アプリ施策が迷走するセブン、SNSで拡散され続けるセリア

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2019夏(1)コンビニ・100円均・ディスカウントストア編

今年も夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第1回目となる今回はコンビニ、100均、ディスカウントストアを特集します。昨年の調査から、SNSの活用状況にどのような変化があったのでしょうか。(フォロワー数等は2019年7月末のもの)

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マイルプログラムが追加されたが、nanacoポイントと交換できないセブン-イレブン

7payの問題でアプリ施策が問われているセブン-イレブンのSNS活用状況は、2018年調査時と大きく異なるところはありませんでした。LINE公式アカウントのフォロワー数は約114万人、Facebookは約95万人、Twitterのフォロワーは約320万人と、それぞれのフォロワー数は堅調に伸びている印象です。

アプリに関して、リリース後1か月で終了が決まった7pay以外の点で、昨年と異なるところは、「マイルプログラム」が追加された点です。「セブンマイル」はnanacoポイントなどのように決済に直接使えるポイントではなく、貯まったマイル数に応じてnanacoポイントや特典に交換できるものです。セブン-イレブンだけでなくイトーヨーカドーでもマイルを貯めることができるため、グループ企業への来店を促すことが可能という施策です。

しかしながら、ためたマイルをnanacoポイントとと交換するためのシステムのリリースが遅れているようで、2019年8月6日現在交換開始時期がアナウンスされていません。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.sej.co.jp
LINE セブンネット公式
フォロワー数約114万人
オムニ7公式
フォロワー数約108万人
Facebook https://www.facebook.com/711.SEJ/
フォロワー数約95万人
Twitter @711SEJ
フォロワー数約320万人
Instagram seven_eleven_japan
フォロワー数約36万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(クーポン、マイルプログラム)
ネット通販 https://7net.omni7.jp/top
https://7-11net.omni7.jp/top
ネットスーパー なし

キャラ起用でSNS公式アカウントの運用に統一性を持たせたファミリーマート

ファミリーマートのLINE、Facebook、Twitterのフォロワー数はいずれも堅調に伸びています。

ファミリーマートでは昨年、「ファミチキ先輩」や「フラッペ」など、SNSごとに扱う商品やカテゴリを分けていましたが、今年はSNS公式アカウントのキャラクターに架空の女の子「日比野 優」を起用し、SNSでの発信に統一性を持たせるようになりました。

また、Facebookで中国語の公式ページを展開するなど、インバウンドや日本在住の外国人への情報発信にも積極的なようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.family.co.jp
LINE ファミリーマート公式アカウントあり
フォロワー数約1,677万人
Facebook https://www.facebook.com/familymart.japan/
フォロワー数約87万人
https://www.facebook.com/familymart.japan.fortourist/
フォロワー数約6万人(外国人向けアカウント)
Twitter @famima_now
フォロワー数約170万人
@famichikisenpai
約35万人
Instagram familymart.japan
フォロワー数約2.7万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(ポイント、新商品情報、キャンペーン情報)
ネット通販 https://gift.famima-net.jp
ネットスーパー なし

スマートレジに対応したローソンアプリ

AIキャラクターの「あきこちゃん」で消費者の方を向いたSNS発信を展開しているローソンですが、実店舗でも、店内どこでも商品決済ができる「スマートレジ」を導入するなど、話題を集めています。そのスマートレジに対応したアプリが、「ローソンスマホレジ」。事前に所定の事項を登録しておくことで、店内で商品バーコードをスキャンするだけで決済が完了します。

実店舗と連動したアプリのリリースのほか、Facebookアカウントの開始やPinterestの運用など、他企業に比べてSNSでの情報発信に積極的な姿勢が見られます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.lawson.co.jp/index.html
LINE LINE公式アカウントあり
フォロワー数約2,941万人
Facebook https://www.facebook.com/lawson.fanpage/
フォロワー数63万人
Twitter @akiko_lawson
フォロワー数432万人
Instagram akiko_lawson
フォロワー数約4.2万人
その他のSNS YouTube
Pinterest
アプリ あり(クーポン、スタンプ、キャンペーン情報、ポイントカード、スマホレジ)
ネット通販 https://www.lawson.co.jp/service/gift/lsg/
ネットスーパー https://loppick.jp

地元北海道と密着したセイコーマート

北海道を中心に店舗を展開するセイコーマート。2018年7月に開設したTwitterアカウントは、フォロワー数約2.7万人と昨年の倍に増えました。内容はFacebookと大きく異なる点はありませんが、Twitterのほうがやや商品紹介に重きを置いているようです。

北海道ブランドで全国にもファンが多いセイコーマートですが、SNSの内容は店舗のある地元向け。各店舗のチラシ、イベント情報や、季節のおすすめ商品など、店舗への集客がメインとなっています。いずれもファンの心をくすぐる投稿で、フォロワー数こそ他大手コンビニと比べ少数ですが、根強い基盤をつくっている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seicomart.co.jp
LINE 店舗ごとに公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/Seicomart.official/
フォロワー数約1万人
Twitter @Seicomart_TW
フォロワー数約2.7万人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(会員証、クーポン、店舗検索)
ネット通販 https://online.seicomart.co.jp
ネットスーパー なし

Instagramが躍進するもSNS運用に積極性はないダイソー

ダイソーでは、Facebook、Twitterともに2018年10月から更新が停止していました。唯一、Instagramは好調で、昨年の約68万人から100万人へ、フォロワー数を伸ばしていました。商品がより映えるInstagramへ注力しているようです。

また、2018年調査時点で、ネット通販は1アイテム500個以上の大量注文のみを扱っていましたが、現在では5万円以上のまとめ買いという条件に変更されていました。

昨年に続き、自らの情報発信というよりは、ハッシュタグによる他者発信での拡散がメインとなっているダイソーでした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.daiso-sangyo.co.jp
LINE ダイソー公式アカウントあり
フォロワー数約3.5万人
Facebook https://www.facebook.com/daisosangyo/
フォロワー数約76,000人
Twitter @daiso_sns
フォロワー数約3.6万人
Instagram daiso_official
フォロワー数約100万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://www.daiso-sangyo.co.jp/volume
ネットスーパー なし

情報発信せずともSNSで話題になるセリア

セリアは2018年調査時と変わらず、LINE、FacebookなどSNSによる情報発信はしていませんでした。しかしながら、やはり他者発信での拡散力が非常に強く、例えばInstagramでは「#セリア」が約110万件ヒットするなど、SNS上での話題性は抜群です。

このように、セリアはSNSでの発信はしていないものの、公式サイトで「おすすめ商品」や「手作りレシピ」を公開し、販促につなげています。自社商品のシンプルなキュレーションといった内容ですが、商品点数の多い百均だからこそ、SNS利用者のアンテナに触れやすい工夫が必要なのかも知れません。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seria-group.com
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

Instagramの「見せ方」が抜きん出ているキャンドゥ

キャンドゥでは、2018年調査時と比べ、TwitterならびにInstagramのフォロワー数が大幅に増えていました。内容は変わらず、Twitterで新店情報、イベント情報などを、Instagramでは商品情報を公開しています。

中でもInstagramには力を入れており、注目の商品や商品を使ったレシピ、ディスプレイなどの一例をアップしています。投稿は非常にインスタ映えするものが多く、商品の魅力を十分に引き出しているといえます。

100円ショップは「見せ方」にこだわってInstagramに注力する傾向が見られますが、キャンドゥは一歩抜きん出ている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.cando-web.co.jp
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook なし
Twitter @cando_official
フォロワー数約2万人
Instagram cando_official
フォロワー数約5.7万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://ec.cando-web.co.jp
ネットスーパー なし

ドン・キホーテ

ドン・キホーテでは、Facebook、Twitterに加え、Instagramのアカウントを開設していました。フォロワー数は約7,700人とやや少ない印象です。投稿内容は商品情報やキャンペーン情報など他SNSと大差がなく、同社のアミューズメント性をいかした内容になると、ファンが増えるのではないかと感じました。

また、アプリに新機能の追加がありました。これまでの電子マネーに、クレジットカード情報を登録することでチャージが容易になるかんたんチャージ機能、クーポン発券が加わり、利便性が高まっていました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.donki.com
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/donki.jp/
フォロワー数約2.3万人
Twitter @donki_donki
フォロワー数約16.5万人
Instagram donki_jp
フォロワー数約7,700人
その他のSNS なし
アプリ あり(電子マネーアプリ、クーポン発券、ポイント)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

まとめ

・コンビニは2018年調査時と比べSNS施策に力を入れている印象。
・コンビニでは実店舗と連携したアプリの機能追加が見られた。
・100円ショップは「インスタ映え」を意識した情報発信をしており、自社よりも他者による拡散力が強い。

昨年の記事はこちら

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(1)〜コンビニ・100円均・ディスカウントストア編〜