「接客から売り場作りまで」店舗で使える便利なスマホアプリ・WEB9選!

インバウンドや業界再編、テクノロジーの進歩など、小売の現場はますます多様化を求められています。そうした中で店舗の業務効率化や顧客満足度を上げるために、スマホアプリを活用してみてはいかがでしょうか。「商品知識」「売場作り」「売場管理」「市場調査」「インバウンド接客」5つのシーンで使えるアプリを集めてみました。

@cosme:口コミでユーザーニーズを把握。POP作成の参考にも

@cosme(アットコスメ)」は、化粧品・コスメ情報の専門ポータルサイトの老舗。キーワードやブランドから商品の検索をし、商品情報や口コミを閲覧することができます。

この商品検索は、口コミをした人の年代や肌質などで絞り込めるため、参考にすることでお客様のニーズを把握することができるでしょう。また、カテゴリやブランド別の人気商品がランキングを取得できるので、今どんなコスメが流行っているのかなどもリアルタイムに理解できます。POPを作成するときに参考となるキーフレーズも盛りだくさんです。

口コミは1,500万件以上、美容に関する悩みを自由に投稿できるQ&Aページもあり、商品のスペックだけでなくリアルな使用感まで知ることができるのは@cosmeならではといえるでしょう。

サイト名:@cosme
URL:https://www.cosme.net

ガーデニングのお悩み解決 ホットライン:植物の病気や害虫の悩みをLINEアプリで解決!

アース製薬の園芸ブランド 「アースガーデン」 は、メッセージアプリ「LINE」の公式アカウントで、園芸に関して何でも相談できるサービスを無料で提供しています。

使い方はとても簡単。かわいいキャラクターのまもるくんとメッセージでやり取りすると、植物の育て方や病気や害虫など様々な症状について答えてくれます。さらに詳しく相談したい場合は、スマートフォンで症状を撮影し、写真と相談内容を送信すると、具体的に病名や対策を教えてくれます。(詳しく相談できる時間は、月・水・金・土・日の9:00~18:00となっています)

写真を送り、いくつかの質問事項にこたえると、丁寧な解説をしてくれる。

2018年のリリースからわずか3ヶ月で約3万人ものユーザーが登録し、2020年3月現在での登録者数は11万人以上。利用者数はますます増えている人気のLINE公式アカウント。LINEで 「アースガーデン」を友だち追加するだけで利用できます。お客様からのガーデニングのお問い合わせに活用したり、お客様にも使っていただき、満足度アップを目指しましょう。

アプリ名:ガーデニングのお悩み解決 ホットライン
URL:https://www.earth.jp/earthgarden/line/index.html

クックパッド:食のトレンドをリアルタイムに知ってシーズンプロモーションに生かす

料理をする人なら一度は使ったことがあるはず。レシピのコミュニティウェブサイト「クックパッド」は誰でも自由に自作の料理レシピを投稿することができ、2020年3月現在の公開レシピ数は324万件にのぼっています。レシピはキーワード、食材別、カテゴリ別などから検索が可能です。

「人気の検索キーワード」トップ20のコーナーでは、1時間ごとに検索キーワードトップ20が更新されており、リアルタイムで検索トレンドを知ることができます。シーズンプロモーションの企画にとても便利です。

有料のプレミアムサービスでは、レシピの人気順検索や専門家による献立の提案、レシピのカロリーや塩分量の表示など、より踏み込んだ情報を得ることができます。

サイト名:クックパッド
URL:https://cookpad.com/

Tenki.jp:各種指数を生かして季節に合わせた売場作りを

tenki.jp」は、一般財団法人日本気象協会が運営する天気予報サイトです。(アプリもあり)。市町村という細かな範囲で、1時間ごと・3時間ごとの天気予報を提供するほか、週間天気予報よりも長い10日間天気を知ることができます。また、今いる場所の雨の様子(豪雨レーダー)や、雨雲接近の通知機能など、リアルタイムで天気の移り変わりをキャッチできます。

Tenki.jpがすぐれているのは、季節に応じた暮らしに役立つ情報を発信している点です。熱中症やPM2.5、花粉の飛散状況や虫ケア指数、洗濯指数といった情報をカスタマイズして表示できるので、季節商品の売場作りに大いに役立ちます。

アプリ名:Tenki.jp
URL:https://tenki.jp/

賞味期限管理アプリのリミッター:賞味期限がきそうな食品をプッシュ通知でおしらせ

「Limiter(リミッター)」は、商品のバーコードを読み取るだけで冷蔵庫の中の食べ物の管理をすることができる家庭用の賞味期限管理アプリです。家庭用に開発されたアプリですが、アイテム数が少なければ店舗で販売している食品の管理にも生かすことができそうです。

使用方法はとてもシンプル。賞味期限を通知したい商品のバーコードをカメラで読み取り、商品画面で賞味期限を設定するだけ。賞味期限がくるとプッシュ通知が飛びます。店舗で共有のアカウントを作って登録すれば、各従業員のスマートフォンで同時に賞味期限を参照することが可能です。

アプリ名:賞味期限管理アプリのリミッター
URL:https://apps.apple.com/jp/app/id1027284532

価格.com 、 amazon.co.jp:一般消費者向けサイトを活用して価格や口コミ、併売商品を知る

パソコンやAV機器を中心とした電気製品の価格比較ウェブサイト「価格.com」。製品の詳細なスペックの確認はもちろん、価格比較による相場感を把握することができます。「レビュー」が充実しており、ユーザーレベルや使用目的が明記されているため、「ある商品に対してどの層のお客がどんな感想を持っているか」を捉えやすくなっています。口コミのコメントをPOP作成時の参考にすることもできますね!

世界最大規模のECサイト「amazon.co.jp」は、AI(人工知能)を使って精度の高い関連商品情報(「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」)を表示することで、ユーザーのさらなる消費を誘います。

この関連商品情報はそのまま商品を陳列する際、何を併売すれば買い回り点数が増えるかの参考にすることができるでしょう。意外な商品の買い合わせを発見してみてください。

サイト名:価格.com
URL:https://kakaku.com

サイト:amazon
URL:https://www.amazon.co.jp

ShuFoo!:競合企業の動向をチエックしよう

スーパーやドラッグストア、家電量販店などのチラシが無料で見放題となる「Shufoo!(シュフー)」。全国11万店以上のチラシが掲載されています。会員登録で「Myエリア」を設定すると、付近のお店のチラシが届きます。

自店舗の商圏にある競合がどんな商品をどれくらいの価格で扱っているか、キャンペーンやセールの情報なども瞬時にキャッチすることができます。また、モバイルアプリ版では翌日届く予定のチラシが前日の夜には見られます。商圏の動向を網羅的にいち早く調査できるサービスです。

サイト名:ShuFoo!
URL:http://www.shufoo.net/

Google 翻訳:テキスト、音声、画像…あらゆる翻訳をおまかせの便利ツール

インバウンドのお客様に対して便利な翻訳アプリ。当媒体の調査で抜きんでて便利なアプリという声があがったのがGoogleが提供する翻訳サービス「Google 翻訳」でした。ブラウザ版とアプリ版があり、テキスト翻訳は108言語間の翻訳が可能と、翻訳サービスの中では群を抜いています。

スマートフォンにダウンロードして使用するアプリ版なら、テキスト翻訳のみにとどまらず、音声入力を用いて2カ国語間での会話をその場で翻訳することも可能。もう1つ、カメラを向けるだけで画像内のテキストを瞬時に翻訳する機能も搭載されいます。

例えば、売場で接客中に食品や薬品の含有物を尋ねられた場合、商品のラベルにカメラをかざして含有物を伝えるといった使い方が想定できそうです。ウェブサイトをまるごとなど長文の翻訳はやや精度が落ちますが、日常会話程度の短文のやりとりでは高い精度を誇っており、外国人のお客様への日常の接客には十分活用できそうです。

アプリ名:Google 翻訳
URL:https://translate.google.com/

接客英語アプリ:接客フレーズを参照するだけでなく「確認テスト」で英語学習も

「接客英語アプリ」は、販売や飲食業などの接客でよく使われる英語フレーズを集約しています。用例は「販売」「飲食」「会計」といった大カテゴリーと、「案内」「メニュー」「注文」といった中カテゴリーに整理されており、目的のフレーズがシーン別に検索しやすくなっています。とても視認性が高く、このまま「指指し英会話」もできてしまいそうなスッキリした画面が特徴。

英語初心者でも発音に困らないようカタカタ読みが表記され、再生速度も5段階で調整できるようになっています。接客英会話の学習ツールとして使いたい場合には、1セット10問のミニテストが受けられる「確認テスト」機能が有効です。

アプリ名:接客英語アプリ〜正しい接客英会話フレーズで集客力アップ!!
URL:https://apps.apple.com/jp/app/id1090873328

「靴の通販」に風穴を開ける。足を3Dデータ化して最適な靴をオススメ「ZOZOMAT」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、シューズをネットで購入する時の「サイズの不安」を解消する「ZOZOMAT」です。足の長さだけではなく、足幅、甲の高さなどをミリ単位で計測し3Dデータ化。そのデータに基づいて相性のよい靴をオススメしてくれるZOZOMATを試してみました。(ライター:宮原智子)

マットとアプリで「足のサイズ」を測定してぴったりの靴をオススメ

水玉模様のタイツを着用してアプリで体のサイズを計測する−−。奇抜な見かけと斬新な発想で話題を呼んだ「ZOZOSUITS」を展開したファッションECサイト「ZOZOTOWN」が、新しい計測ツールの提供を開始しました。その名も「ZOZOMAT」

ZOZOMATは、専用のマットとスマホアプリを使って足のサイズを3Dデータ化し、そのデータをもとに相性のよい靴をオススメしてくれるサービスです。

ECで靴を買うという動きがなかなか広がらない中、ZOZOMATは風穴を開けるサービスとなるでしょうか。

(2020年3月時点で、ZOZOMATは申込から1~2週間程度で無料お届けされる仕組みになっています)

1.ZOZOTOWNのアプリをダウンロード。「測定」からZOZOMATの測定画面へ。

ZOZOMATで足サイズの測定をするには専用のスマホアプリが必要。

2.ZOZOMATを広げ、足を置きます。この時、マットに描かれている円と、アプリに表示されている円を重ねるようにします。

緑の足形の上に測定するほうの足を置きます。ちなみに、ZOZOMATは「紙」でした。

3.アプリのガイダンスに従い、左足、右足の順にそれぞれ6つの角度から撮影していきます。

撮影角度はマットの円に「色」で表示されています。ガイダンスに従って、片足につき6回撮影します。

4.撮影した画像から足サイズの測定が行われ、測定結果が表示されます。

測定結果は足長だけでなく、足幅、足囲、足甲高、かかと高まで算出されます。

5.おすすめの靴へのリンクに飛ぶと、靴との相性がパーセンテージで表示されます。

足長だけでなく、足甲高や足幅など総合的にみて相性のよい靴を提案してくれます。

6.気に入った靴をクリックし、買い物カゴに入れて支払いをします。

気に入った靴があったらいつも通りにショッピング。

ZOZOMATは伸び悩む「靴の通販」の救世主となるか

通販で靴を買うとき、多くの方が「サイズ」で選ぶのではないでしょうか。しかし、同じサイズであっても甲が高かったり足幅が広かったりと、足の形は一定ではありません。また、数字上は同じでもブランドが違えば履き心地が変わります。だからこそ、ECで靴を買うことに不安を覚える消費者は少なくないのです。

こうした中、AmazonではPrime Wardrobeという試着サービスを開始。試してみたい洋服や靴をまとめて配達してもらい、実際に着用して気に入ったものだけを購入できるようにしました。しかし、この方法では商品をピックアップして発送する手間、購入しない商品の返送コスト、試着を繰り返すことによる商品の劣化など、さまざまな課題が発生します。

ZOZOMATは、こうした課題を解決し、自分の足型にフィットした靴を提案してくれるという点で、店側、消費者側双方にメリットがあるといえます。

もちろん、ZOZOMATも完璧ではありません。測定の際の「立ち方」や「測り方」で本来の足サイズと微妙な誤差が出てしまい、筆者は何回か測定をやり直しました。また、オススメされる靴のブランドが限られているという難点もあります。しかし、対応ブランドは今後増えていくでしょうし、測定の精度は技術とともに上がっていくものと思われます。

衣類や化粧品で「画像処理による計測」が増えているように、靴の分野でも今後は画像処理による計測が主流になっていくのかもしれません。

アプリで注文、決済まで!マクドナルドの「モバイルオーダー」を試してみた

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、2020年1月から全国展開を開始したマクドナルドの「モバイルオーダー」です。スマートフォンアプリなど、モバイルで注文、決済を済ませて、店舗で商品を受け取るだけのモバイルオーダー。今後、外食産業で導入が進むであろうモバイルオーダーを試してみました。(ライター:宮原智子)

注文から決済までアプリで完結

お店についてカウンターで商品を注文。会計を済ませたら、できあがった商品を受け取って席へー。マクドナルドへ行けばおなじみだった注文の流れが、あるアプリの登場によって変わろうとしています。

2020年1月、日本マクドナルドが全国の店舗で「モバイルオーダー」を開始しました。モバイルオーダーは文字通り、どこにいてもスマートフォンなどのアプリから商品の注文、会計をすることができます。事前に商品の注文・会計を済ませてお店へ。今後の外食産業は、こんな流れが主流になっていくかも知れません。

列に並んだり、財布を取り出す手間もナシ

マクドナルドのモバイルオーダーを試してみました。

まず、「モバイルオーダー」専用アプリをダウンロードします。モバイルオーダーアプリが従来のマクドナルドのアプリとは別のものである点はやや煩雑な印象です。

モバイルオーダーをするためには、マクドナルドの既存アプリとは別のアプリをダウンロードする必要があります。

注文のはじめに、受取店舗を選びます。

受取店舗と「朝マック」か「レギュラーメニュー」かを選びます。

次に、注文する商品を選びます。残念ながら現時点では「ピクルス抜き」といったカスタム注文には対応していません

クーポンからのオーダーも可能。

商品が決まったら支払い手続きをします。受取方法を「店内/テイクアウト」のいずれか選びます。支払い方法は、クレジットカードかLINE Payが使用できました(iOS)。

支払いは、クレジットカードかLINE Pay。

支払いを済ませ、店舗に到着したら「店舗に到着」をクリック。注文した商品が作られます。アプリの画面に表示された注文番号がお店のモニターに表示されたら、商品のできあがりです。

「M07」番が注文番号。お店のモニターに表示されるのを待ちます
店舗についたら商品を受け取るだけ。

店舗によっては、商品をテーブルまで運んでくれるサービスもあるそうです。

店内で商品を追加注文したいときは、受取場所で「テーブル」を選択し、テーブル番号を入力すればカウンターまで足を運ぶ必要がありません。

このモバイルオーダーですが、現在はドライブスルーには対応していません。また、支払い方法もクレジットカードとLINE Payのみ。このあたりは、今後サービスの拡充を期待したいところです。

お昼時などレジ前が混雑していても並ぶ必要はなし、お財布を取り出す手間もなく、小さな子連れのファミリー層が多いマクドナルドでは、こうした事前注文がユーザーの満足度アップにおおいに貢献しそうです。

スタバや吉野家も続々参入 加速する「事前注文」

モバイル端末による事前注文は、従来レジ対応に充てられていたスタッフを調理に回したり、レジ対応以外の顧客サービスに注力できたり、店側にも大きなメリットがあります。

モバイルオーダーはマクドナルドだけでなく、大手コーヒーチェーンのスターバックス(テイクアウトのみ)、牛丼チェーンのすき家、吉野家など、コーヒースタンドやファーストフード、ファミレスなどで導入が進んでいます。

スーパーやコンビニでセルフレジが登場していますが、モバイルによる事前注文は、飲食店版のセルフレジといった印象。今後もこの動きはますます加速していくものと思われます。

買い物のしかたや決済など生活動線を変えていく「スーパーアプリ」

今回、「新しい売り方」調査隊!では「スーパーアプリ」を取り上げます。スーパーアプリとは、さまざまなサービスを統合したアプリのこと。中国では「WeChat」や「Alipay」が有名ですし、日本ではLINEがその位置を目指そうとしているようです。アジア各国で勢いを伸ばす「スーパーアプリ」。今後確実に日本にも来るであろうこの流れを紹介します。(ライター:宮原智子)

さまざまなサービスを1つのアプリで提供する「スーパーアプリ」

以前はインターネットを利用する機器といえばパソコンが主でした。ところが、総務省が発表した2017年の通信利用動向調査によると、パソコンが48.7%であるのに対しスマートフォンが54.2%と、初めてスマホがパソコンを上回る結果に。その結果生まれたのが「スーパーアプリ」です。

インターネットをパソコンから利用していた当時は、Yahoo!JAPANのようなポータルサイトから情報を検索したり、ショッピングやオークション、メールなどのサービスを利用していました。しかし、スマホがシェアを拡大するにつれ、サービスの提供はアプリで行われるようになりつつあります。

LINEの決済ツール「LINE Pay」を管理できる「ウォレット」画面。ここからさまざまなサービスが利用できる。

しかし、スマホのアプリは、EC、SNS、決済、メッセージなどサービスごとに分かれているため、それぞれダウンロードし起動しなければならないという難点があります。そこで登場したのがさまざまな機能を統合した「スーパーアプリ」です。

スーパーアプリにはECやSNS、決済などのサービスが「ミニアプリ」として搭載されており、1つのアプリをダウンロード、起動することで任意のサービスを利用することができます。今回ご紹介するLINEは、LINEはメッセージアプリという印象ですが、LINE Payによる決済サービスや金融サービス、ショッピングや旅行予約などを提供する、「スーパーアプリ」化を目指していると言えます。

アプリを行き来せず、決済も一元化できて便利

LINEでショッピングをしてみました。まず、LINEアプリを起動し、「ウォレット」を開きます。

「ウォレット」では決済サービスのほか、ショッピングや保険商品、投資、ポイントカードの集約などができる。

画面に表示されたメニューの中から「ショッピング」を選ぶ。「LINEショッピング」から任意のショップを選ぶか、購入したい商品をキーワード検索する。

LINEショッピングの画面。人気ショップやポイント還元率、トレンド商品などほどよくキュレーションされている。

試しに検索フィールドに「入浴剤」と入力すると、商品や販売しているショップが検索結果として表示される。

キーワード検索ではLINEショッピングに出店しているすべてのストアの商品が検索できる。楽天市場のようなイメージ。

購入したい商品を選び、ショップで支払い手続きをする。

購入先のショップで支払い手続きをする。支払い方法としてLINE Payも選択できるため、電子マネーをチャージしておけばクレジットカード情報の入力も不要。
1つのアプリを立ち上げれば生活におけるすべてのサービスが便利につながる時代になる。

メッセージツールとしてなくてはならないほどに拡大したLINE。そこに決済アプリやショッピング、ポイントサービスが統合されているので、アプリを行き来する必要がなくとても便利です。現在はショッピングのほか、保険や金融商品にとどまっていますが、旅行の予約や配車サービス、乗り換え案内やエンタメサービスなどのミニアプリが追加されれば、生活はこれ1つで済むなと感じました。

中国で元気なスーパーアプリ この流れは今後日本へも

スーパーアプリをいち早く世に出したのが中国の企業です。世界最大級のオンライン・マーケットを展開するアリババグループの決済アプリ「Alipay」や、テンセント社が提供するSNSアプリ「WeChat」から誕生したスーパーアプリはその一例で、金融サービスからSNS、タクシー配車、ショッピング、トラベルなどさまざまなサービスが1つのアプリに集約されています。

アリババグループが提供する決済アプリ「AliPay」から利用できるサービス

スーパーアプリは、シンガポールの「Grab」、インドネシアの「GO-JEK」などアジア各国にも広がっており、この流れは今後間違いなく日本にも来るでしょう。LINEとヤフーの統合で大規模なスーパーアプリが誕生するのではないかとささやかれていますが、小売業界でも生活の動線を変えていくスーパーアプリの動向を注視する必要があります。

スマホアプリで「自分に似合う色」を診断して商品を提案 「オルビス」のパーソナルカラー診断

オルビスは早くから通信販売にも乗り出し、送料無料や返品、商品サンプルのサービスなどをいち早く取り入れることで化粧品の通販を浸透させてきました。そんな同社が手掛けるスマホアプリのパーソナルカラー診断を紹介します。実際に使ってみると、診断から購入まで一気通貫の心地よさがありました。(ライター:宮原智子)

プロのパーソナルカラーリストが監修した「オルビス」のパーソナルカラー診断

以下の記事でもご紹介しているように、化粧品メーカーがスマホアプリを使った肌診断を取り入れ、商品の販促につなげる動きが活発になっています。

資生堂、花王、カネボウ、コーセー…肌診断データ活用に本腰入れる化粧品メーカー

今回取り上げるオルビスのパーソナルカラー診断もその一例。スマートフォンアプリ上でいくつかの質問に答え、カメラで自分の顔を自撮りするだけで、AIがパーソナルカラーを解析。自分のパーソナルカラーとフェイスタイプを診断してくれます。診断結果は、プロのパーソナルカラーリスト 関口まゆみさんが監修しています。

カメラで撮ってカラー診断 「なりたい顔別」で商品を提案

1.オルビスのアプリでユーザー登録をし、メニュー一覧またはマイアカウントから「パーソナル分析」を開きます

スマホアプリのメニューまたはマイページからアクセスします。

2.最初はカウンセリング。いくつかの設問に回答していきます。

メイクに対する考え方や好きな色などを答えていきます。

3.次に、自分の顔をカメラで自撮りします。撮影は「晴れた日の自然光の下で」、「マチュラルメイクまたはノーメイクの状態で」行います。

1枚目は真顔、2枚目は笑顔(口角をあげて)。

4.自撮り後解析がはじまり、しばらくすると診断結果が表示されます。

筆者は「冬」タイプでした。診断結果には似合うメイクやヘアカラーなどが詳細に書かれています。

5.分析結果では、「なりたい印象別」にメイクのアドバイスやおすすめの商品が表示されるので、続けて商品ページで商品を購入することができます。

いつもエレガントさに欠けているので、エレガントを選んでみました。おすすめの商品をクリックして、通常の購入手続きへ移ります。

6.商品が届いたら、診断結果に表示されているアドバイスを参考にメイクを実践できる仕組みです。

店頭でのカウンセリングがスマホアプリでできる便利さ

今回、「エレガントな印象になりたい人」向けに提案されいていた、マスカラとハイライトチークを購入。2つ合わせて2,530円でした。いつものメイクでハイライトチークを使うことがなかったので、これは新しい体験。普段は使わないメイクアップ化粧品の購入きっかけになりました。

普段使わないメイクアップ商品の購入のきっかけに。

パーソナルカラー診断を利用してみて何よりもよかったのは、カウンセリングのために店舗へ足を運ばなくてもいいという点。スマホアプリの診断でここまで詳細な結果やアドバイスが得られると、通信販売にありがちな「似合わなかったらどうしよう」という不安は払拭されます。また、「薦められたこの化粧品を試してみたい」という行動にもつながりました。

一方で、物足りなく感じたのは、おすすめの商品点数が少なかったこと。いずれもおすすめが2〜3点、部分メイクが中心でした。化粧下地やファンデーション、部分メイクとトータルでおすすめしてもらえると、診断結果やアドバイスがより活かされるように感じます。

まとめ

オルビスでは、店頭で「パーソナルスキンチェック」も行っており、測定器によるスキンチェックの結果はスマホアプリの「パーソナル分析」に表示されます。スキンケアは店頭で、メイクアップ化粧品はスマホアプリでそれぞれ診断やアドバイスが受けられ、おすすめ商品はスマホから購入できるという仕組み。

商品開発からオムニチャネルでの販売までを手がけるオルビスならではの取り組みです。しかし、メーカー各社のメイクアップ化粧品をキュレーションして提供できる小売業なら、パーソナルカラー診断は参入しやすいのではないかと感じた売り方調査隊でした。

「中川政七商店」ECサイト、魅力の秘訣は「縦+横スクロール」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、日本各地の伝統工芸品を販売する「中川政七商店」です。「中川政七商店」は1716年に創業し、奈良晒(ならさらし)の製造・販売を生業としてきました。その後SPA業態に変化。近年では、日本の伝統工芸を元気にしようというビジョンを掲げ、実店舗、ECを展開しています。今回は、スマートフォンでのユーザー体験を向上させ、集客とコンバージョンにつなげる「中川政七商店」のECを試してみました。(ライター:宮原智子)

雑誌を見て楽しみ、カタログを見て買う感覚

リアル店舗とECのオムニチャネルを展開する中川政七商店。ECでは自社で生産する奈良晒をはじめ、全国の伝統工芸品を販売しています。1つ1つの品を上質に魅せるサイトづくりが目を引きますが、もっとも注目すべきポイントは、スマートフォン向けのECサイトです。

通常、スマートフォンでインターネットサイトを閲覧する際は、上下の縦方向にスクロールします。ところが、中川政七商店のスマホサイトでは、縦スクロールに横スクロールを加えることで視覚を横展開させ、視認性を高めています。

中川政七商店のスマートフォン用ECサイト。トップページから縦にスクロールすると、各ページにさまざまな特集ページへのリンクが現れます。

縦スクロールで表示される画面。

縦スクロールの途中に、横スクロールで表示されるページが挟まれ、季節の特集や暮らしに豊かさを添える商品の情報などが掲載されています。

縦スクロールから横スクロールへ。

各特集ページをクリックすると、読み物ページや商品購入ページが表示されます。敷居が高いイメージの伝統工芸品を身近に感じさせる読み物ページ。気になった商品をクリックすると購入ページに進むことができます。

特集ページへのリンク先は読み物ページなどにつながる。読み物は読みやすい縦スクロール。

購入手続きは一般的なECサイトと同様。カートに入れ、支払い手続きをします。

上質感が感じられる商品ページ。購入手続きもスムーズに行える。

縦スクロールに横スクロールを加えることで商品のストーリーや訴求ポイントの輪郭がはっきりして見え、通常のスマホサイトに比べて視認性が高く感じられます。このサイトの作り方は、ドラッグやスーパーの季節もの特集にも応用できそう。

アプリでなくブラウザで快適な操作性を実現

実は、こうした画面スクロールの動きは、スマホ用アプリではすでに取り入れられています。中川政七商店ではこれをスマホ用ブラウザで実現、縦横にスクロールできる快適な操作性を実現しています。

ここで、アプリとブラウザの関係を説明すると、アプリは、特定のことをするためにOS上にインストールして利用するソフトウェアをいい、ブラウザはアプリの中でもインターネットを閲覧するために利用するソフトウェアを指します。つまり、ブラウザはインターネットを閲覧するためのアプリというわけ。

アプリとブラウザを使ったアプローチの違いは以下のようになります。

・特定のショップのセーターを買いたい→ショップアプリをダウンロード→アプリ上でセーターを選んで買う

・商品は決まっていないけどセーターが欲しい→インターネットブラウザで「赤 セーター M」などで検索→気に入った商品があるショップのサイトへ→ショップのサイトでセーターを買う

上記のように、アプリはダウンロードするひと手間がありますが、スマホのデスクトップからアクセスできるため、頻繁にそのショップで買い物をする人や、ブランドを気に入っている人にとっては便利。反対に、ブラウザはダウンロードする手間がないため、ブランドを知らない人にも利用のハードルが低く、より多くの人の目に留めてもらいやすいメリットがあります。

まとめ

総務省が行った通信利用動向調査によると、平成30年の世帯におけるスマートフォンの保有割合は約8割にまで上昇。インターネット利用機器はスマートフォンが59.5%で、PCの48.2%を逆転しています。今後、スマホからEC利用する人はますます増えるでしょう。中川政七商店のように「スマホでいかにうまく魅せるか」は、ECを運営する事業者にとって喫緊の課題と言えそうです。

カメラで採寸する時代がきた UNIQLO「My Size CAMERA」

「通販で買った服、思ったより裾が上のほうで、ワンピースがTシャツ状態」。これだけECが普及した世の中にあっても、「思ったよりサイズが」問題はなかなか解決されません。以前、Amazonが購入前に試着できる「Prime Wardrobe」を導入したことをこのサイトでもお伝えしましたが、本日ご紹介するのは日本を代表するファストファッションブランドUNIQLOの「My Size CAMERA / ASSIST」機能です。UNIQLOは、ECの弱点をどのように解決しようとしているのでしょうか。(ライター:宮原智子)

カメラで採寸、アシストで自分に合ったサイズをオファー

UNIQLOの「My Size CAMERA」は、全身を正面と側面から撮影することでAIが測定採寸を行い、簡単に自身のサイズを計測することができる便利な機能です。採寸した結果はマイサイズとして登録することができるため、ショッピングをする際にはいつでも、サイズチャートで自分に適したサイズを確認することができます。

また、「My Size ASSIST」機能は、身長や体重、好みの着心地などの質問に答えるだけで、商品ごとのおすすめのサイズを選んでくれるというもの。いずれも、「ECで服を買ってみたらサイズが合わなかった」を解決するツールです。

シャッターを2回押すだけで採寸「My Size CAMERA」

1.UNIQLOアプリのトップ画面からMy Size CAMERAを立ち上げる。

会員情報の上部にある「サイズを測る」からMySize CAMERAへ

2.性別や年齢、身長、体重などお客様情報を入力する。

画像からサイズを算出するための補足情報を入力します

3.計測の準備をする。

なるべく体のラインがきれいに写るように準備します

帽子やサングラス、マスクをしている場合はすべて外します。シャツはズボンの中に。

4.表示されたアウトラインに体を合わせ、正面・サイドを撮影します。

表示された枠線に体を合わせて撮影します(一人で撮影するのは困難ですが、子どもでも撮影できるぐらいに簡単)

5.写真撮影が済むと採寸が始まり、マイサイズに登録されます。

計測は十数秒で完了。マイサイズに登録します。

6.登録したマイサイズとサイズチャートを照合し、ぴったりのサイズを確認します。

登録したマイサイズから、ズボンの股下など細かな部分まで照合できます。

質問に答えて自分に合ったサイズを知ろう「My Size ASSIST」

1.商品画面で「自分に合うサイズを確認する」をタップ。

「自分にあうサイズを確認する」から入力画面へ

2.身長や体重、体型、好みの着心地を入力する。

身長や体重、体型などを入力していきます

3.蓄積されたデータから、自分と似た体型の人が選んだサイズを算出してくれます。

既存のデータに基づいておすすめサイズが算出されます

今回は、「My Size CAMERA / ASSIST」のおすすめに従って、ニットのワンピースを購入してみました。

サイズを間違うと膝丈が残念なことになってしまいがちなワンピースですが、個人的には大満足。いつか、My Size ASSISTで詳細情報を入力せずとも、My Size CAMERAでの撮影だけでおすすめサイズが算出される未来が来れば、利便性が増してますますECショッピングに弾みが付きそうです。

それにしても、カメラで撮影するだけで採寸できるというのは、便利で楽しいユーザー体験です。

まとめ

My Size CAMERAは腕の長さや身幅、背丈、ウエストなど細部まで採寸してくれるため、リアル店舗での買い物時でも試着不要で服を選ぶことができそうです。これは、ECだけでなく店舗での売上促進につながる可能性があると感じます。実物を手に取ることができないECで、どこまでリアルに近づくことができるか、今後のテクノロジーの進歩がとても楽しみな売り方調査隊でした。

贈り物にさらなる付加価値を付けるギフトサイト「TANP」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、ギフトサイトの「TANP」です。プレゼントにメッセージや花束を添えるオプションが好評という、「TANP」のギフト体験を試してみました。(ライター:宮原智子)

利用者の8割が「オプション」を利用。プレゼントにさらなる付加価値を

今や、ECサイトやギフトサイトなどでプレゼントを購入・発送することは「当たり前」になってきています。ですが、EC経由でプレゼントを贈る際、贈る側も受け取る側も、どこか物足りなさを感じたことはないでしょうか。

贈る人:「プレゼントだからそれなりの包装をして欲しい」「メッセージを一緒に送りたい」「プレゼントと一緒にサプライズを贈りたい」
受け取る人:「いつもの通販の箱で届いた」「納品書が入ってた…」

…といった具合に。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げる「TANP」は、利用者の8割がプレゼント購入時に「オプション」を追加するといいます。オプションの内容は、デコレーション、メッセージ、バルーンや花束などバリエーションに富んでいて、贈る人・受け取る人の性別、年齢、シチュエーションに合わせて選ぶことができます。

「ギフトを最高の体験に」を掲げるTANPの、ユーザー体験を向上させる付加価値を体験してみました。

王道の「メッセージ」からサプライズな「バルーン」まで

1.プレゼントを選び、「カートに入れる」ボタンをクリックします。

ギフト選びに迷ったらギフトコンシェルジュに相談することもでます。

2.購入手続き画面から、購入者情報やお届け先情報などを入力します。

送り先の住所が分からない場合は、プレゼントを渡す相手にメールアドレスやLINEなどでギフトURLを送り、受け取り住所を入力してもらうこともできます。

3.オプションを選びます。

今回購入したのはケーキにメッセージが書けるタイプのオプションなので、メッセージ入力画面にメッセージを書き入れます。備考欄には、「♡」の部分を赤に塗りつぶしてもらうよう書き入れました。

今回のオプション、ケーキへのメッセージ記入。「感謝」という画数の多い感じをリクエストしてみました。

オプションが選べる商品の場合には、オプション選択画面でラッピングの有無やメッセージ、花束などを任意で選ぶことができます。

性別や年齢を問わないオプションのラインナップが嬉しい。

4.支払い手続きをして注文完了です。

操作性は通常のECサイトと同じで簡単。

今回ギフトに購入したケーキは、メッセージ代込みで3,420円。冷凍配送のため、送料が1,123円上乗せとなります。オプション込み商品代金としては妥当といったところ。備考欄に記入したメッセージの「♡」の部分も、ちゃんと希望通りに赤になっていました。

画数の多い字もくっきりと、あたたかい文字に仕上がっています。

ちなみに、原則として熨斗の対応は行っていないとのことですが、商品によっては対応可能とのことだったので、熨斗が可能かどうか備考欄に書き入れてみました。すると、発注後すぐに対応可能とメールで返信が。簡易な熨斗でしたが、対応はとても丁寧でした。

熨斗は商品によって付けられるもの、付けられないものがあるそう。

ただひとつ欲を言えば、どのプレゼントにどんなオプションが付けられるかが「カートに入れる」ボタンを押す前に知ることができたら、プレゼント選びにも幅が出そうだと感じました。

まとめ

ECを経由しての贈り物は「手渡し」ではないので、相手の表情を見て気持ちを伝えることができません。だからこそ、気持ちを添えるオプションの果たす役割は大きいのではないでしょうか。そうした「ほんの気持ち」を感じられる生身な体験を取り入れることが、EC利用者の満足度につながるのではないかと感じた売り方調査隊でした。

「冷食」の認識を変えて成長を続けるイギリス冷凍食品専門店「ICELAND」

欧米の家庭では、簡単調理ができ、長期保存がきく冷凍食品の需要が高い。世界には、日本にも進出したフランスの「Picard」(ピカール)をはじめ、冷凍食品専門スーパーが少なくない。今回は、イギリスの冷凍食品専門店スーパーマーケット「ICELAND」をレポートする。(ライター:宮原智子)

冷凍食品マーケットをリードする英国冷凍食品専門店「ICELAND」

1970年創業の「ICELAND」は、イギリスのウェールズ北東部フリントシャーに本拠地を置く冷凍食品専門店だ。ICELANDの名の通り、店内商品の50%以上を冷凍・チルドが占める同社では、2019年8月現在、英国全土に900店舗以上、ヨーロッパ全体で40店舗以上を展開する。

創業以来成長を続けるICELANDでは、これまで冷凍食品の安全性や利便性に対するさまざまな取り組みを行ってきた。1980年代には競合他社に先駆けて、自社ブランド商品からの人工着色料や化学調味料、遺伝子組み換え成分を排除。1990年代には英国で初の配達サービスを開始し、2000年代にはたびたびオンライン・スーパーマーケット・オブ・ジ・イヤーに選出されるなど、英国の食品小売業界を常にリードしている。

冷凍食品の安全性・利便性などを訴える「BECAUSE IT’S FROZEN」

同社の「Power of Frozen」というマーケティングキャンペーンも興味深い。「Because It’s Frozen」ホイール図を通じ、冷凍食品の品質・利便性・健康への影響など、冷凍食品が消費者と環境に与える8つの利点を提示。冷凍食品に対する消費者の認識改善に努めている。

冷凍食品以外に青果・飲料なども取り扱う

通路はショッピングカートがすれ違うに十分の広さ。

取材に訪れたロンドン市内のキルバーン・ハイストリート店は、住宅街に隣接するハイストリートに位置する。キルバーン・ハイロード駅にほど近く、高級スーパーのマークス&スペンサー、庶民派スーパーのセインズベリー、ドラッグストアのブーツなど、小売業の店舗が点在する賑やかなエリアだ。

店内レイアウトはコの字型となっており、入り口に対して右側には野菜や果物などのフレッシュフードが。店舗突き当たりの壁一面がチルドコーナーとなっており、左側に飲料などの冷蔵コーナーが配置されている。フロア中央部分は4列に区切られ、うち3列に冷凍平ケースが並び、残り1列にはグロサリーが陳列されている。通路はショッピングカートがすれ違うことができる、ゆったりした設計だ。

肉類、下ごしらえした野菜、加工済み商品まで品ぞろえが豊富。

ICELANDで扱われている商品はバラエティに富んでいる。冷凍食品は、アイスクリームなどの冷凍デザートはもちろん、野菜、肉類、魚貝類、ハンバーガーやピザなどの加工済み食品などを販売。ミートパイやフィッシュ&チップスなど、イギリスならではのフードも充実している。非冷凍食品は野菜や果物などの青果物、飲料、酒類、日用品といった、通常のスーパーと変わらぬ品ぞろえ。冷凍:非冷凍の比率は6:4ほどだ。

割安感があり、キリのよい値付けで利用しやすい。

価格帯は1ポンド、2ポンド、3ポンド…と、いずれもキリのよい値段が目立つ。加工済み食品のメインディッシュが2ポンド(約257円)、牛肉ミンチが780グラムで3ポンド(約385円)と非常に安価(レートは2019年8月5日時点のもの。1ポンド=128.38円)で、スーパーマーケットの惣菜コーナーで惣菜を購入するよりも割安感がある。

調理の手軽さ、味わいも申し分なし。

この日はイチオシの商品としてピザが2ポンドになっていたので購入してみた。包装容器から取り出し、冷凍のままオーブンへ入れて焼くだけという手軽さ。焼き上がりはデリバリーピザと変わらないおいしさで、コストパフォーマンスの高さに驚いた。

時代のニーズをつかんで「見せ方」で売る

できあがりイメージが想像しやすいパッケージ

日本では、冷凍食品について「手抜き料理である」「おいしくない」というイメージがまだまだ根強い。商品の種類はお弁当向けが中心で、それ1つでメインディッシュとして食卓へ出せるようなメニューは少ない。

ICELANDを訪れて感じたのは、品ぞろえの豊かさもさることながら、「おいしそう」「食べてみたい」と思わせるパッケージデザインの訴求性だ。日本の冷凍食品は「じゅわっ」「旨っ」「やわらか」など、文字情報で商品の特徴を表すデザインが多い。一方で、ICELANDの商品は料理の画像がパッケージのメインになっている。できあがりがリアルに想像でき、購買意欲が刺激される。

「夫婦共働き」「ワーママ」「時短」といったキーワードが並ぶ現代だからこそ、冷凍食品の持つ伸びしろは大きい。時代のニーズをつかむためには、冷凍食品に対する消費者の認識をいかに改善するかが重要だ。料理を口にする瞬間が想像できる「見せる」売り方は、1つのヒントになるのではないかと感じた。

メディアプラットフォーム「note」で商品にプラスαのストーリーを。「note for shopping」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、ハンドメイド作家やショップオーナーの活動を応援する「note for shopping」。この連載でも取り上げた「creema」のようなCtoCプラットフォームは、依然活況ですが、CtoCプラットフォームだけでは商品企画のプロセスや背景にあるストーリーなどを伝えきれず、もう一歩踏み込んだ売り方がしたい…と考える人も少なくないようです。今回取り上げる「note for shopping」は、メディアプラットフォーム「note」とECプラットフォームが連携した新しい売り方です。(ライター:宮原智子)

note上で「ストーリー」を展開

note」は、クリエイターとユーザーがつながるメディアプラットフォーム。「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」を掲げ、クリエイターは文章や漫画、写真、音声などを投稿、ユーザーがそのコンテンツを応援できるウェブサービスです。この1月には月間アクティブユーザー数が1,000万人を突破し、今一番勢いのあるプラットフォームの一つと言えます。

そのnoteが提供する「note for shopping」は、連携するパートナーサイトで販売している商品情報を、記事の中にカードとして埋め込めむことができる機能。ショップオーナーやクリエイター自身が商品のコンセプトやストーリーを紹介することで、ユーザーに豊かなショッピング体験を届け、ファン獲得を促します。

背景にある物語に共感しながら買物できる

1.noteを読んでいて気に入った商品があったら、ページ中の商品カードをクリック。

読み物風だったり解説風だったり、商品にプラスαの情報が添えられる。

noteには商品そのものをイメージさせる物語が書かれていたり、メイキングの様子が紹介されていたりと、クリエイターからの多彩な発信がされています。

購入したいときは、記事に埋め込まれている商品カードをクリック。

気に入ったクリエイターをフォローすることができ、新しいコンテンツが追加されれば通知が来ます。

2.パートナーサイトに飛びます。

パートナーサイトの商品ページ側には、noteの記事URLを貼ってnoteへの動線をつくる。

3.パートナーサイトで支払い手続きをし、買い物終了。

パートナーサイトの商品ページで通常通り購入手続きをする。

パートナーはCtoCプラットフォーム中心

Yahoo!ショッピングなどECプラットフォームと連携するが、CtoCが目立つ。

note for shoppingの参加パートナーは現在、SUZURI、minne、creema、Yahoo! シッピングなど11社。CtoCプラットフォームが目立ちます。クリエイターがダイレクトに商品を販売できるこうしたプラットフォームは、誰もが自分の商品を販売することはできますが、その分差別化が難しいという難点があります。note fot shoppingはストーリーテリングのツールとして、「他と違う」「オリジナリティのある」商品に見せることができます。

まとめ

多くのクリエイターが集まるnoteには、コンテンツを楽しみに訪れるユーザーもまた多くいます。そうした「クリエイティブな活動」に興味を寄せる人を商品ページへ誘導することができる、note for shoppingの集客・販促装置としての面も魅力的に写りました。