さまざまなサービスを1つのアプリで提供する「スーパーアプリ」
以前はインターネットを利用する機器といえばパソコンが主でした。ところが、総務省が発表した2017年の通信利用動向調査によると、パソコンが48.7%であるのに対しスマートフォンが54.2%と、初めてスマホがパソコンを上回る結果に。その結果生まれたのが「スーパーアプリ」です。
インターネットをパソコンから利用していた当時は、Yahoo!JAPANのようなポータルサイトから情報を検索したり、ショッピングやオークション、メールなどのサービスを利用していました。しかし、スマホがシェアを拡大するにつれ、サービスの提供はアプリで行われるようになりつつあります。
しかし、スマホのアプリは、EC、SNS、決済、メッセージなどサービスごとに分かれているため、それぞれダウンロードし起動しなければならないという難点があります。そこで登場したのがさまざまな機能を統合した「スーパーアプリ」です。
スーパーアプリにはECやSNS、決済などのサービスが「ミニアプリ」として搭載されており、1つのアプリをダウンロード、起動することで任意のサービスを利用することができます。今回ご紹介するLINEは、LINEはメッセージアプリという印象ですが、LINE Payによる決済サービスや金融サービス、ショッピングや旅行予約などを提供する、「スーパーアプリ」化を目指していると言えます。
アプリを行き来せず、決済も一元化できて便利
LINEでショッピングをしてみました。まず、LINEアプリを起動し、「ウォレット」を開きます。
画面に表示されたメニューの中から「ショッピング」を選ぶ。「LINEショッピング」から任意のショップを選ぶか、購入したい商品をキーワード検索する。
試しに検索フィールドに「入浴剤」と入力すると、商品や販売しているショップが検索結果として表示される。
購入したい商品を選び、ショップで支払い手続きをする。
メッセージツールとしてなくてはならないほどに拡大したLINE。そこに決済アプリやショッピング、ポイントサービスが統合されているので、アプリを行き来する必要がなくとても便利です。現在はショッピングのほか、保険や金融商品にとどまっていますが、旅行の予約や配車サービス、乗り換え案内やエンタメサービスなどのミニアプリが追加されれば、生活はこれ1つで済むなと感じました。
中国で元気なスーパーアプリ この流れは今後日本へも
スーパーアプリをいち早く世に出したのが中国の企業です。世界最大級のオンライン・マーケットを展開するアリババグループの決済アプリ「Alipay」や、テンセント社が提供するSNSアプリ「WeChat」から誕生したスーパーアプリはその一例で、金融サービスからSNS、タクシー配車、ショッピング、トラベルなどさまざまなサービスが1つのアプリに集約されています。
スーパーアプリは、シンガポールの「Grab」、インドネシアの「GO-JEK」などアジア各国にも広がっており、この流れは今後間違いなく日本にも来るでしょう。LINEとヤフーの統合で大規模なスーパーアプリが誕生するのではないかとささやかれていますが、小売業界でも生活の動線を変えていくスーパーアプリの動向を注視する必要があります。