月刊MD6月号ご紹介 マツキヨ新社長大いに語る!これからの戦略

月刊マーチャンダイジング2021年6月号では、特別インタビューとしてマツモトキヨシ新社長、松本貴志氏にインタビュー。10月から同社と経営統合するココカラファインの塚本厚志社長にもインタビュー、それぞれの記事から、新会社の戦略を読み解きましょう。その他、読みどころたくさん!編集長野間口が動画で紹介しています。

CONTENTS

<今月の視点>

地域の顧客に長期的に寄り添う 正直な商売を継続しよう

[特別インタビュー]
マツモトキヨシ新社長に聞く

株式会社マツモトキヨシ代表取締役社長 松本 貴志氏

 

[ココカラファインの経営戦略]
・ココカラファイン代表取締役社長 塚本 厚志氏に聞く
・フタツカ薬局グループ代表取締役社長 二塚 安子氏に聞く

 

[新店リポート]
・ファミリーマートの無人決済システム店舗第1号店
・ファミマ!サピアタワー/S店

 

【特集】
ラクチン家事提案で日用雑貨売場の支持率アップ

・カインズ「楽カジ」に学ぶ
・キッチン・洗濯・掃除 ラクチン家事提案の傾向と対策
・ラクチン家事雑貨「売場と商品」トピックス

 

[実務企画]
ドラッグストアの基本戦略
「カウンセリング」を磨く

大人用おむつのカウンセリング(ユニ・チャーム)
ドラッグストア 化粧品カウンセリング調査
タブレットを使ったカウンセリング

 

NEW PRODUCTS 注目の新商品
アース製薬「アース製薬 虫よけ剤『サラテクト』を全面リニューアル新発売!」

 

業態STUDY
移動自粛でヘコんだ客数を取り戻せるのか?
コンビニ大手3チェーンの総括と施策
流通ジャーナリスト(月刊コンビニ編集委員)梅澤 聡

 

今月の「現場あるある調査隊」②
お客さまからの質問、クレームを宝の山に変えよう!

 

【連載】
郡司昇のリテール・ニューフレームワーク[第13回]
利益改善の王道「ロス・プリベンション」のすすめ[第1回]
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第180回] 有田 英明
流通データ
2021年7月・8月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

横浜駅西口の横丁に人気7店が集結。飲食店版「アベンジャーズ」大成功!

2021年3月20日横浜駅西口の繁華街の中に「横浜西口一番街」という“横丁”がオープンした。ここには主に横浜エリアで飲食店を展開している7社が出店、鮮魚、小皿料理、もつ煮込み、焼売、韓国屋台料理といった大衆的な専門店で構成されている。どの店も地元の人によく知られた人気店で、これらが集まることによって集客力を著しく高めている。

物件の広さを見て「横丁化」がひらめく

同店をプロデュースし、現在統括を担当しているのはここにも出店している㈱奴ダイニング(本社/東京都中央区、代表/松本丈志)である。このプロジェクトが立ち上がったきっかけは、2020年5月に同社代表の松本氏に現在の物件の持ち主より出店のオファーがあったこと。

物件の規模は70坪、6年間の定期借家契約であったことから松本氏は当初パートナーと一緒に運営することを想定していたが、実際に物件の広さを目の前にして「横丁にしよう」とひらめいた。モデルとしたのは同社が参画して2018年2月にオープンした「野毛一番街」(後述)である。

そこで、松本氏は飲食店経営者の知人に出店を打診。結果6社から賛同を得て、同社を加えて7社によるユニークな横丁が誕生した。

席が詰め込まれても開放感がある理由

「横浜西口一番街」の中に入って真っ先に感じることは、客席が詰め込まれているということだ。実際の店舗規模は「70261席」であり、「1坪あたり3.7席」となる。ロイヤルホストやデニーズといったファミリーレストランは「1坪あたり1席」、つぼ八、庄やといった大衆居酒屋は「1坪あたり2席」というパターンを念頭に置くと、客席の状況を推し量ることができるであろう。

しかしながら、ここには開放感がある。客席が詰め込まれているのになぜ開放感があるのか。それはまず、店舗ごとの間仕切りはあるが視界に入らない高さになっていること。さらに個性的なバラバラの店舗デザインが一つの空間に凝集されていることが挙げられる。そのポイントは後述する施工の段階で詳しく述べる。

コロナ禍の営業時間短縮の要請に従って21時までの営業としているが、取材をした4月上旬現在、平日で120万円、土日祝では180万円を売り上げている。土日祝には1日700人が来店していることになる。前出の松本氏は、事業計画書に月商4,000万円と記したというが、それを上回る勢いで推移している。

さて、ここの物件を見て松本氏がひらめいたという「野毛一番街」とはJR桜木町近くにある大衆的な酒場が集まる大きな飲食店街「野毛」の中にある。

同店をプロデュースしたのは横浜の飲食企業㈱First Drop代表の平尾謙太郎氏。コンビニが撤退した路面45坪の物件で6店舗182席という複数業態の集合体をつくり上げた。ここの客席効率は「横浜西口一番街」の1坪あたり3.7席を上回る「4.0席」である。

それぞれの業態は、串焼きビストロ、肉バル、炭火焼き鳥、串揚げ×カレーうどん、魚と酒、韓国屋台居酒屋で、客単価は1,500円~2,300円と大衆業態で構成された。オープンして間もなく1日500人が来店するという盛況を博し、コロナ禍前には月間で2,800万円を売っていた。

松本氏にとって、ここで経験したことが「1社だけでは醸し出すことができない強烈なパワーが放出された」と記憶に刻まれていた。

そこで、松本氏は早速平尾氏に「横浜西口の物件を『野毛一番街』を参考にした店にしたい」と構想を披露し、出店も了承していただいた。こうして、個性的な7社の店舗が一つの空間に揃うことになった(各店舗の概要は巻末で紹介)。

詰め込んだ店内の中に個性的なデザインが凝集されている
張り出したテラス席によって店内の賑わいと楽しさをアピールしている

施工業者が複数入りバラバラな空間ができ上がった

「横丁」は統一感がなく雑多な個性が集まっていることが魅力である。そこで松本氏は設計施工の進め方に工夫を凝らした。

まず、全体のデザインとA工事、B工事は奴ダイニングが担当。出店する会社が担当したのはC工事のみである。これで出店する会社の出店コストは1社で新規出店する場合と比べて抑えることができた。

次に、A工事、B工事の施工業者は2社、C工事には4社が入った。これらの工程を調整することは容易ではないが、松本氏はこれらの業者すべてと交流があることからスムーズに進めることができた。また、複数の施工業者が内装工事を行うことによって、内装のテーストが統一されておらずバラバラな集合体ができ上がった。

工事の内容をざっくりと言うと、まず、物件の持ち主からスケルトンの状態で受け取った奴ダイニングは、A工事、B工事において、間口の改造、電気、水道、エアコン、トイレ、テラス、共有部の床を整えた。C工事では各出店者と造作に関する一定の規定を共有して、出店社それぞれが思い通りの造作を行なった。全体の工事費用は約12,000万円となった。

出店している店舗の客単価は2,0003,000円に収まっている。既存店舗は高級店であってもこのプロジェクトに合わせて大衆的な新業態を開発した事例もある。

コロナ禍の中で新規出店したこともあり、オープンに際して「withコロナの先駆けとなる横丁」をうたっている。そのポイントは「横丁の抜け目ない4つの感染症対策」である。内容は、①検温・消毒の実施、②十分な換気、③マスクの着用、④光触媒のコーティングである。④の光触媒は抗菌だけではなく、消臭、防藻・防カビ、有害物質の分解・除去に効果があり、コロナ禍で注目をされるようになった。

「圧倒的な集客力の創出」「出店コストを抑える」「安全・安心な店内環境」という具合に「横浜西口一番街」は飲食業の展開の在り方に新しい要素を創出している。

ロゴや提灯などのブランディングはお馴染みのものがそのまま掲出されている
店舗ごとの敷居を低くしていることと店舗デザインがバラバラになっていることで開放感がある
テイクアウトを積極的にアピールしている店もあり売り方の多様性が広がっている

「横浜西口一番街」に出店している店舗名、(坪数・席数)、会社名は以下の通り(店名の五十音順)。カギカッコの中の太い文字はキャッチフレーズ。

韓兵衛(かんべえ)(10坪・38席)㈱YOSHITSUNE

「気軽に韓国屋台料理を楽しめる」。キムチ、ナムルにはじまり、ビビンバ、サムギョプサルなど本格的な韓国料理を、韓国の家の庭先で食べるようなイメージ。

魚と酒 はなたれ7坪・35席)㈱First Drop

「こだわりの魚と酒」。横浜中央市場に買参権を持つ。また、三崎半島佐島漁港でその日獲れたての「湘南朝生しらす」をはじめとした市場に出荷前の朝どり魚を仕入れる。

焼売酒場 しげ吉10坪・32席)㈱シゲキッチン

「おいしいものを通じて人同士が仲良くなれる場」。横浜界隈で焼肉店「食彩和牛 しげ吉」を展開する企業の新業態でA5メス和牛を使用した焼売専門店。蒸し、揚げ、炙りで提供。

野毛焼きそばセンター まるき10坪・32席)㈱Omnibus

「記憶に残る絶品焼きそば」。東京・浅草「開花楼」特注の麺×オリジナルソース。横浜・野毛の本店は「横浜で食べ歩き料理5選」に選出されている。メキシコ料理もある。

BEEF KITCHEN STAND10坪・47席)㈱奴ダイニング

「ステーキや肉料理でお酒が飲める大衆居酒屋」。「名物ビフテキ50290円(税込319円)をはじめとしてスモールポーションのフードメニューのバラエティが豊富。

もつしげ(9坪・32席)㈱ニュールック

「横浜西口一番街にふさわしいもつしげ」。横浜・野毛が発祥のブランドで、毎朝仕入れる鮮度が際立つモツを串焼き、名物の「塩もつ煮込み」などで提供する。

もつ煮込み専門店 沼田14坪・45席)㈲珈琲新鮮館

「日本で唯一のもつ煮込み専門店」。味噌、醤油、塩、カレーなど、常時5~6種類のもつ煮込みを揃える。味ごとに素材を変えている。モツを使用したバラエティが豊富。

設備投資、ノウハウ一切不要。「居酒屋のランチラーメン」請負企業

日本人にとって国民的な料理ともいえるラーメン。人気店には行列ができ、有名店になれば、コンビニや大手食品メーカーとのコラボでインスタントになることもある。しかし、味が認められ、客が付くまでには厳しい修行と実践の積み重ねが必要で夢破れ途中退場する店も多い。そんなラーメンを居酒屋の人気ランチメニューするためのノウハウとサポート体制をもった企業が今注目されている。

フランチャイズを表に出さない「ステルスFC」で成功

飲食業はコロナ禍で時短営業が求められ、それによって営業時間を前倒しする傾向が見られている。特に夜営業が主体となる居酒屋では、これまでクローズしていたランチタイムを活用するようになった。テイクアウトもそのひとつだが、ここでは「ランチラーメン」の取組みを紹介したい。これは、居酒屋がランチタイム限定でラーメンを販売している動向である。

この立役者となっている会社は株式会社テイクユー(本社/東京都新橋、代表/大澤武)。同社は東京都内にラーメン店15店舗、居酒屋5店舗を展開しているほか、「ステルスFC」によって全国に約100店舗のラーメン店を展開している。ステルスFCとは、決められた屋号ではなくオーナーが自由に店名を決めることができ、原材料の仕入れを本部から行うといった仕組みのFCである。

同社ではこのコロナ禍で、ランチタイムを有効活用するためのランチラーメンをプロデュースする依頼が増えるようになり、これまで十数店舗の実績をつくった。

「設備投資不要」「職人不要」の仕組みをつくる

テイクユーがラーメン店を手掛けたのは20127月のこと。「鶏白湯」から始まり、「煮干し」が加わり、昨年の3月に「貝出汁」の直営店を出店した。また、ステルスFCが増えてきたことから、それぞれとスープがバッティングしないように、「担々麺」「二郎系」「濃厚豚骨」「博多豚骨」という具合にスープのレシピをストックするようになった。

同社がランチラーメンのプロデュースを初めて手掛けたのは5年程前、ランチ営業をしたいという居酒屋から相談を受けたことがきっかけであった。条件は「設備投資がない」こと。

これを機に居酒屋がランチラーメンを導入するための障壁を取り払っていった。

その障壁とは、①設備投資が必要(茹で麺機など)、②スープを仕込みたくない(設備、レシピ、労力など)、③調理・販売ノウハウを持っていない、④ラーメン専門店に勝つ自信がない――このように、ランチラーメンに魅力を感じているが、失敗するリスクが心配だということだ。

同社ではステルスFCを展開するために、ラーメン専門のメーカーに、ラーメンの麺、スープ、かえし、油のスペックをオーダーして、メーカーがこれらを一括して加盟先にデリバリーを行っている。店舗ではラーメン職人が不在だが、メーカーではスープを大量につくるラーメン職人が存在する。そこで、ランチラーメンを導入する店舗は基本的にはコンロが2台あれば十分という。

このようなソリューションによって、ランチラーメンは「提供時間が短い」「回転率が速い」「老若男女とターゲットが広い」「客単価が950円前後と比較的に高い」というメリットをもたらした。

居酒屋がランチラーメンを手掛けるためのポイントについて大澤氏はこう語る。

「本来の居酒屋営業とのストーリー性が重要です。鮮魚の居酒屋を営んでいるところが担々麺を売っても売れません。当社が新しく考えた貝出汁がふさわしい。これは本来の営業と『魚介類』ということで一貫性があります。担々麺を出すのであれば、小籠包の店がふさわしい。大衆食堂には煮干しラーメンが向いています」

以下に、同社のランチラーメンの仕組みを導入した事例を二つ紹介しよう。

立ち飲み居酒屋がランチラーメンと二毛作営業

東西線・神楽坂駅から徒歩2分、出版社の新潮社ビルの斜め向かいにある立ち飲み居酒屋「魚匠」では1月5日からテイクユーのランチラーメンを導入している。導入前までは16時から22時営業としていたが、1月5日からは1145分から14時までランチラーメンを営業、16時から22時まで立ち飲み営業となり、その後、時短営業要請に従っている。

同店は20207月にオープン。10坪強、立ち飲みは最大で25人収容。経営者の長谷川勉氏はかねがねランチラーメンを導入したいと考えていたところ、12月にテイクユー代表の大澤武氏と知り合い、意気投合し、ラーメンの食材すべてをワンストップで供給するテイクユーに依頼した。

長谷川氏はテイクユーの商品をいろいろと試食した結果、スープは貝出汁、麺は平打ち麺とした。料理長と研究を重ね、かえしとチャーシューの一部は同店でつくるようにしてオリジナルな貝出汁ラーメンをつくり上げた。

ランチラーメンの告知は現状SNSのみで1日20食以上(客単価950円)を販売している。一人で来店する女性客も定着してきていて、これからは二毛作を定番化していくという。

東京・神楽坂でランチラーメンを導入している立ち飲み居酒屋の「魚匠」。ランチラーメン営業時には専用の暖簾を掛けている
「魚匠」の「特製醤油らぁめん」と味変の柚子胡椒、「貝だし炊き込みご飯」
「魚匠」のランチラーメンのメニュー構成。テイクユーの貝出汁ラーメンの内容を踏襲している。

飲食店街の4店舗のうち1店舗をラーメン店に転換

有限会社珈琲新鮮館(本社/神奈川県相模原市、代表/沼田慎一郎)では、東京の飲食店街である新宿三丁目に居酒屋を4店舗擁しているが、そのうちの1店舗をテイクユーのラーメンプロデュースによってラーメン店に業態転換した。こちらはランチラーメンではなく、全時間帯でラーメン店を営んでいる。

同社の新宿三丁目の旗艦店は「もつ煮込み専門店 沼田」。その隣に2017年に6.5坪、9席の物件を取得して「もつ煮込み専門店沼田 はなれ」(以下、はなれ)として営業してきた。

コロナ禍の1回目の緊急事態宣言では新宿三丁目はゴーストタウンとなり、その後少しずつ顧客の数は回復してきたもののコロナ第三波で再び町は沈むようになった。

同社では本拠地となる神奈川・相模原地区にカフェや食事中心の店舗を展開していて、これらはコロナ禍による売上の落ち込みが一様に軽微で、中でもラーメン店の「麵屋沼田」では平常時の売上に対し8割、9割で推移していた。

18日から二回目の緊急事態宣言が発出され、新宿三丁目の4店舗の居酒屋は時短営業要請に従った。そこで、新宿三丁目の4店舗のうちラーメン店営業に向いている「はなれ」を「貝出汁中華そば 貝香屋」(かいかや)という店名に切り替え、看板も新しくつくり、116日よりラーメン店の営業を開始した。商品は「醤油そば」(850円、税込以下同)、「塩そば」(850 円)、「味噌そば」(900円)、「辛味噌そば」(950円)、「まぜそば」(850円)など。同社ではラーメン店を擁していることから従業員はジョブローテーションでラーメンのオペレーションを経験しており、居酒屋からの転換はスムーズに行われた。

こうして前述の営業体制で日商10万円を超えたこともあり、現在も7万円を下回ることなく営業を継続している。

東京・新宿三丁目の「もつ煮込み専門店沼田 はなれ」では「貝香屋」というラーメン専門店に転換した
「貝香屋」ではラーメンメニューの看板を設けてラーメン専門店として定着している
「貝香屋」の「塩そば」850円。こちらで原価率30%を保っている

さて現在、テイクユーでは居酒屋からのランチラーメンの相談案件が増えて来ていているという。コロナ禍は飲食業界に「テイクアウト」「デリバリー」「ゴーストレストラン」という新しいキャッシュポイントをもたらしているが、ランチラーメンもこれらと同様の可能性を生み出している。

ランチラーメンをプロデュースしているテイクユーが昨年3月に貝出汁ラーメンの直営店を出店し、同社のスープのバラエティを広げた

ついで買いから本命買い売場へ!「ドラッグストア食品部門大研究」月刊MD 2021年4月号の見どころ紹介

月刊マーチャンダイジング 2021年4月号を編集長野間口が動画解説しています。特集はドラッグストアの食品部門大研究。小商圏でますます重要度が増す食品部門の現状、目指すべき売場を徹底解説。その他のコンテンツも読み応えあります。是非ご購読を!!

 

【今月の視点】

withコロナで、「プロモ主義」から「定番主義」に大きく転換する(主幹 日野 眞克)

キーマンインタビュー
日本チェーンドラッグストア協会副会長 榊原 栄一氏に聞く

【特集】
DgS食品部門研究2021

コスモス薬品食品売場研究
DgS各社企業分析
DgS各社店舗企業分析
部門別売り方のポイント
[提言]

トップインタビュー
ビー・アンド・ディー 代表取締役社長 上條 明子氏に聞く

【特別企画】
お客に失敗させない除菌剤売場

除菌剤の基礎知識
情報発信、棚割例
ID-POSデータによる売れ筋商品分析
店舗調査、棚割分析

CATEGORY STRATEGY 注目のカテゴリー育成計画
大塚製薬「男性用シャンプー・ボディソープ」

CATEGORY PLAN 注目のカテゴリー戦略
アース製薬「モンダミンシリーズ新商品」

[店舗リポート]
B&D「長久手東浦店」「牧の原店」「志賀公園店」

業態STUDY
コンビニ全店売上高が初の前年割れを起こすも
コロナ禍を奇貨として成長のチャンスに変える
流通ジャーナリスト(月刊コンビニ編集委員) 梅澤 聡

〈連載〉
郡司昇のリテール・ニューフレームワーク[第11回]
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第178回]有田 英明
流通データ
編集後記

スリランカと日本、夢の架け橋を目指した「スパイスカレー食堂」元気に営業中!

コロナ禍は人の往来、出会いを阻んでいる。そんな中、2018年からスリランカ人の勤勉さと優秀さに注目し、日本と彼の国とを頻繁に往来し、スリランカ人の雇用で発展を目指す飲食店がある。厳しい時代ではあるが、花開く日を目指して、夢の国際交流のつぼみは確実にふくらみつつある。

味変無限大、本場スリランカのスパイスカレー

主として神奈川・相模原と東京・新宿三丁目エリアに営業拠点を構える有限会社珈琲新鮮館(本社/神奈川県相模原市、代表/沼田慎一郎)では2021年211日、東京・四谷にスリランカカレー専門店の「スパイスカレー食堂」をオープンした。このカレーは、小麦を一切使用せず、脂もほとんど使用していなく、また8種類のスパイス(ブラックペッパー、コリアンダー、カイエンペッパー、クミン、シナモン、ターメリック、クローブ、カルダモン)など現地のスパイスを使用していることから、従来のカレーとは一線を画した特徴があり、またグルテンフリーであることからも目的来店の可能性が広がる。

コメは香り高いタイ産のジャスミンライスを使用。8種類のソースや付け合わせを分けて盛り付けていて、カレーが運ばれてくると従業員が食べ方を説明してくれるのだが、最初は1種類ずつを味わってみて、次に他のソースや付け合わせを混ぜてみて、最後にはソース、つけ合わせ、ライスを全て混ぜて食べる、という食べ方をする。混ぜ方によって、またテーブルの上に置かれた「香高い追いスパイス」と「追い辛スパイス」をお好みで加えることによって、顧客は〝無限の味変″を楽しむことができる。

店舗は6.5坪で7席、1100食限定で提供しているが、連日売切れの状態となっている。このような売り方をしている理由は、同店を開発した副社長の佐々木証氏によると「これ以上売ると、われわれが目指す営業スタイルが崩れて、クオリティが下がるから」という。

ジャスミンライス、人参サンボール、三つ葉サンボール、パリップ豆カレー、豆腐のカシミールカレー(他に、チキン、ポーク、フィッシュがあり)、ジャガイモとインゲンのカレー、紫キャベツのピクルス、パパダム(豆のせんべい)と8種類を混ぜ合わせて食べる。

スリランカ人を社員に採用して以来つながりができる

同店が誕生したきっかけは2018年当時の「従業員不足」であった。外国人留学生を雇用していたが、彼らはみな優秀であったことから外国人の社員採用を検討するようになった。そして二人のスリランカ人を採用。この二人が優秀なことから、佐々木氏はスリランカ現地の家族を訪問するなどスリランカの人々との交流を深めた。

佐々木氏はスリランカ人の社員から、「スリランカに日本で働きたい人がたくさんいる。その願いをかなえることができませんか」と相談を受けた。そこで「有料職業紹介事業」と「特定技能登録支援機関」のライセンスを取得すると、このような人たちのサポートができるのではと考えるようになった。

このような態勢をつくり上げるためには、受入れ機関となる同社と送り出し機関となるスリランカ側と契約を結ぶ必要があった。ここにスリランカ人の社員の緒里美那月(おりみなつき/日本名)氏がそのルートをつくる水先案内人となった。2020年2月、佐々木氏はスリランカを訪ねてその活動を行った。この時の現地での食体験がスパイスカレー食堂のヒントをもたらした。佐々木氏はこう語る。

「スリランカでは朝昼晩とカレーを食べます。すると日を経るごとに体が軽くなり、体の力がよみがえってきました。そこでスリランカカレーを日本で展開したいと考えるようになりました」

20204月に入り、コロナ禍の日本では緊急事態宣言となり同社の拠点の一つである新宿三丁目は閑散となったが、同社ではスパイスカレーの試食を重ねていた。この過程で、「本場スリランカのカレー専門店ではなく、日本のスパイスカレー食堂をつくろう」と考えるようになった。こうして現在のタイ産のジャスミンライスを使用したスパイスカレーができ上がっていった。

同社では外国人雇用のための有料職業紹介事業と特定技能登録支援機関のライセンスを3月に取得、5月から本格的に動き出すことになったがコロナ禍で停滞した。

スリランカ側では送り出し機関のライセンスを取得し、同店9月首都コロンポ郊外のキリバスゴダにスパイスカレー食堂LABOと日本語学校「緒里美日本語学院」を開設した。

同社代表の沼田慎一郎氏はこう語る。

「日本でスリランカ人が働く際に、自分たちのアイデンティティが生かされる職場であればより輝くことができるのではないかと考えて、スリランカのカレーの店を出店する意向を強くしていきました」

珈琲新鮮館の新宿エリア総料理長、羽牟雄樹(左)と緒里美氏
スリランカの首都コロンボの郊外にキリバスゴダに開設した「スパイスカレー食堂LABO」と日本語学校「緒里美日本語学院」

顧客のほとんどが「絶対にはやる」と言葉を残す

スパイスカレー食堂の物件は2020年11月新宿三丁目に近い四谷に確保した。商品の実験販売は新宿三丁目で展開している4店舗の1つを「緒里美カレー」という店名に変えて今年の1月より行った。商品は「スリランカプレート」1000円(税込)1品のみ。商品の内容は現在と同様である。同時期に同社の新宿三丁目の店舗ではもう1つを「貝香屋」(かいかや)というラーメン店に切り替えた。居酒屋4店舗のうち2つをフード主力に切り替えたことになる。これはフード主力の店が多い同社の相模原エリアの業績が、コロナ禍にあっても売上の減少が軽微であったことから、それに倣ったものだ。

貝香屋は日商7万円を下回ることがない好調な売上を継続していたが、緒里美カレーは1日の客数が10人程度の日が続いた。しかしながら、スリランカプレートを食べ終えた顧客のことごとくが「このようなカレーが周りにないから、絶対にはやる」と言葉を残してくれた。そして今年211日のオープンを迎えた。

同店はいわゆるシークレットオープンで、値引き販売などのキャンペーンは行っていない。とは言え、新宿三丁目の「もつ煮込み専門店 沼田」のファンが四谷で新業態をはじめたことを知り、来店して食事をしては商品や店頭の画像をSNSに投稿し好意的に支援をしてくれた。店頭には同店のこだわりをまとめたポスターが掲出されていて、通りすがりの人の中で立ち止まって注視する人が散見される。四谷界隈にはスリランカカレーを提供している店が少なからず存在しているが、スパイスカレー食堂のアピールは際立っているようだ。

現在は「朝カレー」をうたって朝8時にオープンしている。これは佐々木氏がスリランカで初めてスパイスカレーを経験した時に「目覚めのカレーを楽しみにするようになった」ことが起因している。このような「朝カレー」も新しいトレンドとなっていくかもしれない。

このようにスパイスカレー食堂が好調であることから店舗展開を想定している。それは同時にスリランカで同社が運営する日本語学校で学ぶ若者たちにとって大きな励みとなることであろう。コロナ禍が明けると同社が目指した外国人雇用の事業が活発化することになり、新しい事業領域を切り拓くことになる。

スリランカ人の社員、緒里美那月氏がキャラクターとなってスパイスカレーのこだわりをまとめたポスター

月刊マーチャンダイジング2021年3月号 予告編

月刊マーチャンダイジング2021年3月号を編集長野間口が動画解説しています。

 

<CONTENTS>

【今月の視点】 

ドラッグストアの30年の歴史を

未来の「中堅幹部」に継承しよう!!

【特別企画】
PB商品で地域シェア拡大

PB売上構成比17.5%、独自路線を歩むゲンキー
キーマンインタビュー
有力ドラッグストアのPB戦略解説

【特集】
店長・スーパーバイザーの教科書

第0章 店長なら知っておきたい小売・流通業の知識
第1章 店長・スーパーバイザーの職務
ツルハドラッグ関東店舗運営本部長 半澤剛氏に聞く
第2章 狭小商圏時代の売場づくりの基本知識
300坪型ウエルシア繁盛店のPOP研究「ウエルシア立川柏町店」
第3章 強い組織作りとチームワーキング
第4章 withコロナ時代の店舗オペレーション

注目の売り方シリーズ/肌トラブル・ウイルス対策
WITHコロナWITHマスクで生まれた
新たなニーズをカテゴリー横断で解決

[店舗リポート]
カインズ朝霞店

「楽カジ」、DIY、ペット各売場を強化
環境、防災への配慮もあるカインズの新型店舗

業態STUDY
伊藤忠が描くファミマの成長戦略は
デジタルを駆使したチェーンの再構築
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第177回]有田 英明
流通データ
2021年4月・5月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

WITHコロナ・WITHマスクで生まれた新たなニーズをカテゴリー横断で解決

コロナ禍で社会にさまざまな変化が起こっている。スキンケアに関していえば、マスクを常時着用することで蒸れや摩擦が生じて肌トラブルに悩む人が増えている。さらに、感染への防御意識も高まりマスクプラスαを志向する人、実行する人も増加。こうした状況は、マスクで生じた肌トラブル対応商品の販売チャンスであると同時に、マスクやスキンケア商品を起点とした「もう一品購入」を促進する格好の機会でもある。WITHコロナ、WITHマスク時代、新たなニーズを捉えて生活者のQOL(生活の質)改善と業績アップを同時に実現させる商品、売り方を考える。

マスク利用者の肌トラブル急増

マスク+アクネでマスクネという新語も登場

新型コロナウイルス感染症を予防するためのマスク着用で、肌トラブルに悩む人が急増している。図表1は「マスク肌あれ」の検索件数を指数化したものだ。2019年と2020年を比較するとその上昇ぶりは明確である。マスクとアクネ(ニキビ)を掛け合わせた「マスクネ」という造語も使われるようになった。自身の体験で感じている人も多いだろうが、データの上でも多くの人がマスクによる肌あれに関心を示し、その解決策を求めていることが分かる。

一方、スキンケアの領域でWITHコロナのもと生活者の意識に変化が起こり始めている。図表23つのポイントをまとめた。ひとつは「メイクよりスキンケアに注力した17.9%」。マスク着用で多くの人がフルメイクをしなくなり、その分スキンケアに力を入れる人が増えている。第2は「化粧水の価格帯を下げたい20.7%」。コロナ禍による先行き不安から節約志向が高まっていることが背景にあると思われる。第3は「肌の清潔さ、健康を重視する27.4%」。先述のようにマスクによる肌トラブルへの対策・対応をする人が増えていると同時に、感染予防の意識から肌の清潔志向も高まっている。

3カテゴリー横断で新ニーズ対応のイハダ

3つのカテゴリーをカバーするブランド

先に見たようにWITHコロナ、WITHマスクの影響で社会は変化し、生活者の間に新たなニーズが生まれている。資生堂薬品のイハダはトラブルの原因から肌を事前に「守る(防御)」シリーズ、薬用スキンケアでトラブルが起きにくい肌に「整える(薬用ケア)」シリーズ、起きてしまった肌トラブルを速やかに「治す(治療)」シリーズと、3つのカテゴリーでWITHコロナ、WITHマスクで生まれた新たなニーズに柔軟に対応できる稀少なブランドである。

それを証明するようにイハダは20203カテゴリーすべてで業績を伸ばした(図表4)。とりわけ、感染予防意識の高まりから防御シリーズは大きく躍進。ブランド全体を牽引した。さらに薬用ケアシリーズから発売されている「薬用バーム」は2年連続アットコスメの年間No.12020年発売のシミ・そばかすを防ぐバーム「薬用クリアバーム」は発売5ヵ月でアットコスメのほか美容誌などで、ベストコスメとして9冠を達成。2種の薬用バームは単品としての圧倒的な強さを見せている。ブランドとしての好調な実績や単品の強さを背景に、2021年からイハダは3つのカテゴリー、3つのケアから自分の悩みに合わせてアイテムを選び先回りする新習慣を「肌トラブルのセルフコントロール」という表現で提案する。

マスク着用でいままでにない「肌トラブル」や感染症の不安を感じる人が多い中、イハダの持つ総合力を新たなコンセプトとして表現した「肌トラブルのセルフコントロール」は生活者の心に響き、新しい領域を開拓する大きな可能性を持っている。

防御シリーズ 予防意識の高まりでニーズ拡大

スプレー、ジェルで花粉やウイルス等からユーザーを守る。マスク着用時に使うという新習慣の効果もあり花粉防御剤市場で売上No.1の「アレルスクリーンEX(スプレータイプ)」は2020年ブランド躍進の牽引役を果たした。同年12月には手あれに配慮した「薬用消毒ハンドジェル」も発売。また、夏へと向かっていくこれからの季節、気になる紫外線から肌を守り、日焼け対策としても効果が期待できるノンケミカルの「UVスクリーン」も展開。ブランドの入口として大きな役割が期待できるカテゴリー。

薬用ケアシリーズ ベストコスメ多数受賞の2種のバーム

「薬用ローション」(化粧水2種)「薬用エマルジョン」(乳液)「薬用バーム」「薬用クリアバーム」を展開。特にスキンケアの最後に使うバームは、べたつかない使用感と高い保湿力で先述のとおり高い評価を得ている。買上点数を上げる追加の一品としては最適のアイテムだ。シリーズ全体を低刺激処方とし、抗肌あれ成分も配合。夏に向けておすすめしたいのは、さらっとしたテクスチャーに美白有効成分を配合した「薬用クリアバーム」だ。エアコンなどの夏の乾燥から肌をまもりつつシミ・そばかすも予防する。「肌トラブルのセルフコントロール」の新習慣が普及すれば、レギュラーケアのアイテムが多いだけに大きな伸びが期待できるカテゴリー。

治療シリーズ マスクによる肌トラブルにも対応

起こってしまった肌トラブルを速やかに治す。エッセンス・クリーム・軟膏など、使い心地の異なるアイテムを展開。全アイテムがノンステロイドで、乾燥トラブルから花粉期のかゆみ、マスク生活で悩みが増えつつある「マスクネ」(マスクニキビ)まで、さまざまな症状に対応。顔全体のマスクあれに対応するエッセンスタイプやマスクのフチがあたってかぶれがちな目元にも使えるアイテムが好評資生堂が長年培ってきた化粧品の乳化技術を活用し、使い心地のよさも追求している。治療効果でロイヤルユーザー育成に効果を発揮できるカテゴリー。

これからよりニーズの高まる「効く」肌トラブル対策

市場、社会環境の変化を捉え順調に成長するイハダ

スキンケア市場では、「安心安全スキンケア」のニーズが高まっている。とくに、イハダの薬用ケアシリーズが属する低価格帯(2,000円未満)商品は2016年から2019年までの4年間で年平均成長率10.3%という大きな伸びを見せている。

また、皮膚治療薬市場は4年間の年平均成長率が2.1%2019年の市場規模は831億円※1に上る有望市場である。近年では、かゆみの部位を選んで使用する商品がヒットするなど、パーソナル化、細分化が進んでいる。イハダの治療シリーズでも使用部位や目的を明確にしたアイテムを販売している。

さらに、マスク常用による肌トラブルで悩む人が増えていることから新たな需要が生まれている。これは、イハダの提案する「肌トラブルのセルフコントロール」が受け入れられやすい環境へとつながる。

こうした市場、社会環境のもとイハダの認知率は上昇、20204月時点で30.5%で皮膚治療薬平均の24.7%を上回っている※1

顧客数に関しても、2019年上期(1-6月)と2020年上期(同)の比較で、治療シリーズで17%、薬用ケアシリーズで37%、防御シリーズで46%の伸びを見せている。※2これらデータからイハダがさらなる成長をとげる土台は整っているといえる。

※1インテージSDISRI調べ

※2資生堂ジャパン調べ

※3ID-POSデータとインテージSRI-MSDI-Mから算出

イハダを効果的に陳列して、買上点数を上げる

イハダ一品プラス購買を促進新規客獲得、潜在需要を掘り起こす

最近の情勢から当面WITHコロナの時期が続くものと思われる。WITHコロナはWITHマスクの時代でもあり、先に見たようにこれにより新たな需要が生まれている。加えて感染に対する防御意識、不安も高まっている。

これらの状況から生活者がいままで使っていなかったアイテムをプラス一品で購入する可能性は大きい。イハダにより新規客を獲得し潜在需要を発掘するために、まずこの可能性を追求すべきだ。図表5にもう一品提案、クロスマーチャンダイジング(MD/多箇所陳列)の提案例をまとめた。

定番売場でブランド展開すると同時に、追加購買、新規客獲得を狙うためにはマスクやスキンケア売場でのクロスMDは必須である。そのためにイハダでは吊り下げ什器などの店頭支援を準備している。

焼肉ライク新アイデア続々投入、発想力があればコロナ禍も怖くない!

ひとり焼肉で外食界に新境地を切り開いた焼肉ライク。わずか3年で海外を含め60店舗まで拡大し、その人気ぶりが分かる。コロナ禍においても、次々に新規アイデアを繰り出し焼肉イノベーションは止まらない。

3年で急成長した焼肉ライク

2018829日に東京・新橋に1号店がオープンした「焼肉ライク」は、フードサービス業界に「アイデアの力」というものを改めて気付かせてくれた。

焼肉とは、これまでハレの日需要が色濃い業種であったが、焼肉ライクはそれを客単価1,350円というポピュラープライスに落とし込み、提供時間を3分以内に短縮化したことによって利便性が一段と増した。これまでの一般的な焼肉店で、ひとりで焼肉を食べるのとは趣が異なり、堂々と店に入ることができる。そこで、これまでひとりで焼肉店に行きたいと思いながら躊躇していた女性にその利用動機を開放した。

1号店がオープンしてから早2年半となる焼肉ライクは現在、国内50店舗(うちFC45店舗)、海外10店舗(202127日付)となっている。フードサービス業界はコロナ禍第三波によって大きな影響を被っているが、「焼肉ライク」はそれに全くひるむことなく、次々と新しい試みを展開している。その在り様を紹介しよう。

まず「環境に配慮している」ことを訴求

焼肉ライクの営業状況は2020年の年初からじわりじわりとコロナ禍の影響を受けるようになり、出店場所での違いはあるが、特に4月、5月は前年同月比で60%となった。営業は要請に従い時間短縮営業を行った。

同社代表の有村壮央(もりひさ)氏は「焼肉ライクそのものの認知度が低かった」と語り、これらを打開するために、店の間口を広げることが重要であるという方針に立ち、ここから新たな需要や顧客層を取り入れていこうと動いていった。

最初にアピールしたことは「環境に配慮している」ということ。従業員の検温と手洗いの徹底から、飛沫防止のためにアクリル板の仕切りを設定している等々、さまざま原則的な内容に加えて「客席全体の空気が2分30秒で入れ替わる」ことを随所で告知した。

そして「今こそ!!ひとり焼肉」キャンペーンとなった。「ひとりで換気の環境が整った焼肉ライクで安心して食事をしてください」ということを次々とアピールしていった。

ほぼ毎月のペースで新商品・新企画を投入

(1)526日(緊急事態宣言が解除された翌日)から、一番人気の「タン・カルビ・ハラミ」を通常価格の1,480円(税抜)から200円引きのキャンペーンを展開。「緊急事態宣言が解除されてから一番食べたい外食が焼肉」という調査会社のアンケート結果からひらめいた企画。

(2)5月から、テークアウト・デリバリーを保健所に新たに申請して、客席の一部をキッチンに変更できる店で行っている。商品はテークアウトで500円、デリバリーは800円程度。一般的に焼肉弁当は1,500円となっている中でとてもよく売れていて、平均して売上の10%を確保しているという。

(3)810日から、外出自粛やテレワークによって運動不足等による「コロナ太り」が気になる人に向けて、ご飯を外してたっぷりのチョレギサラダに変えて、これにミスジとハラミをセットにした「赤身肉とチョレギセット150g(キムチ、スープ付き)」1,150(税別)を販売。さらに、「この商品を女性一人でも焼肉を楽しんでいただきたい」という趣旨で「WoMonday(ウーマンデー)」と称し毎週月曜日に1,000円で提供。

(4)915日から、「学割ライク」を販売。これは「バラカルビセット100g&ちょいたしカレー」のメニューを「ご飯食べ放題」にして、通常価格710円のものを学生証提示によって500円(税別)で提供。

(5)10月1日から1130日まで、ご飯・キムチ・スープがおかわり自由になる「メガ盛りパウンダーセット、無限ご飯キャンペーン」1,540(税別、以下同)を行った。パウンダーとはお肉が450gということ(3001080円もある)。

(6)1123日から、「松阪牛50g」500(税別)を6万食限定で発売。これは、コロナ禍で行き場を失った和牛を焼肉ライクで販売することによって、お客様には和牛のおいしさをお得に味わっていただいて、生産者応援につなげたいと考えて行ったものだ。

(7)1214日から、「フェイクミート」を全店で販売。1023日から渋谷店で先行販売して、徐々に取り扱う店を増やす。商品は「NEXTカルビ50g」290円(税別、以下同)、「NEXTはらみ50g」310円。

「フェイクミート」とは大豆や小麦、エンドウ豆などを主原料として作った肉の代替食品のことで、主にヴィーガン(絶対菜食主義者)や健康に気遣う人が求める食べ物である。これをメニュー化したことによって、これまで焼肉ライクを利用していなかったヴィーガンや、健康を意識している人が来店している状況を見て、有村氏は「フェイクミートの市場は広がり、縮むことはない」なという手応えを感じているという。

20時営業終了に従い、朝営業を1時間前倒し

さて、1月7日より2回目となる緊急事態宣言が発出されて、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県エリアの飲食店では20時までの時短営業(酒類の提供は19時まで)を要請されている(緊急事態宣言は、その後他府県に拡大)。

(8)112日から、上記の動向に対応して、朝の営業開始時間を11時から10時に1時間前倒しして、10時から11時までの新商品として「朝焼肉セット」500(税別)の販売を一都三県の店で順次導入。「朝焼肉」の内容は、バラカルビ100ℊ、ごはん(お替りサービス)、スープ、味海苔付きで、さらに生玉子かキムチを選ぶことができる。

(9)115日から、フェイクミートのデリバリー専用の弁当を約半数の店舗で提供。「ソイ焼肉弁当」サラダ無し1080円(税込、以下同)、「ソイ焼肉サラダ」1290円など4種類と、トッピング「ソイ焼肉カルビ50g」410円というラインアップである。

10128日から、「焼肉ライクバーガー」を渋谷宇田川町店で販売(テイクアウト・デリバリー)。商品は「小盛」350円(税込、以下同)、「並盛」420円、「大盛」620円、「ザ・タワー」1,050円。反響を見ながら取扱い店舗を拡大予定。

1129日(肉の日)から、「メガハラパウンダーセット」(塩ガリバタハラミ&バラカルビ&イベリコ豚)3001,280円(税別、以下同)/4501,740円、ごはん・キムチ・スープが食べ放題。昨年10月1日から1130日開催し好評を博した「1ポンド肉×無限ごはん」をシリーズ化していく。

ざっとこのような状況である。この勢いはまだ続くことであろう。このように戦う姿勢を持ち続けることが、客数、売上を維持・向上させて、人材獲得といったサスティナブルな経営体質を強くしてことであろう。

月刊マーチャンダイジング2021年2月号紹介

月刊マーチャンダイジング2021年2月号、読みどころを編集長野間口が動画解説しています。

<コンテンツ>

【今月の視点】

「商品」が主語の売り方から

「顧客」が主語の売り方へ


[TOP INTERVIEW]

スギ薬局代表取締役社長 杉浦 克典氏に聞く

[店舗戦略リポート]
スギ薬局 「化粧品カウンセリング改革」

【特別企画】
マツモトキヨシ
V字復活への戦略検証

[デジタル戦略] 松田 崇氏インタビュー
[店舗戦略] matsukiyo LAB市川駅南口店
業績、経営戦略分析

[ストアコンパリゾンリポート]
食品スーパーに学ぶ! 色気のある売場の作り方

【特集】
チェーンストアの基礎技術 徹底攻略

商品構成グラフの作り方
商品構成グラフの実例集
「グッデイ」の価格構成グラフ

CSアワード2021

業態STUDY
現存最古のコンビニ1号店から今年で50年
セイコーマートが実証する強さと持続性
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第176回] 有田 英明
2021年3月・4月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

月刊マーチャンダイジング2021年1月号予告編

【今月の視点】

狭小商圏時代の売場レイアウトの原則 月刊MD主幹 日野眞克

[特別企画]
ローカルチェーンの逆襲

サンキュードラッグ代表取締役社長兼CEO 平野 健二氏に聞く

【特集】
withコロナ withマスク時代の
化粧品再起動計画

店舗とデジタルの融合を進める@cosme STOREの戦略
・トップインタビュー
・店舗レポート
◇メーカー戦略 資生堂
◇メーカー戦略 コーセー
◇売場実践アドバイス
◇ID-POS分析で見るカテゴリー別動向
◇編集部提言

[店舗REPORT]
ウエルシア平塚四之宮店

ラインロビングに挑戦した
ウエルシア「600坪型」最新標準店

[注目店舗CLOSE UP]
♯ワークマン女子コレットマーレ店

ワークマンが女性客主体の新業態を開発
路面店を中心に10年で400店舗体制を目指す

NEW PRODUCTS 注目の新製品
全薬工業
「P’sGUARD(ピーズガード)キッチンスプレー・除菌スプレー」

[リテールスタートアップ]
無人決済システムでスマートショッピングを
実現する「Touch To Go」

[小売業DX通信簿]〈ネット購入編〉
ネット注文・店舗受取サービスを小売業10社で徹底比較!

[TOPICS]山本漢方製薬「大麦若葉青汁」
真のマーケティングでウィズコロナ時代を勝ち抜く

業態STUDY
大手冷食メーカーと一線画すオリジナルPBが活況
コンビニの新たな主力カテゴリーに成長する予感大
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
郡司昇のリテール・フレームワーク[第10回]
流通データ
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第175回]有田 英明
2021年2月・3月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

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