小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2019夏(3)GMS・食品スーパー編

夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第3回目の今回はGMS・食品スーパーを特集します。地域に根づいた企業が多い食品スーパー。各社の情報発信のあり方には変化があったのでしょうか(フォロワー数等は2019年7月末のもの)。

SNS利用状況に変化なし。アプリの利用を促すイオン

イオンでは、LINE、Facebook、Twitter、Instagramの公式アカウントを所有しています。これは、2018年調査時から変わりありません。内容についても、セール・キャンペーン情報、レシピなど、それぞれに使い分けをしています。

前回調査時と変わった印象を抱いたのは、イオンの「お買物アプリ」です。アプリにはイオンカード、WAONカード、WAON POINTカードなどを登録することができ、登録したカードの種類によって、割引率などの異なるクーポンやお得情報の配信を受けることができます。店頭でアプリ利用者を対象とした割引デーを実施するなど、アプリのインストールを促すキャンペーンも展開しています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.aeon.info
https://www.aeon.com
LINE イオン公式アカウントあり
フォロワー数約370万人
Facebook https://www.facebook.com/aeonretail/
フォロワー数約47万人
Twitter @AEON_JAPAN
フォロワー数約65万人
Instagram aeon_japan
フォロワー数約4.2万人
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン)
ネット通販 https://www.aeon.com/item/fntnwftcwxhpav5x/
ネットスーパー https://www.aeonnetshop.com/shop/

セブン&アイのマイルサービスがアプリに追加 イトーヨーカドー

イトーヨーカドーでは、イオン同様、この1年でSNS施策に大きな変化はありませんでした。各SNSアカウントのフォロワー数は微増となっています。

セブン-イレブンのアプリが新しくなったことを受け、イトーヨーカドーでもやはり、アプリが新しくなりました。アプリで7iD会員登録をすることで、セブン&アイグループの対象店舗、通販サイト「オムニ7」で買い物するとマイルがたまり、獲得マイル数に応じて特典やクーポンを受取ることができるサービスが追加となっています。

しかしながらこちらの記事にも記載したとおり、マイルのnanacoポイントへの還元のシステムリリース日については2019年8月6日現在発表が無く、日本の小売業界において真のオムニチャネル実現への道のりが険しいことを感じさせられます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.itoyokado.co.jp
LINE イトーヨーカドー公式アカウントあり
フォロワー数約460万人、各店舗LINE@公式アカウントあり
Facebook https://www.facebook.com/itoyokado/
フォロワー数約13.6万人
Twitter @Lets_go_Yokado
フォロワー数約33万人
Instagram itoyokado_official
フォロワー数約18.4万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(チラシ、クーポン、ポイント、セブンマイル)
ネット通販 https://iyec.omni7.jp/top
ネットスーパー https://www.iy-net.jp

ネットスーパーは廃止、ますます実店舗での集客に注力するユニー

2018年調査時と同様、ユニーでは、系列スーパーアピタ・ピアゴの店舗ごとにLINE@公式アカウントを有していますが、FacebookやTwitter等、その他のSNSアカウントの開設はしていませんでした。

公式サイトでは、アピタ・ピアゴのPB「Style ONE」「Prime ONE」の商品を使った月替わりのおすすめレシピ動画を公開していますが、アップ数は月2本とあまり力は入れていない印象です。

ネットスーパーが2019年6月をもって廃止となっていることからも、実店舗へのますますの注力がうかがえます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.uny.co.jp
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントあり
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(チラシ)
ネット通販 http://www.apitashop.com/shop/default.aspx
ネットスーパー 2019年6月廃止

アプリがT-POINTと連動したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスでは、2018年調査時と同様、マルエツを取り上げます。マルエツのSNS施策は昨年と変わりなく、LINE、Facebook、Twitter等、いずれも展開はなし。公式サイトでイチオシレシピとして、各店舗のスタッフがPBを使った
メニューを紹介していました。

昨年チラシに特化していたアプリは、T-POINTと連動。T-POINTがもらえるクーポンやキャンペーン情報。買い物履歴の閲覧などが可能に。ネットスーパーは一部エリアに限って展開しています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.usmh.co.jp
https://www.maruetsu.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(T-POINTと連動、チラシ)
ネット通販 https://www.rakuten.ne.jp/gold/maruetsu/index.html
ネットスーパー https://maruetsu.net

昨年に続き「ララピー」が活躍中のライフコーポレーション

2018年調査時と同様、ライフではLINE@公式アカウントを有しています。Facebookのフォロワー数はほぼ変わらずですが、Instagramのフォロワー数はおおよそ倍の約4,000人となっていました。

各SNSではマスコットキャラクターの「ララピー」が店舗を訪問した様子や、消費者とのやり取りを行っており、愛らしい見た目にファンも多いようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.lifecorp.jp</td>
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントを運用していたが、終了し、アプリに統合されている店舗も散見される。(公式発表発見できず、編集部による推測)
Facebook https://www.facebook.com/lifecorp428/
フォロワー数約1.5万人
Twitter なし
Instagram lalapi0428 (ララピー)
フォロワー数約4,000人
その他のSNS YouTube
アプリ あり(チラシ、お買い得情報、会員登録)
ネット通販 https://www2.lifecorp.jp/front/
ネットスーパー http://www.life-netsuper.jp

グループ共通のアプリが登場したアークス

北海道・東北地方に9つのグループ店舗を展開するアークスですが、昨年と変わったのはグループ共通の「アークスアプリ」が登場した点です。昨年まで、帯広から根室にわたって店舗を展開する「フクハラ」でのみ公式アプリを利用することができましたが、2019年1月にグループ共通アプリが登場。アークスRARAカードと連動し、プリペイドカード残高やポイント履歴、チラシ情報、キャンペーン情報などをアプリ上で確認できるようになりました。なお、「フクハラアプリ」も従来どおり利用が可能となっています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.arcs-g.co.jp
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントあり
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ フクハラ公式アプリ
ネット通販 あり(ララカードのポイント照会、チラシ)
ネットスーパー 不明

アプリで注文、職場に届く バローホールディングス

バローホールディングスでは、SNSの展開には引き続き消極的でしたが、2019年7月からアプリを介した配達サービスを開始しました。

会社に勤める女性の生活スタイルを変えることをコンセプトとした「ainoma」というサービスは、アプリやバロー公式サイトからバローグループの商品を注文し、購入者の勤務先へ届けてくれる点が大きな特徴です。

従来のネットスーパーでは自宅に届くため、外で働く方にとっては商品の受け取りができないという問題がありました。勤務先への商品配達はまさに、かゆいところに手が届くサービスです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://valorholdings.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー ainoma(勤務先への商品宅配サービス)
https://www.ainomarket.com/netshop-web/login

SNS施策は継続、使いやすいネットスーパーが印象的なヤオコー

2018年調査時と同じく、ヤオコーでは、店舗ごとにLINEの公式アカウントを有しています。また、Facebookでは2つのアカウントを展開している点にも変更はありませんでした。

ヤオコーのネットスーパーでは、献立に困った方のための「クッキングサポート」というレシピページにリンクが貼られており、季節の野菜を使った献立や、料理のコツなどを紹介していました。「子育て特集」「非常食・備蓄品特集」など、目的に沿ったショッピングがしやすい印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.yaoko-net.com
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/yaokococoro
フォロワー数約2,500人
https://www.facebook.com/yappomarukaziri
フォロワー数約800人
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン)
ネット通販 なし
ネットスーパー https://www.ns.yaoko-net.com/front/app/common/index

まとめ

・スーパーはこの1年でSNS施策に大きな変化はなかった。
・各社、公式アプリに力を入れている様子が見られた。

昨年の記事はこちら

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(3)〜GMS・食品スーパー編〜

 

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2019夏(2)ドラッグストア編

夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第2回目の今回はドラッグストアを調査します。2018年と比べ、それぞれのSNS施策はどのように変化しているでしょうか(フォロワー数等は2019年7月末のもの)。

グループのLINE・Twitter公式アカウントをはじめたウエルシアホールディングス

ウエルシアホールディングスでは、主たる事業会社としてウエルシアを取り上げます。

2018年の調査では、ウエルシアでは店舗ごとにLINEの公式アカウントを運営しいましたが、2019年調査では各店舗ごとのLINEに加え、ウエルシアグループの公式LINEアカウントができていました。LINEお友達数は約324万人と、数字を伸ばしていました。

公式通販サイトでは、医薬品、ビューティー、介護商品、ベビー、ペット、食品など、店頭と同様幅広いラインナップを展開。在庫処分品をお値打ち価格で提供するアウトレットコーナーが充実していました。

グループ全体では、2018年8月からツイッターで「ウエルシアグループ公式@うえたん (@welcia_jp)」がスタートし、こちらはキャンペーンや毎日かわいいイラストのオリジナル情報などを発信。6.9万フォロワーとかなり賑わいのあるアカウントになっています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.welcia.co.jp/ja/index.html
http://www.welcia-yakkyoku.co.jp
LINE ウエルシアグループ公式アカウントあり
フォロワー数約324万人
Facebook https://www.facebook.com/welciacom/
フォロワー数約140人
Twitter @welciacom
フォロワー数 3,736人
ウエルシアグループ公式@うえたんは6.9万人) @welcia_jp)
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(Tポイントと連動したクーポン、購入履歴の閲覧)
ネット通販 https://www.e-welcia.com
ネットスーパー なし

Twitter、Instagramを開設したツルハホールディングス

ツルハホールディングスでは、主たる事業会社としてツルハドラッグを取り上げました。

ツルハドラッグのLINEの利用状況は昨年同様、LINE@の公式アカウントを店舗ごとに導入していました。Facebookのフォロワー数は微増。

注目すべきは、Twitter、Instagramの公式アカウントを開設した点です。Twitterのフォロワー数は約18万人、Instagramのフォロワー数は約4,700人。TwitterとInstagramはアカウントが連動しており、美容・コスメの商品中心の投稿が多く見られます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.tsuruha-hd.co.jp
http://www.tsuruha.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/tsuruha.drug/
フォロワー数約4,100人
Twitter @tsuruhaofficial
フォロワー数約18万
Instagram tsuruha_official
フォロワー数約4,700人
その他のSNS なし
アプリ あり(グループ各店舗共通のクーポン発行)
ネット通販 https://shop.tsuruha.co.jp
ネットスーパー なし

「見せる」にこだわった情報発信をするマツモトキヨシホールディングス

マツモトキヨシホールディングスでは、主たる事業会社としてマツモトキヨシを取り上げました。

2018年の調査時、マツモトキヨシではFacebook、Twitter、Instagramのいずれのアカウントも所有していませんでしたが、2019年調査ではInstagramを開始していました。内容は美容・コスメ、健康食品、日用雑貨とバラエティに富んでいます。

マツモトキヨシの公式HPは、アパレルメーカーのサイトのようにファッショナブル。ブランドコンセプトやPB商品の紹介などが目を引く画像とともに掲載され、コラムなどちょっとした読み物のコーナーも充実しています。

画像などで「見せ方」にこだわったSNS・サイト展開をしている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.matsumotokiyoshi-hd.co.jp
http://www.matsukiyo.co.jp
LINE LINE公式アカウントあり
フォロワー数約1973万人
Facebook なし
Twitter なし
Instagram matsukiyo_official
フォロワー数約3,900人
その他のSNS RoomClip
アプリ あり(会員証、クーポン、処方箋の送信)
ネット通販 http://www.matsukiyo.co.jp/store/online
ネットスーパー なし

ECサイトに力を入れるサンドラッグ

昨年に引き続き、サンドラッグは通販サイトに注力している印象です。e-shop本店のほか、Amazon、楽天、Yahoo!へも出店しています。また、「海外旗艦店」としてサンドラッグTmall国際店を展開。中国語でショッピングできるサイトを開設しています。

また、2018年調査時はSNSアカウントを有していないサンドラッグでしたが、2019年はTwitterを開始していました。季節もの雑貨やコスメ、サンドラッググループのコラムへのリンクなど、幅広い話題を投稿しています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.sundrug.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter @sundrugofficial
フォロワー数約3.3万人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン、チラシ)
ネット通販 https://ec.sundrug.co.jp/top/
https://wowma.jp/user/34889539
http://www.rakuten.ne.jp/gold/sundrug/
http://www.amazon.co.jp/shops/A21QKMIXDJ1EFP
https://sundrug.tmall.hk
ネットスーパー なし

実店舗と通販サイトのシンプルな展開をするコスモス薬品

コスモス薬品は、SNSやアプリなどでの情報発信、集客はしておらず、実店舗の経営に注力している印象です。

通販サイトは品ぞろえが豊富な「オンラインストア ディスカウントショップ コスモス」に加え、中国語でもショッピングができる「COSMOS 海外旗艦店」を運営。昨今のインバウンド需要に対応しています。

手広く情報発信をするのではなく、実店舗とオンラインストアというシンプルな展開です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.cosmospc.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://shop.cosmospc.co.jp
http://cosmos.jd.hk
ネットスーパー なし

アプリに会員証機能が追加され利便性を増したスギホールディングス


スギホールディングスでは、主たる事業会社としてスギ薬局を取り上げました。

スギ薬局で2018年調査時と変わったと感じた点は、スマホアプリです。2018年時点ではクーポンとチラシ情報の閲覧が主でしたが、スギポイントの会員証機能が追加されており、利便性が増していました。

また、同社では2018年5月から「お薬手帳アプリ」もスタートしており、2019年4月の決算発表会では、17万人の利用者がいるとしています。

そのほか、スマホアプリ「スギサポdeli」(栄養に配慮した冷凍食品の宅配)、「スギサポeats」(管理栄養士を活用した食事指導)、「スギサポwalk(歩行距離に応じてマイル/ポイントがたまる)」など、デジタルを活用したトータルヘルスケアを推進しているとのことですが、ウェブサイトなどのパッと目につくところにはこれらの情報を見つけることができませんでした。

SNSではLINE、TwitterのほかにYouTubeを展開していましたが、その内容はポイントと交換できる商品の受け取り方法などが主で、スギ薬局の特徴であるスギポイントの獲得・活用の促進を狙ったものという印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.drug-sugi.co.jp/hd/
http://www.sugi-net.jp
LINE LINE@公式アカウントあり
フォロワー数約1,152万人
Facebook なし
Twitter @drug_sugi_net
フォロワー数約500人
Instagram なし
その他のSNS YouTube
アプリ あり(ポイント会員証、クーポン、チラシ)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

YouTubeが充実しているココカラファインホールディングス

ココカラファインホールディングスでは、主たる事業会社としてココカラファインを取り上げました。

Facebookはイベント情報、商品紹介、季節の特集、Twitterでは幅広い分野でのお役立ち情報を配信するなど、使い分けが見られます。特にTwitterは、学生など若い世代を意識した投稿も目立ちました。

ユニークだったのはYouTubeです。店内放送で流れているココカラファインの公式ソングの歌詞から、アプリの使い方、店舗スタッフによる商品紹介など、親しみの湧く動画がアップされていました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://corp.cocokarafine.co.jp/index.html
https://www.cocokarafine.co.jp/top/CSfCustomerTop.jsp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/cocokarafineInc/
フォロワー数約2万人
Twitter @cocokarafineInc
フォロワー数約3.3万人
Instagram なし
その他のSNS YouTube
アプリ ある(クーポン、チラシ、ポイント)
ネット通販 https://www.cocokarafine.co.jp/f/dsf_app
ネットスーパー なし

実店舗への注力はブレないカワチ薬品

2018年調査時と変わらず、カワチ薬品では、LINEをはじめFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSはいずれも展開していませんでした。公式HPでもお客さま向けの情報発信は薬剤師・栄養士のコラムと店舗検索などで、引き続き実店舗での販売に注力する姿勢を維持している印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.cawachi.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

通販サイトがSNSの代わりの情報発信源 クリエイトSDホールディングス

クリエイトSDのSNS展開は、2018年調査時から変わりありませんでした。

クリエイトSDは、通販サイトで商品を注文し、店舗で受け取るサービスを行っています。通販サイトには広告掲載商品の特集ページがあり、広告の品を自宅で注文、店舗で送料・取り置き料等無料で受け取りが可能。通販サイトがSNSに変わる情報発信媒体となっている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.createsdhd.co.jp
http://www.create-sd.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なしe
アプリ あり(チラシ、クーポン、ポイントカード)
ネット通販 http://netshop.create-sd.co.jp/shop/default.aspx
ネットスーパー なし

通販サイトの便利さを維持 クスリのアオキホールディングス

2018年調査時は、SNSのなかではTwitterだけを運営していたアオキHDですが、1年後も変化はありませんでした。ツイートは行われておらず、フォロワーも100人強にとどまっています。

クスリのアオキは通販サイトのショッピングでもポイントが貯まる仕組みになっており、ボーナスポイントを獲得できる販促等も行っています。カテゴリがはっきりしていて検索しやすい通販サイトは、高齢の方でも利用しやすい印象。「重いもの、ケース販売は通販で」と、通販のメリットを訴求する点も昨年と変わりありませんでした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.kusuri-aoki-hd.co.jp
https://www.kusuri-aoki.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter @kusuri_aoki
フォロワー数約100人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 http://shop.kusuri-aoki.co.jp/shop/
ネットスーパー なし

積極的なSNS展開をするサツドラホールディングス

サツドラホールディングスでは、主たる事業会社としてサッポロドラッグストアーを取り上げました。

2018年の調査時では、サッポロドラッグストアーはSNSからの発信力に非常にすぐれている印象でしたが、2019年も引き続き積極的にSNS施策に取り組んでいます。

LINE@公式アカウントとTwitterのフォロワー数は昨年と比べ、それぞれ約10万人増。SNSの内容は、Facebookではキャンペーン情報を、Instagramでは美容・コスメを配信するなど、それぞれ用途を分けた展開をしています。YouTubeではサツドラのCMを発信していました。なお、通販は2018年11月よりリニューアルのため休止となっています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://satudora-hd.co.jp
https://www.satsu-web.jp
LINE LINE@の公式アカウントあり
フォロワー数約25万人
Facebook https://www.facebook.com/sapporodrug/
フォロワー数約1,700人
Twitter @satsu_dora
フォロワー数約19万人
Instagram satudora_official
フォロワー数約2,400人
その他のSNS YouTube
アプリ なし
ネット通販 休止中
ネットスーパー なし

動画コンテンツが充実している薬王堂

薬王堂は2018年調査時と同様、店舗ごとにLINE@公式アカウントを運営しており、YouTubeでも情報発信をしています。YouTubeでは、店舗スタッフが商品紹介をする動画のほか、実際に商品を使ってレビューをする動画など、内容が充実しています。動画へはトップページ「KURASONE」からアクセスすることができますが、FacebookやTwitterなどSNSで配信をするとより集客につながると感じました。優良なコンテンツなので、ぜひ拡散していただきたいです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.yakuodo.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS YouTube
アプリ あり(クーポン、ポイント、歩数計)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

地域密着型の店舗経営に注力するゲンキー

2018年調査時と変わらず、ゲンキーではLINE、Facebook、TwitterなどのSNSは展開していませんでした。アプリやネット通販サイトも同様です。全店がこどもの避難所である「こども110番の家」の協力賛同店となっており、そうした点でも地域に密着したリアル店舗に引き続き注力していくのではないかと感じました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.genky.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

まとめ

・SNSを運営する企業が微増していた
・SNS展開の有無に限らず、地域密着型の経営をする企業が多い。
・Facebook、Twitter、InstagramなどSNSの種類で投稿内容を変えるなどうまく活用する企業が増えた印象

昨年の記事はこちら

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(2)〜ドラッグストア編〜

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2019夏(1)コンビニ・100円均・ディスカウントストア編

今年も夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第1回目となる今回はコンビニ、100均、ディスカウントストアを特集します。昨年の調査から、SNSの活用状況にどのような変化があったのでしょうか。(フォロワー数等は2019年7月末のもの)

マイルプログラムが追加されたが、nanacoポイントと交換できないセブン-イレブン

7payの問題でアプリ施策が問われているセブン-イレブンのSNS活用状況は、2018年調査時と大きく異なるところはありませんでした。LINE公式アカウントのフォロワー数は約114万人、Facebookは約95万人、Twitterのフォロワーは約320万人と、それぞれのフォロワー数は堅調に伸びている印象です。

アプリに関して、リリース後1か月で終了が決まった7pay以外の点で、昨年と異なるところは、「マイルプログラム」が追加された点です。「セブンマイル」はnanacoポイントなどのように決済に直接使えるポイントではなく、貯まったマイル数に応じてnanacoポイントや特典に交換できるものです。セブン-イレブンだけでなくイトーヨーカドーでもマイルを貯めることができるため、グループ企業への来店を促すことが可能という施策です。

しかしながら、ためたマイルをnanacoポイントとと交換するためのシステムのリリースが遅れているようで、2019年8月6日現在交換開始時期がアナウンスされていません。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.sej.co.jp
LINE セブンネット公式
フォロワー数約114万人
オムニ7公式
フォロワー数約108万人
Facebook https://www.facebook.com/711.SEJ/
フォロワー数約95万人
Twitter @711SEJ
フォロワー数約320万人
Instagram seven_eleven_japan
フォロワー数約36万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(クーポン、マイルプログラム)
ネット通販 https://7net.omni7.jp/top
https://7-11net.omni7.jp/top
ネットスーパー なし

キャラ起用でSNS公式アカウントの運用に統一性を持たせたファミリーマート

ファミリーマートのLINE、Facebook、Twitterのフォロワー数はいずれも堅調に伸びています。

ファミリーマートでは昨年、「ファミチキ先輩」や「フラッペ」など、SNSごとに扱う商品やカテゴリを分けていましたが、今年はSNS公式アカウントのキャラクターに架空の女の子「日比野 優」を起用し、SNSでの発信に統一性を持たせるようになりました。

また、Facebookで中国語の公式ページを展開するなど、インバウンドや日本在住の外国人への情報発信にも積極的なようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.family.co.jp
LINE ファミリーマート公式アカウントあり
フォロワー数約1,677万人
Facebook https://www.facebook.com/familymart.japan/
フォロワー数約87万人
https://www.facebook.com/familymart.japan.fortourist/
フォロワー数約6万人(外国人向けアカウント)
Twitter @famima_now
フォロワー数約170万人
@famichikisenpai
約35万人
Instagram familymart.japan
フォロワー数約2.7万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(ポイント、新商品情報、キャンペーン情報)
ネット通販 https://gift.famima-net.jp
ネットスーパー なし

スマートレジに対応したローソンアプリ

AIキャラクターの「あきこちゃん」で消費者の方を向いたSNS発信を展開しているローソンですが、実店舗でも、店内どこでも商品決済ができる「スマートレジ」を導入するなど、話題を集めています。そのスマートレジに対応したアプリが、「ローソンスマホレジ」。事前に所定の事項を登録しておくことで、店内で商品バーコードをスキャンするだけで決済が完了します。

実店舗と連動したアプリのリリースのほか、Facebookアカウントの開始やPinterestの運用など、他企業に比べてSNSでの情報発信に積極的な姿勢が見られます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.lawson.co.jp/index.html
LINE LINE公式アカウントあり
フォロワー数約2,941万人
Facebook https://www.facebook.com/lawson.fanpage/
フォロワー数63万人
Twitter @akiko_lawson
フォロワー数432万人
Instagram akiko_lawson
フォロワー数約4.2万人
その他のSNS YouTube
Pinterest
アプリ あり(クーポン、スタンプ、キャンペーン情報、ポイントカード、スマホレジ)
ネット通販 https://www.lawson.co.jp/service/gift/lsg/
ネットスーパー https://loppick.jp

地元北海道と密着したセイコーマート

北海道を中心に店舗を展開するセイコーマート。2018年7月に開設したTwitterアカウントは、フォロワー数約2.7万人と昨年の倍に増えました。内容はFacebookと大きく異なる点はありませんが、Twitterのほうがやや商品紹介に重きを置いているようです。

北海道ブランドで全国にもファンが多いセイコーマートですが、SNSの内容は店舗のある地元向け。各店舗のチラシ、イベント情報や、季節のおすすめ商品など、店舗への集客がメインとなっています。いずれもファンの心をくすぐる投稿で、フォロワー数こそ他大手コンビニと比べ少数ですが、根強い基盤をつくっている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seicomart.co.jp
LINE 店舗ごとに公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/Seicomart.official/
フォロワー数約1万人
Twitter @Seicomart_TW
フォロワー数約2.7万人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(会員証、クーポン、店舗検索)
ネット通販 https://online.seicomart.co.jp
ネットスーパー なし

Instagramが躍進するもSNS運用に積極性はないダイソー

ダイソーでは、Facebook、Twitterともに2018年10月から更新が停止していました。唯一、Instagramは好調で、昨年の約68万人から100万人へ、フォロワー数を伸ばしていました。商品がより映えるInstagramへ注力しているようです。

また、2018年調査時点で、ネット通販は1アイテム500個以上の大量注文のみを扱っていましたが、現在では5万円以上のまとめ買いという条件に変更されていました。

昨年に続き、自らの情報発信というよりは、ハッシュタグによる他者発信での拡散がメインとなっているダイソーでした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.daiso-sangyo.co.jp
LINE ダイソー公式アカウントあり
フォロワー数約3.5万人
Facebook https://www.facebook.com/daisosangyo/
フォロワー数約76,000人
Twitter @daiso_sns
フォロワー数約3.6万人
Instagram daiso_official
フォロワー数約100万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://www.daiso-sangyo.co.jp/volume
ネットスーパー なし

情報発信せずともSNSで話題になるセリア

セリアは2018年調査時と変わらず、LINE、FacebookなどSNSによる情報発信はしていませんでした。しかしながら、やはり他者発信での拡散力が非常に強く、例えばInstagramでは「#セリア」が約110万件ヒットするなど、SNS上での話題性は抜群です。

このように、セリアはSNSでの発信はしていないものの、公式サイトで「おすすめ商品」や「手作りレシピ」を公開し、販促につなげています。自社商品のシンプルなキュレーションといった内容ですが、商品点数の多い百均だからこそ、SNS利用者のアンテナに触れやすい工夫が必要なのかも知れません。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seria-group.com
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

Instagramの「見せ方」が抜きん出ているキャンドゥ

キャンドゥでは、2018年調査時と比べ、TwitterならびにInstagramのフォロワー数が大幅に増えていました。内容は変わらず、Twitterで新店情報、イベント情報などを、Instagramでは商品情報を公開しています。

中でもInstagramには力を入れており、注目の商品や商品を使ったレシピ、ディスプレイなどの一例をアップしています。投稿は非常にインスタ映えするものが多く、商品の魅力を十分に引き出しているといえます。

100円ショップは「見せ方」にこだわってInstagramに注力する傾向が見られますが、キャンドゥは一歩抜きん出ている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.cando-web.co.jp
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook なし
Twitter @cando_official
フォロワー数約2万人
Instagram cando_official
フォロワー数約5.7万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://ec.cando-web.co.jp
ネットスーパー なし

ドン・キホーテ

ドン・キホーテでは、Facebook、Twitterに加え、Instagramのアカウントを開設していました。フォロワー数は約7,700人とやや少ない印象です。投稿内容は商品情報やキャンペーン情報など他SNSと大差がなく、同社のアミューズメント性をいかした内容になると、ファンが増えるのではないかと感じました。

また、アプリに新機能の追加がありました。これまでの電子マネーに、クレジットカード情報を登録することでチャージが容易になるかんたんチャージ機能、クーポン発券が加わり、利便性が高まっていました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.donki.com
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/donki.jp/
フォロワー数約2.3万人
Twitter @donki_donki
フォロワー数約16.5万人
Instagram donki_jp
フォロワー数約7,700人
その他のSNS なし
アプリ あり(電子マネーアプリ、クーポン発券、ポイント)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

まとめ

・コンビニは2018年調査時と比べSNS施策に力を入れている印象。
・コンビニでは実店舗と連携したアプリの機能追加が見られた。
・100円ショップは「インスタ映え」を意識した情報発信をしており、自社よりも他者による拡散力が強い。

昨年の記事はこちら

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(1)〜コンビニ・100円均・ディスカウントストア編〜

「考える家事」を効率化する、献立提案アプリ「タベリー」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、献立提案アプリ「タベリー」。10秒で献立をつくって、必要な食材をネットスーパーに注文するところまでワンストップで完結できる、SNSで話題沸騰中の便利アプリを体験してみました。(ライター:宮原智子)

10秒で献立をつくって、ネットスーパーで注文

家族のために栄養バランスを考えた食卓をと思っていても、日々めまぐるしく過ぎる時間の中で「献立を考える」という行為は、なかなかどうして、大変です。気がつけば、どうしても同じメニューのローテーション。

そうした悩みを解決してくれるのが、今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるの「タベリー」。献立をつくってくれるだけでなく、そのままネットスーパーの注文までできてしまう、主婦(夫)の味方の便利アプリです。

「タベリー」は、使いたい食材を入力して10秒で献立ができあがる、献立提案アプリ。献立提案アプリはいくつもありますが、「タベリー」が優れているのは、食材を余らせることがないよう、数日分の献立を立案してくれるところです。

しかも、2019年5月より、ネットスーパーと提携。「タベリー」でつくった献立に必要な食材をワンストップで注文、自宅への配達が受けられるようになりました。なんて便利!

「つくる」「買う」を考えずに済ませられる

1.「献立をつくる」をクリックして献立をつくります。

日付を選び、「食材を指定」。レシピを検索することもできます。

2.指定した日付分の献立が数秒で表示されます。

表示されたメニューが気に入らない場合は、「チェンジ」をクリックして選び直しが可能。

3.「買い物リストを作成する」にチェックを入れて、「献立を予定に追加」をクリック。画面下部の「買い物」をクリックすると、買い物メモが表示されます。

既に冷蔵庫にある食材にはチェックを入れて、買い物かごから削除します。

4.購入する食材を選んで「注文(○点」をクリックすると、自宅の近くの利用可能なネットスーパーが表示されます。注文する店舗を選んだら、お届け日時の選択へ。

今後提携スーパーは拡大予定とのこと。複数から値段を比較して選べるのもありがたい。

5.日時を選ぶとカートの中身の確認画面に進みます。お支払いボタンを押すと、ネットスーパーのサイトへつながるので、支払い操作をして完了です。

ここまで、実に2分弱。画面クリックだけで献立立案からお買い物までが完結。

「考える家事」を効率化。いつもの店で買物

「献立を考える」という行為の裏には、
・余っている食材を使い回してメニューを考える
・家族が飽きないようになるべく違ったメニューにする
・栄養のバランスも考慮する
など、いくつもの要素があります。

そうした「考える家事」を効率化するだけでなく、ネットスーパーへ動線をつなげることで、リアル店舗へ足を運ぶ手間までカット。食材は自宅の近くのリアル店舗から配送されてくるので、価格帯はいつもどおりの安心感があります。

まとめ

献立のほかにも、洗濯物を干すときに天気予報が気になったり、掃除のHow toが知りたかったり、家事をする際に「考える」「調べる」シーンはたくさんあります。そうした部分を効率化し、購入への動線をつくることで、購買につなげるチャンスはたくさんあるのではないかと感じた調査隊でした。

ECがここまできた、ウェブ上でメイクをお試しできるAmazon「バーチャルメイク」

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、ウェブ上でメイクを試してイメージを確かめることができる、Amazonの「バーチャルメイク」。人工知能(AI)と拡張現実(AR)を活用することで、ECのかゆいところに手が届いたAmazonの新サービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

ウェブ上でメイクをお試しできるAmazonの「バーチャルメイク」

先日この連載でも取り上げた、Amazonの試着して購入できる「Amazon Prime Wardrobe」は、ECの弱点だった「お試しできない」を解決する画期的なサービスでした。

「タンスの肥やし」問題を解決。試着できるEC、「Amazon プライム・ワードローブ」

そのAmazonが、ウェブ上でメイクのお試しができる新機能を導入。今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、店頭でテスターを試しているようにメイクのイメージが確認できる、Amazon「バーチャルメイク」です。

人工知能(AI)と拡張現実(AR)でメイクのイメージが見られる

「バーチャルメイク」は、人工知能(AI)と拡張現実(AR)を活用したメイクのバーチャルお試しサービス。Amazonのモバイルサイトとショッピングアプリで利用することができます。自撮り画像をアップロードし、気に入った商品の色をチョイス。すると、テスターを肌に乗せたように色や質感が画像に投影され、メイクのイメージを確認することができます。もちろん、欲しいと思った商品はカートに入れて、その場で購入が可能。メイクのイメージ画像は、SNSに投稿することもできます。

人工知能(AI)と拡張現実(AR)でコスメの色味が投影できる

1.Amazonのモバイルサイトまたはアプリを立ち上げ、コスメ売場にアクセスする

現在はモバイルからのみ利用が可能。

2.気になった商品を見つけたら、「メイクしてみる 試す」をクリック

「メイクしてみる 試す」をクリックすると、イメージ画面が立ち上がる。

3.自撮り写真をアップロードする(またはその場で撮影する)

自撮り画像のアップロードまたは、モデルを選ぶ

4.カラーバリエーションをクリックすると、唇に色味が投影される

色味のイメージは保存してSNSに投稿することが可能

5.イメージが気に入ったらカートに入れて、あとはいつもの手順で購入へ進む

色味を選んだら、いつものようにカートに入れて購入手続きをするだけ

顔のパーツを瞬時に判断しイメージを反映

実際に使用してみて驚いたのは、自撮り画像のアップロードが完了すると同時に顔のパーツを瞬時に判断し、正確な位置にリップの色味が投影されたこと。サングラスをかけたり帽子をかぶって確かめてみましたが、いずれも唇の正確な位置をキープしました。これなら、お気に入りのファッション小物を身につけて、それにあう商品を試したいという需要にも応えられそうです。

まとめ

「バーチャルメイク」が導入された2019年6月5日現在は、リップのみ18ブランド890品目がラインナップされていました。今後は幅広くカテゴリーを増やしていくとのこと。リップは画像でもマットやグロスなどの質感が分かりやすいのですが、例えばファンデーションを扱いはじめたとき、その質感をどこまで精度高く表現できるかが楽しみです。

冒頭で触れたように、Amazonは試着して購入できる「Prime Wardrobe」を展開中。「Prime Wardrobe」で届いた服を試着しながら、「バーチャルメイク」で服にあうコスメを選ぶ。「手にとってお試しができない」という弱点をことごとく超えていこうとする技術に、「ECはここまできたか」と思う売り方調査隊でした。

「ちょっとしたありがとう」を贈る。カジュアルギフトサービス「Giftee」

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、オンラインでギフトを届けられる「Giftee」。思い立ったときにメールやLINEなどで気軽に&手軽に感謝の気持ちを贈ることができる、カジュアルギフトサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

メールやLINEで手軽に届ける、宅配や店舗で気軽に受け取れる

贈り物というと少し構えてしまう印象がありますが、「この間資料の整理を手伝ってくれてありがとう」というちょっとしたありがとうを贈りたいときもありますよね。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げる「Giftee」では、100円から100,000円までの幅広いギフトラインナップを取りそろえ、誕生日や母の日など定番の記念日から、日頃の小さな感謝まで、さまざまなシーンで「ありがとう」「おめでとう」をカタチにします。

「Giftee」の一番の特徴は、メールやLINEなどで手軽にギフトを贈る・もらうことができる点。遠隔地にいる友人に誕生日のプレゼントを贈りたいけど住所が分からない場合でも、サイトでギフトを選んでURLを相手に送信するだけという気軽さで、贈り物を届けることができます。

URLを受け取った相手は、自分に都合のよいタイミングで宅配・リアル店舗でギフトを受け取ることができるので、手間になることもありません。

住所を知らなくても贈り物を届けられる手軽さ

ギフトを贈る側はユーザー登録をして決済、贈られた側はユーザー登録不要でギフトを受け取れる仕組み。

1.「Giftee」のサイトでユーザー登録をする。

ユーザー登録をするとマイページが生成されます。

2.ギフトを選ぶ。

商品をイメージしやすいシンプルなギフト選択画面。

3.ギフトカードを作成し、支払い手続きをする。

相手へのメッセージを入力し、カードの図柄を選ぶことができます。

4.ギフトのURLを取得し、メールやメッセージアプリで送信する。

メールやLINEにURLを貼り付ける、またはFBメッセンジャーなどで送信することができます。

5.受け取った側はギフトカードのURLからギフトを受け取ります。

ギフトを受け取る側はユーザー登録不要です。

「お届けタイプ」は、届け先の宛名・住所を登録すると、自宅にギフトが届きます。

URLをクリックし、ギフト受け取り用バーコードを表示する。

リアル店舗での「受け取りタイプ」は、お店で直接ギフトを受け取ることができます。

スタバ、コンビニ、ミスタードーナツなど、プチプラギフトが充実。

スマートフォンなどでバーコードを提示して、商品を購入できます。

価格帯・ジャンルも豊富で選びやすい!しかもスマート

上述したように、価格帯は100円から100,000円まで。ジャンルも、コンビニ商品からエンタメ、グルメ、商品券、旅行などとても豊富で、用途に合わせて選びやすく、使い勝手のよさを感じました。

従来、遠方にいる人に贈り物をする場合、1人ひとりの宛名・住所を入力して…というのが手間でしたが、「Giftee」ならメールやメッセージアプリでつながっていればストレスフリーです。ちょっとした感謝を表すにも、この方法だとスマートでおしゃれ。

まとめ

「Giftee」を試してみて感じたのが、コンビニやカフェの商品がすてきなギフトになり得るのだということ。例えば、スーパーなどで「お疲れさまのプレゼントビール」「ひと息ついてねコーヒー」といったプチギフトをバーコード化し、贈り合えるような仕組みができたら、日常で使われるような商品もギフトとして認知され、さらなる販売につながりそうだなと感じた売り方調査隊でした。

生花をサブスクで鮮度よく提供する「Bloomee LIFE」

海外では、街角や駅の構内、スーパーマーケットなどでお花を売っているのをよく見かけます。お花が生活に溶け込み、文化になっているように感じます。一方日本では、お花をもらう、お花を飾るのはまだまだ特別なことという雰囲気がありますよね。今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、お花の定期便で「お花のある暮らし」という文化を創る「Bloomee LIFE」です。(ライター:宮原智子)

初心者でも簡単に、生活に花をプラスできる定期便

Bloomee LIFE」のお花の定期便に登録すると、全国60店舗のお花屋さんから、毎週定期的に新鮮なお花が届けられます。配送中に商品が傷つかないように、専用の梱包材を用意。延命剤もついているので、これまでお花を家に置いたことがないという初心者でも、簡単にお花を長持ちさせることができます。

手軽な操作で「お花のある暮らし」をスタート

1.「お花の定期便をはじめる」をクリックする。

トップ画面を飾るお花のショットが映えます。

2.メールアドレス・住所など所定の事項を入力して登録する。

メールアドレス、お届け先を登録する。

3.お届けプランを選ぶ。

届けられるお花のボリュームによって3つのプランから選択。

4.お支払い方法を登録する。

たったこれだけで、あとは毎週お花が届くのを待つだけです。
商品を傷つけないよう改良を重ねてきた梱包材。

体験プラン・レギュラープランは、このような包装でお花が届きます。ポストに投函できるサイズなので、お届けの際自宅にいる必要もなく便利。開封した瞬間は少し元気がないものの、花瓶に挿せば翌日にはみるみる元気に。実に手軽に、お花のある暮らしが実現します。

店頭ではなかなか選ばないようなお花との一期一会も楽しみ。

お届けプランは、体験プラン(500円でお花が3本)、レギュラープラン(800円でお花が4本)、プレミアムプラン(1,200円でお花が5本)の3コース。今回は500円の体験プランを選んでみました。送料が毎回250円かかってしまうので、実質750円は少々高い印象。

とはいえ、注文からお届け、お手入れまで一貫して手軽なので、お試しプラン〜レギュラープランの価格帯なら「少し続けてみようかな」と思うには十分と感じました。また、名前も知らなかった花との一期一会があるというのも、こうした定期便ならではの楽しみです。

生花という売りにくい商品を、サブスクリプションで提供

生花は、花開いてからしぼむまでに売り切らなくてはならず、商品価値が短い分店頭で扱いにくい、「売りにくい」商品といえます。それならば、売れる機会を待つだけでなく、こちらからいい状態の商品を提供する機会をつくればいいのではないか。Bloomee LIFEがサブスクリプションサービスという方法を採用したことは、「売りにくい商品」の弱点を見事に克服した好例といえるのではないかと感じた調査隊でした。

「買いたいとき」が「売れるとき」。Instagramから直接購入できる「Shop Now」

「インスタ映え」という言葉が流行語大賞となったのは2017年暮れのこと。今やInstagramは、企業のSNS戦略には欠かせないツールとなっています。今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、2018年6月から日本国内でもサービスがスタートしたInstagramの「ShopNow」。画像を見て気になった商品を即時に購入できるショッピング機能です。Instagramはもはや、単なる写真共有アプリケーションではありません。(ライター:宮原智子)

「買いたいとき」が「売れるとき」になる

Instagramを見て、「この着こなしいいな」「このアイメイクに使ってるアイシャドウが欲しい」と思ったとき、これまでは、Instagramを閉じてメーカーなどのHPにアクセスし、商品情報を調べ、ECまたは実店舗に買いに行く、という流れでした。

InstagramのShopNow機能は上記のステップを1つ省き、Instagramにアップされている画像から直接購入ができる仕組みになっています。

これまで:Instagram→ブラウザを開いて商品情報を検索→ECサイトや実店舗で購入
これから:Instagram→商品を購入

直感的に買い物ができるから商機を逃さない

1.Instagramを開く

無印良品の公式Instagramを開いてみました。

2.気になる画像の「タップすると製品を見ることができます」をタップ

右上に買い物カゴのアイコンがついている画像に購入リンクが貼られています。

3.画像に商品名や金額が表示される。

製品と値段のタグが表示されるので、気になったタグをタップ。

4.購入画面が表示される。

タグをタップするとECサイトへ飛びます。

5.購入手続きをする。

そのまま購入手続きへ。Instagramワンストップで買い物ができました!

世界観まで伝わるから購入につながりやすい

画像はテキストのみに比べてコンセプトが伝わりやすく、文字通り「インスタ映え」する製品を並べることで、通常のECサイトよりも世界観を印象づけることができます。

また、フォローしているインフルエンサーやハッシュタグ検索からアクセスしてきたユーザーには、購入意欲が高まった状態で製品画像にたどり着いてもらうことができます。

デメリットとしては、いちいち各セラーのサイトでユーザー登録などの購入手続きが必要という点でしょうか。買い回り商品には適さない売り方と考えることもできます。

まとめ

Instagramを見て「欲しい」と思った製品をウェブで調べているうちに、冷静に思い直して購入をやめたという経験、みなさんにもあるのではないでしょうか。Instagramワンストップで商品を購入できるShopNowは、感覚的にお買いものを楽しむことができるという点で、消費行動のハードルを下げています。

BASEやCreemaなどCtoCのECサイトでも導入されており、審査が通れば個人でもInstagramを通じて商品を販売することができるため、これからの「売る」「買う」を大きく変える可能性を秘めていると感じました。

栄養をもっとかんたんに。未来の主食DtoC「BASE FOOD」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、1食で必要な栄養素が摂取できるパーフェクトフード BASE PASTAを販売する「BASE FOOD」です。これまでの食品ECやスーパーの献立キットとは一線を画す、BASE FOODの売り方を試してみました。(ライター:宮原智子)

忙しい現代人を応援する未来食を「BASE FOOD」から

みっちり働いた日の夜は「今日はもう、夕飯作りたくないなあ!」と思ったり、バタバタと忙しい日の昼食は「コンビニ弁当で済ませちゃおうかな」と思ったり。でも、体のことを考えると、毎度そういうわけにはいきません。

最近では、手軽に調理できる献立キットが充実していますが、これらはファミリーや高齢者を対象にしていることが多く、基本は「一汁三菜」だったりします。もっと簡単に、バランスよく栄養を摂取したいなあ…。

そこで誕生したのが、「DtoC」(Direct to Customer)で完全栄養食BASE PASTAを提供するBASE FOODです。

IT出身起業家が挑戦、「栄養をもっとかんたんに」

BASE FOODの理念は、「栄養をもっとかんたんに」。IT企業で働く優秀なひとたちが「からだによいといえないもの」を食べて体調を崩していくのを目の当たりにし、違和感を感じたことをきっかけに、たどり着いた答えが主食を完全栄養食にすることでした。

完全食BASE PASTAは全粒粉小麦やチアシードなど10種類以上の食材が練り込まれた生パスタ。1〜2分茹でて、お好みのソースやアレンジでいただくことができます。

注文から調理まで、時短で手軽に済ませられる究極の健康ファストフード

1.「SHOP」から、オンラインショッピングのページへ。

初回お試しセットのほか、パスタやソースを単品で購入することができます。

2.今回は初めての利用なので、おためしセットを注文します。

お試しセットはパスタ2袋とソース2袋で980円

3.お支払いはAmazon Payを選ぶこともできるので、今回はAmazon Payを選択(Amazonのアカウントがある人は便利!)

Amazonのアカウントを持っていれば決済情報の入力がはぶけて便利!

商品は、クロネコヤマトのネコポスで届くので、日中家にいなくてもポストに投函されます。

仕事で不在だから商品が受け取れない…ということがないので安心です。

早速、フェットチーネとトマトソースを調理してみました。…といってもパスタを茹でてソースをあたため、お皿に盛るだけ。所要時間、たった10分です。

カップ麺に匹敵する手軽さながら、カップ麺よりもはるかに栄養価が高いので罪悪感がありません。

BASE PASTAおためしセットの内容は、パスタ2袋とトマトソース、バジルソースの2種。送料込みで980円なので、1食500円弱の計算です。単品で購入すると、パスタが1袋390円、ソースが200円。

ランチでコンビニ弁当や外食をすると考えれば、ほぼ同程度の価格帯。

ですが、これ1食で一汁三菜の和定食と同じ栄養バランスが補えると思うと、断然BASE PASTAに傾きます。毎日続けて食べても飽きないように、アレンジレシピを続々と公開してくれているところもありがたいポイント(しかもどのレシピも手軽で簡単!)。

一汁三菜と同様の栄養摂取がパスタ1袋で叶います。

まとめ

BASE FOODは、DtoC(Direct to Customer)で生産から販売までを手がけています。商品開発にはアジャイル型開発手法を導入、ウェブを経由したサブスクリプション販売で顧客基盤を構築するなど、従来の食品販売方法に数々のイノベーションを起こしています。まさに、IT飯のおもむき。食品ECやスーパーで扱う献立キット、レディ・ミールとは一線を画した顧客層をターゲットとし、競合サービスとの差別化を図っている印象でした。

テクノロジーの活用を前提として、店をPLから再設計すべき

小売業に一家言あるコンサルタント・実務家の方々に2019年の展望を語っていただく特集企画「小売業界2019年業界展望」。第3回目はメルカリCIOの長谷川秀樹さんです。ハンズラボのCEOとして情報システム部の内製化に取り組んできた長谷川さん。2018年10月にメルカリへと転職したニュースは業界に驚きをもたらしました。そんな長谷川さんも、2018年はAmazon Goの店舗数拡大が印象的な出来事だったと語ります。(聞き手:MD NEXT編集長 鹿野恵子)

二次流通が引き起こした消費者の行動パターンの変化

——2018年、長谷川さんがメルカリに転職されたことは業界内では話題になりました。メルカリではどのようなことに取り組みたいとお考えでしょうか?

長谷川:私はメルカリにCIO職として入社しました。「世界最高の働きやすい環境を構築する」ことが役割です。個人的には、小売業からの転職なので、小売業とメルカリがもっと融合していくことも仕掛けていきたいなと思っています。

たとえば最近、新品を買うときに「メルカリならいくらで売れるんだろう」とスマホを片手に、差額を計算した上で洋服などを購入するという消費者行動が登場しています。このように二次流通が引き起こした消費者の行動パターンの変化に驚かされているところです。

——今までと違う、びっくりするような売り買いのしかたが登場していますね。

長谷川:そうですね。これまで化粧品は、テスターがないと売りにくいものでしたが、メルカリが登場して二次流通が一般的になったことで、「まずは買ってみて自分に合わなければすぐに売る」という消費者行動が現れてきました。2,500円の化粧品を購入して、自分に合わない場合、2,300円でメルカリに出品したら、1分以内に売れたという例もあります。

また、メルカリのお客様には、「中古品と新品の区別をあまりしない」という方もいらっしゃいます。あるお客様になぜメルカリで買うのかと伺ったところ「安いから」という答えでした。他にもアマゾンなどでも購入すると言います。我々大人は、メルカリを「フリマアプリ」と区分するわけですが、一部のお客様は、フリマアプリと言うことよりも、お店に売っていないものが安く手に入るアプリという認識を持っているわけです。このように新品と中古が融合している感覚が進むと小売業はもっと面白くなるはずです。

また、社会全体としては「捨てる」ことをなるべく減らしていくことが理想だと思いますが、メルカリというプラットフォーム上では「自分にとって不要なものが、人にとっては価値がある」という状況を実現することができます。

総合スーパー業態の方と話していると、メルカリで販売されている商品のうち、小売店で売っているものの割合が何%くらいあるのか、見てみたいとおっしゃいます。メルカリで販売されているものと、小売店が販売しているものの間に乖離があるのであれば、もしかすると小売業側が(消費者のニーズを)見誤っているのかもしれないということです。

たとえば消費者が、工作の材料としてトイレットペーパーの芯を購入したいと考えているのであれば、トイレットペーパーの芯を小売店が商品として販売してもいいわけです。

——東急ハンズで売っていてもおかしくなさそうです(笑)。

長谷川:そうですね(笑)。もう1つ、メルカリはお客様の方にとって「第二の収益源」という意味もあるんですよ。買い物をする際に、商品を購入すれば、手元の資金は減るわけですが、メルカリで何かを販売すると、それがまた収入になり、そしてまた次の消費につながります。

家の中に眠る不要品の 2 次流通価格の総額である”かくれ資産”の総額は、約37兆円あるという調査結果もあります。

食品スーパー登場以来の衝撃だったAmazon Go

——2018年の出来事として印象に残っていることを教えてください。

長谷川: Amazon Goが店舗数3,000軒を目指すと宣言したことです。Amazon Goは、スーパーマーケットという業態が登場し、魚や野菜をワンストップで購入がワンストップでそろうようになったとき以来の衝撃かなと思っています。2018年はそれが実験段階から一方進んだことがとても印象的でした。

——Amazon Goのようなカメラやセンサーでお客様、商品の動きを認識する方式はROI(投資した資本に対して得られた利益のこと)に合わないという意見もありますがいかがでしょうか?

長谷川:勝つ見込みがないようなことをAmazon社はしないだろうと思います。店内に設置されているカメラやセンサーの数をみてROIが合わないと言っているのだとしたら、第二世代といわれている最近のAmazon Goは、カメラの数がどんどん減っていっています。今後さらにカメラが減っていくのは間違いないですし、同じシステムを水平展開するのは可能なはずです。(商品管理のための技術として期待されている技術である)RFIDは1980年頃から標準になると言われ続けていますが、まだ実用には至っていません。Amazon Goは開発スピードも速いですしね。

——あっという間に現実になって、水平展開されるようになりましたね。

長谷川:これまでの小売業界は、「お客さまが買いやすいように」「商品の補充をしやすいように」という観点で店舗のレイアウトを決めていましたが、これからはAmazon Goのように、仕組みやテクノロジーを活用することを前提にした上で、什器なども含めてゼロから店づくりをしないとダメだと思います。店舗の、「箱」のつくりかたを再設計しないといけません。

PLの構造から作り変えたEC化率50%の「riso」

長谷川:店の再設計という話でいえば、中国の「riso」の店舗を見てきました。日本でいうとイオンのような老舗小売業がEC化率を50%にしたというのです。

EC化率50%というので、どれだけ物流やピッキング効率を考え抜いた店舗なのだろうかと楽しみにしていたのですが、ピッキングや梱包は普通でしたし、イートイン用の机と椅子があったり、このチーズはイタリアから直輸入のオーガニック商品で…というように商品の説明は丁寧なのですが、EC化率50%を目指して設計された店にはまったく見えなかったのです。

でも、話を聞いてみて、2つほど驚いた点があります。

1点目は、価格と品揃えに関する考え方です。今までの小売業では、コストを削減して、売価を競合より下げて、お客様に少しでも安く商品を提供しようというのが常識でした。一方、risoの価格帯は若干高めです。ECは実店舗よりも価格の比較がされやすいというので、価格の比較をしにくい輸入商品を中心に品揃えしています。それまでとはがらっと品揃えを変えたそうです。

2つ目が、収益構造の考え方です。日本の小売業は通常、商品の価格を「商品原価」+「粗利」で設定していて、「物流費」は粗利のなかから「販管費」として捻出しています。だから、通常セルフサービスで購入してもらっている店舗がネットスーパーをはじめると、販管費が高くなり、物流コストの分だけ粗利が減ることになります。だから日本のネットスーパーは、やればやるほど赤字という状況です。

ですが、risoは、物流コストの分だけ粗利を上乗せして価格を設定しているというのです。私たち日本の小売業は、必死に努力をして30%の粗利で運営するのが当たり前だと考えています。だから、粗利を上げるということをDNAが許しません。ラグジュアリー商品なら別ですが、食品スーパーにおいて粗利を上げるなんてお客さまに失礼だというDNAが働いて、配送費分の物流コストを粗利に上乗せするなんてことはできないと思うんですよね。

ですが、risoが扱っているインポートものであれば他社と価格比較されることはありませんし、インポートものだから少し高くても良い物なのではないか、という感じで買っていただけている。単価が高くて粗利幅もあり、そこに物流コストも載せているという話を聞いて、なるほどなと思いました。

何より、このような仕組みをアリババのような新興企業が進めたのではなく、老舗の小売業さんがゼロから再設計をして仕組みをつくったという点は、驚かずにはいられませんでした。

これまで我々は、新しいテクノロジーを導入するときに、前提条件をパッチワークのように組み合わせてきましたが、システムを入れるところは全てリプレイスして、店舗のPL構造から、品ぞろえ、接客に至るまで、ゼロから設計し直したらこんなビジネスができるぞ、ということを、各社が考える時期にきたのではないかと思います。

「接客」だけは機械化できない

——2019年は日本の小売業が大転換する可能性はありそうでしょうか?個人的にはテック企業がリテールに進出するというような気がしていますが。

長谷川:そうかも知れないですね。例えばアットコスメさんがアットコスメストアを運営しているように、テック企業が何か全く違うものを仕掛けてくる可能性はありますよね。

——ロボティクスが店舗に近づいてくるのではないかなという気もしています。

長谷川:そうですね。明らかに倉庫の技術のほうが進んでいますから、機械に任せてローコストになるのであれば倉庫を無人化してしまうほうがいいですよね。

店舗の4つの業務である「発注」、「品出し」、「レジ」、「接客」の中で、人間が行う意味があるのは接客です。このうち、発注は自動化されて、レジはAmazon Go化されて、品出しはロボットがするようになり、接客が残るでしょう。接客ももしかしたら、どの商品がどこにあるのかということや、在庫の確認などは、機械が対応したほうがよいかもしれません。

ーーさまざまな技術を活用し、新しいビジネスに挑戦する小売業が日本にも登場してくることに期待したいですね。本日はありがとうございました。