NFI定例セミナー「2023年の変化対応戦略」ほか(2023/1/25 13:00~16:20)開催ご案内(リアル・リモート)

1月の定例セミナーのテーマは、「23年の大変化と最重点経営課題」です。ドラッグストアを初めとする小売業同士の競争が激化し、「狭小商圏化」が加速しています。また、生鮮強化、コスト削減、調剤の既存店の強化、ヘルスケアハブとしての機能強化、本格的なDXへの挑戦、リアルとオンラインの融合など、かつての競争とは次元の異なる大きな変化が起きようとしています。

2023年1月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

2023年の最初のセミナーでは、これから数年にわたって必ず起こる大変化と、変化対応するための重点テーマを解説します。

2番目の講座では、コロナ禍で大きく変化した顧客満足度(CS)向上のための重点ポイントについて解説します。2022年ドラッグストア顧客満足度調査結果の詳細を解説します。

3番目の講座では、最近取材した最新店舗に学ぶ売り方の変化というテーマで解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2023年1月25日(水)13:00~16:20(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール2号館6階
※1号館ではございません。案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2023年1月16日(月)

スケジュール

[第1講座]
2023年の変化対応戦略
[13時~14時30分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ 狭小商圏時代の成長戦略&業態開発戦略
■ ローコストオペレーション戦略、粗利ミックス戦略、調剤の既存店活性化戦略
■ 加速するリアルとオンラインの融合戦略 その他

[第2講座]
コロナ禍の顧客満足度(CS)向上戦略
[14時40分頃~15時40分頃]

月刊MD編集長 野間口 司郎

■ 2022年顧客満足度調査に見るコロナ禍のCS向上戦略
価格調査でわかった値上げの実態
■ 閉店前100%補充の仕組みづくりがCSを向上させる その他

[第3講座]
最新店舗に学ぶ売り方の変化
[15時50分頃~16時20分頃]

月刊MD編集部

■ 最近取材したドラッグストア、ホームセンターの新店紹介 その他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0047
東京都千代田区内神田3-24-5
エッサム神田ホール2号館6階(2-602)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/

【アクセス】
●JR神田駅 東口・北口・西口 徒歩2分
●東京メトロ銀座線 神田駅 4出口 徒歩2分
●東京メトロ丸の内線 淡路町駅 A1出口 徒歩5分
●都営新宿線 小川町駅 A2出口 徒歩5分

注意事項

アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

1月20日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

店頭メディアは流しっぱなしの動画配信から、視聴率、売上増が検証できる媒体へと進化する

棚のサイネージにUSBを差し込んでテレビCMを流す店舗広告は10数年前から存在しているが、動画を流しっぱなしで、誰が見たか、動画効果で商品が売れたのか?はまったく検証されていなかった。ところが、DXの進展によって、視聴率や効果検証のできる店舗メディアとして進化しようとしている。近年、多くの小売業、メーカーにとって関心の高い「店舗メディア」成功のためのポイントを解説する。(月刊マーチャンダイジング2022年11月号より転載)

動画配信の効果測定ができる「運用型」サイネージの登場

2025年~2030年くらいまでに、「小売業の広告事業」の市場規模は、約1兆5,000億円にも達すると予測されている(サイバーエージェント調べ)。小売業の広告事業とは、ID-POSデータを活用したアプリへのプッシュ通知のような「アプリ広告」と、「店舗広告」の2つに分けることができる。「店舗広告」は、小売業の広告事業の約半分の7,500億円の市場規模にまで成長すると予測されている。

現在、商品やブランドの「認知メディア」として、テレビCMに次いで重要なメディアが「店舗広告」といわれている。今回は、サイバーエージェントが開発した効果検証のできる「運用型」の店舗サイネージである「ミライネージ」の特徴を解説し、店舗メディア成功のポイントを解説する。

[図表1]未来型店舗サイネージ(ミライネージ)の特徴

図表1に「ミライネージ」の基本的な機能を整理した。第1の特徴は、クラウド対応である。店内のWiFi環境を使ってインターネットに接続できるので、遠く離れた場所(たとえばメーカー本社)からオンラインで店舗サイネージに動画を配信できる。これがUSBを使った従来の店頭の動画広告との最大の違いである。

その結果、地域別、個店別、時間帯別に異なる動画広告(クリエイティブ)を遠隔で簡単に配信することが可能になる。

第2の特徴は、サイネージにAIカメラを搭載することで、サイネージごと、クリエイティブごとの効果を測定できる。

[図表2]AIカメラの設置で広告の視聴率計測が可能

とくにAIカメラの進化によって、性別、年代別に顧客属性を細分化することができ、35歳の女性がどの動画(クリエイティブ)を何秒見たかといった「個人別の視聴率」を測定することができる(図表2、3参照)。また、図表3のように、一人ではなくて複数の買物客の性年代を同時に可視化することが可能である。

[図表3]AIカメラ搭載のサイネージによる広告効果の可視化

サイバーエージェントによれば、将来的には、お客様がサイネージを何秒視聴して、その後、レジで実際に商品を購入したのかどうかまでを個人情報に配慮しながら統計的に分析するプロジェクトを進めているという。

クリエイティブの大量制作ができる態勢が重要

図表1のミライネージの3番目の特徴が、動画(クリエイティブ)を大量に制作できる基盤があることである。運用型サイネージメディアを成功させるための最大のポイントは、地域別、店別、日別、時間帯別に動画(クリエイティブ)を頻繁に変更することである。テレビCMを流すだけのクリエイティブは論外である。

同じクリエイティブを流し続けると必ず視聴率が下がって広告効果が低下するので、常に新しいクリエイティブを開発し続けなければ、店舗メディアの価値は高まらない。サイバーエージェントは、専属のクリエイティブチームがいるので、クリエイティブの大量制作が可能である。

[図表4]動画(クリエイティブ)の大量制作の重要性

店舗メディア広告は、成功事例が通用する期間が短くて、1~2週間後には新しいクリエイティブを配信しなければ売上が減少する。つまり、動画(クリエイティブ)の大量配信こそが、店舗メディアの最大の成功ポイントである(図表4参照)。

地域別・個店別に異なるクリエイティブを配信できるので、たとえば北海道の〇〇町の店舗で、「〇〇町の皆さーん」という挨拶を動画の最初にいれることで、サイネージの視聴率が飛躍的に上がるという。

また、「虫刺され」の動画配信も、子育て世代の多い地域では、子供がかゆいと泣いている動画(クリエイティブ)を制作し、高齢者の多い地域ではシニアの動画を採用するなど、地域対応、個店対応ができる。

つまり、「あなたのための販促ですよ」というワンツーワンに近いメッセージを地域別・個店別、場合によっては時間帯別に配信できることも、運用型サイネージの良い点である。

結果をレポートするからメーカーと協働できる

運用型店舗メディアを構築するためには、「AIカメラ搭載のサイネージ」「広告配信の最適化」「レポーティングによるPDCA実現」の3つがポイントである。とくに、「AIカメラを使った視聴率に関するレポート」と「POSデータを使ったレポート」の2つに取り組むことが重要。効果測定結果をレポートすることで、従来の「やりっぱなし店舗メディア」からの脱却を図ることができる。

POSデータを分析して、個店別、時間帯別に異なるクリエイティブを広告配信することもできる。また、実施したことを必ず効果検証し、改善していく「PDCAサイクル」を小売業とメーカーが共有することもとても重要である。

サイバーエージェントによれば、広告配信したことで、どのくらい「購買数」が増えたかが分かることは、メーカーに喜ばれるレポートだという。飲料メーカーの実績では、動画配信の未実施店舗に対して、実施店舗はPI値が約170%も増加した事例も出ている。また、サイネージの性年代別の視聴率もメーカーは関心が高いそうだ。

さらに、店舗サイネージに動画配信することで、具体的にどの競合商品から、何人がブランドスイッチしたかも地域別、店別、時間帯別にレポートできる。メーカーにとってはとても重要なデータである。

[図表5]運用型店舗メディアがメーカーにレポートすべき項目

図表5は、POSデータとサイネージ広告の視聴データを分析し、時間帯別の広告配信を最適化する仕組みの概念図である。オンラインで動画を遠隔配信できるので、時間帯別や店別に異なる動画を随時配信できるのは、運用型サイネージ広告の優れている点である。

店舗にサイネージを設置して動画広告を出稿してもらうだけでは、短期的な広告の成果しか生まれない。POSデータ、視聴データと連動しながら、メーカーに対して適切なレポートができて初めて、運用型の店舗メディアは成功する(図表5参照)。

サイネージの設置場所の原則

店内に設置するサイネージの場所は、(1)入口、(2)エンド、(3)棚前の3ヵ所が原則である。もっとも視聴率の高いサイネージの場所は、当然のことながら来店客の100%が通る風除室もしくは入口付近である。サイバーエージェントの蓄積されたデータによれば、入口のサイネージを3秒以上視聴する人は、来店客の20~30%であり、広告効果がもっとも高い場所である。

また、サイネージの大きさは距離と比例しており、5mの距離で視聴するサイネージは50インチ、3mの距離は30インチ、棚前のように1mで視聴するサイネージは10インチというのが目安だそうである。

さらに最近は、サイネージと「LINE POP」(来店客にビーコンでLINE上にメッセージを送るサービス)を併用することで大きな効果が出ている。

[図表6]サイネージとLINEPOP連動の成功事例

図表6のように、入口のサイネージに「LINEクーポンが出ていますよ」というメッセージを配信し、来店客がその場でLINEアプリを起動すると、「店内限定クーポンを今すぐゲット」というメッセージがLINEで表示される仕組みだ。

サイネージでLINE POPを表示した店舗と、未実施店舗ではクーポン利用率が40%も改善したという。

このように運用型店舗メディアでPDCAを継続的に回すことで、成功事例が蓄積されていき、適切な打ち手の精度も高まっていく。

かつてのUSBを刺しただけの動画配信とは、まったく異なるビジネスモデルであることをまずは理解する必要があるだろう。

 

〈取材協力〉

CA Retail Marketing 取締役
ミライネージ事業責任者
赤木 伸之氏
サイバーエージェント
ミライネージ プロダクトマネージャー
小栗 徹氏
サイバーエージェント
DX本部 統括
藤田 和司氏

大きく伸長する男性スキンケア市場。「ヤング」「ミドル」2軸での店頭展開が売上拡大の秘訣!

男性の肌は女性の肌よりもダメージを受けやすいと考えられている。それは一般的に男性の肌は女性の肌に比べて水分量が少なく皮脂が多いという肌特徴が影響してる。また、シェービング等の男性特有の生活習慣も要因になっている。だから加齢に伴い若い頃と肌に変化が起きている。そのため、それぞれの年代に適したスキンケアが重要となるのだ。(月刊マーチャンダイジング2022年10月号より抜粋)

「月刊MD note版」ではより深く男性化粧品をカテゴリー別に分類し、各カテゴリーごとに解説をした、「男性用化粧品市場動向レポート」を公開中!詳しくは以下のリンクから。https://note.com/mdnext/n/n72a04ae043cc

ヤングは5年間で183.0%成長 肌意識の変化で市場が動いている

[図表1]男性の年齢別区分

マンダムでは男性を年齢によって、3つに分類している(図表1)。図表2はその区分別のスキンケア年間販売金額の5年推移である。人口構成や購買力などで市場がもっとも大きいのがミドルで直近の構成比は約58%を占め、5年間の推移は136.5%と伸長している。以前に比べ、肌意識が高まっているのに加え、コロナ禍で「おうち時間」が長くなり自分磨きをする人が増えたこと、オンライン会議などで自分の顔と向き合う時間が増えたことがシミ、シワ改善需要を引き上げたと思われる。

[図表2]スキンケア販売金額の5年推移(年代区分別)

ヤングは直近の構成比では約35%だが5年推移では183.3%と2倍近く市場が拡大している。背景には自分の肌をきれいに見せたいという意識が年々高まっていることが第一に考えられる。以前はニキビなど肌トラブルを防いで正常な肌を保つためにスキンケアしていたが、最近ではこれに加え、明るい透明感やツルツルの肌への志向が高く、より印象の良い肌にするためにスキンケアする若年男性が増えている。

ボリューム層であるミドル、成長著しく今後の市場を担っていくヤング、いずれの世代でもスキンケアへ取り組む意識に大きな変化が起こっており、市場はさらに成長することが期待できる。

>>「月刊MD note版」ではより深く男性化粧品をカテゴリー別に分類し、各カテゴリーごとに解説をした、「男性用化粧品市場動向レポート」を公開中!詳しくは以下のリンクから。https://note.com/mdnext/n/n72a04ae043cc

通年化する男性のスキンケア フェースケアの潜在需要は大きい

[図表3]スキンケア販売金額の5年推移(上期・下期別)

図表3は上期(4〜9月)と下期(10〜3月)別のスキンケアの年間販売金額の推移である。スキンケアは空気が乾燥する下期に需要がかたよると思いがちだが、上期の割合を見ると2017年度43.3%、その他の年でも安定的に40%台の中半を維持、男性の間でもスキンケアが「通年化」しているのがわかる。

グラフは割愛するが、週次の販売金額では11月後半から12月にかけて年間でもっとも売上が上がっている。需要が高まる年末にかけ新商品を新規獲得のフックに展開すれば、市場の成長性とも相まって大きな収穫が期待できる。

[図表4]フェースケア、カテゴリー別使用率

図表4はスキンローション、スキンクリーム、洗顔料の使用率である。洗顔料は63.2%と多くの男性が使用しており、フェースケアの基礎的なニーズ、基盤はできていると言える。このニーズを起点に洗顔後のお手入れまで習慣化できれば、眠っている大きな潜在需要を掘り起こすことができる。

>>「月刊MD note版」ではより深く男性化粧品をカテゴリー別に分類し、各カテゴリーごとに解説をした、「男性用化粧品市場動向レポート」を公開中!詳しくは以下のリンクから。https://note.com/mdnext/n/n72a04ae043cc

ヤング層、ミドル層それぞれに向けたエンド提案

男性の肌意識やスキンケア行動が多様化している状況の中、それぞれのターゲットの意識に対応した商品を展開することで更なる市場拡大の可能性が高い。また、各年代において、それぞれのインサイトを的確に捉えた商品展開が重要。

[図表5]プロモーション実施と非実施の実績比較

さらに、最需要期である11月、12月にプロモーションを展開すると売上が大きく伸びることも実証されている(図表5)。マンダムでは写真1のような特長あるシリーズを組み合わせたエンド展開を提案している。

[写真1]エンド提案商品(シリーズ)

シリーズ特長

  • ギャツビー
  • ①トラブルケアシリーズ
    気になる肌悩み別に選べる薬用タイプの集中ケアシリーズ
    ②コンディショニングオールインワンシリーズ
    乾燥・テカリ・肌荒れなどのトラブルをケアしながら、毛穴の目立たないなめらか肌に導くオールインワンタイプのスキンケア

③ディープメディシリーズ
不安定な男性肌をケアできる「シカ成分※1」を配合し、ヤング男性の肌荒れや乾燥や過剰な皮脂などの肌悩みに寄り添ったスキンケアシリーズ
(※1ツボクサ葉/茎エキス(保湿))

  • ルシード
  • ④トータルケアシリーズ
    7つの年齢に伴う肌悩みを対策することで若々しい印象に導く40才からのエイジングスキンケアシリーズ
    ⑤エイジングケアオールインワンシリーズ
    乾燥・カサつきなどミドル男性の年齢とともに気になる肌悩みにこれ一品で対応

ヤング層とミドル層では購入決定要因ポイントが違う

ヤング層の購買ポイント「自分の肌悩みに対応してくれること」「ニキビ・肌荒れに効果が高いこと」「保湿効果が高いこと」。ミドル層の購買ポイント「肌の乾燥・カサつきに対する効果が高いこと」「潤いの持続効果が高いこと」「ベタつかないこと」。新商品展開や売場づくりに際しては、販促ツールなどを使ってこれらのポイントを押さえた訴求が重要になる。

佐藤健をアイキャッチに若年層への共感を訴求。「ニキビケア×なめらかな肌」など各商品何ができるかを丸いアテンションPOPにして什器最前列に出している。テスターも設置して新規客獲得を促進
「40才からの」というターゲット訴求、オールインワンを強調して手軽さをアピール。「シワ改善」「シミ対策」というターゲットの関心事を直接的に表現して効率よく商品メリットを伝える。テスター付き

「月刊MD note版」ではより深く男性化粧品をカテゴリー別に分類し、各カテゴリーごとに解説をした、「男性用化粧品市場動向レポート」を公開中!詳しくは以下のリンクから。https://note.com/mdnext/n/n72a04ae043cc

タイムリープの遠隔接客サービス「RURA」、2025年に1万店舗活用を目指す

遠隔接客サービスのスタートアップ・タイムリープ株式会社が続々と業務提携を発表している。サービスの中核は遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」。インターネット越しに店舗接客を行えるサービスだ。接客の一部を遠隔で集約することで、店舗運営の効率化や接客業における新しい働き方の実現、非接触化が可能になる。(ライター:森山和道)

続々と多店舗展開企業での導入が進む

「自遊空間」での遠隔接客受付
リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000059684.html

「RURA」を使えば対面と変わらないサービスが可能だという。株式会社ランシステムが運営するネットカフェ「自遊空間」ではリモートセンターから30店舗に対して3人で接客を行なっており、受付業務の大幅な省人化に成功している。JR東日本ホテルメッツでは、今年4月の秋葉原店、五反田店への導入を皮切りに、現在では8拠点の受付で活用している。

ケイアイスター不動産の子会社であるCasa robotics株式会社では不動産内見の無人化を進めることで客の滞在時間が増し、成約率が2倍になったという。京都の弁当チェーン・太秦弁当村でも活用されている。また、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社とは街ナカに設置されている個室型ワークスペースを遠隔接客を使って様々な種類の店舗にするという実証実験を進めている。

「CocoDeskオンライン相談サービス」では、タイムリープのソリューションによって個室ワークスペースを保険相談、法律相談受付、不動産賃貸相談、メンタルヘルスサポート、占いなどに活用できるようにする
リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000059684.html

貨幣処理機メーカーのグローリー株式会社とも提携しており、金融機関や流通小売店、飲食店などにおける店舗運営の効率化と接客レベルの維持を両立したコンタクトレス、セルフ化店舗への対応を目的として、自動つり銭機、自動決済端末などセルフ型製品を組み合わせたソリューションを開発中だ。

このほか歯科医院や、コワーキングスペースなど、様々な業態に遠隔接客サービスを導入している。コロナ以降、これからの店舗はどうあるべきなのか。「多くの店舗経営者が、無人化・省人化を考え始めている」と語るタイムリープ株式会社代表取締役の望月亮輔氏に話を伺った。

株式会社京はやしが運営する「太秦弁当村」ではタイムリープの技術を使って、無人のお弁当販売店を実現している
リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000059684.html

遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」開発の背景

タイムリープ株式会社 代表取締役 望月亮輔氏

タイムリープ株式会社は2019年6月創業。現在4年目を迎えている。「最も大切なことに時間を使える世の中」の実現をビジョンとして掲げている。

「RURA(ルーラ)」開発の背景にあるのは人手不足だ。2030年にはサービス業だけで400万人の人手が不足すると考えられている。これにより採用が難しくなり、人件費が上がり、店舗経営が困難になると思われる。その流れのなかで一人一人が倍以上の力を発揮できるような仕組みが必要だと考えて「RURA」を開発したという。

望月氏の前職はロボット専門媒体の編集長。当時、ソフトバンク「Pepper」などが多くの店舗に一時的に採用されはするものの、その後、使われなくなっていった経緯を見て、ロボットやAI技術の限界を知った。サービスロボットは根本的には人手不足対策となることを期待されていたが、期待に応えることができなかった。そこで、同じくらいの費用感で人が接客するのと同様のサービスを効率良く提供できないかと考えて、遠隔接客サービスの開発に至った。

「RURA」の基本機能

 

「RURA」の特徴は「最小人数で最大店舗数の接客を行うことができるところ」(望月氏)。店舗にはモニターが設置されており、そこに遠隔から人が顔出しをして、接客する。

遠隔地にいる接客スタッフが通常見ている画面は「待機画面」と「接客画面」に分かれていて、その二つを行き来することで複数店舗の接客を行う。待機画面には担当する複数店舗からのリアルタイム画像が映っている。店舗側に来客があると、現地の動体検知センサーが働いて、画面上で色を変えて接客スタッフに通知する。スタッフは該当の店舗映像をクリックすると、その瞬間に店舗側のモニターに接客スタッフの映像が映し出されて「いらっしゃいませ」と接客を開始することができる。

遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」。複数店舗を最小人数で接客するためのサービス

最小人数で最大店舗数の接客を実現するための機能設計

接客サービス開始前の状態のモニターには、通常はサイネージなどが映し出されている。来客でセンサーが反応すると、上記のような流れで接客画面に移行し、スタッフが出てきて接客を行う。そのほか、画像を切り替えながら、接客画面で選択した画像や動画を店舗側に表示させることもできる。

複数人が複数店舗を見ることができるサービス

また、スタッフは複数拠点を飛び回るので、店舗ごとの要件をまとめた簡単なメモをつけておき、そのメモを見ながら接客することもできる。接客が終わったタイミングで記録を行い、あとでその分析画面を閲覧することもできる。

画像切り替え機能、メモ機能、接客記録/分析機能もある

複数店舗対応なので「3人しか待機していないのに4店舗に来客が来てしまった」といったケースもあり得る。控えているスタッフに余力がない場合は、特定の待機画面やサイネージなどを提示することができる。それによって来客は、スタッフが今は対応できないことがリアルタイムで把握できる。

遠隔地から現地端末を代理操作可能

「RURA」の特徴の一つが「機器のリモートコントロール機能」だ。遠隔地に置いてある端末を遠隔スタッフが現地画像を見ながらリアルタイムにコントロールできる。たとえば自動チェックイン機器を入れても、現地スタッフが来客への説明係になってしまっているケースがある。これでは業務を省人化できない。リモートコントロール機能を使うことで現地の様子を遠隔スタッフが把握しながら代わりに操作することができるので、より効率的に接客ができるようになる。様々な機器と連携できるという。

通知サポート機能もある。スタッフは接客以外のPC作業をしていても、ウィジェットを使って通知が出せる。これによって常に映像を見ているスタッフだけでなく、他の作業をしているスタッフもRURAの待機画面に入って接客が可能になる。「最小人数で最大店舗数の接客をする」ための機能だ。

顧客体験と安定性を重視、現場には什器込みで導入も

接客スタッフは顔出しのほか、CGアバターを選択することも可能

ディスプレイサイズは基本的には27型を採用しているが、店舗に合わせて変更可能だ。店舗側に表示されるデバイスの画面は、縦型・横型、顔出しのほかアバター型も選ぶことができる。遠隔接客ではCGアバターを使っている会社も多い。タイムリープでもCGアバターにも対応しているが、ABテストを行うと圧倒的に人が顔出しして接客するほうが高評価になることが多く、顔出しを薦めているという。やはり、人に接客してもらいたいということなのだろう。

システムの最小単位は、マイクロPCとモニターとカメラ(動体検知、接客用)である。PCにはLinuxをベースに独自開発した「RURA OS」がインストールされており、現場に合わせて什器によるカスタマイズも可能だ。他の遠隔接客サービスの会社ではソフトウェアだけを提供していることが多いがタイムリープでは「遠隔接客でもっとも大切なことは安定性。24時間365日、接客できないタイミングを生まないことが重要」と考えて、ハードウェアごと提供している。

現地端末には来客を捉えるためのカメラ・センサーだけでなく、手元など、必要に応じて様々なカメラをつけて切り替えることもできる。このハードウェアやユーザーインターフェースの仕様は、望月氏ら自身がユーザーになって、実際にコワーキングスペースでの受付を遠隔接客で行うなどして絞り込んでいったという。自分たちで使いながら画面も作り込んでいき、様々な業態に使ってもらうことで、ユーザーエクスペリエンスを確立していった。

重視しているのは「最終的な顧客体験」だ。接客スタッフの使い勝手だけでなく、来店顧客の体験が良くなければ意味がない。顧客体験をよくするために、いかに直感的に使える仕組みにするかを重視して、センサーやカメラの台数なども決定していったという。

なお機器の保守管理は、遠隔で対応できる範囲は即時対応する。それでは対応できないトラブルの場合は機器ごと送り返してもらって交換することで対応している。今後は全国に拠点を持つ企業と提携して進めていきたいと考えているとのことだ。

 

運用のためのコストは、初期費用+月額費用。導入店舗数によって費用は変わる。
導入効果を鑑みると、極端に店舗あたりの接客数が多い場合を除き、多くの場合0.7人分程度の運営費ダウンには繋がると望月氏は言う。

「遠隔からの機器操作」と「複数人による複数店舗対応ができる」ことをグローリーも高く評価

グローリー株式会社 国内カンパニー 営業本部 マーケティング統括部 マーケティング部 マーケティング2グループ専門課長 野本英雄氏

RURAの特徴の一つが「一人のスタッフが複数店舗を見る」だけではなく、「複数のスタッフが複数店舗を見る」ことで、より少ない人数で最大店舗の面倒を見られる点だ。

この点を、業務提携しているグローリー株式会社国内カンパニー営業本部マーケティング統括部マーケティング部マーケティング2グループ専門課長の野本英雄氏は高く評価する。同社は貨幣処理機メーカーの立場から、店舗運営の効率化と接客レベルの維持を両立、そして非接触化とセルフ化を考慮すると、数ある遠隔接客サービスのなかでもとりわけ「RURA」が親和性が高いだろうと考えて、顧客に対して提案活動を行なっている段階だ。ちなみに顧客からはZoom等のウェブ会議システムとどう違うのかと聞かれることが多いが、「繋ぎっぱなしのそれらとは違う」と説明しているという。では、野本氏はユーザーの立場から見て「RURA」の何を評価しているのか。

「国際モダンホスピタルショウ2022」でのグローリーによるRURA出展の様子。病院向け会計への導入提案
「リテールテックOSAKA」でのグローリーによるRURA出展の様子。

野本氏は「端的にいうと3つの特徴がある」と語る。まず第一は、機器との連携だ。「遠隔操作ができる点が素晴らしい」という。グローリーでは、例えば金融機関向けであれば出納機器や受付処理機、リテール向けでは券売機や病院の精算機、レジを経由した釣銭機など、各種店舗フロント系の機器がラインナップされている。同社でも以前から、保守の観点からも「各種機器を遠隔から操作できれば」とは考えていた。その視点から見てもタイムリープの技術は良いという。

2番目が「N:N、複数人と複数店舗対応ができる仕様」だ。様々な遠隔接客サービスがあるが多くは「1:N」、たとえば「1人が10店舗を見られる」といったアピールをすることが多い。それに対して「RURA」は、複数人が複数店舗を見ることができる。

野本氏は「これは非常に素晴らしい」という。なぜなら「そのときどきによって、チームワークを組むことができる」からだ。「RURAを使うことで、忙しい時間帯でも柔軟にシフトを組んで対応できる。リアルなお店では当たり前にできることだが、それをネットでも実現できている。この点を我々も高く評価して、顧客にもアピールしている」と野本氏は語る。

カスタマーサクセスを重視

そして3番目は、タイムリープが導入前後における対応のためにカスタマーサクセス部門を持っていることだ。「チャーン(解約)を避けるためには、カスタマーサクセスは非常に重要。これがクラウド系サービスには極めて重要な組織体制だと考えている」(グローリー野本氏)。

カスタマーサクセス次第で、導入したものの続かない、いわゆる実証実験止まりに終わってしまうことを回避できる。タイムリープの場合は1店目に導入後に他店舗へと横展開できているユーザー事例が多く、その理由はカスタマーサクセス部門が丁寧に対応しているからだと考えているという。

タイムリープの望月氏も「カスタマーサクセスには、かなり注力している」と語る。実は最初のころはカスタマーサクセス部隊なしで回していたが、なかなか活用が進まなかった。そこで顧客のオペレーションを理解することが重要だと判断。「遠隔接客のプロとして、どういった場所に遠隔接客を組み込むと、うまく動くかに注力するようになった」(望月氏)。

具体的には、顧客が来店後に実際に何をしているのか、それぞれ異なる接客業務を詳細に整理・分析。それに合わせて従来の対人接客と変わらないような遠隔接客オペレーションを提案している。たとえばホテルの顧客の場合は、初期は毎日のようにホテルに足を運び、連日PDCAをずっと一緒に回して改良を行なったという。

カスタマーサクセス部門を重視。顧客の業務を分析して遠隔接客を導入している

なおグローリーの野本氏によれば、実際の導入にあたっては「設置する場所の決定に時間がかかる。体験に関することなので機械を持ち込んで確認する必要がある」という課題もあるという。

遠隔接客と他ソリューションの組み合わせによる新たな可能性

小売店舗での「RURA」活用の可能性についてはどうか。望月氏は「ものすごく大きい」と語る。たとえばセルフレジの使い方を案内したり遠隔から補助することは可能だ。ただし、遠隔接客を導入することで実際にどのくらい売上が上がるのかは今後の課題だ。

ドラッグストアでは、化粧品とヘルスケアの2分野で取り組みたいと考えているという。たとえば化粧品ではテスターを使った販売等において、「RURA」以外のソリューションも組み合わせることで可能性があるのではないかと語る。たとえば、特定ベンダーと組むことで、より細かく肌理を見たり、肌年齢を計測するといったサービスが可能になるのではないかという。

薬剤師が必要な第1類医薬品の販売については「今はまだ法的にグレーゾーン。これから法整備がされていくのではないか」と語る。薬そのものの管理の問題とセットして解決しなければならないからだ。その問題を例えば小型自動倉庫のようなソリューションと組み合わせ、さらに遠隔からの指導でも十分となれば、夜間の販売はもちろん、地方の薬剤師不足にも対応できる可能性がある。

店舗の本質的な価値は何か、捉えなおす機会に

タイムリープでは、業種を超えてオペレーションが共通しているところに注目してアプローチしていきたいという。たとえばビジネスホテルとカラオケは業種は全く違うが、受付以降の流れはほぼ同じで、どちらも遠隔接客が活用できる可能性が高い。こういった業種に注目し、より多くのチェーン店舗を持っているところにあたっていく。

もう一つは無人店舗だ。無人店舗というと、餃子の冷凍販売のような店舗も増えているが、ニーズは物販のための無人店舗だけにあるわけではない。たとえば昨今では葬儀屋のような業種にも無人化のニーズがあるのだという。家族葬のような小規模な葬儀が増え、小さな葬儀場が急増している。会場下見には、1日2〜3組くらいしか来ないが、これまではその下見にいちいち人員を割いて応対をしており、その人件費が悩みの種だった。そこに遠隔接客をソリューションとして投入できるのではないかというわけだ。望月氏は「無人という文脈では様々な業種から話が来ている」と語る。

「コロナ以降、『店舗の価値』をみんなが考えるようになった」と望月氏は言う。「そこにあの広さで店舗がある意味はあるのか、駅ナカの一坪店舗でも良いんじゃないかといった話から無人化に繋がっている。さまざまな業界で雇用管理も含めて、一番コストがかかるのが人件費。遠隔で、無人で運用できないかと多くの人が考えるようになっている」(望月氏)。

遠隔接客によって意外な変化が起こったり、今は考えられていないような新たなサービス業態が生まれるのかもしれない。タイムリープでは2025年までに1万店舗での活用を目指している。