出店しないでDXで成長する!

米国トレンドから予測!5年以内に必ず起こる、小売流通業5つの大変化

アメリカの小売業を定点観測する理由は、アメリカで起きている変化は、日本でも5年以内に必ず起こる「未来」だからだ。アメリカで起きている変化の本質を整理し、5年以内に日本で起こるであろう変化を整理してみる。(編集部 日野 克哉)(月刊マーチャンダイジング2023年7月号より抜粋)

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DXが一気に進むアメリカ 小売業は変化対応業

[写真1]2023年4月に破産申請した「ベッド・バス&ビヨンド」はDXに遅れ、ホームファッションのEC消費の変化に対応できなかった。「変化に対応した企業だけが生き残る」という歴史の教訓を再認識する出来事となった

2023年4月23日にアメリカのホーム・ファッション業態「ベッド・バス&ビヨンド(写真1)」が「チャプター11(米連邦 破産法11条)」の適用を申請した。デジタルトランスフォーメーション(DX)に遅れ、ホームファッションのEC消費の変化に対応できなかったことが低迷の原因だ。小売業は変化対応業である。規模が大きい企業が生き残るのではなく「変化に対応した企業だけが生き残る」という歴史の教訓を再認識する出来事となった。

大変化① 出店しないでDXで成長するリアル小売業

顧客接点は有人化 単純作業は省人化・無人化

[写真2]アメリカのホームセンター「ホームデポ」は店舗数を増やさずにDXに投資して売上を増加させた

アメリカのホームセンター「ホームデポ(写真2)」は、2010年から2015年の5年間で新店を増やさずに、DXに投資することで売上を増加させた。近い業態だが、DXに投資したホームデポとDXが遅れたベッド・バス&ビヨンドでは、直近10年で明暗が分かれる結果となった。

ホームデポのDXは、ECとリアルの在庫データ、位置データ、販売・顧客データを一元管理し、店頭とアプリのオムニチャネル化(リアルとECの融合)を実現し、買物体験の質を向上させている。

[写真3]ホームデポのアプリには「FIND IT FAST」という機能が付いており、ほぼリアルタイムで店頭の「在庫数」「商品位置」「商品情報」を確認できる。欠品のリスクをなくすと同時に、商品を探す顧客のストレスを解消している
[写真4]リアルとECの在庫データ、位置データ、販売データを一元管理。アプリで在庫の位置情報を見られる。試しに1品購入してみたところ、15分後に、スマホに表示される在庫が1品減っていたそうだ
[写真5]自宅で購入商品のカタログ写真、現物、PCの画面などを「画像スキャン」すると、その商品がいつも行くホームデポの何番通路に、在庫が何個あるかがスマホの画面で分かる。レビューを見たり、チャットで質問することもできる
[写真6]突き出しPOPで、アプリのFIND IT FASTと連動した、商品の位置番号を伝えている

たとえば、ホームデポのアプリに付いている「FIND IT FAST」の機能は、ほぼリアルタイムで店頭の「在庫数」「商品位置」「商品情報」を確認できる(写真3)。自宅で、購入商品のカタログ写真、現物、PCの画面などを「画像スキャン」すると、その商品がホームデポの何番通路に、在庫が何個あるかがアプリで分かる(写真4、5、6)。欠品リスクを減らすと同時に、商品を探す顧客のストレスを解消している。

また、EC注文→店頭受取りの…

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