店舗の在庫数量と陳列位置がわかるサービス
現在、カインズの店頭では、上記写真のように「事前在庫確認サービス」と「ネット注文→店舗受取」の新サービスを売場の多くの場所で表示していました。そこで、実際にカインズの新アプリをダウンロードし、まずは、自宅にいながら「マイストア」の在庫数量と陳列位置がわかるサービスを体験してみました。
最初にカインズの新アプリをダウンロードして、自宅近くのマイストアを登録します。「大きな洗濯ハンガー」という商品を検索すると、上記のようにマイストアの在庫数が42個と表示されます。その下の「売場をさがす」という場所をクリックすると、下記のようなマイストアの売場レイアウトと陳列位置がスマホ画面に表示されます。「売場表示が間違っていた際は係員までお声がけください」と表示されており、陳列位置をできるだけ正確に表示しようとしていることがわかります。
このサービスは、カインズの「オンラインショップ」の機能に付加したサービスなので、オンラインショップの画面に移動すれば、下の右の写真のようなレビューを見ることができますし、オンラインで注文して、宅配を選ぶこともできます。
「事前在庫確認サービス」の良い点は、来店したのに欲しい商品が欠品していたという消費者の不満を解消できることです。店頭欠品は、その店に対するロイヤルティを著しく下げるといわれており、個客満足向上に直結するサービスだと思います。
また、売場面積の大きなHCでは、「この商品はどこにありますか?」という質問をしたところ、店員も商品の陳列位置を覚えておらず、売場を行ったり来たりした経験をした消費者は多いと思います。そういう意味で、陳列位置が事前にわかるサービスも、顧客満足向上につながると思います。
「事前在庫確認サービス」は、5年ほど前からアメリカの「ホームデポ」が行っているサービスです。月刊MDやMD NEXTでも何度も記事を掲載しました。また、3年ほど前にカインズの土屋社長(現会長)に頼まれて、カインズ本社でホームデポのアプリの活用事例などを紹介した講演を行いました。ホームデポの事前在庫確認サービスは、下のリンクの記事を参照してください。
ホームデポのアプリを使った「オムニチャネル戦略」については、雑誌やセミナーで報告してきましたが、残念ながら日本の企業はどこも実現していません。カインズの新アプリを使って一番驚いたことは、わずか3年で、アプリを活用した「事前在庫確認サービス」を実現したことです。
カインズの「デジタルシフト」に対するスピード感と本気度が伝わってきます。同社の挑戦し続ける企業文化の一端を見たような気がしました。
ネット注文→店舗受取。BOPIS戦略も開始した
カインズが始めた「ネット注文→店舗受取」の新サービスのことを、アメリカではBOPIS(Bye Online Pickup in Store)と呼んでいます。ウォルマートやホームデポなどの大手小売業は、新規出店がなくても、BOPIS戦略を強化することで、既存店の売上を増やし、企業全体の売上を増やしています。BOPIS戦略の詳細は、下のリンクの記事を参照してください。
カインズの店舗受取サービスの最大の特徴は、アプリのオンラインで注文しても、アプリでは決済しないことです。つまり、「お取り寄せサービス」なのです。決済は店舗で実際に商品の状態や質感を確かめて購入します。たとえば、スマホで見たのとはイメージが違うと思えば購入しなくてもいいので、消費者にとっては安心できるサービスです。
また、店頭で決済をするので、「せっかく来店したのだから」と、他の商品も関連購買や衝動購買をしてくれることも、リアル店舗にとっては大きなメリットです。
注)この原稿を執筆している時点では、コロナウイルスの影響もあり、店舗受取サービスを中止していました。