシー(個人情報)をさらすことに消費者の抵抗感が少なくなり、個人データに紐づいたパーソナルな販売促進が一気に進むと思います。この大変化も、コロナ後の「パラダイムシフト」です。

早いもの順は公平な販促ではない

販売促進がパーソナル化するもうひとつの理由は、新型コロナ騒動でマスクなどの品薄商品を開店前に並んで、早いもの順に販売する方法が、決して「公平な販促」ではないことが、はっきりとわかったことです。Twitterで以下のような投稿があったので記載しておきます(5月13日開催、ニューフォーマット研究会オンラインセミナーの郡司昇氏の講演より引用)。

Twitterの投稿(4月9日)「先日マスクを買うために朝からツルハに並んだのですが、朝7時の時点で20人近く並んでいて、そのほとんどがマスク集めが趣味と化している中年・年配の方ばかりでした。
私がツイートしようと思ったのは、その常連が自分達より遅く並んだ買えなさそうな方々に直接転売を持ちかける場面を目撃したからです」

ひどい状況です。その後ツルハさんは、マスクを朝一番には販売しない方法に変更しました。新型コロナ騒動によって、チラシや告知で開店前に行列をつくり、早いもの順に販売する売り方は、不公平であると多くの小売業が学びました。

仕事で朝から並ぶことができないロイヤルカスタマーは、行列→早いもの順の販促の恩恵を受けることができません。店を何店も回って品薄商品を買い占める暇人ばかりがメリットを得ることになります。

しかも行列に並んだのに買えなかった場合、店員さんがモンスターカスタマーの口撃にさらされる修羅場が頻繁に発生しました。店員さんのストレスを減らして、ES(従業員満足)を高めるためにも、行列をつくる売り方はコロナ後はなくなると思います。さらに、「ソーシャルディスタンス」に慣れた国民は、行列して商品を購入する方法を敬遠するようになると思います。「行列のできるラーメン屋」は、過去の遺物のような風景になってしまうかもしれません。

これからの販売促進は、「不特定多数の浮動客」相手に行列をつくる売り方ではなくて、「特定多数の固定客」へのパーソナルな販促が主流になります。マスク集めが趣味のバーゲンハンターではなくて、わが店のロイヤルカスタマーに優先的に販売した方が、公平・公正な売り方であるという意識に、コロナ後の小売業は変化していくでしょう。

不特定多数のマスマーチャンダイジングの時代は、「お客を区別してはならない」という考え方でしたが、これからは「あえてお客を区別する時代」になると思います。

以下は、大手ホームセンターの島忠とカインズが、会員向けに「品薄商品の抽選会」を実施したスマホ画面を掲載したものです。島忠はLINEに友達登録した人に限定した抽選会であり、カインズはアプリに登録した会員限定の抽選会です。どちらも不特定多数の販促ではなくて、特定多数の固定客向けの販促であることが、コロナ以前の販促との大きな違いであると思います。

(カインズの品薄商品抽選については、以下に詳しく記事化しています)

https://md-next.jp/15069

 

ホームセンター島忠の「マスク」LINE抽選会の告知

カインズのアプリを使った会員限定の「品薄商品」抽選会の告知

トップからのメッセージが小売業従業員のメンタルヘルスを守る

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ドラッグストア(DgS)をはじめとした小売業界でも様々な問題が浮かび上がっている。特に店頭に立つスタッフはお客からのクレームや商品の買い占めへの対応、品出しの増加などで精神的な負担を抱えており、現場の大きな課題となっている。本稿では店舗スタッフや本部が心がけるべきメンタルヘルスの在り方について考えていく。(取材:MD NEXT編集長 鹿野恵子 文:イシヤママキ)

強いストレスにさらされる従業員のメンタルケアが急務

企業内のストレスチェックやEAP(従業員支援プログラム)サービス等を提供しているピースマインドの臨床心理士・武田氏は、店舗従業員が抱えるストレスについて、「現状、最もストレスがかかっていると思われるのがお客様からの問い合わせです。問い合わせに対しお客様が納得する答えを持っていればいいのですが、コロナウイルス禍の現状では『マスクはいつ入荷するか?』と聞かれても『わかりません』としか答えられません。これではお客様に納得してもらうのは難しく、ここからトラブルに発展することも考えられます。対処のしようがないクレームに関する悩みを多くの従業員の方が抱えているのではないでしょうか?」と分析する。

国内でマスク等が不足している現状については大多数の国民が理解しており、「入荷は未定です」という返答でほとんどの人は納得する。しかし、一部の「話が通じない」「何を言っても全然納得しない」お客は論理が通じず感情をぶつけてくるため、そういった心無いお客への対応は従業員にかなりの精神的負担を強いることになる。

こういった状況を受けてDgSを含めた小売業界の本部も強い危機感を持っている。地域の健康を支えるため日夜店頭に立つスタッフのためにも、メンタルヘルスケアに対し真剣に取り組む必要があるだろう。

以下、①本部が店舗従業員に対して行うべきケア、②店長やSVなどのマネージャーが店舗従業員に対して行うべきケア、③従業員のセルフケアという3つの切り口で解説する。

①DgS本部が店舗従業員にすべきケア

まず本部が行うべきことは、危機的状況にある現状をしっかりと理解した上で、店舗従業員をねぎらうことだ。

従業員の中には「自分のせいではない」と分かっていても、繰り返し責め立てられることで、ネガティブ思考に陥ってしまう人も出てくる。そのため企業のトップは、この混乱した状況で業務に従事している従業員全員に感謝しているという旨をメッセージとして発信していくべきである。同時にマネージャーや店長に対し、パートタイマーを含めた従業員の精神的なケアをするよう伝え、従業員を取りまとめる彼らのケアは本部が行うという対応が望ましい。

また、「子供を預けられないため出勤できない」など、コロナウイルス禍により店舗の人手不足はさらに深刻なものになっている。とはいえ、本部から現場を預かる店長クラスの社員に「しっかりマネジメントしろ」といったプレッシャー”だけ”をかけることは適切ではない。

企業としては、常に人員を確保したいというのが本音であるし、退職については店舗内で十分に話し合ってもらう必要がある。しかしこういった状況下では、やむ得ない理由で退職せざるをえないケースもあるだろう。その時、本部に必要なのは、辞める人を出さないよう店長にプレッシャーをかけることではなく、辞めてしまった後の人員確保についてしっかりとフォローする点にある。業務の多忙化に加え人手不足を抱える店舗については、本社のサポートが不可欠だ。場合によっては営業時間の短縮や一時休業、モチベーションを上げるための金銭面でのケアといった対応も必要になってくる。

本部と店舗の間で軋轢が生まれないよう、気軽に相談できる専用窓口を設けたり、スタッフから直接トップにメッセージを届ける「ダイレクトコミュニケーション」を取り入れるなど、従業員のメンタルを支えるための仕組みを導入するのも一つの方策だ。

 

②店長やSVが店舗従業員にすべきケア

次にSV(スーパーバイザー)や店長が、店舗従業員に対して行える精神的なサポートについて考えてみよう。たとえば言葉を尽くしてもなかなかご理解いただけないようなお客に対応した従業員が疲弊していた際、接客後にバックヤードなどで話を聞いてあげれば、その従業員のストレスは軽減する。これは心理学で言うところの「デブリーフィング」のようなものだ。

大きなストレスがかかった人をそのまま放置していると、その後もストレスが蓄積し続け、深刻な状況に陥ることもある。大変な接客をしているスタッフを見かけたら、店長などが応対を変わることもひとつの手だが、それができない場合は、前述のように一度仕事を中断し、従業員の気持ちを一通り聞いてクールダウンすることが重要なのである。

現在のような状況が長引けば、心身の不調を訴える従業員は増えてくるだろう。精神的な疲労のケアについては、とにかく早期に行ったほうが良い。たとえば従業員から「精神的に参っている」という相談を受けた場合、休暇を取った3日後に職場復帰すれば大きな問題にはならないだろう。

最も気を付けなければならないのは、責任感等の理由から従業員が無理をし続けてしまい、仕事を継続できなくなってしまうことだ。そのため店長やSVは日頃から従業員とのコミュニケーションを密にし、朝礼などの際に無理をしないことを繰り返し伝える必要がある。

また体調や精神的なストレスについて尋ねる際も、「大丈夫か?」という聞き方では大抵の人が「大丈夫」と答えてしまう。これは「はい」「いいえ」のみで回答する「閉じられた質問」とも呼ばれ、相手の本心が聞き出しにくい。そのため、「夜ちゃんと眠れているか」「昨日のお客はどうだったか」というような、相手が具体的な返答をしてくれる「開かれた質問」で、従業員が安心して話せるような環境を作ることも大切だ。

③自身で心がけたいメンタルケアの方法

店舗従業員が自身で身を守ることも重要だ。精神的に無理をして働くことのデメリットは、会社、管理者、従業員全てが認識しなければならない。

精神的、肉体的な不調として表れやすい症状が睡眠障害だ。人間は交感神経、副交感神経の2つの神経のサイクルがある。起きて活動している時は交感神経が優位となり、休眠を取るときは副交感神経が優位となる。ストレスがかかっている時は、脳が活性状態を維持し続けてしまい、眠れなくなる。

睡眠障害が発露となり、そのまま体調を崩すケースも増えている。「もうだめだ、きつい」という状態になってからでは、医者に診てもらっても「仕事をしばらく休むように」という返答しかない。少しでも違和感があったら会社に相談し適切に休むことが、結果的に本人・会社ともに最善となる。プライベートの時間に楽しいことをする、ほっとする時間を作るというのも、セルフケアのために必要だろう。

もうひとつ大切なのが「認知の修正」と呼ばれる、話の捉え方を変える考え方だ。

ストレスへの対処法には「積極的対処法」「消極的対処法」の二つがあり、「認知の修正」は前者の「積極的対処法」の一種、「自責」は後者の「消極的対処法」の一種である。

最もストレスがかかるのは理由が分からない、もやもやした「悩む」状態だが、「自責」は「自分が悪い」という答えを与えることで悩みを解消しようとする。この場合、自分が悪いと決めることで一時的にストレス軽減にはなるが、最終的にはマイナス感情が蓄積していき、ストレスが増加し続けてしまう。

それに対し「積極的対処法」は、「認知の修正」による発想の転換や、ストレスの原因に対し根本的な解決を図るといった方法をとることを指す。たとえば理不尽なお客の応対については、「このお客は世間に対する怒りを消化できず、自分に対して怒りをぶつけている」と認識を修正することで冷静に対処できることができるはずだ。

先の見えないコロナウイルス禍で、国民全体が大きな不安を抱えている。DgS本部は前線で働く店舗スタッフを精神面でサポートし、信頼関係を構築していくことがこの状況を乗り切るカギとなるだろう。

■取材協力
ピースマインド株式会社(https://www.peacemind.co.jp/
公認心理師 ・臨床心理士・国際EAPコンサルタント
武田英彦氏

 

※2020/05/15 追記 記事タイトルを変更しました

オンラインセミナー「新型コロナ対応の反省と収穫・新型コロナ後の小売流通業」(2020/5/13 13:30~)開催のご案内

新型コロナウイルスの感染拡大を引き金に、業務量の急激な増加や頻発する品切れ、問い合わせ対応など、大きな変化にさらされる小売業。そこでこの度MD NEXT運営元のニューフォーマット研究所では、緊急オンラインセミナーを開催することになりました。この状況をどう読み解き、乗り越えていくべきか、月刊マーチャンダイジング主幹の日野眞克と店舗のICT研究所代表の郡司昇が提言します。

開催概要

・開催日:2020年5月13日(水) 13:30~15:40
開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・実施方法:zoomによるオンラインセミナー
(アクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:1万5,000円 2万5000円 (税別・1名様)
(※当初価格より変更になりました)
・申し込み締め切り:5月10日(日)

スケジュール

(1)新型コロナ対応の反省と収穫
本部と店舗の連携と相互理解のポイント
(13時30分~14時30分頃)

店舗のICT研究 代表 郡司 昇

・新型コロナ騒動での店舗現場対応の悪かった点、良かった点
・現場まかせが店舗現場の疲弊を生んだ
・本部と店舗の連携と相互理解
・ITを活用した相互コミュニケーションと生産性向上

<休憩>

(2)新型コロナ後の小売・流通業
新型コロナ後の小売業はどう変化するか?
(14時35分~15時35分頃)

ニュー・フォーマット研究所代表 日野 眞克

・新型コロナ対応の店舗対応の問題点と成果ダイジェスト
(協力・エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング)
・ITを活用した業務の効率化が一気に進む
(店内作業・接客のIT化、商談のテレワーク化など)
・小商圏&低価格小売業の成長(コスモス薬品の事例)
・買物時間短縮、密集を避ける「店舗ピックアップ」が普及する

注意事項

・今回のセミナーはzoomを利用して実施します。具体的な接続手順、URLなどは、受講者様にお送りいたします。 あらかじめ https://zoom.us/ にアクセスできるパソコンをご用意ください。スマートフォンでも受講できますが、パワーポイントのスライドを画面に共有して進めますので、なるべくパソコンでの受講をおすすめしております。

・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。

・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)。また、受講者様側の都合で当日受講できなかった場合も返金は致しかねますのでご了承ください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

お申込み企業様につきまして
請求書発送先ご担当者様につきまして
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こちらのご住所に請求書をお送りします。
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「わかりやすい、見つけやすい売場」が計画購買を促進する

実店舗を運営する小売業におけるお客の購買行動をファネル分析します。第2弾は「入店」と「商品が目に入る」の部分について解説します。

マーチャンダイジング力によって左右される「入店率」

前回解説した「店舗前通行人数」のなかから、一定の人数が入店します。店舗前通行人数1,000人のうちどれだけの割合の人が入店したかを「入店率」といいますが、「店舗前通行人数」が天気や商圏の状況に左右されるのに対し、この「入店率」は店舗や企業のマーチャンダイジング力に影響を受けるものです。

お客を店内に誘引する要素としては、店頭に「いまこの瞬間に魅力的な商品」をきちんと大量に陳列できているかどうかが非常に重要です。たとえば春先であれば花粉症に関する商材、夏前であれば制汗剤や日焼止め、冬であれば使い捨てカイロや風邪薬などが山積みにできているかどうか。それらの商品が必要なお客は、大量陳列された季節商品を見つけて、ちょっと立ち寄って買っていこうという気持ちになります。しかし真冬の店頭に制汗剤が大量陳列されていても、誘引にはなりません。

アナログな方法ではありますが、店頭での「いらっしゃいませ」という呼び込みもお客の入店に影響を与えます。「ポイント〇倍キャンペーン」や、化粧品メーカーのワゴンセールのお声がけなどで立ち止まり、入店するお客もそれなりに多くいます。

昔のドラッグストアは「入店してもらえるかどうか」で勝負がほとんど決まっていたと言えます。だからいかに魅力的な商品を店頭にドカンと山積みするかに賭ける店長が多くいました。集客力のある商品を、低価格で大量に陳列して訴求するのですが、最近はそのような傾向はだいぶ薄まりつつあるという印象です。

店頭のクレンリネスも当然重要です。入口、床やガラスなどが汚い店舗に入りたいと思う人はいないでしょう。ゴミが落ちていないか、雨が降っている日には床が濡れていないか、傘立ては整然としているか、あるいは傘袋が据え付けられているか?などは基本的なことですが、だからこそ徹底しておきたいものです。

一定の犯罪抑止効果が見込めるグリーティング

入店する瞬間にするかどうか判断をすべき施策の一つがグリーティングです。入店したお客様に「いらっしゃいませ」と声掛けをしたり、カゴをお渡ししたりすることを指します。

アメリカのチェーンストアを視察すると、不審人物への威圧効果を見込んで、店舗入口に屈強な男性を立たせていることがあります。日本でそこまでやっている企業はほとんど見られませんが、屈強な男性でなくとも入口で「いらっしゃいませ」とお声がけをするだけでも、一定の犯罪抑止効果は見込めるはずです。

また、以前から地方の高級住宅街や別荘地近くの店舗では、入店時にかごを手渡しするようなことがよく行われていました。これはカゴをお渡しすることで客単価の上昇を期待するもので、最近はかごをセットしたカートをおすすめするようなことをしている小売業も散見されます。

お客の視界の広さを決める通路幅

入店後、お客は商品を求めて店内を歩き回ります。小売業のファネルに当てはめると次は「商品が目に入る」という段階になります。

このときに重要になるのが「わかりやすい、見つけやすい売場になっているかどうか」という点です。計画購買が遂行されるかどうかはここにかかっています。探している商品が見つけやすいようなコーナー表示が重要です。綿棒の場所がわからなくて結局購入しなかった、ということを未然に防がねばなりません。

目的のカテゴリーが陳列されている通路に入ったあと、計画購買の商品を見つけられるかどうかという段階で、意外と重要になるのが「通路幅」です。商品を探して通路に入ったときに、通路の幅によって視界の広さが違ってきます。通路幅が狭く、お客と棚の距離が近いと、視野は狭くなり、逆に幅が広い通路を確保すると、視野も広くなり、商品が目に入りやすくなるのです。

ゴールデンゾーンの商品だけでなく、最下段の商品や、最上段のトップボードまで目に入ります。通路幅が狭い店のゴンドラにトップボードを設置しても、目には入りません。貼ってもだれも見ないのに、本部指示だからと言って、通路幅が狭いのにトップボードを設置する。あまり意味がないことだと思います。

ゴールデンゾーンは「買う人」の身長に合わせる

ゴールデンゾーンは、棚の中でもっとも視認性が高く、有利な位置のことを指します。同じ条件であれば、特別に「売れる場所」のことで、買物客の目線から下に30度の範囲のゾーンと言われています。

しかしこれはたとえば「一律160cm」と設定するのは間違いで、「そのカテゴリーの商品を購入しようとする客層の身長」に合わせて考えるべきでしょう。

その人が女性なのか、男性なのか、子供なのか、大人なのか、高齢者なのか、ということです。たとえば生理用品は、代理購買が無く、ほとんど女性の方がお買い求めになられます。そこで女性の平均身長である160cmのあたりをゴールデンゾーンと考え、売れ筋と売りたい商品を陳列すべきでしょう。

一方、男性用化粧品は本人が購入する場合と、代理購買が多い店とに分かれます。ID-POSデータを見て、自店の男性用化粧品購入客に男性が多いのか、女性が多いのかでゴールデンゾーンの高さを検討すべきです。女性であれば150~160cm、男性であれば170cmあたりに設定します。

「誰が使うのか」ではなく「誰が購入するのか」に合わせて、陳列は検討すべきでしょう。

在庫があっても品出しされていなければ「欠品」である

当然のことですが、商品が目に入るためには、きちんと商品が店頭に陳列されている必要があります。たとえばある歯磨き粉の定番商品の理論在庫が10個あったとしましょう。しかし、いくら理論在庫が10個でも、品出しができておらず、店頭に1個も出ていなければ、それはお客にとっては「欠品」です。

これは新商品に顕著にみられる事象です。配荷はされたのだけれども、店舗の作業が追い付かず、陳列されていないということはままあります。当たり前のことなのですが、この機会損失はとても大きいので、配荷した商品をお客の目に入れるためには、とにかく陳列することが重要になります。

また、理論在庫が10個あり、そのうち7個がバックヤードに、3個が店頭にあったとします。店頭にあるにはあるのですが、棚の下段の方の奥の方に押しやられていると、目に入らないというケースがあります。店頭に在庫があっても、見えなければ欠品です。

POPについてのルールを決める

最後に、買いやすい売場を作るためにはPOPも配慮しなければなりません。POPが多すぎると、そもそも計画購買の商品が目に入らなくなりますし、非計画購買が見込める商品も目立たなくなります。

POPは、「3尺の棚1本につき2枚まで」など、制限するルールを決めないと、どんどん増え続けてしまいます。どの商品があなたの店にとっておすすめなのかを、きちんと伝えていく必要があります。

あるDgSチェーンでは、柔軟剤のコーナーで、ありとあらゆるNBが特売になっていました。そのDgSでは、PBの値段は変えないというルールを掲げていたので、NBはすべて特売の黄色いPOPなのですが、PBだけは白いプライスカードのままで、全く目立ちません。せっかく売り込みたいPBのはずなのに、ルールを決めて特売やPOPの運用をしないと、このようなことになりがちです。

全体のバランスを見て、目的の商品や、衝動購買してほしい商品を目に入りやすくすることが非常に重要なのです。

新サブカテ続々登場!伸び盛りの男性用化粧品で売場に差をつける

男性の身だしなみ意識の向上により、大きく伸長している男性用化粧品カテゴリー。市場の成長に大きく貢献しているのがスキンケアやエチケット、メイクアップといった新たなサブカテゴリーだ。今回はドラッグストア内でも存在感を増す男性用化粧品の市場環境と、トレンドを取り入れた次世代メンズ売場のあり方を考える。

市場動向:制汗剤とスキンケアが男性用化粧品市場を牽引

男性の身だしなみといえば、シェービングや整髪程度だったが、自分の容姿について、周囲からの目を気にする男性が増えている。

30〜40代男性にきいたアンケート調査によると(図表1)「顔や体について気になる部分」では「体臭・口臭」が最も高く、続いて「顔の肌質(テカリ、ベタツキ、肌荒れなど)」、「体型・スタイル」となっており、頭髪やひげ以上に、ニオイや肌質を意識していることがわかる。

男性用化粧品市場の2016 年〜2018年の3年間の平均成長率を見ると、市場全体では1.5%のマイナスとなった。これは「育毛・トニック」「スタイリング」「シェーブ(ひげ)」といった従来から続く代表的なカテゴリーがダウントレンドであることが大きく影響している。一方、「制汗剤」や「スキンケア」といった男性用化粧品の中でも比較的新しいカテゴリーについては伸長している(図表2)。

なかでもエチケットとして定着してきた汗や体臭を抑える「男性用制汗剤」市場の伸長は目覚ましく、直近3年間のカテゴリーの年平均成長率は5.0%となっている。またスキンケアの市場も成長していて、同じく3年間の年間成長率は4.3%。図表3の男性用スキンケア使用率を見ると2017年までは32.0%だったが、2019年は36.5%まで急上昇している。

サブカテ分析 (1)ニオイケア:汗以外のニオイに対処するニーズが増加

最近はニオイに関する意識が高まり、自身の体臭に対して気をつかう男性が増えている。図表4のようにワキに加えて、首筋、胸元、耳の後ろといった部位のニオイも気になり、エチケットとして制汗剤・デオドラントを手に取る男性は多い。また加齢臭やストレス臭といった、汗とは違うニオイのケアに対する意識も高まっている。

制汗剤にはスプレータイプやシートタイプ、ロールオン、直塗りなど様々な剤型があるが、男性にはしっかりと塗り込むことができるロールオンタイプや、広範囲に対して手軽にケアできるスプレータイプが人気だ。だが、制汗剤はワキの汗やニオイに対する訴求が中心であり、ワキ以外もニオイが気になってケアしたいのに、現実にはできていないという男性も多い。実際にワキ用のロールオンタイプを、胸元や首元などワキ以外の部位に塗っているというユーザーも2割以上いるようだ(図表5)。

サブカテ分析 (2)スキンケア:「手間いらず」のオールインワンが人気

フェイス周りのスキンケアには洗顔料やローション、乳液、クリームなどがあるが、特に伸びているのがオールインワンタイプの商品だ。スキンケアは「洗顔」、「化粧水などでうるおいを補給する」、「乳液やクリームでうるおいを保つ」の3ステップが一般的。しかし、洗顔後の化粧水やクリームによる保湿といった文化のない男性にとって、これらの商品をすべてそろえ、ケアする作業はハードルが高い。そういった意味でも化粧水と保湿クリームが一体化したオールインワンタイプは、できるだけ手間をかけたくない、店頭で商品選びに迷いたくないという男性のニーズに合致したアイテムとなっている。

資生堂のメンズブランド「uno」では、2016年秋に発売したオールインワンジェル「クリームパーフェクション」、肌あれ・ニキビ予防もできる「UV パーフェクションジェル」が好調に推移。また2019年秋に発表された「バイタルクリームパーフェクション」は、加齢に伴う肌の変化を感じ始めた男性のためのエイジングケアとして、30〜40代のビジネスマン世代に刺さっている。

肌のテカリ・カサつきに加え、シミや肌あれ、乾燥による小じわなど、顔周りのスキンケアについては男性も女性と同じような悩みを持っている。洗顔後にひと手間を加えるだけで、肌を整え健やかに保つことができる顔周りのスキンケア用品は、シェービングや洗顔の後の新常識として、今後も拡大していくことが予想される。

以下に、スキンケアの基礎知識をまとめた。ぜひ売場作り・接客の参考にしてほしい。

サブカテ分析(3)メンズメイク:BB クリームで肌ツヤをプラス

スキンケアからさらに一歩進み、日本でも注目が集まっているのが男性用のメイクアイテムだ。

日本で男性向けメイク市場のエポックメイキングとなったのが、2019年3月発売のBBクリーム「unoフェイスカラークリエイター」。日本の男性にも「商談やデート前など重要な場面では、きれいな肌でいたい」、「肌荒れやシミなどを速攻で隠したい」といったニーズが以前からあったものの、「メイクしていることがバレると恥ずかしい」「女性用のファンデーションを使うのには抵抗がある」といった声があった。

資生堂ではこのような男性の悩みに応え、クマやひげの青み、肌の赤味など、男性の肌悩み( 図表6)をカバーしつつ、塗布後に色が変化し自然な仕上がりとなるBBクリームを開発。同品はチャネルを絞った限定発売からスタートしたが、発売4ヵ月間の出荷実績が計画比の3倍と好調だったことから9月より全国発売に踏み切った。

化粧水や乳液といった基礎化粧品の場合、毎日のケアによって肌悩みを解決するため効果を実感するまで時間がかかる。しかし、BBクリームの場合、気になっていた部分をその場ですぐに隠してくれることから、若年層だけでなく30〜40代のビジネスマンにも支持され( 図表7)、同品は2019年の注目商品として様々な媒体で大きく取り上げられた。

さらに、資生堂では既存のナチュラルタイプではカバーしきれなかった、ニキビ跡や毛穴もカバーできる凹凸補正効果を加えた新商品「フェイスカラークリエイター(カバー)」を2020年3月に発売。ラインナップを拡充することで肌ツヤの良さで第一印象をよく見せたいという男性たちのニーズに応えていく。

眉の形を整えるアイブロウも登場

メンズメイクとしてもうひとつ注目したいのが眉のケアだ。顔のパーツの中でも眉の存在は大きく、メンズメイクの中でもアイブロウへの注目度が増している。

今後大きく成長する可能性を秘めたメンズメイクに対し、資生堂では新商品「uno バランスクリエイター」を投入する。カラーはどんな眉色にも馴染むナチュラルブラックを採用。楕円形を斜めにカットした芯は細い線も太い線も描きやすく、毛の流れを整え自然にぼかせるブラシも付いている。

これらのメイクアップ商品を手に取る男性は、総じてスキンケアにも力を入れており、スキンケアとメイクの両カテゴリーを訴求することで、バスケット単価アップにもつなげていけるだろう。

男性用化粧品売場の作り方

スキンケアからメイクへとステップアップ

汗や体臭をケアするための制汗剤・デオドラントに始まり、肌質をよくするためのスキンケア、顔周りの悩みを速攻でカバーするメイクといったように、男性のエチケット及びビューティーケアは徐々にステップアップしている。

男性用化粧品のマーケットがここまで広がった背景には、ブランドのコンセプトや販売チャネルも大きく影響している。男性用化粧品は百貨店などで取り扱うハイブランドでも展開されているが、スキンケアやメイクに初めて挑戦する男性にとってはハードルが高い。しかし身近なドラッグストアで扱う値ごろ感のあるマスブランド商品であれば、目に触れる機会も多く、「試しに使ってみよう」
という意識が働き、トライアルの促進につながったと考えられる。

現在、ドラッグストアの顧客の8割が女性といわれている。今後、少子高齢化が進み人口が減少していく中、女性の化粧品使用率を爆発的に上げることは難しい。しかし、男性化粧品は使用率が低く伸びしろがあることから、今後も拡大していくことが推測される。特にスキンケアやメイクについては、20〜30代の若い世代を取り込むチャンスのある商材であり、将来的にはカテゴリーの育成と安定した客数の確保にもつながるだろう。

男性若年層の顧客を創造

男性用化粧品は若年層や男性客といった顧客創造につながる非常に有望なカテゴリーだ。スキンケアやメイク、エチケッ次世代男性用化粧品売場の主役はエチケットとスキンケアトなど、今が旬のアイテムの取り扱い数を増やすことは、男性客の来店促進と客単価アップにつながるのではないだろうか。

3〜4月は新生活に向けて身だしなみを整えたいというニーズがあり、ドラッグストアでも男性の来店客数がぐっと増える。そこで制汗剤・デオドラントをフックに、スキンケアやメイクをエンドでトータル提案することにより気付きを与え、トライアルを促進していくといいだろう。

<取材協力>

資生堂ジャパン(株)ライフスタイルブランド事業本部
メンズ・ヘア・ボディマーケティング部 uno グループ
津倉 徳真氏

資生堂ジャパン(株)ライフスタイルブランド事業本部
ブランド事業推進部流通企画グループ
伊藤 邦浩氏

 

(提供:エフティ資生堂)

ドラッグストア業界周辺の新型コロナ対応、ざっくりまとめました 【2020年4月14日版】

新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の生活は大きな変化を強いられています。幸運にも大半が営業できているドラッグストアですが、お客様対応に従業員は疲弊しています。ドラッグストア企業やその他小売業関係者が、新型コロナウイルスにどのように対応しているのか、現状をざっくりとまとめました。(MD NEXT編集長 鹿野恵子)

サツドラを発端に開店時のマスク・消毒薬販売を終了するドラッグストア

マスクを求めて、連日開店時に店頭に並ぶお客様の対応に忙殺されていた店舗で働く皆さん。過剰な在庫に関する問い合わせは、ドラッグストアで働く方を精神的に追い詰めていました。

早朝から並んでいる人しか購入できない不公平さや、早朝に店頭に並ぶことでさらなる感染拡大を引き起こすのではないかという懸念も指摘されていました。

しかし、ここにきてDgS各社が開店時のマスク・消毒液販売をやめるという告知を行ってきています。

きっかけになったのはサツドラHDさんの公式アカウントが4月7日にtwitterに投稿した以下の内容です。

このツイートに寄せられたコメントを見ると、多くのお客様が賛同していることが見受けられます。この方針転換は多くのメディアにも取り上げられました。

これに追随するかのように、4月10日からスギ薬局が、4月13日からはツルハドラッグが、公式アカウントや公式WEBで開店時のマスク販売などを実施せず、不定期に陳列する旨を告知しました。

https://faq.sugi-net.jp/info_and_news/show/9?site_domain=default より

ツルハドラッグのSNS公式アカウントは、これまで販促中心の内容をツイートしていましたが、本来の目的である企業の情報発信のツールとしての活用に成功したといえます。

また、顧客満足も重要ですが、このような局面では店頭で働いている従業員をいかに守るかを、企業としては考えていくべきです。今回のマスク販売方法の変更は、チェーン本部の従業員に対する前向きなメッセージにもなっています。

Youtubeに挑戦する企業、コンサルも登場

対面でのセミナーや記者会見などによる情報発信が難しい今、小売業界でもさまざまな方法でダイレクトに情報を発信しようとする動きがみられるようになりました。

サツドラHDでは社長の富山浩樹さんが、Youtubeでマスクの状況や今後の対応についての情報発信を行っています。

チェーンストア向け経営指導を行う、日本リテイリングセンターでも、Youtubeで情報発信をスタートしました。

国外の状況をまとめ、国内のチェーンストアに対し営業対策を具申しています。

ウエルシアでは、新型コロナウイルスによる電話受信についての対応を、自社ウェイブサイトから発信しています。

https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/tel-jyusin/ より

決算説明会をオンライン配信で行う企業も増えています。「対面」が奨励されない昨今、情報発信の在り方はこれを機に大きく変わりそうです。

従業員をどう守る?感染者が出たらどうするか?

店舗内でのお客様へのソーシャルディスタンス確保のお願いだけでなく、レジに透明なカバーをつけて、従業員の感染を防ごうとする店舗が多く出てきています。

感染者が発見された場合、他の従業員を自宅待機にするのかどうか、応援体制をどのようにするのかなど、企業としての対応方針策定が非常に重要な局面になってきました。保育園の登園自粛により、仕事を休まざるを得ない従業員も増えています。

ドラッグストアでは、従業員の感染なども散見されるようになりつつあります。ウエルシア常盤平店では4月13日に従業員の感染を発表。店舗を消毒した上で営業を再開するとしています。

今ドラッグストアは幸運にも営業を続けることができていますが、これも従業員の方あってのものです。感染の不安と戦いながら店頭で働いてくれている従業員の方に特別報奨金を出す企業も登場することでしょう。

チェーンストアは今後どうなる?

しばらく続くと思われるこの「緊急事態」。生活必需品に対するニーズは引き続きあるものの、ドラッグストアも今後は大きく運営体制の展開を図られると思われます。

一点目として、EDLPへの転換が本格的に進むだろうという点です。ポイント還元セールやチラシ商品、期間限定特価での販売などの集客は当面難しくなり、またその必要もなくなります。とにかく安定して低価格で商品を供給することが、ドラッグストアに求められる機能になります。

二点目として、店づくりが大きく変わり、メーカーの淘汰が進むだろうという点です。狭い床面積の店舗に商品と人を詰め込み効率を追求するという日本の店舗の在り方が、これを機に代わるかもしれません。ソーシャルディスタンスを保つためには、ある程度余裕を持った通路幅が必要になります。そのため、店舗で取り扱うアイテム数が減少し、メーカー淘汰が進むきかけになると思われます。すでにお客様のマインドは、生活必需品について、自分好みのブランドではなく、必要なものであればどんなブランドのものでも購入するという方向に切り替わっています。

三点目として、店舗で働く人の地位が社会的にも向上していくだろうという点です。今回の未曽有の事態において、毎日の生活を支える小売業の重要性を痛感したお客様は少なくありません。店舗で働く人がいるからこそ、生活が回っているということに気づかれたお客様は多くいらっしゃいます。

四点目として、さらなるIT活用と仕組み化、自動化が進むという点です。店舗で働く人の地位が向上する一方で、人力に頼った店舗運営は、感染者が見つかることで、突如中断される危険性をはらんでいるということを皆痛感することになりました。なるべく機械やコンピュータに置き換え、人間がかかわる部分は最小限にとどめようという考えが進むでしょう。スマートフォンでの事前注文による店舗受け取り、ネット通販、キャッシュレス化…嫌でもチェーンストアは新しい売り方に挑戦せざるを得ない状況に追い込まれたといえます。

まさに世界中が100年に1度の大転換点を迎えることになった2020年。小売業も大きくその姿を変えることになることは間違いありません。

MD NEXTを運営するニューフォーマット研究所では、2020年5月13日に新型コロナ対策に関するウェビナーを実施する予定です。詳細は決定次第MD NEXTにてご案内します。新着情報を入手したい方は、以下からLINE公式アカウントにご登録いただくか、facebook、twitterなどのフォローをお願いいたします。

現場、数値、システムもわかるゼネラリスト(多能工)を育てよう

新型コロナウイルス騒動で紙製品やマスク、消毒薬が売場から消えてしまいました。こういう緊急時には、なんでもできるゼネラリストが活躍します。かつて零細だったドラッグストア(DgS)は、一人の人間が仕入れから売場づくり、物流までこなしていましたが、大企業になり、分業化・縦割り組織の弊害が表面化しています。

隣の部署が何をやっているか分からない「大企業病」の組織

現在は 1,000店を超えるチェーンストアであっても、もともとは1店舗からスタートしました。そして、2店、3店、10店と店数を増やしながら、小売業は企業として成長してきました。初期の小売業を支えた経営者や人材(現在の幹部)は、一言でいえば「何でも屋」です。

自分でメーカーや卸売業を開拓し、商談し、売場づくりも自分で行いました。仕入れた商品が売れないと取引先に相手にされないので、必死で売り方を研究し、店頭で商品を育てる努力をしました。また、売場に死に筋が滞留すると、売れ筋が売場に入らなくなるので、必死で売り切る努力をしました。当然、自分で数値管理を考えて、原始的な「予実管理」も自力で行いました。

ところが店舗数が増えていくと、一人で管理できるキャパシティを超えてしまいます。一般的に小売業は、30店を超えて成長しようとすると、分業化の組織開発と仕組みが必要になるといわれています(30店舗の壁)。チェーンストアの場合は、仕入れ・企画を担当する「商品部」と、陳列や補充などの売場作業を担当する「店舗運営部」の2つの組織にまず分業化します。

しかし、あくまでも大量の店舗を管理するために便宜的に分業化したに過ぎません。一人の人間が仕入れも、売場づくりも、販売もするのが、本来の商人の姿です。便宜上、分業化していても、一人の商人がすべてを担当するかのように、「商品部」と「店舗運営部」は緊密に連携すべきなのです。

しかし、DgSも1,000店を超えるチェーンストアになり、分業化・縦割り組織化が進んでいます。隣の部署が何をやっているか知らないし、知ろうともしない人材が増えていくと危険信号です。平常時に業務がうまく回っているときは、分業化組織でも問題なないのですが、今回のコロナウイルスのような緊急時には、なんでもできるゼネラリストが求められます。

東日本大震災の緊急時に、当時のメーカーの支店長さんの中で、自社の物流がどうなっているかが分かる人はほんの一握りしかいなかったそうです。物流は業者に丸投げしているので、業務の全体がわからず、緊急時の対応が遅れたメーカーもありました。分業化・縦割り組織の弊害は、緊急時の対応のときに表面化します。

業務の全体がわかるゼネラリストの育成

企業は規模が大きくなると、商品部、販促部、店舗運営部、物流部、システム部などと組織が専門職化、縦割り化し、小売業の機能の全体がわかる人材がどんどん少なくなっていきます。今こそ、全体像のわかるゼネラリストを計画的に育成すべきです。

「ジョブローテーション」こそが、ゼネラリストを育成するための最大の人材教育です。まずは、その企業のコアコンピタンス(中核となる業務)から経験を積むべきです。卸売業であれば「物流」、小売業であれば「店内作業」から経験を積みます。

その後、経営管理者の候補生は、計画的なジョブローテーションを行うべきです。店頭現場の作業をマスターしたら、商品部、情報システム部、経理部とジョブローテーションし、会社の業務全体を理解させることで、「数値」と「現場」の両方がわかる経営管理者を育成することができます。なんでも経験して、自然とゼネラリストになった創業期とは違います。大企業になれば、ジョブローテーションによって計画的・長期的にゼネラリストを育成しなければ、分業化された組織の歯車のような人材ばかりになってしまいます。

また、治外法権化しやすい「システム部」も、ある大手DgSでは店内作業をマスターした現場上がりの人材を登用することで、他の部署との横の連携が格段に良くなったそうです。

また、店内作業の現場でも、複数の業務をこなせるマルチ・ジョブ・ワーカー(多能工)を育成することがこれからは重要です。販管費の上昇によって、人の生産性向上は待ったなしだからです。業務の多能工化、つまり現場のゼネラリストを育成することによって、従業員一人当たり生産性の向上を目指す必要があります。

店内在庫確認サービス、店舗受取サービス—etc. カインズの新アプリを使ってみた

ホームセンター(HC)大手のカインズが、デジタルシフトを加速しています。アプリも新しくなり、自宅にいながら、マイストア(近くの登録店舗)の在庫数量がわかるサービスを開始しています。実際にカインズの新アプリを使ってみました。

店舗の在庫数量と陳列位置がわかるサービス

現在、カインズの店頭では、上記写真のように「事前在庫確認サービス」と「ネット注文→店舗受取」の新サービスを売場の多くの場所で表示していました。そこで、実際にカインズの新アプリをダウンロードし、まずは、自宅にいながら「マイストア」の在庫数量と陳列位置がわかるサービスを体験してみました。

最初にカインズの新アプリをダウンロードして、自宅近くのマイストアを登録します。「大きな洗濯ハンガー」という商品を検索すると、上記のようにマイストアの在庫数が42個と表示されます。その下の「売場をさがす」という場所をクリックすると、下記のようなマイストアの売場レイアウトと陳列位置がスマホ画面に表示されます。「売場表示が間違っていた際は係員までお声がけください」と表示されており、陳列位置をできるだけ正確に表示しようとしていることがわかります。

このサービスは、カインズの「オンラインショップ」の機能に付加したサービスなので、オンラインショップの画面に移動すれば、下の右の写真のようなレビューを見ることができますし、オンラインで注文して、宅配を選ぶこともできます。

「事前在庫確認サービス」の良い点は、来店したのに欲しい商品が欠品していたという消費者の不満を解消できることです。店頭欠品は、その店に対するロイヤルティを著しく下げるといわれており、個客満足向上に直結するサービスだと思います。

また、売場面積の大きなHCでは、「この商品はどこにありますか?」という質問をしたところ、店員も商品の陳列位置を覚えておらず、売場を行ったり来たりした経験をした消費者は多いと思います。そういう意味で、陳列位置が事前にわかるサービスも、顧客満足向上につながると思います。

「事前在庫確認サービス」は、5年ほど前からアメリカの「ホームデポ」が行っているサービスです。月刊MDやMD NEXTでも何度も記事を掲載しました。また、3年ほど前にカインズの土屋社長(現会長)に頼まれて、カインズ本社でホームデポのアプリの活用事例などを紹介した講演を行いました。ホームデポの事前在庫確認サービスは、下のリンクの記事を参照してください。

自宅で「在庫」と「商品情報」を確認できる「ホームデポ」のオムニチャネルの凄さ

ホームデポのアプリを使った「オムニチャネル戦略」については、雑誌やセミナーで報告してきましたが、残念ながら日本の企業はどこも実現していません。カインズの新アプリを使って一番驚いたことは、わずか3年で、アプリを活用した「事前在庫確認サービス」を実現したことです。

カインズの「デジタルシフト」に対するスピード感と本気度が伝わってきます。同社の挑戦し続ける企業文化の一端を見たような気がしました。

ネット注文→店舗受取。BOPIS戦略も開始した

カインズが始めた「ネット注文→店舗受取」の新サービスのことを、アメリカではBOPIS(Bye Online Pickup in Store)と呼んでいます。ウォルマートやホームデポなどの大手小売業は、新規出店がなくても、BOPIS戦略を強化することで、既存店の売上を増やし、企業全体の売上を増やしています。BOPIS戦略の詳細は、下のリンクの記事を参照してください。

「店舗数減少」でも売上を伸ばすウォルマート、ホームデポの戦略

 

カインズの店舗受取サービスの最大の特徴は、アプリのオンラインで注文しても、アプリでは決済しないことです。つまり、「お取り寄せサービス」なのです。決済は店舗で実際に商品の状態や質感を確かめて購入します。たとえば、スマホで見たのとはイメージが違うと思えば購入しなくてもいいので、消費者にとっては安心できるサービスです。

また、店頭で決済をするので、「せっかく来店したのだから」と、他の商品も関連購買や衝動購買をしてくれることも、リアル店舗にとっては大きなメリットです。

カインズ「ネット注文→店舗受け取り」の「CAINZ PickUpロッカー」実証実験開始

注)この原稿を執筆している時点では、コロナウイルスの影響もあり、店舗受取サービスを中止していました。

緊急事態!ドラッグストアにできるのは「お客の不安を取り除く」こと #がんばれドラッグストア

ここ数週間、ドラッグストアの店頭は異常事態に見舞われています。新型コロナウイルスへの危機感から需要が高まったマスク・消毒関連商品の欠品が続き、さらにデマを発端としたトイレットペーパーをはじめとする紙製品の買い占め、欠品が全国で広がっています。地域医療の担い手を自称するドラッグストアは、このような状況にどう対処すべきなのでしょうか?

現場は疲弊している

この数週間ドラッグストアの店頭は緊急事態に見舞われています。

新型コロナウイルスへの危機感から需要が高まったマスク・消毒関連商品の欠品が相次ぎ、さらにここ数日はデマを発端としたトイレットペーパーをはじめとする紙製品の買い占め、欠品が全国で広がっているのです。

何回も繰り返されるお客様からの在庫確認や次回入荷への問い合わせ、大量の品出し、開店時には長蛇の列ができ、入荷した商品が一瞬で売り切れる…という店舗もあります。お客様同士の小競り合いなどが起きてしまっている店舗も多いようです。

いつまで続くのかわからない状況に現場は疲弊しています。

一番不安なのはお客様

しかし一番不安なのはお客様です。新型コロナウイルス感染への不安から外出することもままならず、家族のためにトイレットペーパーやオムツなどの紙製品を切らすことができないと考えた方々は、発端がデマと知っていても買いだめに走らざるを得ず、結果として「デマが真実」になってしまっています。

「店舗はメディアである。ドラッグストアは地域医療のハブである」と当媒体では繰り返し提言をしています。今だからこそ店舗からできる情報発信によって、お客様の不安を少しでも取り除くよう動きたいものです。現場が一丸となってお客様のサポートに動けるよう、本部には現場をサポートしていただければ…と考えます。

たとえば

・本部が店舗に掲示できるような新型コロナウイルスに関する情報発信のためのPOPを配布する

・本部が店舗に対して、品薄になっている紙製品に関する、次回の商品入荷日を明確に掲示できるPOPを配布する

・お客様の不安に対し、薬剤師を中心として、医療知識に裏付けされたアドバイスを提供する

このようなことは、本部がサポートすれば、今あるリソースで十分対応できるはずです。

上記の写真は、店舗のICT活用研究所の郡司昇さんにご提供いただいた、首都圏のとあるドラッグストアに開店2時間前に掲示されていた張り紙です。

その日のマスク、紙製品の入荷状況について記載されています。在庫があるのかないのか、ない場合入荷はいつなのか?単純ですが、お客様にとっては必要十分な情報が伝わる内容になっています。

郡司さんからは、

このレベルのものでも掲示出来るだけで、問合せを6~8割は減らすことができます。(ダメ元で聞く人はどうしようもありません)。大切なのは毎日更新することです。

とコメントをもらいました。

紙製品に関しては、経済産業省が以下のような発表をしています。こちらを印刷して店頭に掲示するのは不安を解消するための一つの材料になるかもしれません。

ツイッターで情報発信している唯一のDgS

北海道のドラッグストア サツドラさんは、ツイッターでこの経済産業省のツイートを引用して、情報発信をしています。

3月2日の朝6時時点で、上場ドラッグストア14社のツイッターアカウントでこのような今回の騒動に関する情報発信を行っていたのは、サツドラのアカウントだけでした。

アプリやLINEなどでお客様と直接の接点を持っているドラッグストア企業は、それらのツールを活用して直接店頭の情報をお伝えしたり、新型コロナウイルスに関する医学的根拠に裏付けられた情報を配信することもできるはずです。

是非本部の皆様は、店で奮闘する方々が少しでも疲弊しないためのサポートに尽力していただきたいと思います。

今回の騒動が早期に収束に向かうことを祈っています。

(MD NEXT 編集長 鹿野恵子)