オンラインセミナー「人口減少時代の最大の売上対策 ・完全作業と機会損失対策」(2020/9/16 13:00~16:20)開催ご案内

ニューフォーマット研究会、2020年9月定例セミナーのテーマは、「人口減少時代の最大の売上対策・完全作業と機会損失対策」です。とくに「開店前100%品揃え」は、人口減少時代の小売業にとっての最大の機会損失対策です。今回は、店頭調査の実態に基づいて提言します。また、日米の「完全作業オペレーション」の事例を写真と動画で解説します。さらにコロナ後の小売業の最大の経営課題である売場の「クリンリネス」の取り組み事例も解説します。

開催概要

・開催日:2020年9月16日(水) 13:00~16:20
開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・実施方法:zoomによるオンラインセミナー
(アクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:1万5,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:9月9日(水)

スケジュール

(1)絞り込みと割り切りがポイント
ポストコロナ社会の「完全作業」と「機会損失」対策
[13時~14時頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

・完全作業率の高い日米の業態のオペレーションの特徴
(ダラージェネラル、エイヴイなど)
・店頭実現率を高めるためのポイント
・本部と店舗の連携不足が不完全作業の原因   他

(2)午前中の不完全作業率は店舗のバラツキが多い
「開店前100%品揃え」のススメ
[14時10分頃~15時10分頃]

月刊『マーチャンダイジング』編集長 野間口 司郎

・開店直後の陳列・補充状況調査
(エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング調査)
・開店前100%品揃えができる企業、できない企業の特徴
・完全作業率の高い企業のオペレーション解説  他

(3)コストをかけないで完全作業とクリンリネスを実現
日米の完全作業オペレーションの写真解説
[15時20分頃~16時20分頃]

月刊『マーチャンダイジング』編集部

・少ない人時で完全作業を実現する陳列方法
・注目のSM企業「オーケーストア」のローコストオペレーション
・コロナ後の最大の経営対策「クリンリネス」の事例研究
・早く簡単にできる段ボールカット陳列のポイント
・日米のPDQ陳列の事例紹介  他

注意事項

・今回のセミナーはzoomを利用して実施します。具体的な接続手順、URLなどは、受講者様にお送りいたします。 あらかじめ https://zoom.us/ にアクセスできるパソコンをご用意ください。スマートフォンでも受講できますが、パワーポイントのスライドを画面に共有して進めますので、なるべくパソコンでの受講をおすすめしております。

・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。

・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)。また、受講者様側の都合で当日受講できなかった場合も返金は致しかねますのでご了承ください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

植物の病気や害虫の悩みをLINEで解決できる「ガーデニングのお悩み解決 ホットライン」

店舗の業務効率化や顧客満足度を上げるために、アプリを活用してみませんか?今回は、専門的な知識が求められるガーデニングのカテゴリーで店頭のお悩みを解決する「ガーデニングのお悩み解決 ホットライン」をご紹介します。

アース製薬の園芸ブランド 「アースガーデン」 は、メッセージアプリ「LINE」の公式アカウントで、園芸に関して何でも相談できるサービスを無料で提供しています。

使い方はとても簡単。かわいいキャラクターのまもるくんとメッセージでやり取りすると、植物の育て方や病気や害虫など様々な症状について答えてくれます。さらに詳しく相談したい場合は、スマートフォンで症状を撮影し、写真と相談内容を送信すると、具体的に病名や対策を教えてくれます。(詳しく相談できる時間は、月・水・金・土・日の9:00~18:00となっています)

写真を送り、いくつかの質問事項にこたえると、丁寧な解説をしてくれる。

2018年のリリースからわずか3ヶ月で約3万人ものユーザーが登録し、2020年3月現在での登録者数は11万人以上。利用者数はますます増えている人気のLINE公式アカウント。LINEで 「アースガーデン」を友だち追加するだけで利用できます。お客様からのガーデニングのお問い合わせに活用したり、お客様にも使っていただき、満足度アップを目指しましょう。

アプリ名:ガーデニングのお悩み解決 ホットライン
URL:https://www.earth.jp/earthgarden/line/index.html

新生堂薬局、新型コロナ禍で健康フェアのオンライン化に挑戦

福岡県を中心にドラッグストア(DgS)・調剤薬局他を合計160店舗展開する新生堂薬局。2020年4月に開催予定だった大型イベントを、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンライン化。2020年7月1日から「FUKUOKAオンラインハッピーフェスタ」としてスタートした。その決断に至る経緯と実際の手ごたえを社長の水田怜さんに聞いた。

住みやすい街上位でも健康意識は低い福岡

福岡県を中心に店舗展開する新生堂薬局は、地域の健康の啓発のためこれまで2つの大きなイベントを実施していた。

一つが熊本で開催している子育て中の家族を応援するイベント「赤ちゃんフェスタ」。2019年5月には第8回を数え、20代~30代の子育て中の家族が約3000名参加している。

もう一つのイベントが「健康すこやかウォーク」で、こちらは福岡の市街地を会場にしたウォーキングイベント。10キロ、5キロのコースのウォーキング大会に2,000名ほどが参加し、楽しみながら健脚を競う。

新生堂薬局は、これら2つのイベントを合わせた「FUKUOKAハッピーフェスタ2020」を2020年4月29日に福岡国際センターで開催する予定だった。この狙いについて、同社代表取締社長兼CEO兼CHOの水田怜さんはこう語る。

「福岡は住みやすい街として常に上位にあげられる街で、人口も増加傾向です。一方、健康という側面から見てみると、一人当たり国民医療費はワースト11位(平成27年度、厚労省発表資料より)、検診の受診率も低く、男性の健康寿命も全国でワースト7位となっています。行政の方に伺うと、そもそも『運動する、検診を受診する、食事に気をつける』という基本中の基本ができておらず、そのきっかけもないということがわかりました。そこで、健康について啓発のきっかけとなるイベントを開催しようということになったのです」。

コロナ禍でリアルイベントを中止、オンライン化を決定

ところが、2020年年初から徐々に新型コロナウイルス感染拡大の傾向が見られ、大規模イベントの開催が全国的に懸念されるようになる。本当に大規模イベントが開催できるのか…、実行委員会は判断を迫られた。

「ただ、実行委員会のメンバーには、開催できようができまいが、最後まで完璧に準備は進めようと言っていました」(水田氏)中途半端に終わらせるのではなく、完璧に仕上げた状態で来年に持ち越した方が、先につなげていきやすいとの考えだった。

そして3月26日、実行委員長である水田氏は「感染拡大防止の観点からFUKUOKAハッピーフェスタ2020は中止する」と決定。しかし、ここまで準備をしていた実行委員のメンバーからは「それでもやりたい」という意向がひしひしと感じられた。

「弊社のイベントは、一部は外部のイベント運営会社の力も借りつつも、基本的には代理店などを入れず全部自前で運営しています」。そこまで頑張ってきた実行委員の「イベントを実施したい」という前向きな気持ちはとてもよくわかる。しかし感染拡大予防の観点から会場に大勢の参加者を集めてのイベント開催は避けなければならない。

そこでたどり着いたのが「健康について考えるきっかけを与えるだけであれば、オンラインでもできるのではないだろうか?」というアイデアだ。中止を決定したその日に、実行委員会全員一致でオンラインイベントに切り替えると決定。その後2時間かけて概要を練り、約3か月の準備期間で「FUKUOKAオンラインハッピーフェスタ」を開催することとなった。

実行委員会は約14名。販促を担当する営業戦略部はもちろん、本部の商品部バイヤー、運営部マネジャー、店舗の現場で働く薬剤師・管理栄養士・ビューティスタッフ・健康運動指導士なども含めた横断的なプロジェクトだ。本来の業務をこなしつつ、今回一丸となってFUKUOKAオンラインハッピーフェスタ開催への準備に取り組むこととなった。

動画とクイズでイベントを構成、課題は集客

こうして7月1日にスタートした「FUKUOKAオンラインハッピーフェスタ」。コンテンツの中心は健康に関する動画だ。フェスタ会場入り口のURLをクリックすると、「薬と健康ゾーン」「栄養と運動ゾーン」「美容ゾーン」などがあり、コーナーごとにメーカーによる商品解説の動画を掲載。動画を見た後に、関連したクイズに回答すると、後日正解者の中から抽選で景品が当たる。

また「スペシャルトーク」ゾーンには、福岡ソフトバンクホークスOBの馬場孝浩さん、攝津正さんによるトーク動画や、7人制女性ラグビーチーム「ナナイロプリズム福岡」のスペシャルトーク動画などのコンテンツも掲載。

「動画で体験!」ゾーンには、「調剤薬局の最新ロボットを見てみよう」「ドラッグストアの商品で、巨大スライムを作ろう」など、子供もたのしめるような内容の動画が掲載されている。

 

集客は店舗レジでのお客に対するチラシ配布、店頭のデジタルサイネージでの紹介映像投影、新生堂アプリやLINE公式アカウント、facebook、twitter、Instagramなど5つのSNSアカウントによる情報発信などで実施。

いざ7月1日を迎えたあとに、オンラインイベント開催の感触について水田氏に伺うと「とても難しい」と率直な感想が返ってきた。動画の再生回数が思っていたほど伸びておらず、協賛企業のためにも今後開催期間中にてこ入れをしていきたい考えだ。

「新しいことにチャレンジしようとする企業文化が新生堂の強み」

しかし水田氏は現状を前向きにとらえる。

新しいことにチャレンジしようという企業文化は弊社の強みです。今回も新しいマーケティング手法への挑戦として非常に勉強になっています。もしもうまくいかなかったとしても、うまくいくまでずっとやり方を変えてやっていけば成功になります。

赤ちゃんフェスタは、8回目となる昨年こそ3,000名規模を集客する大規模なイベントに成長しましたが、スタート当初は参加者50名からはじまりました。2回目が500名、3回目は1,000名です。いきなり3,000人なんて集まりません。最初から簡単にうまくいくものではないんです。

FUKUOKAオンラインハッピーフェスタも、8月31日まで閲覧者数が増えるように工夫をしていきたいですし、来年以降もこのイベントを毎年開催してきたいと考えています」

来年もしリアルの場でイベントが開催できるようになっていれば、事前にオンラインハッピーフェスタを開催し、オンラインで商品について知ってもらった上で、イベントの実会場では商品に触れてもらうというような展開も可能だろう。

状況が許せば、2021年にはオンライン・オフライン両方のイベントを開催し、お客様にあらゆる方向から健康に対するきっかけを与え続けていきたいと水田氏は語る。

新生堂薬局では、今回メーカーから提供された動画を、店舗従業員が商品理解を深めるために活用したり、また店舗のPOPに動画へのリンクが埋め込まれたQRコードを添付して、POPから動画への動線をひくというようなことも実験していくとのこと

昨今「OMO」(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)という言葉を耳にする機会が増えている。オンラインとオフラインの境界が無くなっていくという意味だが、このFUKUOKAオンラインハッピーフェスタというイベントは、新生堂にとってOMOのはじめの一歩と位置付けられるのかもしれない。

何事もはじまりはそう簡単にはいかないけれど、まずは挑戦してみなければ前には進まない。中規模のドラッグストアチェーンだからこそ、機動力が高く新しいことに挑戦できる。そんなことを考えさせられる取り組みだ。

体験型店舗のパイオニア目指す「b8ta」有楽町店レポート

2020年8月1日、東京・有楽町と新宿に2店舗同時オープンするサンフランシスコ発の体験型店舗「b8ta」。一足早くオープンに先駆け動画でレポートします。
詳しくは月刊マーチャンダイジング2020年10月号に掲載予定です。

販売力背景に大手企業とのタッグで開発されるコスモス薬品のPB

躍進を続けるコスモス薬品を支えるのが14.9%と高いPB比率だ。圧倒的な販売量に支えられ、メーカーとタッグを組んで「ON365」「StandarDay」など、品質、価格ともに評価の高い商品を提供し続けている。同社のPBの魅力とは。(本誌編集長 野間口司郎/月刊マーチャンダイジング2020年7月号より編集の上転載)

コンビニニーズに切り込んだPB「おいしい惣菜」

計画的な高密度ドミナント出店に加え、同社の大きな特徴はプライベートブランド(PB)商品の開発にある。菓子、冷凍、調味料など一般食品の「ON365」、日用品の「StandarDay」、総菜の「おいしい惣菜」という3ブランドを展開。

写真1 具材も大きめ、甘めの味付は白米との相性もよい(218円/税込)
写真2 本格的なデミグラスソースは洋食店レベル。サイズも大きめ(198円/税込)

「おいしい惣菜」はチルド(冷蔵)タイプと冷凍タイプの2種類がある。チルドタイプはスタンドパウチ(自立型パウチ包装)、トップシール(トレー容器にシールで包装したもの)があり写真1は「アンガス種黒毛牛肉 肉じゃが」(スタンドパウチ)、写真2は「濃厚デミグラスソース ハンバーグステーキ」(同)。

味に関しては個人的感想だが、肉じゃがは甘味濃く味付けしてありご飯が進む。「こてっちゃん」でおなじみ兵庫県本社のエスフーズとの共同開発。ハンバーグはデミグラスソースが本格的でおいしい。日本ハムとの共同開発。

この他チルドのスタンディングパウチには「鶏そぼろ」「牛カルビ」「鶏大根」などがあり、198〜238円(税込)で販売されている。

写真3 さば料理はほかにみそ煮、南蛮漬けもある。脂が乗って柔らかい(198円/税込)

写真3は「骨取り さばの塩焼き」(トップシール)、骨取りさばはほかに味噌煮や南蛮漬け、竜田揚げなどがあり、こちらも198〜238円(税込)で販売されている。脂が乗っておりやわらかくおいしい。

写真4 フライパン調理の必要なし。レンジアップだけで食べられる(10個入り228円/税込)

「おいしい惣菜」はいずれも電子レンジ(または湯煎)で調理できるので、一部鍋や油が必要なON365よりは時短、簡便性を追求しコンビニニーズに切り込んだPBである。ちなみに同じ餃子でも、おいしい惣菜の「レンジでおいしいギョーザ」は10個入り228円(税込/写真4)、ON365の冷凍の「羽つき餃子」は16個入りで198円(税込み)で1個単価は安いがフライパン調理が必要になる。

セブン-イレブンが自社で中小の食品企業を開拓、育成しグループ化するような形でたどりついた高品質でリーズナブルな価格の総菜カテゴリーに、コスモス薬品は販売力を背景に大手企業と組むことで一気に効率よく追いついている。

加工食品が多いON365でも多くの商品はダブルチョップ(共同開発)でメーカーとのコラボ経験は豊富。賞味期限が短く、生産量、在庫量の厳しい管理が求められるおいしい惣菜では、そのノウハウを高度化させているものとおもわれる。店頭在庫にはボリューム感がありニーズの高いことをうかがわせる。

今後単身世帯、高齢の2人世帯・高齢単身世帯、そして低所得層が増える状況を考えれば個食、低価格の総菜ニーズは高まるだろう。

写真5 レンジで温めるだけで本格的な味が楽しめる(4個入り348円/税込)

写真5は美味しい惣菜の冷凍食品「レンジでおいしい牛肉コロッケ」348円(税込)。ニチレイフーズとの共同開発。同ブランドの冷凍食品は4個入りなどチルドに比べ容量が多くファミリーユースにも対応している。個食、家族食の両方を用意している点でもよく考えられたPBだ。

PB商品の売上構成比約15% 高い商品開発力は差別化要因

写真6 StandarDayの洗濯バサミ(20個入り98円/税込)

日用品部門の「StandarDay」はキッチン、洗濯、衛生などのカテゴリーに商品を投入している。水切りネット、ペーパータオル、クッキングホイル、洗濯ばさみ(写真6)、デンタルフロス、綿棒など単価は低いが利用頻度の高い商品が多い。

写真7 最近人気の泡スプレータイプの食器用洗剤 StandarDayブランド(300mℓ198円/税込 詰め替え(720mℓ398円/税込

食器用泡スプレーなど大手ナショナルブランド(NB)メーカーから発売された新しい機能を備えた商品もある(写真7)。洗濯用角ハンガー、ハンガーなど粗利の高いとおもわれる商品はプロモーションで大きく打ち出している。白を基調としたデザインはシンプルでおしゃれ、清潔感もある。

写真8,9 ON365の醤油ヌードルはエースコックとの共同開発、同きつねうどんのパートナーは東洋水産(両方85円/税込)

–続きは月刊マーチャンダイジング2020年7月号でご覧ください

・同社が発行するフリーペーパー
・他社とのPB比率の違い

などをご紹介しています。ご購読は以下のバナーから。

月刊MD、2020年8月号「激変する化粧品の売り方、売場」発売!

月刊マーチャンダイジング2020年8月号の特集は「激変する化粧品の売り方、売場づくり」です。新型コロナウイルス騒動により化粧品の売り方は激変しています。テスターの在り方、触れない中でのタッチアップの方法…時代に変化対応した「化粧品の売り方」をいち早く実行した企業が勝ち残ります。その突破口とは!?

 

2020年8月号にはそのほか、「超現場シリーズ」としてコロナ禍の店頭の様子をまとめ、現場のリアルを伝えます。実務企画では、他社の店の技(売り方)の分析方法を「商品構成グラフ」から導きます。

編集長の野間口が動画で今月のおすすめポイントをご紹介!是非ご覧ください。

主な目次

【今月の視点】
「愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ」月刊MD主幹 日野 眞克

【特別寄稿】
「商業界」滅びるとも、「商業界精神」は死なず 流通ジャーナリスト 流川 通

【特集】
激変する化粧品の売り方、売場づくり
・取り組み企業事例<新生堂薬局>
・リアル売場の強みを生かし勝ち残る8つのポイント
・デジタルカウンセリングツールの活用

【超現場シリーズ】
緊急時の売場チェック[検証編]

【特別企画】
利益アップの王道「ロス対策」総まとめ
エイジスリテールサポート研究所 取締役 企画部長 米山 英志

【実務企画】
実践ストアコンパリゾン「商品構成グラフ」

【TOPICS】
パワハラ防止法の施行とハラスメント対策のポイント

【これから伸びるカテゴリー提案】
ユニ・チャーム「 “家中除菌”掃除の新習慣提案」

【緊急寄稿】
コロナ禍で支持高める「タイムリーな情報提供」と「買物効率性」
株式会社ロコガイド マーケティング部『リテールガイド』編集長 竹下 浩一郎

【業態STUDY】
コンビニの商品開発は、健康、プレミアム、
地域対応を軸に、コロナ禍でもぶれずに進行中

ご購入は以下のリンクから!

 

首都圏初出店!カインズの新業態「Style Factory 海老名店」動画レポート

2020年7月18日、カインズの新業態「Style Factory」が首都圏に初出店となりました。ららぽーと海老名にオープンした本店舗を動画でレポートします。

 

詳細は月刊マーチャンダイジング2020年9月号に掲載の予定です!

定期購読のお申込みは以下のバナーから。

人口の約3分の1が高血圧!測定の重要性を啓発する血圧計の売り方

超高齢社会を迎える日本。糖尿病・高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病といかに向き合っていくかがクオリティ・オブ・ライブを左右する。なかでも国民の1/3が予備群と言われる「高血圧」は、脳血管疾患・心疾患などの命にかかわるイベントを引き起こす原因になりかねないが、多くの人が「見てみぬふり」をして過ごしているのが実情だ。地域の健康ステーションであるドラッグストアは、この問題にどうかかわるべきか。血圧計の売り方や、高血圧に関する情報発信について考える。

日本国内の高血圧をめぐる状況

患者数は全人口の約3分の1にあたる4300万人と、国民病とも称される高血圧。日本人の4人に1人は脳や心臓の血管トラブルで死亡しており、突然死の原因の約8割は脳や心臓の血管トラブルによるものといわれている。

高血圧治療ガイドラインによると、高血圧の基準値は診察室血圧が140/90mmHg、家庭血圧は135/85mmHg。高血圧者は、一定期間生活習慣の修正を積極的に行い、その効果が充分でなければ降圧薬治療を行うことが推奨されている。

近年、海外では高血圧の基準値を下げる傾向にある。アメリカでは上の数値を130 mmHgに規定されており、そうなると日本の人口の半数以上が高血圧に該当することになる。

高血圧の通院状況については約4300万人の患者の内、27%にあたる約1200万人が服薬による血圧コントロールができているが、全体の約半数は未通院で適切な治療を受けておらず、治療中の患者でも29%は適切なコントロールができていない。今後、降圧達成率を向上させるためには、患者の行動変容支援と共に、パーソナライズされた診断や治療が必要となってくるだろう。

また健康診断等の測定で正常値を示す6000万人のうち、10~15%が仮面高血圧の可能性がある。仮面高血圧は持続性高血圧の患者と同程度のイベント発症リスクがあり、正常血圧の人の約2倍のリスクを抱えている。高血圧を予防するには、規則正しい生活やバランスのよい食事、適度な運動と共に、家庭での定期的な血圧測定も重要となる。

国内の血圧計市場環境

家庭用血圧計の購買チャネルのメインは家電量販店とドラッグストアだ。2019年度の家庭用血圧計の市場は家電量販店が前年比98%、ドラッグストアでは同103%。家電量販店とドラッグストア計で120億円規模のマーケットであり、年々微増傾向にある。

近年はネット通販も伸長しており、特に新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響から、2020年4月以降は家電量販店での購入割合が下がり、身近にあるドラッグストアやネット通販の利用が大幅に伸びている。

ドラッグストアにおける血圧計のメイン購買層は60・70代であり、男女比で見るとドラッグストアの業態の特性もあって女性が大半を占めている。

前述したように高血圧の未通院は約2000万人にも及び、早ければ30代半ばごろから症状が現れることがあるため早い段階での血圧管理が重要となる。

現状、30・40代の高血圧患者は血圧管理に対し「自分ゴト」という認識が低く、特に未通院の場合、サプリメントや特定保健用食品といった健康食品等に頼る傾向にある。40・50代の通院患者についても自宅で血圧を測る習慣のない人も多く、こういった比較的若い世代の高血圧患者に向け血圧計を訴求することが、同カテゴリーの課題となっている。

血圧計のタイプと購入者の傾向

家庭用の血圧計は「上腕式」と「手首式」に大きく分かれる。「上腕式」は動脈の血圧を正確に測定でき、病院で測定するときと同じ使用感である点がメリットとなるが、機器のサイズが大きいため場所を取るというデメリットがある。一方「手首式」は小型で軽く、携帯性に優れるが、測定姿勢による誤差が生じやすい。

オムロン ヘルスケアの調査によると、家庭用の血圧計マーケットは「上腕式」が約7割と10年前と比較し3割以上伸びている。高血圧治療ガイドラインでは「上腕式」タイプの血圧計で計測することを推奨しており、このことが同タイプの伸長につながっていると考えられる。購入金額を見ると10年前と比較し8000円以上の割合が増え、購入金額も微増傾向にある。

オムロン ヘルスケアの血圧計は、腕帯タイプの上腕式血圧計のほか、全自動タイプ(腕を通すタイプ)の上腕式血圧計、手軽で使いやすい手首式血圧計、最新鋭のウェアラブル血圧計と幅広いラインナップを持つ。

同社の血圧計の特徴は、独自の血圧測定技術「インテリセンス/Intellisense®」をはじめ、巻きやすさにこだわった使いやすい腕帯にある。さらに世界110か国以上で配信しているスマートフォン用の健康管理アプリ「オムロン コネクト」と対応する血圧計を連動することで、「かんたん血圧日記」といったサービスも利用可能だ。「オムロン コネクト」の利用者は従来の血圧計使用者と比較すると40・50代の利用者が多くを占めており、新たな客層の取り込みに成功していることが分かる。

血圧計の売場づくりのヒント

血圧計のマーケットは気温が下がり血圧が上がりやすくなる冬場に加え、健康診断の直後や父の日・母の日、敬老の日といった時期にも数字が跳ねあがる。消費者の購買行動を見ると、新規ユーザーは買い替えのユーザーに比べて手軽な「手首式」の構成比が高く、平均の購入金額も低い傾向にあることが分かっている。

ドラッグストアでの血圧計の取り扱いについては、頻繁に売れる商品ではないことから長年にわたり棚割りが変わっておらず、動きも鈍かった。しかし、前述したように高血圧に関する潜在ニーズは高いことから、使い勝手や機能、価格によって商品を選べるよう上腕式、手首式ともにラインナップを増やし、品揃えや売場づくりをブラッシュアップする必要がある。

血圧計は健康機器として、売場の奥まった位置に陳列されていることが多い。しかし、売上を拡大するためには、来店客に血圧に対する意識をもっと高めてもらう必要がある。

たとえば調剤部門で高血圧に関するリーフレットや血圧計のチラシを薬剤師の手で配布するといった取り組みは、患者に対し気付きを与えやすい。また血圧管理をテーマに、血圧や脂肪・糖分に配慮したトクホ飲料、健康食品等と一緒に血圧計を陳列し、ボード等を使ってコーナー化することも血圧計を目にする機会を増やすひとつの施策といえる。

とあるチェーンのID-POS分析によると血圧計購入者は購入後も血圧に関する商品を同じ店舗で継続購買する傾向にあり、カウンセリングによる受診勧奨から血圧計の販売につなげることで、その後ロイヤルカスタマー化する可能性が高まる。

血圧の管理はドラッグストアが推し進めるセルフメディケーションの柱のひとつだ。ドラッグストアはヘルスケア関連の豊富な品揃えに加え、薬剤師・管理栄養士といった専門人材、来店頻度の高さなどから、家電量販店に比べても優位性を持つ。今後は血圧計をフックにカウンセリングや売場づくりを強化することで、優良顧客の醸成につなげていきたいところだ。

協力:オムロン ヘルスケア(株)

 

インストアマーチャンダイジング(ISM)の全体像を把握する

ファネルの話の途中ですが、ここで「インストアマーチャンダイジング」の全体像について解説します。インストアマーチャンダイジングとは「①小売の店頭で、②市場の要求に合致した商品および商品構成を、③最も効果的で効率的な方法によって消費者に提示することにより、④資本と労働の生産性を最大化しようとする活動」のことです。かみ砕けば、「店舗のお客様の要望にあった商品をいかにお客様に提供するか」ということです。

商品露出と商品刺激に分類できるISM

インストアマーチャンダイジングはIn-store Merchandisingの頭文字を取って「ISM(イズム)」と呼ばれることもあります。広義のマーチャンダイジング(MD)は、店舗政策、商品政策、価格政策という冒頭の図のオレンジ色の部分を指しますが、インストアマーチャンダイジングはより店舗にフォーカスした概念で、どの商品を露出させ、どの商品の露出を控えるのかという商品露出力に関わる「スペースマネジメント」と、いかに需要を喚起させるか、つまり商品刺激力に関わる「インストアプロモーション」の2つに大別することができます。

スペースマネジメントは、「フロアマネジメント」と「シェルフスペースマネジメント」によって構成されています。「フロアマネジメント」は、店内の回遊をどのように設計し、通路幅をどれぐらい取り、どのカテゴリーをどの位置に配置するかという「レイアウト計画」や、クロスMDなどが含まれます。

「シェルフスペースマネジメント」はゴンドラの設置場所の検討をはじめゴンドラ内での棚割、商品のグルーピング、ゾーニング、フェーシングなどがこれにあたります。

フロアマネジメントは、どのようにお客に店内を回遊していただくかをマネジメントすることです。できるだけ多くの商品が目に入る機会をつくり、歩きやすい、見やすい、もしくはまたカートが通りやすい通路幅を検討します。店舗が広くなりすぎると、店内をくまなく歩いてもらえなくなるかもしれません。どこに注力してどこをそぎ落とすのか、自店舗のコンセプトやターゲットから落とし込んで計画を練る必要があります。

計画購買の店舗は直線的なゴンドラ配置が無難

店内レイアウトについて、多くのドラッグストア(DgS)チェーンは、ゴンドラを直線的に並べるレイアウトを選択しています。しかしドン・キホーテやロフト、蔦屋家電のように、あえて直線ではない入り組んだゴンドラ配置を選ぶ店舗もあります。商品を探し出す楽しさを演出したり、意外な商品を見つけることを面白がってもらおうという考えです。この目的は非計画購買の促進にあります。

しかしバラエティショップや雑貨店とは違って、DgSは「風邪をひいたから風邪薬を買いたい」「そろそろ化粧水が切れそう」などの理由が来店動機であり、計画購買が中心です。

お客にとってはなるべく迷わずに商品にたどり着ける方がうれしいので、ゴンドラがまっすぐ並んでいる方が使い勝手がいい店舗と評価されます。このことが、DgSが直線的なゴンドラ配置を好む理由のひとつです。

ゴンドラ接続数で売上は変わる

ゴンドラをつなげる数によって売れ方は変わります。計画購買がメインの店であれば、なるべくゴンドラの接続数は多い方が買上点数が上がり客単価も上昇するということは、実験などで明らかになっています。

ゴンドラの接続数が多ければ、全部の副通路を一方通行に歩くことで店内の商品をひととおり見ることができ、店全体の売上向上につながるのです。

エンドに売り込みたい商品を大量陳列し、非計画購買を増やしたいというチェーンでは、ゴンドラを短くすれば、店内にエンドをたくさん配置することができるでしょう。

どちらが正解ということはありませんが、「計画購買中心の店舗では、ゴンドラをつなぐ数が多ければ多いほど、売上も上がる」という経験則には留意しておきたいものです。

チラシ特売商品を必ずしも露出させる必要はない

ところで、読者の皆さんは、チラシ特売商品を店舗のどの位置に陳列をさせるべきだとおもいますか。チラシで激安と銘打った集客商品は、店前通行客の集客を狙ったり、お客からの販売場所の問い合わせをなるべく減らすために、店頭に山積みするという企業は少なくありません。

一方で、チラシ特売商品をあえて店舗の一番奥まった目立たない場所にひっそりと陳列し、お客の回遊を狙うという手法を取るチェーンもあります。集客商品は売れたら赤字になりますから、あえてチラシ商品を見つけにくくしていて、「見つからないから諦めて別のものを購入しよう」という判断を狙うという側面もありそうです。

チラシを見た人は店内を歩き回って探すから、目立つ必要はないという発想でしょう。このように、PI値の高い商品を、店舗の入り口から離れた場所に配置するのもよく取られる手法です。

なお、店内レイアウトを計画する場合には、売場の配置だけでなく作業動線についても配慮したいものです。細かい話は別の章に譲りますが、まだまだ検討の余地がある部分だと筆者は考えています。

ハイ・アンド・ローでお客の購買意欲を刺激する

インストアマーチャンダイジングのもうひとつの要素は「インストアプロモーション」です。これには「価格主導型」のものと「非価格主導型」のものがあります。DgSにおいては、ほとんどが「価格主導型」のプロモーションになります。

商品の値段がいつもより安いことは、お客の購入を後押しする刺激になります。しかしいつも同じ商品が同じように安いだけでは刺激になりません。そこで多くの企業が採用しているのが、期間によって価格を上げ下げする「ハイ・アンド・ロー」という手法です。

定番商品の値下げ販売、バンドル販売、チラシ特価、エンド特売などがこれにあたります。「エブリデーロープライス(EDLP)」という、価格を変動させず、毎日同じ低価格で商品を売る手法を採用しているDgSは日本では少数派です。

一方、「非価格主導型」のインストアプロモーションには、ノベルティや試供品の提供、複数個を合わせて販売する「バンドル販売」、値引きなしの「エンド山積み」による視認性アップなどが挙げられます。

店頭でよく見られるのはある商品に別の商品のサンプルを付けて販売する方法です。ノベルティや試供品を付けて商品を目立たせることで、普段からその商品を使っている人への購入を促し、競合店での購入を未然に防ぎます。

しかし、いくらノベルティ・試供品の提供といっても、なんでもかんでも一緒に販売すればいいというものではありません。

極端な例ですが、とある化粧品メーカーのおしゃれな日焼け止めに液体漂白剤を付けて販売している光景を目にしたことがあります。これではメーカーが積み上げてきたブランド価値も何もあったものではありません。

また、サンプル・試供品提供の際、消費期限がある商品を付けるのも避けた方が無難でしょう。期限管理が二重になってしまうからです。葛根湯に生姜湯のサンプルを付けて販売しているのを目にしたこともありますが、医薬品より食品の方が消費期限が短いことが多く、シーズン終盤には高い確率で生姜湯の消費期限が切れているというようなことが起きます。

これらは商品のプロモーションを目的として行っていることですが、オペレーションが増加し、結果として管理がずさんになる可能性も非常に高いのです。
期限切れのサンプルを渡してしまう、商品の魅力を損なう…などもあり得ます。マイナスの側面にも配慮して実施は検討した方がいいでしょう。

強い「企業文化」を持つ組織がコロナ後の大変化を克服できる

ポストコロナ社会は、消費者の購買行動、企業経営、業務システムなどの未曽有の大変化が起こります。この大変化を克服できる組織とは、実は根幹に強固な「企業文化」を持った組織です。時代の大変化を克服し続けている「ウォルマート」の企業文化に改めて学びましょう。

大変化の時代だから商売の原点に帰ろう

日米の小売業の栄枯盛衰を30年以上にわたって定点観測している筆者が断言できることは、「変化」や「ゲームチェンジ」は毎年なだらかに起こるものではないということです。歴史的な変化が起こった時期に、まるで階段を駆け上がるかのように一気に変化するものです。

新型コロナ後の次の10年もまた、平成の価値観がまったく通用しないゲームチェンジの時代が始まることを意味しています。平成バブルの崩壊という大変化の時代に、ドラッグストアは階段を駆け上がるように一気に大成長しました。コロナ後の10年間もまた未曽有の大変化が起こり、主役の交代も間違いなく起こります。これは歴史の必然なのです。

この大変化を克服するためにもっとも大切なことは、組織の根幹に太くてぶれない強い「企業文化」を持つことです。時流に乗ることが上手で、損得に敏感な企業は、短期的には成長しますが、時代の大変化を超えて、次の時代の主役であり続けることはできません。

企業の寿命30年説を克服し続けるウォルマート

企業の寿命は30年といわれています。たとえばアメリカの小売業も20~30年周期で主役が交代しています。太平洋戦争後にアメリカの退役軍人が帰国し、新しい家庭を持った「ベビーブーマー」時代の小売業の王様は「シアーズ」でした。その後、1960年代に台頭したディスカウントストアの「Kマート」がアメリカでナンバーワンの小売企業として君臨しました。

しかし、シアーズもKマートも、時代の変化を乗り越えられず衰退していきました。1980年代に台頭した「トイザらス」などのカテゴリーキラーも、アマゾンとの競争に敗れて倒産してしまいました。

ところが、Kマートと同時期の1960年代に創業した「ウォルマート」は、時代の変化を克服し続けて、現代もナンバーワン企業として成長を継続しています。1980年代にディスカウントストアという業態が時代に合わなくなると、ウォルマートはディスカウントストアとスーパーマーケットを合体した「スーパーセンター」という新業態を開発して大きな成長を遂げました。一方、時代の変化を克服できなかったKマートは衰退していきました。

もともと非食品業界の出身だったウォルマートが、食品流通に挑戦することは、当時のアメリカでは常識外れの無謀な挑戦と揶揄されたものでした。しかしウォルマートは外野の意見など意に介さず、食品流通に果敢に挑戦しました。今では全米でもっとも食品を販売する小売企業は、非食品出身のウォルマートなのです。ダントツの1位です。

巻頭に掲載したウォルマート創業者のサムウォルトンのサムズルールの10番目に「ルール10 逆流に向かって泳ぎなさい」という言葉があります。サムウォルトンは、逆境に挑戦し続けることがウォルマートの企業文化であることを、生前に明文化していたわけです。ちなみに、このサムズルールという小冊子は、アーカンソー州ベントンビルのウォルマートの創業店舗(現在は記念館)で配布していたものです。

変わってはならないもの 変わり続けるもの

ウォルマートの企業文化は、サムウォルトンの死後(1992年没)にも脈々と受け継がれています。近年のアメリカでは、Amazonに代表されるオンライン小売業の急成長によって、リアル小売業はシェアを奪われる側に回っていました。まさに「ゲームチェンジ」が進行中だったわけです。2017年のトイザらスの倒産は、その変化を象徴しています。また、4年ほど前のウォルマートは既存店の売上が低迷し、Amazonとの競争で業績を悪化させていました。

しかし、3年ほど前からウォルマートは新規出店投資を抑えて、ITに巨大な投資を行いました。デジタルトランスフォーメーションに挑戦することによって、オンラインとリアルの買物を融合しました。「リアルでの買物」「オンライン注文→店舗受取」「オンライン注文→宅配」と、オンラインとリアルの買物を融合した、ストレスフリーの新しい買物体験を提供することに成功しました。近年ウォルマートのオンライン売上は大きく成長しています。

また、全米にリアル店舗網を持つことが逆に強みになり、最近ではオンライン小売業のAmazonの売上を奪っているとも言われています。まさに、オンライン小売業との戦いという時代の大変化を克服しようとしているわけです。

創業経営者の最大の職務(=使命)は、生涯をかけて強固な企業文化をつくることだと思います。時代の変化に対応できる強い企業文化づくりのためには、「変わってはならないものと、変わり続けるもの」の両方を同時に持つことが重要です。

まずは時代が変わっても通用する普遍的な価値観や哲学を強固にすべきであり、それを明文化すべきです。その普遍的な考え方を組織の全員が共有し、困ったときにはその原則に戻れるような普遍的な言葉であるべきです。サムズルール10もまた現代にも通用する普遍的な価値観と言葉だと思います。

一方で、時代に合わせて「柔軟に変化できる。変化を恐れない。変化を善とする」という企業文化も持つ必要があります。ウォルマートのサムズルールのように、核となる企業文化が太くて強い組織ほど、変化に柔軟に対応できるのではないかと思います。