フードビジネス・アップデート

圧倒的に高い女性客の満足度。1日20回転以上!

第6回「牛角」創業者が発案。1人焼肉「焼肉ライク」早くも大ブレークの予兆

東京・新橋に開店した一人焼肉の「焼肉ライク」。良質な肉をリーズナブルで価格で提供する立ち食い形式の焼肉屋である。女性の人気も高く、営業中は順番待ちの行列ができる。多店舗展開を見据えており、一気にブレークする可能性も高い。人気の秘密とこれからの可能性を見てみよう。

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「もっと手軽に」「もっと楽しく」

2018年8月29日に「焼肉ライク」が新橋・烏森神社近くの路面にオープンした。同店はロースターを1人で独占する「1人焼肉」の業態である。店舗規模は16坪21席で店内のほとんどがカウンター形式となっている。

店頭に商品の画像と価格が表示されているが、これが実に感動的である。ごはん・キムチ・スープのついたセットメニューは8種類で、このようになっている(税別)。

・「うす切りカルビセット」100ℊ530円、200ℊ860円、300ℊ1,190円
・「カルビ&ハラミセット」100ℊ810円、200ℊ1,210円
・「ザブトン&ハラミセット」100ℊ870円、200ℊ1310円
・「Wカルビセット」100ℊ710円、200ℊ1,010円
・「国産牛カーペット しゃぶすきセット」100ℊ860円、200ℊ1,440円
・「牛タン&カルビセット」100ℊ970円、200ℊ1,460円
・「牛タン&和牛上カルビセット」100ℊ1260円、200ℊ1,960円
・「豚トロ&ホルモンセット」100ℊ660円、200ℊ960円

また、肉は単品で9種類がラインアップされている。それぞれ100ℊの価格は、「うす切りカルビ」330円、「カルビ」480円、「ハラミ」530円、「ザブトン」580円、「国産牛カーペット」580円、「和牛上カルビ」980円、「豚トロ」380円、「ホルモン」380円、「牛タン」780円となっている。

またそれぞれ50ℊでも注文ができる(価格は100ℊの半額よりも若干高い)。一番人気はカルビ、そしてハラミ、うす切りカルビ、タン、ザブトンと続く。肉が200ℊのセットメニューが8割を占めているという。

店名の「ライク」とは、「As you like」(お好きなように)に由来しているが、消費者に向けて焼肉を「もっと手軽に」「もっと楽しく」という提案が溢れている。

オープン前の店内。ロースターの上に吸煙装置がないためにすっきりとしている
店頭の幟に掲載されている選べる肉のお知らせ
店頭の幟に掲載されている定食メニュー。価格が衝撃的だ

同店を開発したのは、株式会社ダイニングイノベーション。同社会長の西山知義氏は、焼肉市場において革命的な業態「牛角」を創業した人物で、2003年には創業7年にして当時の会社であるレインズ・インターナショナルの外食グループ1,000店舗を達成した。ダイニングイノベーションは2012年に設立し、焼肉の「KINTAN」をはじめ、複数業態を展開している。

以下、焼肉ライクの構想と展望について、焼肉ライク事業マネージャーの有村壮央氏が解説してくれた。ちなみに有村氏は飲食業を経営していたとき、西山氏の私塾である西山塾で学んでいた。昨年11月西山氏から「新しい焼き肉事業を一緒にやらないか」とのオファーを受け、西山氏が考える構想に大きな可能性を感じ取り、自身の飲食事業を共同経営者に譲渡して、2018年1月にダイニングイノベーションに入社して新事業に専念することになった。

女性客の満足度が圧倒的に高い

焼肉ライクは「いきなり!ステーキ」からも発想を得ている。いきなり!ステーキは2013年12月に1号店がオープンして以来、5年目のこの8月に300店を突破した。

「その快進撃を見ていて、ステーキより焼肉の方が需要がある。焼肉を1人でさっと食べることができる店があったらいいのでは。ステーキは形が整っている必要があるが、焼肉はカットしているので肉を効率的に使用できる。商品は、ショートプレートとカルビを組み合わせて1,300円程度。このような発想をすることで、かなりの可能性があると感じました」(有村氏)

店舗展開は、まず首都圏から、直営・FCを組み合わせながら全国に広げる。当初探した立地は、現在の新橋をはじめ、新宿、秋葉原、品川、渋谷、八重洲といった、平日はサラリーマンが多く、土日も営業ができる繁華街で、ラーメン店の売上が高いところを想定したという。これらの中で現在の物件が一番早く出てきたので、ここを1号店とした。

商品構成は前述の通り。肉はUS産のチルドがメインとなるが、複数の業態から部位別にチルドないし冷凍で仕入れている。米は岩手産のひとめぼれで新米を精米3日以内のものを使用。少量ずつ炊飯して1時間以内炊き立てのごはんを提供している。

同店が設備の面で誇るのはロースターである。一般的な焼肉店ではテーブルの上にロースターを置いてその上から煙を吸引するというスタイルの店が多いが、同店ではロースターをテーブルの中に内蔵しロースターの横から煙を吸引する形にした。内装もバルのような雰囲気にすることで、女性客が気軽に入店することができる雰囲気を作った。

ちなみにロースターの網は使い捨てで、お客さまから食事の途中で替えて欲しいという要望があった場合は1枚30円(原価)で交換する。

女性客の比率は現在20~25%、これは新橋という土地柄と考えており、渋谷や恵比寿となると女性5割ないし、男性より女性の方が多くなるものと想定している。

有村氏がお客さまの反応を見ていると、女性客の満足度の方が圧倒的に高いという。

「焼肉を食べたいけど、女性が気兼ねなく1人で入れる店がこれまでなかった。こんな店が近くに欲しい、という感じです」

アルバイト募集をしたところ230人の応募があり、その8割程度が若い女性だった。新橋でこれだけの応募があるということは奇跡的なことではないか。

「応募する動機は、自分が行きたい店で働きたいと思うのではないでしょうか、例えばカフェとか。既存の業種の既存の業態のままでは募集・採用は難しいのではないでしょうか。この店によって募集・採用の在り方を学びました」(有村氏)

筆者がリアルに「カルビ&ハラミセット」870円(税込)を食事している様子

1日客数400~450人、20回転以上

オープンの初日、290食限定で、通常1,210円(税別)のカルビ・ハラミセットを290円(税込)で販売した。いきなり120人の行列ができて、290人目は17時30分ごろとなり、この日のプロモーションは終了した。

通常営業となっても驚異的な繁盛ぶりを見せている。営業時間は11時~23時(無休)だが、15時~17時以外は店の前に行列ができる。お客さまの滞在時間は昼23分、夜28分でこれは想定通りとのこと。同店の面積が狭いことからハイチェアを使用しているが、これは今後の展開の中で検証していくという。同店の1日客数は400~450人で1日20回転以上。1日に提供する米は60㎏、肉は80㎏となっている。

黒板で本日入荷している和牛を紹介している

今後5年間で300店を想定しており、現在はパッケージを整えている段階とのこと。標準的な店舗は20~25坪で、都心に限らずロードサイドも想定している。既に加盟店のオファーが多数あるが、来年の早い段階で正式な募集を行う予定とのこと。一般の飲食店に対してダクトとロースターが必要となることから法人向けのパッケージとなる模様だ。

著者プロフィール

千葉哲幸
千葉哲幸チバテツユキ

1982年早稲田大学教育学部卒業。柴田書店入社。「月刊ホテル旅館」「月刊食堂」に在籍。1993年商業界に入社。「飲食店経営」編集長を10年間務める。2014年7月に独立。フードフォーラムの屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース・セミナー活動を展開。さまざまな媒体で情報発信を行い、フードサービス業界にかかわる人々の交流を深める活動を推進している。