新しい売り方調査隊!

大人気の冷食食べ放題レストランが大阪上陸

「チン!するレストラン」に見る「セルフ解凍・イートイン」業態の可能性

2022年10月に日本アクセスが東京・秋葉原で期間限定開催した、冷凍食品とアイスクリーム食べ放題のレストラン「チン!するレストラン」は、予約開始2日目にチケット完売、キャンセル待ちが1日最大8,000人を超える大盛況裏に終了した。その第2弾が2023年6~7月に大阪市で2週間にわたり開催された。(月刊マーチャンダイジング2023年9月号より転載)

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2,000円で90分250品目が食べ放題

7月某日。大阪市梅田の高架下にあるイベント会場「OSAKA FOOD LAB」前には、開場を待つ「チン!するレストラン」の来場者が長蛇の列をつくっていた。

開場前に長蛇の列。期待の高さがうかがえる

同イベントは、2,000円で200種類の冷凍食品ならびに50種類のアイスクリームが90分間食べ放題というもの。2022年10月に東京・秋葉原で開催され、大好評を博した同イベント。その第2弾ということもあり、チケットは予約のみで完売。キャンセル待ちの問い合わせも多い。

来場客層は老若男女バラバラで、大学生のグループ、近隣のオフィス勤めのように見受けられる団体、老夫婦など、バラエティに富んでいる。

集客は多くがネットの口コミからだという。SNSで見て、インフルエンサーの書き込みを見て、チケットを予約したという来場者が多い。分け合って食べるために、複数名で来店するグループ客が多く、土日は家族連れも多いという。

高架下の高い天井が印象的な会場。フードビジネスに特化したインキュベーションスペースだ

席数は90席ほど。会場にはリーチインの冷凍庫が14台、平冷凍ケースが5台設置されており、様々な冷凍食品が陳列されている。パスタ、ハンバーグなどのトップボードが掲げられている冷凍庫から、お客が吟味し、次から次へと冷凍食品を手に取っている。選んだ冷凍食品を加熱コーナーでセルフサービスでレンジアップして、席で食べるという流れ。

冷凍ケース前で商品を吟味して手に取り、セルフでレンジアップして食べるスタイル

平均して1人当り冷凍食品4~5個+アイスクリームという食べ方をしているそうだ。加熱コーナーには電子レンジ20台を用意。協賛のシャープの最新型ウォーターオーブンレンジ「ヘルシオ」が並んでいる様子は壮観だ。

シャープのレンジ「ヘルシオ」が設置された加熱スペース。セカンド冷凍庫なども訴求していた

店長の青井愛海さんによれば「普段食べられないもの、食べたことがない新商品、少し高額な商品、珍しいものなどを手に取る人が多いようです。ハンバーグであれば『ザ★』シリーズ(味の素冷凍食品)、パスタであれば『青の洞窟』(日清製粉ウェルナ)などが人気です」

夏本番直前の気温が高い時期ということもあり、主食系の冷やし中華や、カレーも人気。「ふたを開けずにレンジにかけるだけで簡単に食べられるプーパッポンカレー(いなば食品)や、冷やし中華(ニチレイフーズ)もよく出ています」と青井さん。少し解凍した状態で食べられる果汁漬けのカットフルーツ「くちどけフローズンシリーズ」(アオハタ)も多く出ているという。

メーカーの「愛」を伝えるライブキッチン

ライブキッチンを、商品の特長やオススメの調理法や食べ方などを消費者へ伝える場として活用。

メーカー提案の食べ方、飲み方をダイレクトにお客に伝えられるのは同イベントの魅力だ。「ライブキッチンスペース」では各メーカーが日替わりで一部商品を調理し提供。特徴やオススメの調理法や食べ方など、「商品への愛」を消費者へ伝える場として活用している。

この日は「ICE BOX」(森永製菓)を「氷結」(キリン)に入れて飲む、ハーゲンダッツの季節限定商品「濃桃~こいもも~」を、練って食べるなどの提案が行われていて、実際に試しているお客の姿も散見された。

本イベントを仕掛けたのは、食品総合卸売大手の日本アクセス。同社はより多くの消費者に冷凍食品のおいしさやバラエティの豊富さ、利便性、特性を知ってもらい、さらなるフローズンカテゴリーの需要喚起・認知拡大を目指し同イベントを実施したという。

実際に会場を見回すと、多くの来場者がたくさんの冷凍食品をテーブルに広げ、分け合って和気あいあいと食べる様子がうかがえた。冷凍食品が、単なる「長期保存がきく、腹を満たすための食品」というポジションから、「おいしさで満足できる、とっておきの一品」へ進化しつつあることを感じる景色だ。

冷凍食品のセルフ解凍によるイートイン業態には可能性があると感じさせるイベントであった。

著者プロフィール

MD NEXT編集部

お江戸日本橋で日夜売り方・買い方を研究し続けています。コンビニマニア、ECマニア、100均マニアなどなどが集まる、日本で一番「お店」のことが好きで研究し続けている編集部です。