セイコーマートの菓子売場。PB商品が3分の1を占めているが、あえてパッケージデザインを統一していないので、「PBだらけの売場」という印象がない。
パッケージを統一しないセイコーマートのPB戦略
2020年は、同質競争から脱却し、「差別化」の時代が到来すると思います。差別化戦略のためにも、「看板を取っても、どの企業の店かすぐにわかる」くらいの個性を持つ必要があります。そのためにも、PB戦略を強化し、他店では取り扱いのないブランドを育成し、企業・店としてのブランディングを目指すべきです。
かつての小売業のPB開発は、NB(ナショナルブランド)メーカーのパッケージそっくりに物真似し、価格は半値といった「プライスブランド」が主流でした。しかし最近は、その小売企業の世界観を表現するような統一されたパッケージデザインを開発するPBが主流になっています。
一目でPB商品であることがわかる反面、「PBだらけの棚」を嫌がるお客も一部にはいることは確かです。最近のIYグループの棚を見ても、セブンプレミアムのパッケージが圧倒的な面積シェアを占めています(下の写真)。
一方、北海道民に圧倒的な支持を得ているコンビニの「セイコーマート」は、PBのパッケージデザインをあえて統一していません。セイコーマートは、取扱商品3,500品目のうちPB商品が1,000品目を占めています。PBの売上構成比は50%を超えており、PB比率の高い代表的な企業です(PB開発で有名なカインズでも40%)。それほどPBを強化しているのにあえて、PBのパッケージデザインを統一しないで、単品でブランディングしていく戦略です(巻頭の写真参照。セイコーマートの戦略の詳細は月刊MD2月号に掲載しています)。
アメリカのアルディもデザインが不統一
アメリカで快進撃を続ける「アルディ」も、PBの売上構成比が80%と高いにもかかわらず、パッケージデザインを統一していません。アルディは、売場面積300坪程度の小型のバラエティストアの高速出店を継続しており、売上高2兆8,000億円、店舗数は2,300店を超えています。グループ会社の「トレーダージョーズ」が、「Trader Joe’s」のブランド名でPBのパッケージロゴを統一しているのとは対照的です。
日本のドラッグストアのマツモトキヨシも、パッケージデザインを統一しないで、商品によって変更しています。しかし、有名な「マツキヨスラッシュ」をすべてのパッケージに入れることで、デザインは異なるが、マツキヨブランドであることが潜在的にわかるパッケージになっています。マツモトキヨシのPB戦略は、「PBだらけ」というデメリットを解消しながら、統一感を出すことに成功していると言えます(下の写真)。