店頭でオンライン接客。対面と遜色ない質の「遠隔視力測定」を提供するOWNDAYS

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、メガネの小売大手「OWNDAYS」です。OWNDAYSでは店舗と本社をオンラインでつなぎ、遠隔で顧客の視力測定を実施しています。近年、デジタル化が進むメガネ小売業界。OWNDAYSの遠隔視力測定を試してみました。(ライター:宮原智子)

オンラインで視力測定を実現。「OWNDAYS」の遠隔視力測定

メガネを購入する際に必須となる、視力測定。多くの店舗では、測定専門のスタッフが機器を用いて、お客ひとり一人に対面で対応しています。

メガネの小売大手「OWNDAYS」では、東京本社のコントロールセンターと各店舗をオンラインでつなぎ、「遠隔視力測定」を実現。店舗に専門スタッフを置くことなく、オンラインでお客の視力測定を行います。

視力測定スタッフとモニター越しで視力測定

店頭で気に入ったフレームを見つけたら、視力測定をします。このとき、多くのメガネ店では、視力測定専門のスタッフが機器を用いて対面で視力測定を行います。OWNDAYSでは、視力測定ブースに縦長の大型モニタとスピーカーを設け、東京本社のコントロールセンターにいる視力測定スタッフとオンラインで対話します。

気に入ったフレームが見つかったら店舗スタッフに声をかけ、店舗スタッフが画面の向こうにいる視力測定スタッフを呼び出します。お客は視力測定スタッフの指示で、店頭に設置された視力測定機器で視力測定をしていきます。

遠隔視力測定の様子は、公式サイトに掲載のこちらの動画で詳しく知ることができます

コントロールセンターと店舗との連携もスムーズで、対面と遜色ないクオリティ

実際に遠隔視力測定を利用してみましたが、視力測定機器をのぞき込みながらでも専門スタッフの声はよく聞こえ、すぐ隣にいるのと遜色なく測定することができました。

また、測定結果に基づいてレンズの度数を決める際にも、いつ、どんなシーンで使うのかを丁寧にヒアリングしてくれ、「その用途なら強めに」「こんな場合にはもう少し度数を弱めにしたほうが使いやすいかも」といったアドバイスがありました。

レンズの度数を決める際には店舗スタッフが同席し、実際に度数を2度上げたらどうなるか、下げたらどんな見え方になるかをその場で確認できます。画面越しに専門スタッフとスムーズに連携し、途切れることなくサービスを展開。

オンラインでのやり取りとなると、タイムラグが発生したり、現地スタッフとの連携でもたつきがあったりするイメージを抱きがちですが、そうしたストレスは一切感じられませんでした。

メリットは顧客側だけでなく、店舗側にもあります。

遠隔での視力測定中は顧客と専門スタッフとは非接触なため、新型コロナや季節性インフルエンザなどの感染症が流行っていてもスタッフの安全が守られます。また、視力測定はセンターの専門スタッフに任せて、店舗スタッフは接客に集中することができます。

デジタル化で顧客の利便性を促進

昨今、メガネ小売店のECサイトではAR技術を用いたメガネのバーチャル試着が可能となっていますが、OWNDAYS公式サイトでももちろん、こうした技術が用いられています。

公式サイトではほかにも、各店舗スタッフが動画によるおすすめ商品を紹介する施策を打つなど、デジタルをうまく活用している印象です。

アップサイクル商品の販売でフードロスの解決に取り組む「Upcycle by Oisix」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、アップサイクル商品を開発・販売するフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」。フードロス問題に取り組むOisixの新ブランドです。食品を扱う企業が避けては通れないフードロス問題、Oisixではどんな売り方で立ち向かっているのでしょうか。(ライター:宮原智子)

フードロス問題に取り組むOisixの新ブランド「Upcycle by Oisix」

食品を扱う企業にとって、フードロスは避けて通れない問題です。そんな中、食品宅配を手がけるOisixでは、アップサイクル商品を開発・販売すフードロス解決型ブランドとして、2021年7月に「Upcycle by Oisix」を立ち上げました。

バナナの皮やブロッコリーの茎、梅酒で残った梅を使ったドライフルーツなど、従来廃棄されてきた食材を使った商品を開発し、販売。立ち上げから約1年間で、約46トンのフードロス削減を達成しています。

売り方はオーソドックス。Oisixまたはブランドページでオンライン販売

Upcycle by Oisixの商品は、ブランドサイトまたはOisixのサイトで販売しています。

サステナブル、アップサイクルをイメージしてか、ブランドサイトはナチュラルな印象。

商品ページには、この商品を購入することでどれくらいのフードロス削減に協力できるか、数値で表示しています。「ブロッコリーの茎」のチップスは約300gのフードロス削減に貢献。エシカル消費を意識するユーザーへの訴求となります。

そのまま食べるだけでなく、「スープのトッピング」など、アレンジのアイデアも記載されています。

商品ページをスクロールすると、商品の開発ストーリーが掲載されています。

商品のストーリーを紹介することで、その商品がどんな生産者のどんな課題を解決しているのかを見えるようにしています。

「廃棄されてしまうもの」がおいしく復活

注文した商品が届きました。ブロッコリーの茎チップス、ゆず皮のドライフルーツ、梅酒の残りを梅を使ったドライフルーツ。3つの商品が段ボールに梱包されています。

梱包は非常に簡素です。パッケージには、環境にやさしい素材が使用されています。

商品のパッケージはブランドイメージに合わせて統一されています。ブロッコリーの茎は野菜加工会社で作られたもの。梅酒ドライフルーツは和歌山県で製造されています。それぞれ、本来廃棄するはずだった野菜やフルーツを加工して、Upcycle by Oisixブランドの商品として販売されています。

Oisixの安全基準を満たし、かつトレーサビリティのある原料を使って商品を製造。Upcycle by Oisixのブランド品質を保っています。

ブロッコリーの茎チップスを実食してみました。一般的な野菜チップスよりも穏やかな塩味で、しっかりと野菜の風味がします。従来廃棄されてきたものだと思うと、実にもったいなく感じられるおいしさです。

内容量は30gで430円。サステナブルに関連する商品は価格が高くなりがちです。

サステナブル領域で、小売主導でのマーチャンダイジングを実現

Upcycle by Oisixのユニークな点は、単純に各メーカーから仕入れた「サステナブルな商品」を集めたプラットフォームになるのではなく、自らが主導して各メーカーと商品を開発し、販売を行っているという点です。

製造は複数メーカーが行いつつ、パッケージングなどはOisixが主導して行っている、小売業ならではの商品開発事例といえるでしょう。

 

MD NEXT note版では、ドラッグストアのPB開発について詳細に解説したレポートを発売中!ぜひご購読ください。

 

豊富なメニューと使いやすい注文画面。ドイツ発ミールキットサービス「HelloFresh」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、ドイツ発のミールキットサービス「HelloFresh」です。欧米を中心に16カ国で展開してきたHelloFreshが、2022年4月より日本に上陸。世界各国の人気メニューを提供する「HelloFresh」のミールキットサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

ドイツ発のミールキットサービス「HelloFresh」

HelloFreshは、ドイツ発のミールキットサービスです。欧米を中心に16カ国に展開しており、2021年時点でアクティブユーザーは世界で約720万人。累計約10億食分のミールキットを提供しています。2022年4月には17カ国目として、アジアで初めて、日本に上陸しました。

特徴は、ヘルシーなメニューとバラエティの豊富さ。普段の料理ではあまり使うことのないスパイスを使って、和食・洋食・エスニック料理などさまざまなレシピを体験できます。展開している先の国々で人気があるメニューもラインナップに組込まれており、非日常感のある食卓を演出することも可能です。

画面の操作が簡単。梱包は「エコ」を意識

1.はじめに、プランを選択します。ミールプランを「定番」「ファミリー」「低カロリー」から選び、続いて数量を選びます。数量は「2人前」と「4人前」から選べます。

2人前、4人前と、家族の人数にあわせて注文できるのが嬉しい。

2.次に、レシピを選びます。3食分〜5食分を選びます。

メニューは週替わり。10種類のほどのメニューから3〜5食分を選択する。

3.レシピを選択したら、支払をします(支払操作は初回のみ)。

価格は2人前3食分で5,190円、4人前3食分が9,390円(送料・税込)。2人前3食分の注文では、1食分が810円とやや割高に感じます。

4.ミールキットはHalloFreshの段ボールに入って、要冷蔵で届きます。

要冷蔵食品は不織布製の保冷バックに入って配達される。再利用できる素材である点が欧州発らしい。

5.各レシピに使用する食材は、レシピ番号に対応した紙袋にまとめられて届きます。

野菜や肉はカットされていない状態で配達される。

HelloFreshは、マイページからレシピの変更や配達のスキップ・キャンセルの操作が簡単に行えます。画面がシンプルなので、「スキップにはどこを押したらいいんだっけ…」と迷うことがありません。

1食分がやや割高だが、UIのよさとメニューの豊富さは魅力

届いたミールキットを使って、ビーフストロガノフを作ってみました。ビーフストロガノフ、手がかかりそうで挑戦したことのないレシピでしたが、食材をカットする時間を含めて20分程度。大人も子どもも満足して食べられる味わいにできあはりました。

別のミールキットサービスには、食材がすでにカットされた状態で提供されるものが多く、当初はカットされていない食材が届く戸惑いがありました。実際調理してみると、それほど手間に感じなかったことと、野菜を新鮮なまま調理できる分、料理がおいしく感じられます。

操作画面のUIのよさとメニューの豊富さは魅力的ですが、1食分はやや割高に感じます。その点で競合との差をどう埋めるかが、今後のポイントになりそうです。

ドラッグストア監修のバランス栄養食が冷凍便で届く「スギサポdeli」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、スギ薬局の食事宅配サービス「スギサポdeli(スギサポデリ)」です。スギサポdeliは、管理栄養士が監修した栄養バランスのよい食事を冷凍便で届けるサービス。「スギサポdeli」の冷食宅配サービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

栄養バランスのよい食事を冷凍で「スギサポdeli」

コロナ禍で中食の需要が高まり、栄養バランスのよい食事を冷凍で届ける冷凍宅配サービスが定着しつつあります。その中で、今回ご紹介するのはスギ薬局が手がける食事宅配サービス「スギサポdeli」です。

スギサポdeliは、管理栄養士が栄養価を計算して作成した栄養バランスのよい食事が冷凍便で届きます。届いた食事は食べたいときに電子レンジであたためるだけ。食事制限が必要な人や検査数値の改善を目指す人をはじめ、「食べる」ことで健康な体づくりがしたい人をサポートします。

Webで注文、1回で7食分が届く

1.トップ画面でお届けメニューを選びます。

メニューは、「ヘルシーバランス食(塩分カロリー調整食)」「たんぱく調整食」「やわらか食」のほか、具材付き冷凍麺、具だくさんスープから選ぶことができます。

「塩分・カロリー調整」「たんぱく調整」「やわらか食」と、健康の悩みにあわせて3つのコースが用意されています。

各コース、メインのおかずに副菜が3つを1食分として、7食分が届きます。

2.選んだメニューをカートにいれて、会計に進みます。

単発購入のほか、定期購入も可能です。定期コースを選んだ場合、毎回異なるセットが順番に届きます。定期コースは単発購入から5%引きになります。

3.食事は冷凍の状態で届きます。

7食分を保管するには、冷凍庫の中にそれなりにスペースを作る必要があります。

4.食事はレンジであたためればすぐ食べられます。

容器の表面に表示されている温め時間に従って電子レンジであたためます。

今回購入した「ヘルシーバランス食『バラエティセット』」は4,762円(税込)。1食あたり680円ほどです。

同じく、栄養バランスのよい食事を冷凍で宅配する「nosh」は、「6食・8食・10食」から選択でき、注文数に応じて1食当たり599円〜698円(税込)と、価格帯は大きく変わりません。

味わいは、全体的に塩分控えめでやや薄味ですが、メインのおかずはしっかりと風味が感じられ、物足りなさはありません。食事の量は、ふだんからたくさん食べる方にとっては少しボリュームが少なく感じられるかもしれませんが、カロリー調整の目的からはちょうどいいサイズといえそうです。

ふだんの健康づくりをサポート

地域のお客の健康をサポートするため、近年では食習慣について栄養士に相談できるサービスを展開するドラッグストアが増えています。しかし、栄養士のアドバイスどおりに自宅でバランスのよい食事を作るにはハードルが高く、「長続きしない」「そもそも実行できない」といった課題がありました。

スギサポdeliは、管理栄養士に相談した「先」に手が届かないという、ドラッグストアの課題を解決するサービスといえます。

スギ薬局では冷凍宅配のほかに、食事の記録をもとに管理栄養士にチャットで健康相談できるアプリ「スギサポeats」や、歩いた距離に応じてスギサポマイルがたまるアプリ「スギサポwalk」を展開。日常生活の中で無理なく健康改善・維持するサポートをしています。

一連の取り組みは、栄養士が店頭でアドバイスしたことを習慣にしてもらうための「最後の一手」を提供するよい手段だと感じました。

リアル店舗でAIが「似合う服」を提案。新しい買物体験届けるインタラクティブミラー

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、株式会社デイトナ・インターナショナルが展開するセレクトショップ「FREAK’S STORE」名古屋PARCO店に導入されたオリジナルインタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」です。ミラーに搭載されたAIカメラが「似合う」を診断。OMO店舗での新しい買い物体験を試してみました。(ライター:宮原智子)

AIカメラで「似合う」を提案。インタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」

セレクトショップ「FREAK’S STORE」名古屋PARCO店が導入したのは、AIカメラによるアイテムレコメンドやフェイス・パーソナルカラー診断、 ファッションタイプ診断などさまざまな機能を搭載したインタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」です。「本当の”似合う”が見つかる!」をコンセプトに、診断結果からおすすめのファッションアイテムを提案してくれます。

「AIカメラ診断」「星座占い」でファッション提案

インタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」は、店頭中ほどに設置されています。大柄な人もおさまる大型なサイズで、一見ふつうの鏡のようです。この+PLUS MIRRORでは、次のようなことができます。

・AIカメラでお客のコーディネートアイテムを識別しておすすめを提案
・フェイス・パーソナルカラー診断
・12星座マインド診断
・ファッションタイプ診断
・商品タグをスキャンして店舗&ECの在庫確認

AIカメラによるコーディネート識別&提案

AIカメラで撮影した画像を解析して、トップスにはボトムスを、ボトムスにはトップスをといったようにアイテム別におすすめを提案してくれます。

+PLUS MIRRORに立って、AIカメラで全身を撮影します。その日のコーディネートをAIカメラが識別して、おすすめのファッションアイテムを提案します。

フェイス・パーソナルカラー診断

パーソナルカラー診断はマスクを外して撮影します。色味や顔立ちから、自分がどんなタイプの顔をしているのか、詳細な診断結果が得られます。

AIカメラで顔の色を撮影し、パーソナルカラー診断をします。アルゴリズムは、AI身体解析テクノロジーに強みをもつ株式会社Sapeetが提供。顔のつくりや色味から、似合う色や素材・シルエット、髪型、メイクなどを提案します。

12星座マインド診断

診断方法に星座占いが含まれているのがユニーク。ラッキーアイテム、ラッキーカラーという視点でアイテムをおすすめしています。

自分の星座を選んだあと、画面に表示される複数の色の中から直感で気に入った色を選びます。診断結果から、ラッキーアイテムやラッキーカラーが表示されます。

ファッションタイプ診断

異なる2つのコーディネートから、直感で「好き」と思ったほうをタップしていきます。その結果から、おすすめアイテムが提案されます。

+PLUS MIRRORの画面に表示されるコーディネートの中から「お気に入り」を直感で選んでいくことで、潜在的な好みを識別してコーディネートを提案します。

店舗&ECの在庫確認

商品のタグをスキャンすると、商品の詳細画面が表示されます。ここから在庫状況が確認できるほか、QRコードを読み込めばECサイトの商品ページにアクセスできます。

店頭の商品タグをスキャンすると、リアル店舗ならびにECサイトの在庫状況が表示されます。+PLUS MIRRORの画面上に表示されるQRコードからECサイトの商品ページにアクセスして、ECサイトから購入することができます。

診断結果は持ち帰りできる

診断結果は紙でも発行してもらえますが、QRコードにアクセスすれば、気に入った商品をECサイトで購入することができます。「やっぱり買えばよかった」という機会損失を防ぎます。

+PLUS MIRRORで診断された結果は、店頭で紙のカルテとして発行してもらえます。また、+PLUS MIRRORの診断結果画面に表示されたQRコードを読み込めば、スマートフォンからアクセスして振り返ることができます。

スマートフォンでは、診断結果に表示されているファッションアイテムをクリックすると、ECサイトの商品ページにアクセスできます。帰宅後も、ここからアイテムを選んで購入することが可能です。

店頭スタッフがいるからこそAIによるレコメンドが活きそう

スタッフと+PLUS MIRRORとでは、おすすめされる情報量に圧倒的な差があります。

従来型の店舗では、スタッフが店頭にある在庫の中から商品のコーディネートを提案します。一方の+PLUS MIRRORは、店頭だけでなくEC上のアイテムも含め、一度にたくさんのアイテムが提案ができます。

データにもとづいて、+PLUS MIRRORがお客の好みにあわせて絞り込みをするものの、その中から1点、2点を選ぶとしたらどれにするか、どんなコーディネートをするのが正解なのか、「購入前の最後の選択」に悩むお客は少なくないでしょう。

そこで、店舗スタッフの感性が活きてくるのではないか、と感じました。

アパレル企業で広がるOMO店舗

「FREAK’S STORE」では店頭DXが進んでおり、タブレット端末を使ったデジタルポップを展開。スタッフコーディネートのスナップやアイテムのカラーバリエーションを表示して、店舗という限られた空間に奥行きを加えています。

また、店内に複数台設置されたカメラの映像から、「人の動き」を集計・分析。データをもとにオペレーションの改善を行っています。

アパレル企業ではほかにも、オンワードやアダストリアが店舗とECを融合した取り組みを行っています。アパレルに限らず、今後オンライン・オフライン融合の動きはますます加速していくでしょう。各社のOMO戦略に注目していきたいと思います。

自分のスマホで商品をスキャン、レジで並ばずにお会計。IKEAの「Scan&Pay」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、2022年3月からスタートしたIKEAのScan&Payです。お客が自分のスマホで商品のバーコードを読み取り、最後にセルフレジで決済する「Scan & Pay」。決済をスムーズにするIKEAのScan & Payを、実際に現地で試してみました。(ライター:宮原智子)

自分のスマホで商品バーコードをスキャン「IKEA Scan & Pay」

小売でも進むDX。決済系のデジタルツールとして、セルフレジやスマートショッピングカート、スキャン&ゴーなどを導入する店舗が増えてきました。

そんな中、2022年3月にはIKEAで「Scan & Pay」がスタート。消費者自身のスマホにダウンロードしたIKEAアプリから商品バーコードを読み取り、セルフレジで会計する仕組みは、長い列に並ぶ必要がなくスムーズな買い物を実現しています。

IKEAのスマホアプリで商品バーコードの読み取りから支払いまで

1.IKEAアプリを起動し、プロファイル画面で「店舗で商品をスキャンする」 にチェックを入れて、買い物する店舗を選びます。

「店舗で商品をスキャンする」をチェックして、購入する店舗を選びます。右側の画面が店舗を選んだ状態です。

2.プロファイル画面の「セルフスキャン」をタップしてスキャン画面を開き、購入したい商品のバーコードをスキャンします。

スキャン画面で商品のバーコードをスキャンします。
バーコードをスキャンすると商品情報が表示されます。購入する場合はカゴに入れます。

3.すべての商品のスキャンが終わったら、 支払い手続きをします。Scan & Pay専用レジ(セルフ)か一般用のセルフレジが利用可能です。

スタッフが対応する対面レジと比べ、待ち時間がほとんどありません。

4.画面の「支払い手続きへ進む」をタップして、QRコードを表示します。

支払い用のQRコードを表示します。

5.レジのバーコードでQRコードを読み取り、画面表示された点数と金額が正しいかを確認して支払いをします。

スマホに表示されたQRコードを読み取ると、スキャンした情報がレジ画面に表示されます。

優先レジではキャッシュレス決済のみ利用可能です。現金は使えません。クレジットカードだけでなく、LINE PayやPayPayなどのQRコード決済や、Waonやnanacoなどの電子マネー、交通系電子マネーなどが使えます。

手間が少なく並ぶ必要がない。消費者にとってのメリットが多いScan & Pay

Scan & PayはIKEAアプリに搭載されているので、別に専用アプリをインストールする手間がありません。IKEA Family会員はあらかじめアプリにログインしておくことで、商品をスキャンすれば自動的に会員割引きが反映されます。

何より、レジ待ちの列が長くなりがちなIKEAで、ほぼ待たずに会計ができるのは消費者にとって大きなメリットに感じられるでしょう。

IKEAアプリはほかに会員証の役割を果たすだけでなく、配送か店舗受取かを選べるECの機能や、店舗の在庫確認などさまざまな使い方が可能です。ここに、アプリ上で決済できる機能が追加されると、Scan & Payの有用性がより高くなりそうだと感じました。

オンラインとリアルが融合「カインズアプリ」の買い物体験

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、カインズアプリです。店内マップや店舗在庫、商品取り置きなど、店舗で便利に使える機能を搭載したカインズアプリ。実際に、スマホを片手に店舗で買い物体験してみました。(ライター:宮原智子)

オンラインとリアルを融合、便利な買い物体験を提供する「カインズアプリ」

コロナ禍で新しい生活様式が求められるようになり、小売業でも急速にデジタル化が進みました。その中で、クーポンやチラシ、ポイントなどの機能を搭載したスマートフォンアプリを提供する企業が増えています。しかし、多くのアプリはクーポンやポイントなど買い物が「おトク」になる機能に終始しがちで、リアルな買い物体験に結びつくものは少ない印象です。

そんな中、カインズアプリはオンラインとリアルを融合し、「おトク」だけでなく「便利」な買い物体験を提供しています。

「店内マップ」

店舗面積が広くSKU数も多いカインズの店内でほしい商品を探すのは大変です。商品がどのカテゴリに属しているのかわからなかったり、そもそも店舗のどこに何があるか見当がつかなかったり。カインズアプリでは、探している商品がどこにあるのか、店内マップにピンポイントで表示することができます。

1.アプリの「検索」からほしい商品を検索し、「売り場を探す」をタップします。

※あらかじめマイストアを登録しておきます。

2.店内マップの表示と店内のカテゴリ表示に従って、売り場を探します。

店内マップに表示されている通路番号を頼りに商品の売り場まで。

アプリで簡単に売り場を見つけられるので、お客は店舗スタッフに尋ねる必要がなくなります。店舗スタッフは、売り場案内が不要になり、接客や品出しなどに集中することができます。

リアルの在庫がわかる「在庫表示」

カインズアプリは、ほしい商品の在庫が店舗にいくつあるか、リアルタイムで1個単位から確認することができます。「ほしくて買いに行ったのに商品が売り切れていた」といった残念な顧客体験をなくします。

商品を検索すると、画面下に「マイストアの在庫数」が表示されます。

完全非接触で商品の受け渡しをおこなう「商品取り置き」

コロナ禍では、「密にならない」「非接触」で買い物できる工夫が広がりました。カインズではいち早く「商品取り置き」を導入し、新しい生活様式を提案してきました。

以前売り方調査隊で取り上げた「マスクの抽選販売」もその1つです。もう1つ、「商品取り置き」もコロナ禍で伸びた売り方です。

1.アプリの「検索」からほしい商品を検索し、「店舗在庫を取り置く」をタップする。

ほしい商品が表示されたら「店舗在庫を取り置く」をタップ。

2.支払い方法や取り置き日時、取り置き方法を指定して支払い手続きをします。取り置き方法は、「店内(ピックアップカウンターまたはロッカー)」「駐車場」「店外ロッカー(設置店のみ)」の3つから選ぶことができます。

ECで買い物をする感覚で簡単に取り置き指定ができます。今回は「店外ロッカー」での受け取りを選びました。

3.取り置きの準備ができるとアプリに通知されます。店舗に設置されたスマートロッカーで、通知されたQRコードを読み取って解錠します。

朝9時までに取り置き指定すると、当日の12時以降に受け取ることができます。

4.解錠したら、ロッカーに入れられた商品を受け取ります。ここまで、完全非接触です。

「店舗在庫が少なくなっているから取り置きしたい」「新型コロナの感染が再拡大しているから店内に長時間滞在したくない」といったニーズに対応します。

「使いやすい」からユーザーに「使われる」

カインズアプリを片手に実店舗で買い物をしてみて、広い店内で「ほしい商品」にたどり着くまでの時間は確実に短縮できました。アプリを使って店内で売り場を検索するのも、UIがシンプルで手間を感じません。

また、スマートロッカーを利用した店舗在庫の取り置きサービスも、他社では準備までに数日を要す中、カインズでは当日の3時間後から指定ができました。

アプリの使い勝手がお客の買い物動線とフィットしていて、「使いやすい」と感じさせるからこそ、「使われる」アプリなのだと感じた売り方調査隊でした。

複数の飲食店の商品をアプリから一括で注文。イオンの「モバイルオーダー」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、モール内の複数の飲食店の商品を一括で注文、受け取りできるイオンの「モバイルオーダー」です。アプリで一括注文して持ち帰り、「おうちでフードコード」が実現できるイオンの「モバイルオーダー」を試してみました。(ライター:宮原智子)

おうちでフードコートが実現、アプリで一括注文できるイオン「モバイルオーダー」

イオンリテールでは2021年2月から、アプリから複数の専門店の商品を一括で注文・受け取りできる「モバイルオーダーテイクアウトサービス」の実証実験を開始。同年9月には全国の約350施設に展開しました。

イオンのモバイルオーダーは、モバイルオーダーシステム「Putmenu(プットメニュー)」とイオンネットスーパーの設備を活用し、モール内にあるフードコートや飲食専門店の商品を一括注文・支払い・受け取りまでをスムーズに実現しています。

複数のお店に一括注文、選択した時間にまとめて受け取り

1.「Putmenu(プットメニュー)」アプリをダウンロードして起動する。

Putmenuはプットメニュー株式会社が提供。プットメニュー株式会社はテーブルなどをIoT化することで来店者のスマホから他言語で注文・支払いできるシステムを開発・提供しています。

2.注文したい施設を選ぶ。

アプリには半径10キロ圏内の施設が表示されます。

3.お店を選んで好きな商品を注文する。

施設トップページの「カテゴリを絞り込む」からお店が検索できます。フードコートからも専門店からも商品の選択が可能。

4.支払い手段と受け取り時間・場所を選択する。

受け取り時間は最短30分後を選択可能。場所は施設入り口付近にあるピックアップカウンターかドライブピックアップ(車に乗ったまま受け取り)が選べます。

5.選択した時間になったら受け取り場所へ行って商品を受け取る。

商品の準備ができたらアプリに通知がきます。選択した受け取り場所へ向かいます。

今回利用したイオン熱田店では、モバイルオーダー用ロッカーが設置されていました。

ロッカーの解錠は登録したスマホ番号を入力。注文から受け取りまでを非接触で行うことができました。

テナントにとってタッチポイントが増えるという強み

長引くコロナ禍で来店客が減少している飲食店。一方で、お店の味をテイクアウトやデリバリーで楽しみたい人は増えています。イオンではこうしたアプリを導入することで、施設内にテナントを構える飲食店に対して来店以外のお客とのタッチポイントをつくり、支援しています。

テイクアウトやデリバリーでは1つの飲食店から商品を選んで受け取る/届けてもらうのが通常ですが、「複数のお店の商品を一括注文して受け取り/届けてもらいたい」という需要はまだまだありそうです。

いつものプラットフォームからスーパーの生鮮食品が買える「Amazon×バロー」のネットスーパー事業

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、Amazonのネットスーパー事業です。Amazonではスーパーマーケット「バロー」と協業し、愛知県の都市部を中心に生鮮食品を届けるネットスーパー事業を開始しました。大手EC事業者と地元密着企業がタッグを組んで展開するネットスーパーサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

大手EC「Amazon」と地元密着企業「バロー」が協業するネットスーパー事業

大手EC事業者「Amazon」と、東海地方を中心にスーパーマーケットを展開する地元密着企業の「バロー」が協業。Amazonプライム会員向けに、バローの実店舗で取扱い生鮮食品を最短2時間で配送するネットスーパー事業を開始しました。2021年6月から始まったネットスーパー事業は、現在愛知県の名古屋市と清須市の2市で展開されています。

Amazonでは、プライム会員向けサービスとして、首都圏の一部エリアで「Amazonフレッシュ」を、首都圏・大阪の一部エリアでスーパー「ライフ」と協業したネットスーパー事業を展開しています。関東・関西に続き、東海地方でも生鮮食品のオンライン販売をスタートしました。

「いつもの」プラットフォーム上で買い物できる手軽さがある

Amazonバローのネットスーパーでは、バローの野菜や精肉、鮮魚をはじめプライベートブランド商品など、実店舗で取り扱っている商品をオンラインで購入できます。

注文後はバローのスタッフが商品をピックアップ。その後、Amazonの配送ネットワークを用い、Amazonの配送員が注文から最短2時間でユーザーに商品を届けます。

1.Amazonのサイトまたはアプリのトップページで「Amazonバロー」をクリックし、ネットスーパーの画面を開きます。

バローの買い物画面にアクセスできるのはAmazon×バローの配達エリア内に住所を置くプライム会員のみです。

2.商品を買い物カゴに入れ、支払い手続きに進みます。

バローのプライベートブランドを始め、店頭にある商品をオンラインで注文できます。価格は、店頭よりもやや高い印象。

3.お届け時間は12:00~22:00で、当日または翌日の2時間単位で指定できます。

配送料は390円と、一般的なネットスーパーの価格と同等かやや高め。

4.約3時間後、商品が届きました。常温、冷蔵、冷凍にわけ、丁寧に梱包されています。

午前9時28分に注文して、当日午後12時41分に届きました。配達まで約3時間。

メリットはAmazonプライム会員からの送客力と配送ネットワーク

Amazonと提携することで、スーパーマーケット側には次のようなメリットがあります。

プライム会員に使ってもらいやすい

1つは、Amazonプライム会員を取り込むことができる点。Amazonのプラットフォームを活用すれば、ユーザーはあらためてネットスーパーへの登録をする必要がありません。いつものAmazonサイトもしくはアプリから注文できるため、ネットスーパー利用のハードルが低く、使ってもらいやすい利点があります。

Amazonの配送ネットワークが活用できる

もう1つは、Amazonの配送ネットワークが活用できる点。配送はAmazonの配送スタッフが担うため、スーパーマーケット側で人員を確保する必要がありません。

バローでは独自ネットスーパー事業「ainoma」も展開

バローではAmazonネットスーパーのほか、独自で「ainoma」というネットスーパー事業を行っています。

当初ainomaは、平日昼に専用アプリから注文すると、当日の夕方には職場で商品を受け取ることができる事業所向けのネットスーパーサービスとしてスタートしました。現在は岐阜県内の5店舗で(2021年12月現在)、オンラインで注文した商品を事業所・自宅・ドライブスルーから選んで受け取りできるサービスにバージョンアップ。Amazonの配送ネットワークが十分でないエリアを独自の配送で補っています。

外部事業者と提携してネットスーパーを展開する動きが加速

10Xのネットスーパー垂直立ち上げシステム「Stailer」を導入したイトーヨーカドー、イオンと提携しレシピサイトからネットスーパーをつなげる「クラシル」など、外部事業者と提携してネットスーパーを展開する動きが加速しています。

中でも、Amazonにはプラットフォームだけでなく、網の目のように広がる配送ネットワークがあります。

今後はプラットフォームだけでなく、配送ネットワークの提供や配送スタッフのシェアリングも広がっていくのかもしれない、と思った売り方調査隊でした。

カインズのコミュニティ「Cainz DIY Square」はDIY起点でお客がつながる

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、カインズのDIYコミュニティ「Cainz DIY Square」です。カインズでは、「DIYer100 万人プロジェクト」の一環として、オンラインとオフライン双方でDIY好きなお客同士の交流を促すプラットフォームの運営を開始しました。オンラインとオフラインそれぞれをどのように使ってコミュニティを形成しているのか、紹介します。(ライター:宮原智子)

DIY好きのためのコミュニティ「Cainz DIY Square」

2021年11月2日、ホームセンター大手のカインズが、店舗とオンラインが融合したコミュニティ「Cainz DIY Square」の展開を開始しました。

「Cainz DIY Square」とは、自らDIYを楽しんだり、DIY好きな仲間とのコミュニケーションをしたりする、DIY好きのためのコミュニティです。

「Cainz DIY Square」のコンセプトは4つ。「きいて」「つくって」「つながって」「たのしむ」。店舗でのワークショップやSNSでDIYキャプテンにサポートを受けたり、お客同士が交流したりといった、新しいDIY体験ができる場を提供しています。

オンラインとオフライン双方でお客同士の交流を促す

「Cainz DIY Square」では、コミュニティサイト「DIY Square」とカインズの実店舗双方を活用してお客同士の交流を促しています。

DIYキャプテンやほかのお客とコミュニケーションできる「DIYトーク」

「DIYトーク」は、いわばDIY好きの掲示板。作品を作っていてわからないことがあった場合に、ほかのお客にアドバイスを求めたり、DIYキャプテン(ワークショップの指導やSNS発信を通じてお客のDIYをサポートするカインズスタッフ)に質問をすることができます。

資材の調達方法や塗料の選び方といったDIYに関する質問には、DIYキャプテンからだけでなくお客からもたくさん回答が寄せられています。

自分で作ったDIY作品を紹介し合う「作品投稿」


「DIY Square」には自分で作った作品を投稿できる機能があります。Instagramのように、投稿した画像に「いいね」をつけたり、コメントを寄せたりすることができます。お客同士、活発にアイデアの交換をしています。

DIYのレシピを公開し合う「DIYレシピ」


カインズのYouTubeアカウントやオウンドメディア「となりのカインズさん」で紹介されているDIYレシピ、お客のオリジナルレシピが投稿されている「DIYレシピ」。DIY初心者でも挑戦しやすいレシピが多い印象です。

ワークショップへの参加を促す「CAINZ Reserve」への誘導


コミュニティサイト「DIY Square」からは、オフラインのワークショップにつなげる仕組みがあります。

リンク先の「CAINZ Reserve」から、全国のカインズ実店舗で行われるワークショップやDIY講座、工房の検索・予約が可能。工具のレンタルも受け付けており、リアルな場でのDIY体験への導線ができています。

コミュニティ活性化を促す「ゲーミフィケーション」


「Cainz DIY Square」のユニークな点は、コミュニティを活性化させるためにゲーミフィケーションを用いているところです。

ワークショップへの参加やDIYトークへの投稿、作品投稿などのコミュニティ活動をとおしてポイントが貯まり、ランクにあわせてDIYグッズやオリジナルエプロンといった特典が受けられます。

DIYトーク内でもポイントについての話題は多く見られ、コミュニティ参加へのモチベーション維持にゲーミフィケーションが一役買っていることがうかがえます。

オンラインに強みを持つカインズならではのコミュニティマーケティング

カインズでは以前から、YouTubeをはじめとするSNS運用を積極的に行っています。

また、”ホームセンターを遊び倒すメディア”をコンセプトに著名人やDIYマニアが「くらしづくり」を提案するメディア『となりのカインズさん』を展開。メディア開設約1年で月間400万PV以上を獲得するなど、ファンづくりにも長けています。

DIY体験ができるリアルな「場」の提供をするホームセンターは少なくありません。そこにバランスよくオンラインを融合させ、オフライン・オンライン双方を行き来できるコミュニティづくりができるのは、オンラインでの発信力に強みを持つカインズならではなのかもしれないと感じた売り方調査隊でした。