特別企画 早朝補充エイジスマーチャンダイジングサービス

ドラッグストア食品強化時代 定刻100%補充が、顧客満足と従業員満足を上げる

商品補充は店舗運営の起点になる重要な作業である。しかし、最近のドラッグストア(DgS)は食品の扱いが増えたこともあり、開店しても品出しが終わらず、通路には段ボールや折りコンが放置されているケースが目に付く。開店後、品出し未完了の時間が続けば続くほどにチャンスロスは大きくなり、顧客満足も下がる。こうした問題の改善を図るのがエイジスマーチャンダイジングサービスの「集中補充サービス」である。(月刊マーチャンダイジング2023年2月号より転載)

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顧客満足を低下させる「午前の売場問題」

2021年のDgSの数は2万1,725店舗(日本チェーンドラッグストア協会調べ)。日本の人口をこの店舗数で割ると単純人口約5,800人に1店舗DgSがあることになり、商圏は狭く(商圏人口は少なく)、競争は激しくなっている。

小商圏で客数確保のためには来店頻度を上げる必要があり、DgS、とくに郊外立地店は食品強化をせざるを得ない状況だ。青果、精肉の品揃えをする店も一般的になっている。このような傾向は、図表1に示したDgSの食品売上高構成比にも表れている。

[図表1]2022年度DgSの食品売上構成比上位7企業

食品の品揃えが充実するのに伴い変化しているのは、午前中の客数の増加だ。パン、カップ麺、弁当などの昼食商材や牛乳、卵、納豆などDgSが意識的に安値で販売する「集客商品」を目的購入するために午前中来店するお客は増えている。

一方で、食品の扱い量を増やすことで、品出し・補充の負荷が増大、「店舗全体の補充作業が午後までかかる」、「長時間、通路に段ボールや折りコンが放置され、買物、買い回りがスムーズにできない」、「前出し作業が追いつかず、売場の豊富感が損なわれる」などの問題が発生している。多くのDgSで食品強化により重要になっている「午前の売場」に大きな問題が生じているのだ。

▲折りコンや段ボールが通路に放置され、買物しにくい状況は、多くのDgSの午前の売場に見られ、大きなチャンスロスを起こしている

こうした「午前の売場問題」は顧客満足に負の影響を与え、客離れの原因につながる。本誌が行った顧客満足度調査(2022年12月号)によれば、顧客満足に大きな影響を与えるトップ5の要素として、一ヵ所ですべての買物を済ませる「ワンストップショッピング」(1位)と「短時間ショッピング」(4位)が挙がっており、「午前の売場問題」はこのいずれの要素をも阻害する要因になり、顧客満足の低下に通じる。

さらに、品出し作業の終わりが見えない。品出し作業中にレジ応援に呼ばれる、顧客対応もこなさなければいけないなど、「午前の売場問題」は従業員満足を下げ、離職や店長就任忌避といった問題にまで発展するケースが実際に起こっている。こちらも深刻な課題だ。

品出し・補充作業はマルチタスクからシングルタスクへ

顧客満足、従業員満足双方を妨げる「午前の売場問題」改善のため、エイジスマーチャンダイジングサービスでは品出し・補充を請け負う「集中補充サービス」を提供している。

[図表2]品出し・補充をマルチタスク化することの課題

同社では、必ず発生し店舗作業の中では大きな人時を要する品出し・補充作業を、他の作業と同時並行的に行う「マルチタスク」として自社従業員に割り当てることが問題の原因につながると分析。これを通常業務から切り出し、専任スタッフが計画的、効率的に担当する単一作業=「シングルタスク」化したほうが、顧客満足、従業員満足を上げられるとして「集中補充サービス」を開発、ブラッシュアップしている。

以下キーワードごとに、「集中補充サービス」の具体的な内容を見てみよう。

品出し・補充コスト最適化

小売業が自社従業員を品出し・補充に割り当てる場合、当日入荷量と最適な人時をマッチングさせることは難しい。店舗レベルの作業割当には限界があり、「だいたいの」入荷量と「だいたいの」人時を合わせシフトを組むが、その結果品出し・補充が午前で終わらない。あるいは、予定よりも早く終わって人時が余るということが頻繁に起こる。

エイジスマーチャンダイジングサービスでは、納品スケジュール、過去の納品実績データを小売業と共有し、日次で確度の高い納品量、作業量を推定。これを基に自社の過去データなどと照合し的確な人時を割り出し、派遣する人数、作業時間を決める。コストを最適化し、人件費のムダ、設定した人時で作業が終わらないといった問題を解消する。

[図表3]品出し・補充作業の変動費化

定刻100%補充

集中補充サービスでは、「あらかじめ取決めた定刻内に補充を完遂すること」を完全作業と定義付け、これを着実に達成する。

業務にあたっては、まず、小売業の担当者と打合せ、納品スケジュール、物量、入荷時の分類などのデータを共有する。これに基づき必要人時を決定。300坪のDgSなら3人程度が担当。物量や開店時間に応じて午前5〜7時から作業開始、人時を調整する。食品を含む受託した部門、カテゴリーのすべての品出しを取決めた定刻までに完了させる。万一時間までに終わらないときは、時間延長、応援部隊の派遣などによって最速でカバーし作業完了させる。

BIツールによる作業管理

エイジスマーチャンダイジングサービスでは「作業管理BIツール」という作業管理システムを使って集中補充作業をリアルタイムで管理している。

▲「作業管理BIツール」の店舗別、日別詳細の画面。売上、利益も共有し、集中補充作業との関連を探ったり、生産性の検証などを行い、業務改善に生かし、小売業の売上改善を支援する。

各現場で責任者がiPadを持ち、スタッフの到着、作業の開始、終了時間などをこれに打ち込む。万一店舗に納品がない、天候などの影響で納品が遅れているなどのイレギュラーな事案があればこれもiPad上で報告、報告を受けた同社の管理センターの担当者が適宜対応を取り現場に指示する。

基本、早朝補充では小売の従業員は立ち会わないので、こうしたサポートシステムにより現場をリアルタイムで管理、サポートしている。さらに、作業時間、イレギュラー発生、その他のリポートがシステム上に記録されるので、エイジスマーチャンダイジングサービスと小売業の担当者が定期的に振り返ることで、早朝補充の課題や改善材料を発見する機会にもなる。

集中補充導入店は年間2,362万円売上増

[図表4]集中補充の人時売上高、人時生産性への効果

図表4は集中補充の導入成果である。郊外型を主力とするDgSチェーンで1年間集中補充サービスを導入にした結果、同一チェーンの未導入店舗20店舗と比較すると、人時売上高で900円、人時生産性で320円の差が付き、1店舗あたりの年間の売上高で見ると約2,362万円、粗利益高にして約840万円、導入店の方が高かった(図表5)。

[図表5]集中補充の売上・利益インパクト

※図表4、5ともに集中補充サービスを実際に導入したDgSチェーンの1年間のデータ

これは、開店時(定刻内)に補充が完了し全商品が買えるというお客にとっては「当たり前の態勢」が売上に与えるインパクトの大きさを物語っている。同時に、補充作業を外注することで自社従業員はレジや接客といった本来業務にあたることが可能になり、商品の回転がよくなることも示している。

裏を返せば、開店しても棚前に作業中の補充スタッフがいたり、段ボールや折りコンが放置されることで、「売場が物理的にブロックされ商品を買えない」。従業員が補充作業に取られ、「レジ待ち時間が長引く」、「接客が不十分になる」といったことで、売上にして1店舗当たり年間2,362万円ものチャンスロスが起こっているとも言える。

開店前に品出し・補充を完了し、売場の埋蔵金を発掘する。これを店舗レベルのオペレーションで達成することは難しい。人員の確保、納品回数の改善、補充しやすい単位に分類された納品など、本部が仕組みをつくらなければ、現場は品出し・補充に苦労しながら、他の業務もこなさければならないという苦境に立たされる。エイジスマーチャンダイジングサービスの「集中補充サービス」は、仕組みづくりの有力な選択肢のひとつになる。

集中補充に関するお問い合わせ

エイジスマーチャンダイジングサービス 営業本部
0120-982-449(9:00〜17:30)