新しい売り方調査隊!

食品ロスを削減するフードシェアリングアプリ「TABETE」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、フードシェアリングアプリ「TABETE」です。店頭で売り切るのが難しい食事を「レスキュー(購入)」することで、店舗と消費者と社会にとってメリットをもたらす、「TABETE」のフードシェアリングサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

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「捨てられてしまう食べ物を救うフードシェアリングアプリ「TABETE」

食品ロスとは、まだ安全に食べられるのに、捨てられてしまう食べものを指します。農林水産省の平成29年度推計によると、日本の食品ロスの年間量は約612万トンと算出されています。

フードシェアリングアプリ「TABETE」は、小売店や飲食店で出る「まだおいしく食べられるのに売り切るのが難しい食事」と、それをレスキュー(購入)してくれる消費者をつなぐプラットフォームです。

アプリで注文・決済まで。あとは店舗にレスキューにむかうだけ

TABETEでは、レスキューが必要な食事の検索から注文、決済までをアプリで済ませることができます。決済が終わったら、店舗で商品を受け取るだけ。シンプルな手順です。

1.アプリを開き、現在地や地名から近くでレスキューを求めている店舗を検索します。

店舗は一覧で検索できるほか、地図上でも検索が可能です。

2.店舗詳細を開くと、「現在のレスキュー依頼」が表示されます。メニュー詳細画面には、TABETEへの出品理由が掲載されています。

「天候やその日の状況によって余ってしまうことがあり、TABETEを活用して少しでも食品ロスを軽減したい」という思いから出品したことが書かれています。

商品の内容について書かれた詳細画面。

3.メニューをタップすると購入画面になります。数量を選び、「レスキューにむかう!」をタップします。

購入したいメニューを選びます。

4.引き取り時間を設定して、その場でクレジットカード決済をします。

アプリ内で支払いまで完結できるので、あとは受け取るだけです。

5.指定の時間になったら店舗へ。「お店に着きました」をタップして、引き取り画面を表示して店舗スタッフに提示します。

「お店に着きました」の次の画面を店舗スタッフに確認してもらい、商品を受け取ります。

会計レジでTABETEから購入したことを伝えると、店舗スタッフが「レスキューですね!」と笑顔で商品を渡してくれました。

その後、アプリ上で商品の受け取りをタップすると、今回のレスキューで獲得した経験値が表示されます。経験値によって「ヒーロー見習い」などランク付けがされるといったゲーミング要素を含んでいます。

社会問題である食品ロスに楽しく参加できる工夫がされています。

食品をレスキューすることができました!今回購入した「本日のお楽しみパンセット」「本日の甘いパンセット」は、それぞれ1,000〜1,200円相当のパン(4〜5個)が680円で出品されていました。パンの種類は選べませんが、消費者にとってはふだんあまり購入することのないパンを食べて幅が広がる、店舗にとっては消費者に商品を知ってもらう機会になります。

店舗・消費者・社会それぞれにメリットをもたらすフードシェアリング

TABETEを活用することは、店舗・消費者・社会それぞれにメリットをもたらします。

消費者は、通常よりも安価で食事を購入できるほか、食品ロスに貢献した満足感が得られます。食品ロスの削減は環境への影響はもちろん、廃棄にかかるコストの削減にもつながることから、社会へのメリットも少なくありません。

そして、店舗にとっては食品ロスが削減できた分、利益への転換や処分にかかるコストがカットできる、環境に配慮することで社会的責任を果たせる、アプリの活用で新規顧客を獲得できるといった利点があります。

飲食店だけでなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店舗でも、食品ロスは問題となっています。フードシェアリングアプリは、こうした課題を解決する一助になるかもしれません。

著者プロフィール

MD NEXT編集部

お江戸日本橋で日夜売り方・買い方を研究し続けています。コンビニマニア、ECマニア、100均マニアなどなどが集まる、日本で一番「お店」のことが好きで研究し続けている編集部です。