売上金額年間最高だが、購入頻度は5位の12月。一度の来店での買上点数、購入金額アップに努めよう

年末はドラッグストア(DgS)の売上がもっとも上がる月である。しかし、12月をID-POS(顧客属性付きPOSデータ)で分析すると、他の月よりも下回っている数値もある。年末の購買行動をID-POSで分析した上で可能性のある商品や商品群、売り方をID-POS分析の第一人者、奥島晶子氏に解説してもらった。(調査・作表・解説/JBtoB代表取締役社長 奥島 晶子)(構成・文/月刊マーチャンダイジング編集部)(月刊マーチャンダイジング2022年11月号より転載)

「月刊MD 2022年11月号」の特集は「〈カテゴリー別〉年末売場 強化大作戦」!。クリスマスや正月の準備、ボーナス時期でもある「書き入れ時」の12月をどう乗り越えるか?カテゴリー別に市場や売れ方の動向、強化すべき商品、売場づくりの工夫などを紹介します!
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併買促進、高単価品の販売が年末商戦には重要

[図表1]月別サマリー(2年間平均)

図表1はパネル店舗における月別の購入人数、売上金額などの数値をまとめたサマリーである。図表2図表1の数値の月別の順位を示している。今回の特集で売場強化すべきとした12月を見ると、売上金額は12ヵ月の中でもっとも高く年末がDgSの稼ぎ時なことに間違いない。しかし来店頻度は年間で5位にとどまっている。

[図表2]月別サマリー順位

頻繁に来店頂くから売上が高いのではなく、売価の高い商品の購入(図表2・平均売価1位)と買上点数の多さ(同・買上点数1位)により、客単価/回が高い(同・客単価/回1位)ことで結果として売上が高いのである。

このことから、(1)カウンセリング化粧品など高単価品を積極的に売る、(2)掃除や自宅パーティなど同じ場所や同じ機会で使う商品群は同じ売場、あるいは近接した売場で販売するなどして、一度の買物で買い忘れなく、併買を促す売場作り=「買上点数向上」が重要になる。

この後、キーワード別に年末12月に季節指数が上がる商品を紹介するので、併買されやすい商品は何か、また気付きを提供することで売れる商品は何か、といった視点で参考にしてほしい。高単価、併買(買上点数アップ)は12月の売場強化に重要な要素である。

ちなみに来店頻度は8月がもっとも高く、次いで7月となっている。これは暑さから軽飲料や熱中症対策品などを購入するお客様が増えることがその理由。売上金額でも8月は2位、7月は3位となっている。夏場は飲料を買いに立ち寄ったお客様に単価の高い商品を購入頂くことが売上につながる。

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12月の季節指数、乾燥、寒さ対策、お出かけ関連の品目が上位に

[図表3]週別、季節指数上位品目

図表3は年間A・Bランク※1の非食品の季節指数上位15品目である。各品目の横にある数字が季節指数(当該月の売上構成比÷年間の売上構成比)。調査データより抜粋して、11月の最終週、12月全週、1月第1・第2週の期間で見ている。
※1 A・Bランク:年間の累計売上構成比が70%までの売れ筋商品がAランク、70〜90%がBランク、90%未満がCランク

ハンドクリームは安定して上位に入っていて指数も2前後の数値を維持。季節プロモーションでは乾燥対策は欠かせない。

11月の最終週から12月3週にかけてフェースパウダーが1位、2位に入るが、これは主にカネボウのミラノコレクションの影響。毎年9月ころから予約活動は始まるので、高単価商品の販売に向け早期に動きだすことで年末売上を積み増すことができる。

12月に入るとリップカラー(口紅)も上位に出てくる。コロナ禍で大打撃を被った品目だが、クリスマスや忘年会など催事シーズンには売上が上がる。KATEのヒット商品で市場が活性化していること、コロナ禍関連の行動制限が取られないことから今年は一層期待できる。

12月の2週から使い捨てカイロが1位に来るが、春夏との落差で指数は上がる。12月の2週から4週にかけて上位に出てくるPOSAとはコンビニなどでもよく見かけるアップル、アマゾン、ニンテンドーなどが発行するプリペイドカード。クリスマスなどのギフト需要と思われる。概して乾燥、寒さ対策、お出掛け、ギフトなどの関連品目が、指数では上がる。

年末上昇・年始急落商品は売場拡大・縮小に要注意

次ページの図表4-1、4-2は年末需要の高まるキーワード別の品目だ。冒頭12月は購入頻度は高くないので買上点数アップが重要になると解説したが、キーワードは商品群をグルーピングするテーマにもなっているので、定番あるいはプロモーションで各キーワードの売場をしっかりつくり、併買促進、高単価商品の販売推進の参考にしよう。

続きは月刊マーチャンダイジング 2022年11月号で!

「月刊MD 2022年11月号」の特集は「〈カテゴリー別〉年末売場 強化大作戦」!。クリスマスや正月の準備、ボーナス時期でもある「書き入れ時」の12月をどう乗り越えるか?カテゴリー別に市場や売れ方の動向、強化すべき商品、売場づくりの工夫などを紹介します!
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〈取材協力〉

JBtoB代表取締役社長
奥島 晶子氏

ローソンの「アバター」VSファミマの「AIロボット」

コンビニ店舗の生産性向上は大きな課題である。トップライン(売上)を上げるか、コストを下げるかだが、大手コンビニチェーンは、その2つを同時に実現させるため、最新デジタルを用いた取組みを強化している。その新たな取組みが、ローソンのアバターとファミリーマートのAIロボットである。この2つは、コンビニ店舗運営の、何をどう変えていくのか、リポートする。(構成・文/流通ジャーナリスト、月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2022年11月号より転載)

2025年度にアバター従事者を1,000人規模で育成、活用する

ローソンは、アバター事業を手掛けるAVITA(アビータ)社と、リアル店舗における新しい接客サービスを推進するために協業を開始した。アバターの活用により、時間や場所、年齢や性別、「様々な障害」に制約されない新たな働き方を、非接触により実現していく。

コロナ禍により、人々の意識と行動が変わり、コンビニに求められるニーズも以前とは異なっている。少子高齢化による人口減少と人手不足、人件費の上昇も店舗経営にとって深刻な問題である。そうした課題を解決する要素のひとつとしてアバターに期待をかける。

具体的には、本年11月末に都内にオープン予定の未来型店舗「グリーンローソン」にAVITAのアバター接客サービス「AVACOM」を導入する。オンラインで聞き、話し、動く、従業員のキャラクターが、お客に向けて精算のサポートや新商品の説明、エンターテインメントの提供など、新しいコミュニケーションを実施していく。

AVITA代表取締役CEOの石黒浩氏(左)とローソン代表取締役社長の竹増貞信氏

アバター導入に際して、アバターワーカーを一般から公募、10~30人を採用、合格者は指定の研修を受講した後「グリーンローソン」のアバターとして勤務する。

今後は、導入後の検証を実施、2023年度中に東京都・大阪府のローソンの10店舗に拡大して、新しくアバターワーカー50人を育成、2025年度には、全国のローソン店舗に向けて1,000人の育成を目指していくとしている。アバター技術の活用により、1人が同時に複数店舗で勤務することが可能になる。将来的には遠隔による深夜防犯、専門家へのオンライン相談、地方特産品の遠隔販売などの活用も検討していく。

高齢者、障がい者などだれもが自在に参加できる社会の実現

今回、技術を提供しているAVITA代表取締役CEOの石黒浩氏は、自律型ロボットとロボットアバター(遠隔操作型ロボット)の研究、開発を手掛けてきた。しかしながら、ロボットやハードウエアで市場を拡大することは非常に困難である。

そこで石黒氏は、まずはCGアバターを使って働くためのアプリケーションを開発、このCGアバターで市場を開拓した後に、ロボットアバターを展開していくのが現実的な順序であると考えて、今回のローソンと協業するに至ったとしている。

「高齢者、障がい者を含むだれもが、多数のアバターを用いれば、身体的能力や認知能力、知覚能力を拡張しながら、常人を超えた能力により、様々な活動に自在に参加できるようになる。

いつでも、どこでも、仕事や学習ができ、通勤、通学は最小限にして、自由な時間を十分とれるような世界を実現したいと考えている」(石黒氏)

このアバターは、石黒氏によれば、私たちが実在する「実世界」と、SNSやメタバースといった「仮想世界」との両方の良さを持ち合わせているという。実世界で、私たちは生身の身体、一人の自分として働いている。この実世界のメリットは、そこに経済活動が生まれていること。ただし、デメリットとして、失敗すると取り返しがつかない面もある。

一方の仮想世界は、ひとつの世界で居心地が悪くなれば、違う世界で活動できるメリットがある。ただし、この仮想世界は、中で閉じられているため、経済活動が行われていないデメリットがある。この両方のメリットを合わせるのが「仮想化実世界」のアバターであり、チャレンジであるという。

「(アバターは)実世界で好きな自分になって働けるし、様々な可能性を追求できる。この仮想化実世界を、日本から世界に向けて発信していきたい」(石黒氏)

ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏は「アバターを通じて人とのつながりを持ち、だれもが活躍できる“温かい未来”を実現していく」として、店舗運営に関する新たな可能性を挙げている。

ひとつ目は「多様な働き方」。ローソンで勤務経験のある外国人が、帰国したあとでも、機会があればアバターとして働くことも可能である。極端な例では、日本から見て地球の裏側に住む人が、昼間にローソンの夜勤として参加することも可能になる。

2つ目は「オンライン相談」。複数店舗に対しての勤務が可能になり、オンライン診療や非対面による健康相談・カウンセリングもできるようになる(ただし現状、OTC医薬品は、店舗にリアルの登録販売者がいないと売れない)など。人手不足を解消する一助となる。

3つ目は「地域貢献」。ローソンは各地で移動販売車を稼働させており、そこでは主に高齢者の方たちをサポートしている。そこにアバターを同乗させれば、「御用聞き」などにより地域の課題解決にチャレンジできる。

4つ目は「エンタメ活用」。VTuber(バーチャル・ユーチューバー)による「1日店長」といった催しも考えられる。「単なる冷たいデジタル化ではなく、人の温かみのあるロボティクスを目指している。明るく楽しい全員参加型の社会、その真ん中にローソンがあって、皆が集まってくる社会。そういう思いを持って、この事業にチャレンジしていく」(竹増氏)

冷蔵庫の厳しい補充作業をロボットが24時間代行する

ファミリーマートは「AIロボット」を2022年8月より導入開始、今年度中に約30店舗、2024年度中に計300店舗まで拡大する。コンビニ店舗で本格的なロボットが稼働するのは業界初になる。

売場から見た作業中のAIロボット。売れる順番から適正な量を補充していくので、機会ロスは人の手よりも非常に少ないと予測される

ファミマのAIロボットは飲料補充業務を24時間連続で人に代わって実行する。その効果だが、背面から飲料を補充するプレハブ型冷蔵庫のウォークインでは、人が作業に集中していても、レジにお客の列ができると、呼び出されてレジ業務に入ることが求められる。店舗によっては、行ったり来たりの作業性の悪さも指摘されている。

しかしながら、AIロボットの導入により、こうした非効率性が解消できるようになる。

もうひとつの効果は、職場環境の改善である。ウォークインは、常に5度から7度くらいに保たれており、その寒さの中で長時間の品出し作業は、身体にある程度の負荷がかかる。そうした従業員への負荷をAIロボットが軽減する。単に省力化・省人化に効果があるだけでなく、店内作業の中から身体的な負荷の大きな業務が代行されることになる。

今回導入したAIロボットは1日最大で1,000本の商品を並べることができる。ウォークインの壁面の補充棚から飲料を取り出し、売場に陳列されている冷蔵ケースの背面から1本ずつ送り込んでいく。AIロボットの土台はレール上になっており、横移動しながら必要な商品を随時陳列していく。

このAIロボットは補充する本数に関して、単品ごとに、どの時間にどれだけ売れるかの販売データを共有し、それをアップデートしている。ある商品を一定時間に何個陳列しないと欠品するといった情報を、AIが毎回自動的に認知して情報を更新している。売れる商品を時間帯ごとに割り出して、売れる順番で商品を陳列している。

仮に、これを人が陳列すると、左から右へといった順番に作業が進められる。補充忘れのないように「位置」を起点とした作業になるが、AIロボットは販売データを基に、売れる順番から補充するので、もっとも売れている商品が常に並んでいる状態をつくっているという。販売データは個店ごとに認識するほか、季節による変動指数も入力している。

ファミマは、AIロボットに加えて店舗作業分析システムも併せて導入している。店舗従業員は位置情報の発信機を装着、店内各所に設置された受信機が位置データを認識する。それにより各時間帯における作業時間の可視化と分析が可能であり、店舗業務の一部をAIロボットが担うことを前提とした最適なワークスケジュールと人員配置を進めていくとしている。

ピーク時は人時が不足していたり、逆にそれ以外の時間に無駄があったりする。そうした凹凸を見える化することで作業の平準化が可能となり、どの作業をAIロボット化、あるいは別の方法により自動化するのかを検討する一助になるという。

本年10月に各都道府県の最低賃金が過去最高の水準で引き上げられている。時給の設定に余裕のないコンビニ店舗にとって、店内作業の効率化、生産性の向上は喫緊の課題である。ローソン、そしてファミマは最新デジタルを駆使して、新たな店舗運営を模索している。

オンライン接客の顧客満足度はリアルの対面接客を超えた!?

サイバーエージェントは2022年、「住友不動産」「再春館製薬所」「資生堂ワタシプラス」にオンライン接客ツール「リモてなし」の提供を開始した。リアルの対面接客と遜色のない接客体験を実現している。オンライン接客の最前線をリポートする。(取材協力:サイバーエージェント)(月刊マーチャンダイジング2023年2月号より転載)

コロナ禍で進んだオンライン接客

コロナの影響で対面での接客が困難な状況もあり、オンライン接客が急速に進んでいる。ホテルのフロント業務のオンライン接客、セルフレジのオンラインでの接客サポートなどが代表的である。

サイバーエージェントは2022年3月より、住友不動産の新築分譲マンション販売において、オンライン接客ツール「リモてなし」の試験提供を開始した。

住友不動産では2022年6月より不動産業界において、先駆けてオンライン接客での不動産販売を開始した。内見から成約、引き渡しまでのすべての過程をオンライン化する、「リモートマンション販売」をすすめている。

導入当初はマンションをオンラインで販売するという前例がほぼなかったため、オンラインが故の気軽さ・手軽さなどから成約率が低くなるのではと考えられていたが、オンライン接客に移行しても、モデルルームがある前とマンションの成約率は変わらなかったそうだ。最近は、メタバース(仮想空間)で内見できるシステム導入を行うなど、今後も新築分譲マンションの非対面型販売を強化していく意向だ。

同様に2022年7月より、再春館製薬所にも「リモてなし」の提供を開始した。再春館製薬所は、電話での接客だけではなく、商品を体感してもらうためのオンラインセミナーを2020年ころから強化していた。

ところが、セミナー運営には予約ページや参加者リストの作成、案内メールなどの運営管理に膨大な時間がかかっていた。

「リモてなし」を導入することによって、業務フローの無駄を省き、オンラインセミナーの業務時間を30%も削減した。

また、オンラインセミナーで接点のあった顧客の6ヵ月以内の購買率が8%向上し、オンラインカウンセリングやセミナーを受けたことがない顧客と比較して顧客単価も上がる結果となった。

サイバーエージェントによれば、リアルの対面接客と、オンライン接客の効果はほとんど遜色がなくて、オンライン接客の方が「顧客の体験価値」(CX)が高い場合もあるそうだ。

現場の問題点を抽出し企業ごとにカスタマイズ

2022年12月からは、資生堂のECサイトである「ワタシプラス」のWebカウンセリングサービス「Online Beauty by ワタシプラス」向けにも、オンライン接客の「リモてなし」の提供を開始した。

資生堂の2021年12月期におけるEC売上高は、3,500億円規模に達しており、成長率は前期比20%超。連結売上高に占めるEC売上の割合は34%と拡大している(連結売上高は前期比12.4%増の1兆352億円)。

サイバーエージェントのリモテなしの最大の特徴は、それぞれの企業ごとにオンライン接客を「カスタマイズ」することである。オンライン接客の汎用ツールを販売するITのスタートアップ企業が、あまりやりたがらない個別企業ごとにカスタマイズできることを最大の強みとしている。

オンライン接客に関しては、汎用ツールを活用するよりも、企業ごとのニーズに合わせてカスタマイズすることが重要と考えている。

資生堂ワタシプラスに関しても、オンライン接客のツールの導入だけでなくて、業務システムを協働して構築するような取り組みを重視している。そのためには、現場の問題点の抽出から始めて、改善プラン、実際にシステムを開発するところまでを一気通貫で取り組んでいる。

「現場のニーズとかけ離れたシステムはうまくいかないので、現場の細かい実態把握や問題解決をお手伝いしながら、最適の業務システムとオンライン接客を実現することを大切にしています。オンライン接客事業のミッションは、チャットポッドなどの機械に接客を置き換えるのではなくて、人間が本来できる接客に集中できるようなお手伝いをすることだと考えています」(サイバーエージェントオンライン接客事業責任者 堀内直人さん)。

資生堂ワタシプラスのオンライン接客の仕組み

[図表1]資生堂ワタシプラス×リモてなしの全体スキーム

図表1は「資生堂ワタシプラス」と「リモてなし」の全体スキームの概念図である。オンライン接客の予約から、お客様の購買履歴や商品情報基盤に基づいた実際のオンライン接客、接客終了後のフォローアップまでの業務システム全体が設計されていることがわかる。

[図表2]ワタシプラス×リモてなしの管理画面例

図表2の画面は、資生堂ワタシプラスのオンライン接客の間に、「肌悩み」に関するアンケート調査を促し、その回答をリアルタイムに確認できる機能が付いた管理画面である(図表2の右側)。これまで一般的には、新規の顧客に対して、オンライン接客の前に問診票のようなメールを送ることが多かったが、回答率が低くなってしまうという課題があった。

しかし、図表2の管理画面があることで、新規客の肌悩みのアンケートが簡単に確認できるうえ、回答に応じて接客を行えるようになった。

また、接客後のアンケートに関しても、一般的にはメール等で終了後に回答を促すことが多かったが、リモてなしでは感想を入力した後に退出してもらうように設計することで、回答率を100%に近い高水準に高めている。こういう機能も、実際の接客の現場に入ることによって、改めて必要だとわかった機能である。

図表2の中央の画面は、顧客の「接客履歴」や「購買履歴」が参照できる管理画面である。オンライン接客を予約したタイミングで、顧客情報のデータベースと突合するようになっている。

また、その顧客に興味があると思われる商品データを取り込んでいるので、管理画面上で「この顧客にはこの商品をお薦めすべきだ」という商品提案ができるようになっている。「過去にこういう接客をした」「こういう商品を買ったロイヤルカスタマー」だということが接客前にわかる。

そのため、「そろそろこの商品が切れるのでは?」「プラス1品の組み合わせはこれがいいですよ」という提案をスムーズに行うことができるので、客単価のアップにもつながる。

店頭の接客と違った対応が必要になるオンラインでの接客に習熟した資生堂のPBP(パーソナル・ビューティ・パートナー)もいるが、接客記録を録画できるので、新人のPBPの接客のアーカイブをトレーナーが参照して、YouTubeのように「何分何秒のこの発言は良かったね」といったコメントを残すような教育のフォローアップもできる。

新規客の最大の入口 LINEとの連携強化

資生堂のワタシプラス×リモてなしは、LINEとの連携を強化しており、LINEが「オンライン接客」の入口になっている。

とくに、新規客の流入チャネルとして、特に伸びているSNSがLINEであり、新規客の獲得には最適のSNSである。LINEを入口に流入してきた新規客に良い接客体験を提供することで、固定客につなげていく良い循環になる(図表1)。

ワタシプラスの画面に、LINEのリッチメニュー(トーク画面下部に固定で表示されるメニュー機能)を表示して新規客の入口とする(図表2)。

そして、資生堂のメンバーシップサービス「Beauty key」の会員IDと「資生堂ワタシプラス」LINE公式アカウントのIDを連携すれば、LINE上で簡単にオンライン接客が予約できる。接客時間などの返信も、顧客にLINEで返ってくる。

さらに、接客が終わった後に、「おすすめ商品はこちらです」と言うメッセージと商品画像をLINEで送信できる(図表3)。

[図表3]新規客の入口としてのLINEとの連携を強化

従来のオンライン接客だと、「どの商品を提案したのか?」と迷うことも多く、おすすめ商品のフォローアップに多くの時間を要していた。

しかし、オンライン接客で提案した商品を記録し、LINEのメッセージと連携・送信できる機能を使うことで、接客終了後のフォローアップが非常に簡単になった。

[図表4]接客終了後のフォローアップもLINEで対応

オンライン接客中に購入に至らなかったとしても、「やはりこれ良かったから購入しよう」となったときに、LINEで商品画像付きのメッセージが残っており、そこをクリックすれば、簡単に商品をオンラインショップで購入できる。また、オンライン接客で提案した商品の「事後購入率」などもトラッキングできる。

サイバーエージェントは今後、小売業の店頭にオンライン接客のスペースを設置して、小売業の化粧品担当者やメーカーの接客担当者とつなぐオンライン接客の実験も進めていく計画である。

[図表5]リモてなしの管理画面

リアルの対面接客とオンライン接客の「接客体験」はほとんど遜色のないレベルにまで達している。しかも、接客内容のログが記録できる、提案商品のフォローアップを自動送信できる、化粧品担当者が不在時にも遠隔接客できるといった機能は、リアルの対面接客を超えているともいえよう。

 

〈取材協力〉

サイバーエージェント
オンライン接客事業部 責任者
堀内 直人氏
サイバーエージェント
DX本部 統括
藤田 和司氏

コンビニが追求し続ける新規「客層」の取り込み

コンビニは2,000人程度の商圏で商売を営む業態である。その限られた人たちに対して高頻度な利用を促して売上を維持してきた。一方で、新しい客層へのアプローチも忘れない。コンビニが近年、新規客層に対して、どのような取り組みを実施しているのか、草創期からの経緯を含めて考えてみたい。(構成・文/流通ジャーナリスト、月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2022年10月号より抜粋)

小家族や高齢者を取り込む「まいばすけっと」の成長

「まいばすけっと」は、コンビニとは異なる客層を取り込み本年1月に首都圏1,000店舗を達成した

コンビニにとって客層の拡大は常に必須テーマである。近年は食品を強化したドラッグストア(DgS)や、中食(総菜)の品揃えを厚くしたスーパーマーケットとの競合もあり、客数対策、すなわち新規客層の取り込みは重要な施策になる。

コンビニの客層を考える上で「都市型小型食品スーパー」として地位を築いている「まいばすけっと」の動向も見逃せない。同チェーンは2005年に1号店を出店。東京23区と横浜市、川崎市を中心に店舗網を展開し、2021年に千葉県、埼玉県に初出店、2022年1月に1,000店舗を達成している。(注/北海道の約40店舗強はイオン北海道が運営、1,000店には含まない)。

「まいばすけっと」の売場面積はコンビニの1.5~2倍の広さ、営業時間は午前7時~午前0時が最も多く、一部で午前8時~午後11時としている。2021年度の売上高と店舗数から計算すると、平均日販(1日当たりの販売額)は57万円前後。セブン−イレブンの64万6,000円には及ばないが、他チェーンよりは上になる。

コンビニとの違いは、生鮮三品、特に青果物の品揃えと、低価格への志向性である。精肉や鮮魚と比較して、青果物は購買頻度が高い。小商圏ビジネスは、同じお客に週に何度も利用してもらう購買頻度の高い商品の品揃えが求められる。青果のアイテム数は、カット野菜を含めて90前後、単身者や小家族向けに、小容量でパックしている。

低価格については、イオンのPB「トップバリュ」により、加工食品や日用雑貨で価格訴求し、デイリー商品においても、例えば、ひれかつ弁当398円(いずれも税別)、ざるそば198円、具なしの「塩むすび」や「たぬきおにぎり」58円など、低価格を維持している。

客層に関して、青果物であれば、自宅で調理する小家族を持つ女性、その中には高齢世帯を含んでいる。また。低価格であれば、節約志向の年金生活者や比較的若い世代を取り込んでいる。値上げラッシュと賃金の抑制により、「まいばすけっと」の支持率は上がることはあっても、下がる理由は見当たらない。こうした客層を、コンビニは大きく取りこぼしている可能性がある。

コンビニは加盟店による個店経営という性格上、低価格を軸とする集客はできないし、その意思もない。日用雑貨でSB(ストアブランド)を導入して「コンビニなのに意外と高くない」ラインが目指すところだろう。

しかし、一方の青果物であれば、品揃えの強化は難しくない。パンデミックをきっかけにして、遠くのスーパーよりも、近くのコンビニで用を足すニーズが強まった。世の中の変化、お客の変化に対応するのが、コンビニの使命である。

セブン−イレブンは、コロナ禍のピンチをチャンスと捉えて、グループ会社であるイトーヨーカ堂の協力を得ながら「顔が見える野菜」の取り扱いスタートさせている。2021年度に神奈川から展開を始めて、本年8月末までに東日本を中心に4,700店舗まで拡大、2023年2月末までに合計9,000店舗への導入を計画している。コンビニが苦手とする女性客の開拓を狙う。

セブン−イレブン2号店は生鮮強化のミニスーパー

歴史的に見て、コンビニは当初、こうした主婦層をターゲットに考えた時期もあった。

セブン−イレブンの袋惣菜は、単身世帯だけでなく主婦層に向けた家庭の食卓にアプローチする(画像はセブン−イレブンのホームページより)

セブン−イレブンの1号店は、東京・豊洲の酒販店オーナー、山本憲司氏が1974年5月に業態転換した加盟店である。そして、あまり知られていないが、2号店は神奈川・相模原市の本部直営実験店(相生店)であった。

売場面積は豊洲店が酒販店の改装で20坪と狭かったのに対して、相生店は直営50坪の広い売場面積を活かして、親会社のイトーヨーカ堂が得意とする生鮮三品を扱っていた。豊洲店は生鮮三品を扱うスペースがなかったため、酒販免許を持つ強みとしてアルコールに注力。当時、普及を始めたアルミ缶のビールをしっかりと冷やして、銭湯帰りのお客や、独身寮の人たちに向けて訴求した。

その結果、生鮮三品の2号店は不調だった半面、缶ビールが売れた1号店の売上が急上昇した。チェーン本部は、その動向から酒販店を中心に加盟店を確保して、好立地を押さえた売場づくりに成功した経緯がある。

コンビニはイトーヨーカ堂のミニスーパー的な業態ではなく、日本型のコンビニとして、その後はアルコールにたばこ、漫画雑誌、米飯弁当、菓子、カップ麺をメーンとする売場を確立していった。その後、日本はバブル期に入り、20代、30代の男性客がコンビニ業態を牽引していく。

ところが、一世を風靡した漫画雑誌は90年代半ばにピークを迎え、たばこは2008年7月の「taspo(タスポ)」導入により、売上が急上昇するも喫煙人口が増加するわけではなく、やがて若者のアルコール離れも顕著になってきた。夜の残業も減らされている。

仮に、この時代の客層に合わせた売場づくりを現在まで継続していたら、コンビニ業態は5万8,000店規模まで成長しなかったであろう。

スイーツと健康訴求で女性客冷食売場で誘引する男性客

2000年代に入り、若い男性客をターゲットにした売場づくりだけでは限界が見えてきた。変化の始まりは本格的な「スイーツ強化」である。女性の集客を鮮明に意識した取り組みである。

2007年11月にサークルKサンクスはスイーツの新ブランド「シェリエドルチェ」を立ち上げた。「窯出しとろけるプリン」とか「濃厚焼きチーズタルト」といったヒット商品を生み出した。想定よりも売れすぎて、商品供給ができない店舗も続出した。

ローソンの「プレミアムロールケーキ」は、2009年の発売からシリーズ累計4億4千万個以上を販売、女性客層の支持率が高いロングセラー商品に(画像は5月に6回目のリニューアルを実施した「プレミアムロールケーキ」税込162円、ローソン提供)

ローソンは2009年に「プレミアムロールケーキ」を発売した。このシリーズはロングセラー商品として現在も改良を重ねながら顧客の支持を得ている。ローソンが2011年に記した資料によると、プレミアムロールケーキを購入した女性の比率は47%に達して、当時のローソンの女性客の来店比率30%を大きく上回る結果となった。

その後、コンビニスイーツの拡充に各社が真剣に取り組んで、女性客の集客を高め、その女性客の市場が、コンビニスイーツの品質を高め、現在は独自のポジションをつかむに至っている。

女性客の来店促進は、全体のMDではなく、個々のカテゴリーや商品において強化される。

セブン−イレブンは2018年3月から「カラダへの想いこの手から」と銘打った健康訴求のシリーズを販売している。おにぎりは、玄米、もち米、雑穀米を使用、チルド弁当や調理麺でも、1日、または2分の1日分の野菜使用など、健康訴求の商品を数多くラインナップした。

これら健康訴求商品の購入客層は、女性比率が高く、若年比率も高いという結果を得ている。コンビニ業界、あるいは個々の加盟店にとっても、好ましい客層の比率といえる。

同時期にセブン−イレブンは、冷凍食品売場を拡大、これまで冷凍食品を購入した経験の少ない男性客を引き入れるために、札幌の有名ラーメン店「すみれ」とタイアップしたチャーハンを発売している。コンビニは女性客の獲得を目指しているが、個々のカテゴリーにおいては、弱い客層にアプローチしている。

2011年3月には東日本大震災により、スーパーマーケットやDgSの営業が軒並みストップ、ガソリンの供給も逼迫してカーショッピングもままならず、主婦や中高齢者による「近くて便利な」コンビニの利用が急拡大する。

そうした需要に応えて、コンビニは総菜や、豆腐や卵、牛乳などの日配品、冷凍食品など、普段の食生活を支える商品を提供、その後、鮮度が長く保てるチルド温度帯の「袋惣菜」に注力するようになった。

その流れは現在まで続き、現在(9月初旬)放映中のセブン−イレブンの「袋惣菜」のテレビCMには、家族4人が食卓で食するシーンを打ち出して訴求している。

コンビニは、「変化への対応」を業態の軸に据え、自らを変えることで成長を実現してきた。その一つが「新規客層」へのアプローチであり、個々のカテゴリー単位において集客の弱い客層に訴求を試みてきた。パンデミックが収束に向かう中、どのような変化を見せていくのか、小商圏の攻防は終わらない。

【参考文献】山本憲司『セブン−イレブン1号店繁盛する商い』(PHP新書)梅澤聡『コンビニチェーン進化史』(イースト新書)

NFI定例セミナー「人の生産性を劇的に高める 業務システム改革の最前線」ほか(2023/7/19 13:00~16:00)開催ご案内(リアル・リモート)

7月の定例セミナーのテーマは、「人の生産性を高める業務システム改革の最前線」です。人手不足、人件費の上昇の中で日本の小売業の最大の経営課題は、「生産性の向上」です。とくに、「人の生産性」の向上は喫緊の経営課題です。もうひとつのテーマは、月刊MDで最近取材した店舗、企業の事例をもとに、小売業の変化の最前線を解説します。

2023年7月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

7月の定例セミナーのテーマは、「人の生産性を高める 業務システム改革の最前線」です。

人手不足、人件費の上昇の中で日本の小売業の最大の経営課題は、「生産性の向上」です。
アメリカの小売業と比較すると、日本の小売業の生産性は約半分です。
生産性を向上しなければ、日本の小売業は産業として成立しません。
しかし、考えようによっては「伸びしろ」が大きいとも言えます。とくに、「人の生産性」の向上は喫緊の経営課題です。

もうひとつのテーマは、月刊MDで最近取材した店舗、企業の事例をもとに、小売業の変化の最前線を解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2023年7月19日(水)13:00~16:00(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(601)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2023年7月10日(月)

スケジュール

[第1講座]
人の生産性を劇的に高める 業務システム改革の最前線

[13時~14時30分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ デジタルを活用した人の生産性向上の正しい進め方
■ 人手不足はロボット化が解決する
■ 加工食品の日付管理作業を減らす
■ 販促物の一括管理による店頭実現力強化
■ 監視カメラを活用した作業分析
■ 棚割をリアルタイムに可視化して機会損失を減らす   その他

[第2講座]
標準化、フード&ドラッグ、ヘルスケア戦略など
日米の小売業改革のポイント

[14時40分頃~16時頃]

月刊MD編集部

■ 標準化こそがローコストと顧客満足を両立させる
■ 最新店舗の事例紹介
■ Amazonのヘルスケア戦略の全貌   その他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

③リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。7月14日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講者用個別URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

NFI定例セミナー「店頭実現&ローコストオペレーション研究」ほか(2023/5/17 13:00~16:00)開催ご案内(リアル・リモート)

5月の定例セミナーのテーマは、「店頭実現&ローコストオペレーション研究」です。小売業にとっての最大の売上対策である「店頭実現・完全作業」の仕組みづくりと事例を解説します。もうひとつのテーマは、「米国流通業の最新トレンド研究」です。アメリカ視察で、現地専門家によるセミナー、売場リポートなどで、コロナ禍で大きく変化したアメリカ流通業の今について解説します。

2023年5月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

5月の定例セミナーのテーマは、「店頭実現&ローコストオペレーション研究」です。小売業にとっての最大の売上対策である「店頭実現・完全作業」の仕組みづくりと事例を解説します。また、電気代の高騰によってローコストオペレーションの仕組みづくりは喫緊の経営課題です。ローコストで店頭実現できる仕組みづくりについて解説します。

もうひとつのテーマは、「米国流通業の最新トレンド研究」です。4月に3年ぶりのアメリカ視察を開催します。アメリカ視察で、現地専門家によるセミナー、売場リポートなどで、コロナ禍で大きく変化したアメリカ流通業の今について解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2023年5月17日(水)13:00~16:00(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2023年5月8日(月)

スケジュール

[第1講座]
店頭実現&ローコストオペレーション研究
[13時~14時30分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ 店頭実現力を高めるための事例研究
■ 店内状況の可視化とPOS連動による店頭実現力強化
■ 開店前100%補充の重要性
■ 販促物の一括管理による店頭実現力強化
■ ローコストオペレーションの6ポイント その他

[第2講座]
米国流通業の最新トレンド研究
[14時40分頃~16時頃]

月刊MD編集部

■ コロナ禍で起きたアメリカ流通業の大変化
■ アメリカ小売業のDX最前線
■ リアルとオンラインの融合(BOPIS、ラストワンマイルなど)
■ アメリカ小売業のヘルスケア戦略(クリニック併設、医療アプリなど) その他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JR でお越しの方
 神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
 神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

5月12日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に登録用URLを記載したメールを送付いたします。そちらのURLから各自事前登録をお済ませください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

NFI定例セミナー「フード&ドラッグのMD研究」(2023/3/16 13:00~16:20)開催ご案内(リアル・リモート)

3月の定例セミナーのテーマは、「フード&ドラッグのMD研究」です。ドラッグストアにとって次の10年の「乗り物」(業態)として注目されているのが「フード&ドラッグ+調剤」です。今後の標準規模とされる400坪型のフード&ドラッグで成功するためのMD(マーチャンダイジング)のポイントを解説します。とくに強化すべきカテゴリーを解説します。実務論としては、商品構成グラフと商品分類について解説します。

2023年3月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回はエイジスリテイルサポート研究所の三浦美浩・所長を講師に招いて、ドラッグストアの食品MD強化戦略について解説していただきます。スーパーマーケットの最新の食品MDを解説し、ドラッグストアの「あるべき食品売場」について提言します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2023年3月16日(木)13:00~16:20(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:連合会館2階(205)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2023年3月6日(月)

スケジュール

[第1、2講座]※途中で休憩をはさみます
(1)フード&ドラッグのMDのポイント
(2)実務論/商品構成グラフと商品分類
[13時~14時50分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ フード&ドラッグ成功のためのポイント
■ 400坪フード&ドラッグのカテゴリー構成
■ PI値、相乗積に見る強化すべきカテゴリー
■ フード&ドラッグの最新事例研究
■ 商品構成グラフと商品分類 その他

[第3講座]
(3)ドラッグストアの食品MD強化戦略
[15時頃~16時20分頃]

エイジスリテイルサポート研究所所長 三浦 美浩

■ スーパーマーケットの最新MD解説
■ ドラッグストアの「あるべき食品強化戦略」
■ ローコストオペレーション、完全作業、粗利ミックス  その他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台3-2-11
連合会館2階(205)
URL:https://rengokaikan.jp/access/

【アクセス】
●東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 B3出口 徒歩0分
●東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅 B3出口  徒歩0分※(B3出口まで徒歩5分)
●都営地下鉄新宿線 小川町駅 B3出口 徒歩0分※(B3出口まで徒歩3分)
丸ノ内線/新宿線をご利用の方は地下道を通り、千代田線方面へ
※B3a・B3b出口は、違う方向へ出ますのでご注意ください。

注意事項

①会場へお越しの方は開催会場をご確認の上、お間違えの無いようご注意ください。
アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

3月10日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に登録用URLを記載したメールを送付いたします。そちらのURLから各自事前登録をお済ませください。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

NFI定例セミナー「2023年の変化対応戦略」ほか(2023/1/25 13:00~16:20)開催ご案内(リアル・リモート)

1月の定例セミナーのテーマは、「23年の大変化と最重点経営課題」です。ドラッグストアを初めとする小売業同士の競争が激化し、「狭小商圏化」が加速しています。また、生鮮強化、コスト削減、調剤の既存店の強化、ヘルスケアハブとしての機能強化、本格的なDXへの挑戦、リアルとオンラインの融合など、かつての競争とは次元の異なる大きな変化が起きようとしています。

2023年1月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

2023年の最初のセミナーでは、これから数年にわたって必ず起こる大変化と、変化対応するための重点テーマを解説します。

2番目の講座では、コロナ禍で大きく変化した顧客満足度(CS)向上のための重点ポイントについて解説します。2022年ドラッグストア顧客満足度調査結果の詳細を解説します。

3番目の講座では、最近取材した最新店舗に学ぶ売り方の変化というテーマで解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2023年1月25日(水)13:00~16:20(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール2号館6階
※1号館ではございません。案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2023年1月16日(月)

スケジュール

[第1講座]
2023年の変化対応戦略
[13時~14時30分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

■ 狭小商圏時代の成長戦略&業態開発戦略
■ ローコストオペレーション戦略、粗利ミックス戦略、調剤の既存店活性化戦略
■ 加速するリアルとオンラインの融合戦略 その他

[第2講座]
コロナ禍の顧客満足度(CS)向上戦略
[14時40分頃~15時40分頃]

月刊MD編集長 野間口 司郎

■ 2022年顧客満足度調査に見るコロナ禍のCS向上戦略
価格調査でわかった値上げの実態
■ 閉店前100%補充の仕組みづくりがCSを向上させる その他

[第3講座]
最新店舗に学ぶ売り方の変化
[15時50分頃~16時20分頃]

月刊MD編集部

■ 最近取材したドラッグストア、ホームセンターの新店紹介 その他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0047
東京都千代田区内神田3-24-5
エッサム神田ホール2号館6階(2-602)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/

【アクセス】
●JR神田駅 東口・北口・西口 徒歩2分
●東京メトロ銀座線 神田駅 4出口 徒歩2分
●東京メトロ丸の内線 淡路町駅 A1出口 徒歩5分
●都営新宿線 小川町駅 A2出口 徒歩5分

注意事項

アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

1月20日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。

店頭メディアは流しっぱなしの動画配信から、視聴率、売上増が検証できる媒体へと進化する

棚のサイネージにUSBを差し込んでテレビCMを流す店舗広告は10数年前から存在しているが、動画を流しっぱなしで、誰が見たか、動画効果で商品が売れたのか?はまったく検証されていなかった。ところが、DXの進展によって、視聴率や効果検証のできる店舗メディアとして進化しようとしている。近年、多くの小売業、メーカーにとって関心の高い「店舗メディア」成功のためのポイントを解説する。(月刊マーチャンダイジング2022年11月号より転載)

動画配信の効果測定ができる「運用型」サイネージの登場

2025年~2030年くらいまでに、「小売業の広告事業」の市場規模は、約1兆5,000億円にも達すると予測されている(サイバーエージェント調べ)。小売業の広告事業とは、ID-POSデータを活用したアプリへのプッシュ通知のような「アプリ広告」と、「店舗広告」の2つに分けることができる。「店舗広告」は、小売業の広告事業の約半分の7,500億円の市場規模にまで成長すると予測されている。

現在、商品やブランドの「認知メディア」として、テレビCMに次いで重要なメディアが「店舗広告」といわれている。今回は、サイバーエージェントが開発した効果検証のできる「運用型」の店舗サイネージである「ミライネージ」の特徴を解説し、店舗メディア成功のポイントを解説する。

[図表1]未来型店舗サイネージ(ミライネージ)の特徴

図表1に「ミライネージ」の基本的な機能を整理した。第1の特徴は、クラウド対応である。店内のWiFi環境を使ってインターネットに接続できるので、遠く離れた場所(たとえばメーカー本社)からオンラインで店舗サイネージに動画を配信できる。これがUSBを使った従来の店頭の動画広告との最大の違いである。

その結果、地域別、個店別、時間帯別に異なる動画広告(クリエイティブ)を遠隔で簡単に配信することが可能になる。

第2の特徴は、サイネージにAIカメラを搭載することで、サイネージごと、クリエイティブごとの効果を測定できる。

[図表2]AIカメラの設置で広告の視聴率計測が可能

とくにAIカメラの進化によって、性別、年代別に顧客属性を細分化することができ、35歳の女性がどの動画(クリエイティブ)を何秒見たかといった「個人別の視聴率」を測定することができる(図表2、3参照)。また、図表3のように、一人ではなくて複数の買物客の性年代を同時に可視化することが可能である。

[図表3]AIカメラ搭載のサイネージによる広告効果の可視化

サイバーエージェントによれば、将来的には、お客様がサイネージを何秒視聴して、その後、レジで実際に商品を購入したのかどうかまでを個人情報に配慮しながら統計的に分析するプロジェクトを進めているという。

クリエイティブの大量制作ができる態勢が重要

図表1のミライネージの3番目の特徴が、動画(クリエイティブ)を大量に制作できる基盤があることである。運用型サイネージメディアを成功させるための最大のポイントは、地域別、店別、日別、時間帯別に動画(クリエイティブ)を頻繁に変更することである。テレビCMを流すだけのクリエイティブは論外である。

同じクリエイティブを流し続けると必ず視聴率が下がって広告効果が低下するので、常に新しいクリエイティブを開発し続けなければ、店舗メディアの価値は高まらない。サイバーエージェントは、専属のクリエイティブチームがいるので、クリエイティブの大量制作が可能である。

[図表4]動画(クリエイティブ)の大量制作の重要性

店舗メディア広告は、成功事例が通用する期間が短くて、1~2週間後には新しいクリエイティブを配信しなければ売上が減少する。つまり、動画(クリエイティブ)の大量配信こそが、店舗メディアの最大の成功ポイントである(図表4参照)。

地域別・個店別に異なるクリエイティブを配信できるので、たとえば北海道の〇〇町の店舗で、「〇〇町の皆さーん」という挨拶を動画の最初にいれることで、サイネージの視聴率が飛躍的に上がるという。

また、「虫刺され」の動画配信も、子育て世代の多い地域では、子供がかゆいと泣いている動画(クリエイティブ)を制作し、高齢者の多い地域ではシニアの動画を採用するなど、地域対応、個店対応ができる。

つまり、「あなたのための販促ですよ」というワンツーワンに近いメッセージを地域別・個店別、場合によっては時間帯別に配信できることも、運用型サイネージの良い点である。

結果をレポートするからメーカーと協働できる

運用型店舗メディアを構築するためには、「AIカメラ搭載のサイネージ」「広告配信の最適化」「レポーティングによるPDCA実現」の3つがポイントである。とくに、「AIカメラを使った視聴率に関するレポート」と「POSデータを使ったレポート」の2つに取り組むことが重要。効果測定結果をレポートすることで、従来の「やりっぱなし店舗メディア」からの脱却を図ることができる。

POSデータを分析して、個店別、時間帯別に異なるクリエイティブを広告配信することもできる。また、実施したことを必ず効果検証し、改善していく「PDCAサイクル」を小売業とメーカーが共有することもとても重要である。

サイバーエージェントによれば、広告配信したことで、どのくらい「購買数」が増えたかが分かることは、メーカーに喜ばれるレポートだという。飲料メーカーの実績では、動画配信の未実施店舗に対して、実施店舗はPI値が約170%も増加した事例も出ている。また、サイネージの性年代別の視聴率もメーカーは関心が高いそうだ。

さらに、店舗サイネージに動画配信することで、具体的にどの競合商品から、何人がブランドスイッチしたかも地域別、店別、時間帯別にレポートできる。メーカーにとってはとても重要なデータである。

[図表5]運用型店舗メディアがメーカーにレポートすべき項目

図表5は、POSデータとサイネージ広告の視聴データを分析し、時間帯別の広告配信を最適化する仕組みの概念図である。オンラインで動画を遠隔配信できるので、時間帯別や店別に異なる動画を随時配信できるのは、運用型サイネージ広告の優れている点である。

店舗にサイネージを設置して動画広告を出稿してもらうだけでは、短期的な広告の成果しか生まれない。POSデータ、視聴データと連動しながら、メーカーに対して適切なレポートができて初めて、運用型の店舗メディアは成功する(図表5参照)。

サイネージの設置場所の原則

店内に設置するサイネージの場所は、(1)入口、(2)エンド、(3)棚前の3ヵ所が原則である。もっとも視聴率の高いサイネージの場所は、当然のことながら来店客の100%が通る風除室もしくは入口付近である。サイバーエージェントの蓄積されたデータによれば、入口のサイネージを3秒以上視聴する人は、来店客の20~30%であり、広告効果がもっとも高い場所である。

また、サイネージの大きさは距離と比例しており、5mの距離で視聴するサイネージは50インチ、3mの距離は30インチ、棚前のように1mで視聴するサイネージは10インチというのが目安だそうである。

さらに最近は、サイネージと「LINE POP」(来店客にビーコンでLINE上にメッセージを送るサービス)を併用することで大きな効果が出ている。

[図表6]サイネージとLINEPOP連動の成功事例

図表6のように、入口のサイネージに「LINEクーポンが出ていますよ」というメッセージを配信し、来店客がその場でLINEアプリを起動すると、「店内限定クーポンを今すぐゲット」というメッセージがLINEで表示される仕組みだ。

サイネージでLINE POPを表示した店舗と、未実施店舗ではクーポン利用率が40%も改善したという。

このように運用型店舗メディアでPDCAを継続的に回すことで、成功事例が蓄積されていき、適切な打ち手の精度も高まっていく。

かつてのUSBを刺しただけの動画配信とは、まったく異なるビジネスモデルであることをまずは理解する必要があるだろう。

 

〈取材協力〉

CA Retail Marketing 取締役
ミライネージ事業責任者
赤木 伸之氏
サイバーエージェント
ミライネージ プロダクトマネージャー
小栗 徹氏
サイバーエージェント
DX本部 統括
藤田 和司氏