メーカー営業が競合優位に立つ最終解はトレードマーケティング強化だ

国内メーカーが今後どう生き残りを果たすかについては、これまでも度々議論がされてきました。さらに昨今ではコロナ禍によって競争環境が激的に変化し、競合優位に立つためにどのような施策を打つべきなのか各社意見を戦わせているのではないでしょうか?本稿では、外資日用品メーカーで大幅なシェア獲得に成功した実績を持つ筆者が、トレードマーケティング機能強化による競合優位性の獲得について解説します。(談:ニュー・フォーマット研究所 副社長 村瀬一弘/まとめ:編集部)

日用品メーカーが置かれている状況

以下にメーカーが今置かれている状況について、筆者の観点から5つのポイントをまとめました。

1.度重なる流通構造の大きな変化にさらされ、小売業とのパワーゲームに疲弊している

小売業は統合され、上位集中化が進んでいます。また、卸売業も同様に巨大化しています。メーカーの小売業に対する販売促進費は増加する一方で、価格競争は泥沼化するばかりです。終わりの無いのないパワーゲームから抜け出せないメーカーが多い状況といえます。

2.プライベートブランド(PB)、ストアブランド(SB)の成長にNBは存在意義を問われている

大手小売業各社は、他チェーンと差別化をはかるため、PBやSBの導入に積極的です。NBよりも自社のPB、SBを優先的に販売している企業も増えてきました。そのような小売業に対し、どう存在感を出していくのか、メーカー各社は手探りで解を探しています。

3.ITの進展に伴う買物行動の変化に必死で対応している

スマートフォンの普及などによって、お客様の買物行動は変化しています。それに伴い小売業もオムニチャネル戦略に舵を切りつつありますが、それに対応できているメーカーはそう多くはありません。

4.消費者心理の大きな変化によって求められる新しい「値付け」のルールを模索している

世帯収入の伸びは鈍化し、消費支出も減少しています。さらに、昨今のコロナ禍による先行き不安感は、デフレ傾向に拍車をかけています。これまでの「値ごろ感」は変化しており、販売促進のあるべき姿も変わろうとしています。

5.コロナ禍によって小売業商品部との商談機会が減り、提案力が試されている

コロナが小売業との商談にもたらしたもっとも大きな変化は、対面のコミュニケーションそのものの機会が激減したという点でしょう。オンライン商談は一般化し、情に訴えかけるだけの営業は小売業商品部への訪問さえ難しくなっています。営業は提案力が試されています。

メーカーの営業はこの変化にどう対応していくべきなのか?

では今後メーカーの営業はどうしていくべきなのでしょうか?

1.部署の壁をこえ、サプライチェーン全体の無駄をなくしていく

これまでのメーカーの営業は、小売業の商品部(と一部店舗運営部)とは積極的にコンタクトを取ってきていました。しかし一方で社内のブランドマーケティング部門とはコミュニケーションが薄く、組織間の壁は否定できませんでした。しかしながら、どれだけ市場にニーズがあるのかを把握する「需要管理」と、在庫状況の変化から不足数量を予測し、工場へ生産を依頼をする「供給管理」なしには、サプライチェーンの無駄を省くことはできません。サプライチェーンの効率化を図るためにも、需要の起点を生み出す鍵を握るブランドマーケティング部門と営業の連動は必須といえます。

2.小売業の変化を予測して、事前に対応をする

小売業がどう変化していくかを予測し、事前に対応していくこともこれからメーカーの勝敗を分かつでしょう。今後さらに小売業のM&Aや提携が進めば、取引制度、販促金の整合性が求められることになるからです。

ドラッグストアA社とB社が業務提携によりおなじ「Cグループ」になったとします。提携前にあるメーカーX社の商品が、A社には95円で、B社には100円で納品されていた場合、X社は提携後のCグループ全体に安い方の95円で納品しなければならなくなります。「安かったA社は店頭露出を多くしていた」とか、「店頭の陳列を早くしてくれた」のように、何か整合性のある理由でもない限り、この要求は避けることができません。すべての取引情報をオープンにする必要はないのですが、整合性のある販促金マネジメントが必要になってきます。

また、小売業とメーカーの共通のトピックである「売場」と「ショッパー(お客様)」を起点とした営業スタイルを強化してくことにより、小売業との取り組みの質も高めていく必要があるでしょう。

3・競合優位に向けた変革のシナリオをつくり、実践する

最後は競合優位に向けた変革のシナリオを作り実践していくことです。自社にどのような強みと弱みがあるのか、メーカー各社は把握しているようで把握できていません。きちんと調査などを行い、自社の強み、弱みを明らかにしたうえで、変革のシナリオを描き、実践していくべきでしょう。

これら3つのポイントを実現するのに役立つ手法が「トレードマーケティング」の導入です。

トレードマーケティングとは何か

メーカーによる、小売業を「顧客」ととらえたマーケティング活動のことを、トレードマーケティングと呼びます。

かつてのマーケティング手法といえば「ブランドマーケティング」であり、そのターゲットは消費者でした。消費者の心をつかむような価値を生み出すために、一貫したブランディングを行うのが「ブランドマーケティング」の役割でした。

しかし1980年代以降の過当競争の中、まず店頭に商品が並ぶことが重要という考えから、メーカーは小売業を単に流通経路のひとつとして見るのではなく、顧客ととらえてきちんとマーケティングを行うようになりました。そこで登場したのが「トレードマーケティング」という概念です。

トレードマーケティングの機能は以下の3つを挙げることができます。

①サプライチェーンの効率化(一連の流通プロセスを効率化する)
②ショッパーリサーチ(顧客の購買行動を調査)
③マイクロマーケティング(商圏の特性や顧客の年齢層など、市場を細分化して分析)

トレードマーケティングの業務を大まかにわけると以下の7つになります。

①販促金管理
②キーアカウントプランの管理
③エリア管理
④需要管理(含むショッパー理解)
⑤供給管理
⑥オムニチャネル対応
⑦ECサイト管理

トレードマーケティングと営業企画の違い

トレードマーケティングと営業企画の大きな違いは、営業企画の業務の中心が営業予算の管理であるのに対し、営業予算の管理に加え、店頭・ショッパーに使用するブランドマーケティング予算を含めた、小売業・卸売業向けすべての予算権限を持ち、前述した機能を体系的に、継続的に実践するという点です。

加えて、ブランドプランに関わり、ブランドマーケティングと対等の力を持ちます。

なお、欧米の先進的メーカーでは、営業の監査(オーディット機能)も求められています。

組織的には、これまでの「営業」「営業企画」「ブランドマーケティング」という組織にプラスして「トレードマーケティング」という部署を設置すべきであると筆者は考えます。

筆者は大手外資日用品メーカーで、1999年から4年間トレードマーケティングの責任者として、自社商品のシェアを大きく伸ばすことに成功しています。その後2003年からの2年間、営業本部長として台湾でもトレードマーケティングを導入しました。

2000年代前半にもトレードマーケティングに関する議論は盛んでしたが、オムニチャネルやECサイト管理などへの対応、テクノロジーの発展により可能となった需要管理など新しい事象への対応が、トレードマーケティングには求められるようになりました。次の時代のトレードマーケティング像を模索すべき時期が到来したということができるでしょう。

ミヨシ石鹸「無添加せっけん 泡のハンドソープ 携帯用 30ml」プレゼントキャンペーン

無添加石けんで人気のミヨシ石鹸より、全国のドラッグストア店舗様を対象に「無添加せっけん 泡のハンドソープ 携帯用 30ml」のプレゼントキャンペーンを実施します。コロナ禍で手指の清潔意識が高まる昨今、手軽に手指をきれいに洗えるおすすめの一品です!

「無添加シリーズ」のハンドソープについて

ミヨシ石鹸の代表的な製品である「無添加シリーズ」のハンドソープ。自然由来の天然油脂にこだわった安心・安全の無添加石けんは、お肌の弱い方や敏感肌の方、手洗いが苦手な小さなお子様など、幅広い方々に親しまれてきました。

そんな「無添加シリーズ」のハンドソープに、このたび携帯用が新登場します。外出先でも簡単に手洗いができる携帯用ハンドソープは、ウイルスが気になるこれからの季節にぴったりのアイテム。持ち歩きやすいサイズ感のため、お勤め先から休日のレジャーまで、さまざまなシーンでお使いいただけます。

この度、その携帯用の新商品発売が決定!先立ちまして、小売業の方向けにその使い勝手を試していただくため、プレゼントキャンペーンを実施することとなりました。ぜひ本キャンペーンにご応募いただき、その使い心地をお試しください!

商品特徴

新製品「無添加せっけん 泡のハンドソープ 携帯用 30ml」はこんなところがオススメです。

・外出先での手洗い習慣を広めます。
・持ち運びに便利な携帯用のため、スポーツの後やレジャーのお供にも最適です。
・会社勤めの方も、カバンに入れてお勤め先で簡単に手洗いができます。
・安心・安全の無添加石けんは、お肌の弱い方や敏感肌の方にもおすすめです。
・簡単に手洗いができる泡状ハンドソープのため、手を洗う時間の節約にもつながります。

募集要項

・賞品:「無添加泡のハンドソープ携帯⽤30ml」6個パック
・提供サンプル数:500セット
・応募資格:ドラッグストアの店舗に勤務の⽅、もしくは店舗運営に携わる⽅。(本部勤務の⽅は1 企業1 ⼝に限らせて頂きます)
※応募多数の場合は抽選となります。当選の発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
・応募期間:2020年12月20日(日)~2021年1月31日(日)
・発送時期:2021年1月31日以降順次発送いたします。

下記のフォームにご入力の上、ご応募ください。
※お申込みと同時にプライバシーポリシーに合意したことになります。
株式会社ニュー・フォーマット研究所 プライバシーポリシー 

※サンプルはミヨシ石鹸様から直接お申込み住所に届きます。ニュー・フォーマット研究所ではお申込みならびに発送に関するお問い合わせにはお答えできませんのご了承ください

月刊MD、2020年10月号「DgS白書2020」発売!

10月号の特集は「ドラッグストア(DgS) 白書2020」です。毎年恒例の上場ドラッグストアの決算特集。これまで順調に成長を続けていたDgS業界も「インバウンド客の消滅」、「化粧品の不振」など新型コロナウイルス感染拡大による影響は免れられません。経営数値から決算結果を分析し、現状を一覧でまとめています。

↑編集長の紹介動画はこちら!

2020年10月号では、他にも、「超現場シリーズ」ではドラッグストア、ホームセンターの店舗の「クリンリネス」を調査し、今求められる衛生的な売場を実現できている店を調査しました。

ご購入は以下のリンクから!

主な目次

【今月の視点】
「店舗」は小売業のブランド 磨き続けなければ陳腐化する
月刊MD主幹 日野 眞克

【特集】
ドラッグストア白書2020

Part1 ランキングとグルーピング
Part2 2020年DgS上場企業決算分析
Part3 DgS上場企業決算レポート
特別編 イオングループ(小売)の決算分析

[注目企業Close Up]
b8ta 東京 有楽町店

[超現場シリーズ]
今こそ清潔、衛生的な店が選ばれる
DgS、HCクリンリネス・衛生管理総チェック

業態STUDY
コンビニ大手3チェーンが共同店舗配送の実証実験開始
競争すべきは競争、協調すべきは協調で意識が変わる

注目の企業戦略
サントリー酒類「DgSの品揃え提案」

注目の新シリーズ
アース製薬
「スッキーリ!Sukki-ri!プレミアムコレクション」シリーズ
「トイレのスッキーリ!Sukki-ri!
DEOSH 消臭パール&1プッシュ式スプレー」

注目の新商品 
資生堂「エリクシール 2020年秋・冬戦略」

【実務企画】

酒税法改正、家飲みブームで流れが変わる
店長必見! 酒売場強化ガイド

ID-POS分析で見る 酒カテゴリー強化の理由
酒税法改正と酒類トレンド解説
メーカー戦略〈サントリー酒類〉
酒売場品揃えチェック

 

ドラッグストア初!ゲンキーの食品加工&物流センター動画レポート

北陸・中部を中心にドラッグストア約300店舗を展開する「ゲンキー」の食品加工&物流センターを動画でレポートします。

詳しくは、月刊マーチャンダイジング2020年11月号に掲載です!

年間購読の申し込みは以下のバナーから。

 

 

 

カインズのプロ向け新業態「C’z PRO 東名横浜店」動画レポート

カインズが2020年8月にオープンした会員制建築プロ専門ショップの新業態「C’z PRO」。一号店となる「C’z PRO東名横浜店」を動画でレポートします。

動画は以下でご覧ください。

現在カインズではC’z PROのサイトで会員を募集しています。さまざまなデジタル施策が詰まった注目の店舗です。詳しくは、月刊マーチャンダイジング2020年11月号に掲載です!

年間購読の申し込みは以下のバナーから。

正しい手洗い情報発信で、ウイルス・感染症対策商品のニーズを高める

新型コロナ対策で、手洗いや咳エチケットなどが広く実施されている影響で感染症にかかる人が激減しています。このような状況において、感染症対策の売場をどのように作るべきなのでしょうか?新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策を「手洗い」の面から啓発する売場作りを紹介します。

正しい知識を普及し関連商品ニーズを高める

厚生労働省(厚労省)の発表によると、日本政府の新型コロナウイルス感染症への主要な対策は時系列で、①国内侵入を遅らせること、②集団発生を防ぎ感染拡大を抑制、③重症化の防止の3段階となる。原稿執筆時点では②の段階にあり、そのためには「換気の悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」、「間近で会話や発声をする密接場面」、3つの「密」を避けることを呼び掛けている。

具体的な行動として、新型コロナウイルスを含む感染症対策の基本は「手洗い」
や「マスク着用を含む咳エチケット」の2つ。

ウイルスは日常生活で触れるドアノブや電車のつり革、エレベーターの階数ボタンなどに付着している可能性があり、政府では外出先からの帰宅時、調理の前後、食事前などこまめな手洗いを推奨している。図表1は厚労省の発表している正しい手の洗い方である。

平常時には、正しい手洗い方法などを特に意識することは少ない。このような機会に公衆衛生の知識が広まることで、感染拡大が収束した後も関連商品のニーズは高まるだろう。

「石けん」と「合成洗剤」の区分は界面活性剤が基準

手洗いなどに用いる洗浄剤には汚れを落とす成分である「界面活性剤」を基準に区分すると、「石けん」と「合成洗浄剤」の2種類に分かれる。

「石けん」という名称は台所用石けんや洗濯石けんのように洗浄剤一般を指すことが多いが、ここでいう石けんとは牛脂やパーム油など自然由来の油脂からつくられる界面活性剤を意味する。これに対して合成洗浄剤は石油などを原料とし化学合成してつくられた界面活性剤のことである。

石けん、合成洗浄剤にはそれぞれ特徴があり、利点・欠点がある。石けんは天然原料を用いているので、肌にやさしく廃棄後も自然物質に分解され環境に負荷をかけない。一方で合成洗浄剤のように原料を選んだり、製法を変えることで、洗浄力の強化や香り付けといった特別な機能を持たせにくい。

これに対して合成洗浄剤は化学的な製法を駆使して機能性を変えることができる。その代わりに肌や環境への負荷は石けんよりも高い。

石けんがウイルス除去に有効な理由

石けんは水となじみやすい「親水性」と油となじみやすい「疎水(親油)性」を併せ持っている。汚れた成分(ウイルス含む)が付いた肌を石けんで洗うと油となじみやすい疎水性で汚れを取り囲み浮かせ、これを水で流すことで汚れと親水性が結びついて肌から除去される。疎水性で汚れを浮かせ、親水性でそれが除去されるというメカニズムだ。

一方、ウイルスには薄い脂質の膜=エンベロープを持つエンベロープ・ウイルスとこれを持たないノンエンベロープ・ウイルスとがある。新型コロナウイルスは前者である。

石けんの性質の中にはエンベロープ・ウイルスの膜をこじ開け、分解を促す働きがある。コロナウイルスが手に付着していても、石けんで洗うことで、分解を促しバラバラにして流すことができる(※参考文献:ナショナルジオグラフィック日本版サイト)。

関連商品を集めた感染症対策売場を通年で設置

新型コロナウイルス感染症が重大な社会問題になっているいま、ドラッグストアでもこれに対応する売場づくりで生活者をサポートしたい。現状、マスクの欠品が続いているが、手洗いや咳エチケットの習慣は新型コロナウイルスが終息した後も残る可能性は高い。また、感染症のリスクは年間を通じて存在する(図表3)。

ウイルス・感染対策商品はまだ売場でバラバラに置かれていることが多く、必要な商品をひとつの棚に集めた通年の売場は今後必要だ。お客の利便性、健康に貢献するだけでなく、買上点数アップも期待できる。

図表4はウイルス・感染症対策売場の一例である。最上段に機能性・単価の高い小容量のマスクをフックで陳列。その下には手肌をケアするハンドクリームを置く。

頻繁に手を洗い、アルコールなどで消毒すると手はあれがちだ。また、この時期、衛生面からネイルを控えている女性もおり、手肌の美しさは特に気になる。女性向けの高機能・高単価、男性・ファミリー向けの汎用、2タイプは揃えたい。

以下、消毒ジェル、ハンドソープ、除菌剤、マスク箱と続く。ハンドソープの棚では、手肌へのやさしさ、エンベロープ・ウイルスへの有効性を考え、石けんを中心とした品揃えを提案する。

こうした売場で正しい手洗いや咳エチケットなど情報発信すれば、商品以外でもお役立ちになるだろう。

月刊MD、2020年9月号「開店前100%補充 有力DgSの売場チェック」発売!

9月号の特集は「開店前100%補充」です。コロナ禍の売場づくりは、密を避けるために通路幅を広く取ることが重要になります。また、開店後に段ボールが散乱していたりカゴ車が置いてあると生産性低下に直結します。開店前に100%品出しを完了させることは重要です。その解決策を導くため、実際に店舗で徹底調査しリポートします。本記事では編集長の野間口が動画で今月のおすすめポイントをご紹介!是非ご覧ください。

2020年9月号では、他にもコロナ禍のオンライン商談の実態調査や、アメリカの小売業の現状リポートも掲載しています。

主な目次

【今月の視点】
販売・顧客データと紐づいた「店頭メディア化」が進む
月刊MD主幹 日野 眞克

【特集】
開店前100%補充
有力DgSの売場チェック

新店Close Up
スタイルファクトリーららぽーと海老名店

2020年アメリカ流通企業
財務&情勢リポート

アメリカ現状レポート
①ウォルマート
②Amazon
③アルディ
④CVS
⑤ホームデポ
⑥クローガー
⑦ダラージェネラル
⑧ターゲット
⑨コストコ

[特別企画]
オンライン商談で変わる
「製・配・販」のコミュニケーション

セミナー再録
メーカー向けデジタル戦略セミナー

注目の新商品
ピジョン「赤ちゃんのやわらかパックごはん」

注目のカテゴリー戦略 
アース製薬「洗口液市場を活性化する新商品」

期待の新シリーズ 
コーセー「雪肌精 クリアウェルネスシリーズ」

注目の売り方
ピエール ファーブル ジャポン(PFJ)アベンヌ

【特別寄稿】

商人は常に社会的存在である
利益を追求する一方で社会的還元を忘れてはならない
流通ジャーナリスト 流川 通

業態STUDY
コンビニの新業態は「足し算」から「引き算」にシフト
スリーエフ、ミニストップが新たな立地と客層を開拓

ご購入は以下のリンクから!

北海道異色コンビニ「セコマ」、ストソンに込めたメッセージの共通項

大人気、ストソン連載。今回の舞台は冬の北海道。北海道を中心に店舗展開する「セコマ」にクローズアップ。セコマの店内で流れるハスキーな歌声の秘密を探るべく、HBC(北海道放送)のラジオパーソナリティYASUさんに直撃してたどり着いた、ストソンが伝えたかったこととは…?

リピーターを生み続ける!山本漢方「大麦若葉」の超アナログマーケ手法

漢方薬および健康食品の開発・製造を行う山本漢方製薬は、原材料の栽培からこだわった商品開発に加え、顧客との接点を重視した独自のマーケティング手法で、多くのロイヤルユーザーを育成している。

一番葉のみを使用。味、香り共に格別の青汁

1977年創業の山本漢方製薬は、180年以上の歴史を持つ漢方薬局店をルーツに持つ、医薬品・健康食品メーカーだ。創業43年目を迎えた同社は愛知県小牧市に本社を構え、東京、大阪、仙台、九州に営業拠点を持つ。

2020年の売上高は52億7,000万円。従業者数43名の少数精鋭で、商品の企画から原料の選定、製造までを一貫して行う。同社は日経トップリーダー・東京商工リサーチの共同調査による五期平均営業利益率の高い中小製造業ランキングの4位に入っている。

現在、山本漢方製薬では医薬品40アイテム(その内、指定2類医薬品14アイテム、第2類医薬品8アイテム、第3類医薬品18アイテム)、青汁、サプリメント、健康茶を含む健康食品183アイテムを取り扱う。現在の売上構成比は医薬品が1割、健康食品が9割程度。年に10アイテム程度の新商品を開発しており、商品は医薬品卸のアルフレッサ ヘルスケアを通じて、全国のドラッグストア及び薬局で展開されている。

山本漢方製薬の事業戦略の特徴は「市場ナンバーワン商品を持っている」「商品の質へのこだわり」「顧客との距離が近い」の3点が挙げられる。

同社を代表する商品が青汁カテゴリーの「大麦若葉青汁」だ。山本漢方製薬では青汁関連の商品を23アイテム展開しているが、「大麦若葉青汁」は、2000年の発売以来、右肩上がりで成長を続け、同カテゴリーにおいて11年連続で売上ナンバーワンを維持している。

「大麦若葉粉末」の原料となる大麦若葉は、中国の中でも比較的標高の高い浙江省やイタリア、ニュージーランドでも栽培を行っている。

なかでも、中国の産地の品質が一番良く、10月から種をまき、12月末から3月にかけて収穫される。気温も0度から10度と低いことから無農薬栽培を実現。約2カ月かけてじっくりと育てられた大麦の一番葉の若葉だけを手で刈り取り使用している。

「一番刈り」の若葉は栄養素が豊富で、色や味ともに優れており、二番葉、三番葉のように再び成長した古い葉を使用することはない。

収穫された味、香り共に最高品質の若葉は、選別作業を行った後、洗浄・乾燥し日本に出荷。愛知県小牧市の本社併設の工場で加熱殺菌や粉砕、包装といった工程を行う。

山本漢方製薬ではその年の気候や栽培方法によって、大麦若葉の配合を調節している。同社の「大麦若葉青汁」は63ミクロンまで超微粉砕されているため、水にも溶けやすく、一番葉のみを使用していることから味、香り共に格段に優れており、他社の青汁商品との差別化にもつながっている。

また、「大麦若葉青汁」の他にも、「ヤマモトのセンナT’s便秘錠」や「脂流茶」など、医薬品や健康茶でもドラッグストア売上トップシェアの商品をいくつも有しており、店頭でも存在感を発揮している。

独自サービスでロイヤルカスタマー育成

山本漢方製薬の経営方針の中でも最も特徴的なのが、顧客との距離を重視したマーケティング手法だ。

通常、メーカーと消費者との間には卸と店舗が入り、メーカーと消費者が直接やり取りする機会はほとんどない。しかし同社では、製品パッケージの中に商品サンプルや応募券付パンフレット、医薬品にはアンケート用紙を同封。また、「大麦若葉粉末」には10点集めるとひと箱もらえるプレゼント応募券のほか、専用のドリンクシェーカープレゼント特典も付けている。

商品サンプルやプレゼントの応募は1日に800~1000通、1年に約20~30万通。医薬品アンケート用紙への返信は1日50~100通、年間で2~3万通にものぼる。顧客名簿数は約86万人で、その多くがロイヤルユーザーとしてリピート購入につながっている。

サンプル請求や応募券は、1日800~1000通、年間にして20万~30万通届く。

サンプルやプレゼント等の送付については自社の従業員がひとつひとつ手作業で行っている。製品のプレゼントは1日に約200箱、サンプル景品セットは1日約600便が出荷される。

アナログな方法ではあるが、それだけに多くのファンを醸成しており、愛用するユーザーから毎日のようにお礼状が届くという。また震災や豪雨といった大規模災害の際は、支援の一環として「大麦若葉青汁」を送っており、被災者から大いに感謝されている。

まさに、松下幸之助の「売る前のお世辞よりも売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る」という言葉の実践といえよう。

商品開発においては品質を重視し、「売れるから作る」のではなく、価格以上の安心と満足が得られるモノづくりにこだわる…。顧客との距離が近い独自のマーケティングや、原材料作りからこだわった商品開発により、山本漢方製薬の商品は多くのリピーターが支えている。

店頭でのサンプリング強化で来店動機につなげる

同社では近年、海外進出にも力を入れている。2000年より中国浙江省で、2013年よりイタリアでの現地生産を開始しているが、2013年より海外での販売もスタート。台湾・コストコを皮切りに、2014年には中国・アリババ「淘宝網(taobao)」、「天猫(Tモール)」での販売を開始した。2018年にはシアトルにてコストコのサプライヤーデーにも参加している。

同社では次世代につなげる取り組みとして、自社のネームバリューを高めるプロモーションにも力を入れている。宇梶剛士さん、原田龍二さん、柳ゆり菜さんを起用したインパクトのある「青汁戦士ヤマカーン」のCMは、同社のブランディングを向上させる上で大きな役割を果たした。WEBサイトでは飲み方の紹介やアレンジレシピなどデジタルコンテンツを充実させることで、若年層の取り込みも狙っていく。

健康ニーズの高まりを受け伸長してきた青汁のマーケットだが、まだまだポテンシャルはあると山本整社長は話す。

「他社商品との違いをはっきり分かっていただくには、味を知ってもらうことが重要。そのため当社では商品サンプルを提供している。店頭で配布も可能なのでぜひ、活用してもらいたい」と話す。店頭でのサンプル配布は商品の説明をしっかりできることから非常に効果的で、味を気に入ってもらえば店舗のリピーターになる可能性も高い。是非、以下の申し込みフォームから、サンプルを請求していただきたい。(小売業様・法人のみ)

ドラッグストアにとって最も重要な指数は客数であり、高いリピート率を持つ「大麦若葉青汁」は来店動機につながる魅力的な商品だ。青汁は健康食品の中でも特に続けやすく、継続購入が見込めることから店にとってもライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の高い商品と言える。

同社の山本社長は「質にこだわった良い商品を多くの消費者に届けたい。店頭でのサンプリング配布などを機にカウンセリング販売を強化することで、優良顧客の醸成につなげていただけたら」と思いを語る。