月刊マーチャンダイジング2021年3月号 予告編

月刊マーチャンダイジング2021年3月号を編集長野間口が動画解説しています。

 

<CONTENTS>

【今月の視点】 

ドラッグストアの30年の歴史を

未来の「中堅幹部」に継承しよう!!

【特別企画】
PB商品で地域シェア拡大

PB売上構成比17.5%、独自路線を歩むゲンキー
キーマンインタビュー
有力ドラッグストアのPB戦略解説

【特集】
店長・スーパーバイザーの教科書

第0章 店長なら知っておきたい小売・流通業の知識
第1章 店長・スーパーバイザーの職務
ツルハドラッグ関東店舗運営本部長 半澤剛氏に聞く
第2章 狭小商圏時代の売場づくりの基本知識
300坪型ウエルシア繁盛店のPOP研究「ウエルシア立川柏町店」
第3章 強い組織作りとチームワーキング
第4章 withコロナ時代の店舗オペレーション

注目の売り方シリーズ/肌トラブル・ウイルス対策
WITHコロナWITHマスクで生まれた
新たなニーズをカテゴリー横断で解決

[店舗リポート]
カインズ朝霞店

「楽カジ」、DIY、ペット各売場を強化
環境、防災への配慮もあるカインズの新型店舗

業態STUDY
伊藤忠が描くファミマの成長戦略は
デジタルを駆使したチェーンの再構築
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第177回]有田 英明
流通データ
2021年4月・5月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

WITHコロナ・WITHマスクで生まれた新たなニーズをカテゴリー横断で解決

コロナ禍で社会にさまざまな変化が起こっている。スキンケアに関していえば、マスクを常時着用することで蒸れや摩擦が生じて肌トラブルに悩む人が増えている。さらに、感染への防御意識も高まりマスクプラスαを志向する人、実行する人も増加。こうした状況は、マスクで生じた肌トラブル対応商品の販売チャンスであると同時に、マスクやスキンケア商品を起点とした「もう一品購入」を促進する格好の機会でもある。WITHコロナ、WITHマスク時代、新たなニーズを捉えて生活者のQOL(生活の質)改善と業績アップを同時に実現させる商品、売り方を考える。

マスク利用者の肌トラブル急増

マスク+アクネでマスクネという新語も登場

新型コロナウイルス感染症を予防するためのマスク着用で、肌トラブルに悩む人が急増している。図表1は「マスク肌あれ」の検索件数を指数化したものだ。2019年と2020年を比較するとその上昇ぶりは明確である。マスクとアクネ(ニキビ)を掛け合わせた「マスクネ」という造語も使われるようになった。自身の体験で感じている人も多いだろうが、データの上でも多くの人がマスクによる肌あれに関心を示し、その解決策を求めていることが分かる。

一方、スキンケアの領域でWITHコロナのもと生活者の意識に変化が起こり始めている。図表23つのポイントをまとめた。ひとつは「メイクよりスキンケアに注力した17.9%」。マスク着用で多くの人がフルメイクをしなくなり、その分スキンケアに力を入れる人が増えている。第2は「化粧水の価格帯を下げたい20.7%」。コロナ禍による先行き不安から節約志向が高まっていることが背景にあると思われる。第3は「肌の清潔さ、健康を重視する27.4%」。先述のようにマスクによる肌トラブルへの対策・対応をする人が増えていると同時に、感染予防の意識から肌の清潔志向も高まっている。

3カテゴリー横断で新ニーズ対応のイハダ

3つのカテゴリーをカバーするブランド

先に見たようにWITHコロナ、WITHマスクの影響で社会は変化し、生活者の間に新たなニーズが生まれている。資生堂薬品のイハダはトラブルの原因から肌を事前に「守る(防御)」シリーズ、薬用スキンケアでトラブルが起きにくい肌に「整える(薬用ケア)」シリーズ、起きてしまった肌トラブルを速やかに「治す(治療)」シリーズと、3つのカテゴリーでWITHコロナ、WITHマスクで生まれた新たなニーズに柔軟に対応できる稀少なブランドである。

それを証明するようにイハダは20203カテゴリーすべてで業績を伸ばした(図表4)。とりわけ、感染予防意識の高まりから防御シリーズは大きく躍進。ブランド全体を牽引した。さらに薬用ケアシリーズから発売されている「薬用バーム」は2年連続アットコスメの年間No.12020年発売のシミ・そばかすを防ぐバーム「薬用クリアバーム」は発売5ヵ月でアットコスメのほか美容誌などで、ベストコスメとして9冠を達成。2種の薬用バームは単品としての圧倒的な強さを見せている。ブランドとしての好調な実績や単品の強さを背景に、2021年からイハダは3つのカテゴリー、3つのケアから自分の悩みに合わせてアイテムを選び先回りする新習慣を「肌トラブルのセルフコントロール」という表現で提案する。

マスク着用でいままでにない「肌トラブル」や感染症の不安を感じる人が多い中、イハダの持つ総合力を新たなコンセプトとして表現した「肌トラブルのセルフコントロール」は生活者の心に響き、新しい領域を開拓する大きな可能性を持っている。

防御シリーズ 予防意識の高まりでニーズ拡大

スプレー、ジェルで花粉やウイルス等からユーザーを守る。マスク着用時に使うという新習慣の効果もあり花粉防御剤市場で売上No.1の「アレルスクリーンEX(スプレータイプ)」は2020年ブランド躍進の牽引役を果たした。同年12月には手あれに配慮した「薬用消毒ハンドジェル」も発売。また、夏へと向かっていくこれからの季節、気になる紫外線から肌を守り、日焼け対策としても効果が期待できるノンケミカルの「UVスクリーン」も展開。ブランドの入口として大きな役割が期待できるカテゴリー。

薬用ケアシリーズ ベストコスメ多数受賞の2種のバーム

「薬用ローション」(化粧水2種)「薬用エマルジョン」(乳液)「薬用バーム」「薬用クリアバーム」を展開。特にスキンケアの最後に使うバームは、べたつかない使用感と高い保湿力で先述のとおり高い評価を得ている。買上点数を上げる追加の一品としては最適のアイテムだ。シリーズ全体を低刺激処方とし、抗肌あれ成分も配合。夏に向けておすすめしたいのは、さらっとしたテクスチャーに美白有効成分を配合した「薬用クリアバーム」だ。エアコンなどの夏の乾燥から肌をまもりつつシミ・そばかすも予防する。「肌トラブルのセルフコントロール」の新習慣が普及すれば、レギュラーケアのアイテムが多いだけに大きな伸びが期待できるカテゴリー。

治療シリーズ マスクによる肌トラブルにも対応

起こってしまった肌トラブルを速やかに治す。エッセンス・クリーム・軟膏など、使い心地の異なるアイテムを展開。全アイテムがノンステロイドで、乾燥トラブルから花粉期のかゆみ、マスク生活で悩みが増えつつある「マスクネ」(マスクニキビ)まで、さまざまな症状に対応。顔全体のマスクあれに対応するエッセンスタイプやマスクのフチがあたってかぶれがちな目元にも使えるアイテムが好評資生堂が長年培ってきた化粧品の乳化技術を活用し、使い心地のよさも追求している。治療効果でロイヤルユーザー育成に効果を発揮できるカテゴリー。

これからよりニーズの高まる「効く」肌トラブル対策

市場、社会環境の変化を捉え順調に成長するイハダ

スキンケア市場では、「安心安全スキンケア」のニーズが高まっている。とくに、イハダの薬用ケアシリーズが属する低価格帯(2,000円未満)商品は2016年から2019年までの4年間で年平均成長率10.3%という大きな伸びを見せている。

また、皮膚治療薬市場は4年間の年平均成長率が2.1%2019年の市場規模は831億円※1に上る有望市場である。近年では、かゆみの部位を選んで使用する商品がヒットするなど、パーソナル化、細分化が進んでいる。イハダの治療シリーズでも使用部位や目的を明確にしたアイテムを販売している。

さらに、マスク常用による肌トラブルで悩む人が増えていることから新たな需要が生まれている。これは、イハダの提案する「肌トラブルのセルフコントロール」が受け入れられやすい環境へとつながる。

こうした市場、社会環境のもとイハダの認知率は上昇、20204月時点で30.5%で皮膚治療薬平均の24.7%を上回っている※1

顧客数に関しても、2019年上期(1-6月)と2020年上期(同)の比較で、治療シリーズで17%、薬用ケアシリーズで37%、防御シリーズで46%の伸びを見せている。※2これらデータからイハダがさらなる成長をとげる土台は整っているといえる。

※1インテージSDISRI調べ

※2資生堂ジャパン調べ

※3ID-POSデータとインテージSRI-MSDI-Mから算出

イハダを効果的に陳列して、買上点数を上げる

イハダ一品プラス購買を促進新規客獲得、潜在需要を掘り起こす

最近の情勢から当面WITHコロナの時期が続くものと思われる。WITHコロナはWITHマスクの時代でもあり、先に見たようにこれにより新たな需要が生まれている。加えて感染に対する防御意識、不安も高まっている。

これらの状況から生活者がいままで使っていなかったアイテムをプラス一品で購入する可能性は大きい。イハダにより新規客を獲得し潜在需要を発掘するために、まずこの可能性を追求すべきだ。図表5にもう一品提案、クロスマーチャンダイジング(MD/多箇所陳列)の提案例をまとめた。

定番売場でブランド展開すると同時に、追加購買、新規客獲得を狙うためにはマスクやスキンケア売場でのクロスMDは必須である。そのためにイハダでは吊り下げ什器などの店頭支援を準備している。

焼肉ライク新アイデア続々投入、発想力があればコロナ禍も怖くない!

ひとり焼肉で外食界に新境地を切り開いた焼肉ライク。わずか3年で海外を含め60店舗まで拡大し、その人気ぶりが分かる。コロナ禍においても、次々に新規アイデアを繰り出し焼肉イノベーションは止まらない。

3年で急成長した焼肉ライク

2018829日に東京・新橋に1号店がオープンした「焼肉ライク」は、フードサービス業界に「アイデアの力」というものを改めて気付かせてくれた。

焼肉とは、これまでハレの日需要が色濃い業種であったが、焼肉ライクはそれを客単価1,350円というポピュラープライスに落とし込み、提供時間を3分以内に短縮化したことによって利便性が一段と増した。これまでの一般的な焼肉店で、ひとりで焼肉を食べるのとは趣が異なり、堂々と店に入ることができる。そこで、これまでひとりで焼肉店に行きたいと思いながら躊躇していた女性にその利用動機を開放した。

1号店がオープンしてから早2年半となる焼肉ライクは現在、国内50店舗(うちFC45店舗)、海外10店舗(202127日付)となっている。フードサービス業界はコロナ禍第三波によって大きな影響を被っているが、「焼肉ライク」はそれに全くひるむことなく、次々と新しい試みを展開している。その在り様を紹介しよう。

まず「環境に配慮している」ことを訴求

焼肉ライクの営業状況は2020年の年初からじわりじわりとコロナ禍の影響を受けるようになり、出店場所での違いはあるが、特に4月、5月は前年同月比で60%となった。営業は要請に従い時間短縮営業を行った。

同社代表の有村壮央(もりひさ)氏は「焼肉ライクそのものの認知度が低かった」と語り、これらを打開するために、店の間口を広げることが重要であるという方針に立ち、ここから新たな需要や顧客層を取り入れていこうと動いていった。

最初にアピールしたことは「環境に配慮している」ということ。従業員の検温と手洗いの徹底から、飛沫防止のためにアクリル板の仕切りを設定している等々、さまざま原則的な内容に加えて「客席全体の空気が2分30秒で入れ替わる」ことを随所で告知した。

そして「今こそ!!ひとり焼肉」キャンペーンとなった。「ひとりで換気の環境が整った焼肉ライクで安心して食事をしてください」ということを次々とアピールしていった。

ほぼ毎月のペースで新商品・新企画を投入

(1)526日(緊急事態宣言が解除された翌日)から、一番人気の「タン・カルビ・ハラミ」を通常価格の1,480円(税抜)から200円引きのキャンペーンを展開。「緊急事態宣言が解除されてから一番食べたい外食が焼肉」という調査会社のアンケート結果からひらめいた企画。

(2)5月から、テークアウト・デリバリーを保健所に新たに申請して、客席の一部をキッチンに変更できる店で行っている。商品はテークアウトで500円、デリバリーは800円程度。一般的に焼肉弁当は1,500円となっている中でとてもよく売れていて、平均して売上の10%を確保しているという。

(3)810日から、外出自粛やテレワークによって運動不足等による「コロナ太り」が気になる人に向けて、ご飯を外してたっぷりのチョレギサラダに変えて、これにミスジとハラミをセットにした「赤身肉とチョレギセット150g(キムチ、スープ付き)」1,150(税別)を販売。さらに、「この商品を女性一人でも焼肉を楽しんでいただきたい」という趣旨で「WoMonday(ウーマンデー)」と称し毎週月曜日に1,000円で提供。

(4)915日から、「学割ライク」を販売。これは「バラカルビセット100g&ちょいたしカレー」のメニューを「ご飯食べ放題」にして、通常価格710円のものを学生証提示によって500円(税別)で提供。

(5)10月1日から1130日まで、ご飯・キムチ・スープがおかわり自由になる「メガ盛りパウンダーセット、無限ご飯キャンペーン」1,540(税別、以下同)を行った。パウンダーとはお肉が450gということ(3001080円もある)。

(6)1123日から、「松阪牛50g」500(税別)を6万食限定で発売。これは、コロナ禍で行き場を失った和牛を焼肉ライクで販売することによって、お客様には和牛のおいしさをお得に味わっていただいて、生産者応援につなげたいと考えて行ったものだ。

(7)1214日から、「フェイクミート」を全店で販売。1023日から渋谷店で先行販売して、徐々に取り扱う店を増やす。商品は「NEXTカルビ50g」290円(税別、以下同)、「NEXTはらみ50g」310円。

「フェイクミート」とは大豆や小麦、エンドウ豆などを主原料として作った肉の代替食品のことで、主にヴィーガン(絶対菜食主義者)や健康に気遣う人が求める食べ物である。これをメニュー化したことによって、これまで焼肉ライクを利用していなかったヴィーガンや、健康を意識している人が来店している状況を見て、有村氏は「フェイクミートの市場は広がり、縮むことはない」なという手応えを感じているという。

20時営業終了に従い、朝営業を1時間前倒し

さて、1月7日より2回目となる緊急事態宣言が発出されて、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県エリアの飲食店では20時までの時短営業(酒類の提供は19時まで)を要請されている(緊急事態宣言は、その後他府県に拡大)。

(8)112日から、上記の動向に対応して、朝の営業開始時間を11時から10時に1時間前倒しして、10時から11時までの新商品として「朝焼肉セット」500(税別)の販売を一都三県の店で順次導入。「朝焼肉」の内容は、バラカルビ100ℊ、ごはん(お替りサービス)、スープ、味海苔付きで、さらに生玉子かキムチを選ぶことができる。

(9)115日から、フェイクミートのデリバリー専用の弁当を約半数の店舗で提供。「ソイ焼肉弁当」サラダ無し1080円(税込、以下同)、「ソイ焼肉サラダ」1290円など4種類と、トッピング「ソイ焼肉カルビ50g」410円というラインアップである。

10128日から、「焼肉ライクバーガー」を渋谷宇田川町店で販売(テイクアウト・デリバリー)。商品は「小盛」350円(税込、以下同)、「並盛」420円、「大盛」620円、「ザ・タワー」1,050円。反響を見ながら取扱い店舗を拡大予定。

1129日(肉の日)から、「メガハラパウンダーセット」(塩ガリバタハラミ&バラカルビ&イベリコ豚)3001,280円(税別、以下同)/4501,740円、ごはん・キムチ・スープが食べ放題。昨年10月1日から1130日開催し好評を博した「1ポンド肉×無限ごはん」をシリーズ化していく。

ざっとこのような状況である。この勢いはまだ続くことであろう。このように戦う姿勢を持ち続けることが、客数、売上を維持・向上させて、人材獲得といったサスティナブルな経営体質を強くしてことであろう。

月刊マーチャンダイジング2021年2月号紹介

月刊マーチャンダイジング2021年2月号、読みどころを編集長野間口が動画解説しています。

<コンテンツ>

【今月の視点】

「商品」が主語の売り方から

「顧客」が主語の売り方へ


[TOP INTERVIEW]

スギ薬局代表取締役社長 杉浦 克典氏に聞く

[店舗戦略リポート]
スギ薬局 「化粧品カウンセリング改革」

【特別企画】
マツモトキヨシ
V字復活への戦略検証

[デジタル戦略] 松田 崇氏インタビュー
[店舗戦略] matsukiyo LAB市川駅南口店
業績、経営戦略分析

[ストアコンパリゾンリポート]
食品スーパーに学ぶ! 色気のある売場の作り方

【特集】
チェーンストアの基礎技術 徹底攻略

商品構成グラフの作り方
商品構成グラフの実例集
「グッデイ」の価格構成グラフ

CSアワード2021

業態STUDY
現存最古のコンビニ1号店から今年で50年
セイコーマートが実証する強さと持続性
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第176回] 有田 英明
2021年3月・4月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

月刊マーチャンダイジング2021年1月号予告編

【今月の視点】

狭小商圏時代の売場レイアウトの原則 月刊MD主幹 日野眞克

[特別企画]
ローカルチェーンの逆襲

サンキュードラッグ代表取締役社長兼CEO 平野 健二氏に聞く

【特集】
withコロナ withマスク時代の
化粧品再起動計画

店舗とデジタルの融合を進める@cosme STOREの戦略
・トップインタビュー
・店舗レポート
◇メーカー戦略 資生堂
◇メーカー戦略 コーセー
◇売場実践アドバイス
◇ID-POS分析で見るカテゴリー別動向
◇編集部提言

[店舗REPORT]
ウエルシア平塚四之宮店

ラインロビングに挑戦した
ウエルシア「600坪型」最新標準店

[注目店舗CLOSE UP]
♯ワークマン女子コレットマーレ店

ワークマンが女性客主体の新業態を開発
路面店を中心に10年で400店舗体制を目指す

NEW PRODUCTS 注目の新製品
全薬工業
「P’sGUARD(ピーズガード)キッチンスプレー・除菌スプレー」

[リテールスタートアップ]
無人決済システムでスマートショッピングを
実現する「Touch To Go」

[小売業DX通信簿]〈ネット購入編〉
ネット注文・店舗受取サービスを小売業10社で徹底比較!

[TOPICS]山本漢方製薬「大麦若葉青汁」
真のマーケティングでウィズコロナ時代を勝ち抜く

業態STUDY
大手冷食メーカーと一線画すオリジナルPBが活況
コンビニの新たな主力カテゴリーに成長する予感大
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
郡司昇のリテール・フレームワーク[第10回]
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第175回]有田 英明
2021年2月・3月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

kindle版購入はこちらから

https://tinyurl.com/ydbd9zea

初期コスト90%カット「ゴーストレストラン」が変える開業プロセスと一等地の概念

コロナ禍でレストランビジネスにイノベーションが求められ、次々に新しいカタチが生まれている。客席を持たず、店のブランドのもとキッチンとデリバリーだけで営業する「ゴーストレストラン」もそのひとつだ。今回紹介する企業は、ゴーストレストランの開業と運営をITも活用しながら支援する新たな開拓者である。

ITベンチャーから銭湯経営、そしてレストランビジネスへ

 フードサービス業界はこの度のコロナ禍によって大きな変革を求められた。イートインの飲食店がテイクアウト、デリバリーにこぞって着手したことは象徴的な一例である。その実績について語る以前に、イートインの他のキャッシュポイントを見出したことは大きな成果である。

 一方、デリバリーを専門に行う事業者が存在感を増した。いわゆる「ゴーストレストラン」である。現在のゴーストレストランはおおむね以下の二つに分けられる。まず、店はキッチンのみで商品の提供はデリバリーで行う。次に、ゴーストレストランとしてのメニューレシピを保有し、それをリアル店舗に提供する、というものだ。そして、それぞれの事業者は絶妙に差別化している。

 今回はこのゴーストレストランの前者に相当する「Kitchen BASE(以下、KB)の事例を紹介する。運営しているのは株式会社SENTOEN(本社/東京都千代田区、代表/山口大介)、同社代表の山口氏は19921月生まれ。大学卒業後、ニューヨークの大学に編入。映画監督を志し、帰国後はインターンをしていたITベンチャーに入社して、アプリディレクターとして実績を積む。その後、起業して銭湯経営をはじめるが、路線変更をしてデリバリービジネスに着眼したというチャレンジングな経歴を持つ。社名の由来は、起業当時の名残である。

キッチンの集合体からデリバリーキャリアが料理を配送

 KBとは、キッチンの集合体である。キッチンのそれぞれにはシェフがいて、ブランドがあり、お客がアプリで料理を注文して、出来上がった料理をUber Eatsや出前館などのデリバリーキャリアが配送するという仕組みである。

 KBの1号店は20196月にオープン。東急東横線の線路沿いに祐天寺方向に徒歩5分、ビル2階元炉端焼店20坪の物件で、スケルトンにして一からつくり上げた。4ブースのキッチンをつくり、1カ所を自社で確保し、現在はこれらで5つのブランドが稼働している。

 中目黒を立ち上げてから半年間が経過した201912月ごろから次の拠点の検討に入り、20208月に「KB新宿神楽坂」をオープンした。独自のノウハウで数千の物件からデリバリーの拠点にふさわしいエリア、ビル1棟借りが可能な物件を割り出していき、現在の物件を見つけた。ビルは5階建てで元出版社の倉庫であった。

 ゴーストレストランの特性として、「飲食業の一等地でない場所でも営業できる」ということが挙げられるが、KB神楽坂もJR市ヶ谷駅から徒歩15分程度、神楽坂のメイン通りからは外れていてセオリー通りと言える。ただし、後述するが1号店の中目黒にしろ、この神楽坂も富裕層に類する人が多いということがポイントだ。

 筆者は昨年の1126日の12時にKB新宿神楽坂を訪ねた。1階にはUber Eatsをはじめとしたデリバリーキャリアの専用棚が設置され、正面上にある大きなモニターに次々と番号が表示されていく。それは、お客からモバイルでオーダーされた商品ができ上がったことを示している。その下ではここでのキーマンとなる女性がPCを操作しながら、続々とやって来る配送員に、オーダーを受けている商品の番号をモニターと照らし合わせて確認することをお願いしている。でき上がった料理は専用棚の保温ボックスの中に入れてある。

 食事のピークタイムだからこそ、配送員は続々とやってきて、そして整然と配送先に向かう。街並みこそは殺風景だが、これらの集合住宅やオフィスからの食事の需要は脈々としているのであろう。ちなみに、ここKB新宿神楽坂からのデリバリーの件数は1週間に約2,000件という。

お客からのオーダーはキッチンの中にあるタブレットに直接入る
各フロアで出来上がった商品をダムウエーターが1階に届ける
デリバリーキャリアの配送員は近所に待機していることから他のゴーストレストランよりも早めに届けられるのがKBの特徴

リアル店舗で開業するまでの時間とコストを圧縮

 KBの特徴は大きく二つ。

 まず「誰でも開業できる」。独立してデリバリーレストランをはじめて手掛ける人、拡大を目指す人にとってもすぐに開業できる。

 次に「低リスク」。入居者は開業・退店時のコスト、ドライバーの採用など、デリバリーレストランの開業にまつわるリスクを最低限にとどめることができる。

 入居者は契約期間を6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月以上から選ぶことができる。

入居者の初期投資は保証金などを含めて100万円程度。一般的に実店舗を構える場合に800万~1000万円かかるところが、10分の1程度で済む、ということをうたっている。

 それに対してレンタル料は実店舗を構えるよりも高い。その理由は、まず設備がフルセットであること。代表の山口氏のよると「ここでできない料理はピザかウナギのかば焼きぐらいでは」という。

 デリバリーのためにデリバリーキャリアに委託しようとしても3~4ヵ月待たされることが常だが、KBを通じてすぐに委託することができる。

 さらに、入居者それぞれの売上が伸びるように、店の画面のつくり方、料理画像のクオリティ、ポーションやプライシングなどについて、お客のクリック数、オーダー数、リピート数のデータを基にアドバイスを行う。

 一般的に、独立してリアル店舗を構える場合のスケジュール観はこうなる。

 物件を決めるまで約1ヵ月。その後、内装や設備を決めるまでに約1ヵ月。営業許可を取得して、そこからデリバリーキャリアに委託できるまで4ヵ月程度を要する。ざっと6ヵ月である。KBではこれらを1カ月に短縮することになり、リアル店舗開業と比較した場合の約5ヵ月余計にかかるコストをカットすることができる。

ゴーストレストランの一等地はクラウドに存在する

 先に、ゴーストレストランはいわゆる飲食業の一等立地に出店する必要はない、といったことを述べたが、山口氏は「ゴーストレストランの一等地が存在する」という。

 それは「3㎞圏内に10万人の居住者がいる」といった類の統計があったとして、KBが出店した神楽坂の10万人と別エリアの10万人を比較すると、デリバリーキャリアのダウンロードの数は圧倒的に神楽坂の方が多い。山口氏をはじめKBの幹部はITの出身者で、彼らが独自に開発した仕組みによって、エリアごとにダウンロードの回数を調べ上げヒートマップを作成して選考している。

 こうして絞り込まれた場所が神楽坂であった。さらに、今年3月浅草に22ブースのキッチンをオープン。中野にも200坪弱の物件を確保しており35ブースのキッチンを持つKBを計画している。また、歓楽街に近いエリアも有望だとみている。

 この度のコロナ禍によるフードサービス業界の動向について、筆者は「未来が突然やってきた」と捉えている。「立地」の概念は変わり、飲食店のリアル店舗の存在意義は問われて行く。この存在意義が認められる条件とはどのようなものかを追求していこう。

テーブルにドリンクサーバー設置。「0秒レモンサワー」で予約待ちの超人気居酒屋

生ビールなどを注ぐドリンクサーバー(タップ)をテーブルに設置して、アルコール度数8度のレモンサワーをセルフで飲み放題、料金は60分500円、という酒好き、レモンサワー好きには「夢のような」居酒屋がある。コロナ禍でも予約待ちという新基軸の業態である。

20代前半の客層にジャストミートした業態

今、テーブルにタップが付いた居酒屋が爆発的な人気を博している。タップとは「注ぎ口」のことだが、ここで人気の「タップ付き」とは、生ビール等の注ぎ口のことで、上部にある細長い金属の棒を手前に倒して生ビール等を注ぐというもの。「自分もあれをやって、好きなだけ飲んでみたい」と思ったことがある人はたくさんいるだろう。それが現実となっているのだから、爆発的な人気となるのは当然であろう。

この装置を入れている「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」(以下、ときわ亭)のことを紹介しよう。随分と長い店名だが、そこには理由があるので追って説明する。1号店は201912月横浜にオープンして、202012月で10店舗となっている。

20209月末、筆者は話題となっていたときわ亭渋谷店に開店時間の17時に訪ねたところ「予約で満席です」と言われた。「では、予約を」とお願いしたところ、予約が取れたのは10日後であった。

「0秒」とは待ち時間ゼロの意味で「0秒レモンサワー」は登録商標

訪ねた平日の17時、約60席の店内はすぐに満席となった。店名の「0秒レモンサワー」とは、注文してすぐに(=0秒で)飲むことができるという意味だ。テーブルのタップから出てくるのはアルコール度数が8度のサワーで、レモンサワーの味付けは10種類のレモンシロップから2種類選んで自分で行う。ただし、条件がある。この飲み放題は60500円で、延長する場合は30300円。席利用時間は90分だ。またこの飲み放題を注文すると480円のビール(中ジョッキ)を1杯目190円で飲むことができる。他のドリンクも豊富で、アルコールが約20品目、ソフトドリンク7品目がラインアップされている。

業種は焼肉店である。フードメニューは「名物 塩ホルモン」380円、「〝肉塊″レモン牛たん」1,490円、「ときわ亭カルビ」790円を「オススメ!!」として推していて、ロースターを使用するメニューだけでも「豚 厳選ホルモン」「牛 厳選ホルモン」「厳選牛」「豚/鶏」「山賊焼き」がある。さらに「ときわ亭本家 つけ冷麺」890円を推すなど食事メニューも豊富にあり、品目数は約90に及ぶ。

客層は、学生と思しき20代前半が大半で女子が半分以上を占めていた。アルコール度数が8度と前述したが、これは大酒飲みの筆者でもすぐに酔っ払う度数だ。だから、店内はすぐに笑い声があちらこちらから発せられた。「90分間」という時間制限がピッチを上げさせるのだろう。

振り返ると自分も学生当時、アルバイトの給料が入ると真っ先に焼肉食べ放題・ビール飲み放題の店に行ったことを思い出した。

お客のほとんどが20代前半で女性2~3人のパターンが目立つ
本家からの人気ナンバーワンメニュー「名物塩ホルモン」380円(税別)
GOSSOがオリジナルで開発した「〝肉塊″レモン牛たん」1,490円(税別)

本家仙台の店と提携し、より強い業態につくり込む

同店を展開しているのはGOSSO株式会社(本社/東京都渋谷区、代表/藤田建)。同社はこれまで首都圏、東海、関西、海外(シンガポール)でビルの空中階でカジュアルレストランや居酒屋を展開してきた。

ときわ亭はGOSSOが開発した店ではなく本家が仙台にある。GOSSOでは2~3年前よりM&Aを志して、この仙台の本家と巡り合った。結果、M&Aではなく、GOSSOは本家から食材の供給を受けて、宮城県以外で店舗展開をするという互角のパートナーシップを結んだ。

GOSSOでは本家のメニューを踏襲するほか、インスタ映えするメニューを開発し、各テーブルにサワーのタップをつけることで強いフックとした。この「0秒レモンサワー」とは登録商標なのである。だから本家の店名にこの名称をつけて長い店名になった。ちなみにGOSSOでは「0秒ハイボール」という商標も登録している。

GOSSO代表の藤田建氏は「ときわ亭の持ち味を把握するためには5回程度来店する必要がある」と語るが、「0秒レモンサワー」の楽しさが刷り込まれると、「今度はこんな食事にしよう」という具合にリピートする動機をもたらす。公式アプリ会員になってリピーターとなると幕下から関脇、大関という具合に位が上がっていき、それぞれに特典が付与される。

現状、客単価は3,000円(税込)、標準店舗は2530坪・5060席で、横浜西口店が10月度月商1,300万円、渋谷店が1,200万円、他の店舗もこれに近い売上をマークしている。

飲食FC展開の実績のある30代経営者が注目

ときわ亭はGOSSOに新しい可能性をもたらした。

まず、出店立地。同社のこれまでの店舗は空中であることが多く、お客も予約して来店するパターンが多かった。さらに、クローズドキッチンで従業員にとって顧客接点が少なかった。一方、この業態は地下1階ないし2階の業態なのでファサードをつくることができる。そこでフリーのお客がどんどんやって来る。オープンキッチンにしていることで、このようなお客から自分たちがどのように評価されているかが分かりやすく伝わる。

藤田氏はこう語る。

「当社のミッションは『人生に潤いを!ハピネス&スマイル創造カンパニー』、ビジョンは『世界1のサービスをつくる、成長し続ける未来創造ベンチャーになる!』というものです。『ときわ亭』を展開するようになってから、これらを体現できるようになった」

さらに、「0秒レモンサワー」という顧客満足度の高い装置を持つことができたことによって、新たな業態づくりの可能性は広がっている。

メニューから焼肉を外して、「B級グルメ酒場」といったスタンスでフードメニューに餃子、唐揚げ、たこ焼き、焼きそばなどをラインアップし、これらのテークアウトも想定している。これらの店舗は5~10坪といった小箱店を想定している。この場合は、軽装備で済み、少人数での運営が可能だ。実際に横浜・野毛に「0秒レモンサワー」の6坪の店舗を出店しているが、現状月商210万円程度を売り上げている。

「0秒レモンサワー」を搭載したときわ亭の繁盛ぶりは、たちまちにして飲食業界人に知れ渡った。藤田氏は「2024年度までに100店舗、チェーン売上100億円と想定している」と語るが、それはFC加盟希望者が続々と訪問していることが背景にある。

既存のFCオーナーや加盟希望者は既に3~5店舗の飲食店を展開している30代で、コロナ禍での支援給付金を受給している経営者、というパターンが多い。藤田氏は「既存店のエリアで同じブランドを展開すると競合してしまう。では、焼肉か焼鳥か専門店を手掛けてみたいが、専門店を開発することは簡単なことではないので、加盟店になった方が早く出店できると考えている人」とFCオーナー像をまとめてくれた。

コロナ禍にあって事業を拡大する展望が拓かれているが、付け焼刃でつくった業態ではなく、これまでの2~3年間で周到に準備していたことが今開花していると言えるだろう。

月刊マーチャンダイジング2020年12月号のご案内

特集は、恒例、ドラッグストア顧客満足度調査。約40項目の切り口で上場14社を含む、有力ドラッグ37社、500店舗を徹底調査。ますます競争激化するドラッグストアの店舗運営状況を覆面調査により評価して企業、店舗ランキングも掲載。店舗改善のヒントに、業界水準の把握に欠かせない記事です。

<目次>

【今月の視点】

ラインロビングへの貪欲さがドラッグストアの強さである 月刊MD主幹 日野眞克

[トップインタビュー]
ツルハHD 代表取締役社長 鶴羽 順氏
ユニ・チャーム株式会社 代表取締役社長 高原 豪久

 

[企業研究]

ツルハドラッグ札幌南6条店

【特集】
顧客満足度調査2020

コロナ禍の影響を受け、清潔・衛生感覚は敏感に
「ディスタンス時代」接客願望も無意識的に高まっている

[デジタル戦略]
開発不要でネットスーパーアプリ立ち上げ、
小売業のDXを推進する「Stailer」

[小売業DX通信簿]〈アプリ編〉
各社ツールから見る、小売業デジタルシフトの実態

企業理念
ユニ・チャーム「過去を踏まえた未来戦略」

注目の戦略
サントリー酒類
「角瓶(角ハイボール缶)、トリスクラシック(トリスハイボール缶)」

[実務企画]
年末酒売場チェックリスト

業態STUDY
Withコロナで変化するコンビニ商品政策と
IT活用により実験が加速する外部との連携

〈連載〉
郡司昇のリテール・フレームワーク[第9回]
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第174回] 有田 英明
2021年1月・2月「 販促企画と提案ポイント」

電子版はkindleからもご購入頂けます。

コロナ禍でシナジー発揮する、お肉屋さんと一人焼き肉店の複合業態

気軽に入れて、リーズナブルな料金で定食や単品を楽しめる「一人焼肉」の人気が高まっている。このトレンドに乗って大阪府東大阪市に一人焼肉の店と食肉小売店(お肉屋さん)の複合店舗が誕生。共同で出店することで様々な相乗効果が得られ、業界が注目し始めている。

焼肉ライクが開拓した「一人焼肉」の可能性

「一人焼肉」「焼肉のファストフード」をうたった「焼肉ライク」がオープンしたのは20188月のこと。この言葉通り、1人に1つのロースターと料理がオーダー(タッチパネル)してから3分以内に提供されるこの店は実に画期的な業態であった。そして「女性が気軽に入ることができる」ということも加わり、従来の焼肉店に比べて客層が飛躍的に広がることを予見させた。その通り、同店は好調に展開して現在は約50店舗の陣容となっている。

「牛角」創業者が発案。1人焼肉「焼肉ライク」早くも大ブレークの予兆

その後、類似業態は散見されるようになっているが、「焼肉ライク」のようにチェーン展開しているところは見られていない。

このようなトレンドの中で、ポテンシャルの高さを感じさせる一人焼肉が2020年915日、大阪府東大阪市内にオープンしたので早速食べに行ってみた。

地域に根付いていた食肉小売店を復活させる

立地は近鉄若江岩田駅近くの高架下。大阪の中心地であるミナミまで電車で20分の距離にあり、この一帯には大きな集合住宅が立ち並んでいる。一人焼肉の店名は「お肉屋さんのひとり焼肉」(以下、ひとり焼肉)、店名が「お肉屋さんの」と但し書きのようになっているが、この店は「ダイリキ焼肉市場・お肉屋さんのひとり焼肉」と隣り合って出店している。要するに、食肉小売店と焼肉店が一つ屋根の下にあるということだ。実に分かりやすいストーリー性である。

同店を経営するのは大阪に本拠を置く食肉小売業のダイリキで、食肉小売店を主に食品スーパーや商業施設の中で56店舗展開している。(2020年1031日現在)

同社は株式会社1&Dホールディングス(本社/大阪市西区、代表/高橋淳)のグループでグループ会社には外食企業のワン・ダイニングが存在している。同社はテーブルバイキングの店舗を128店舗展開しており(11月1日現在)、メインの業態である「ワンカルビ」(89店)は関西・九州・関東のロードサイドで大ヒットを飛ばしている。

同店が出店することになったきっかけは、ダイリキが営業をしていたスーパーマーケットのイズミヤ若江岩田店が閉鎖することになったこと。ダイリキの店舗は地元のお客から長く重宝されていて、また長く勤務していた従業員が多くいたことから同じ若江岩田の街にダイリキを復活させることを検討していた。

その過程で、近鉄が若江岩田駅近くの高架下を商業施設として開発するという情報を得て出店を決定した。

この物件は食肉小売店単独の営業では訴求力が弱いと考えたダイリキでは、焼肉店を併設するためにワン・ダイニングに協力を仰いだ。こうして食肉小売店の「ダイリキ焼肉市場」(19坪)と焼肉店の「お肉屋さんのひとり焼肉」(2019席)が隣り合う店ができ上がった。

焼肉店から食肉売場を見たところ。焼肉店で提供している肉も販売している

食肉小売店と焼肉店の両方にメリット

ダイリキにとって焼肉店を営業することは大きなメリットがあった。それは、飲食業の「接客」のノウハウが身に付くこと。これによって、「3分間」と言われる食肉小売業の接客が豊かなものになっていく。

さらに、これまでは量販店からオファーがない限り出店のチャンスがほとんどなかったものが、この食肉小売店と焼肉イートインの複合型ミートショップという新たな業態を開発したことで、計画的に出店できるようになった。

一方のワン・ダイニングにとっても今回のダイリキの業態開発に参画することによって大きなメリットがあった。

同社では、コロナ禍で約3週間休業。緊急事態宣言が開けた57日から、焼肉やしゃぶしゃぶメニューをキットにした商品のテイクアウトを開始した。また、営業時間が20時までに制限されていた間はランチタイムの営業をスタートし、食べ放題コースや定食メニューの提供を行った。特に大阪では同社のメインブランド「ワンカルビ」の熱烈なファンが多く、営業再開は大いに歓迎され、これが同社に早期の業績回復をもたらした。

ここで提供された定食メニューは、当時ダイリキが開発を進めていた「ひとり焼肉」のメニューを試験導入したものだった。ワン・ダイニングにとっては、ランチタイムに売上をつくることができるメニューとなり、ダイリキにとっては「ひとり焼肉」をオープンするまで、ワン・ダイニングでテストマーケティングを行うことができた。

コロナ禍に対応して安全・安心対策を徹底した業態をつくり上げた。まず、非接触式サーモマネージャーによるお客の検温実施、一人1台の無煙ロースター(電気コンロ使用)の換気システムで3分ごとに空気の入れ替えを実施、大きなパーテーションで区切られた一人空間、QRコードで読み込んだメニューでモバイルオーダー(対人のオーダーも可能)、セルフレジで支払いという具合に、非接触の要素をふんだんに取り入れた。

水はセルフオーダー、ロースターはガスが使用できないために電気コンロを採用
お客が食事を終えて退席すると、清掃や除菌の作業を丁寧に行う

スモールポーションの単品メニューが「楽しさ」を広げる

メニューは定食が12種類、単品では20種類。強く押し出しているのは「上ハラミ&ダイリキカルビ&牛タン定食」120880円、150980円、2001180円(税別、以下同)である。価格的には「カルビ定食」150590円が最も目を引く。この他、ホルモンを加えたものなどでメニューのバラエティを組み立てている。

注目されるのは単品メニューが持つ可能性である。ホルモンが上ミノ380円、牛タン280円の他10品が198円、肉は和牛カルビ680円、和牛モモ580円、上ロース・上ハラミ480円、ダイリキカルビ380円となっていて、この組み合わせで好みの定食を組み立てられることに加えて、これらをつまみにアルコール(生ビール450円、ハイボール390円、レモンチューハイ390円)を楽しむことができる。

肉のストックやカットの作業場は併設する精肉小売店と共有しており、肉のプロが運営している。

営業時間は11時~21時。日中は周辺住宅街の主婦や中高年の人々、夜の時間帯は学生や社会人など、地元の老若男女がしっかりとリピーターとなっている

2号店はイトーヨーカドー アリオ八尾店の食品売場に、この若江岩田駅前店と同じように「食肉小売店」と「焼肉イートイン」が併設する形で1211日にオープンする。ダイリキがつくり上げたこの業態は、若江岩田駅前店の好調であることから高く評価されている。ちなみに同じ売場にはすし店を併設した鮮魚売場もできるという。

早速、食品売場のリニューアルを目論むスーパーマーケットからのオファーを受けるようになっているが、ダイリキとしては若江岩田でつくり上げたパターンを崩さず、また急ぐことなく展開をしていく意向だ。

同店で一番推している「上ハラミ&ダイリキカルビ&牛タン定食」120g880円、150g980円、200g1,180円、

月刊MD11月号 WITHコロナ時代の勝ち組企業研究、発売中 & 無料ウェビナー案内

2020年11月号の特集では、コロナ期により高い成長を見せている、ドラッグストアのゲンキー(本社福井県坂井市)と食品スーパーのオーケー(本社神奈川県横浜市)の2社を徹底分析。これからのドラッグストアの方向性、小売業の成長に何が重要かを紹介しています。

11月6日(金)14:00〜 無料ウェビナー 詳細、お申し込み

月刊マーチャンダイジング2020年11月号 目次


【今月の視点】
人口減少の「過疎地」出店は
ブルーオーシャンの立地戦略!?
月刊MD主幹 日野 眞克

【特集】
withコロナ時代の勝ち組企業研究

ゲンキー&オーケー
標準化、ローコストオペレーションへの飽くなき挑戦

Part1 ゲンキー研究
Part2 オーケー研究
オーケー、コスモス薬品、ライフ
グロサリー商品構成調査

[トップインタビュー]
ウエルシアHD 代表取締役社長 松本 忠久氏
アース製薬 代表取締役社長 川端 克宜氏

[注目店舗Close Up]
ウエルシア坂戸若葉駅東口店

[実務企画]
接客の未来b8ta

注目の新商品
第一三共ヘルスケア
「ミノン アミイノモイスト 敏感肌・エイジングケアライン」

注目のカテゴリー
大塚製薬「ウル・オス」

注目の商品戦略
アース製薬「入浴剤市場活性化策」

[注目の新業態]
C’z PRO

業態STUDY
コロナ禍がコンビニの健康志向を後押し
最小商圏で新たな客層にアプローチする

〈連載〉
郡司昇のリテール・フレームワーク[第8回]
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第173回]有田 英明
2020年12月・2021年1月「販促企画と提案ポイント」
編集後記