クリスマス、大晦日、お正月、成人の日…。企画のネタ盛りだくさんの12月、1月
毎月のプロモーションのネタに便利に使える販促企画書。2022年12月、2023年1月のアイディアです。
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毎月のプロモーションのネタに便利に使える販促企画書。2022年11月、12月のアイディアです。
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(以下、JACDS)は、チェーン化を志向するドラッグストア企業122社を中心に、メーカー、卸、ストアサポート企業など計377の企業や個人、学校(2022年6月現在)が加盟する業界団体である。同協会では業界システム化の推進や、登録販売者の地位向上、セルフケアの推進、ドラッグストアショーの実施など、様々な活動を展開しているが、なかでも注力しているのが企業の壁を超えたSDGs活動だ。同協会SDGs推進委員会委員長の德廣英之氏(現トモズ社長)に、同協会が推進するSDGs活動についてお話を伺う。(聞き手/月刊マーチャンダイジング主幹 日野 眞克)(月刊マーチャンダイジング2022年11月号より抜粋)
「月刊MD 2022年11月号」の特集は「ドラッグストア本気のSDGs」!JACDSの活動と、東北で際立ったSDGs活動を進める薬王堂HDの取り組みを紹介します。
>> 月刊MD2022年11月号 Kindle版 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BJTQ4PH5/
>>薬王堂HDの取り組み紹介 https://note.com/mdnext/n/nc882f38cf74e
—JACDSのSDGs活動はどのようにスタートしたのでしょうか。
德廣 池野隆光会長(JACDS会長/ウエルシアホールディングス会長)が「尊敬される企業集団を目指す」というスローガンを掲げた2019年6月、当協会内にSDGs委員会が発足しました。本委員会では「業界全体でSDGsの推進を行う」ことをテーマとして活動しています。
具体的にはプラスチックごみなどの環境汚染問題に業界として取り組み、DgSにおける3R(詳細は後述)を検討することを掲げています。また、返品削減問題や、今後の物流問題に対する取組みも検討しています。
初代の委員長は、ココカラファイン社長(当時)の塚本厚志さんが務められ、私は副委員長として塚本さんをサポートする形で委員会の立ち上げに従事しました。2021年4月から、私が2代目委員長として活動を進めています。
塚本さんが委員長を務められていた2019年、2020年は立ち上げの時期として、レジ袋有料化の前倒し実施、環境省との3Rキャンペーンへの取組みなどを実施しました。
2019年の秋口から取り組んできたのがレジ袋有料化への対応です。
レジ袋有料化への取組みは、ほかの環境問題対策に比べると、小売業がイニシアティブをとって進めることができるものですので、正式に法改正がされる2020年7月に先駆けて同年4月からDgSでスタートできないかと議論しました。幸いにしてウエルシアさんをはじめとするイオングループさんは非常に考え方が進んでいて、いち早く賛同をいただくことができました。
また、統合前のマツモトキヨシさん、ココカラファインさんからも前向きな賛同をいただけました。大手のリーディングカンパニーさんに即決いただけたこともあり、当協会としても4月1日からレジ袋有料化をスタートしました。
当時の環境大臣は小泉進次郎さんだったのですが、いち早くレジ袋有料化を進めていたJACDSに、消費者からの反応を知りたいとヒアリングを実施されました。
食品スーパーは、お客様自身が袋詰めをするから、マイバッグに対する抵抗感も少ないように思えるのですが、コンビニのようなちょっと立ち寄って買物をするような業態ではハードルが高いのではないかと考えられていて、消費者の方のDgSでの状況に興味を持たれたのです。
トモズやマツモトキヨシさん、ココカラファインさんは、都内に小型店を展開していて、コンビニと同じような使われ方をすることも多いのですが、それでもレジ袋有料化に伴うクレームは一切起きておらず、拍子抜けというぐらいスムーズでした。
私たちが思っていた以上に消費者の皆さんの意識の方が高かったのではないかと思います。地球温暖化を防ぐため、プラスチックごみを削減する必要があることは、お客様はおおむねご理解なさっていらっしゃいます。
それを聞いて小泉環境大臣も非常に納得されたようで、リアルの現場で先行してレジ袋有料化を実施したことを非常に評価してくださいましたね。
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德廣 2020年度のもうひとつの大きなテーマは3Rキャンペーンへの参画でした。
環境省は2017年から3Rキャンペーンを実施しています。3Rとは「リデュース(ごみの発生抑制)」「リユース(再使用)」「リサイクル(再生利用)」のことです。
3Rをより多くの人に知ってもらうため、廃棄量の少ない詰め替え・省包装商品や、リサイクル資源を使用している商品を、キャンペーン参加店舗でお買い上げいただくと、抽選でいろいろな景品が当たるというものです。参加企業は当然該当商品をキャンペーン期間中エンドに積むなどします。
もともとココカラファインさんなどを含めた加盟企業さんたちが、この3Rキャンペーンに参画していたのですが、2020年からJACDSとしてもこの活動に応援団体として参加していくことにしました。
面白いなと感じたのが、キャンペーン終了後参加者に対して取ったアンケートに、「(当時はキャンペーンに参加していなかったはずの)会員企業の店舗で購入して申し込んだ」という回答があったことです。
どうやらお客様はDgS業界全体でやっているキャンペーンのように勘違いなさってそのような回答をされたようでした。
そこで当協会で議論する際に、「お客様にそう思っていただいたのであれば、むしろ参加企業をもっと増やして、キャンペーン実施店舗数を増やすのがいいのではないか」という話になり、協会内での参加企業を募ることにしました。
私たちが2020年度に参画を始めた1年目は前年比で178%、2年目の2021年度は同130%と大幅に参加店舗数が増えたそうです。食品スーパーなどの他業態も含めますが、2021年度にはキャンペーン全体で約1万5,000店舗が参加したと聞きます。今年はもっと増えるのではないでしょうか。2021年度のドラッグストアショーでは、3Rの啓発セミナーも実施しました。3Rキャンペーンは2022年も10月からスタートする予定です。
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—次々と具体的な施策を実行されていますね。
德廣 はい。環境の話ですから、全社足並みが揃うまで待つのは得策ではありません。できることから着手するのが重要です。私たち小売業は店頭という現場を持っています。
規模は大小ありますが、委員会で何かやることを決めたら、まずは期限を決めて実行することを重視しています。何かトラブルが起きれば、そこから改善していけばいいのです。
3Rキャンペーンも、2020年度はマツモトキヨシ、ココカラファイン、ウエルシア、トモズのSDGs推進委員会メンバーの4社でまずそれぞれが個別に企業として参加し、結果が出たのでJACDSで横展開して、協会としての参加企業を増やしてきました。
参加に間に合わなかった企業さんも、何か悪意があるわけではなく、オペレーションの徹底が難しいなど企業ごとの理由があるのだと思います。そういう企業さんに対しては、時間をかけて準備していただいて、また次の機会には参加しましょうというようなスタンスで、徐々に増やしている感じです。
—業界全体をリードするという意味では、業界団体には非常に存在意義がありますね。
德廣 そうですね。ですから私たちも「みんなが揃わないからやらない」というスタンスではなくて、「やってみよう」という話が少しでも出たら、挑戦するという考えでやっています。
協会が強制力を持ってやるというのではありません。そもそもSDGsの話は、主体性を持ってやらないと根付きません。やれと言われてやることではないと思います。
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—今年度の活動について教えてください。
德廣 引き続き環境省3Rキャンペーンを応援団体として支援するのはもちろん、「サーキュラーエコノミープロジェクト(CEP)」と「食品ロス削減啓発キャンペーン」も実施してきました。
CEPは、販売した商品の空き容器を店頭で回収する共通のプラットフォームを構築する取組みです。
2021年10月からJACDSのSDGs推進委員会メンバーだけではなく、花王さん、P&Gさん、ユニリーバさん、ライオンさんなどの主要日用品メーカーさんにもお声掛けして推進協議会を組織し、検討を進めてきました。2022年6月から半年間は、横浜市内の31店舗で日用品の空き容器の店頭回収実証実験を実施しています。
この取組みは、実はもともとユニリーバさんからJACDSへの回収ボックス設置を通じた協同での取り組み提案があったことがきっかけです。当協会から他のメーカーさんに案内し、業界全体の取り組みとして進めてきました。
これまでメーカーさんが主導でやっていたときは、小売業の賛同が得られず、店頭への回収ボックス設置がなかなか進まなかったようなのですが、当協会を通じて進めたことで、早々に実証実験の実現に至ることができました。
まだ結果の数字は出ていないのですが、今後の展開は実証実験終了後の12月以降に議論して決めていきたいと考えています。
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德廣 本年度のもうひとつのテーマが「食品ロスの削減啓発キャンペーン」です。2021年10月から12月まで、食品を扱うすべての店舗で、①消費期限が短い商品に対する「てまえどり」の啓発を行ったり、②返品ルールの変更による返品削減に挑戦したりしています。
「てまえどり(陳列された商品を賞味期限の短い前の方から購入していただくこと)」に関しては、もともとコンビニさんが取り組まれていたので、二番煎じだという声もあったのですが、少しでも良いことであればまねして業界として取り組むべきと考えました。返品ルールの変更に関しては、ルールが緩い企業があると、そこだけに古い商品が集中してしまう可能性があります。業界全体でどのように調整していくかを検討している状況です。
食品ロスについては、食品の取扱いが多い加盟店さんの賛同も得られると、一気に話が進むと思います。
—これは話が広がれば非常に大きな取組みになりますね。
德廣 そうなんです。DgSだけでやるのがいいのか、行政を巻き込むのがいいのか、スーパーマーケット業界と連動するのがいいのか…。まだ決め切れてはいないのですが、DgSでの食品の取扱いが非常に大きくなってきていますので、我々もその分責任が発生してきていると認識しています。
—返品削減にも取り組まれていると伺いました。
德廣 はい。まだ協会としての具体的な取組みにはつながっていませんが、食品ロスに限らず、DgSには他業態と比較すると返品率が高いという課題があると考えています。
—もともと商慣習として返品が許容されているという背景もあります。
德廣 しかし返品は、返品のためにトラックが走り排気ガスを排出し、メーカーさんは返品を焼却しなければならず、何ひとつ環境にとって良いこと…」
〈取材協力〉
至る所からDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の掛け声が聞こえてくるようになったものの、実際に業務改善や新規事業創出につなげることができず、暗中模索のままプロジェクトが迷走している…という話をよく耳にする。そこで今回は、大手消費財卸売業で営業部門のDXプロジェクトに関わり、30%の業務時間削減を推進した林拓人氏にお話を伺う。現在はコンサルタントとして流通業各社でDXのサポートをする林氏が語るDXの要諦とは。(月刊マーチャンダイジング2022年9月号より抜粋)
DX推進というと、デジタルだから効率的でスマートに進むものというイメージを持たれがちですが、内実は非常に泥くさいものです。私自身大手消費財卸売業に勤務していたときから、コンサルタントとして流通業のDX推進に携わるようになった現在まで、その「泥臭いところ」に突っ込み、課題を解決することに喜びを見いだしてきました。
日本企業が「DX」に本格的に興味を持ちだしたのは、コロナ禍の始まる2020年からと感じています。
図表1は、Googleトレンドで調べた「デジタルトランスフォーメーション」という用語の検索回数の推移です。2020年2月から徐々に検索回数が増え、2021年7月ころまでは上昇基調でしたが、その後下降に転じています。DXという言葉がなぜ衰退してきたのかというと、未来に向かって業務改革を行うより、「既存のビジネス」を進めるのに精いっぱいという状況になってしまっているからではないかと私は分析しています。
ここでいう「既存のビジネス」とは、今、目の前にあるビジネスです。消費財流通でいうと、商品を仕入れ販売するという永く培われてきた、消費者に商品が届くまでの全てのプロセスのことを指します。お客様の満足度向上や、日々の売上目標達成に向け、流通業に関わる方たちは、全身全霊で業務に携わられているはずです。
一方、テクノロジーは急激に進化を遂げています。その進化のスピードと比較すると、既存ビジネスは、もちろん重要な“本業”ではありますが、実は安定した高負荷の労働を生み、それが労働者の目先の充足感をつくり出して、新しいことへの挑戦意欲を失わせてしまうという負の側面もあります。
新しい改革をしようと考えても、日々の作業に時間を取られ、忙しすぎて、推進することができない。経営やDX組織側も、新しい取組みに挑戦したいと考えても、そのため従業員に長時間労働をさせるわけにもいかず、にっちもさっちもいかない状況というのが、あらゆる日本企業が置かれている状況といえるのではないでしょうか?
DX推進プロジェクトには2軸があると、私は考えています。
ひとつが「現場から積み上げる」ボトムアップの改革です。小さな成功や失敗を積み重ね、会社を良くしようとしてがむしゃらに進めるものです。
もうひとつが、トップダウンの改革で、こちらは企業の経営戦略や、あるべき姿から、未来を予測しつつつくり上げていくものになります。最新のテクノロジーを導入していくことも多く、ある程度の投資が必要となります。
私が推奨するのは、前者の「現場から積み上げていくDX」です。学生時代、受験などに際して、がむしゃらに勉強していた方というのは多いのではないでしょうか。勉強している最中は、ゴールが見えないままでも、目の前にある課題に取り組むうちに、基礎的な学習能力が身に付いているというのはよくあることです。
ボトムアップのDXもそれと同じで、現場の課題を解決する小さなDXを積み上げていくうちに、企業の改革推進の基礎体力が身に付いていきます。そのようにして現場の改革を積み上げていって、ある程度形が見えてきたタイミングで、トップダウンのDXに移行していくべきだと私は考えています。
ここで私が関わった、大手消費財卸売業の営業部門のDXプロジェクトについてご紹介します。プロジェクトそのものは、2020年から約2年間かけて行われ、私は営業DX推進室長として、プロジェクトリーダーの役割を担いました。
卸売業の営業職は常に多忙を極めています。小売業さんも商品部やバイヤーの皆様は同じ悩みを抱えていらっしゃると思うのですが、対外的な窓口となる役割は、一様に業務過多の状況に陥りがちです(図表2)。
例えば私は西日本の大手食品スーパーさんの担当をしていましたが、その一社で約500社のメーカーとの取引がありました。500社あるうちの30社で9割ぐらいの売上を持っていますので、その30社とは、頻繁に商談を行う必要がありました。それ以外にも、複数の小売業の担当をしていました。
普段は、「営業の3種の神器」と呼ばれている、メール、電話、FAXで、「あの商品在庫はある?」「あの商品何グラムだっけ?」「見積もり送って」等々、次から次へと問い合わせが入ります。5分に1回は電話をしており、日中はほとんど仕事になりません。というか、これが仕事でした。
したがって集中して行わなければならない作業は残業で対応することとなり、新規の商品発掘や小売業さん、メーカーさんへの提案などは後回しにせざるを得ない状況が続いていました。
工数がかかるのは、小売業さんごとに設定されたフォーマットやオペレーションです。各社基幹システムが異なるので当然ですが、一社毎に丁寧に対応しなければなりません。そして中間流通として、メーカー様との商談や、日々の在庫調整等、目の前の仕事は山のようにあります。
そこで、プロジェクトの目的として、営業の業務を可視化・効率化し、残業時間を減らし、卸売業の営業の本来の役割である、新商品の開拓や、新規提案、データ分析などに時間を割けるようにするということを掲げました。
私たちは、その目的を実現するために、前述した「ボトムアップのDX」を志向しました。まずは着手したのが業務の可視化です。現場のヒアリングなどを通じて業務整理を行ったところ、実は「共通のプロセス」が9割、そして企業ごとに特有のプロセスは1割程度であるということがわかったのです(図表3)。
例えば同じA食品というメーカーさんと商談をするのにも、小売業B社、小売業C社ではそれぞれ違うやり方があるので、フォーマットも違うし、進め方も違う、というのがこれまでの考え方でした。でも業務整理の結果わかったのは、実際はB社、C社の業務で違う部分は10%程度だったということです。
まずは営業を可視化したうえで、共通のプロセスにおける課題を「業務」と「情報」と「組織」と3つに分け、洗い出しを行いました。「業務」は、個別企業の状況に合わせて対応をしているため、業務自体が多様化していて、また属人化しているという課題に行き着きました。
また、「情報」という点では、知識や技術に偏りがあり、例えばデータベースから必要なデータを直接抽出できる人と、そうでない人がいたり、データを抽出できても、整理が得意な人とそうでない人がいる、また情報量そのものが多すぎるという状況が見えてきました。「組織」という点では、組織間の連携がうまく取れておらず、他部署に何かを依頼するのにも非常に煩雑な手順を踏まねばならないという課題が浮き彫りになったのです。
そこで、「業務の属人化や多様化」という課題に対し、共通のプロセスにはデジタルツールを導入することによって、情報の整理と自動化、スピードアップを図りました。
また、「情報が過多で、属人化が激しい」という課題に対しては、チャットツールやだれでも簡単にアクセスできるオープンなデータ基盤の導入を検討しました。
さらに「組織間のコミュニケーション」の問題については業務を可視化することで、組織の役割分担を検討する土台を作ることができました。
このようにして、営業組織において、従来の業務量を減少させ、新しい時間を創出し、営業としての本来の職務に注力することを目指したのです。
このプロジェクトは、当初私を含めた数人からスタートし、最終的には現場を巻き込んで大きなチームになりました。プロジェクトの主目的は「新しい時間の創出」でしたが、副産物としてこれらの業務改革を推進する人材を育成することができたのは、非常に価値がある取組みだったと感じています。
私はいま消費財卸売業を離れ、外部のサポーター役として小売業や卸売業、メーカーの複数のDXプロジェクトを支援しています。プロジェクトを進めるなかで絶対に必要となるのが次の図のようなチームによる運営です。
続きは、月刊MD2022年9月号で!
〈取材協力〉
2022年3月、カインズが建築プロ向け会員制卸売店、C’z Proの3店舗目となる「C’z Pro杉並井草店」を開店した。リアル店舗とデジタル技術の融合で、多忙な建築プロをサポートする期待の新業態だ。(月刊マーチャンダイジング2022年9月号より抜粋)
「C’z Pro杉並井草店」は、「C’z Pro」業態3店舗目となる、建築・建設のプロ用の卸売店だ。事前に登録した法人・個人の建築プロのみが利用可能で店内には工具や建築資材、建築プロ向け衣類など約25,000SKUが品揃えされている。
売場面積は約272坪(外売場を含む)で2層構造。駐車場台数は15台。1階には工具、セメントや内装材、作業着・長靴など、2階には電設資材、住設用品、配管関連、塗料、接着資材、内装、建築金物、プロの高度なニーズに応じた商品が陳列されている。
C’z Pro業態は2020年8月に1店舗目となる東名横浜店をオープン。本店舗は東名高速道路のインターチェンジそばの出店だったが、その後の2店舗は品川、杉並と東京都心に出店をしている。
本業態はもともと都心のリフォームや建築現場で必要となるプロ用資材・工具を建築プロ向けに販売する狙いで開発されたもの。リフォームや住宅に関わる資材は大手企業であれば比較的調達が容易であるが、小規模な事業者・個人向けに、手軽に購入できる場所が都心には存在していなかった。
その点C’z Pro杉並井草店は、新青梅街道と環八という幹線道路の交差点付近に立地しており、西東京から都心の現場へ移動する際に立ち寄ることができる好立地だ。その日の作業で足りない資材を購入するために朝方立ち寄る、あるいは夜帰りがけに翌日の現場作業で必要な資材を調達するというニーズをくみ取るには絶好の出店場所といえよう。開店時間も平日は朝6時から夜9時までと、現場のニーズに合わせた設定となっている。
「足りない資材を調達する」というプロのニーズをくみ取ったサービスとして好評なのがピックアップロッカーだ。
続きは月刊MD 2022年9月号にてご覧ください!
加盟店の収益向上が厳しさを増すコンビニ業界。ファミリーマートは物販以外の新たな収益源にデジタルサイネージの導入を図っている。現在3,000店舗、来期は全店に大型ビジョンを設置、店舗に新たな機能を付加していく。その狙いと詳細をリポートする。(構成・文/流通ジャーナリスト、月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2022年9月号より抜粋)
デジタルサイネージは、既にスーパーマーケットやドラッグストアなどが取り入れて、広告効果を高めている。コンビニでは、2016年よりJR東日本リテールネット(現JR東日本クロスステーション)が駅構内に出店する自社のコンビニ「NewDays」(6月末、499店舗)や「KIOSK」に本格的に導入。店頭に大型ビジョンを設置、多くの人たちが行き交う駅構内の立地を活かして、さまざまな情報発信を手掛けている。同社によると、約150駅に300面以上設置しており、首都圏最大級のネットワークサイネージと位置付けている。
このNewDaysやKIOSKのデジタルサイネージは、コンビニの集客力に頼らなくても、主に店舗外側の壁面に大型ビジョンを設置して、店前を歩行する通勤・通学の人たちに向けて、動画・静止画を提供している。
こうした動向の中、ファミリーマート(店舗)も、本格的なデジタルサイネージの導入を始めている。店舗の外ではなく、店内のカウンター上部に設置、来店客に訴求する設計にしてる。この大型ビジョンを設置する店舗が本年6月に全国34都道府県の約3,000店舗に達したと発表した。
ファミマによるデジタルサイネージのメディア「Family Mart Vision」(以下、FMV)は、ゲート・ワン(出資比率/ファミリーマート70%、伊藤忠商事30%)が管理・運営している。2023年度までにファミマ全店(6月末、1万6556店)のうち、設置可能な全店に導入する計画を立てている。
一般的な広告は、TVや新聞、ラジオ、雑誌といったマスメディア中心の市場である。しかし、幅広い世代にアプローチしていくためには、デジタルとマスメディアの両方の媒体を活用していくことが有効であるとファミマは捉えている。
このFMVは、コンビニの利用客を対象にしている。コンビニは小売業の中でも比較的男女や特定世代に片寄らず集客する業態である。老若男女問わず、デジタルサイネージを視聴してもらえる強みがある。中高齢者の比率が高いテレビや、逆に若い世代に片寄るネットメディアとは大きな違いがある。ファミマによると、FMVの広告効果については、設置店舗で実証実験した結果、テレビ広告とFMVを併用することにより、テレビ広告での配信を上回る、素早い広告認知が期待できたという。
米国においては、新たな潮流として、ウォルマートがデジタルサイネージなどの店頭メディアを活用した広告事業を立ち上げて収益多角化を実現している。ファミマも国内ではいち早く、リテイルメディアに参入を果たしたといえる。来年度は全都道府県1万5,000~6,000店舗規模への設置となるため、広告効果は非常に大きいものとなる。
具体的には、来店客が立ち寄るレジ周辺に、3連の大型ビジョンを設置、音声付きの広告コンテンツを配信する。ファミマは全国に約1万6,556店舗を展開、1日に約1,500万人の老若男女を集客している。今回の3,000店舗への設置完了により月間8,200万人へのアプローチを可能としている。
「1週間でユニークユーザー(サイネージを認知した人)のリーチが約1,000万人、マスメディアの一つの指標である1,000万人に到達しています。接触人数や購買、効果測定がしやすいメディアであり可視化しやすい。テレビ、インターネットに次ぐ第3のメディアに育成していきたい」とファミリーマートデジタル事業部長の国立冬樹氏は意欲を見せる。
広告以外の提供価値としては、来店客に楽しんでもらえるコンテンツを開発、モノやコトの情報を発信して、その間に広告配信をする。それにより、様々なメーカーやコンテンツプロバイダの商品やサ―ビス、コンテンツを認知拡散する支援をしていく。
実際に3,000店舗に設置した結果、来店客の約7割がFMVを認知したという。そこで配信する映像は、店頭販売商品はもちろん、保険や企業広告のほかテレビCMと同じような広告を提供している。売場で大型画面を使用して訴求するので、広告対象商品の店頭売上の効果も期待できる。
広告の他にも、お客に様々な情報を発信。ニュース、天気予報、クイズ、お笑いなどに加えて、ファミマが通常のオペレーションで実践している特殊詐欺防止への喚起、フードドライブ(家庭にある食品を持ちより、社会福祉協議会などに寄付する活動のこと)への協力といった啓発メッセージも今後は発信していく予定である。
コンビニは地域社会のインフラ、人々のライフラインといった役割を担っている。「街の情報発信拠点としてFMVを通して地域社会に貢献していきたい」(ゲート・ワンCOO速水大剛氏)と、前述の啓発メッセージも含めて、地域社会に貢献できるような情報も今後は提供していく。
地域配信に関しては、エリア限定商品の告知も、展開店舗を絞ったかたちで可能にしていく。実際に東海地区限定のコラボ商品をデジタルサイネージにより訴求した。弁当とサンドイッチのオリジナル商品の発売を、タイムリーに配信することで、エリアマーケティング支援を実施している。デジタル技術の強みを生かした、時間帯や地域特性に応じた、よりお客にとって、身近なタイムリーな情報を発信していくとしている。
ちなみに、広告で得られた収入を、チェーン本部は設置料の名目により、店舗を経営する加盟店に対して還元している。コンビニの競争環境は、同業他社だけでなく、さまざまな業態により影響を受け、より厳しさを増している。加盟店の収入確保は営業の持続性を考えれば最重要課題であり、必要な取り組みになるだろう。
以下、FMVの特徴をいくつか紹介する。一つは、スピーカーを数カ所に配置して、店内のいたるところで音が聞こえる環境にしている。
二つ目は解像度の非常に高い画面を3連で設置していること。解像度の高さにより、クリエイティブで柔軟な映像表現を可能としている。三つ目は前述したようにレジ周辺への設置。レジは誰もが通過する場所なので、これにより高い認知率を得られるようにしている。
広告枠は1日の時間帯を四つに分けて、その中で同じ収録を1時間に6回配信する仕組みにしている。例えば昼の1枠の場合は、前述のように1店舗で1時間に6回、昼は11時から17時59分までの設定なので6回×7時間で42回、これを1ヵ月30日提供すると1,260回になる。
ファミマ店舗で扱う商品に対してデジタルサイネージによる広告を配信した結果、該当商品の店舗での売上が非設置店舗と比較して、平均2割以上のアップを確認できた。前述のように、設置店舗には「設置料」を支払うので、加盟店にとっては店舗の売上増はボーナスになる。
「広告クライアントはもちろん、お客様や加盟店からの反応も良く、われわれはメディア事業の方向性に自信を深めています。こうした状況を踏まえて、ゲート・ワン設立時の事業計画を前倒しして、速やかに全店導入が実現できるように、急ピッチで次なる事業計画の策定に入っています。コンビニを取り巻く環境は厳しさを増しており、新しいビジネスモデルの構築が急務であると認識。ゲート・ワンはファミリーマートの新規事業を担い、デジタルメディア領域で、新しい収益基盤の確立を目指したい」(ゲート・ワン取締役島田奈奈氏)
FMVの導入により、広告対象商品の売上のアップに加えて「オリジナルコンテンツがおもしろく、お客様の評判がよい」「売場の雰囲気が明るくなった」といった声が加盟店から挙がっているという。
デジタルサイネージは、イオンをはじめとするスーパーマーケットにも導入が始まっている。スーパーの場合は、店内の買物客に今、実際に購入してもらうインストアプロモーションのアプローチが主であるのに対して、ファミマの取り組みは、もちろんインプロもあるが、イメージ広告であったり、新商品の告知であったり、来店頻度が高いコンビニの特性を活かしたコンテンツになっていくと考えられる。
大型ビジョンには、お客の側に向けたAIカメラが設置されている。これはお客の属性を知るためのカメラで、個々人を特定する機能はなくプライバシーは守られている。ここで読み取った属性をもとに映像を選択するようなことはしない。逆にお客に対して不安を抱かせるマイナス効果が予想されるからだ。
デジタルサイネージに関して、セブンイレブン、ローソンの動きはなく、「ファミペイ」などデジタル事業に注力するファミマが先行するかたちになっている。
値上げラッシュは我が道を歩むコンビニ業態にも無縁ではない。利便性を強みにして、決して安くはない商品を展開して半世紀。コロナ禍で変化したマーケットに当初は適応できずに苦戦してきた。新しいマーケット、そして原材料の高騰、所得の格差拡大に、コンビニの商品政策は、変わるのか、変わらないのか、先ごろのセブン−イレブンによるスイーツ全面刷新を事例に考えてみたい。(構成・文/流通ジャーナリスト、月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2022年8月号より抜粋)
セブン−イレブン(以下、セブン)が6月にスイーツを全面刷新した。定番のシュークリームが172円(税込み、以下同)、豆大福151円、他にも、モンブラン345円、どらやき226円と強気の価格が並ぶ。セブンが唱えるのは「品質向上」である。折から原材料費が高騰している。セブンも、この春にサンドイッチなど基本アイテムの値上げに踏み切った。
その際、同社の青山誠一取締役執行役員商品本部長は「コストを価格に転嫁するのであれば、お客様に満足してもらえるような見直しを図っている。サンドイッチは少し低迷していたが、販売が上向き、nanacoデータからリピート率の向上も確認できた。全てがうまくいったわけではないが、商品の質を高めるリニューアルをしっかりと実施していく」と、値上げの方向性を示した。
実際に売上の4割以上を占める、おにぎりや弁当、調理麺、サンドイッチ、総菜といった「ファストフード、日配品」は、オリジナル商品がほとんどなので、他社と比較されることがない。原材料費のコストアップにより値上げが必要であれば、単に価格を上げて、お客に理解を求めるのではなく、商品の品質や製造方法を変更、すなわち“商品の質を高めるリニューアル”により、納得してもらう方法を取るとしている。
物価上昇に賃金が追い付かない現状、チェーンストア大手のイオンや西友は、プライベートブランド(PB)商品に関して「価格据置き」を宣言している(一部商品は6月末で解除)。普段の食生活を支える基本商材を値上げせず、チェーンストアとして人々の暮らしを守る使命を担っていると自負しているからであろう。
対してコンビニの役割は「利便性」の提供であり、セブン−イレブンは創業期から「開いててよかった」、2010年より「近くて便利」をキャッチフレーズにしている。「どんどん安く」は理念にない。今後、所得の二極化、格差が拡大すれば、コンビニの利用を止める層が出てくるかもしれない。それでもトレードオフして価格維持するよりも、トレードオンして価格を見直す方向性は一貫している。ただし、競争環境や広くマーケットの特性に応じて、カテゴリーごとに取り組みは違ってくる。
セブンは7月4日より、カウンターで販売するコーヒーの価格を10%~20%引き上げた。税込み100円だったコーヒーが110円に。「100円コーヒー」の俗称は使えなくなる。この価格改定は単純な値上げである。買い付けたコーヒー豆を焙煎して店舗に供給、設置したマシーンで提供するコーヒーに改善の余地は、ほとんどない。
セブンはかねてより高級豆を使用したコーヒーの実験を各地で実施してきた。筆者は2017年冬に札幌市内で「高級モカブレンド」120円を目撃しているが、その後、実証実験は各地で継続しながら本年5月24日より「高級コロンビア・スプレモブレンド」140円に統一して全国の店舗で順次発売している。
すなわち、長らくレギュラーサイズ100円だったコーヒーに、110円、もしくは140円の選択肢を用意して提供している。
コンビニのカウンターコーヒーは、コンビニ同士の競合はあっても、それ以外には競争にさらされない。例えば、ドトールコーヒーの持ち帰りはSサイズで税込み220円。コンビニの2倍の価格を設定している。コーヒーショップはイートインを基本としており、テーブルとイスを設置してスペースを確保している分、コーヒーにいわゆる「場所代」を乗せている。テイクアウトも、その価格に合わせているので、コンビニよりも割高になる。コンビニのカウンターコーヒーが価格優位性を発揮できる。
現時点(6月末)で、他のコンビニチェーンは100円コーヒーの価格を据え置いて様子見しているが、セブンの買上点数が変わらないようであれば、追随して値上げに踏み切るであろう。ファミリーマートは、既に「高級モカブレンド」税込み120円を持っているので、セブン同様に100円台前半で、選択肢を用意した値上げになるだろう。
コーヒーと相性の良い、冒頭のスイーツに話を戻す。セブンが6月に大型企画商品として発売したシュークリーム「シュー・パティシエール」172円など“商品の質を高めるリニューアル”を実施した。勝算はある。同社商品本部の平田哲也デイリー部ベーカリー・スイーツシニアマーチャンダイザーは「在宅時間が長くなり、スイーツを自宅で食べる頻度も増えている。外出を控えてプチ贅沢をするお客様も多い」と外部環境の変化を挙げている。
実際にセブンでも、コロナ禍前、そして外出自粛が本格化した後も、スイーツの売上は伸長してきた。しかしコロナ禍が一巡すると、徐々に陰りを見せ始める。近くて便利なセブンでスイーツを購入してきた人たちも、宅配利用や通販、ふるさと納税の返礼品など、さまざまなチャネルからスイーツを購入できるようになった。そこでセブンは立ち寄ったついでに購入するスイーツではなく、わざわざ来店して選ばれるスイーツの方向性を示した。
この「シュー・パティシエール」にも付加価値を高めている。製菓のために開発された、コクの強い卵を使用、発酵バターを加えて濃厚なカスタードに仕上げた。シュー生地は4種の小麦粉と、発酵バターを組み合わせて2層で焼き上げて、より風味の良い商品に仕立てたという。それ以前に品揃えしていた「シュー・ア・ラ・クレーム」(149円)は廃番にしている。シュークリームは、この他に、価格的には下のラインになる「ダブルクリームのカスタード&ホイップシュー」162円を持っている。
ともあれセブンでシュークリームを購入するには税込みで162円と172円の2つの選択肢しかない。専門店と互角に戦える品質を追求すると、シュークリームは、この価格、カップケーキでは前出の「モンブラン」345円のような価格を設定せざるを得なくなる。
しかし思い起こすと、2017年3月までセブン−イレブンの主力スイーツは税込み100円の「(ミルクたっぷり)とろりんシュー」だった。商品名の通り、クリームがとろりとしており、食べなれない人は手をクリームで汚すことになる。そういう特徴も人気に拍車をかけていた。セブンは同年4月にリニューアルをかけて「THEセブンシュー」と改名、130円に値上げする。長く定番だった100円のシュークリームを消失させた。
当時の商品本部長(現セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員グループ商品戦略本部長の石橋誠一郎氏)は会見で次のように説明している。
「この商品は2001年に発売して以来、リニューアルを重ねてきた。発売当初は1日(1店舗平均)18個を売っていたが現状は半減している。それでも販売個数は高いのだが、お客様の変化に付いていけていないと考え、あらためて今のマーケットに求められている、味、品質とは何なのかを確認した。そこで2001年から継続してきたコンセプトを全く変えていく。商品名も企画も全てやめて、コンセプトを“とろりんシューやめます”とした。ゼロベースで立て直すということ。ここまでやらないと、お客様の変化に対応できない」
すなわち、売れ行きが落ちてきた商品の延命はしない。支持されないのは世の中の求める品質に対応していないからだ。必要なのは、既存の商品よりも品質を高めて、明らかにおいしい商品に仕立て上げること。他のカテゴリー全てに当てはまるとはいえないが、スイーツについては、“とろりんシュー”をやめたときから、脈々と品質の向上(およそ価格も上昇)を続けている。
一方で和菓子の定番である「北海道十勝産小豆使用豆大福」151円は品質を高めたものの価格を据え置いた。既存品と同様に北海道十勝産の小豆を使用、さらに「エリモショウズ」という、あんこに適した品種に変更して、うま味、風味を高めているという。
新型コロナウイルスによる意識と行動の変化により、人々の行動範囲が狭まり、人気のカフェや、遠くの洋菓子店、人が密集するデパ地下を避けて、近隣のコンビニを利用する人たちが増えていった。そうした追い風が徐々に薄れつつある今こそ、品質を高めて、客単価を高める。
世の中の値上げラッシュの中で、コンビニ、特にセブン−イレブンは危険を承知で、理念に基づいた独自の商品政策を推進している。
セルフコスメの売場づくりでは実績のある井田両国堂は近年、韓国コスメ、アジアンコスメの売場づくりを強化している。多数の韓国コスメを取扱う同社に、韓国コスメのトレンド、売場づくりのポイントについて聞いた。(月刊マーチャンダイジング2022年8月号より抜粋)
—韓国コスメが絶好調の理由について教えてください。
松本 まず、当社では、韓国コスメは、2003年頃に「BBクリーム」を第1弾として取扱いました。当時の日本での認識は「一過性の商品」だったのですが、その後、韓国コスメの低・中価格帯という特徴が日本で受け入れられるようになり、市場が拡大したという背景があります。
さらに、直近2、3年のコロナ禍という状況では、コロナ前でしたら韓国旅行に行って韓国コスメを買うことができたのですが、いまは行けないので韓国コスメの輸入が増えているという状況です。
コロナ禍での韓国コスメの伸長は、「ツボクサ」という傷治療で使われる植物から抽出したエキス「CICA(シカ)」の人気から始まりました(写真1)。現在は、シカクリーム、シカフェイスマスクなどが発売されています。
シカは、「敏感肌の人のマスクによる肌荒れケア」という名目で発売され、日本ではかなり受け入れられました。それまで日本ではシカのコスメはなく、現在は日本でも徐々に増えてきていますが、韓国コスメのシカが一番売れているという状況です。
Z世代がSNSを通して、K-POPアイドルの真似をするなどして韓国コスメの人気を広げています。韓国のアイドルがSNSに顔写真をアップし、使っているコスメが話題になることもあります。
韓国の男性アイドルの影響もあり、BBクリーム、コンシーラー、眉毛のケアなどのメイクを使用する若い男性が増えています。メイクをする男性の増加は、韓国製だけでなく日本製のコスメでも見られる傾向です。
韓国コスメの特徴は商品開発力だと思います。もともとBBクリームは「肌の美しさを損なう傷や欠点をカバーする」という発想で開発された商品で、現在の「気になる部分に塗る」という機能が人気になりました。また、ティントリップは「唇の角質層を染めることで色が落ちにくい」というリップです。
それらは日本にはなかった発想です。そうした韓国コスメの独自の機能が日本で受け入れられてきているのだと思います。
—小売業との取組みについて教えてください。
松本 当社では、多数の韓国コスメを取り扱っています。SKU数自体はどんどん増えてきています。
韓国では、大小合わせて1万社以上の化粧品メーカーが存在しており、新興メーカーを含め、日本進出をかなり狙っているらしいので、数年以内に、日本に来る韓国のメーカー、SKU数はさらに増えてくるだろうと思います。
当社が取扱っている韓国コスメの中では、「rom&nd(ロムアンド)」「TIRTIR(ティルティル)」「VT」などが売れています。
小売業の売場を見ると韓国コスメのコーナーは確実に増えています。韓国コスメは今のところ売場の適正スペースは分かりませんが、最大限の本数は取ろうと思っています。坪数的に4本しか取れない店なら4本で展開しますし、10本以上のパターンもあります。
また、韓国・中国・タイ・台湾などのコスメを集めた「アジアンコスメ」も、ドラッグストア(DgS)、量販店の売場は拡大しています。
コロナの影響でインバウンドがなくなったので、売上を補うという意味でも、韓国コスメ、アジアンコスメを検討する小売業は増えていると思います。
当社では、韓国コスメに限った話ではなく、日本のメーカー様とも店舗に導入する前に商談を重ねます。商談では、まず、ブランドイメージを損なわれないようにプロモーション展開について話し合い、店頭での露出を増やし、ブランドや商品の希少性をお客様に訴求し、商品の認知度を高めるという基本戦略です。
プロモーションはブランドを中心に陳列することもありますし、「プロジェクト陳列」にても実施します。
プロジェクト陳列では、棚割のテーマを決めて、たとえば、「UVケア」というテーマならば、様々な日焼け止めの関連商品をエンド、アウト展開で陳列し、お客様に分かりやすいように商品の機能等を訴求します(写真3)。
今年はジェルタイプ、スティックタイプ、スプレータイプのUVケアがかなり売れていまして「タイプ別」という切り口で分類することもあります。ほかには、室内、屋外、旅行などの「シーン別」で分類することもあります。お店に合った形のテーマ、切り口でプロモーションを実施して頂いております。
また、「浴衣メイクHow to」というテーマでは、韓国コスメも陳列しています(写真4)。当社が提案するテーマ軸のプロモーションによって、商品価値を高める戦略です。
—韓国コスメの定番化についての考えを教えてください。
松本 東京エリアの店頭を見ると、韓国コスメの定番化は主流になってきていると感じます。特に若い人はスマホに慣れており、立地による情報格差が少ないので全国で売れると思います。
もともと韓国コスメは、バラエティストアで最初に展開していたのですが、最近ではDgSでの展開もかなり増えています。
韓国コスメはトレンドの変化が早いので…。
続きは、月刊マーチャンダイジング2022年8月号でご覧ください!
毎月のプロモーションのネタに便利に使える販促企画書。2022年10月、11月のアイディアです。
月刊マーチャンダイジング2022年7月号では「韓国コスメ」を大フィーチャー!コロナ禍で苦戦するコスメカテゴリにおいて、前年同期比を上回る実績をたたき出し続ける韓国コスメ。売りまくる店舗ではどのような展開をしているのか。大手メーカーの日本市場戦略とは!?本記事では日本市場における韓国コスメの概況をご紹介します。(月刊MD 2022年7月号から転載)
KOTRA(大韓貿易投資振興公社)大阪貿易館の調査によると、韓国コスメの日本向けの輸出額はコロナ禍の2020年も前年比35%増と驚異的な成長を継続している。2019年と2021年対比では1.5倍も輸出額が増加している(図表1参照)。
2021年の韓国コスメの日本向け輸出額は4億5,900万ドル(約587億円)に達している。これは化粧品輸出額がずっと1位だったフランスの日本向け輸出額と同規模に迫っている。
ECサイトにおける韓国コスメのカテゴリー別の人気商品を図表2に整理した。1,000円台の価格帯の商品から3,000円台の商品もあり、価格帯の幅があることがわかる。
当初の韓国コスメは低価格帯中心であったが、近年は韓国コスメの品質も向上し、中・高価格帯の化粧品も登場している。また、品質の向上によって、韓国コスメ購入客のリピート率が大きく向上していることも近年の特徴である。
さらに、韓国コスメ独自の品質と機能を持つ新商品も登場し、韓国コスメだけの特徴がある化粧品が人気を集めている。
たとえば、「シカクリーム」は、肌の損傷改善や再生効果が期待できるクリーム。毎日使うことで、肌の再生能力が上がり、健康的な素肌を作ることができる。韓国コスメの主なシカ成分は古くから外傷治療薬としても使われていた「ツボクサエキス」。マスク肌荒れの増加などで人気だ。
「クッションファンデ」は、パウダーファンデーションとリキッドファンデーションのちょうど中間にあたる。クッションに液状ファンデーションをしみこませたコンパクト形状のファンデーション。お肌をケアしながら毛穴をカバーする「多機能ファンデーション」といわれている。
「ティント」という名前の口紅も韓国コスメが開発した新機能で人気。「tint=染める」という意味で、唇を染め上げて落ちにくいリップとして一躍脚光を浴びた。コロナ禍の最近ではマスクに色移りしにくいことから支持されている。
一方、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)大阪貿易館の調査によると、現在の韓国で急成長中のコスメカテゴリーは、「ダーマコスメティック(医薬成分化粧品)」「インナービューティ」「ヴィーガンコスメ」の3つである。これから日本でも成長が期待できる「NEXT韓国コスメ」といえよう(図表3)。
「韓国の商品が多くの日本の方に愛されているからこそ、より優秀な商品を日本の皆さんにご紹介していくのがKOTRAの役目だと思います。コロナの影響で中止されていた韓国にバイヤー様をご招待する商談会や展示会なども今年から再開しつつありますので、新たな韓国商材をご検討中でございましたらKOTRAにお声掛け下さい」(KOTRA大阪貿易館 孫 昊吉館長)。
月刊MD2022年7月号は韓国コスメの人気の背景を大特集!
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