自分のスマホで商品をスキャン、レジで並ばずにお会計。IKEAの「Scan&Pay」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、2022年3月からスタートしたIKEAのScan&Payです。お客が自分のスマホで商品のバーコードを読み取り、最後にセルフレジで決済する「Scan & Pay」。決済をスムーズにするIKEAのScan & Payを、実際に現地で試してみました。(ライター:宮原智子)

自分のスマホで商品バーコードをスキャン「IKEA Scan & Pay」

小売でも進むDX。決済系のデジタルツールとして、セルフレジやスマートショッピングカート、スキャン&ゴーなどを導入する店舗が増えてきました。

そんな中、2022年3月にはIKEAで「Scan & Pay」がスタート。消費者自身のスマホにダウンロードしたIKEAアプリから商品バーコードを読み取り、セルフレジで会計する仕組みは、長い列に並ぶ必要がなくスムーズな買い物を実現しています。

IKEAのスマホアプリで商品バーコードの読み取りから支払いまで

1.IKEAアプリを起動し、プロファイル画面で「店舗で商品をスキャンする」 にチェックを入れて、買い物する店舗を選びます。

「店舗で商品をスキャンする」をチェックして、購入する店舗を選びます。右側の画面が店舗を選んだ状態です。

2.プロファイル画面の「セルフスキャン」をタップしてスキャン画面を開き、購入したい商品のバーコードをスキャンします。

スキャン画面で商品のバーコードをスキャンします。
バーコードをスキャンすると商品情報が表示されます。購入する場合はカゴに入れます。

3.すべての商品のスキャンが終わったら、 支払い手続きをします。Scan & Pay専用レジ(セルフ)か一般用のセルフレジが利用可能です。

スタッフが対応する対面レジと比べ、待ち時間がほとんどありません。

4.画面の「支払い手続きへ進む」をタップして、QRコードを表示します。

支払い用のQRコードを表示します。

5.レジのバーコードでQRコードを読み取り、画面表示された点数と金額が正しいかを確認して支払いをします。

スマホに表示されたQRコードを読み取ると、スキャンした情報がレジ画面に表示されます。

優先レジではキャッシュレス決済のみ利用可能です。現金は使えません。クレジットカードだけでなく、LINE PayやPayPayなどのQRコード決済や、Waonやnanacoなどの電子マネー、交通系電子マネーなどが使えます。

手間が少なく並ぶ必要がない。消費者にとってのメリットが多いScan & Pay

Scan & PayはIKEAアプリに搭載されているので、別に専用アプリをインストールする手間がありません。IKEA Family会員はあらかじめアプリにログインしておくことで、商品をスキャンすれば自動的に会員割引きが反映されます。

何より、レジ待ちの列が長くなりがちなIKEAで、ほぼ待たずに会計ができるのは消費者にとって大きなメリットに感じられるでしょう。

IKEAアプリはほかに会員証の役割を果たすだけでなく、配送か店舗受取かを選べるECの機能や、店舗の在庫確認などさまざまな使い方が可能です。ここに、アプリ上で決済できる機能が追加されると、Scan & Payの有用性がより高くなりそうだと感じました。

オンラインとリアルが融合「カインズアプリ」の買い物体験

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、カインズアプリです。店内マップや店舗在庫、商品取り置きなど、店舗で便利に使える機能を搭載したカインズアプリ。実際に、スマホを片手に店舗で買い物体験してみました。(ライター:宮原智子)

オンラインとリアルを融合、便利な買い物体験を提供する「カインズアプリ」

コロナ禍で新しい生活様式が求められるようになり、小売業でも急速にデジタル化が進みました。その中で、クーポンやチラシ、ポイントなどの機能を搭載したスマートフォンアプリを提供する企業が増えています。しかし、多くのアプリはクーポンやポイントなど買い物が「おトク」になる機能に終始しがちで、リアルな買い物体験に結びつくものは少ない印象です。

そんな中、カインズアプリはオンラインとリアルを融合し、「おトク」だけでなく「便利」な買い物体験を提供しています。

「店内マップ」

店舗面積が広くSKU数も多いカインズの店内でほしい商品を探すのは大変です。商品がどのカテゴリに属しているのかわからなかったり、そもそも店舗のどこに何があるか見当がつかなかったり。カインズアプリでは、探している商品がどこにあるのか、店内マップにピンポイントで表示することができます。

1.アプリの「検索」からほしい商品を検索し、「売り場を探す」をタップします。

※あらかじめマイストアを登録しておきます。

2.店内マップの表示と店内のカテゴリ表示に従って、売り場を探します。

店内マップに表示されている通路番号を頼りに商品の売り場まで。

アプリで簡単に売り場を見つけられるので、お客は店舗スタッフに尋ねる必要がなくなります。店舗スタッフは、売り場案内が不要になり、接客や品出しなどに集中することができます。

リアルの在庫がわかる「在庫表示」

カインズアプリは、ほしい商品の在庫が店舗にいくつあるか、リアルタイムで1個単位から確認することができます。「ほしくて買いに行ったのに商品が売り切れていた」といった残念な顧客体験をなくします。

商品を検索すると、画面下に「マイストアの在庫数」が表示されます。

完全非接触で商品の受け渡しをおこなう「商品取り置き」

コロナ禍では、「密にならない」「非接触」で買い物できる工夫が広がりました。カインズではいち早く「商品取り置き」を導入し、新しい生活様式を提案してきました。

以前売り方調査隊で取り上げた「マスクの抽選販売」もその1つです。もう1つ、「商品取り置き」もコロナ禍で伸びた売り方です。

1.アプリの「検索」からほしい商品を検索し、「店舗在庫を取り置く」をタップする。

ほしい商品が表示されたら「店舗在庫を取り置く」をタップ。

2.支払い方法や取り置き日時、取り置き方法を指定して支払い手続きをします。取り置き方法は、「店内(ピックアップカウンターまたはロッカー)」「駐車場」「店外ロッカー(設置店のみ)」の3つから選ぶことができます。

ECで買い物をする感覚で簡単に取り置き指定ができます。今回は「店外ロッカー」での受け取りを選びました。

3.取り置きの準備ができるとアプリに通知されます。店舗に設置されたスマートロッカーで、通知されたQRコードを読み取って解錠します。

朝9時までに取り置き指定すると、当日の12時以降に受け取ることができます。

4.解錠したら、ロッカーに入れられた商品を受け取ります。ここまで、完全非接触です。

「店舗在庫が少なくなっているから取り置きしたい」「新型コロナの感染が再拡大しているから店内に長時間滞在したくない」といったニーズに対応します。

「使いやすい」からユーザーに「使われる」

カインズアプリを片手に実店舗で買い物をしてみて、広い店内で「ほしい商品」にたどり着くまでの時間は確実に短縮できました。アプリを使って店内で売り場を検索するのも、UIがシンプルで手間を感じません。

また、スマートロッカーを利用した店舗在庫の取り置きサービスも、他社では準備までに数日を要す中、カインズでは当日の3時間後から指定ができました。

アプリの使い勝手がお客の買い物動線とフィットしていて、「使いやすい」と感じさせるからこそ、「使われる」アプリなのだと感じた売り方調査隊でした。

複数の飲食店の商品をアプリから一括で注文。イオンの「モバイルオーダー」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、モール内の複数の飲食店の商品を一括で注文、受け取りできるイオンの「モバイルオーダー」です。アプリで一括注文して持ち帰り、「おうちでフードコード」が実現できるイオンの「モバイルオーダー」を試してみました。(ライター:宮原智子)

おうちでフードコートが実現、アプリで一括注文できるイオン「モバイルオーダー」

イオンリテールでは2021年2月から、アプリから複数の専門店の商品を一括で注文・受け取りできる「モバイルオーダーテイクアウトサービス」の実証実験を開始。同年9月には全国の約350施設に展開しました。

イオンのモバイルオーダーは、モバイルオーダーシステム「Putmenu(プットメニュー)」とイオンネットスーパーの設備を活用し、モール内にあるフードコートや飲食専門店の商品を一括注文・支払い・受け取りまでをスムーズに実現しています。

複数のお店に一括注文、選択した時間にまとめて受け取り

1.「Putmenu(プットメニュー)」アプリをダウンロードして起動する。

Putmenuはプットメニュー株式会社が提供。プットメニュー株式会社はテーブルなどをIoT化することで来店者のスマホから他言語で注文・支払いできるシステムを開発・提供しています。

2.注文したい施設を選ぶ。

アプリには半径10キロ圏内の施設が表示されます。

3.お店を選んで好きな商品を注文する。

施設トップページの「カテゴリを絞り込む」からお店が検索できます。フードコートからも専門店からも商品の選択が可能。

4.支払い手段と受け取り時間・場所を選択する。

受け取り時間は最短30分後を選択可能。場所は施設入り口付近にあるピックアップカウンターかドライブピックアップ(車に乗ったまま受け取り)が選べます。

5.選択した時間になったら受け取り場所へ行って商品を受け取る。

商品の準備ができたらアプリに通知がきます。選択した受け取り場所へ向かいます。

今回利用したイオン熱田店では、モバイルオーダー用ロッカーが設置されていました。

ロッカーの解錠は登録したスマホ番号を入力。注文から受け取りまでを非接触で行うことができました。

テナントにとってタッチポイントが増えるという強み

長引くコロナ禍で来店客が減少している飲食店。一方で、お店の味をテイクアウトやデリバリーで楽しみたい人は増えています。イオンではこうしたアプリを導入することで、施設内にテナントを構える飲食店に対して来店以外のお客とのタッチポイントをつくり、支援しています。

テイクアウトやデリバリーでは1つの飲食店から商品を選んで受け取る/届けてもらうのが通常ですが、「複数のお店の商品を一括注文して受け取り/届けてもらいたい」という需要はまだまだありそうです。

いつものプラットフォームからスーパーの生鮮食品が買える「Amazon×バロー」のネットスーパー事業

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、Amazonのネットスーパー事業です。Amazonではスーパーマーケット「バロー」と協業し、愛知県の都市部を中心に生鮮食品を届けるネットスーパー事業を開始しました。大手EC事業者と地元密着企業がタッグを組んで展開するネットスーパーサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

大手EC「Amazon」と地元密着企業「バロー」が協業するネットスーパー事業

大手EC事業者「Amazon」と、東海地方を中心にスーパーマーケットを展開する地元密着企業の「バロー」が協業。Amazonプライム会員向けに、バローの実店舗で取扱い生鮮食品を最短2時間で配送するネットスーパー事業を開始しました。2021年6月から始まったネットスーパー事業は、現在愛知県の名古屋市と清須市の2市で展開されています。

Amazonでは、プライム会員向けサービスとして、首都圏の一部エリアで「Amazonフレッシュ」を、首都圏・大阪の一部エリアでスーパー「ライフ」と協業したネットスーパー事業を展開しています。関東・関西に続き、東海地方でも生鮮食品のオンライン販売をスタートしました。

「いつもの」プラットフォーム上で買い物できる手軽さがある

Amazonバローのネットスーパーでは、バローの野菜や精肉、鮮魚をはじめプライベートブランド商品など、実店舗で取り扱っている商品をオンラインで購入できます。

注文後はバローのスタッフが商品をピックアップ。その後、Amazonの配送ネットワークを用い、Amazonの配送員が注文から最短2時間でユーザーに商品を届けます。

1.Amazonのサイトまたはアプリのトップページで「Amazonバロー」をクリックし、ネットスーパーの画面を開きます。

バローの買い物画面にアクセスできるのはAmazon×バローの配達エリア内に住所を置くプライム会員のみです。

2.商品を買い物カゴに入れ、支払い手続きに進みます。

バローのプライベートブランドを始め、店頭にある商品をオンラインで注文できます。価格は、店頭よりもやや高い印象。

3.お届け時間は12:00~22:00で、当日または翌日の2時間単位で指定できます。

配送料は390円と、一般的なネットスーパーの価格と同等かやや高め。

4.約3時間後、商品が届きました。常温、冷蔵、冷凍にわけ、丁寧に梱包されています。

午前9時28分に注文して、当日午後12時41分に届きました。配達まで約3時間。

メリットはAmazonプライム会員からの送客力と配送ネットワーク

Amazonと提携することで、スーパーマーケット側には次のようなメリットがあります。

プライム会員に使ってもらいやすい

1つは、Amazonプライム会員を取り込むことができる点。Amazonのプラットフォームを活用すれば、ユーザーはあらためてネットスーパーへの登録をする必要がありません。いつものAmazonサイトもしくはアプリから注文できるため、ネットスーパー利用のハードルが低く、使ってもらいやすい利点があります。

Amazonの配送ネットワークが活用できる

もう1つは、Amazonの配送ネットワークが活用できる点。配送はAmazonの配送スタッフが担うため、スーパーマーケット側で人員を確保する必要がありません。

バローでは独自ネットスーパー事業「ainoma」も展開

バローではAmazonネットスーパーのほか、独自で「ainoma」というネットスーパー事業を行っています。

当初ainomaは、平日昼に専用アプリから注文すると、当日の夕方には職場で商品を受け取ることができる事業所向けのネットスーパーサービスとしてスタートしました。現在は岐阜県内の5店舗で(2021年12月現在)、オンラインで注文した商品を事業所・自宅・ドライブスルーから選んで受け取りできるサービスにバージョンアップ。Amazonの配送ネットワークが十分でないエリアを独自の配送で補っています。

外部事業者と提携してネットスーパーを展開する動きが加速

10Xのネットスーパー垂直立ち上げシステム「Stailer」を導入したイトーヨーカドー、イオンと提携しレシピサイトからネットスーパーをつなげる「クラシル」など、外部事業者と提携してネットスーパーを展開する動きが加速しています。

中でも、Amazonにはプラットフォームだけでなく、網の目のように広がる配送ネットワークがあります。

今後はプラットフォームだけでなく、配送ネットワークの提供や配送スタッフのシェアリングも広がっていくのかもしれない、と思った売り方調査隊でした。

カインズのコミュニティ「Cainz DIY Square」はDIY起点でお客がつながる

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、カインズのDIYコミュニティ「Cainz DIY Square」です。カインズでは、「DIYer100 万人プロジェクト」の一環として、オンラインとオフライン双方でDIY好きなお客同士の交流を促すプラットフォームの運営を開始しました。オンラインとオフラインそれぞれをどのように使ってコミュニティを形成しているのか、紹介します。(ライター:宮原智子)

DIY好きのためのコミュニティ「Cainz DIY Square」

2021年11月2日、ホームセンター大手のカインズが、店舗とオンラインが融合したコミュニティ「Cainz DIY Square」の展開を開始しました。

「Cainz DIY Square」とは、自らDIYを楽しんだり、DIY好きな仲間とのコミュニケーションをしたりする、DIY好きのためのコミュニティです。

「Cainz DIY Square」のコンセプトは4つ。「きいて」「つくって」「つながって」「たのしむ」。店舗でのワークショップやSNSでDIYキャプテンにサポートを受けたり、お客同士が交流したりといった、新しいDIY体験ができる場を提供しています。

オンラインとオフライン双方でお客同士の交流を促す

「Cainz DIY Square」では、コミュニティサイト「DIY Square」とカインズの実店舗双方を活用してお客同士の交流を促しています。

DIYキャプテンやほかのお客とコミュニケーションできる「DIYトーク」

「DIYトーク」は、いわばDIY好きの掲示板。作品を作っていてわからないことがあった場合に、ほかのお客にアドバイスを求めたり、DIYキャプテン(ワークショップの指導やSNS発信を通じてお客のDIYをサポートするカインズスタッフ)に質問をすることができます。

資材の調達方法や塗料の選び方といったDIYに関する質問には、DIYキャプテンからだけでなくお客からもたくさん回答が寄せられています。

自分で作ったDIY作品を紹介し合う「作品投稿」


「DIY Square」には自分で作った作品を投稿できる機能があります。Instagramのように、投稿した画像に「いいね」をつけたり、コメントを寄せたりすることができます。お客同士、活発にアイデアの交換をしています。

DIYのレシピを公開し合う「DIYレシピ」


カインズのYouTubeアカウントやオウンドメディア「となりのカインズさん」で紹介されているDIYレシピ、お客のオリジナルレシピが投稿されている「DIYレシピ」。DIY初心者でも挑戦しやすいレシピが多い印象です。

ワークショップへの参加を促す「CAINZ Reserve」への誘導


コミュニティサイト「DIY Square」からは、オフラインのワークショップにつなげる仕組みがあります。

リンク先の「CAINZ Reserve」から、全国のカインズ実店舗で行われるワークショップやDIY講座、工房の検索・予約が可能。工具のレンタルも受け付けており、リアルな場でのDIY体験への導線ができています。

コミュニティ活性化を促す「ゲーミフィケーション」


「Cainz DIY Square」のユニークな点は、コミュニティを活性化させるためにゲーミフィケーションを用いているところです。

ワークショップへの参加やDIYトークへの投稿、作品投稿などのコミュニティ活動をとおしてポイントが貯まり、ランクにあわせてDIYグッズやオリジナルエプロンといった特典が受けられます。

DIYトーク内でもポイントについての話題は多く見られ、コミュニティ参加へのモチベーション維持にゲーミフィケーションが一役買っていることがうかがえます。

オンラインに強みを持つカインズならではのコミュニティマーケティング

カインズでは以前から、YouTubeをはじめとするSNS運用を積極的に行っています。

また、”ホームセンターを遊び倒すメディア”をコンセプトに著名人やDIYマニアが「くらしづくり」を提案するメディア『となりのカインズさん』を展開。メディア開設約1年で月間400万PV以上を獲得するなど、ファンづくりにも長けています。

DIY体験ができるリアルな「場」の提供をするホームセンターは少なくありません。そこにバランスよくオンラインを融合させ、オフライン・オンライン双方を行き来できるコミュニティづくりができるのは、オンラインでの発信力に強みを持つカインズならではなのかもしれないと感じた売り方調査隊でした。

チェーンストア小売業各社の動画活用施策をまとめてみた(インスタライブ、YouTube等々)

小売業者のSNS活用が進む中、近年YouTubeやインスタライブを活用した動画コマースに取り組む企業が増えてきました。今回の売り方調査隊では、ドラッグストアやスーパー、百貨店などの小売業者がどのように動画コマースを活用しているか調査してみました。(ライター:宮原智子)

注目高まる集める動画コマース

MD NEXTでは2018年、2019年、2020年にわたって小売業者のSNS活用状況を調査しました。それによると、FacebookやTwitter、Instagram、YouTubeなどSNSをマーケティングに活用する動きは年々活発になっていることがわかります。

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2020夏(1)〜コンビニ・100円均・ディスカウントストア編〜

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2020夏(2)〜ドラッグストア編〜

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2020夏(3)〜GMS・食品スーパー編〜

 

中でも近年注目されているのが、YouTubeやインスタライブなどの動画SNSです。これらのプラットフォームを活用して、動画コマースに取り組む事業者が増えています。

動画コマースとは?

動画コマースとは、YouTubeやインスタライブ、TikTokなどの動画プラットフォームを活用して商品の情報を流し、オンライン上で買い物ができるEC手法です。テレビショッピングのインターネット版といえばイメージが湧くかもしれません。

動画コマースを活用することで、視聴者の疑問や悩みを直接解消し、購買につなげることができます。

こうした動画コマースをリアルタイムで行う方法を、ライブコマースと言います。

Instagramのライブ配信活用するスギ薬局

スギ薬局では、Instagramを活用したライブコマースを配信しています。1時間ほどのライブの中で、アイシャドウやチーク、リップなどのコスメアイテムを紹介。動画の中で実際にメイクをしながら、コスメを肌になじませた色味や、相性のよいコスメアイテムの組み合わせなどを伝えています。コメント機能で投稿された視聴者の質問に答えながら進んでいくため、ライブ感があります。

企業ウェブサイト http://www.sugi-net.jp
Instagram https://www.instagram.com/drug_sugi/
フォロワー数約3.9万人

YouTubeで生活の情報発信するココカラファイン

ココカラファインはYouTubeチャンネルを運営。「症状別!鎮痛剤の違いと選び方」「二日酔いの原因と対策講座」「重曹・セスキ・クエン酸 使い方のポイント」など、視聴者に役立つ生活の中のハウツーを伝えながら、商品を紹介しています。

チャンネル登録者数は2,990人ながらハウツー動画の視聴回数は1万件と流入数が多いことから、需要の高い内容を配信していることがうかがえます。

企業ウェブサイト https://www.cocokarafine.co.jp/top/CSfCustomerTop.jsp
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCdapPvmOpIQoYcNg7Pt7BkA
フォロワー数約2,990人

店内を歩き回る!「サツドラ超サ団」がユニークなサツドラ

サツドラはYouTubeを活用しています。視聴回数が5万回を超える「ドラッグストアおすすめシャンプー5選【お悩み別】」をはじめ、サツドラのスタッフが健康の知識やハウツーを伝えながら商品を紹介する動画を配信。

ほかに、サツドラ店内を歩きながら商品を紹介する「サツドラ超サ団」という企画もユニークです。

企業ウェブサイト https://satudora.jp/
YouTube https://www.youtube.com/channel/UC_m8Uo3FdRvV2577ak3TM-Q
フォロワー数約2,560人

インスタライブで発信!フォロワー178万人のダイソー

ダイソーでは、全国の店舗の店頭からインスタライブを活用したライブコマースを配信。季節の商品や話題の商品を紹介しています。フォロワー数178万人、視聴回数も10万回を超える投稿が多く、注目度の高いアカウントであることがわかります。100円均一ショップの中でも、ダイソーは特にSNSでの発信に注力しています。

企業ウェブサイト https://www.daiso-sangyo.co.jp
YouTube https://www.instagram.com/daiso_official
フォロワー数約178万人

独自サイトで情報発信→オンライン購入試みるイオン


イオンではYouTubeやInstagramなどのプラットフォームを使わず、独自のサイト「AEON MALL LIVE SHOPPING!」を開設し、ライブコマースを展開しています。2021年2月からスタートしたライブコマースサイトでは、全国80モールの専門店からスタッフが自社商品を紹介。視聴者はスタッフとチャットでコミュニケーションを取ることができ、気に入った商品はオンラインで購入することができます。

企業ウェブサイト https://www.aeon.com
独自のサイト「AEON MALL LIVE SHOPPING!」 https://live-ec.aeonmall.com/

視聴回数50万回越え動画もあるカインズ

カインズではYouTube、Instagramを活用し、積極的に動画を配信しています。YouTubeのカインズ公式アカウントでは、園芸・DIY、アウトドア、家事など、幅広い生活ハウツーを紹介。特に、園芸やDIYでは視聴回数50万回以上にのぼる動画も見られます。

カインズでは自分でものづくりをしたい人をサポートするDIY総合サイト「CAINZ DIY style」を開設しています。毎月第4金曜日にはインスタライブを開催。スタッフがカインズの商品や資材を使ってDIYする様子を配信しています。また、YouTubeの同アカウントでは30秒ほどのショートサイズのDIY動画を投稿。「自分にもつくれそうだ」という気にさせるイマジネーションあふれる動画が、DIYブームを後押ししています。

企業ウェブサイト https://www.cainz.co.jp
YouTube https://www.youtube.com/user/cainztv
フォロワー数6万人
Instagram カインズ公式
https://www.instagram.com/cainz_official/?utm_medium=copy_link
フォロワー数33万人
カインズ DIY style
https://www.instagram.com/diy_style_by_cz/channel/
フォロワー数1.7万人

地元TVとタッグでYouTube運営する松坂屋名古屋本店

老舗百貨店の松坂屋名古屋本店では、地元TV局CBCテレビとタッグを組み、YouTubeチャンネル「デパチャン」を制作しています。出演するのは松坂屋のバイヤーや販売員。TV局の制作ノウハウを生かし、トレンド・季節感・お得情報など、情報番組の要素を取り入れ、「視聴者が本当に知りたい情報」を発信しています。チャンネル開設1ヶ月で登録者数169人と少数ですが、再生回数が1.6万回を超える投稿もあり、TV局との取り組みで今後どこまで数字が伸びるか注目しています。

企業ウェブサイト https://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCXlkqBKH7ApBh5NcsNdqZ1w
フォロワー数169人

やはり人気はハウツー動画の伊勢丹

伊勢丹でもYouTubeを開設。バイヤーによる商品紹介や、販売員のおすすめアイテム、レシピ動画など、さまざまな企画を形にしています。再生回数を見ると、やはり人気なのは「靴磨きのテクニック教えます」といったハウツー動画です。なお、伊勢丹では、スマホアプリからチャットを起動することで販売員に相談しながら買い物をすることができる、リモートショッピングを展開しています。

企業ウェブサイト https://www.mistore.jp/store/shinjuku.html
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCZDZkHchWEYTabIjhPjWhew
フォロワー数9,360人

ハウツー動画は再生回数が伸びやすい傾向にある

ジャンル別に動画コマースの活用状況を紹介してきましたが、全体を通しての「生活のハウツーを解説しながら商品紹介をする動画」は再生回数が高い傾向にありました。翻れば、視聴者が動画を見る目的は、自分の悩みや疑問を解消したいためと言えるでしょう。

動画コマースの中でも、特にライブコマースは、視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介できる機会となります。視聴者が何に困っているか、ニーズを探る手段としても有効です。

一方、どの企業も実際の購買に直接つながる動線は弱いように感じました。あくまで情報発信とエンゲージメントの確立に注力しているようですが、ここをどうテコ入れしていくか、各社の手腕が問われていきそうです。

AIの活用で世界を席巻する、中国発のファストファッションEC「SHEIN」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、中国発のファストファッションEC「SHEIN」です。婦人服を中心に、紳士服や子供服、アクセサリーなどのファッションアイテムを提供するSHEINでは、独自のサプライチェーンの構築やAIを活用した効率化で商品の低価格を実現。ゲーミフィケーションされたUIが若者から支持を得て、世界220以上の国と地域で展開しています。そんな「SHEIN」のECサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

中国発の巨大越境EC「SHEIN」

SHEINは、中国の南京希音電子商務有限公司が運営するファストファッションECです。婦人服を中心に、紳士服、子供服、アクセサリー、靴、バッグなどのファッションアイテムを提供しており、主にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、中東など、世界の220以上の国と地域で展開する巨大越境ECとして成長しています。

「誰もがファッションの美しさを楽しむことができる」をコンセプトに掲げ、世界中の最新のファッショントレンドをいち早くキャッチしながら、そのスタイルを市場に送り出しているSHEIN。若い女性を中心に幅広い客層から支持を集める理由は、商品の価格にもあります。トップスは1着数百円、ネックレスは数十円からという低価格。さらに、クーポンなどを利用すれば10%〜20%、セール時には最大70%もの割引を受けることができます。

低価格を実現するAIの活用や独自のサプライチェーン

こうした低価格の裏側には、AIの有効活用やSHEINの独自のサプライチェーンの存在があります。

SHEINでは、AIを活用して現在流行しているファッションの色やデザイン、模様などを解析します。また、よく検索されるアパレル関連の用語から、将来の流行を予測。これらの情報を自社のデザインに反映し、「売れる」デザインの商品を制作しています。

また、独自のサプライチェーンを構築している点も他社との差別化ポイントです。従来のファッションブランドは、商品の企画やデザインを自国内で、原材料の仕入れは貿易部門で、商品の製造は海外工場で行っていました。SHEINでは、商品の企画・製造から流通・販売まで、中国国内にサプライチェーンを構築。これにより、商品のデザインからユーザーの手元に届くまでのスピードを高めています。

ゲーミフィケーションで買い物体験が楽しくなる

SHEINの人気の理由の1つに、ゲーミフィケーションを取り入れた買い物体験があります。たとえば、100ポイント=1円として使えるSHEINポイント。買い物をすれば1円につき1ポイントが付与されますが、ほかにもプロフィール情報を充実させたり、商品レビューを書いたりすることでもポイントが貯まり、次回以降の買い物に利用することができます。

また、SHEINがユニークなのは、ライブコマースやファッションショーといったイベントに力を入れている点です。過去には有名なアーティストやモデル、タレントとコラボしたり、アプリ内でコンサートを開催したりするなど、ファッションをフックとしたさまざまなコンテンツを配信。集客にも長けています。

膨大な商品点数の中からお気に入りを選ぶ。スムーズなUI/UX

1.レディース用のトップスを探そうと、「レディース」「トップス」を検索すると、商品点数が7万点以上表示されます。

悩ましいほどの商品点数。しかも、日々新作が更新されていくので、毎日アプリをのぞきたくなります。

2.商品点数は膨大ですが、絞り込み機能によって効率よく絞り込むことができるため、スムーズに買い物できます。

商品カテゴリーやサイズ、色、袖丈、素材などで商品を絞り込むことができます。カラーの種類が細かく指定できます。

3.お気に入りの商品が見つかったら購入手続きをします。

商品はいわゆる「プチプラ」価格。気に入った服を色違いで購入したくなります。

4.届いた商品です。中国からの発送なので、受け取りまでに2週間ほどかかりました。

商品は1点ずつロゴ入りの袋に包装されており、丁寧さを感じました。受け取りまで時間がかかりますが、海外からの発送で送料500円(2,000円以上買い上げで送料無料)であることを考えると納得の範囲。

商品を実際に手に取ってみたところ、素材によっては値段相応と思うものもありましたが、おおむね「この値段でこの作りなら満足だな」と感じました。

AI活用による効率化とマーケティング戦略が世界展開を可能に

商品デザインや物流にAIを活用し効率化を図ったり、中国内で一般的となっているライブコマースやインフルエンサーマーケティングを海外で導入したり。AI活用とマーケティング戦略で世界展開を実現したSHEINの取り組みは、日本企業にも参考になる部分が多いのではないかと感じた売り方調査隊でした。

AI診断で好みの味わいが届く、コーヒーのサブスク「PostCoffee」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、AI診断で好みの味わいのコーヒーが届く「PostCoffee」です。「自宅でおいしいコーヒーが飲みたいけれど、どんな豆を選んだらいいかわからない」。そんな消費者の悩みをAIで解決し、「考えないUX」を実現したコーヒーのテック系スタートアップ「PostCoffee」を試してみました。(ライター:宮原智子)

AI診断で毎月定期的に好みのコーヒーが届く


コーヒーのサブスクリプションサービスを展開する「PostCoffee」。自社焙煎だけでなく、世界の有名ロースターが焙煎した最高品質のスペシャルティコーヒーの中から、毎月一度3種類の豆を厳選してポストに届けます。

PostCoffeeのユニークな点は、AI診断によってユーザーの好みのコーヒーを選定するところ。好きなスイーツやお酒、ふだんのライフスタイルなど全部で7つの質問に答えると、およそ15万通りの中から専用のコーヒーボックスがカスタマイズされます。

コーヒーをおいしく飲むためのコンテンツが充実

PostCoffeeが2021年6月から7月にかけて約2,000人を対象に行ったアンケートによると、コロナ禍以降、36.1%の人が「コーヒーの消費量が増加した」と回答しました。

「おうち時間」を充実させようと自宅でコーヒーを楽しむ人が増える中、PostCoffeeではスペシャリティコーヒーを浸透させようとしています。しかし、「おいしいコーヒー」の定義は人それぞれで、コーヒーの種類もさまざま。

そこでAI診断を取り入れ、コーヒーにこだわりがない人でも気軽においしいコーヒーが飲める機会を提供しています。

自宅でおいしくコーヒーを飲むためのコンテンツも充実。公式サイトではコーヒーの楽しみ方のハウトゥーや生産者を紹介する記事を配信。また、ポストに届くコーヒーには、コーヒー豆の味わいチャートや読み物の冊子が同梱されています。

7つの質問に答えるとAIがオススメの豆を選定

1.トップページから、「コーヒー診断」を始めます。

1分で答えられる7つの質問が表示されていきます。

2.質問の内容は、好きなスイーツやお酒、ふだんのライフスタイルなど。スマホからでもPCからでも簡単に回答できます。

質問の一例。「パンケーキには何をトッピングしますか?」という味の嗜好の質問です。

3.質問に答えると、AIがコーヒータイプを判定して表示してくれます。

質問への回答結果から好みのコーヒータイプが診断されました。

4.コーヒータイプ診断から、初回に送られてくるコーヒーボックスがカスタマイズされます。

粗挽き・中挽き・細挽きなど豆の挽き方やオプションの器具は無料(一部有料)で選ぶことができます。初回コーヒーボックスには、ドリッパーやハンドブックが同封されます。

5.コーヒーは初回の注文から2,3日で届きました。受け取りは不要。ポストに投函されます。

一般的なポストに入る大きさに梱包されています。

「何を飲んだらいいかわからない」からこそ考えないUXがフィット

ふだんは深煎りを好んで飲んでいる筆者ですが、今回のAI診断では「浅煎り」をオススメされました。届いたコーヒーを淹れてみたところ、まろやかで飲みやすい味わい。でももう少しパンチがほしいな…。そうしたレビューをマイページから送信したり、コーヒー豆のリクエスト・注文をしたりすることで、次回以降ポストに届くコーヒーの種類が変わってきます。

以前紹介した「スナックミー」は、AI診断で好みの味わいのお菓子が届くサブスクリプションサービスですが、お菓子よりも嗜好性が高いコーヒーはより「どれを選べばいいかわからない」となりがちです。嗜好性や専門性が高い商品は、そうしたユーザーにオススメを選択して届ける「考えないUX」がフィットしやすい領域といえるのではないでしょうか。

ARメジャー、画像検索で買物が一層便利に。「ニトリアプリ」の進化

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、家具およびインテリア用品の小売業大手「ニトリ」が展開する「ニトリアプリ」です。店内マップや在庫確認などお店で便利に使える機能だけでなく、AR技術を活用した空間サイズの計測、コーディネート提案ページなど、自宅にいながら家具選びがはかどる機能を搭載。ECと実店舗をシームレスにつなぎ、購入までのユーザーの行動をスムーズにサポートするニトリのアプリを試してみました。(ライター:宮原智子)

便利な機能が充実した「ニトリアプリ」

昨今では多くの小売事業者でスマホアプリを充実させる動きがあります。数年前までは小売事業者が展開するスマホアプリといえば、「ポイントを貯める」機能が主でしたが、最近ではECショップと連動したり、実店舗の商品在庫が確認できたりといった機能が追加され、利便性が高まっています。

家具およびインテリア用品の小売業大手「ニトリ」でも例外ではありません。ニトリが展開する「ニトリアプリ」はさまざまな便利機能を搭載し、ECと実店舗をシームレスにつなぐことでユーザーの購買行動をサポートしています。

ECからの購買につなげる「おうち」で使える便利機能

アパレルECのアプリでは、バーチャルフィッティングやコーディネート提案など、ECで購入することのハードルを下げる工夫がされていますが、ニトリアプリでもECからの購買につなげる、自宅で使える便利機能を搭載しています。

コーディネート提案から購入まで「コーディネート」ページ

2021年5月に新しく追加された「コーディネート」のページでは、ニトリが提案する暮らしのコーディネートを、実際の部屋のコーディネート画像として見ることができます。

トップページからコーディネートタブをクリックして表示できます。

好みのコーディネートを表示すると、掲載商品の購入ページに飛ぶことができます。コーディネートに使われているアイテムが一覧で表示され、気に入った商品をその場で購入することができます。

実店舗でディスプレイされた空間コーディネートをスマホアプリで見られるような感覚。気に入った商品をその場で購入できるので、コーディネートの失敗なく買い物ができます。

画像の家具と似た商品をネットショップから検索「カメラdeサーチ」

「自宅で使っていたお気に入りの家具が古くなってきたので買い換えたい」「別のインテリアショップで見かけた家具と同じような商品がニトリにもないか」。そういったとき、実際の家具の画像を読み込んでニトリの類似商品を検索してくれる機能です。

家具・インテリアの買い換え時や、競合他社の商品と比較しながら検索できます。

自宅のスペースを計測してメモできる「サイズwithメモ」

家具を置きたいスペースを画像に撮って、ARメジャーでサイズを計測してメモできる機能です。キッチンと冷蔵庫のあいだにできたスキマや、もともとある家具のサイズを計測し、画像にメモすることができます。実店舗ではこのメモを参考に商品選びをすることができます。

計測の仕方によっては数センチの誤差が出るので、きっちり正確に測りたい場合はメジャーを使う必要がある点がやや難でした。

買い回りの効率化を実現する「お店」で使える便利機能

ニトリアプリは実店舗で使える便利機能として、店内マップや商品の在庫確認、手ぶらで買い回りができる「手ぶらdeショッピング」などの機能を備え、リアルでの買い物の利便性を高めています。

店舗に行く前に在庫状況がわかる「店舗在庫の確認」

ネットショップで「お気に入り」に登録した商品の在庫状況が確認できます。在庫がある商品は、どの売り場に置かれているか店内マップを表示することができます。

ネットショップでお気に入り登録した商品の店舗ごとの在庫が照会できます。

買い回りを効率化し店舗滞在時間を短くするこうした機能は、「密」になることを防ぐコロナ禍ならではの工夫といえます。

在庫確認した商品の売り場を表示。店舗内を効率的に買い回ることができます。

お店で使えるアプリの機能にはほかに、「手ぶらdeショッピング」を展開。店内で気に入った商品があればスマホでバーコードを読み取るだけで、商品を持ち歩くことなくスマートに買い物ができます。

店頭の宅配受付かネットショップで会計を済ませれば、バーコードでスキャンした商品が自宅に届きます。「手ぶらdeショッピング」はユーザーの買い回りを効率化できるだけでなく、レジ作業を簡素化できるなど店側にとってもメリットがあります。

ECと実店舗をシームレスにつないで、ユーザーの購買行動をスムーズに

「ネットショップでお気に入り登録した商品の在庫を確認して実店舗で購入する」「実店舗で商品バーコードを読み込んでネットショップで精算する」。このように、ニトリアプリを介することでECと実店舗がシームレスにつながります。

オンラインとオフラインをつなぐことでユーザーの購買行動をスムーズにする。ニトリではこうしたアプリを展開することで、「そのお店買い物するとき、なくてはならないアプリ」を実現しています。

ユーザーの身長からサイズ感を表示する、バッグのサイズレコメンド「unisize」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、通販でバッグのサイズ感が計測できる「unisize」です。ありそうでなかった、バッグの試着。サイトレコメンドエンジンがどのように活用されているか、ファッション通販サイト「ELLE SHOP」での導入例を紹介します。(ライター:宮原智子)

通販サイト上でバッグのサイズ感が確認できる「unisize」

通販では「手に取る」「試着する」ことができないため、衣類やファッション小物のカテゴリはどうしても不利になります。

そうした課題を払拭すべく、バーチャル試着で洋服のフィット感を試したり、ZOZOMATのように3D計測で靴のサイズ選びをしたり、通販の弱点を補うためのさまざまな技術が登場しました。

サイズレコメンドエンジン「unisize(ユニサイズ)」を展開する株式会社メイキップでは、これまで洋服を中心にサイトレコメンドサービスを提供。この技術をいかし、これまで要望の多かったバッグのサイズレコメンドを、2021年6月から開始しました。

ユーザーの身長をもとに、ECショップ上でバッグを身につけたときのイメージ画像を確認したり、バッグの大きさから推定し、PCとかついてるじゃないですか。やスマホ、ペットボトルなど、どんなアイテムがどれだけ入るかを表示する「unisize」のバッグのサイズレコメンド。

いち早くこの技術を取り入れたファッション通販サイト「ELLE SHOP」の導入例を紹介します。

ユーザーの身長をもとにバッグのサイズ感を確認

※以下はファッション通販サイト「ELLE SHOP」の事例です。

ELLE SHOPではバッグカテゴリーでサイズレコメンド機能を取り入れています。

1.バッグカテゴリーで気になるバッグの商品詳細ページを表示し、「バッグに入るモノを全て見る」をクリックします。

商品詳細ページのサイズガイド中にある「バッグに入るモノを全て見る」をクリックします。

2.unisize独自のアルゴリズムから算出された「バッグに入る内容物」が表示されます。

スマホや化粧ポーチ、ペットボトルなど、ふだん持ち歩く身近なものが表示されるので、内容量がイメージしやすく便利です。

3.内容物が表示されている画面の右上、「容量」タブを「身長」タブに切り替えると、ユーザーの身長からバッグのサイズ感を知ることができます。

身長150cmの場合のサイズ感が上記のように表示されます。

4.身長の数値を変更すると、それに合ったサイズ感が表示されます。

身長150cmを170cmに変更して再表示しました。ヒトに対してバッグのサイズが小さく表示されているのがわかるでしょうか…?

独自のアルゴリズムでバッグの内容量まで正確に表示

バッグは常日頃から使うアイテムなので、購入後の「思ったより小さかった・大きかった」を極力防ぎたいというのがユーザーの思いです。

通販では商品画像と寸法という最小限の情報しか得られず、実際にバッグを身につけたときのサイズ感や、どんなアイテムがどれだけ入るか、具体的に確かめる方法がありませんでした。

unisizeでは、バッグの寸法と形状から内容量を算出するための独自のアルゴリズムが組み込まれています。このため、内容物がはみ出してしまうアイテムを表示することはありません。

バッグは身につけたときのサイズ感はもちろん、「何がどれだけ入るか」が購入を判断する大きなポイントです。アイテムの特性にあわせて、内容量も表示してくれるunisizeのサイズレコメンドサービス。

次は、どんな「通販の弱点を埋めていく」サービスが登場するのか、引き続きチェックしていきたいとおもいます。