物流施設のトラブルを防止し安定稼働を実現!モノタロウのクラウドカメラ活用術

製造業や工事業などで使用する間接資材2,000万点以上を取り扱うECサイト「monotaro.com」。登録顧客数857万超(2023年6月末時点)、13年連続で最高益を更新するなど勢いが止まらない同サイトを運営するのが、株式会社MonotaROです。全国に複数の主要物流拠点を持つ同社では、施設内やラインの稼働状況を定点監視するためにカメラを設置。防犯以外にも、生産性向上や業務効率化、作業者の安全性担保といった用途に活用しています。本記事では小売と物流における「映像による現場の課題解決」についてお話をうかがいました。

セーフィー現場DXサイトより転載/元記事はこちらから

出庫拠点に定点カメラを設置、オペレーション業務の最適化を図る

モノタロウの出庫拠点からは、1日に数万ケースの商品が出庫されます。万が一出庫拠点でスタック(滞留)が発生すると、お客様への荷物の到着が遅れてしまいかねません。そのようなことを防ぐため、映像で確認して管理することで、日々のオペレーション業務改善に生かしています。

一例を挙げると、物流の工程は主に、入荷・棚入れ・梱包・出荷があります。その日のセールの予定に応じて人員の配置を計画しますが、実際に業務が始まると、まず映像で現場の状況を確認し、必要があれば倉庫の現場担当とすぐに連絡を取って応援人員を送るなど、映像を活用して工程の作業が滞らないよう柔軟に対応しています。

物流センターの管理本部では、倉庫内のカメラの映像を、全社員がみられるようにしています。当社の物流拠点は広大なので、映像で確認することで現場に行く手間を省いています。

無人搬送ロボットが行きかう、広大な保管エリア

設備の「チョコ停」が商品の出荷に大きな影響を及ぼす

物流倉庫内では、安全管理にカメラを利用するケースもあります。倉庫内でトラブルが起きた際の検証・解決・改善に動画を活用。特に「チョコ停」の原因を特定し、解決するためにカメラの映像が役立っています。

「チョコ停」とは一時的に設備が停止するトラブルを指します。中でも多いのは、コンベアの異常停止トラブルです。

たとえば、商品はコンテナに納められコンベアで運ばれていくのですが、重心が悪かったり偏っていたりするとコンテナが傾いてしまうことがあります。その異常をセンサーが感知すると、ラインが停止します。その場合、傾いたコンテナを元に戻すなどすれば、比較的短時間で復旧できます。

機械の故障やシステムがダウンして数時間動かなくなるような大きな停止ではなく、数分のあいだ機械やシステムが停止することを「チョコ停」と呼んでいます。

総延長12kmにも及ぶコンベア(笠間DC)。チョコ停が与える影響は小さくありません。

「チョコ停」は、1日のうちに何度か発生することもあれば、まったく発生しないこともあります。発生頻度が出荷量に比例するというわけでもなく、トラブルが起こる場所もまちまちという厄介な存在です。

1つひとつの「チョコ停」は小さなものだったとしても、コンテナは絶えず流れているので、他の工程への影響は免れません。設備が停止し滞留が発生すると出荷に大きな影響を与えることもあり、物流の効率性を阻害する大きな要因となります。

「チョコ停」は発生時間も場所もバラバラです。それを人が絶えず見守ることは非効率なため、カメラを設置して設備の稼働を見守ります。ただし、物流センターは面積が広大なので、すべて網羅できるようカメラを設置すると膨大な数になってしまいます。そこで、ラインの合流点などの重要箇所や人の目が届きにくい箇所などに絞って定点カメラを導入しています。

さらに、定点カメラとは別にコンパクトなウェアラブルカメラも併用しています。ウェアラブルカメラ「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」はコンパクトで画質がよく、バッテリー内蔵で電源も不要なため、どこにでも簡単に設置が可能です。設備の稼働状況を見守るというよりは、チョコ停の発生原因を探るためにウェアラブルカメラを活用しています。

チョコ停が発生しやすい箇所にSafie Pocket2を設置。原因特定に活用しています。

カメラを活用し、「起こりやすい箇所」でのチョコ停を未然に防止

設備管理担当の使命は、ラインを「止めない」「すぐに復旧させる」「次に同じトラブルを起こさない」ことです。万が一「チョコ停」が発生した場合には、可能な限り早く復旧させなければなりません。また、同じ原因で「チョコ停」が起こらないよう防止する必要があります。チョコ停は同じ事象によって引き起こされることが多いので、トラブルが起きた箇所にウェアラブルカメラを設置し、「チョコ停」が発生した前後の映像を捉えることによって原因を探ります。

ウェアラブルカメラは、設置のための特別な設備が不要で、ラインに影響を与えることもなく、撮りたいところを撮影できます。

広さ90,400㎡、延床面積約56,200㎡にも及ぶ物流施設「笠間ディストリビューションセンター」で設備管理を行う齋藤さん。

実際にカメラを活用して「チョコ停」を防止した次のような例があります。ある時、装置のエレベーターにコンテナが流れず、自動停止するトラブルがありました。この現象は常に起きるわけではなく、時々発生する程度で原因がつかめません。そこで、定点カメラの映像をもとに該当箇所にウェアラブルカメラを設置。しばらくして同じ現象が発生した際、その瞬間を映像に収めることに成功しました。この映像を装置のメーカーにも見てもらい検証を重ねた結果、冬の寒さで装置の金属やゴムがわずかに縮み、装置にズレが生じたことでセンサーが異常を感知したことがわかりました。

「モノの流れ方が悪かった」「装置そのものに不具合があった」「プログラム上問題があった」など、トラブルの原因は多岐にわたります。モノタロウではこれまで、そうした原因の特定を「恐らくこうだろう」という予測で行っていました。ウェアラブルカメラの設置後は、トラブルが起きたときの一部始終が映像で記録できるようになったため、しっかりと証拠をもって原因の特定が行えるようになりました。メーカーとのやりとりもスムーズになるなど、ウェアラブルカメラは今やトラブルの原因追求に欠かせないツールとなっています。

倉庫内部の様子をくまなく映像でチェックする

「チョコ停」に限りませんが、映像によって原因が突き止められたトラブルはこれまで20件ほどあります。あくまで試算ではありますが、トラブルによってラインが止まっていた時間の作業ロスを金額換算すると80万円程の損害が生じていたと考えられます。もしもカメラの映像がなく、トラブルの原因が突き止められなかった場合には、さらに作業ロスが発生していたはずです。それを防止できたことでより大きな損害を食い止めることができました。

なお、カメラの用途は物流施設のトラブル監視・防止だけにとどまりません。防犯対策としても使用しています。モノタロウでは、物流拠点のエントランスをはじめ、危険物保管庫や各種設備やエリアにカメラを設置。本社や各拠点のオフィスでも、エントランスなどの出入り口には必ず設置しています。

労働災害など安全面での活用も視野に。「映像」が持つ可能性

「リアルタイムな映像をリモートで確認すれば、現場に行かずともトラブルを把握し指示を出せるのでは」と話す橋本さん

モノタロウでは今後、カメラを労働災害など安全面でも活用できるのではないかと考えています。笠間ディストリビューションセンターでは、ここで働く作業員を対象に「安全道場」という研修を行い、労働災害の防止に努めています。実際に起きてしまった事故の映像などを、生の教材として使うことができれば、より安全な作業への教育につながります。また、他の拠点に事例を共有することで、より高い安全意識を保つことができるようになると考えています。

笠間ディストリビューションセンターの橋本さんは以前、地震が発生した際に、センターに設置した定点カメラの映像を自宅から確認したそうです。このとき、リアルタイムな映像をリモートで確認することで、現場に行かずともトラブルを把握し、指示を出せるのではないかと考えました。センターは夜中も稼働しており、社員が出勤していないときにトラブルが起こることもあります。その際リモートで状況を確認できれば、センターに駆けつける頻度が減り、何より、タイムリーな対応が取れるよう改善できるのではないか。そんな可能性を感じています。

 

株式会社MonotaRO 概要

「資材調達ネットワークを変革する」を企業理念とし、B2B向け間接資材のEC企業として2000年に創業。製造業を中心にさまざまなお客様にご利用いただいています。品揃え・在庫商品を拡充、検索システムの向上を目指すほか、搬送ロボットの導入やオペレーションの改善を進め、効率的な物流体制を構築しています。

取材協力
株式会社MonotaRO
笠間ディストリビューションセンター 物流部門
設備管理グループ グループ長 齋藤数人さん、橋本正美さん

セーフィー現場DXサイトより転載/元記事はこちらから

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バーチャル空間でAIがメイク提案!体験型オンラインストア「KATE ZONE」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、AIがメイクを提案、そのまま商品を購入できるカネボウ化粧品の「KATE ZONE」です。バーチャル空間を複数のゾーンに分け、AIによる顔タイプ分析やメイクのハウツー、ライブコマースなどを提供している「KATE ZONE」でのショッピングを試してみました。(ライター:宮原智子)

AIがメイク提案、そのまま購入。体験型EC「KATE ZONE」

カネボウ化粧品の主力ブランド「KATE」の商品を、オンラインで試して購入できる体験型ECサイト「KATE ZONE」。バーチャル空間でAIを活用した顔タイプ診断やメイクアップ方法の提案をおこない、気に入った商品はその場で購入することができます。

5つのゾーンで化粧品のウインドウショッピング体験

「秘密基地」をコンセプトとしたバーチャル空間は、「LAB」「LIBRARY」「TUNNEL」「STUDIO」「MUSEUM」の5つにわかれ、さまざまなサービスを展開しています。

LAB


AIで顔タイプを診断します。骨格や顔タイプから、自分の顔にあったメイクと商品を提案してくれます。

LIBRARY


KATEの商品の使い方や、メイクのハウツーを検索できます。

TUNNEL


ユーザーの口コミが表示された空間。最新の商品ランキングも掲載されています。

STUDIO


メイク動画やライブコマースで、最新トレンドを発信しています。

MUSEUM


さまざまなメイク画像を閲覧できます。気に入ったメイク画像を選ぶと、アイテムが表示されます。

気になる商品は「Kao Mall」で購入

AI顔タイプ診断や口コミ、ライブコマースなどで気になった商品は、花王のECサイト「Kao Mall」から購入することができます。今回は「LAB」でAI顔タイプ診断をおこない、商品を購入してみました。

1.LABで顔タイプ診断をおこないます。

画面に表示される指示に従って、自分の顔をカメラで撮影します。

2.診断結果が表示されます。

AIによって、目の角度や鼻との位置関係など、細かく診断されます。同時に、おすすめのメイク方法も表示されます。

3.おすすめのアイテムが表示されます。今回はアイメイクを選んでみました。

肌の色味や顔のパーツ位置などからアイテムがおすすめされます。
おすすめされた商品の使い方も同時に表示されるので、「アイテムを購入したけど使い方がいまいちわからずメイクが乗らない」という心配がありません。

4.気に入った商品を購入します。

商品の購入は、花王のECサイト「Kao Mall」でおこないます。リンクをクリックすると商品購入ページに飛びます。

5.通常のECサイトのようにカゴに入れ、決済をおこないます。

商品はここで初めてカートに入ります。通常通り購入手続きを済ませて、買い物は終了です。

商品購入時、Kao Mallにリンクする動線が、少し手間に感じてしまいました。KATE ZONE上でカートに入れて決済できれば、カートに入れる前の離脱を防げるだけでなく、「秘密基地」のコンセプトやバーチャル空間への没入感をより活かせそうです。

AIのアドバイスの細かさでSNSでも話題に

顔タイプ診断は、AIが顔の特徴点を84の座標から測定し、特徴を分析することから、カラーだけでなくメイクの入れ方まで、細かくアドバイスしてくれます。SNSでも、KATE ZONEに好印象を持つ投稿が多く見られました。

近年、AIによる顔タイプ診断から似合うメイクを提案するサイトは増えています。その中で、「あなたの顔」についての情報をいかに多く届けられるかが差別化のポイントとなるかもしれません。KATE ZONEは「自分の顔って、こうなんだ!」という気づきがたくさん得られる点で、一歩リードしている印象でした。

「単なる消費」から「資産」へ。新しい応援の形を作るトークン発行型クラウドファンディング「FiNANCiE(フィナンシェ)」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、次世代のクラウドファンディング「FiNANCiE(フィナンシェ)」です。ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディングで、「ファン以上のファン」を作る、FiNANCiEのサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディング「FiNANCiE」

「世の中の課題を解決するこんなモノやサービスを作りたい」といったアイデアを叶えるために、インターネットを介して不特定多数の人(クラウド)から資金調達(ファンディング)を行う、クラウドファンディング。

起案者のアイデアに共感した人たちが、応援の気持ちを込めて資金を出し、「モノ」や「体験」、「サービス」などのリターンを得るこの仕組みを、ブロックチェーン技術を利用したトークンを発行することで実現したのが「FiNANCiE(フィナンシェ)」です。

プロジェクトの起案者(オーナー)は、トークンと呼ばれるポイントのようなものを発行します。オーナーを支援するファン(サポーター)は、トークンを購入して、プロジェクトを支援するメンバーとなります。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、インターネット上の取引を記録する技術を言います。ブロックと呼ばれる単位のデータを鎖のようにつなげて、データを保管するため、「ブロックチェーン」と呼ばれます。

ブロックチェーンではネットワーク上にある端末同士を接続して、すべての取引履歴を皆で共有するため、データの改ざんが難しく、システムダウンが起きづらいことが特徴です。

「トークン」を購入してオーナーを応援

「ブロックチェーン」と聞くだけでハードルが高いイメージを持つかもしれませんが、FiNANCiEは従来の金銭でのクラウドファンディングと変わらない感覚でプロジェクトの立ち上げやトークンの購入が可能です。

FiNANCiEのアプリをダウンロードし、アカウントを作成したら、自分が応援したいプロジェクトを検索する。

プロジェクトの検索は、キーワード検索のほか、カテゴリ検索や「注目」「おすすめ」などから探せます。

プロジェクトを選ぶと、オーナーのプロフィールやメッセージ、活動計画、獲得トークン数に応じたリターン(特典)などが確認できます。

一例はオーナーは沖縄の農業生産者。実際にプロジェクトが動き出してからは、どんなことをしているか、活動報告も掲載されます。

「このプロジェクトを応援したい」と思うものが見つかったら、トークンの購入へ進みます。

リターンは「マーケット」のタブで確認できます。任意のコースを選んで、トークンの購入に進みます。多くのプロジェクトでは、最小単位が5000pt(5,000円)、10,000pt
(10,000円)でした)

トークンの購入は、必要口数を選び、金額を確認して決済するだけ。

決済方法は、クレジットカード、コンビニ払い、銀行振込などが選べます。

購入したトークンは、マーケットで取引することが可能です。

株取引と同じように、マーケットで売買ができます。サポーターはトークンを資産として保有する楽しみも体験できます。

トークンを購入すると、サポーターはオーナーが立ち上げたコミュニティへの参加が可能になります。「資金を提供して、特典をもらって終わり」ではなく、プロジェクトをよりよいものにするためにはどうしたらいいか、コミュニティの中でともに考え、作りあげていけるのが特徴です。

応援が資産につながる、新しいファンマーケティングの形

トークンを運用することで、オーナーにとっては資金調達ができるだけでなく、サポーター=ファンに向けたコミュニティ活動が可能となります。サポーターにとっても、コミュニティ活動を通じて直接プロジェクトにかかわることができたり、トークンの価値が上昇することで資産が増えたりといったメリットが受けられます。

従来のクラウドファンディングは「一度購入したら終わり」で、単なる消費に終わるケースが少なくありませんでした。FiNANCiEのトークン発行型クラウドファンディングは、応援が資産につながる、新しいファンマーケティングの提案といえるでしょう。

現状、FiNANCiEでトークンを発行しているオーナーは、スポーツチームやアーティストがほとんどですが、農業や畜産、酒類メーカーなど、小売関連の業界も参入しつつあります。人口減で市場が縮小する中、企業にとって「ファン作り」は欠かせない要素となりそうです。ファンの「体験」を向上させる取り組みとして、こうした手段も一考だと感じる売り方調査隊でした。

食品ロスを削減するフードシェアリングアプリ「TABETE」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、フードシェアリングアプリ「TABETE」です。店頭で売り切るのが難しい食事を「レスキュー(購入)」することで、店舗と消費者と社会にとってメリットをもたらす、「TABETE」のフードシェアリングサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

「捨てられてしまう食べ物を救うフードシェアリングアプリ「TABETE」

食品ロスとは、まだ安全に食べられるのに、捨てられてしまう食べものを指します。農林水産省の平成29年度推計によると、日本の食品ロスの年間量は約612万トンと算出されています。

フードシェアリングアプリ「TABETE」は、小売店や飲食店で出る「まだおいしく食べられるのに売り切るのが難しい食事」と、それをレスキュー(購入)してくれる消費者をつなぐプラットフォームです。

アプリで注文・決済まで。あとは店舗にレスキューにむかうだけ

TABETEでは、レスキューが必要な食事の検索から注文、決済までをアプリで済ませることができます。決済が終わったら、店舗で商品を受け取るだけ。シンプルな手順です。

1.アプリを開き、現在地や地名から近くでレスキューを求めている店舗を検索します。

店舗は一覧で検索できるほか、地図上でも検索が可能です。

2.店舗詳細を開くと、「現在のレスキュー依頼」が表示されます。メニュー詳細画面には、TABETEへの出品理由が掲載されています。

「天候やその日の状況によって余ってしまうことがあり、TABETEを活用して少しでも食品ロスを軽減したい」という思いから出品したことが書かれています。

商品の内容について書かれた詳細画面。

3.メニューをタップすると購入画面になります。数量を選び、「レスキューにむかう!」をタップします。

購入したいメニューを選びます。

4.引き取り時間を設定して、その場でクレジットカード決済をします。

アプリ内で支払いまで完結できるので、あとは受け取るだけです。

5.指定の時間になったら店舗へ。「お店に着きました」をタップして、引き取り画面を表示して店舗スタッフに提示します。

「お店に着きました」の次の画面を店舗スタッフに確認してもらい、商品を受け取ります。

会計レジでTABETEから購入したことを伝えると、店舗スタッフが「レスキューですね!」と笑顔で商品を渡してくれました。

その後、アプリ上で商品の受け取りをタップすると、今回のレスキューで獲得した経験値が表示されます。経験値によって「ヒーロー見習い」などランク付けがされるといったゲーミング要素を含んでいます。

社会問題である食品ロスに楽しく参加できる工夫がされています。

食品をレスキューすることができました!今回購入した「本日のお楽しみパンセット」「本日の甘いパンセット」は、それぞれ1,000〜1,200円相当のパン(4〜5個)が680円で出品されていました。パンの種類は選べませんが、消費者にとってはふだんあまり購入することのないパンを食べて幅が広がる、店舗にとっては消費者に商品を知ってもらう機会になります。

店舗・消費者・社会それぞれにメリットをもたらすフードシェアリング

TABETEを活用することは、店舗・消費者・社会それぞれにメリットをもたらします。

消費者は、通常よりも安価で食事を購入できるほか、食品ロスに貢献した満足感が得られます。食品ロスの削減は環境への影響はもちろん、廃棄にかかるコストの削減にもつながることから、社会へのメリットも少なくありません。

そして、店舗にとっては食品ロスが削減できた分、利益への転換や処分にかかるコストがカットできる、環境に配慮することで社会的責任を果たせる、アプリの活用で新規顧客を獲得できるといった利点があります。

飲食店だけでなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店舗でも、食品ロスは問題となっています。フードシェアリングアプリは、こうした課題を解決する一助になるかもしれません。

社会課題を「知る」「買う」ことで解決。インスタ発のECサイト「エシカルな暮らし」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、SDGsやサステナブルに関連する商品を扱う通販サイト「エシカルな暮らし オンラインショップ」です。もともとInstagramで社会問題を扱うSNSメディアとしてスタートした「エシカルな暮らし」の売り方を試してみました。(ライター:宮原智子)

Instagram発のECサイト「エシカルな暮らし オンラインショップ」

「エシカルな暮らし オンラインショップ」は、SDGsやサステナブルに関連する商品を扱う通販サイトです。

一見、一般的なECサイトと変わらないように見える「エシカルな暮らし オンラインショップ」ですが、ユニークな点はSNS発のブランドであるところ。無理なく楽しく、人・動物・地球にやさしい生活を実践するためのヒントが学べるInstagramアカウント「エシカルな暮らし」(@ethikura、フォロワー数3.9万人)から生まれたショップです。

たとえば食品ロス問題など、人々の生活に密着した身近な問題を取り上げ、解決するためのアイデアや行動を提案しています。

Instagramの「エシカルな暮らし」は、環境問題や労働問題、人権問題といった社会問題をわかりやすく解説するSNSメディアです。Instagramならではの画像をメインとした発信で、若い世代が社会問題を身近に感じられる取り組みをしています。

その一環としてECサイトを運営しており、「知る」だけでなく「買う」ことで社会問題の解決に貢献しようとしています。

SDGsやサステナブルに関連する商品を取り扱い

廃棄予定のりんごの皮(アップルレザー)を使って作られた財布。

「エシカルな暮らし オンラインショップ」が取り扱っているのは、ファッション小物やコスメ、食品など。海洋プラスチックやリンゴの皮からできたバッグ、洗って使えるシリコンパックなど、いずれもSDGsやサステナブルに関連した商品ばかりです。

洗って繰り返し使える食品保存容器。ゴミの減量に貢献。

Instagramでのメディア展開、ECサイト展開だけでなく、期間限定のポップアップイベントを開催するなど、社会問題へのタッチポイントを増やす活動にも取り組んでいます。

ただお店の情報を発信するのではなく、メディアとして活用する

「北欧、暮らしの道具店」のように、コンテンツとオンラインショップを融合させて成功している例がある中で、近年ではSNS発のオンラインショップも増加しています。SNSでさまざまな発信を続ける中でフォロワーを獲得し、その世界観のままブランドを立ち上げるような例です。特に、ファッションブランドに多く見られます。

Instagramの投稿を横にスクロールするかたちで社会問題についての解説がされています。

「エシカルな暮らし」はInstagramを活用したSNSメディアからスタートし、「知る」だけでなく「買う」ことで社会問題の解決に貢献しようとショップの開設に至りました。

SNSの中でもInstagramは、
・画像による視覚的な訴求力があるため、ECとの親和性が高い
・フォロワー数がECサイトの集客につながる
といった効果が期待できます。

SNSをただショップ情報の発信だけに活用するのではなく、オウンドメディアのような使い方をすることで、よりショップやブランドの世界観や考え方を伝えることができます。こうした方法で消費者の共感を呼んだり、ファンを増やしたりする売り方もあるんだな、と思った調査隊でした。

店頭でオンライン接客。対面と遜色ない質の「遠隔視力測定」を提供するOWNDAYS

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、メガネの小売大手「OWNDAYS」です。OWNDAYSでは店舗と本社をオンラインでつなぎ、遠隔で顧客の視力測定を実施しています。近年、デジタル化が進むメガネ小売業界。OWNDAYSの遠隔視力測定を試してみました。(ライター:宮原智子)

オンラインで視力測定を実現。「OWNDAYS」の遠隔視力測定

メガネを購入する際に必須となる、視力測定。多くの店舗では、測定専門のスタッフが機器を用いて、お客ひとり一人に対面で対応しています。

メガネの小売大手「OWNDAYS」では、東京本社のコントロールセンターと各店舗をオンラインでつなぎ、「遠隔視力測定」を実現。店舗に専門スタッフを置くことなく、オンラインでお客の視力測定を行います。

視力測定スタッフとモニター越しで視力測定

店頭で気に入ったフレームを見つけたら、視力測定をします。このとき、多くのメガネ店では、視力測定専門のスタッフが機器を用いて対面で視力測定を行います。OWNDAYSでは、視力測定ブースに縦長の大型モニタとスピーカーを設け、東京本社のコントロールセンターにいる視力測定スタッフとオンラインで対話します。

気に入ったフレームが見つかったら店舗スタッフに声をかけ、店舗スタッフが画面の向こうにいる視力測定スタッフを呼び出します。お客は視力測定スタッフの指示で、店頭に設置された視力測定機器で視力測定をしていきます。

遠隔視力測定の様子は、公式サイトに掲載のこちらの動画で詳しく知ることができます

コントロールセンターと店舗との連携もスムーズで、対面と遜色ないクオリティ

実際に遠隔視力測定を利用してみましたが、視力測定機器をのぞき込みながらでも専門スタッフの声はよく聞こえ、すぐ隣にいるのと遜色なく測定することができました。

また、測定結果に基づいてレンズの度数を決める際にも、いつ、どんなシーンで使うのかを丁寧にヒアリングしてくれ、「その用途なら強めに」「こんな場合にはもう少し度数を弱めにしたほうが使いやすいかも」といったアドバイスがありました。

レンズの度数を決める際には店舗スタッフが同席し、実際に度数を2度上げたらどうなるか、下げたらどんな見え方になるかをその場で確認できます。画面越しに専門スタッフとスムーズに連携し、途切れることなくサービスを展開。

オンラインでのやり取りとなると、タイムラグが発生したり、現地スタッフとの連携でもたつきがあったりするイメージを抱きがちですが、そうしたストレスは一切感じられませんでした。

メリットは顧客側だけでなく、店舗側にもあります。

遠隔での視力測定中は顧客と専門スタッフとは非接触なため、新型コロナや季節性インフルエンザなどの感染症が流行っていてもスタッフの安全が守られます。また、視力測定はセンターの専門スタッフに任せて、店舗スタッフは接客に集中することができます。

デジタル化で顧客の利便性を促進

昨今、メガネ小売店のECサイトではAR技術を用いたメガネのバーチャル試着が可能となっていますが、OWNDAYS公式サイトでももちろん、こうした技術が用いられています。

公式サイトではほかにも、各店舗スタッフが動画によるおすすめ商品を紹介する施策を打つなど、デジタルをうまく活用している印象です。

アップサイクル商品の販売でフードロスの解決に取り組む「Upcycle by Oisix」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、アップサイクル商品を開発・販売するフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」。フードロス問題に取り組むOisixの新ブランドです。食品を扱う企業が避けては通れないフードロス問題、Oisixではどんな売り方で立ち向かっているのでしょうか。(ライター:宮原智子)

フードロス問題に取り組むOisixの新ブランド「Upcycle by Oisix」

食品を扱う企業にとって、フードロスは避けて通れない問題です。そんな中、食品宅配を手がけるOisixでは、アップサイクル商品を開発・販売すフードロス解決型ブランドとして、2021年7月に「Upcycle by Oisix」を立ち上げました。

バナナの皮やブロッコリーの茎、梅酒で残った梅を使ったドライフルーツなど、従来廃棄されてきた食材を使った商品を開発し、販売。立ち上げから約1年間で、約46トンのフードロス削減を達成しています。

売り方はオーソドックス。Oisixまたはブランドページでオンライン販売

Upcycle by Oisixの商品は、ブランドサイトまたはOisixのサイトで販売しています。

サステナブル、アップサイクルをイメージしてか、ブランドサイトはナチュラルな印象。

商品ページには、この商品を購入することでどれくらいのフードロス削減に協力できるか、数値で表示しています。「ブロッコリーの茎」のチップスは約300gのフードロス削減に貢献。エシカル消費を意識するユーザーへの訴求となります。

そのまま食べるだけでなく、「スープのトッピング」など、アレンジのアイデアも記載されています。

商品ページをスクロールすると、商品の開発ストーリーが掲載されています。

商品のストーリーを紹介することで、その商品がどんな生産者のどんな課題を解決しているのかを見えるようにしています。

「廃棄されてしまうもの」がおいしく復活

注文した商品が届きました。ブロッコリーの茎チップス、ゆず皮のドライフルーツ、梅酒の残りを梅を使ったドライフルーツ。3つの商品が段ボールに梱包されています。

梱包は非常に簡素です。パッケージには、環境にやさしい素材が使用されています。

商品のパッケージはブランドイメージに合わせて統一されています。ブロッコリーの茎は野菜加工会社で作られたもの。梅酒ドライフルーツは和歌山県で製造されています。それぞれ、本来廃棄するはずだった野菜やフルーツを加工して、Upcycle by Oisixブランドの商品として販売されています。

Oisixの安全基準を満たし、かつトレーサビリティのある原料を使って商品を製造。Upcycle by Oisixのブランド品質を保っています。

ブロッコリーの茎チップスを実食してみました。一般的な野菜チップスよりも穏やかな塩味で、しっかりと野菜の風味がします。従来廃棄されてきたものだと思うと、実にもったいなく感じられるおいしさです。

内容量は30gで430円。サステナブルに関連する商品は価格が高くなりがちです。

サステナブル領域で、小売主導でのマーチャンダイジングを実現

Upcycle by Oisixのユニークな点は、単純に各メーカーから仕入れた「サステナブルな商品」を集めたプラットフォームになるのではなく、自らが主導して各メーカーと商品を開発し、販売を行っているという点です。

製造は複数メーカーが行いつつ、パッケージングなどはOisixが主導して行っている、小売業ならではの商品開発事例といえるでしょう。

 

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豊富なメニューと使いやすい注文画面。ドイツ発ミールキットサービス「HelloFresh」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、ドイツ発のミールキットサービス「HelloFresh」です。欧米を中心に16カ国で展開してきたHelloFreshが、2022年4月より日本に上陸。世界各国の人気メニューを提供する「HelloFresh」のミールキットサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

ドイツ発のミールキットサービス「HelloFresh」

HelloFreshは、ドイツ発のミールキットサービスです。欧米を中心に16カ国に展開しており、2021年時点でアクティブユーザーは世界で約720万人。累計約10億食分のミールキットを提供しています。2022年4月には17カ国目として、アジアで初めて、日本に上陸しました。

特徴は、ヘルシーなメニューとバラエティの豊富さ。普段の料理ではあまり使うことのないスパイスを使って、和食・洋食・エスニック料理などさまざまなレシピを体験できます。展開している先の国々で人気があるメニューもラインナップに組込まれており、非日常感のある食卓を演出することも可能です。

画面の操作が簡単。梱包は「エコ」を意識

1.はじめに、プランを選択します。ミールプランを「定番」「ファミリー」「低カロリー」から選び、続いて数量を選びます。数量は「2人前」と「4人前」から選べます。

2人前、4人前と、家族の人数にあわせて注文できるのが嬉しい。

2.次に、レシピを選びます。3食分〜5食分を選びます。

メニューは週替わり。10種類のほどのメニューから3〜5食分を選択する。

3.レシピを選択したら、支払をします(支払操作は初回のみ)。

価格は2人前3食分で5,190円、4人前3食分が9,390円(送料・税込)。2人前3食分の注文では、1食分が810円とやや割高に感じます。

4.ミールキットはHalloFreshの段ボールに入って、要冷蔵で届きます。

要冷蔵食品は不織布製の保冷バックに入って配達される。再利用できる素材である点が欧州発らしい。

5.各レシピに使用する食材は、レシピ番号に対応した紙袋にまとめられて届きます。

野菜や肉はカットされていない状態で配達される。

HelloFreshは、マイページからレシピの変更や配達のスキップ・キャンセルの操作が簡単に行えます。画面がシンプルなので、「スキップにはどこを押したらいいんだっけ…」と迷うことがありません。

1食分がやや割高だが、UIのよさとメニューの豊富さは魅力

届いたミールキットを使って、ビーフストロガノフを作ってみました。ビーフストロガノフ、手がかかりそうで挑戦したことのないレシピでしたが、食材をカットする時間を含めて20分程度。大人も子どもも満足して食べられる味わいにできあはりました。

別のミールキットサービスには、食材がすでにカットされた状態で提供されるものが多く、当初はカットされていない食材が届く戸惑いがありました。実際調理してみると、それほど手間に感じなかったことと、野菜を新鮮なまま調理できる分、料理がおいしく感じられます。

操作画面のUIのよさとメニューの豊富さは魅力的ですが、1食分はやや割高に感じます。その点で競合との差をどう埋めるかが、今後のポイントになりそうです。

ドラッグストア監修のバランス栄養食が冷凍便で届く「スギサポdeli」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、スギ薬局の食事宅配サービス「スギサポdeli(スギサポデリ)」です。スギサポdeliは、管理栄養士が監修した栄養バランスのよい食事を冷凍便で届けるサービス。「スギサポdeli」の冷食宅配サービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

栄養バランスのよい食事を冷凍で「スギサポdeli」

コロナ禍で中食の需要が高まり、栄養バランスのよい食事を冷凍で届ける冷凍宅配サービスが定着しつつあります。その中で、今回ご紹介するのはスギ薬局が手がける食事宅配サービス「スギサポdeli」です。

スギサポdeliは、管理栄養士が栄養価を計算して作成した栄養バランスのよい食事が冷凍便で届きます。届いた食事は食べたいときに電子レンジであたためるだけ。食事制限が必要な人や検査数値の改善を目指す人をはじめ、「食べる」ことで健康な体づくりがしたい人をサポートします。

Webで注文、1回で7食分が届く

1.トップ画面でお届けメニューを選びます。

メニューは、「ヘルシーバランス食(塩分カロリー調整食)」「たんぱく調整食」「やわらか食」のほか、具材付き冷凍麺、具だくさんスープから選ぶことができます。

「塩分・カロリー調整」「たんぱく調整」「やわらか食」と、健康の悩みにあわせて3つのコースが用意されています。

各コース、メインのおかずに副菜が3つを1食分として、7食分が届きます。

2.選んだメニューをカートにいれて、会計に進みます。

単発購入のほか、定期購入も可能です。定期コースを選んだ場合、毎回異なるセットが順番に届きます。定期コースは単発購入から5%引きになります。

3.食事は冷凍の状態で届きます。

7食分を保管するには、冷凍庫の中にそれなりにスペースを作る必要があります。

4.食事はレンジであたためればすぐ食べられます。

容器の表面に表示されている温め時間に従って電子レンジであたためます。

今回購入した「ヘルシーバランス食『バラエティセット』」は4,762円(税込)。1食あたり680円ほどです。

同じく、栄養バランスのよい食事を冷凍で宅配する「nosh」は、「6食・8食・10食」から選択でき、注文数に応じて1食当たり599円〜698円(税込)と、価格帯は大きく変わりません。

味わいは、全体的に塩分控えめでやや薄味ですが、メインのおかずはしっかりと風味が感じられ、物足りなさはありません。食事の量は、ふだんからたくさん食べる方にとっては少しボリュームが少なく感じられるかもしれませんが、カロリー調整の目的からはちょうどいいサイズといえそうです。

ふだんの健康づくりをサポート

地域のお客の健康をサポートするため、近年では食習慣について栄養士に相談できるサービスを展開するドラッグストアが増えています。しかし、栄養士のアドバイスどおりに自宅でバランスのよい食事を作るにはハードルが高く、「長続きしない」「そもそも実行できない」といった課題がありました。

スギサポdeliは、管理栄養士に相談した「先」に手が届かないという、ドラッグストアの課題を解決するサービスといえます。

スギ薬局では冷凍宅配のほかに、食事の記録をもとに管理栄養士にチャットで健康相談できるアプリ「スギサポeats」や、歩いた距離に応じてスギサポマイルがたまるアプリ「スギサポwalk」を展開。日常生活の中で無理なく健康改善・維持するサポートをしています。

一連の取り組みは、栄養士が店頭でアドバイスしたことを習慣にしてもらうための「最後の一手」を提供するよい手段だと感じました。

リアル店舗でAIが「似合う服」を提案。新しい買物体験届けるインタラクティブミラー

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、株式会社デイトナ・インターナショナルが展開するセレクトショップ「FREAK’S STORE」名古屋PARCO店に導入されたオリジナルインタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」です。ミラーに搭載されたAIカメラが「似合う」を診断。OMO店舗での新しい買い物体験を試してみました。(ライター:宮原智子)

AIカメラで「似合う」を提案。インタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」

セレクトショップ「FREAK’S STORE」名古屋PARCO店が導入したのは、AIカメラによるアイテムレコメンドやフェイス・パーソナルカラー診断、 ファッションタイプ診断などさまざまな機能を搭載したインタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」です。「本当の”似合う”が見つかる!」をコンセプトに、診断結果からおすすめのファッションアイテムを提案してくれます。

「AIカメラ診断」「星座占い」でファッション提案

インタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」は、店頭中ほどに設置されています。大柄な人もおさまる大型なサイズで、一見ふつうの鏡のようです。この+PLUS MIRRORでは、次のようなことができます。

・AIカメラでお客のコーディネートアイテムを識別しておすすめを提案
・フェイス・パーソナルカラー診断
・12星座マインド診断
・ファッションタイプ診断
・商品タグをスキャンして店舗&ECの在庫確認

AIカメラによるコーディネート識別&提案

AIカメラで撮影した画像を解析して、トップスにはボトムスを、ボトムスにはトップスをといったようにアイテム別におすすめを提案してくれます。

+PLUS MIRRORに立って、AIカメラで全身を撮影します。その日のコーディネートをAIカメラが識別して、おすすめのファッションアイテムを提案します。

フェイス・パーソナルカラー診断

パーソナルカラー診断はマスクを外して撮影します。色味や顔立ちから、自分がどんなタイプの顔をしているのか、詳細な診断結果が得られます。

AIカメラで顔の色を撮影し、パーソナルカラー診断をします。アルゴリズムは、AI身体解析テクノロジーに強みをもつ株式会社Sapeetが提供。顔のつくりや色味から、似合う色や素材・シルエット、髪型、メイクなどを提案します。

12星座マインド診断

診断方法に星座占いが含まれているのがユニーク。ラッキーアイテム、ラッキーカラーという視点でアイテムをおすすめしています。

自分の星座を選んだあと、画面に表示される複数の色の中から直感で気に入った色を選びます。診断結果から、ラッキーアイテムやラッキーカラーが表示されます。

ファッションタイプ診断

異なる2つのコーディネートから、直感で「好き」と思ったほうをタップしていきます。その結果から、おすすめアイテムが提案されます。

+PLUS MIRRORの画面に表示されるコーディネートの中から「お気に入り」を直感で選んでいくことで、潜在的な好みを識別してコーディネートを提案します。

店舗&ECの在庫確認

商品のタグをスキャンすると、商品の詳細画面が表示されます。ここから在庫状況が確認できるほか、QRコードを読み込めばECサイトの商品ページにアクセスできます。

店頭の商品タグをスキャンすると、リアル店舗ならびにECサイトの在庫状況が表示されます。+PLUS MIRRORの画面上に表示されるQRコードからECサイトの商品ページにアクセスして、ECサイトから購入することができます。

診断結果は持ち帰りできる

診断結果は紙でも発行してもらえますが、QRコードにアクセスすれば、気に入った商品をECサイトで購入することができます。「やっぱり買えばよかった」という機会損失を防ぎます。

+PLUS MIRRORで診断された結果は、店頭で紙のカルテとして発行してもらえます。また、+PLUS MIRRORの診断結果画面に表示されたQRコードを読み込めば、スマートフォンからアクセスして振り返ることができます。

スマートフォンでは、診断結果に表示されているファッションアイテムをクリックすると、ECサイトの商品ページにアクセスできます。帰宅後も、ここからアイテムを選んで購入することが可能です。

店頭スタッフがいるからこそAIによるレコメンドが活きそう

スタッフと+PLUS MIRRORとでは、おすすめされる情報量に圧倒的な差があります。

従来型の店舗では、スタッフが店頭にある在庫の中から商品のコーディネートを提案します。一方の+PLUS MIRRORは、店頭だけでなくEC上のアイテムも含め、一度にたくさんのアイテムが提案ができます。

データにもとづいて、+PLUS MIRRORがお客の好みにあわせて絞り込みをするものの、その中から1点、2点を選ぶとしたらどれにするか、どんなコーディネートをするのが正解なのか、「購入前の最後の選択」に悩むお客は少なくないでしょう。

そこで、店舗スタッフの感性が活きてくるのではないか、と感じました。

アパレル企業で広がるOMO店舗

「FREAK’S STORE」では店頭DXが進んでおり、タブレット端末を使ったデジタルポップを展開。スタッフコーディネートのスナップやアイテムのカラーバリエーションを表示して、店舗という限られた空間に奥行きを加えています。

また、店内に複数台設置されたカメラの映像から、「人の動き」を集計・分析。データをもとにオペレーションの改善を行っています。

アパレル企業ではほかにも、オンワードやアダストリアが店舗とECを融合した取り組みを行っています。アパレルに限らず、今後オンライン・オフライン融合の動きはますます加速していくでしょう。各社のOMO戦略に注目していきたいと思います。