オープンデータの活用で加速する小売業のデータ分析

続々登場する流通小売業に関する用語や新しいコンセプト。この連載では流通小売業に携わる方であれば知っておきたい新しい用語を取り上げ、解説していきます。今回は、システム開発に関する用語です。

オープンデータ

オープンデータ(Open Data)とは、誰もが自由に入手することができ、再利用・再配布できる公開されたデータのことをいいます。インターネットから無料で自由にダウンロードでき、著作権や利用分野などの制限はなく、加工したデータの再配布や譲渡ができる点が特徴です。

オープンデータは主に、政府や自治体、研究教育機関などによって公開されており、企業のもつビッグデータと組み合わせることでさらなるビジネスチャンスを生み出すなど、経済を活性化させる取り組みとして注目されています。

オープンデータの活用例としては、タクシーの需要予測システムなどが挙げられます。カーナビにAIを搭載し、気象・施設データといった公共データと、タクシー会社の持つ乗降記録などのデータを組み合わせ、需要予測の精度を向上させています。

日本では、総務省がオープンデータ戦略の推進を掲げており、オープンデータの定義を「営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの」「機械判読に適したもの」「無償で利用できるもの」とし、オープンデータに関するガイドラインなども策定しています。

小売業においては、商圏に関する国勢調査データや、人口動態データ、気象データなどがよく活用されています。これらのデータを上手に使うことができれば、データ分析の精度をより高めることが可能になります。

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API

APIは、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略語です。APIは、コンピューター上で機能するプログラム(ソフトウェア)を、利用者により使いやすくなるよう導くインターフェースで、ソフトウェアの機能を共有するための接点の役割を果たします。

APIを利用することで、開発にかかる時間を大幅に削減できるだけでなく、無料で使えるのでコストカットにもつながります。アプリケーション開発を効率的に進めるツールとして、APIは急速に世の中に広がっています。

例えば、たまたま読んでいた記事をFacebookでシェアしたいと思ったとき、APIが導入されていないサイトからは、いちいち手で記事をコピーしてきてFacebookに貼り付け、公開するという手間が発生します。しかし、サイトにFacebook APIが導入されていれば、記事が掲載されているサイトから直接「いいね」をすることができたり、Facebook上でシェアして公開することができます。

同じように、ECサイトでも、アフィリエイト向けのリソースをAPIで公開し、手間なく自社で販売する商品をシェアして販促に結びつける動きがあります。

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RFID

RFID(Radio Frequency IDentification)とは、電磁波を用いて商品に付いたRFタグを非接触で読み書きすることができるシステムです。商品側にはRFタグを取り付け、RFタグ対応のリーダライタなどを用いてデータを読み込みます。

従来のバーコードは、商品に付いたタグを1つ1つ読み取らねばなりませんでしたが、RFIDはスキャナをかざすだけでタグを一括して読み取ることができるため、時間と手間を大幅に削減することができます。また、電磁波が届く距離であれば非接触で読み取りができるため、高い棚にある商品を手に取ったり、箱を開封して商品を1つずつ出すという作業も不要です。RFタグのデータは書き替えが可能ため、バーコードに比べ経済的である点も特徴の1つです。

RFIDの実用例としては、入荷した商品のRFタグをリーダライタで瞬時に読み取り検品を終わらせたり、レジに導入することで会計を迅速に終わらせ待ち時間を短縮したり、リーダライタを店内の主要ポイントに設置することで顧客の行動分析に活用する、などが挙げられます。

近年小売業の在庫管理や決済にRFIDを活用することができないかという実験、議論が進んでいますが、(1)水分が多い商品や、金属を使ったパッケージに添付すると誤動作が起きるという技術的な課題や、(2)1枚あたり十円~数十円という価格の高さという2つの課題から、一部のSPA企業以外では活用が進んでいません。

RFIDの実物(画像はイメージです)

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SaaS

SaaS(サース、Software as a Service)は、従来パッケージ製品としてライセンス販売されていたソフトウェアを、提供者側のサーバにおいて、インターネット経由で必要な分だけ利用する、クラウドサービスの利用形態の1つを指します。

インターネット経由で利用するため、データはインターネット上に残ることや、端末を選ばずアクセスすることができる、チーム内でデータを共有することができるなどの特徴があります。

また、ユーザーにとっては、使用した分だけサービス料が発生するためコスト削減になり、システムの構築・管理が最小限で済みます。また、ユーザー数の増減に対応しやすく、提供側にとっては、ユーザー獲得・サポートに対する障壁が低い、パッケージ製品よりも売上が見込めるなど、それぞれにメリットがあります。

同じくクラウドサービスの利用形態として「IaaS」「PaaS」が挙げられます。IaaS(イアース、Infrastructure as a Service)は仮想サーバやネットワークを、PaaSは(パース、Platform as a Service)はハードウェアやOSなどのプラットフォームを、インターネット上のサービスとして提供するものをいいます。

アジャイル

アジャイル(Agile)は、直訳すると「敏捷な・機敏な・頭の回転が速い」、などになりますが、プロジェクト開発手法としてのアジャイルは、実装とテストを繰り返し、より短い期間で開発をする手法を指します。アメリカのユタ州で2001年、ソフトウェア開発に携わる17名の技術者・プログラマーが開発手法について議論し「アジャイルソフトウェア開発宣言」をまとめたことで一躍主流となりました。

アジャイル開発のイメージは次のとおりです。

1.顧客とエンジニアからなる共同開発チームを立ち上げる
2.開発プロセスを短期間の範囲に分ける
3.どのプロセスから開発に着手するか優先度をつける
4.範囲分けした期間内に要件定義、実装、テスト、修正、リリースをする

以上を繰り返し、開発の精度を高めていきます。

従来のウォーターフォール開発は、プロジェクト立ち上げ当初に定義した要件の変更に柔軟に対応できなかったのに対し、アジャイル開発ではそもそも要件変更を想定しているため、開発を進めながらよりよいプロダクトを追求することができます。

販売チャネルの多様化により登場した「カスタマージャーニー」という概念

続々登場する流通小売業に関する用語や新しいコンセプト。この連載では流通小売業に携わる方であれば知っておきたい新しい用語を取り上げ、解説していきます。今回は、ウェブマーケティングに関わる用語です。

カスタマージャーニー

マーケティングにおいてはモデルユーザーとなる「ペルソナ」を設定し、その「ペルソナ」の購買意欲をかき立てるような商品やサービスを設計しますが、カスタマージャーニーとは、ペルソナの行動や思考、感情など、 顧客が商品の購入に至るまでのプロセスのことを言います。

カスタマージャーニーを理解することで、顧客行動における心理を分析し、顧客の視点に沿ったマーケティング施策を展開することができます。カスタマージャーニーを図式化しアウトプットしたものをカスタマージャーニーマップといい、マップ作成のプロセスを担当者間で共有することで共通認識をもたせ、顧客の視点を軸にした全体最適化をすることができます。

お客様の「行動」、「思考」、「感情」などの動きを見える化することによって接点を明らかにし、情報を効率よく適切なタイミングで提供することもできるようになります。

現代の販売チャネルが多様化、複雑化し、IT技術の向上により取得できるデータ量が飛躍的に増加したこと、データ分析の精度が高度化したことなどによって、カスタマージャーニーという概念が登場したと考えられています。

カスタマーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンスは、日本語に直訳すると「顧客経験」です。言葉どおり、商品・サービスの価格的・物質的価値ではなく、商品を使用することで得られる満足感など、体験を通じて得た心理的価値のことをいいます。

商品をただ購入するだけでなく、商品を選ぶところからはじまり、購入、使用、アフターサポートまでを含めた一連の行動の中でよりよい経験価値を提供し、ブランドのファンを増やすマーケティング手法です。

『カスタマーエクスペリエンス』の著者で顧客経験の考え方を唱えたジョン・グッドマン氏によると、カスタマーエクスペリエンスは、知覚的経験価値・感覚的経験価値・創造的経験価値・行動的経験価値・準拠集団の5つに分類することができます。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、次の2点が有効です。1つ目は、カスタマージャーニーマップを作成し、顧客視点を整理すること。2つ目は、NPS(Net Promoter Score)を用いて、カスタマーエクスペリエンスを数値化し可視化することで改善点を洗い出すことです。こうした取り組みを、「カスタマーエクスペリエンス管理」といいます。

エンゲージメント

エンゲージメント(Engagement)には、「婚約」をはじめ「約束」「契約」などの意味がありますが、マーケティング分野においては、企業と従業員、企業と顧客の信頼関係や強いつながりのことを指します。

従業員エンゲージメントを高めることは、優秀な人材の確保・離職の防止・組織力の強化につながり、顧客エンゲージメントを高めることは、ユーザーのブランド・商品・企業への愛着心を高め、長期的なファン獲得につながります。

エンゲージメントが注目される背景には、昨今のマーケティング環境が大きく変動していることが深くかかわっています。これまでのように、マスメディアを活用した広告・宣伝活動から、より細やかなコミュニケーションを可能とするソーシャルメディアにシフトすることで、一方的だった情報提供の方法が、ユーザーの共感を呼ぶアプローチの仕方へと変化しているのが一例です。

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを運営している場合、エンゲージメントが発生した割合(「エンゲージメント率」)を測定し、企業と顧客間のエンゲージメントを把握することができます。

「これ着たい!」が見つかる・買える、日本最大級のファッションコーデサイト「WEAR」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、日本最大級のファッションコーディネートサイト「WEAR」。みんなの投稿を見て、気に入ったコーディネートをZOZOTOWNやブランド公式サイトで購入できる、ファッションをとおしてつながるSNSをご紹介します。(ライター:宮原智子)

コーディネートサイト「WEAR」

ぱっと見た目に気に入ったアイテムを見つけても、ファッション系インターネット通販は試着ができないため、「着用イメージが湧かない」と購入を諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。

そんなとき、「この服、どんなふうに着たらステキなんだろう」「せっかく買うならいろいろなシーンで着回したい」が提案できたら、「これ着たい!」につながるかも知れません。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、「これ着たい!」が見つかる、買える日本最大級のファッションコーディネートサイト「WEAR」です。

ZOZOTOWNと連携!雑誌をめくるようにファッションを楽しむSNS

「WEAR」は、全部で800万枚以上ものコーディネート画像が掲載されているファッションコーディネートサイト。ユーザーには一般の利用者だけでなく、モデルやタレント、Youtuberなどの有名人も画像を投稿しており、ファッション雑誌をめくるように着こなしテクを閲覧することができるファッションSNSです。

WEARのもう1つの大きな特徴が、IDを連携させることで、気に入ったアイテムを日本最大級のファッション通販サイトZOZOTOWNから購入できる点。「これ着たい!」を確実に「これ買おう!」につなげる仕組みがあります。

「WEAR」を使ってみた

1.好みのコーディネートを検索します。性別・ユーザータイプ・ブランド・カテゴリで絞ったり、ユーザー、アイテム、ブランド、トレンドキーワードから検索することもできます。

はやりのスタイルを検索したければ急上昇ワードから入るのもアリ。

2.お気に入りのコーディネートのこのアイテムが欲しい、と思ったら、コーディネート画像の中のカートアイコンをクリックします。

赤丸のカートアイコンをクリックすると、商品説明・ECサイトへのリンクが表示されます。

3.アイテム説明画面の右サイドに、ZOZOTOWNや公式ブランドサイトへのリンクボタンが表示されます。

画面の右サイドにZOZOTOWNへのリンクボタンが。

4.リンク先のECサイトで購入手続きをします。
※ZOZOTOWNへのリンクを有効にするには、WEARとZOZOTOWNのIDの連携が必要です。

ZOZOTOWNの同じ商品に飛びます。こちらから商品の購入を。

リアルなショッピングの感覚がそこにある

こっちの色味のほうがコーディネートに広がりが出るかな?と選んだグリーン。こんなショッピングも楽しい。

今回購入したのは、プルオーバーのニット3,132円。WEARでチェックした着こなしではブラックだったのですが、ZOZOTOWNの商品ページに飛んだところ、グリーンの色味が気に入ってこちらを購入。「店頭のマネキンが着ていたのはこの色だったけど、カラー展開を見たらこっちが好みだった」という、リアルなショッピングのような感覚を楽しむことができました(しかもZOZOTOWNではWEARの表示価格よりも11%引きだったのでお得でした!)。

ほかにも、WEARではユーザーの身長が公開されているので、自分と似た背格好のユーザーを検索することで着用イメージが湧いたり、どんな着回しができるか参考にすることができます。ショップの店員さんが商品の服を着ていて、コーディネートをアドバイスしてくれるのと近いものがありますね。

まとめ

ファッションアイテムはリアル店舗で手に取ったり、試着してから購入したいという人は少なくありません。WEARとZOZOTOWNの連携は、「これ着たい!」と「これ買おう!」を見事に融合させて、ファッション系ECサイトのウィークポイントを克服した印象があります。

コーディネートを”見る”だけでなく、自らも”発信”する場を提供する、SNS時代ならではの販売促進アイデアは、アパレル以外の小売業にも大いに参考になるのではないでしょうか。

…ちなみに、届いたニットを着用してのコーディネート投稿は、勇気が出たらチャレンジしてみたいと思います。

生産者と消費者がつながるCtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、生産者と消費者がつながる「ポケットマルシェ(通称ポケマル)」。スマートフォンやPCから、旬の野菜や果物、魚や肉が購入できる、産地直送が叶う「食」のCtoCプラットフォームを試してみました。(ライター:宮原智子)

オンラインで旬の食材をお取り寄せできる「ポケットマルシェ」

道の駅や港近くの市場でその日のうちにとれた野菜や魚を買ったことがある人や、ファーマーズマーケットなどで生産者さんと直接やり取りをしてお買い物をしたことがある人は、産地直送の楽しさや、そこで購入した食材の素晴らしさをよくご存じでしょう。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、こうした産地直送をオンラインで実現したCtoCプラットフォーム「ポケットマルシェ」です。

農家さんや漁師さんから直接買える、コミュニケーションできる

「ポケットマルシェ」は、農家さんや漁師さんと直接やり取りをしながら食材を購入できる、産地直送のCtoCサイトです。まるでマルシェを巡るように、全国の生産者さん、豊富なカテゴリの中から旬の採れたて食材を選ぶことができます。

スマートフォンアプリまたはWebサイトから利用することができるため、生産者さんは出品の手間が少なく、消費者は思い立ったときの片手間に、双方向にコミュニケーションをしながら取引できる手軽さが魅力です。

「ポケットマルシェ」を使ってみた

1.購入したい商品を選びます。商品のカテゴリは、野菜・果物や、肉・魚介類、卵・乳、加工食品まで実に豊富。目の前に無限にスーパーマーケットが広がっている感覚です。

検索はカテゴリや都道府県でできるほか、ハッシュタグでキーワード検索できるのも楽しい。

2.購入したい商品が見つかったら、「購入手続きへ」をクリック。

「購入手続き」ボタンから注文手続き画面へ。

3.「お届け先」「お支払い方法」「ご請求内容」「発送の詳細」等を設定し、確認します。生産者への申し送り事項があったらここで記入。

4.お支払い手続きが済むと、メールで生産者からのメッセージが届くので、あとは商品の到着を待つだけです。

別途、生産者さんから、野菜の生育状況をお知らせするメールも届きました。

※農家さんや漁師さんとは、マイページの「注文について問い合わせ」や「「ごちそうさま」を投稿する」からメッセージを送ることでコミュニケーションを取ることができます。プラットフォームを介してのやり取りなので、どちらにとっても安心。

サイト上で生産者さんとやり取りできて、リアルにマルシェでお買い物をしている気分に。

今回は、旬のお野菜セットを注文してみました。農薬・化学肥料不使用の「秋なす」「ピーマン」「きゅうり」「ミニトマト」「玉ねぎ」「じゃがいも」「かぼちゃ」「オクラ」の8種類の野菜が入って、1,690円(税込)。送料を入れると2,500円でした。

生産地、野菜の保存法、調理法などが記載された農園便りも同封されていました。

この内容をスーパーマーケットで購入すれば、商品代金だけで約2,000円。価格面での値頃感はもちろんですが、採れたての新鮮な野菜を直送してくれて、しかも生産者の「顔が見える」ので、まさにマルシェでお買い物をしている気分です(支払いから商品の受け取りまではタイムラグがありますが)。

一期一会の食材に出会える楽しみがある

内容が充実したマガジンから一期一会の食材に出会えることも。

消費者にとって、価格面でのメリットはもちろんですが、新鮮な野菜や魚介をどこにいても購入できるというのは魅力的。スーパーではなかなか取り扱いのない珍しい野菜が見つかることもCtoCならではです。サイト内では「Magazine」を発行し、新着商品や食材別のランキングを紹介しているので、ここから一期一会の食材に出会える楽しみもあります。

まとめ

農家さんや漁師さんが独自に通販をしようとすると、どうしてもネックになるのが送料です。商品代金は安くても、送料が高くて購入を躊躇する方がいるのも事実。ポケットマルシェではヤマト運輸と連携し、送料を最大7割引にすることでこの課題をクリアに。また、SNSや自前のサイトをつくっても思うように集客できないという生産者も、ポケットマルシェに出品することで間口が広がります。

このように、ポケットマルシェを利用するメリットは、消費者のみにとどまりません。「どこにいても買える」を実現する一方で、「どこにいても売ることができる」を叶えるツールは、これからの農業、水産業のあり方を変える可能性を秘めていると感じました。

香りライフスタイルの創造でハッピーに!パーソナライズアロマのECサービス「CODE Meee」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、CODE Meee(コードミー)の「パーソナライズアロマのECサービス」です。自分好みの香りをライフスタイルに手軽に取り入れることで、より幸せな社会を実現したい。新たな香りライフスタイルを創造するスタートアップ、CODE Meeeのアロマミストのパーソナライズサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

香りとITの力で、世の中をアップデートする「CODE Meee」

サイトの装いはシンプル。

シャンプーやボディソープ、洗濯洗剤や香水など、わたしたちの生活は常に「香り」に包まれています。しかしながら、「香り」に対しては、どちらかといえば能動的な人が多いのではないでしょうか。

そうした点に着目し、「香り」と「テクノロジー」を融合させて新たな香りライフスタイルを創造することで、より幸せな社会が実現するのかも知れないと考える、ある小売のスタートアップが存在します。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、自分好みにカスタマイズされたアロマミストが届く、CODE Meee(コードミー)の「パーソナライズアロマのECサービス」です。

個人の好みに香りをカスタマイズ「CODE Meee」のECサービス

パーソナライズされたアロマミストをお届けするECサービスです。

CODE Meeeは「香りとITの力で、世の中をアップデートする」をミッションに掲げるスタートアップ。

アカウント登録後にアロマプロフィールの設問に従って回答をすることで、朝、昼、夜、それぞれのシーンで最適な香りを導き出し、送料無料で自宅に届けてくれる、パーソナライズアロマのECサービスを提供しています。

6つのアロマを基本に、プロフィールをもとにカスタマイズされる香りは3,000パターン以上。主な原料として国産の天然精油をもちいているため、安心して使用することができます。

「CODE Meee」を使ってみた

1.まず、アカウント登録をします。

アカウントを登録したら、プロフィールボタンをクリック。

2.次に、プロフィールを登録します。プロフィールでは、「朝」「日中」「睡眠前」それぞれメインの香り、補足したい香り、エモーション(気分)を選び、最後にライフスタイルを登録します。

6つの基本のアロマから1つを選び、自分好みにカスタマイズします。

3.プロフィールの登録が完了したら、「コードミーを試したい方はこちら」をクリック。

アロマプロフィールの登録が完成したら、商品購入画面に進みます。

4.商品をカートに追加して、会計手続きをします。

「購入する」から支払い手続きをします。

5.注文履歴の「香りの詳細はこちら」から、パーソナライズされたあなただけのアロマを確認することができます。

サムネイル画像から香りがイメージしやすい。

生活の中に手軽に「香り」を取り入れられるアロマミスト

アロマミストスティックが3本、シンプルにおさまっています。

そうして届いたのが、「Start」「Shift」「Sleep」の3つのアロマミスト。朝、昼、夜、異なる3つの香りを、シチュエーションにあわせて室内にスプレーしたり、ハンカチにプッシュして香りをうつしたり、枕にかけたりと、とても手軽に生活の中に「香り」を取り入れることができます。

この3本が1セットで4,500円。1本あたり1,500円(内容量5ml)は一般的なアロマミストと比較して高めですが、フィードバックによってより自分好みの香りにアップデートしていけること、そして何よりあまりの手軽さに、これはリピートしたい、と思いました。

ポストに投函できるサイズのオリジナルパッケージ。

CODE Meeeではヤマト運輸と連携し、ポストに投函できるオリジナルパッケージでの配達を実現しています。「配達の時間に不在にしてたらどうしよう」「再配達を頼まなきゃ」という心配や手間がかからないのはECの大きなメリットです。

個人的に「あったらいいな」と思うのは、プロフィールを登録する際、そのときの体調や疲労具合を選べたり、女性だったら月経周期にあわせたアロマを提案してもらえるサービス。より細かなアロマプロフィールから香りを最適化できれば、自分にとって「唯一」のECサイトになりうると感じました。

まとめ

近年のクラフトブームにも象徴されるように、消費者は大量生産・大量消費から、世界に1つしかないもの、自分にとって唯一のものを求める傾向にあります。そうした流れを受けて、先日ご紹介したsnaq.meしかり、テクノロジーで商品をパーソナライズするECサイトは増加しています。今後は、テクノロジーの力でどこまで「自分好み」に近づけるのか、きめ細かな最適化ができるのかが、こうしたECサービスにとって差別化のキーになるのではないでしょうか。

大量生産はもう古い?「自分だけ」がみつかるクラフトマーケット

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、日本最大級のハンドメイドサイト「Creema(クリーマ)」。作品点数50万点以上、ユーザー月間100万人以上を誇るCtoCサイトです。クリエイターとユーザーの双方向コミュニケーションが生み出す新しいショッピングの楽しみ方を試してみました。(ライター:宮原智子)

世界で1つだけのものが見つかるCtoCサイト「Creema」

近頃、さまざまな分野で「クラフト」がブームです。

ほかにない一点もの。
職人が手間ひまかけてつくったこだわりの逸品。
手にするだけでわくわくするのが「クラフト」のよさ。

これまでハンドメイドの作品を売買できる場は限られていましたが、最近ではこうした作品を扱うCtoCサイトが伸びてきています。

中でも日本最大級の規模を誇るのが、今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるハンドメイドサイト「Creema(クリーマ)」です。

作品を通じて「つながる」

「Creema」は、全国の作家によるハンドメイドのアクセサリー、雑貨、インテリア等をネット・アプリを通じて売買できるCtoCサイト。出品数は50万点以上、月間100万人を超えるユーザーが利用している日本最大級のハンドメイドマーケットプレイスです。

クリエイターにとっては、手軽にネットショップを開設できるだけでなく、作家同士のコラボレーションが生まれたりと活動の幅を拡げるチャンスが。ユーザーにとっては、作品を買うだけでなく、クリエイターと直接つながる楽しみがあります。

「Creema」を使ってみた

1.早速商品を検索しましょう。商品は「作品を探す」、「素材を探す」、「フードを探す」などカテゴリで検索できるほか、キュレーションやブログからおすすめの作品をチェックすることができます。

ウインドウショッピングを楽しむ感覚でサイトを閲覧。

2.気に入った商品があったら買い物かごへ。支払い方法はクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、au・docomo・softbank決済等を利用することができます。

豊富な支払い方法が用意され、誰もが利用しやすい。

3.支払いが済むと、クリエイターからメッセージが届きます。こうして相互にメッセージをやり取りするひと手間があるからこそ、お互いに安心して取引することができます。

クリエイターとつながる感覚が楽しい。

4.商品が届いたら受取完了通知をして取引は終了です。

商品の発送や到着の通知を自分の言葉で伝えられるから、クリエイター・ユーザー相互の信頼感がアップする。

今回、ちょっとそこまでの外出用にミニショルダーバッグを購入しました。価格は2,980円と市販品との変わりはありませんが、「これくらいのサイズで、ポケット位置で、色合いはこれで…」という、自分の理想を満たすものに出会えた満足感は、ハンドメイドマーケットならでは、と感じました。

梱包やメッセージカードにクリエイターの気遣いが感じられる。

CtoCの「心配」を補う、安心・安全な仕組み

個人間の商取引には、「商品は届くのだろうか」「ちゃんと入金されるだろうか」という不安がついてまわります。「Creema」ではこうした心配ごとを取り除く仕組みを取り入れています。その1つがあんしん決済システム。

支払い金額は「Creema」が受け取り、取引が完了したらクリエイターに支払われるため、安心して買い物を楽しむことができます。

買うだけじゃない、「つながる」楽しさ

「Creema」の楽しさは、作品を売買するだけでなく、クリエイターとユーザーが相互につながることができる点にあります。

キュレーション機能は、ユーザー側から「お気に入り」の発信ができる。

例えば、キュレーション機能。キュレーションとは、「情報を収集しまとめること、収集した情報をつなぎ合わせて新しい価値を持たせること」をいいますが、Creema上ではユーザーが気に入った商品を集めて披露するショッピングギャラリーを作成することができます。

キュレーションすることで、クリエイターだけでなくユーザー同士のつながりが生まれる。

ユーザーが、色、季節、素材、応援するクリエイターなど自由にテーマを設定し、独自の感性で作品を紹介することで、別のユーザーと作品との偶然の出会いが生まれる可能性が広がります。

また、「Creema」ではサイトと連動したリアルイベントを開催。クリエイターの祭典「ハンドメイドインジャパンフェス」を主催し、クリエイターとユーザーが直接ふれあう機会を設けています。

まとめ

CtoCという取引形態は、「メルカリ」の登場によって消費者に身近なものとなりました。そのメルカリと比較すると、出品者は自分をブランドとして活動されているクリエイターなので、どちらかというとBtoC寄りのCtoCという印象。また、キュレーション機能など、クリエイターとユーザー、ユーザーとユーザーがつながる多方向からのコミュニケーションの場が設けられている点は魅力です。

これまで小売の現場では、CMやPOPで呼びかけるだけの一方通行のコミュニケーションが主で、ユーザー個々のニーズをキャッチして提案に結びつけるという動きは希薄に感じられました。近年、消費者の目は大量生産・大量消費から、希少性だったりストーリー性を感じられるものへと移りつつあります。自分にとって本当に価値があるものをユーザーが求める時代、「Creema」のような売り手・買い手の双方向コミュニケーションは有効なアプローチといえるのではないでしょうか。

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(3)〜GMS・食品スーパー編〜

夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第3回目の今回はGMS・食品スーパーを特集します。ドラッグストアやコンビニに比べ、地域色が強くあらわれる傾向がある食品スーパー。各社は、どのように情報発信をしているのでしょうか。

SNSを使い分けて効果的に情報発信しているイオン

イオンはLINE公式アカウントを所有しており、フォロワー数は約365万人です。実店舗/ネットショップのセール情報やキャンペーン、イベント情報などを配信しています。

Facebookのフォロワーは約45万人。Twitterのフォロワー数は約24万人で、いずれも内容はキャンペーン情報、商品情報、レシピなどです。

Instagramではレシピの提案画像を投稿しており、テーブルウェアや器、盛り付けなどがおしゃれで、「つくりたい」と思わせるビジュアルです(フォロワー数28万人)。

アプリはチラシやクーポン発行ができるほか、ネットスーパーやオンラインストアにもアクセスすることができます。ネット通販は、イオンネットスーパーをはじめ、産直、酒類、ファッション、スポーツ用品、衣料専門店など多彩なラインナップ。

LINE、Facebook、Twitterは情報発信用、Instagramは「インスタ映え」を見事に捉えたおしゃれな画像で、SNSをうまく使い分けて情報発信している印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.aeon.info
https://www.aeon.com
LINE イオン公式アカウントあり
フォロワー数約365万人
Facebook https://www.facebook.com/aeonretail/
フォロワー数約45万人
Twitter @AEON_JAPAN
フォロワー数約24万人
Instagram aeon_japan
フォロワー数約28万人
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン)
ネット通販 https://www.aeon.com/item/fntnwftcwxhpav5x/
ネットスーパー https://www.aeonnetshop.com/shop/

セブン&アイで認知度高しのイトーヨーカドー

イトーヨーカドーのLINE公式アカウントのフォロワー数は約455万人です。また、各店舗でもLINE@公式アカウントを所有し、店舗独自の情報を発信しています。Facebookのフォロワーは13万人、Twitterのフォロワー数は22万人で、いずれも商品情報やキャンペーン情報が主な内容となっています。Instagramも展開していますが、あまり目を引く印象ではありません。

そのほかにはYoutubeでCM、レシピ、商品情報を配信しています。ネット通販は、セブン&アイ・ホールディングスのオムニ7に含まれており、自宅または店舗で受け取ることができます。LINEのフォロワー数が非常に多く(イオン以上)、認知度の高さがうかがえます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.itoyokado.co.jp
LINE イトーヨーカドー公式アカウントあり
フォロワー数約455万人、各店舗LINE@公式アカウントあり
Facebook https://www.facebook.com/itoyokado/
フォロワー数約13万人
Twitter @Lets_go_Yokado
フォロワー数約22万人
Instagram itoyokado_official
フォロワー数約7,000人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(チラシ、クーポン、ポイント)
ネット通販 https://iyec.omni7.jp/top
ネットスーパー https://www.iy-net.jp

SNSよりも実店舗での集客に注力するユニー

ユニーでは、店舗ごとにLINE@公式アカウントを所有しており、独自にキャンペーン情報やイベント情報を配信しています。

FacebookやTwitter等、その他のSNSは展開しておらず、LINEのみ。アプリはチラシに特化したものです。ネット通販は主にギフト商品やファッション小物、ベビー・キッズ関連商品など。また、ネットスーパーを展開しています。東海圏を中心に店舗を出店しているユニーでは、SNSでの集客や認知よりも、チラシによる地域集客に注力しているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.uny.co.jp
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントあり
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(チラシ)
ネット通販 http://www.apitashop.com/shop/default.aspx
ネットスーパー https://www.apita.co.jp

グループ内部でもソーシャル活用には温度差? ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスでは、今回はマルエツを取り上げます。マルエツでは、LINE、Facebook、Twitter等、SNSの展開はありません。アプリはチラシに特化。ネット通販は楽天店、Yahoo店と大規模に出店しており、グルメ、スイーツなどのギフト向け商品から、日用雑貨、ファッション、介護用品等幅広く取り扱っています。マルエツではSNSには注力していませんが、別事業体のカスミ、マックスバリュでは、LINEやFacebook等を用いた情報発信に積極的であり、グループ会社でも差異があるようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.usmh.co.jp
https://www.maruetsu.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(チラシ)
ネット通販 https://www.rakuten.ne.jp/gold/maruetsu/index.html
ネットスーパー https://maruetsu.net

キャラクターを活用して情報を発信するライフコーポレーション

ライフではLINE@公式アカウントを所有し、店舗ごとに独自の情報を発信しています。SNSの活用には積極的で、Facebookのフォロワー数は約1.5万人、Instagramのフォロワー数は約2,300人、そのほかにYouTubeを展開しています。

SNSの主な内容として、Facebookでは店舗情報やお料理のレシピなど、Instagramではオリジナルキャラクターのララピーを紹介しています。YouTubeではデイリーレシピとして、2分ほどのクッキング動画を配信。ぞれぞれのSNSにあった活用の仕方をされている印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.lifecorp.jp
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントあり
Facebook https://www.facebook.com/lifecorp428/
フォロワー数約1.5万人
Twitter なし
Instagram lalapi0428 (ララピー)
フォロワー数約2,300人
その他のSNS Youtube(ララピー)
アプリ あり(チラシ、お買い得情報、会員登録)
ネット通販 https://www2.lifecorp.jp/front/
ネットスーパー http://www.life-netsuper.jp

地域に密着したリアルサービスを提供するアークス

アークスは北海道・東北地方に9つのグループ店舗を展開しますが、事業体の各店舗によってLINE公式アカウントを有しているところもあります。Facebook、Twitter、Instagramはいずれも展開していませんが、帯広から根室にわたって出店している「フクハラ」には公式アプリがあります。内容は、チラシ、レシピ、ポイント等。SNSやWebを介したサービスには全体的に消極的なアークスですが、「フクハラ」では店舗で購入した商品をその日のうちに配達してくれる「お助け便」というリアルサービスを提供しています。SNSよりも地域に密着した集客、サービスに注力しているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.arcs-g.co.jp
LINE 店舗ごとLINE@公式アカウントあり
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ フクハラ公式アプリ
ネット通販 なし
ネットスーパー 不明
その他 お助け便

SNSではなくリアルな「場」で地域貢献 バローホールディングス

バローホールディングスは、LINE、Facebook等いずれのSNSも展開していません。チラシ情報はアプリではなく、ブラウザでの配信です。東海地方を中心に店舗を出店するバローは、2018年4月、移動販売車「旨味屋号」を展開する旨味屋クラブと資本業務提携し、移動販売車での食品販売を開始しました。このように、バリーはSNSやネット通販などインターネットでの情報発信ではなく、実店舗や移動販売などリアルな場での地域貢献を図っているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://valorholdings.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし
その他 移動販売車

人をクローズアップした親しみある投稿で情報発信するヤオコー

ヤオコーは、店舗ごとにLINEの公式アカウントを所有しています。そのほかにSNSは「ヤオコーのこころ」「ヤッポーのヤオコーまるかじり」という2つのFacebookページを展開。全社では店舗紹介、商品紹介、イベント情報に加え、スタッフを紹介する投稿、後者では、ヤオコーのキャラクター「ヤッポー」が、四季折々の情報や店舗紹介をしています。他企業のSNSは商品紹介を主とするのに対し、ヤオコーのFacebookページはスタッフなど、「人」にクローズアップする傾向があり、親しみやすい情報発信の仕方をしているように感じられます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.yaoko-net.com
LINE 店舗ごと公式アカウントあり
Facebook https://www.facebook.com/yaokococoro 
フォロワー数約2,500人
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン)
ネット通販 なし
ネットスーパー https://www.ns.yaoko-net.com/front/app/common/index

まとめ

  • SNSやネット通販に力を入れているところ、リアル店舗経営に注力しているところが二極化している印象。
  • 地域に特化したスーパーはSNSよりも移動販売などリアルなサービスに注力している。

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(2)〜ドラッグストア編〜

夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査しました。第2回目の今回はドラッグストアを調査します。それぞれどのようにSNSを活用しているでしょうか。(フォロワー数等は2018年7月末のもの)

通販サイトへの注力を感じさせるウエルシアホールディングス

ウエルシアホールディングスでは、主たる事業会社としてウエルシアを取り上げます。ウエルシアでは、店舗ごとにLINEの公式アカウントを持ち、店舗独自の情報を発信しています。Facebookのフォロワー数は約130人、Twitterのフォロワー数は約1,250人。内容は、商品紹介やイベント情報などの発信が主です。

アプリはTポイントと連動し、クーポンや購入履歴の閲覧を可能にしています。

公式通販サイトでは、医薬品、ビューティー、介護商品、ベビー、ペット、食品など、店頭と同様幅広いラインナップを展開しています。通販サイトでは夏はUVケア、デオドラント、殺虫剤など、トップページで季節商品の特集を組んだり、カテゴリごとのおすすめ商品が分かりやすく表示されたりと、視覚的、心理的にアクセスしやすい工夫がされています。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.welcia.co.jp/ja/index.html
http://www.welcia-yakkyoku.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/welciacom/
フォロワー数約130人
Twitter @welciacom
フォロワー数 約1,250人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(Tポイントと連動したクーポン、購入履歴の閲覧)
ネット通販 https://www.e-welcia.com
ネットスーパー なし

店舗ごとにファンが多いツルハホールディングス

ツルハホールディングスでは、主たる事業会社としてツルハドラッグを取り上げました。ツルハドラッグではLINE@の公式アカウントを店舗ごとに導入しており、フォロワー数の多い店舗では2万人を超えています。

Facebookでは主にツルハドラッグ主催のイベントレビューを掲載し、フォロワー数は約3,700人となっています。Twitter、Instagramのアカウントはなく、ツルハグループ各店舗共通のクーポン発行アプリ「FAN!」を展開。

通販サイトは、医薬品をはじめ介護、ベビー、ペット、食品など店頭と同様多彩な品ぞろえです。

LINE@の店舗ごとフォロワー数が多く、実店舗のファンが多いという印象を感じさせるSNS展開でした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.tsuruha-hd.co.jp
http://www.tsuruha.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/tsuruha.drug/
フォロワー数約3,700人
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(グループ各店舗共通のクーポン発行)
ネット通販 https://shop.tsuruha.co.jp
ネットスーパー なし

LINEのフォロワー数は業界随一マツモトキヨシホールディングス

マツモトキヨシホールディングスでは、主たる事業会社としてマツモトキヨシを取り上げました。マツモトキヨシではFacebook、Twitter、Instagram等のアカウントは所有しておらず、LINE公式アカウントのみの運営。そのフォロワー数は約1,960万人と、ドラッグストア業界随一の数を誇ります。LINEの主な内容は、限定クーポンの配信です。

マツモトキヨシのアプリには、会員証、クーポンの他、処方箋の送信機能が搭載されています。こちらもたびたび送信される割引クーポンがあり、店内の商品をお得に購入することができます。

マツモトキヨシでは、会員登録をすることで、ポイントカード、通販サイト、店頭、アプリを紐付け、通販サイトで購入した商品をお店にお取り置きしたり、購入履歴を閲覧することができます。LINE、ウェブサイトともエンターテインメント性があり、ワクワクする楽しさがあると感じました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.matsumotokiyoshi-hd.co.jp
http://www.matsukiyo.co.jp
LINE LINE公式アカウントあり
フォロワー数約1,960人
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(会員証、クーポン、処方箋の送信)
ネット通販 http://www.matsukiyo.co.jp/store/online
ネットスーパー なし

SNSに注力はしていないサンドラッグ

サンドラッグは、LINE@の公式アカウントを所有する店舗はいくつかありますが、Facebook、Twitter、Instagram、その他のSNSはいずれも展開していません。

サンドラックグループでは公式アプリをダウンロードしマイページ登録すると、チラシやお買い得情報が届くほか、ポイントカード会員証として使用することができます。

通販サイトは、e-shop本店のほか、Amazon、楽天、Yahoo!へも出店しています。サンドラッグはSNSには注力していませんが、アプリや通販サイトの充実を図っている印象でした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.sundrug.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン、チラシ)
ネット通販 https://ec.sundrug.co.jp/top/
ネットスーパー なし

SNSでの自己発信には消極的なコスモス薬品

コスモス薬品は店舗ごとにLINE公式アカウントを展開しているのみですが、各店舗ともフォロワー数は1,000人前後からそれ以下とみられます。アプリはありません。

通販サイトでは、医薬品、衣料雑貨、健康食品、化粧品等を販売しており、シンプルなつくりになっています。コスモス実店舗でしか購入できない商品も、この通販サイトで購入することができます。

SNSやアプリで自己発信をするよりも、実店舗での販売に注力しているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.cosmospc.co.jp
LINE 店舗ごと公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://shop.cosmospc.co.jp
ネットスーパー なし

マツキヨに次ぐLINE登録数。SNSやアプリで実店舗への来店を促すスギホールディングス

スギホールディングスでは、主たる事業会社としてスギ薬局を取り上げました。

スギ薬局は、LINE@公式アカウントを所有しています。フォロワー数は約1,125万人と、マツモトキヨシに次ぐ多さです。このほかにTwitterの公式アカウントも展開していますが、フォロワー数は約500人と奮いません。アプリは、クーポンとチラシ情報を閲覧することができます。スギ薬局はネット通販は行っていません。LINE@の内容やアプリはいずれもクーポンやポイント倍デーなど、実店舗への来店を促すものであり、このことからも店舗での販売に注力しているといえそうです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.drug-sugi.co.jp/hd/
http://www.sugi-net.jp
LINE LINE@公式アカウントあり
フォロワー数約1,125万人
Facebook なし
Twitter @drug_sugi_net
フォロワー数約500人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(クーポン、チラシ)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

SNS、アプリ、実店舗がバランスよい印象のココカラファインホールディングス

ココカラファインホールディングスでは、主たる事業会社としてココカラファインを取り上げました。ココカラファインでは、店舗ごとにLINE@公式アカウントを運営しています。

Facebookはイベント情報、商品紹介、季節の特集などを主な内容としており、フォロワー数は約2万人。Twitterはフォロワー数約20万人に向けて、健康・美容のお役立ち情報を配信しています。アプリはクーポン、チラシの閲覧、会員証として使用することができます。

通販サイトでは、医薬品をはじめ化粧品、日用品、食品など、店頭と変わらぬ品ぞろえ。SNSのフォロワー数と、アプリ、ネット通販、実店舗のバランスがよい印象を受けました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://corp.cocokarafine.co.jp/index.html
https://www.cocokarafine.co.jp/top/CSfCustomerTop.jsp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook https://www.facebook.com/cocokarafineInc/
フォロワー数約2万人
Twitter @cocokarafineInc 
フォロワー数約20万人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ ある(クーポン、チラシ、ポイント)
ネット通販 https://www.cocokarafine.co.jp/f/dsf_app
ネットスーパー なし

SNSは展開せず実店舗に注力するカワチ薬品

カワチ薬品では、LINEをはじめFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSはいずれも展開しておらず、Webを通じた情報の配信やプロモーションは行っていません。また、アプリや通販サイトを運営していないことからも、メガ・ドラッグストアとしての実店舗での販売に注力しているといえます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.cawachi.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

ネットでの通販に積極的でないクリエイトSDホールディングス

神奈川県に本拠を置くクリエイトSDでは、店舗ごとにLINE@の公式アカウントを展開していますが、Facebook、Twitter、Instagram等のSNSで情報発信はしていません。クリエイトSDの通販サイトでは、商品を注文して店舗で受け取ることができます。また、製造中止品や店頭にない商品を探して取り寄せるサービスも行っています。SNSで情報を発信しなくても、通販での購入品を店頭で送料無料受け取りできることで、店舗への来店を促しているといえます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.createsdhd.co.jp
http://www.create-sd.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 http://netshop.create-sd.co.jp/shop/default.aspx
ネットスーパー なし

実用的な通販サイトをもつクスリのアオキホールディングス

クスリのアオキでは、SNSでは唯一Twitterを展開していますが、ツイートはなくフォロワーは約60人と、活用はされていません。アプリはなく、通販サイトを運営しています。通販サイトでは飲料、医薬品、健康食品等を扱っており、トップページでは季節物商品やケース販売コーナーの特集が組まれるなど、ネット販売を利用するお客さまに訴求しています。あまり積極的にSNSで自己発信はしていませんが、ネット販売や実店舗に注力しているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.kusuri-aoki-hd.co.jp
https://www.kusuri-aoki.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter @kusuri_aoki
フォロワー数約60人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 http://shop.kusuri-aoki.co.jp/shop/
ネットスーパー なし

積極的なSNS展開をするサツドラホールディングス

サツドラホールディングスでは、主たる事業会社としてサッポロドラッグストアーを取り上げました。サッポロドラッグストアーのLINE@公式アカウントのフォロワー数は約15万人。Facebookは約1,300人、Twitterは約13,000人、Instagramは約1,300人、そのほかにもYoutubeを展開するなど、SNSを大いに活用しています。SNSの内容は、商品紹介やイベント情報など。季節ネタも積極的に発信しています。サッポロドラッグストアーでは店舗独自のアプリはもっていません。ネット通販サイトは。商品からの検索、症状別に検索、カテゴリごとに検索など、シンプルですが使いやすい印象です。サッポロドラッグストアーのSNS展開はドラッグストア業界ではトップクラスで、情報発信力に非常に長けている印象でした。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://satudora-hd.co.jp
https://www.satsu-web.jp
LINE LINE@の公式アカウントあり
フォロワー数約15万人
Facebook https://www.facebook.com/sapporodrug/
フォロワー数約1,300人
Twitter @satsu_dora
フォロワー数約13,000人
Instagram satudora_official
フォロワー数約1,300人
その他のSNS Youtube
アプリ なし
ネット通販 http://shop.satsudora.com/shop/
ネットスーパー なし

ユニークなアプリでお客さまの健康をサポートする薬王堂

岩手県に本拠を構え、東北地方を中心に店舗展開する薬王堂は、SNSは店舗ごとにLINE@公式アカウントを運営しているほか、公式サイト内に情報コンテンツ「KURASONE」を設け、YouTubeで商品情報を発信しています。

そのほかに、非常におもしろいと感じるのがアプリです。薬王堂の公式アプリは、クーポンやお得情報が検索できる点では他社アプリと同様ですが、特筆すべきは万歩計機能です。この万歩計機能は歩数を重ねれば重ねるほど「わいわいマイル」がたまり、公式アプリ内でクーポンと交換することができます。お客さまにウォーキングを促すという、健康をサポートするドラッグストアならではのユニークな取り組みだと感じました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.yakuodo.co.jp
LINE 店舗ごとにLINE@公式アカウント
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS Youtube
アプリ あり(クーポン、ポイント、歩数計)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

地域密着型の店舗経営に注力するゲンキー

ゲンキーは、LINEやFacebook、Twitter等、SNSはいずれも展開していません。また、他店舗にあるようなアプリやネット通販サイトももちません。ゲンキーは北陸・中部地方に店舗を展開していますが、広大な駐車場を備えたメガ店舗が多く、食品も含めた商品点数が豊富です。地域密着型の店舗のため、SNSにタオルのではなく、チラシによる集客、実店舗の経営に注力している印象です。オリジナルブランドの商品が多く、今後SNSで自己発信をすることで認知度が高まれば、さらなる集客につながる可能性があるかもしれません。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.genky.co.jp
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

まとめ

  • ドラッグストアは各店舗でLINE公式アカウントを持ち、店舗独自の情報発信をしている企業が多い。
  • SNSを十分に活用できている企業は数社にとどまる。
  • 実店舗やネット通販に注力する企業が多い。
  • SNSの活用においては他社との差別化ができていない印象。

小売業各社のSNS施策をまとめてみた 2018夏(1)〜コンビニ・100円均・ディスカウントストア編〜

夏休み特別企画として、小売業のSNS活用状況を調査し、まとめてみたところ、業態・企業ごとに特徴が見えてきました。第1回目となる今回はコンビニ、100均、ディスカウントストアを特集します。それぞれどのようにSNSを活用しているでしょうか。(フォロワー数等は2018年7月末のもの)

YouTubeでのレシピ動画の配信がユニークなセブン-イレブン


セブン-イレブンのLINE公式アカウントのフォロワー数は約110万人で、プライベートブランドや店頭でのコーヒーの割引クーポンを配信しています。Facebookのフォロワー数は約90万人、Twitterのフォロワーは約310人で、商品情報の発信が主な内容となっています。Instagramはフォロワー数約16万人ですが、商品画像は特に工夫がされている感じはなく、訴求効果に薄いように感じられました。

その他のSNSとしてはYouTubeを展開しており、セブンイレブンの食材を使った簡単料理のレシピを公開しています。

アプリは店頭で使えるクーポンやポイントの配信。ネット通販はオムニチャネルを推奨するセブンイレブンらしく、DVDや書籍などのコンテンツを販売する7ネット、お弁当をはじめとする食品を扱う7-11ネットを展開しています。

YouTubeのレシピ動画は、「レディミールはコンビニ、食材はスーパー」からコンビニワンストップで夕飯準備が叶うという手軽さを提供するという点でユニークです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.sej.co.jp
LINE セブンネット公式アカウントあり
フォロワー数約110万人
Facebook https://www.facebook.com/711.SEJ/
フォロワー数約90万人
Twitter @711SEJ
フォロワー数約310万人
Instagram seven_eleven_japan
フォロワー数約16万人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(クーポン、ポイント)
ネット通販 https://7net.omni7.jp/top
https://7-11net.omni7.jp/top
ネットスーパー なし

特定商品キャラクター化で親しみのある情報発信するファミリーマート


ファミリーマートのLINE公式アカウントはフォロワー数が約155万人。Facebookのフォロワー数は約56万人です。

Twitterのアカウントは、フォロワー数約126万人で、主に商品情報を発信している公式アカウントと、ファミリーマートの人気商品「ファミチキ」をキャラクター化したファミチキ先輩アカウント(フォロワー数が約30万人)の2アカウント。Instagramは人気商品「フラッペ」に特化したアカウントを展開しています。

ファミリーマートのフラッペのインスタグラムアカウント。

ほかにもYouTubeで、「ファミコレ」を用いた時短レシピを紹介するなど、SNSでの情報発信を積極的に行っています。ネット通販は、ギフト販売のほか、彩ダイニングというサイトで食事制限を必要とする方向けのお弁当販売を展開。

ファミチキやフラッペなど、特定の商品をうまくキャラクター化し、認知度を高めていこうとする意図がうかがえました。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.family.co.jp
LINE ファミリーマート公式アカウントあり
フォロワー数約155万人
Facebook https://www.facebook.com/familymart.japan/
フォロワー数約56万人
Twitter @famima_now
フォロワー数約126万人
@famichikisenpai
約30万人
Instagram familymart_frappe
フォロワー数約1,650人
その他のSNS Youtube
アプリ あり(ポイント、新商品情報、キャンペーン情報)
ネット通販 https://gift.famima-net.jp
http://www.irodori-dining.com
ネットスーパー なし

AIキャラクター「あきこちゃん」がSNSの主役 ローソン

ローソンではローソンクルーの「あきこちゃん」をシンボルキャラクターにSNSを展開しています。
フォロワー数約250万人のLINE公式アカウントでは、一方的に商品情報等を配信するだけでなく、AIあきこちゃんとの会話を楽しむことができます。Facebookはフォロワー数61万人、Twitterは約327万人、Instagramは約21万人とフォロワー数も多く、強力な情報発信ツールとなっているようです。

このほかに、YouTubeやInstagramで商品情報を発信中。
また、アプリから注文した生鮮食品を店舗で受け取る「フレッシュピック」というサービスを展開し、アプリとコンビニを併用することでスーパーのような買物ができる方法を提案しています。

独自のキャラクターを据え、一方的な情報配信ではなくAIによる双方向コミュニケーションを実現している点で、消費者のほうを向いている印象があります。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.lawson.co.jp/index.html
LINE ローソン公式アカウントあり
フォロワー数約250万人
Facebook https://www.facebook.com/lawson.fanpage/
フォロワー数約61万人
Twitter @akiko_lawson
フォロワー数約327万人
Instagram akiko_lawson
フォロワー数約21万人
その他のSNS YoutubePinterest
アプリ あり
(ローソンアプリ
フレッシュピック(生鮮物をアプリで注文、店舗でピックアップ))
ネット通販 https://www.lawson.co.jp/service/gift/lsg/
ネットスーパー なし

Twitterアカウント開設2週でフォロワー1万3000人、コアなファンつかむセイコーマート

大手3社のコンビニに比べ、SNSの活用があまり目立っていなかったセイコーマート。唯一運営していたFacebookはフォロワー数約4,000人と小規模ですが、商品情報だけでなく、拠点の北海道を中心とするローカルイベントや地域密着型の情報を提供し、コアなファンをつかんでいました。

2018年7月にTwitterアカウントを開設。フォロワーは約1万4000と一気に増えました。「セコマ」という呼び名で北海道以外の地域にもファンがいるセイコーマート、フォロワー数は他のコンビニにはまだ及びませんが、今後の情報発信の展開によっては人気が出そう。

アカウント開設時のツイートには1万以上のいいねがついた。

アプリには会員証機能や、クーポン、店舗検索機能があります。ネット通販は地元北海道の食品やスイーツ、酒類などを扱っており、ギフトとしても喜ばれる商品展開。
SNSでの自己発信よりも、北海道という地域に密着した実店舗としての強みを高めることに注力している印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seicomart.co.jp
LINE なし
Facebook https://www.facebook.com/Seicomart.official/
フォロワー数約4,000人
Twitter @Seicomart_TW 
フォロワー数約1万4,000人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(会員証、クーポン、店舗検索)
ネット通販 https://online.seicomart.co.jp
ネットスーパー なし

ハッシュタグでお客が情報発信するダイソー

ダイソーは、LINE公式アカウントのフォロワー数が約35,000人、Facebookのフォロワー数約76,000人、Twitter約3万人で、Instagramは約68万人です。

いずれも商品紹介を主な内容としており、商品の便利な使い方やおしゃれなコーディネートを提案するといった投稿はありません。

ダイソーではネット通販を展開していますが、1アイテム500個以上の大量注文のみ扱っており、送料は無料です。

ダイソーはこのように自己発信にはあまり注力していませんが、FacebookやInstagramなど、各SNS上でハッシュタグで取り上げられる件数が非常に多く、意図せず他者発信されているようです。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.daiso-sangyo.co.jp
LINE ダイソー公式アカウントあり
フォロワー数約35,000人
Facebook https://www.facebook.com/daisosangyo/
フォロワー数約76,000人
Twitter @daiso_sns 
フォロワー数約3万人
Instagram daiso_official 
フォロワー数約68万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://www.daiso-sangyo.co.jp/volume

自社からの情報発信ゼロ、にもかかわらずハッシュタグで盛り上がるセリア

セリアはLINE、FacebookなどSNSによる自己発信はしていません。ネット通販も行っていないため、プロモーションの場は実店舗のみとなります。

しかしながら、例えばInstagramで「セリア」を検索すると、「収納」「リメイク」「ネイル」「コスメ」など、関連ハッシュタグが次々ヒットします。

TwitterやFacebookでも同様に、セリアに関連するハッシュタグは非常に多く見られます。近年、DIYブームや100均商品のリメイク術が話題となっていることと、セリアはおしゃれな商品が多いため、このように自社SNSを持たなくても注目されるのではないかと思われます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.seria-group.com
LINE なし
Facebook なし
Twitter なし
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 なし

SNS上のコラボも実現 キャンドゥ

キャンドゥは、店舗ごとにLINE公式アカウントを運営し、情報を自己発信しています。

新商品情報やワークショップ・イベント情報を配信するTwitterのフォロワー数は約3,000人。商品情報を発信するInstagramのフォロワー数は約38万人。

特にInstagramは、他100円ショップやコンビニ、スーパーに比べてとてもおしゃれなイメージで、「こういう使い方があるのか」「こうして使えば100均とは思えない」といった驚きや気づきを提案しています。

キャンドゥは、Instagramなどで人気のハリネズミ「あずき」や、猫の「すずめ」、柴犬の「MARU」など、人気インスタグラマーとのコラボレーションも次々展開しており、アニマルファンからの注目も集めています。公式サイト上では商品を使ったクラフトレシピも公開しており、自社商品の活用方法を紹介。他100円ショップよりも情報発信に積極的な印象です。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト https://www.cando-web.co.jp
LINE 店舗ごと公式アカウントあり
Facebook なし
Twitter @cando_official
フォロワー数約3,000人
Instagram cando_official 
フォロワー数約38万人
その他のSNS なし
アプリ なし
ネット通販 https://ec.cando-web.co.jp
ネットスーパー なし

お客様とSNSで交流し、話題性を意識するドン・キホーテ

ドン・キホーテは、店舗ごとLINEの公式アカウントを所有し、クーポンの配信などを行っています。また、フォロワー数約3万人のFacebookを運営。季節商品や新商品情報を提供しています。Twitterのフォロワー数は約14万人で、内容は主に店頭からのおすすめ商品の画像投稿です。

2017年7月ごろには「#ドンキさん への人生相談」が話題となりました。店舗からの一方通行な情報提供ではなく、ファンとの交流も大なっています。

ドン・キホーテは商品の陳列方法や商品の話題性などフォトジェニックなポイントが多く、自社SNS以外でのハッシュタグ投稿も多く見られます。Twitterでのファンとのコミュニケーションなど、話題性を意識したドン・キホーテらしい展開といえます。

■SNSアウトライン

企業ウェブサイト http://www.donki.com
LINE 店舗ごと公式アカウントあり
Facebook https://www.facebook.com/donki.jp/
フォロワー数約2万人
Twitter @donki_donki
フォロワー数約14万人
Instagram なし
その他のSNS なし
アプリ あり(電子マネーアプリ)
ネット通販 なし
ネットスーパー なし

まとめ

  • コンビニはSNSの活用に非常に積極的で、フォロワー数も多い。多彩に使いこなす。
  • 100円ショップは自社SNSでの発信よりも、SNS上のハッシュタグが盛り上がっている傾向。
  • 店舗からの一方的な情報提供ではなく、企業とファンのコミュニケーションの場としてSNSを活用する事例も。

「自分好み」が届く!?ギルトフリーなおやつのサブスクBOX

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、snaq.me(スナックミー)の「おやつの定期購入サービス」です。「おやつを食べたいけど、でも…」という罪悪感を取り除く、ギルトフリーな同社のおやつ購入サービスは、アンケートに答えることで自分好みのおやつが届く、というユニークなもの。snaq.meの「スナックサブスクリプションBOX」を試してみました。(ライター:宮原智子)

「食べたい…でも」がなくなるギルトフリーなおやつ

仕事でストレスにさらされたり、
昼下がりに小腹がすいたり、
育児疲れでほっとひと息つきたかったり。

わたしたちはさまざまなシーンで「おやつ」を食べたくなることがあります。

けれども、おやつの食べすぎは体に悪いのではないか、カロリーを過剰摂取しすぎて太るのではないか。そうした罪悪感を抱えながら今日もおやつを食べている方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

今回「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、「ギルトフリー」をコンセプトとするsnaq.meの「ギルトフリースナックの定期購入サービス」です。

「自分好み」が届く、おやつの定期購入

snaq.me(スナックミー)のコンセプト「ギルトフリー」とは、食べても罪悪感(guilt: ギルト)を感じない、という意味。人工着色料や香料、保存料、精製した白砂糖やマーガリンなどは不使用で、子どものおやつにも安心です。snaq.meでは、そうした安心・安全なおやつを定期的に届けるサービスを提供しています。

ユニークなのは、会員登録時にサイト上でアンケートに答えることで、「自分好み」のおやつを選択してくれるところ。毎月新商品が生まれており、現在その数150種以上、実に1800億とおりもの組み合わせがあるのだそうです。

snaq.meのおやつ定期購入サービスを試してみた

1.トップページから「snaq.meを始める」をクリックします。

わくわく感をかき立てるsnaq.meのトップページ

2.設問に沿ってアンケートに答えます。「おやつを食べる時間帯」「おやつを食べる頻度」「アレルギー」「年齢」など、設問は全部で10問ほど。

クリック1つで答えていける気軽な設問ばかり。

3.次に、味覚や食感の好みについて答えていきます。味の好みなどを登録せず、完全にsnaq.meにおやつのチョイスを任せたい場合は、この工程をスキップすることもできます。

クッキー、パウンドケーキ、ドライフルーツなど画像つきで表示されるので、味をイメージしながら答えることができます。

4.ここまでのアンケートデータをもとに、snaq.meがおやつを選んでくれました。さっそく注文。ちなみに、おやつは注文後に変更・キャンセルすることも可能です。

「へー、なるほど」と思いながら、選ばれたおやつを眺めるのもまた楽し。

ほんとうに「自分好み」が届くのか

スリムなパッケージで届きます。

そうして届いたのがこちら。
パッケージがナチュラル素材感を出していて、開けるのが楽しみ!

中身は「手作りグラノーラ黒糖くるみ」「レモンソルトミックスナッツ」など8種で、アンケートでグラノーラ系、ナッツ系、クッキー系を好みとして登録したわたしとしては満足の内容。いただいてみると、自然な甘みを感じる食べ疲れや食べ飽きることのない味わいでした。

マイページからは、味の好みをカスタマイズしたり、商品リクエストすることができます。発送頻度を変更することも可能。

なお、注文と同時に生成されるマイページでは、届いた商品の評価や、最初に答えた好き嫌いの登録変更、おやつのリクエストをすることができるので、購入を重ねて評価をする、こまめに好き嫌いをカスタマイズすることで、好みにあったおやつが届く精度が上がります。

コンビニスイーツと変わらない価格帯、でもギルトフリー

「クランベリー&アーモンドクッキー」は、ベリーの酸味とナッツの香ばしさが程よい、満足感のある一品でした。

snaq.meの「ギルトフリースナックの定期購入サービス」は、1回1,706円(税込・送料無料)。8種類のおやつが入っているので、1つあたりのお値段は約213円です。内容量は1パック15g〜35g。おやつの種類によって異なりますが、クッキーだと4〜8枚。コンビニでオリジナルスイーツを購入するのと同価格帯で安心して食べられるおやつが届くと思うと、わたしは納得のお値段、と思いました。

パッケージのデザインがシンプルでかわいらしいので、ギフトにもおすすめ。

ところで、お菓子は量のわりにかさばるため、お取り寄せをしようとすると一般的に「送料が高い」のが悩みのタネだったりします。しかし、snaq.meではBOXのサイズをポストに投函できる大きさにすることで送料問題を解決。全国一律送料無料を実現し、利用者の心理的障壁を取り除いているのだそう。

まとめ

今後、少子化で購買率が低下していくといわれている中で、こうした「安心・安全」を提供する商品は、消費者側から見ても分かりやすい「差別化」の一例です。ギルトフリーというコンセプトを明確にし、子どもや妊婦さん、健康が気になりはじめた社会人にターゲットを絞ることで、訴求効果を上げるsnaq.me。何よりも、健康管理というストイックなイメージを、「テクノロジー×おやつ」でワクワク感のあるものに変えていくという姿勢がユニークに感じました。