フードビジネス・アップデート

繁盛喫茶店チェーンの秘訣とは

第2回コメダがエキナカ新業態にコッペパンを選んだ理由

店舗数800店(2018年4月末現在)とフルサービスの喫茶店としては圧倒的な店舗数を誇っている「コメダ珈琲店」(以下、コメダ)。「喫茶店の機能」をブレることなく継続し、多数ある類似業態の中にあって成長を続けるコメダが、次なる業態として推進するのが「コッペパン専門店」である。そして、コメダが選んだ立地はエキナカ、ターミナルだった。

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飲食店とは食事を提供する場であるが、喫茶店にとって食事はワンオブゼムで時間消費型の側面を持つ。コメダを象徴するフードメニューに「シロノワール」があるが、このデニッシュの上にソフトクリームの渦が乗ったとてもユニークな商品は、コメダに目的来店するファクターとして十分な存在感がある。

外食の記者にとってコメダのことが話題になったのは2000年に入ってすぐ、加盟店展開を拡充したころだ。筆者も「名古屋郊外に大繁盛の喫茶店がある」と聞きつけて同店を訪ねた。そこで気が付いたことは、ファミリーレストランをはじめとした周辺の飲食店とお客さまの利用動機が重ならないということだった。飲食店はランチタイムとディナータイムにお客さまが集中するが、コメダは午前中とティータイムに賑わう。こうしてコメダは他の飲食店と同一エリアで共存し、繁盛を維持しているのである。

そのコメダは今年創業50周年を迎えており、新業態に果敢にチャレンジしている。

具材次第でスイーツにも、食事にもなる

現在、コメダの新業態で「第2の成長エンジン」のように展開をしているのが「コメダ謹製やわらかシロコッペ」(以下、シロコッペ)である。

筆者のホームタウンはJR武蔵浦和駅であるが、今年の春先に駅構内の商業施設の一角が工事に入った。その囲いに「コッペパンの専門店が近日オープン」と書かれていた。武蔵浦和駅には既に大型のベーカリーショップが2店営業しており、これからパン屋さんを出店しても難しいのではと思っていた。しかしながら、その10坪足らずの店舗はオープンしていきなり長蛇の列ができる店となった。店名に「コメダ謹製」と冠を付けており、「コメダ」は今や全国区のブランドに育っていることを知らしめた。

コメダの新業態「コメダ謹製 やわらか シロコッペ」ロゴ

商品は白くて柔らかいコッペパンの中に、和洋のスイーツ系、そして食事系の具材が挟み込まれている。品目数は20程度で、季節感を抱かせる具材などでキャンペーンを行っている。

シロコッペの動向について、株式会社コメダホールディングス管理本部IR室、IR担当次長の野瀬和宏氏が解説してくれた。

コメダで提供されている主要食材は全て自社工場で製造されている。コーヒーの抽出も、パンの焼成も同様で自社工場から各店舗に配送している。こうしてパンの製造については相当のノウハウを蓄積してきた。パンの工場は、愛知に3カ所、千葉・印西市に1カ所となっている。

コメダはこれまで郊外の住宅街の生活道路沿いに出店してきたが、新業態は新立地を開拓するミッションもあった。新立地とはエキナカ、ターミナルなど、5坪から10坪の小さい物件で回転型のビジネスをするということだ。
そこで新業態は現在ブームになっているコッペパンに着目した。ブームの要因は「誰もがなつかしさを覚える食べ物」「SNS受けする商品が登場」「どのような具材もマッチする」――さらに、手頃な価格設定になっているということだ。

そして、2017年4月から5月にかけて名古屋の名鉄百貨店本店の催事でテスト販売し、好評を得た。次に、実店舗として2017年9月東京スカイツリーの商業施設ソラマチの期間限定店舗を出店。そして、名鉄百貨店に常設店舗を出店した。2017年4月現在では9店舗となっている(全店直営)。

商品は同店の分類では「和コッペ」「洋コッペ」「おかずコッペ」となっている。和コッペは「小倉あん」220円(税込、以下同)、「小倉マーガリン」250円、「小倉ホイップ」280円。洋コッペは「クッキー&バニラクリーム」250円、「フルーツホイップ」330円、「栃木県産とちおとめ いちごジャム」280円など。おかずコッペは「シャキシャキごぼうサラダ」290円、「めんたいポテサラ」360円、「ポークたまご」390円など。

コッペパンの中身は多彩。スイーツ、軽食どちらとしても利用できる

フレッシュなクオリティを特徴とする

商品はパンと具材がそれぞれパーツとして店舗に配送され、店舗ではパンをカットして具材をペーストないしは挟み込みという調理を行う。これによってフレッシュなクオリティを保ちロス対策を行っている。

こうしたオペレーションでお客さまの利用動機や利用時間、そして客層も偏ることがない。現状20品目をラインアップしているが、満遍なく売れている。現状展開している店舗は5~10坪で月商500万~1000万円となっている。商品の特性から店内に火を必要としない。だから、初期投資が低く、オープン1~2カ月で回収できている。

さらに今年3月、新業態の「コメダスタンド」を東京・池袋サンシャインシティ専門店街「アルパ」1階にオープンした。「都会の山小屋」がコンセプトでログハウス風の内装で4Kモニターに投影する風景画像を投影している。サービスはセルフ式でシロコッペの商品とコーヒーをはじめとしたソフトドリンクをスタンディングで飲食するという業態だ。

コメダスタンドの店内

シロコッペやコメダスタンドともに、直営店で展開し、時間をかけて収益モデルを作っていく意向だ。野瀬氏はこう語る。

「仮にコッペパンブームが終わり、シロコッペも売上が低迷するようになっても撤退に備えられるようにして、新業態の開発を推進しています」

2018年度はシロコッペの新規出店を15~20店舗、コメダは55~60店舗を新規出店する計画。現状海外にはコメダを5店舗出店しており(上海4店、台湾1店舗)、2021年2月期には海外を含めてグループ全体で1000店舗を目標としている。

著者プロフィール

千葉哲幸
千葉哲幸チバテツユキ

1982年早稲田大学教育学部卒業。柴田書店入社。「月刊ホテル旅館」「月刊食堂」に在籍。1993年商業界に入社。「飲食店経営」編集長を10年間務める。2014年7月に独立。フードフォーラムの屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース・セミナー活動を展開。さまざまな媒体で情報発信を行い、フードサービス業界にかかわる人々の交流を深める活動を推進している。