新しい売り方調査隊!

AIの活用で世界を席巻する、中国発のファストファッションEC「SHEIN」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、中国発のファストファッションEC「SHEIN」です。婦人服を中心に、紳士服や子供服、アクセサリーなどのファッションアイテムを提供するSHEINでは、独自のサプライチェーンの構築やAIを活用した効率化で商品の低価格を実現。ゲーミフィケーションされたUIが若者から支持を得て、世界220以上の国と地域で展開しています。そんな「SHEIN」のECサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

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中国発の巨大越境EC「SHEIN」

SHEINは、中国の南京希音電子商務有限公司が運営するファストファッションECです。婦人服を中心に、紳士服、子供服、アクセサリー、靴、バッグなどのファッションアイテムを提供しており、主にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、中東など、世界の220以上の国と地域で展開する巨大越境ECとして成長しています。

「誰もがファッションの美しさを楽しむことができる」をコンセプトに掲げ、世界中の最新のファッショントレンドをいち早くキャッチしながら、そのスタイルを市場に送り出しているSHEIN。若い女性を中心に幅広い客層から支持を集める理由は、商品の価格にもあります。トップスは1着数百円、ネックレスは数十円からという低価格。さらに、クーポンなどを利用すれば10%〜20%、セール時には最大70%もの割引を受けることができます。

低価格を実現するAIの活用や独自のサプライチェーン

こうした低価格の裏側には、AIの有効活用やSHEINの独自のサプライチェーンの存在があります。

SHEINでは、AIを活用して現在流行しているファッションの色やデザイン、模様などを解析します。また、よく検索されるアパレル関連の用語から、将来の流行を予測。これらの情報を自社のデザインに反映し、「売れる」デザインの商品を制作しています。

また、独自のサプライチェーンを構築している点も他社との差別化ポイントです。従来のファッションブランドは、商品の企画やデザインを自国内で、原材料の仕入れは貿易部門で、商品の製造は海外工場で行っていました。SHEINでは、商品の企画・製造から流通・販売まで、中国国内にサプライチェーンを構築。これにより、商品のデザインからユーザーの手元に届くまでのスピードを高めています。

ゲーミフィケーションで買い物体験が楽しくなる

SHEINの人気の理由の1つに、ゲーミフィケーションを取り入れた買い物体験があります。たとえば、100ポイント=1円として使えるSHEINポイント。買い物をすれば1円につき1ポイントが付与されますが、ほかにもプロフィール情報を充実させたり、商品レビューを書いたりすることでもポイントが貯まり、次回以降の買い物に利用することができます。

また、SHEINがユニークなのは、ライブコマースやファッションショーといったイベントに力を入れている点です。過去には有名なアーティストやモデル、タレントとコラボしたり、アプリ内でコンサートを開催したりするなど、ファッションをフックとしたさまざまなコンテンツを配信。集客にも長けています。

膨大な商品点数の中からお気に入りを選ぶ。スムーズなUI/UX

1.レディース用のトップスを探そうと、「レディース」「トップス」を検索すると、商品点数が7万点以上表示されます。

悩ましいほどの商品点数。しかも、日々新作が更新されていくので、毎日アプリをのぞきたくなります。

2.商品点数は膨大ですが、絞り込み機能によって効率よく絞り込むことができるため、スムーズに買い物できます。

商品カテゴリーやサイズ、色、袖丈、素材などで商品を絞り込むことができます。カラーの種類が細かく指定できます。

3.お気に入りの商品が見つかったら購入手続きをします。

商品はいわゆる「プチプラ」価格。気に入った服を色違いで購入したくなります。

4.届いた商品です。中国からの発送なので、受け取りまでに2週間ほどかかりました。

商品は1点ずつロゴ入りの袋に包装されており、丁寧さを感じました。受け取りまで時間がかかりますが、海外からの発送で送料500円(2,000円以上買い上げで送料無料)であることを考えると納得の範囲。

商品を実際に手に取ってみたところ、素材によっては値段相応と思うものもありましたが、おおむね「この値段でこの作りなら満足だな」と感じました。

AI活用による効率化とマーケティング戦略が世界展開を可能に

商品デザインや物流にAIを活用し効率化を図ったり、中国内で一般的となっているライブコマースやインフルエンサーマーケティングを海外で導入したり。AI活用とマーケティング戦略で世界展開を実現したSHEINの取り組みは、日本企業にも参考になる部分が多いのではないかと感じた売り方調査隊でした。

著者プロフィール

MD NEXT編集部

お江戸日本橋で日夜売り方・買い方を研究し続けています。コンビニマニア、ECマニア、100均マニアなどなどが集まる、日本で一番「お店」のことが好きで研究し続けている編集部です。