すすむドラッグストアの食品強化。主要チェーンの品揃を徹底調査!

進行する小商圏化。限られた商圏人口で客数を上げるためには食品強化は必須だ。そんな中ドラッグストア(DgS)が食品の買い場として存在感を増している。生鮮を含むフード&ドラッグという業態に進化しつつあるDgS。今回は大手DgSの食品売場を調査して食品部門の進化と課題を考察する。(月刊マーチャンダイジング2021年12月号より抜粋)

7割が調剤併設。食品強化と二正面作戦

今回の調査では首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に出店する郊外型のウエルシア、コスモス薬品、ツルハ、クスリのアオキ、カワチ薬品、クリエイトSD、マツモトキヨシの各社、計20店舗調査した。店舗選びで調剤の有無は問うていないが結果的に20店舗中70%に当たる14店舗が調剤薬局を併設、程度に差はあるが14店舗いずれも生鮮の取扱いがあり、一ヵ所完結型のフード&ドラッグ業態が増えていることを示している。

今回は菓子、飲料類などではなく、食事の準備に利用できる食品を中心に「品揃え」「鮮度状況(見た目)」などを調査し、DgSがどの程度食品スーパー(SM)の代替ができるかといった視点で売場を見ている。ヘルスアンドビューティを主力とする、あるいは調剤薬局を併設したDgSが食品売場のレベルを上げれば「業態としての競争力」は非常に高くなり、地域シェア獲得に有利となる。

今回の調査は食品売場の充実ぶりを通して、DgSがどの程度業態としての競争力を高め進化しているかを見ているといってもよい。併せて改善ポイントも考察している。

各社の公式サイトなどで食品の取扱い店舗を事前確認し調査したが、各店舗食品売場の規模は異なるため、企業間比較は意図するところではなく合計スコアは採用していない。

調査内容は各調査、得点式の評価に加え売場の感想や意見など自由記述を設けている。青果、精肉に関しては品揃え、豊富感、見た目の鮮度、日配品は品揃えと各アイテムの品数(種類)、価格(最高と最低)、冷凍食品に関しては売場規模、必要な品揃えだったか、安さを調査した。最後に総合評価として「朝昼夕の3食を賄えるとおもったか」「食品購入を第一の目的にこのDgSを利用するか」「よく行く食品SMと比較して優れている点」をそれぞれ調査員に自由記述で回答してもらった。

[青果]各社充実する品揃え。豊富感と鮮度には課題も

青果の品揃えでは、17品目を調査、自由記述ではそのほかに品揃えのあった商品も記述してもらっている。得点はある100、ない0で見た。品目別に見ると日配の物流に乗りやすいカット野菜、モヤシの品揃えが90を超え、在庫率は高い。

トマトが80を超えるのは少し意外だがニーズの高い品目を強化していることがわかる。玉ネギ、ジャガイモ、ニンジンといった常温の保存が可能で使い勝手のよい品目の在庫率も70~75で高い。レタスが10でもっとも品揃えされていない。クリエイトSD、クスリのアオキが33.3なので、鮮度管理の難しい葉物まで店によっては販売していることがわかる。

比較的安価で腹持ちがよく朝食として食べることが多いバナナの品揃えは65.0で高い。その他果物ではリンゴ、ミカン、キウイを調査しており、常温で日持ちのよいキウイがバナナに次いで在庫率が高かった。ビタミンCや食物繊維が豊富で比較的安価なので、朝食用などとして品揃えすれば食品売場の充実に有益な商品である。

陳列の十分さ、豊富感に関しては各店舗それほど評価は高くない。限られたスペースなので数量をそれほど確保できない売場事情が改めて確認できる。それでも、モヤシ、カット野菜は比較的豊富感のある陳列になっている。鮮度、見た目の印象は概して評価は高くない。冷蔵ケースの導入や適切な見切り、廃棄など改善を要する分野だろう。各店の特徴は次のとおり。

●クリエイトSD青果の品揃え強化の戦略が明らか、立地条件によって店舗タイプ(食品売場)を変えている。
●クスリのアオキ食品SM並みの品揃えと物量。DgSのイメージを超えている。店内回遊で購買点数アップの狙いが見える。
●カワチ薬品早くから青果の取扱いをしていたが、品目と物量は絞っての展開が見える。
●ツルハ…こちらも食品取扱い強化の路線が見える。ただし、品目と物量は絞り気味。
●コスモス薬品…青果の品揃えは、絞り切っての展開、もしくはカット野菜以外は販売しない手法。効率的な戦略が見える。
●ウエルシア標準化が浸透しているので、立地による変化は少ないが、店舗によっては必要最低限の取扱い。
●マツモトキヨシもっとも従来型のDgSらしい食品売場ともいえる。公式サイトに食品取扱いの記載はあるが、主に「飲料」「菓子」がメインで冷蔵ケースも飲料のオープンケースのみであったりする。

このほか、日配、精肉、冷凍食品、総合力について、主力チェーンの状況をレポート!詳しくは、月刊マーチャンダイジング2021年12月号に!

価格個別化で利益率は向上する!DX時代の「ポイント・クーポン」戦略

これまで「どんぶり勘定」が中心だった小売業界。だがデジタルを用いれば、適切な「値付け」「値引き」を実現できるという。そんなことが実際に可能なのか?多くの先端企業で「価格の最適化」に関わる経済学者の成田悠輔氏に、サイバーエージェントAl事業本部の藤田和司氏と、同データサイエンティスト白木紀行氏が「最先端の価格決定論」を聞く。(月刊MD2021年12月号より)

価格個別化で利益率 15%以上アップしたWayfair

藤田 今回は価格の「最適化」「個別化」がテーマです。たとえばAmazonは数百人単位で経済学者を採用し、経済学を駆使し、価格政策を高度化しているといいます。(コラム参照)

価格政策によって急速に成長している小売業で、成田先生が注目している企業はほかにありますか。

成田 Amazon以降に創業したアメリカのEC企業のなかで、時価総額が数兆円まで伸びた企業のひとつ「Wayfair」の価格政策は注目すべきかとおもいます。Wayfairは、家具や寝具などの生活用品に特化したEC事業を展開している企業です(写真1)。

[写真1]Wayfairのウェブサイト。個々の商品の価格が購買履歴などによって個別化されている

この会社は、大勢の経済学者やデータサイエンティストを雇用し、顧客の過去の購買履歴に基づき「どのように価格を決定すれば最大の利益が得られるのか」を研究しています。サイトで取り扱われている商品の値段はすべて自動的に決定されていて、さらにすごいのがその商品価格が「ユーザーによって違うことがある」ということです。

つまり僕がある商品をクリックしたときと、藤田さんがクリックした場合で、過去の購入履歴などを参照して、人によって違った価格を表示する。価格のパーソナライゼーションを実現しているといえます(写真2)。

[写真2]Wayfairの個別商品画面。閲覧者の動向によって価格が変わる(写真は時間をおいてアクセスした例)

数年前にWayfairがすべての商品価格決定アルゴリズムを設計し直した際の資料があります(図表1)。もともとこの会社では商品ごとに、Amazonなどの競合サイトでの販売価格をスクレーピング(ホームページのデータを自動で抽出すること)して、その価格の下をくぐるということをやっていました。ですが、これをやっていると、より強い企業が、より安い価格を提示したら負けてしまいます。そこで価格を個別化することによって、利益率がどう変化するのかという実験をしたのです。

[図表1]Wayfairの価格の個別化実験

図表1では、縦軸が収益、横軸が日数の経過を表しています。「Day0」までは既存の価格決定の仕組みを使っていました。「Day0」以降、価格を完全に個別最適化する新しい仕組みを導入したのです。

商品をランダムに2つに分け、商品群B(青線)はそのままの価格決定の仕組みを使い、商品群A(赤線)は商品ごとに価格を最適に個別化して表示したところ、商品群AとBで20%前後収益に差が出ました。

さらに、Day30以降、商品群AとBで使用する価格決定の仕組みを逆にしました。するとちょうどきれいに赤と青がひっくり返ったというのがわかるとおもいます。ですからこの赤組と青組の差は、古い手法と新しい手法の差によるものであると推測されます。そこで、Day60以降は全体を新しい手法に変更したところ、もともとの基準から見ると全体で15~20%程度高い収益を達成しました。

藤田 価格を完全にパーソナライゼーションするとこれだけ大きなインパクトがあるんですね。「価格の個別最適化」は言葉としては昔からあるのですが、すでに実現している企業があるということに驚かされます。

WayfairはEC企業ですから、オンラインで取引が完結します。どんなお客さまがどんな情報を閲覧して、何を購入したかをデータで取得しやすいからこそ、データ分析しやすいという背景もありますよね。

成田 そうですね。ECとリアル小売業とでは、あらゆることに対するデータのたまり方が違います。それぞれの商品が、どれぐらいの価格で、どれだけ売れているのか。いつ、だれに売れたのか。在庫の状態はどうなのか。さらに商品を購入したそれぞれのお客は、どのような人たちで、何にどれぐらいお金を使う人なのか…という情報の質、そして情報の量がまったく違います。

ただ、リアル小売業でも、スマホアプリを導入することで、購入履歴やそのほかのユーザー情報がどんどん蓄積されています。リアル店舗とECの境界は、そういう意味ではどんどんあいまいになっていくのではないでしょうか。

[コラム]経済学者を大量採用するAmazonの狙い

データ経営の最先端をいくAmazon。同社が現在注力しているのが、経済学者の採用だ。経済学博士を約400名採用し、事業の中核でさまざまな分析を行い、事業の方向性を決定している。
Amazon上で販売している商品の値付け、値引き額の決定はもちろん、Amazonプライムの年会費や、同社が提供しているクラウド基盤「AWS」の値決め、口コミの掲載方法、商品の掲載順…ありとあらゆる局面で、蓄積されたデータに基づいた判断を行うのである。
このように、アメリカの企業では経済学者が事業の中核を担う流れがあり、彼らは「デジタル経済学者」や「テック経済学者」などと呼ばれている。

価格の個別化の前提と現状

藤田 私たちサイバーエージェントも小売業さまと「データをためる」ところから「データをつないで分析できるようにする」、実際に「データを活用する」ことに取り組んでいます。

このようなことが実現できるようになったのも、お店でスマホ支払いをする方や、アプリ上のポイントカードを提示するお客さまが増えているということが背景にあります。一方、店舗での実務に目を向けると、実店舗で個々のお客さまに合わせて価格を変更するのは、現実的ではありません。プライスカードを一枚一枚張り直していくわけにはいきませんから。

ですから、実店舗における価格の最適化は、お客さま一人ひとりに対して発行するクーポンや、ポイントバックという形で実施していくことになるのではないかとおもいます。

成田 おっしゃるとおりですね。これまで販促の手法には、直接の値引きや、クーポンによる値引き、ポイントバックなど、さまざまなものがありました。つまり、クーポンも、ポイントも、実店舗がそれぞれのお客さまに合わせて価格を最適化するための道具と捉えることができます。

ただ、価格の最適化は、小売業に関わる皆さんの頭の中にイメージとしては存在していても、実店舗の小売業では遅々として進展していないというのが実態ではないでしょうか。

ECをはじめとするデジタルネイティブな産業でさえ、まだまだ勘と勢いで経営判断している企業が少なくありません。国内の小売業さんでは、データに基づく価格最適化や、それを実現するためのクーポンやポイントのデザインをしっかり推し進めている企業は皆無に等しいのではないでしょうか。

DgSも数から質に潮目が変わった

藤田 たしかに、いま成田先生がおっしゃったような企業が大半なのではないでしょうか。たとえばドラッグストア(DgS)に目を向けると、この10年、20年は新規出店で売上げを伸ばしてきました。一人ひとりのお客さまに対する価格最適化よりも、1店舗でも多く出店する、あるいは企業間統合をしてマーケットシェアを上げていくということで売上と利益を伸はしてきたのが、この数十年の傾向でした。

ですが、マーケット全体が数兆円にまで成長し、トップ企業も売上1兆円に迫るという状況で、そろそろ出店して売上を伸ばすという、規模の論理は飽和状態になっていくのではないかとおもいます。ここから先の5年10年は、数よりも質の世界にシフトしていくのではないでしょうか。

私どもにもお問い合わせやご相談をいただく内容として「これまでやってきた、一律○%オフとか、決算月に毎週クーポンを打つというようなやり方を、そろそろ改めたいが、方法がわからない」というものが増えています。方向性が大きく変わりつつあります。

成田 これまでに申し上げた価格の最適化の話は、ある程度その企業のマーケットの規模が大きくないと、メリットがコストを上回らないという構造です。ですから規模が大きな企業さんから順番に取組みが進むのではないでしょうか。

10円のクーポンで80円利益が増えることも

[図表2]値引き・クーポン・ポイントの比較

藤田 そこでDgSの価格の最適化をしようとすると、おそらくクーポンやポイントバックの料率を変化させることで実現していくことになるわけですが、一方クーポン、ポイント、それぞれの施策によって、お客さまの捉え方も違っているのではないかとおもうのです。

成田 そうですね。ポイントとクーポンではまず全然反応が違います。僕たちの日常的な感覚として、ある商品が「その場で100円引きになります」といわれるのと、「これをいま買えば100ポイント分たまってそれを次の買物で使えるかもしれません」といわれるのでは、だいぶ受け取り方が違います。

理想的にはポイント、クーポンそれぞれについて、どういう人が、どれだけ反応しているのかを測り、それに基づいて一番よさそうな割引内容を細かく設定していくというのが重要になります。

クーポンに関していうと、日本ではとてつもなく効果がある場合があります。

先ほど紹介したWayfairは、全商品の価格をチューニングした大がかりな事例ですが、もう少し小さな範囲の実験結果があります。以前メルカリで行ったクーポンの効果に関する実験では、10円クーポンに投資するたびに、利益が80円ほど上がるという結果が出ました。あるクーポンを10円分発行した場合、低く見積もって80円程度利益が増え、高く見積もった場合130円程度増えるという結果でした。

メルカリは、個人間の売買のプラットフォームです。商品が売れたとき販売額の10%が手数料としてメルカリの収入になります。そこでメルカリが10円分のクーポンを発行すると、うまくいけばプラットフォームの利益が80円になって返ってくるということです。これは特定のブランドや商品にひも付かないクーポンですが、ブランドとひも付いたクーポンで実施すると、もっと効果が出る場合もあります。

クーポンには、お祭りのような意味合いもあるのだとおもいます。ですから「◎◎のクーポンが手に入ったから、あのお店に行ってみよう」というように、クーポンがきっかけで行動したり、人間関係が生まれるというような、金銭的な価値から少し離れた側面までクーポンに組み込んでいくことが重要だとおもいます。

ポイントの持つ「継続的な関係性構築」という意味合い

白木 クーポンには販促的な効果もありますが、同時に広告的な要素もありますね。広告として企業や商品を認知してもらう効果と、値引きによって集客をするという、2つの効果を期待した施策といえます。

一方、クーポンを発行することで、需要が一時的に増え、在庫のコントロールが難しくなるということを懸念される小売業さまもいらっしゃるのですが、これはデータに基づいた分析を行い、在庫を含めて総合的に管理することで改善できます。価格をどう設定し、どれぐらいのリターンのクーポンを発行すると、どれぐらい需要が増加するのかを予測し、あらかじめ在庫を確保する。これらを自動化して推進していくのが今後の方向性なのではないでしょうか。

成田 在庫管理も、クーポンとポイントの出し分けも、「人がどういう商品を欲しいとおもっていて、価格がどれぐらいになるとその欲しさがどれぐらい変わるのか」ということがもともとの根幹にあります。その根幹に基づいて、ポイント、クーポン、そして在庫を統合管理できる体制がつくれたら理想的です。

白木 付け加えると、価格だけではなくて、広告活動も含めて検討をしていく必要があるとおもいます。紙でもネットでも、広告が露出することにより商品の需要は変化します。メディアでの露出も含めて管理しつつ、価格もその一部として検討していくというのが、あるべき小売の販促施策の姿なのではないでしょうか。

藤田 いまはおそらく必要としていない人に割引を提供するということも少なからず起きているはずです。定価で買ってくださる人にわざわざ割引して販売する必要はありませんし、逆に大きな割引率を提示しても買ってほしい人がいるかもしれません。今後はそのような出し分けもしていく必要があります。

ポイントとクーポンの違いでいうと、クーポンには広告的な意味合いがあり、爆発的な効果を示す場合がある一方、継続的な関係性をつくるためにはポイントの方が向いているのではないかともおもいます。これからのDgSを考えていくうえで、今後どのようなチェーンを目指すかによって、ポイントとクーポンの使い分けは重要な要素になっていくでしょう。

地域に根差した店づくりを標榜するDgSであれば、「ポイントがたまるからこの店で買物をしよう」というような、お客さまとの継続的な関係づくりも狙っているはずです。難しい取組みですが、「愛着の設計」というようなものは重要になるのではないでしょうか。

成田 クーポンはカンフル剤のようなもので、ドカンと打ってその場で結果が出るイメージです。一方ポイントは短期的な効果は小さくても、長い目で見たときに、顧客と会社の関係づくりに役立つ、コミュニティづくりに役立つ、いわば「サプリをのむ」とか「整体に行く」というような意味合いもあるとおもいます。

データで分析してはいけない分野もある

成田 こういった施策を検討する際には、長い目でKPIを測ることがとても大切です。短期的な収益への貢献と、顧客の継続来店を促す施策は、相反することが少なくありません。

そういう意味で、いまのデータに基づくマーケティングにありがちなわなは「短期的な指標にとらわれすぎること」ではないかとおもいます。同時に長い目で見たときの指標も取り続けて、効果を測っていくことが重要です。

データに基づいて判断するということは、データで測れるものしか考慮に入れられないということです。20年、30年という長期で見たときの企業のブランド価値は、データで測ることはできません。そこには注意が必要です。

藤田 たしかにそうですね。短期的な結果におもねてしまうことで目的を見失ってしまうことには配慮しなければなりません。一見するとすごく非効率で無駄があるようにおもえるけれども、実は価値がある、ということはありそうですね。

成田 たとえばDgSであれば一昔前ではオーガニックや無添加系のカテゴリー、最近であれば男性向け化粧品のように、新しいカテゴリーをつくったり、生活習慣を変えること自体を目指しているような取組みでは、短期の指標にとらわれすぎるのはよくないのだろうなとおもいます。

藤田 小売業さんは、いま世の中にないものを、売場で紹介して、生活のなかの定番商品をどんどんつくる、というようなことに何十年も取り組まれています。これからは新しいものを紹介するだけではなく、生活の質を上げる体験の提供に取り組んでいくのではないか、というようなことをいまお話ししていておもいました。そのためにデータを使ったり、経済学を活用するのかもしれません。

プロジェクトの成否を決めるのは「課題の切り取り方」

藤田 自社の事業に経済学やデータサイエンスを取り入れる場合、どのようなことに苦労される企業が多いのでしょうか。

成田 一番わかりやすい難しさとしては、データを活用したいとお考えになられても、そもそもデータが存在していない企業さんが少なからずあります。データはあっても、紙やエクセルでしかないとか…。ただ、こういった困難は、時間がたてば徐々に乗り越られるものだろうともおもっています。そういう課題を乗り越えたうえで難しいとおもうのは、「課題をどう切り取るか」です。

そもそも事業会社の方は、何が課題で、何ができて、何ができないのかがわからない状態で、プロジェクトに着手せざるを得ません。ですから過剰な期待をお持ちになられていることも多い。打ち得る施策のなかで、何を変えたくて、それを変えるためのどのような道具が手元にあるのかを理解されているかどうかが重要なのではないかとおもいます。

白木 そうですね。データ分析は、そこで得られた結果が、何かの意思決定につながらないと意味がありません。「何をしたいのか」「何を変えられるのか」「その結果がどうだったら、何をどのように変えられるのか」を、事前に決めておかなければなりません。

成田 そのプロジェクトの目的とKPIにあたる指標は何なのか。それをどう変えたいのか。それを変えるために、どの指標をいじることができるのか、これが、最初の段階でかなりはっきりしていることが、プロジェクトの成否を分かちます。

藤田 プロジェクトの対象範囲が大きすぎると、利害関係者が多くなり、進みが遅くなって、ゴールにたどり着けなくなる…ということは往々にしてあります。最終的には全体最適を目指しつつ、最初は小さな範囲に集中して、成功事例をつくっていくというような進め方の方が、結果として早く、大きな成果にたどり着けるような気がします。

成田 先ほど出てきた、「価格」「ポイント」「クーポン」関連であれば、まずは「特定のこのクーポンをどうするか」だとか「このポイントキャンペーンを今後どうするか」というレベルのプロジェクトからスタートするのが現実的です。

「経験の束」に適切な価格の付く未来

藤田 小売業のアプリ活用についてはどうでしょうか。われわれは小売業さんのDXを推進するうえで、重要となるのはすべての買物体験をひとつのアプリに集約する、いわば「アプリファースト」であるという話をさせていただいています。

そして、この先データを活用していくためには、会員情報や購買履歴など、すべてのデータをアプリ経由で蓄積し、より適切なポイントバックやクーポン発行などのオファーを提供していけるようになっていかなければなりません。

小売業さんも、この1〜2年でアプリに対する考え方が大きく変わりつつあるように感じています。これまでのアプリはポイントカードの代替品で、使い勝手に関する評価も気にしないという企業さんが多かったのですが、最近は「アプリを店の顔にしたから、もっと使いやすく、見栄えよくしたい」というご相談を受けることも増えています。

白木 これまでお客さま個人に対する値引きなどの案内は、登録されているメールに個別に送るというような企業さんも多かったのですが、メールだとどうしても限定された商品だけを対象にせざるを得ません。そうではなくて、個別の割引の案内についても、顧客体験の質が高いアプリで見てもらうということが非常に重要になってくるとおもいます。

IKEAは、経済学者だけではなく、行動経済学者も雇用していて、アプリのデザインをどうすれば、購買行動がよりスムーズになるかという観点から研究を行っているようです。

 

成田 IKEAのアプリはすごいですね。自分の部屋を写真で撮影してアップロードすると、アプリ内に自分の部屋ができて、アプリ上で部屋にIKEAの家具を配置するようなことができます。さらに部屋の写真をアップするとそれに対しておすすめのコレクションを紹介してくれて、合わせていくらですという価格まで表示される。(編集部注:国内のアプリは2021年11月現在未対応)

ただ商品そのものと価格が表示されるだけではなくて、コーディネートされた商品や、それに基づく経験全体が僕たちに紹介される。その「経験の束」のようなものに最適な価格が付けられていく世界が、いろいろな産業で登場するような気がしています。

藤田 DgSのアプリも、お客さまの購買履歴や薬歴などを参考にしながら、「こういうお悩みがあるのならこのサプリがおすすめです」「こういう食べ物がいいですよ」という提案をしてくれる未来はそう遠くないようにおもいます。

成田 そうですね。DgSであれば、自分の健康状態に関する情報や、お医者さまから受けたアドバイスのような情報と、店舗からの商品提案が組み合わさっていくような将来がありそうです。

僕たちの生活についての情報がスマートウォッチをはじめとする電子機器経由で蓄積されつつあります。体重、血圧、体温…あるいは何を食べたか、睡眠状態はどうだったか…などの情報に基づいて、薬やサプリなどを提案し、未病・予防に貢献できるタイプのDgS起点の商品提案も増えていくでしょうね。

藤田 そんな世界が本当に来るといいですね。本日はありがとうございました。

 

〈取材協力〉

経済学者
成田 悠輔氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏
サイバーエージェント
データサイエンティスト
白木 紀行氏

新生堂薬局、カウンセリングツール「健康台帳」活用で、新業態目指す

新生堂薬局は福岡市に本社を置きドラッグストア(DgS)を53店舗、調剤薬局を87店舗展開している。1978年の創業以来、調剤事業とHBC(ヘルス&ビューティケア)のカウンセリング販売を重視している。2019年に社長に就任した水田怜氏は、「ヘルスケアステーション」構想を打ち立てその実現を目指す。この構想実現の有力な手段となるカウンセリングツールが「健康台帳」だ。(聞き手:月刊マーチャンダイジング編集長 野間口 司郎/月刊マーチャンダイジング2022年1月号より抜粋)

DgSが地域の健康支援のために果たすべき「4つの重点項目」

—水田社長が提唱する「ヘルスケアステーション」について教えてください。

水田 調剤薬局には病気治療中の方がいらっしゃいますが、DgSに来店するお客さまは基本的には病気にかかっておられない健康な方です。

しかし、その健康というのは自己判断であり、本当になんの疾患もないのかは、医療機関で診察しなければわかりません。頭痛がする、腹痛がするのでOTC医薬品を服用している方が医療機関にかかったら病気にかかっていたということもあり得ます。

病院の先生方は患者さまの非日常=病気の状態と向き合うことが仕事です。DgSは生活者の日常生活と向き合い、いかに非日常的な状態をつくらないか、それが仕事です。私はDgSの地域包括ケアシステムにおける役割は次の4つだと考えています。

(1)早期発見、(2)早期治療開始、(3)治療継続、(4)重症化予防です。

病院や調剤薬局に行く回数は限られますが、DgSは週1回、3日に1回、多い方は毎日お見えになるほど接触回数が多く、これを生かせば早期発見につなげることができます。病気を発見するのは医師の役割ですが、日常の接客のなかで異変や病気の予兆をいち早く察知して病院へ行くことを勧める「受診勧奨」はDgSの重要な役割のひとつです。そして早期発見できれば早期治療開始も実現します。

治療継続に関して、たとえば、健康診断で高血圧と判定されて受診して降圧剤を処方されたけど2週間で服薬をやめてしまう。やめてもとくに生活に支障はないし肥満でもないし、忙しくて再来院して薬を処方してもらう時間がない、といった理由で治療を離脱する人は多いのです。

高血圧では50%の患者さまが治療離脱するというデータもあります。高血圧を放置して、ある日脳梗塞で倒れるということもあるのです。DgS併設の調剤薬局が持っている薬歴や医療用医薬品の服薬情報をDgSと共有すれば、適切なカウンセリングを行うことで治療離脱は防げるのです。

早期発見→早期治療開始→治療継続をサポートすることで、結果として重症化が防げます。

[図表1]「ヘルスケアステーション」と「健康台帳」の関係
重症化は本人のQOL(生活の質)が損なわれるだけでなく、医療費の増大にもつながります。4つの役割に関して相談を受け、支援できる場所がヘルスケアステーションだと位置付けています。この機能を確立することで、地域のなかで、医療機関や介護施設などのハブ(中継点)になり、地域包括ケアシステムを進める。生活者、患者さんの健康を支援しながら医療費抑制にも貢献する、こういう構想を打ち立てています。調剤薬局併設のDgSで医療機関として機能する業態を「ヘルスケアステーション」と位置付け、この言葉は商標登録も申請中で、新生堂薬局の次世代の形となります。

カウンセリング履歴をデータ化一人のお客をチームでサポート

—経営方針発表会でヘルスケアのカウンセリングツールを開発したというお話をされました。

水田 2020年3月、新生堂薬局のデータマネジメントを担当する子会社「Newromics」を立ち上げ、Newromicsと外部のマーケティングコンサルティング企業MMIさまと共同でヘルスケアカウンセリングのプラットフォーム「健康台帳」を開発しました。現在、2022年3月の全店導入を目指して3店舗で実際に使ってみて、改良を加える実証実験を行っています。

健康台帳はヘルスケアに関するお客さまの購買履歴、カウンセリング履歴、販売員の応対履歴が記録できる「顧客台帳」とOTC医薬品、健康食品、その他ヘルスケア商材の詳細な商品情報が検索できる「商品台帳」の機能を併せ持ったツールです(健康台帳の機能説明は下記【「健康台帳」の基本機能紹介】参照)。

お客さまの相談を受けるにあたって、理想は昔のような一対一の接客ですが、企業規模が大きくなると、一店舗のお客さまも従業員も増えていますし、営業時間も長くなっています。

また従業員の異動もあり、一人のお客さまを一人の従業員が永続的に担当するのは難しく、複数人で切れ目なく担当する態勢が不可欠です。健康台帳では会員カード情報と連携して、お客さまの年齢、性別などの基本的な情報、都度都度のカウンセリング内容、どの商品をお勧めしたを記録することができ、前回接客したかを従業員が不在でもほかの従業員が台帳を見ながら、継続的に整合性をもって接客、健康サポートができるのです。

アレルギーや既往症といった基本的なことを相談を受けるたびに聞くこともありません。データはクラウドに保存されるので従業員がお客さまの情報を共有しており、他店で相談しても安心です。

私の母方の祖母は自分の娘が新生堂薬局に嫁いでいるのに化粧品を別のお店でずっと買い続けていました。私がその化粧品なら新生堂薬局にも売っているといっても、「あの人が全部知ってるから」という理由で店を替えることはありませんでした。健康台帳を使えばこれと同じような信頼関係を店や新生堂薬局全体で築くことができます。「あの人」から、「あの店」が全部知っているからという関係をつくれるとおもいます。

—お客さまは人につくといわれますが、それがチームでお客さまを受け渡ししながら見ていくという態勢になることに不安はないでしょうか。

水田 化粧品で健康台帳と同じように顧客台帳と商品台帳が一体化したカウンセリングシステムを使っていますが、まったく問題なくチームによってお客さまとの信頼関係を築けています。実証実験の段階でも健康台帳ではチーム態勢がうまくいっており、そこは自信を持っています。

それと同時に、若いスタッフを含む複数のスタッフがお客さまの健康を支援することが大きな効果を生むとおもっています。

私の知人で糖尿病を克服した人がいますが、その陰には栄養士の徹底した支援があったそうです。食事メニューや運動を提案して、一緒に頑張りましょう!と応援してもらったので血糖値を下げることができたそうです。

これと同じように何か健康の悩みがあった場合、健康台帳を中心に複数のスタッフが課題やゴールを共有しながら「一緒に頑張りましょう!」という態勢をつくっていける、ここにチームプレーならではの効果も生まれるとおもいます。こうした効果も健康台帳の強みのひとつです。

販売履歴、カウンセリング履歴、販売員応対履歴に沿って商品紹介

—商品台帳の機能の特徴はなんでしょう。

水田 現状は、商品がたくさんありすぎてどれを選べばいいかわからない状況です。同じ効能効果でもブランドが複数あり、違いを説明するのが難しい。PBとNBで何が違うかもわかりにくい。こうしたなか、お客さまの健康状態や日々の生活をカウンセリングを通して記録してデータ化する、そのデータに合わせて商品を案内できるのが健康台帳です。

健康台帳にはOTCだけでなくサプリの情報も入っています。OTCと飲み合わせが禁じられているサプリも結構あるので、顧客台帳に何を服用しているかという情報があればリスクを避けられます。

将来的には医療用医薬品との情報連携も必要でしょう。病院で処方される医療用医薬品との併用が禁じられているOTCもあるので、健康台帳に医療用医薬品のデータを入れれば安全性が高まります。

—カウンセリングを通して日々の生活が見えてくれば、案内できる商品にも幅が出てきますね。

水田 そのとおりです。たとえばお客さまから「膝が痛い」という相談を受けると、通常、鎮痛剤や外用鎮痛消炎剤をご案内するのですが、接客のなかで知った「登山が趣味」というお客さま情報がデータ化されていれば、それを見たスタッフは鎮痛剤や外用鎮痛消炎剤のご案内に加えて、痛みが取れたらサポーターをして登山に挑戦しましょうとか、プロテインを飲んで膝まわりの筋肉をつけましょうとか、提案が広がるのです。

WHO(世界保健機関)は「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」といっています。いい換えれば、健康とはマイナスがゼロになるだけでなく、ゼロからプラスにすることだと定義づけていて、新生堂薬局でも同じスタンスです。ですから、登山が趣味で膝が痛いお客さまにとって痛みを取ることだけではなく、プラスお友達と一緒に登山に行けることが精神的、社会的にも良好な「真の健康」なのです。

健康台帳では、カウンセリング内容、お客さま情報をデータ化することで、真の健康を実現させる商品をご提案できます。そういうサポートをするためには、お客さまにどういうバックグランドやビジョンがあるかを聞いて健康台帳に記録しデータ化することが大事なのです。こうしたデータは地域包括ケアシステムのなかで医療機関と連携するとき、本人承諾のうえでドクターに渡すと非常に有効な情報になり、生活者と幅広く接するDgS独自のポジションもつくれます。

「潜在患者」の発見から重症化予防まで

—医療連携に関して健康台帳はどのような役割を発揮するでしょう。

水田 理想は診療や処方内容などの患者情報と健康台帳の情報が連携して、個人に関する疾病、健康状態のデータを一元的に管理することですが、患者情報の共有のハードルは非常に高いとおもいます。これはもちろん目指しますが、お客さま各自が健康台帳の情報を新生堂のスマホアプリの中に入れて、新生堂薬局で受診勧奨を受け医療機関に行った際、これを提示して診察の参考にしてもらう。こうした仕組みは現実的ですし、計画していることです。食事や飲酒、睡眠や趣味、どのようなOTC、サプリを飲んでいるか、こうした生活・健康情報はドクターの診察には参考になります。病院でこうした幅広い情報を聞き出すのは時間的にも難しいことでしょう。ドクターに直接いいにくいこともありますし。

医療機関で健康台帳を診察の参考にしてもらい、処方せんが出れば新生堂薬局でそれを受ける。こうした循環で総合的にお客さま、患者さまの健康をサポートできます。

いま新規患者さまには必ず服薬後フォローをしているので、もし何らかの理由で服薬をやめてしまったということがわかれば、その情報を健康台帳に入れればDgSで接客するときに、カウンセリングして治療再開につなげることもできます。

—健康台帳を使って、購買履歴、カウンセリング履歴といったデータを参考にすれば、受診勧奨のレベルが大変高くなりますね。

水田 いまでも接客のなかで受診勧奨していますが、多くの場合これは自分たちの手に負えないというときです。また、そういう時期はお客さま自身もそろそろ病院に行かないとまずいだろうとおもっているタイミングでもあります。

健康台帳で女性のお客さまが生理期間中に限らずいつも同じ鎮痛剤を毎日のように服薬しているということがわかった場合、婦人病の可能性が非常に高いわけです。私たちは受診していないが病気にかかっているかもしれない人のことを「潜在患者」と呼んでいますが、健康台帳は潜在患者を見つけるのに優れた機能があります。健康台帳で潜在患者を見つけて受診勧奨して、その後の早期発見・早期治療開始・治療継続・重症化予防につなげる。ここに医療との重要な連携があります。

「潜在患者」向けにオンライン健康相談で啓発活動

水田 婦人病に加えて、胃薬、便秘薬、咳止めを継続的、大量に服用している方は、胃薬→胃がんなど胃の疾患、便秘薬→大腸がんなど腸の疾患、咳止め→呼吸器疾患などの潜在患者の可能性があります。

こうした潜在患者の数が多いとおもわれる領域に関して、専門医を講師に招いてオンラインの健康相談会をする予定です。健康台帳にデータがたまってくれば、どの領域に潜在患者が存在するかを分析することもできるので地域の健康維持増進に貢献することができるでしょう。

婦人病では既に潜在患者が多いことはわかっているので、専門の医療機関と連携を進めています。

—その先には健康台帳を使ってオンライン診療も計画されていますか。

水田 店舗でも受診勧奨するのですが、一番いいのは店舗の端末でオンライン健康相談を実施し、相談結果に基づき医師から具体的に病院を勧められることです。

一般の生活者の方は受診勧奨を受けてもどの病院に行けば適切な診察を受けられるのかわからないことが多いでしょう。

病院とのオンライン健康相談の連携で潜在患者の発見、適切な医療機関のご紹介が可能になります。受診時には健康台帳の生活・健康情報を役立ててもらう。

処方せんは新生堂薬局が受けて、総合的に一人の患者さまの健康を管理する。

[図表2]「ヘルスケアステーション」構想
これが健康台帳を使ったヘルスケアステーションの具体的な事業構想ですが、このサービスが普及した地域にお住まいの方は健康的なくらしが維持できると考えています。

健康台帳はヘルスケアステーションづくりの中心的なサービスですが、同時に事業として独立させ、他企業への有償での提供も考えています。このカウンセリングプラットフォームが普及すれば、健康寿命の延伸、医療費抑制といった社会的な課題解決にも貢献できると信じています。

—本日はありがとうございました。

〈取材協力〉

新生堂薬局代表取締役社長
兼CEO 兼COO 兼CHO
水田 怜氏

「健康台帳」の基本機能紹介

ここでは、新生堂薬局が新業態づくりの中核的なツールとしてMMIと共同開発した「健康台帳」の基本機能を紹介する。ポイントは基本的な健康状態、購買履歴、カウンセリング履歴など健康に関するさまざまな個人の属性をデータ化し、それに基づいた商品検索ができる点にある。

《ログイン画面》
《メインメニュー》
《最新情報》
《 健康情報 》
《応対履歴》
《紹介商品履歴》
《健康相談・商品検索トップ画面》
《薬の種類で検索》
《部位と症状で検索》
《悩みや目的で検索》

地域の健康支援拠点になるためのカウンセリングツール

株式会社マーケティングメソドロジーアンドイノベーション(MMI)
薬剤師 CMO ヘルスケアマーケティング事業部長
中村 恵子氏

DgSには薬剤師や登録販売者、管理栄養士などの専門家がいますが、多くの店舗の現状を見ると、次々と新商品が発売されるなか、ヘルスケア売場で専門家が常に正確な商品情報に基づいてカウンセリングするのは難しそうだなと感じていました。

また、専門家であっても記憶には限界があるので、お客さま一人ひとりの健康情報を把握したうえでの正しいカウンセリングのお手伝いをしたいともおもっていました。

こうしたおもいから「健康台帳」では、「正確な商品情報と顧客情報に基づく『正しいカウンセリング』の実現」を目指しました。「健康台帳」を利用することで、どの店舗のどのスタッフでもお客さまの健康相談に対する正しいカウンセリングができ、お客さまに寄り添った健康相談、お客さま情報に基づく適切な商品を提案できるようにします。経験の浅い新人スタッフでも健康相談ができるように設計しています。

「健康台帳」を活用して、DgSや併設する調剤薬局が「健康サポート薬局」「かかりつけ薬局」として、受診勧奨などの機能を強化し医療連携することで地域医療における地位を確立します。

具体的には、OTC医薬品は気軽に購入できる分、セルフで購入し続けて、病気に気付かず対処療法的に長期にわたり服用するケースもあります。こうしたお客さまを健康台帳では「潜在患者」と位置付け、データを基に受診勧奨することも重視しています。これにより、重症化を防ぎ地域の生活者の健康を守ることができるのです。DgSが地域で重要な健康サポート拠点になるために「健康台帳」をご活用していただきたいとおもっています。

現場を知り、デジタルに精通した新生堂薬局の2人のキーマンにインタビュー

AIマーケティング室 室長兼DX推進室マネジャー 畑島 大志氏
人財戦略部 係長 永田 光司郎氏

人と商品をつなげるいままでになかったツール

永田氏は新生堂薬局DgS部門の教育担当の責任者、集合研修を行うほか研修用の動画を多数手掛けている。医薬品登録販売者の資格を持ち、OTC医薬品はもちろんのこと医療用医薬品や疾病に関する幅広い知識を持っている。健康台帳の開発にも加わっており、永田氏によれば「カウンセリングの流れや考え方は自分の頭の中をそのまま移した」とのことである。

「商品検索のツールはたくさんあって、多くのDgSに導入されていますが、活用されずに店の片隅に眠っていることが多いです。その理由はただ単に商品情報が出てくるだけで、その程度なら知っているし、ネットで検索すればわかることなので利用価値を見いだせないからです。健康台帳はお客さまの情報に基づいた商品が検索できるので、商品と人をつなげることができます。いままでになかったカウンセリングツールに仕上がっています」(永田氏)

将来的には新生堂アプリの中に健康台帳情報を入れたい

畑島氏は長年店長として勤務する傍ら個人でプログラムを書き、データ分析、AIの業務活用について研究を行っていた。これが水田社長の目に留まり、現職に任命された。現場、分析者、エンジニアの立場から開発に携わっている。

「カウンセリング内容、お客さまデータがたまっていくことには大きな意味があります。将来的には新生堂薬局アプリの中に健康台帳を入れる計画で、これが実現すれば、お客さまがスマホで自分のデータを見ることができる。さらに健康台帳を通じてお客さまに何かを伝えるといったコミュニケーション機能を付ければ、デジタルによる健康管理機能が上がります。

その先には、ハードルは高いのですが、医療機関の情報とつなげることが理想です。

ヘルスケアステーションはデジタルの力なくして実現し得ないので、地域の拠点間で可能な限りデータ共有することがカギになります。

健康台帳は他社に使ってもらうことも考えてデザインしていて、この技術を採用した会社がある地域の方が健康になれることはよいことだと考えています。また、私は技術革新によって人が幸せになれることは大変美しいことだとおもっていて、そのためには自社のノウハウをオープンにして切磋琢磨することも必要だと考えています」

カウンセリング内容の記録でお客さまとの関係が多角化

新生堂薬局 昇町店
平山成世店長

健康台帳の実証実験店のひとつである昇町店では、店長ほか約10人の登録販売者がこれを使っている。平山店長に、実際に使ってみた感想やこれをどのように生かしたいのかを聞いた。

「スタッフの間では、カウンセリング内容を記録できるのがいいという声が多く挙がっています。これまでカウンセリングはその場限りで終わっていましたが、談笑のなかに次につながる大切な話題が潜んでいることもあります。

健康台帳ではそれを残すことができ、スタッフ全員でそれを追うことができるのでお客さまとの関係が多角的になりました。

ご家族のデータもあるので、経験の浅い人でも話題の切り口を見つけることができます。先日湿布の案内をしたとき、はがれにくい湿布が欲しいといわれ、ご希望に合った商品を販売しました。これを記録したので、次回このお客さまを接客するときはこのデータが生きるとおもいます」

通常、健康台帳は売場で立って使うが、カウンセリングスペースで使うこともある

新生堂の事例も紹介!オンラインセミナーを開催します。

NFI定例セミナー「カテゴリー&定番強化の教科書」(2022/3/16 13:00~16:10)開催ご案内(リアル・リモート)

3月の定例セミナーのテーマは、「カテゴリー&定番強化の教科書」です。コロナによってリアル店舗は「ショートタイムショッピング」と「ワンストップショッピング」の両立が不可欠になります。従って、これからは「プロモーション」よりも、短時間で商品をたくさん購入できるような「定番売場の強化」と「定番売場管理」が重要になります。今回は定番強化の設計図である「商品構成」と「商品分類」の原理原則を解説します。

2022年3月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

「単品商談」から「カテゴリー商談」への転換も重要ですので、カテゴリー強化のための製配販の協働戦略についても解説します。
また、同質競争から「差別化の時代」へ突入しており、差別化の武器である「PB開発&専売品強化」の最新事例を紹介し、店頭でPBや専売品を育成する「売り方」の事例も紹介します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2022年3月16日(水)13:00~16:10(会場受付開始:12:30)
※受付時間より前にお越しいただいた場合、お時間までお待ちいただく可能性がございます
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい
※セミナー開催中の途中入場はお断りします

開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・会場:エッサム神田ホール1号館9階
秋葉原ではございません。案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとzoomによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2022年3月7日(月)

スケジュール

[第1講座]カテゴリー強化の設計図(1)—商品構成グラフ
[13時~14時頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ 商品構成グラフ(棚割の状態)の原理原則
■ 商品構成グラフ比較
■ 単品商談からカテゴリー商談へ  他

[第2講座] カテゴリー強化の設計図(2)-商品分類
[14時10分頃~15時10分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ ショートタイムとワンストップを両立させる「商品分類」と「売場レイアウト」
■ 「商品軸」から「顧客軸」のアソートメントの原則  他

[第3講座] 差別化の武器「PB開発&専売品強化」の最前線
[15時20分頃~16時10分頃]

月刊MD編集長 野間口 司郎

■ 主要小売業のPB開発、専売品開発の最前線
■ 店頭での売り方開発、需要創造の原則  他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館9階(901)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
・JRでお越しの方 神田駅東口より徒歩1分
・東京メトロ銀座線でお越しの方 神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

・参加時に入力する名前は他の参加者には表示されません。
今後のご案内重複防止の為、フルネームでのご入力をお願いします。
・通信状況などで接続が切れた場合でも、同じURLから再入室することができます。
・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。
・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。
(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)
・seminar@gekkan-md.comからのメールを受信できるようにご調整お願いします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

4/20「DXキーマンが語るドラッグストア未来予想図」セミナー開催

次の5年間は、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって企業を変革することが、リアル小売業の最大の経営課題です。今回のセミナーは、ドラッグストア企業のDXのキーマンに登壇いただき、各社が考える「DXの現在地と未来予想図」を講演していただくセミナーです。このセミナーは、ドラッグストア及びリアル小売企業のDXの正しい発展に貢献することが目的です。ぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

・開催日:2022年4月20日(水)10:20~16:50(会場受付開始:9:30)
※セミナー開始の5分前にはリアルもリモートもご着席&入室をお願いします。
※開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・会場:サイバーエージェント渋谷本社ホール(定員150名)
・実施方法:会場ならびにzoomによるリモートセミナー
(zoomセミナーアクセス方法はお申込み者様にご案内いたします)
・料金:10,000円(税別・1名様)
・申し込み締め切り:2022年4月11日(月)
・主催:株式会社ニュー・フォーマット研究所 月刊マーチャンダイジング
・後援:株式会社サイバーエージェント

【特報!】
ご来場の方には、月刊マーチャンダイジングで好評連載中の「リアル小売業DXの強化書」の小冊子を配布させていただくことになりました!余裕のある座席配置で、感染対策万全の会場での受講を是非ご検討ください。

スケジュール

[10時20分~10時30分]開会の挨拶と趣旨説明

NFI代表取締役 日野 眞克

[10時30分~11時30分頃]マツキヨココカラ&カンパニーのDX戦略(仮)

松田 崇氏
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー執行役員グループ営業企画統括営業戦略室営業戦略専任部長

[11時30分~12時20分頃]昼食

※混雑時を避けた時間設定です

[12時25分頃~13時25分頃]スギHDのDX戦略(仮)※

森永 和也氏
株式会社スギ薬局 取締役DX戦略本部本部長

[13時35分~14時35分頃]ツルハHDのDX未来予想図(仮)※

小橋 義浩氏
株式会社ツルハホールディングス執行役員 経営戦略本部長兼情報システム本部長兼事業推進部長

[14時45分頃~15時45分頃]ローカルドラッグストアが挑む地域一番のヘルスケアステーション

水田 怜氏
株式会社新生堂薬局 代表取締役社長兼CEO兼COO兼CHO

[15時55分頃~16時40分頃] DXを推進するための組織開発、パートナー戦略(仮)

藤田 和司氏
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 DX本部統括

[16時40分頃~16時50分頃] 終了のご挨拶

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

※印の講演につきまして、事前の告知と一部登壇順が変更になりました。ご了承ください。

会場案内図

渋谷駅から渋谷スクランブルスクエアまで

渋谷スクランブルスクエア17階 オフィスエントランス

◆渋谷スクランブルスクエア17階にて、受付担当がセキュリティカードをお渡しいたします。その後、セキュリティゲートを通過し、エレベーターにて21階セミナールームへお越しください。

お車でお越しの場合

注意事項

・参加時に入力する名前は他の参加者には表示されません。今後のご案内重複防止の為、フルネームでのご入力をお願いします。
・通信状況などで接続が切れた場合でも、同じURLから再入室することができます。
・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。
・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)
・seminar@gekkan-md.com、no-reply@zoom.usからのメールを受信できるようにご調整お願いします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

申込受付は終了いたしました。ありがとうございます。
申し込みフォーム

NFI定例セミナー「2022年の経営課題&ロードマップ 重点戦略、新業態戦略、DX戦略」(2022/1/26 13:00~16:30)開催ご案内(リアル・リモート)

1月の定例セミナーのテーマは、「2022年の経営課題&ロードマップ」です。第1講座では、製配販が「2022年に取り組むべきロードマップ」を、日野眞克が具体的にわかりやすく解説します。第2講座は、「各社が挑戦した新業態」の実例の傾向と特徴を解説、第3講座では、「流通業のDX最前線」を紹介します。月刊MD、MDNEXTの具体的な取材事例にもとづいたセミナーですのでぜひご参加ください。

2022年1月定例セミナーは、久しぶりに「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

リモートでの参加でも構いませんが、久しぶりに東京に出張し、話題の激戦区、
注目の新店などを視察することを目的にリアルで参加されることをお薦めします。
※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2022年1月26日(水)13:00~16:30(会場受付開始:12:30)
※受付時間より前にお越しいただいた場合、お時間までお待ちいただく可能性がございます
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい
※セミナー開催中の途中入場はお断りします

開始時間は運営の都合で若干ずれることがある旨をご了承ください。
・会場:エッサム神田ホール1号館9階
秋葉原ではございません。案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとzoomによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:22,000円(税込・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2022年1月17日(月)

スケジュール

(1)2022年の最重点経営課題→取り組むべきロードマップ
[13時~14時30分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

・2022年に起こるべき変化
・2022年に取り組むべきロードマップ
・Withコロナ、狭小商圏時代のマーチャンダイジング戦略  他

(2)50分でわかる新業態戦略→各社が挑戦した新業態研究
[14時40分頃~15時30分頃]

月刊MD編集長 野間口 司郎

・新業態の戦略と売場づくりの特徴
・「差別化」時代の業態開発の重要ポイント  他

(3)50分でわかる流通業のDX最前線→最新のDX事例に見るリアル店舗の変化
[15時40分頃~16時30分頃]

MD NEXT編集長 鹿野 恵子

・DX成功のためのポイント
・BOPIS、レジフリー、アプリ活用事例  他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館9階(901)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
・JRでお越しの方 神田駅東口より徒歩1分
・東京メトロ銀座線でお越しの方 神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

・参加時に入力する名前は他の参加者には表示されません。
今後のご案内重複防止の為、フルネームでのご入力をお願いします。
・通信状況などで接続が切れた場合でも、同じURLから再入室することができます。
・セミナー終了後10日間はアーカイブされた録画を閲覧することが可能です。
閲覧のためのURLは、セミナー終了後にご案内いたします。
・企業様によって、Zoomへのアクセスができないという場合がございます。
Zoomへの接続については、受講企業様にてご対応くださいますようお願い申し上げます。
(弊社にてサポートは致しかねますのでご了承ください)
・seminar@gekkan-md.comからのメールを受信できるようにご調整お願いします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

競合店まで300m ドラッグストア接近戦リポート!月刊MD 2022年2月号の見どころ紹介

2月号の特集は「競合店まで300m ドラッグストア接近戦リポート」です。ドラッグストア各社が関東への出店を加速させ、熾烈なシェア争いが繰り広げられています。今回は関東の中でも特に近年競争が激しくなっている茨城県水戸市の激戦地区をリポートします。トップインタビューはスギホールディングス代表取締役社長の杉浦克典氏、注目店舗リポートはスギドラッグ足立六月店です。その他、2022年版小売業の決済・ポイントを一覧で掲載、また、ゲンキー安八町店も掲載しています。

さて、月刊マーチャンダイジング2022年2月号のご案内です。

特集①接近戦リポート

2022年2月号の特集は「接近戦リポート」と題して、茨城県水戸市に多数出現している競合店が至近距離で営業しているエリアの店舗をリポートします。

関東の1都6件の人口を合計すると4,000万人を超え日本の人口の30%以上が集中していることになります。この「肥沃な大地」を目指して関東以外に本拠地のある大手ドラッグストアが関東出店を加速しています。水戸の接近戦の背景にもこの現実があります。

関東以外に本拠地があり関東進出を本格化させている企業の筆頭はクスリのアオキです。同社は群馬県に77店舗、茨城県に49店舗、埼玉県に38店舗出店するなど関東郊外都市をドミナント化しようとしています。

コスモス薬品も2020年から関東ドミナント化を開始しました。こうしたチェーンストア理論に忠実な大手の出店で水戸の競争は激化しているのです。

特集では価格調査、レイアウト調査などを詳細にリポート。激戦区の現状が見えてきます。

水戸の接近戦エリア

特集②トップインタビュー スギホールディングス・杉浦 克典氏

トップインタビューではスギホールディングスの杉浦克典社長に話を聞きました。

同社は2021年月刊MDでの顧客満足度調査の企業部門でも3位になるなど店舗運営レベルを上げています。同社の基本戦略、最近の取り組み、次世代に変えるべきこと残すべきことなどを語って頂きました。

スギ薬局足立六月店も取材、スギ薬局郊外型店舗最新リポートです。

特集③企業研究 富士パール食品&ゲンキー

企業研究ではゲンキーとその子会社富士パール食品を取材、食品加工場の進化をお伝えしています。

ちなみに同社は3年前からスペシャル採用という制度で東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学など難関国立大学出身者を採用し、未来に備えています。彼らはゲンキーの「1万店を出店して低価格販売で国民生活を向上させる」という心意気に共感して入社しているそうです。将来楽しみですね。

ゲンキーRPDC外観

今月号の月刊マーチャンダイジングも中身充実、是非ご購読ください!

一部記事はnoteでもご購読いただけます!

「接客」と「作業」最後の関門の未来はどうなる?!月刊MD 2022年1月号の見どころ紹介

1月号の特集は「チェックアウト革命」です。決済の種類ひとつとってもその企業の方針が見え隠れするレジ作業について、本特集で深掘りしていきます。トップインタビューでは、セキ薬品代表取締役社長の関善夫氏に成長戦略を聞きました。注目店リポートでは、薬王堂、ドラッグストアセキ、イトーヨーカドーを掲載しています。その他、新生堂薬局の健康台帳、小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)なども掲載しています。

さて、月刊マーチャンダイジング2022年1月号のご案内です。

特集は「チェックアウト革命」

特集①チェックアウト革命

Amazonの商品を棚から取って店をでるだけ、センサーと棚の重量感知器で精算を済ませる「ジャストウォークアウトシステム」が話題になり、会計精算手段にさまざまな技術革新が起こっています。

本特集ではお客が商品を専用アプリやスマホでスキャンしてクレジットカードやプリペイドカードで決済する「スキャン・アンド・ゴー」の事例を2件。

センサーが入店客を認識、そのお客が棚から取った商品も認識して金額計算。お客は出口のレジで自分の買った商品を確認してクレジットカードなどで決済する無人レジシステム「TTG-SCENE」を紹介します。

その他リアル小売業のレジ業務を調査分析した記事も掲載し、レジ業務の課題や未来の決済システムについて考えます。

トライアルのスキャンアンドゴー。支払いはプリペイドカードのみ
やぐらのような骨組みにセンサーカメラを設置、お客や商品の動きを感知して無人決済する「TTG-SCENE」

特集②小売業DXキーマンインタビュー 薬王堂 西郷孝一氏

キーマンインタビューでは薬王堂「西郷孝一(たかひと)」氏が登場。

「東北から世界の健康をデザインする」をモットーに東北で活動するスタートアップ企業を中心にデジタルを使った健康事業などのインキュベーション(起業家育成)を行っています。もちろん本業はドラッグストアなので、高い知見に基づきDXを活用した業務改善、販促にも取り組んでいます。

「小売業はデジタルより、デジタル以外の部分を先に変える必要がある」。デジタルに深い造詣を持ちながらもリアリストである同氏の重い言葉が印象的。濃いインタビューになっています。

特集③店舗リポート 薬王堂 紫波桜町店

薬王堂紫波桜町(しわさくらまち)店の店舗取材記事もあります。


薬王堂紫波桜町店ドラッグストアながら肉、野菜、衣料も充実

特集④ドラッグストアセキ 関善夫氏インタビュー

地元密着のドラッグストア紹介記事では埼玉県に本拠地を置く、売上高830億円、265店舗(調剤薬局含む)を展開するセキ薬品の関善夫社長にインタビューしました。合わせて旗艦店である久喜中央店をリポートしています。

その他、構造改革中のGMSイトーヨーカ堂、千葉県松戸市にある「八柱店」を紹介。1階部分に医薬品、ヘルスケア、ビューティケアに注力したドラッグストア型の売場をつくった店舗です。ドラッグストアにとって参考になる点も多々あります。

次々にやってきて流れ去っていく世の中の出来事に惑わされず、2022年も今と現実を大事にして月刊マーチャンダイジングでビジネス体力つけましょう!

一部記事はnoteでもご購読いただけます!

顧客満足度にとって清掃はますます重要に!月刊MD2021年12月号の見どころ紹介

12月号の特集は毎年恒例の「顧客満足度調査2021」です。41社536店舗のドラッグストア(DgS)を調査しています。改善ポイント、重要ポイントのチェックリストとしてご覧ください。他にも、花王グループカスタマーマーケティング株式会社の竹内俊昭社長へのインタビュー、ウエルシアイオンタウン幕張西店などについても掲載しています。

さて、月刊マーチャンダイジング2021年12月号のご案内です。

特集は恒例顧客満足度調査、41企業536店舗を調査員が1店1店調査。

特集①顧客満足度調査

withコロナ時代顧客満足にとって重要な要素を解説します。売場、什器の清掃状況への関心は高まっています。コロナ禍の影響でしょう。価格への意識、食品への期待も高まっています。「これからの」店づくりの参考になる特集です。

特集②進化するドラッグストアの食品売り場

今月号は調査記事がもうひとつ!
「超現場シリーズ」として有力ドラッグストア郊外型店舗の食品売場を調査しました。

日配品(冷蔵食品)の品揃えは充実、青果、精肉でも食品スーパー並みに揃えている店があります。朝昼夕の3食賄える品揃えがあるか、ドラッグストアで食品を目的購入するかといった質問に対する回答のレベルも高い。小商圏のシェアを押さえるためには日配必須、生鮮も重要ということが見えてきます。

特集③注目店リポート ウエルシアイオンタウン幕張西店

店舗リポートでは「ウエルシアイオンタウン幕張西店」を取材。

ウエルシアイオンタウン幕張西店の青果売場 食品SM並みの品揃え、精肉、塩干で魚も販売

ウエルシアがショッピングセンターの核店舗(集客のためのメイン店)に初めて生鮮3品を揃えた食品強化型、かつ調剤薬局併設のDgSを採用。店舗2階には複数医療機関、敷地内には180のベッドがある大型病院が2022年夏の開業目指して建設中です。イオンの新戦略であると同時にDgSが生鮮から調剤までを扱う業態に変化している象徴でもあります。

調剤薬局には最新の調剤ロボを6台導入、「生鮮&調剤」業態の最新店となっています

野球はシーズンオフに入りますが、知識習得にオフなし!みなさん月刊マーチャンダイジングを読んで生涯現役で頑張りましょう!

一部記事はnoteでもご購読いただけます!