(写真はイメージです)
掃除ロボット、棚管理ロボットが人間の単純作業を代行する
「engadget日本版」によれば、ウォルマートは4月に、1500台のフロアクリーナーロボット「Auto-C」を導入しました。社員は簡単な準備と、プログラミングをするだけで自動的にロボットが店内を清掃します。また、1300台の棚スキャンロボット「Auto-S」は、商品在庫の確認、棚の在庫位置、POPや売価の確認などの棚管理業務を行います。
そして、配送トラックからの荷物を受ける検品機能付きアンローダー「FAST」1200台を導入しました。荷受けに際し、優先度の高い補充商品を自動的にスキャン、ソートして積み降ろす事で、店内の在庫補充を速やかに行えるようにするロボットです。Auto-SとFASTアンローダーは、データを共有化し、従業員の棚管理作業の手間を省くことができます。
さらに、ウォルマートのECサイトで購入した商品を、近くの店頭ですぐに受け取れる自販機のような「Pickup Tower」も、追加で900台を設置すると発表しています。このような「オンラインで注文→店舗受け取り」のサービスを強化することで、いつでもオンラインで買物できて、近くの店舗で好きな時間に受け取れる「買物体験の質」を向上し、アマゾンなどのオンライン企業と差別化することが目的です。
ウォルマートが店内作業をロボット化する最大の目的は、単純作業をロボットに置き換えて省人化を進め、従業員は空いた時間を「接客」などの顧客とのコミュニケーションに専念することです。ロボットができる作業は機械で、人間しかできない接客はリアル店舗の価値として強化する戦略です。人とロボットの共存を目指した試みといえます。
日本でも棚管理のAIロボットの導入実験が始まっている。POP期限チェック、売価チェック、品切れチェックなどの棚管理作業を深夜に行うロボット(動画はリテールテックの大日本印刷のデモを撮影したもの、再生時は音量にご注意ください)。
「電子陳列棚」の導入で店内作業が大幅に軽減
米国最大の食品SM(スーパーマーケット)「クローガー」の「Edge Shelf」(電子陳列棚)も、店内作業の省力化・省人化に大きく貢献します(下の写真参照)。小売業にとって、「売価変更」「棚割変更」という紙の棚札(プライスカード)を付け替える作業量は膨大でした。ほとんどの店舗担当者は、特売日の前日に夜遅くまで残業して売価変更作業を実施した経験があるはずです。また、棚割変更に伴う棚札の付け替え作業も膨大な人時がかかっています。
クローガーが開発した「Edge Shelf」は、店内のWi-fiなどの通信機能を活用して、プライスカードなどの「電子陳列棚」の情報をリアルタイムに更新することができます。たとえば、紙のプライスカードを付け替えなければならなかった「売価変更作業」に関しても、リアルタイムに売価を変更できます。しかも、店舗で変更できるだけではなくて、本部で大量の店舗の売価変更作業を一括で管理できます。
下記写真のクローガーの電子陳列棚に表示されているプライスカードは、「紙」ではなくて「映像」なので、プライスカードの位置を自由に変更することができます。その結果、棚割の変更作業が格段にスピードアップします。クローガーは、カテゴリーによっても異なりますが、週に1回程度の頻度で棚替え指示に基づいて、地域に合った棚割に変更しています。棚割の変更作業時には、プライスカードが棚割変更の位置に動いているので、あとはそれに合わせて商品を移動すれば棚割変更が終了します。
リアル店舗の売場がECサイトにどんどん近づいていき、オンラインとリアルの境界線が曖昧になっていくことが、リアル店舗の未来なのかもしれません。