今週の視点

人口減少時代は「減収増益」を目指す

第78回「高粗利商品」を定番に差し込みカテゴリー全体の粗利アップを目指す

2月18・19日に開催された「アルフレッサヘルスケア(勝木尚社長)」の展示会で、高粗利の「専売商品」を定番売場に差し込むことで、カテゴリー全体の粗利アップを目指す提案がありましたので、それを紹介します。

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生理用品の定番売場に、アルフレッサヘルスケアの「専売商品」であり、高粗利商品の膣洗浄剤「インクリア」を差し込むことで、カテゴリー全体の粗利アップを実現する「売り方」提案。

「専売商品」は固定客化と利益改善に貢献する

2019年は、「死亡数-出生数」(人口の自然減)が初めて51万人を超えました。次の10年の日本は、深刻な人口減少時代に突入します。人口減少時代は、かつてのように販促を強化すれば、売上が大きく増えるという成功体験は通用しません。

むしろ人口減少時代が続くと、何もしなければ売上は減少していきます。また、人手不足による人件費の上昇によって販管費が増えて、営業利益も減少します。

これからの人口減少時代に大切なことは、売上が減っても「粗利益高」を増やすことだと、アルフレッサヘルスケアの勝木尚社長は強調しています。同社は、薬局、ドラッグストアのリアル小売業の粗利対策として、アルフレッサの「専売商品」を店頭起点で育成することを推奨しています。専売商品の特徴は以下の通りです。

[アルフレッサヘルスケア専売商品の特徴]

  1. エビデンスが豊富でオンリーワン商品
  2. 季節性がなく、定番で育成・推奨販売ができる
  3. 流通でしっかりとした利益が確保できる
  4. 特許、製法、特定産地でしか入手できないなど、マネのできない商品

アルフレッサの専売商品を店頭で育成することで、他の業態やネット販売とも差別化でき、年間定番として販売できるので、定番カテゴリー全体の粗利改善に大きく貢献することがわかります。

「専売商品」を店頭で育成する重要性を力説するアルフレッサヘルスケアの勝木尚・社長。

生理用品の定番でインクリアを関連販売

アルフレッサの展示会では、さまざまな専売商品の売り方を提案していました。その売り方提案のひとつが、生理用品の定番売場に、膣洗浄器「インクリア」を年間定番商品として関連販売することで、生理用品カテゴリー全体の粗利改善につなげる提案です(巻頭の写真)。インクリアは、女性の産婦人科医と共同開発した膣洗浄器なので、エビデンスもしっかりしています。

購買頻度の高い生理用品の定番売場に、インクリアを差し込むことで、関連購買が促進されることが期待できます。

しかし、専売商品の多くは、ただ陳列しているだけでは売れない商品がほとんどなので、POPや動画などによる情報発信、接客による推奨販売がとても重要です。ただ陳列しているだけの「自動販売機」のような売場では、専売商品は育成できません。これからのリアル店舗は、「店頭で商品を育成する力」を磨くことが非常に重要です。

女性の産婦人科医と共同開発した膣洗浄器「インクリア」。

著者プロフィール

日野眞克
日野眞克ヒノマサカツ

株式会社ニュー・フォーマット研究所代表取締役社長。月刊『マーチャンダイジング』主幹を務める。株式会社商業界の「月刊販売革新」編集記者を経て、1997年に独立し、株式会社ニュー・フォーマット研究所を設立。