沖縄発、革命的ステーキレストラン「やっぱりステーキ」東京で躍進中!

これまでの「ステーキ」という非日常的なご馳走を、手の届く価格にして、クイックに提供するスタイルを生み出して“ファストステーキ”という言葉を誕生させた「いきなり!ステーキ」は、その後の歩みを語る以前に飲食業界において業種・業態の可能性を切り拓いたことを大いに称えたい。そこで今、このファストステーキの分野では「やっぱりステーキ」に勢いがある。この8月2日に東京都港区の芝大門に東京3店舗目、全国75店舗目をオープンしたが、この店の試みが斬新なことから、同店の動向について述べておきたい。

ローコスト経営で生産性を高める

「やっぱりステーキ」を展開するのは株式会社ディーズプランニング(本社/沖縄県那覇市、代表/義元大蔵)。20152月、那覇市の繁華街に3坪6席の規模で1号店をスタートした。

赤身肉のステーキ200gを1,000円(ご飯、サラダ付き)で提供するというスタイルがたちまち人気となり月商280万円を売り上げた。2号店は2024席、日曜日定休、週6日、朝11時から翌朝7時まで営業、夜に営業している人たちが仕事を終えて食べにきて朝6時に満席になり、マックスで137回転という記録を持つ。週末には800人近い顧客が訪れ、これで月商1,800万円を売り上げた。このような繁盛伝説を持つ同チェーンは沖縄で店舗展開し、全国の地方都市で展開していく。

そして、東京1号店を20206月吉祥寺にオープンした。井の頭公園の入り口で住宅街の中にある同店は51店舗目で、この82日にオープンした芝大門店は75号店舗目となる。1年余りで24店舗の増店ということから、その勢いを察するにたやすい。

同チェーンの最大の特徴はローコスト経営で生産性が高いこと。FLコスト(食材費=原価+人件費)は65%、一般的な60%より5%高い。内訳は原価率50%弱、人件費率は20%以下。大抵の店舗では、焼き場に1人、洗い場に1人、ホールに1人という体制、人件費率をうまくコントロールしている店は人件費13%以下になっている。

ローコスト経営を支えるのは、居抜き物件に出店していること。物件の中にある設備機器で使えるものは再利用して、減価償却費を抑えて初期費用を低くしている。さらに、家賃比率を引き下げている。これは一般的に10%であるが5%にしている。基本的に商品力が際立っている業態であるから立地も超一等地である必要がない。

「専用チャンネル」のDJが商品をアピール

さて、東京3店舗目の芝大門店は20坪程度で27席。元カレーチェーン店の店舗造作を生かし、厨房設備やエアコンを入れ替えた。場所は通称軍艦ビルのはす向かい。周辺はオフィス街でランチを中心とした需要が見込まれる。

オープン初日の8月2日には、11時開店の前に20人ほどが行列をつくった。
新規客に向けて、店頭で「1000円ステーキ」であることを訴求している。

同店のグランドメニューはざっと以下のようになっている(すべてサラダ・スープ・ご飯が食べ放題、「OK」とはテイクアウト可能のこと、税込価格)

・おすすめ赤身ステーキ:2001000円、3001500円、4002000円、OK

・ランプステーキ:1501000円、3001500円、OK

・お箸deステーキ:1801000円、3001500円、OK

・ヒレステーキ:1001000円、1501400円、2001750円、3002500円、OK

・ミスジステーキ:1501200円、100950円、2251750円、3002300円、OK

・イチボステーキ:1501200円、OK

・ブラックアンガス サーロインステーキ:2001800円、3002600円、4003400円、OK

・芝大門限定、熟成アメリカンステーキ:2002000円(オープン記念特別価格1500円)、OK

・やっぱりバーグ:2001000円、4001800

・ミスジ半身ステーキ:肉塊約7004980

「芝大門限定、熟成アメリカンステーキ」200g2000円(オープン記念特別価格1500円)。熱せられた溶岩は保温効果が高く柔らかく焼き上がる。
「テイクアウト可能」であることを随所にアピールしている。

筆者はオープン初日の8月2日に同店を訪ね、ディーズプランニング代表の義元氏に話を伺った。義元氏は「芝大門店は実験店」と述べる。テーマはDXだ。「大手回転ずしチェーンで進んでいるDXを、やっぱりステーキのような飲食業の小型店に役立てていきたい」という。

ディーズプランニング代表の義元大蔵氏。ステーキが赤身肉であることはアメリカ生活の経験でひらめいた。

まず、非接触の要素を多く取り入れた。既存店と芝大門店の仕組みの違いについて比較しよう。既存店のほとんどは顧客の入店から退店までこのような流れになっている。

⓵顧客は入店すると「自動券売機」で希望の料理やドリンクなどの画面をタッチして食券を入手。

②従業員が顧客を席に誘導し、顧客は従業員に食券を手渡す。

③顧客は席を立って、食べ放題のご飯、サラダ、スープをそのコーナーに取りに行く。

④従業員がステーキを運んでくる。

*食べ放題のご飯、サラダ、スープをそのコーナーに適宜取りに行く。

⑤顧客が食事を終えたら、そのまま店を後にする。

それが芝大門店ではこのようになっている。

⓵入店する前に「自動受付機」に1組の人数などを入力する。番号が付与されて、自分の前に何組がウエーティングしているかが分かる。

②入店できる顧客を従業員が番号で呼ぶ。

③席に通された顧客は「タッチパネル」でオーダーする。

④顧客が注文した料理を従業員が顧客の元に運ぶ。

*追加オーダーをタッチパネルで行なう(食べ放題のサラダ・スープ・ご飯も同様)

⑤顧客がタッチパネルで会計をタッチすると、従業員がレシートを持ってくる。

⑥顧客はレシートを持って「無人レジ」で精算する。

既存店の仕組みは、新規出店するたびに、例えば無人レジや配膳ロボットを導入するなど、DXの要素が少しずつ加えられていった。その現状の集大成が芝大門店ということだ。

店に入る前に「自動受付機」に登録をして従業員から呼ばれるのを待つ。
「注文」を自動販売機から「タッチパネル」に切り替えることで顧客はゆっくりと注文できる。
最後は「無人レジ」で精算を行う。

 

「注文」を変えることで客単価が上がる

上段の既存店のサービスの仕組みを下段の芝大門店のそれと比べると、その違いのポイントは「注文」と「精算」である。この違いがどのように現れるか。

「注文」は、既存店の場合「自動券売機」で行い、芝大門店では「タッチパネル」で行う。義元氏は「自動券売機は後の人からせかされている気分がして、注文する料理をゆっくり選ぶことができないが、タッチパネルだとゆったりとした気分となり好みの料理を注文するようになる」と語る。

さらに「サラダ、スープ、ご飯」の食べ放題の部分で、芝大門店では顧客が席を立つ必要がない。ここでは、食べ放題のコーナーに顧客が集まるという「密」は無くなり、狭いフロアを顧客が行き交うということもない。安心・安全な食空間が担保され、ゆったりと食事を楽しむことが出来る。

店内のレイアウトは物件の造作をそのまま生かしている。
各テーブルに用意されたさまざまな調味料で好みの味付けを行う。

また、芝大門ではBGMの中に初めて「やっぱりステーキ専用チャンネル」を設けた。これはステーキを食べる雰囲気を高めるBGMを流している合間に、DJがやっぱりステーキの楽しみ方をアピールするというものだ。

その内容は、まず、メニューの解説。ランプステーキ、ヒレステーキ、ミスジステーキといったメニューのバラエティがあることをアピール。さらに「替え肉」をアピール。これは、顧客が注文したステーキのボリューム(100ℊ、150gとか)ではもの足りないと感じた時にステーキを追加注文できるというものだ。例えば、「おすすめ赤身ステーキ」200gのサラダ・スープ・ご飯のセットは1000円(税込、以下同)であるが、このステーキの替え肉は100500円である。BGMでこのことを知った新規客にとって、追加注文してみようという動機をもたらす。

このようにDXによって顧客にゆったりと食事を楽しむ環境を充実させることによって、既存店の客単価が1300円に対して芝大門店では1800円あたりになると予想している。

義元氏は芝大門店の営業初日の顧客の動向を見て、これからの営業状況について「少なくとも月商1200万円以上のペースで行くでしょう」と読む。これでやっぱりステーキの「家賃比率5%」は十分に保つことが出来るという。

今後は店舗のすべてにDXを活用していくのではなく、立地や顧客動向を捉えながら適宜導入していくという。やっぱりステーキは都心のオフィス街にある芝大門店という実験場を得たことによって、これからの伸びしろを広げることができたと言えるだろう。

宴会を捨て個食、昼飲みで生きる。ニューノーマル時代の酒場

コロナ禍によって外食企業の多くが方向転換を余儀なくされた。特にアルコールを提供する夜型、居酒屋を主力としているところはなおさらである。しかしながら、方向転換の結果生まれた業態が思いのほかポテンシャルの高いものとなっている事例が散見される。今回はそのような事例の中から、株式会社ダイナック(本社/東京都港区、代表/田中政明)という会社の動向を紹介しよう。

コロナ禍によって得意とする商売に大きな逆風

ダイナックは、サントリーホールディングス(HD)株式会社(本社/大阪市北区、代表/新浪剛史)の連結子会社で外食事業を展開する株式会社ダイナックHD(本社/東京都港区、代表/伊藤恭裕)の事業会社だったが、コロナ禍で業績を悪化させ202012月期売上高1969,600万円(47.0%減)、最終赤字896,900万円、486,900万円の債務超過となった。そこでサントリーHDではTOB(株式公開買付け)を行ない、ダイナックHDは上場廃止となり、この6月からサントリーHDの完全子会社となった

ダイナックの顧客はオフィス街のビジネスマンで、比較的年齢層が高く、宴会売上が多く、客単価は4,500円~5,000円となっていた。同社の売上の40%はこれらの宴会が占めていた。このような需要に対応して、同社では東京駅周辺、新宿駅周辺、そして大阪・梅田駅周辺にそれぞれ約30店舗を構えていた。しかしながら、コロナ禍によって同社の顧客のほとんどがリモート勤務となり、オフィス街での宴会もほぼなくなった。

同社ではこれまで170店舗を展開していて、筋肉質の体質づくりを進めていたところであったが、それがコロナ禍で一気に加速して130店舗に絞り込まれた。

そこで、同社の新しい方向性を示す新業態の開発を行うことになった。同社代表の田中政明氏は、この間の経営判断をこのように語る。

「コロナ禍が終わっても宴会需要の半分ぐらいは戻ってこないと考えるべきだと。そして、当社主流の店舗規模である80坪をリニューアルする時に、1業態のリニューアルで済ませるのではなく、2業態の合わせ技を行うという必要も出て来るのではと考えました」

そこで同社の既存店の中から、東京・神田の店を新業態の実験舞台にすることになった。この店ではコロナ禍以前、宴会の売上が全体の半分を占めていたという。

業態開発を担ったのは、ダイナックの業態開発部とサントリー酒類㈱の営業推進本部グルメ開発部(以下、グルメ開発部)の二つで、これらが共同で進めた。

個食対応で、昼飲みも夜食事もできる店

キックオフは2020年の9月であった。

ダイナックがサントリー酒類から提案されたことは、まず「ニューノーマルな酒場」をコンセプトとした「酒場ダルマ」。そして「感動ボブン」。これは元々ベトナムに「ブンボー」という食事があって(ブンは麺、ボーは牛のこと)、これがフランスに渡り「ボブン」というB級グルメとして定着するようになり、ヘルシーなアジア料理として人気の食事である。

メニューの完成度の高い「感動ボブン」は、「オープンするとすぐにインフルエンサーで広がるだろう」と即採用された。しかしながら、ダイナックでは「ニューノーマルな酒場」の意味をつかみかねていたようだ。

果たして「ニューノーマルな酒場」とはどのようなものか。サントリー酒類のグルメ開発部担当者はこのように解説する。

「テレワークをはじめ生活様式も以前とは全く変わってきている中で、さまざまな人がそれぞれのライフスタイルの中で食事をしていただくというイメージです。これまでランチは食事、ディナーはお酒という形で分かれていましたが、今回の業態は昼飲みができるし、夜食事もできるという飲食空間」

そして、フードやドリンクの試作を重ねていくうちに、ダイナックサイドでもこのコンセプトがイメージできるようになっていった。代表の田中氏はこう語る。

「『酒場ダルマ』がオープンに向かっている様子を見て感じたことは『お客様の使い勝手に対応する』ということをひたすら考えているということでした。フードメニューは、どのようなお客様にとってもみなつまみになり、ご飯も食べることができます。また、すべて個食対応になっています。お一人様に対して全時間帯で自分の好みの楽しみ方をしてください、といったメッセージがあります」

ダイナック代表取締役社長の田中政明氏。サントリーグループの外食部門を歩んできた

ウイスキーの飲み方に新しい提案があふれる

筆者は6月末に「酒場ダルマ」を訪ねた。果たして、でき上がったメニューは次のようになっていた。

同店の一番の特徴はドリンクの飲み方に新しい提案があること。一番の推しは「ハイボール」で、グラスの中に「氷柱」を入れていることで楽しさを演出している。これは純氷をグラスいっぱいに氷の柱(3㎝×3㎝×10㎝くらいの大きさ)が入れてあり、グラスからハイボールがなくなったら、ハイボールをつぎ足すというものだ。普通の「氷柱角ハイボール」一杯目(氷柱入り)は500円(税込、以下同)、おかわり二杯目300円、おかわり三杯目以降は200円となる。「氷柱濃いめ角ハイボール」というものもあり、同じ仕組みで一杯目590円、二杯目390円、三杯目290円となっている。この氷柱は1時間以上経過しても溶けないとのこと。

一推しの「氷柱ハイボール」。氷はそのままでハイボールをつぎ足して楽しむ
提供方法の演出に昭和レトロのこだわりが見られる

筆者が最も感動したのは「知多 お湯割り」690円というものだ。ウイスキーのお湯割りとはイメージをつかみかねていたが、これは日本酒の熱燗同様の熱さで、ほのかに甘味があった。これは「知多」というグレーンウイスキーの持ち味なのだという。このほか、サントリーオールド(通称、ダルマ)の水割りの前割りがある。とてもマイルドな飲み口だった。

「知多 お湯割り」はほのかな甘みがあり和食の食事にマッチする

「サントリーはウイスキーを得意とする会社」と気付いたが、サントリーグループのウイスキーに対する矜持が感じられた。

フードメニューは定食も含めて70品目強で「大衆酒場」の定番が押さえられている。「食べたい食事がなんでも揃っている」という感じだ。中でも「とらふぐ」がキラーコンテンツになっている。切り身が10枚盛り付けられた「トラフグてっさ」490円は注文するとすぐに持ってくる。「とらふぐの唐揚げ」490円は肉厚で食べ応えがある。刺身が新鮮なのが感動的であった。

キラーコンテンツの「トラフグてっさ」。注文するとすぐに提供される

筆者は、氷柱ハイボール4杯、とらふぐの唐揚げ、刺身三種盛り、オイルサーデンでほぼ3,000円であった。安心感のあるお勘定であった。顧客フリーな気分を尊重して、ふらりと立ち寄ることができて、さまざまな楽しみ方を体験できる。これこそが「ニューノーマルな酒場」の真骨頂というものだろう。

回転すしチェーン、進む寡占化の裏に「出店」と「ロボット化」

回転すしチェーンの動向をみると「寡占化」が顕在化しつつある。その要因として挙げられることは「出店」と「ロボット化(機械化、自動化)」だと筆者は考えている。店数を増やすほどに売上が上がるのは当然として、飲食業にとって最も重要なホスピタリティをロボット化でどう実現していくのか、従来の常識の正反対とも思えることが寡占化の伏線となっている。

都市型店舗の出店を加速する二大チェーン

回転すしを事業とする株式公開企業のランキングは以下のようになっている(数字は売上高〈決算期〉と店舗数〈直近〉)。

1位:FOOD & LIFE COMPANIES2,0495700万円〈20209月期〉、538店〈20213月末、スシロー業態のみ〉

2位:くら寿司/1,3583500万円〈202010月期〉、485店〈20214月末〉

第3位:カッパ・クリエイト/6488100万円〈20213月期〉、314店〈20213月末〉

4位:元気寿司/3825200万円〈20213月期〉、165店〈20213月末〉

まず、「出店」という点では、第1位のFOOD & LIFE COMPANIESの事業会社である、あきんどスシローと第2位のくら寿司では「都市型店舗」を推進してきている。

この両社ともに都市型とは、通常型店舗の標準的な一皿の価格が110円(税込、以下同)であることに対して、スシローは132円、くら寿司は121円と1~2割高く設定している店をこのように定義している。

FOOD&LIFE COMPANIES20209月期では、国内スシロー事業で新規出店33のうち都市型は13店舗となった。

くら寿司では今年初めて都市型を出店し、1月14日に「渋谷店」(159席)と「西新宿店」(192席)を同時にグランドオープンした。以来、くら寿司ではこのタイプを128日「武蔵小杉店」(219席)、24日「小岩駅前店」(210席)、25日「赤羽東口店」(187席)、422日「道頓堀店」(204席)、520日「高田馬場店」(267席)と出店している。

スシローでは2021年318日に伊勢丹新宿店の向かい側地下1階に170208席という「新宿三丁目店」をオープン。TBSの番組でオープン1カ月前からのメイキングが放送されたが、オープン初日の客数は1,022人であった。あらゆる数字が驚異的である。

610日にくら寿司「渋谷店」が営業しているビルの隣にスシロー「渋谷店」がオープンした。こちらは100席強と超大型ではない。

「ロボット化」がもたらすストレスフリー

では、「ロボット化」は回転すしチェーンの寡占化とどのように結び付くのか。これについては、この業界の中で歴史のあるくら寿司の動向から解説する。以下にくら寿司のロボット化の取組みを時系列で紹介する。

・水回収システム1996年):テーブルの皿回収ロボットにすし皿を投入すると、水流により皿が洗い場まで運ばれる。テーブル上でのお皿の積み上げをなくし、片付け作業の負担を軽減できる。

・時間制限管理システム1997年):商品がレーンの上で空気に触れている時間を管理して規定時間を超えた時に廃棄する。

・製造管理システム1998年):すしカバーに取り付けたQRコードなどによってレーン上にある商品が空気に触れている時間と個数などを管理。また、顧客の滞在時間によって変化する消費皿数(食べる量)を予測。係数化した「顧客係数」を厨房に表示し、レーンに流す皿数を最適化、廃棄ロスを軽減している。

・ビッくらポン2000年):水回収システムと連動し、5皿に1回抽選ゲームができる。「当たり」が出たらオリジナルの景品をプレゼントする。子供に大人気のシステム。

・タッチで注文2002年):各テーブルにタッチパネルを置いて、これをタッチしてオーダーする。

・抗菌寿司カバー2011年):従業員も顧客も、カバーに直接触れずに商品を出し入れできる、くら寿司独自開発のカバー。鮮度だけでなく、空気中に漂うウイルスや飛沫からすしを守る。これが前述の時間制限管理システム、製造管理システムによって商品のバラエティを保ち顧客満足度を高める。

・自動受付・案内2017年):スマホアプリから「時間指定」で予約ができ、自動的に客席まで誘導するシステム。顧客の待ち時間の低減や、対従業員との非接触を実現。また、最新の店では、特集センサーが設置されていて、画面に触れることなく操作可能。

・スマホで注文2019年):メニュー注文用タッチパネル(タッチで注文)を業界に先駆けて導入。さらに、2019年には、席にあるQRコードを読み込むことで、顧客が自分のスマホから注文可能とした。皿の投入口に入らないサイドメニューなどもビッくらポンに加算される。

・セルフチェック2019年):すしが流れるレーンの上部に小型カメラが設置されていて、どのテーブルで何枚の皿を取ったか、AI画像を分析して検知。自動でカウントするため、従業員を介することなく会計が確認できる。

・セルフレジ2020年):「自動案内」や「セルフチェック」などのシステムを組み合わせ、入店から退店まで従業員を介することなくサービスの提供が可能となる。「非接触型サービス」が実現。自動受付と同様の特殊センサーを導入することで、タッチレス化も推進。

このように回転すしチェーンのロボット化は、これまで人間が行ってきたサービスを安定化させ、より正確なものにしてきた。ここで働く従業員は煩雑なことから解放されてストレスフリーとなり、結果顧客満足を高めている。

積極的な出店が売上を引き上げる

さて、FOOD & LIFE COMPANIES20219月期上半期決算は以下のようになっている。

・売上収益: 実績1,19042百万円/前年比+10.1

・営業利益: 実績  13114百万円/前年比+59.2

・税引前利益:実績  12414百万円/前年比+57.5

・当期利益: 実績   7760百万円/前年比+52.7

次に、くら寿司の202110月期上半期決算は以下のようになっている。

・売上高:  実績74585百万円/前年比+14

・営業利益: 実績  304百万円/―

・経常利益: 実績  1185百万円/―

・当期純利益:実績  669百万円/―

FOOD & LIFE COMPANIESは実に好調である。くら寿司も前年度の赤字計上から脱出した。

これらの好調な要因として、どちらも出店を加速したことを挙げている。FOOD & LIFE COMPANIES24店舗(うち都市型5店舗)、くら寿司は18店舗出店(うち都市型6店舗)となっている。

さらに、FOOD & LIFE COMPANIESでは前期に開発したTo Go型店舗を「JR我孫子駅店」「JR神戸駅店」「JR六甲道店」3店舗出店。いずれも改札口から徒歩1分以内の場所にあり、近隣のスシロー店舗でつくられた寿司を販売している。今期は積極的に出店していくという。このタイプは駅ナカ・駅前ビルなどのスシロー既存店ではカバーしきれなかった立地に出店していくという。この7月には、東京駅八重洲口にTo Go型店舗の機能を持った回転すしのスシローをオープンする予定。

そして、京樽が4月1日から事業会社となり、上方すしのテイクアウトや都市型で小型の回転すしを展開、これによって回転すしをはじめとしたあらゆるすしの市場を網羅していく構えだ。

回転すしチェーンの動向についてFOOD & LIFE COMPANIESとくら寿司の話題に終始したが、この二つのチェーンが切磋琢磨することによってこの市場はますます活性化していくことであろう。

FOOD & LIFE COMPANIESの事業会社4社でお値打ち感をアピールするイベントを展開。
「くら寿司」では2021年に入り都市型店舗を続々と出店している。
都市型店舗は駅から徒歩圏にありアルコールが売れることが魅力

月刊MD6月号ご紹介 マツキヨ新社長大いに語る!これからの戦略

月刊マーチャンダイジング2021年6月号では、特別インタビューとしてマツモトキヨシ新社長、松本貴志氏にインタビュー。10月から同社と経営統合するココカラファインの塚本厚志社長にもインタビュー、それぞれの記事から、新会社の戦略を読み解きましょう。その他、読みどころたくさん!編集長野間口が動画で紹介しています。

CONTENTS

<今月の視点>

地域の顧客に長期的に寄り添う 正直な商売を継続しよう

[特別インタビュー]
マツモトキヨシ新社長に聞く

株式会社マツモトキヨシ代表取締役社長 松本 貴志氏

 

[ココカラファインの経営戦略]
・ココカラファイン代表取締役社長 塚本 厚志氏に聞く
・フタツカ薬局グループ代表取締役社長 二塚 安子氏に聞く

 

[新店リポート]
・ファミリーマートの無人決済システム店舗第1号店
・ファミマ!サピアタワー/S店

 

【特集】
ラクチン家事提案で日用雑貨売場の支持率アップ

・カインズ「楽カジ」に学ぶ
・キッチン・洗濯・掃除 ラクチン家事提案の傾向と対策
・ラクチン家事雑貨「売場と商品」トピックス

 

[実務企画]
ドラッグストアの基本戦略
「カウンセリング」を磨く

大人用おむつのカウンセリング(ユニ・チャーム)
ドラッグストア 化粧品カウンセリング調査
タブレットを使ったカウンセリング

 

NEW PRODUCTS 注目の新商品
アース製薬「アース製薬 虫よけ剤『サラテクト』を全面リニューアル新発売!」

 

業態STUDY
移動自粛でヘコんだ客数を取り戻せるのか?
コンビニ大手3チェーンの総括と施策
流通ジャーナリスト(月刊コンビニ編集委員)梅澤 聡

 

今月の「現場あるある調査隊」②
お客さまからの質問、クレームを宝の山に変えよう!

 

【連載】
郡司昇のリテール・ニューフレームワーク[第13回]
利益改善の王道「ロス・プリベンション」のすすめ[第1回]
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第180回] 有田 英明
流通データ
2021年7月・8月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

横浜駅西口の横丁に人気7店が集結。飲食店版「アベンジャーズ」大成功!

2021年3月20日横浜駅西口の繁華街の中に「横浜西口一番街」という“横丁”がオープンした。ここには主に横浜エリアで飲食店を展開している7社が出店、鮮魚、小皿料理、もつ煮込み、焼売、韓国屋台料理といった大衆的な専門店で構成されている。どの店も地元の人によく知られた人気店で、これらが集まることによって集客力を著しく高めている。

物件の広さを見て「横丁化」がひらめく

同店をプロデュースし、現在統括を担当しているのはここにも出店している㈱奴ダイニング(本社/東京都中央区、代表/松本丈志)である。このプロジェクトが立ち上がったきっかけは、2020年5月に同社代表の松本氏に現在の物件の持ち主より出店のオファーがあったこと。

物件の規模は70坪、6年間の定期借家契約であったことから松本氏は当初パートナーと一緒に運営することを想定していたが、実際に物件の広さを目の前にして「横丁にしよう」とひらめいた。モデルとしたのは同社が参画して2018年2月にオープンした「野毛一番街」(後述)である。

そこで、松本氏は飲食店経営者の知人に出店を打診。結果6社から賛同を得て、同社を加えて7社によるユニークな横丁が誕生した。

席が詰め込まれても開放感がある理由

「横浜西口一番街」の中に入って真っ先に感じることは、客席が詰め込まれているということだ。実際の店舗規模は「70261席」であり、「1坪あたり3.7席」となる。ロイヤルホストやデニーズといったファミリーレストランは「1坪あたり1席」、つぼ八、庄やといった大衆居酒屋は「1坪あたり2席」というパターンを念頭に置くと、客席の状況を推し量ることができるであろう。

しかしながら、ここには開放感がある。客席が詰め込まれているのになぜ開放感があるのか。それはまず、店舗ごとの間仕切りはあるが視界に入らない高さになっていること。さらに個性的なバラバラの店舗デザインが一つの空間に凝集されていることが挙げられる。そのポイントは後述する施工の段階で詳しく述べる。

コロナ禍の営業時間短縮の要請に従って21時までの営業としているが、取材をした4月上旬現在、平日で120万円、土日祝では180万円を売り上げている。土日祝には1日700人が来店していることになる。前出の松本氏は、事業計画書に月商4,000万円と記したというが、それを上回る勢いで推移している。

さて、ここの物件を見て松本氏がひらめいたという「野毛一番街」とはJR桜木町近くにある大衆的な酒場が集まる大きな飲食店街「野毛」の中にある。

同店をプロデュースしたのは横浜の飲食企業㈱First Drop代表の平尾謙太郎氏。コンビニが撤退した路面45坪の物件で6店舗182席という複数業態の集合体をつくり上げた。ここの客席効率は「横浜西口一番街」の1坪あたり3.7席を上回る「4.0席」である。

それぞれの業態は、串焼きビストロ、肉バル、炭火焼き鳥、串揚げ×カレーうどん、魚と酒、韓国屋台居酒屋で、客単価は1,500円~2,300円と大衆業態で構成された。オープンして間もなく1日500人が来店するという盛況を博し、コロナ禍前には月間で2,800万円を売っていた。

松本氏にとって、ここで経験したことが「1社だけでは醸し出すことができない強烈なパワーが放出された」と記憶に刻まれていた。

そこで、松本氏は早速平尾氏に「横浜西口の物件を『野毛一番街』を参考にした店にしたい」と構想を披露し、出店も了承していただいた。こうして、個性的な7社の店舗が一つの空間に揃うことになった(各店舗の概要は巻末で紹介)。

詰め込んだ店内の中に個性的なデザインが凝集されている
張り出したテラス席によって店内の賑わいと楽しさをアピールしている

施工業者が複数入りバラバラな空間ができ上がった

「横丁」は統一感がなく雑多な個性が集まっていることが魅力である。そこで松本氏は設計施工の進め方に工夫を凝らした。

まず、全体のデザインとA工事、B工事は奴ダイニングが担当。出店する会社が担当したのはC工事のみである。これで出店する会社の出店コストは1社で新規出店する場合と比べて抑えることができた。

次に、A工事、B工事の施工業者は2社、C工事には4社が入った。これらの工程を調整することは容易ではないが、松本氏はこれらの業者すべてと交流があることからスムーズに進めることができた。また、複数の施工業者が内装工事を行うことによって、内装のテーストが統一されておらずバラバラな集合体ができ上がった。

工事の内容をざっくりと言うと、まず、物件の持ち主からスケルトンの状態で受け取った奴ダイニングは、A工事、B工事において、間口の改造、電気、水道、エアコン、トイレ、テラス、共有部の床を整えた。C工事では各出店者と造作に関する一定の規定を共有して、出店社それぞれが思い通りの造作を行なった。全体の工事費用は約12,000万円となった。

出店している店舗の客単価は2,0003,000円に収まっている。既存店舗は高級店であってもこのプロジェクトに合わせて大衆的な新業態を開発した事例もある。

コロナ禍の中で新規出店したこともあり、オープンに際して「withコロナの先駆けとなる横丁」をうたっている。そのポイントは「横丁の抜け目ない4つの感染症対策」である。内容は、①検温・消毒の実施、②十分な換気、③マスクの着用、④光触媒のコーティングである。④の光触媒は抗菌だけではなく、消臭、防藻・防カビ、有害物質の分解・除去に効果があり、コロナ禍で注目をされるようになった。

「圧倒的な集客力の創出」「出店コストを抑える」「安全・安心な店内環境」という具合に「横浜西口一番街」は飲食業の展開の在り方に新しい要素を創出している。

ロゴや提灯などのブランディングはお馴染みのものがそのまま掲出されている
店舗ごとの敷居を低くしていることと店舗デザインがバラバラになっていることで開放感がある
テイクアウトを積極的にアピールしている店もあり売り方の多様性が広がっている

「横浜西口一番街」に出店している店舗名、(坪数・席数)、会社名は以下の通り(店名の五十音順)。カギカッコの中の太い文字はキャッチフレーズ。

韓兵衛(かんべえ)(10坪・38席)㈱YOSHITSUNE

「気軽に韓国屋台料理を楽しめる」。キムチ、ナムルにはじまり、ビビンバ、サムギョプサルなど本格的な韓国料理を、韓国の家の庭先で食べるようなイメージ。

魚と酒 はなたれ7坪・35席)㈱First Drop

「こだわりの魚と酒」。横浜中央市場に買参権を持つ。また、三崎半島佐島漁港でその日獲れたての「湘南朝生しらす」をはじめとした市場に出荷前の朝どり魚を仕入れる。

焼売酒場 しげ吉10坪・32席)㈱シゲキッチン

「おいしいものを通じて人同士が仲良くなれる場」。横浜界隈で焼肉店「食彩和牛 しげ吉」を展開する企業の新業態でA5メス和牛を使用した焼売専門店。蒸し、揚げ、炙りで提供。

野毛焼きそばセンター まるき10坪・32席)㈱Omnibus

「記憶に残る絶品焼きそば」。東京・浅草「開花楼」特注の麺×オリジナルソース。横浜・野毛の本店は「横浜で食べ歩き料理5選」に選出されている。メキシコ料理もある。

BEEF KITCHEN STAND10坪・47席)㈱奴ダイニング

「ステーキや肉料理でお酒が飲める大衆居酒屋」。「名物ビフテキ50290円(税込319円)をはじめとしてスモールポーションのフードメニューのバラエティが豊富。

もつしげ(9坪・32席)㈱ニュールック

「横浜西口一番街にふさわしいもつしげ」。横浜・野毛が発祥のブランドで、毎朝仕入れる鮮度が際立つモツを串焼き、名物の「塩もつ煮込み」などで提供する。

もつ煮込み専門店 沼田14坪・45席)㈲珈琲新鮮館

「日本で唯一のもつ煮込み専門店」。味噌、醤油、塩、カレーなど、常時5~6種類のもつ煮込みを揃える。味ごとに素材を変えている。モツを使用したバラエティが豊富。

設備投資、ノウハウ一切不要。「居酒屋のランチラーメン」請負企業

日本人にとって国民的な料理ともいえるラーメン。人気店には行列ができ、有名店になれば、コンビニや大手食品メーカーとのコラボでインスタントになることもある。しかし、味が認められ、客が付くまでには厳しい修行と実践の積み重ねが必要で夢破れ途中退場する店も多い。そんなラーメンを居酒屋の人気ランチメニューするためのノウハウとサポート体制をもった企業が今注目されている。

フランチャイズを表に出さない「ステルスFC」で成功

飲食業はコロナ禍で時短営業が求められ、それによって営業時間を前倒しする傾向が見られている。特に夜営業が主体となる居酒屋では、これまでクローズしていたランチタイムを活用するようになった。テイクアウトもそのひとつだが、ここでは「ランチラーメン」の取組みを紹介したい。これは、居酒屋がランチタイム限定でラーメンを販売している動向である。

この立役者となっている会社は株式会社テイクユー(本社/東京都新橋、代表/大澤武)。同社は東京都内にラーメン店15店舗、居酒屋5店舗を展開しているほか、「ステルスFC」によって全国に約100店舗のラーメン店を展開している。ステルスFCとは、決められた屋号ではなくオーナーが自由に店名を決めることができ、原材料の仕入れを本部から行うといった仕組みのFCである。

同社ではこのコロナ禍で、ランチタイムを有効活用するためのランチラーメンをプロデュースする依頼が増えるようになり、これまで十数店舗の実績をつくった。

「設備投資不要」「職人不要」の仕組みをつくる

テイクユーがラーメン店を手掛けたのは20127月のこと。「鶏白湯」から始まり、「煮干し」が加わり、昨年の3月に「貝出汁」の直営店を出店した。また、ステルスFCが増えてきたことから、それぞれとスープがバッティングしないように、「担々麺」「二郎系」「濃厚豚骨」「博多豚骨」という具合にスープのレシピをストックするようになった。

同社がランチラーメンのプロデュースを初めて手掛けたのは5年程前、ランチ営業をしたいという居酒屋から相談を受けたことがきっかけであった。条件は「設備投資がない」こと。

これを機に居酒屋がランチラーメンを導入するための障壁を取り払っていった。

その障壁とは、①設備投資が必要(茹で麺機など)、②スープを仕込みたくない(設備、レシピ、労力など)、③調理・販売ノウハウを持っていない、④ラーメン専門店に勝つ自信がない――このように、ランチラーメンに魅力を感じているが、失敗するリスクが心配だということだ。

同社ではステルスFCを展開するために、ラーメン専門のメーカーに、ラーメンの麺、スープ、かえし、油のスペックをオーダーして、メーカーがこれらを一括して加盟先にデリバリーを行っている。店舗ではラーメン職人が不在だが、メーカーではスープを大量につくるラーメン職人が存在する。そこで、ランチラーメンを導入する店舗は基本的にはコンロが2台あれば十分という。

このようなソリューションによって、ランチラーメンは「提供時間が短い」「回転率が速い」「老若男女とターゲットが広い」「客単価が950円前後と比較的に高い」というメリットをもたらした。

居酒屋がランチラーメンを手掛けるためのポイントについて大澤氏はこう語る。

「本来の居酒屋営業とのストーリー性が重要です。鮮魚の居酒屋を営んでいるところが担々麺を売っても売れません。当社が新しく考えた貝出汁がふさわしい。これは本来の営業と『魚介類』ということで一貫性があります。担々麺を出すのであれば、小籠包の店がふさわしい。大衆食堂には煮干しラーメンが向いています」

以下に、同社のランチラーメンの仕組みを導入した事例を二つ紹介しよう。

立ち飲み居酒屋がランチラーメンと二毛作営業

東西線・神楽坂駅から徒歩2分、出版社の新潮社ビルの斜め向かいにある立ち飲み居酒屋「魚匠」では1月5日からテイクユーのランチラーメンを導入している。導入前までは16時から22時営業としていたが、1月5日からは1145分から14時までランチラーメンを営業、16時から22時まで立ち飲み営業となり、その後、時短営業要請に従っている。

同店は20207月にオープン。10坪強、立ち飲みは最大で25人収容。経営者の長谷川勉氏はかねがねランチラーメンを導入したいと考えていたところ、12月にテイクユー代表の大澤武氏と知り合い、意気投合し、ラーメンの食材すべてをワンストップで供給するテイクユーに依頼した。

長谷川氏はテイクユーの商品をいろいろと試食した結果、スープは貝出汁、麺は平打ち麺とした。料理長と研究を重ね、かえしとチャーシューの一部は同店でつくるようにしてオリジナルな貝出汁ラーメンをつくり上げた。

ランチラーメンの告知は現状SNSのみで1日20食以上(客単価950円)を販売している。一人で来店する女性客も定着してきていて、これからは二毛作を定番化していくという。

東京・神楽坂でランチラーメンを導入している立ち飲み居酒屋の「魚匠」。ランチラーメン営業時には専用の暖簾を掛けている
「魚匠」の「特製醤油らぁめん」と味変の柚子胡椒、「貝だし炊き込みご飯」
「魚匠」のランチラーメンのメニュー構成。テイクユーの貝出汁ラーメンの内容を踏襲している。

飲食店街の4店舗のうち1店舗をラーメン店に転換

有限会社珈琲新鮮館(本社/神奈川県相模原市、代表/沼田慎一郎)では、東京の飲食店街である新宿三丁目に居酒屋を4店舗擁しているが、そのうちの1店舗をテイクユーのラーメンプロデュースによってラーメン店に業態転換した。こちらはランチラーメンではなく、全時間帯でラーメン店を営んでいる。

同社の新宿三丁目の旗艦店は「もつ煮込み専門店 沼田」。その隣に2017年に6.5坪、9席の物件を取得して「もつ煮込み専門店沼田 はなれ」(以下、はなれ)として営業してきた。

コロナ禍の1回目の緊急事態宣言では新宿三丁目はゴーストタウンとなり、その後少しずつ顧客の数は回復してきたもののコロナ第三波で再び町は沈むようになった。

同社では本拠地となる神奈川・相模原地区にカフェや食事中心の店舗を展開していて、これらはコロナ禍による売上の落ち込みが一様に軽微で、中でもラーメン店の「麵屋沼田」では平常時の売上に対し8割、9割で推移していた。

18日から二回目の緊急事態宣言が発出され、新宿三丁目の4店舗の居酒屋は時短営業要請に従った。そこで、新宿三丁目の4店舗のうちラーメン店営業に向いている「はなれ」を「貝出汁中華そば 貝香屋」(かいかや)という店名に切り替え、看板も新しくつくり、116日よりラーメン店の営業を開始した。商品は「醤油そば」(850円、税込以下同)、「塩そば」(850 円)、「味噌そば」(900円)、「辛味噌そば」(950円)、「まぜそば」(850円)など。同社ではラーメン店を擁していることから従業員はジョブローテーションでラーメンのオペレーションを経験しており、居酒屋からの転換はスムーズに行われた。

こうして前述の営業体制で日商10万円を超えたこともあり、現在も7万円を下回ることなく営業を継続している。

東京・新宿三丁目の「もつ煮込み専門店沼田 はなれ」では「貝香屋」というラーメン専門店に転換した
「貝香屋」ではラーメンメニューの看板を設けてラーメン専門店として定着している
「貝香屋」の「塩そば」850円。こちらで原価率30%を保っている

さて現在、テイクユーでは居酒屋からのランチラーメンの相談案件が増えて来ていているという。コロナ禍は飲食業界に「テイクアウト」「デリバリー」「ゴーストレストラン」という新しいキャッシュポイントをもたらしているが、ランチラーメンもこれらと同様の可能性を生み出している。

ランチラーメンをプロデュースしているテイクユーが昨年3月に貝出汁ラーメンの直営店を出店し、同社のスープのバラエティを広げた

ついで買いから本命買い売場へ!「ドラッグストア食品部門大研究」月刊MD 2021年4月号の見どころ紹介

月刊マーチャンダイジング 2021年4月号を編集長野間口が動画解説しています。特集はドラッグストアの食品部門大研究。小商圏でますます重要度が増す食品部門の現状、目指すべき売場を徹底解説。その他のコンテンツも読み応えあります。是非ご購読を!!

 

【今月の視点】

withコロナで、「プロモ主義」から「定番主義」に大きく転換する(主幹 日野 眞克)

キーマンインタビュー
日本チェーンドラッグストア協会副会長 榊原 栄一氏に聞く

【特集】
DgS食品部門研究2021

コスモス薬品食品売場研究
DgS各社企業分析
DgS各社店舗企業分析
部門別売り方のポイント
[提言]

トップインタビュー
ビー・アンド・ディー 代表取締役社長 上條 明子氏に聞く

【特別企画】
お客に失敗させない除菌剤売場

除菌剤の基礎知識
情報発信、棚割例
ID-POSデータによる売れ筋商品分析
店舗調査、棚割分析

CATEGORY STRATEGY 注目のカテゴリー育成計画
大塚製薬「男性用シャンプー・ボディソープ」

CATEGORY PLAN 注目のカテゴリー戦略
アース製薬「モンダミンシリーズ新商品」

[店舗リポート]
B&D「長久手東浦店」「牧の原店」「志賀公園店」

業態STUDY
コンビニ全店売上高が初の前年割れを起こすも
コロナ禍を奇貨として成長のチャンスに変える
流通ジャーナリスト(月刊コンビニ編集委員) 梅澤 聡

〈連載〉
郡司昇のリテール・ニューフレームワーク[第11回]
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第178回]有田 英明
流通データ
編集後記

スリランカと日本、夢の架け橋を目指した「スパイスカレー食堂」元気に営業中!

コロナ禍は人の往来、出会いを阻んでいる。そんな中、2018年からスリランカ人の勤勉さと優秀さに注目し、日本と彼の国とを頻繁に往来し、スリランカ人の雇用で発展を目指す飲食店がある。厳しい時代ではあるが、花開く日を目指して、夢の国際交流のつぼみは確実にふくらみつつある。

味変無限大、本場スリランカのスパイスカレー

主として神奈川・相模原と東京・新宿三丁目エリアに営業拠点を構える有限会社珈琲新鮮館(本社/神奈川県相模原市、代表/沼田慎一郎)では2021年211日、東京・四谷にスリランカカレー専門店の「スパイスカレー食堂」をオープンした。このカレーは、小麦を一切使用せず、脂もほとんど使用していなく、また8種類のスパイス(ブラックペッパー、コリアンダー、カイエンペッパー、クミン、シナモン、ターメリック、クローブ、カルダモン)など現地のスパイスを使用していることから、従来のカレーとは一線を画した特徴があり、またグルテンフリーであることからも目的来店の可能性が広がる。

コメは香り高いタイ産のジャスミンライスを使用。8種類のソースや付け合わせを分けて盛り付けていて、カレーが運ばれてくると従業員が食べ方を説明してくれるのだが、最初は1種類ずつを味わってみて、次に他のソースや付け合わせを混ぜてみて、最後にはソース、つけ合わせ、ライスを全て混ぜて食べる、という食べ方をする。混ぜ方によって、またテーブルの上に置かれた「香高い追いスパイス」と「追い辛スパイス」をお好みで加えることによって、顧客は〝無限の味変″を楽しむことができる。

店舗は6.5坪で7席、1100食限定で提供しているが、連日売切れの状態となっている。このような売り方をしている理由は、同店を開発した副社長の佐々木証氏によると「これ以上売ると、われわれが目指す営業スタイルが崩れて、クオリティが下がるから」という。

ジャスミンライス、人参サンボール、三つ葉サンボール、パリップ豆カレー、豆腐のカシミールカレー(他に、チキン、ポーク、フィッシュがあり)、ジャガイモとインゲンのカレー、紫キャベツのピクルス、パパダム(豆のせんべい)と8種類を混ぜ合わせて食べる。

スリランカ人を社員に採用して以来つながりができる

同店が誕生したきっかけは2018年当時の「従業員不足」であった。外国人留学生を雇用していたが、彼らはみな優秀であったことから外国人の社員採用を検討するようになった。そして二人のスリランカ人を採用。この二人が優秀なことから、佐々木氏はスリランカ現地の家族を訪問するなどスリランカの人々との交流を深めた。

佐々木氏はスリランカ人の社員から、「スリランカに日本で働きたい人がたくさんいる。その願いをかなえることができませんか」と相談を受けた。そこで「有料職業紹介事業」と「特定技能登録支援機関」のライセンスを取得すると、このような人たちのサポートができるのではと考えるようになった。

このような態勢をつくり上げるためには、受入れ機関となる同社と送り出し機関となるスリランカ側と契約を結ぶ必要があった。ここにスリランカ人の社員の緒里美那月(おりみなつき/日本名)氏がそのルートをつくる水先案内人となった。2020年2月、佐々木氏はスリランカを訪ねてその活動を行った。この時の現地での食体験がスパイスカレー食堂のヒントをもたらした。佐々木氏はこう語る。

「スリランカでは朝昼晩とカレーを食べます。すると日を経るごとに体が軽くなり、体の力がよみがえってきました。そこでスリランカカレーを日本で展開したいと考えるようになりました」

20204月に入り、コロナ禍の日本では緊急事態宣言となり同社の拠点の一つである新宿三丁目は閑散となったが、同社ではスパイスカレーの試食を重ねていた。この過程で、「本場スリランカのカレー専門店ではなく、日本のスパイスカレー食堂をつくろう」と考えるようになった。こうして現在のタイ産のジャスミンライスを使用したスパイスカレーができ上がっていった。

同社では外国人雇用のための有料職業紹介事業と特定技能登録支援機関のライセンスを3月に取得、5月から本格的に動き出すことになったがコロナ禍で停滞した。

スリランカ側では送り出し機関のライセンスを取得し、同店9月首都コロンポ郊外のキリバスゴダにスパイスカレー食堂LABOと日本語学校「緒里美日本語学院」を開設した。

同社代表の沼田慎一郎氏はこう語る。

「日本でスリランカ人が働く際に、自分たちのアイデンティティが生かされる職場であればより輝くことができるのではないかと考えて、スリランカのカレーの店を出店する意向を強くしていきました」

珈琲新鮮館の新宿エリア総料理長、羽牟雄樹(左)と緒里美氏
スリランカの首都コロンボの郊外にキリバスゴダに開設した「スパイスカレー食堂LABO」と日本語学校「緒里美日本語学院」

顧客のほとんどが「絶対にはやる」と言葉を残す

スパイスカレー食堂の物件は2020年11月新宿三丁目に近い四谷に確保した。商品の実験販売は新宿三丁目で展開している4店舗の1つを「緒里美カレー」という店名に変えて今年の1月より行った。商品は「スリランカプレート」1000円(税込)1品のみ。商品の内容は現在と同様である。同時期に同社の新宿三丁目の店舗ではもう1つを「貝香屋」(かいかや)というラーメン店に切り替えた。居酒屋4店舗のうち2つをフード主力に切り替えたことになる。これはフード主力の店が多い同社の相模原エリアの業績が、コロナ禍にあっても売上の減少が軽微であったことから、それに倣ったものだ。

貝香屋は日商7万円を下回ることがない好調な売上を継続していたが、緒里美カレーは1日の客数が10人程度の日が続いた。しかしながら、スリランカプレートを食べ終えた顧客のことごとくが「このようなカレーが周りにないから、絶対にはやる」と言葉を残してくれた。そして今年211日のオープンを迎えた。

同店はいわゆるシークレットオープンで、値引き販売などのキャンペーンは行っていない。とは言え、新宿三丁目の「もつ煮込み専門店 沼田」のファンが四谷で新業態をはじめたことを知り、来店して食事をしては商品や店頭の画像をSNSに投稿し好意的に支援をしてくれた。店頭には同店のこだわりをまとめたポスターが掲出されていて、通りすがりの人の中で立ち止まって注視する人が散見される。四谷界隈にはスリランカカレーを提供している店が少なからず存在しているが、スパイスカレー食堂のアピールは際立っているようだ。

現在は「朝カレー」をうたって朝8時にオープンしている。これは佐々木氏がスリランカで初めてスパイスカレーを経験した時に「目覚めのカレーを楽しみにするようになった」ことが起因している。このような「朝カレー」も新しいトレンドとなっていくかもしれない。

このようにスパイスカレー食堂が好調であることから店舗展開を想定している。それは同時にスリランカで同社が運営する日本語学校で学ぶ若者たちにとって大きな励みとなることであろう。コロナ禍が明けると同社が目指した外国人雇用の事業が活発化することになり、新しい事業領域を切り拓くことになる。

スリランカ人の社員、緒里美那月氏がキャラクターとなってスパイスカレーのこだわりをまとめたポスター

月刊マーチャンダイジング2021年3月号 予告編

月刊マーチャンダイジング2021年3月号を編集長野間口が動画解説しています。

 

<CONTENTS>

【今月の視点】 

ドラッグストアの30年の歴史を

未来の「中堅幹部」に継承しよう!!

【特別企画】
PB商品で地域シェア拡大

PB売上構成比17.5%、独自路線を歩むゲンキー
キーマンインタビュー
有力ドラッグストアのPB戦略解説

【特集】
店長・スーパーバイザーの教科書

第0章 店長なら知っておきたい小売・流通業の知識
第1章 店長・スーパーバイザーの職務
ツルハドラッグ関東店舗運営本部長 半澤剛氏に聞く
第2章 狭小商圏時代の売場づくりの基本知識
300坪型ウエルシア繁盛店のPOP研究「ウエルシア立川柏町店」
第3章 強い組織作りとチームワーキング
第4章 withコロナ時代の店舗オペレーション

注目の売り方シリーズ/肌トラブル・ウイルス対策
WITHコロナWITHマスクで生まれた
新たなニーズをカテゴリー横断で解決

[店舗リポート]
カインズ朝霞店

「楽カジ」、DIY、ペット各売場を強化
環境、防災への配慮もあるカインズの新型店舗

業態STUDY
伊藤忠が描くファミマの成長戦略は
デジタルを駆使したチェーンの再構築
月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡

〈連載〉
DgSが第二の黄金期を迎えるために[第177回]有田 英明
流通データ
2021年4月・5月「販促企画と提案ポイント」
編集後記

WITHコロナ・WITHマスクで生まれた新たなニーズをカテゴリー横断で解決

コロナ禍で社会にさまざまな変化が起こっている。スキンケアに関していえば、マスクを常時着用することで蒸れや摩擦が生じて肌トラブルに悩む人が増えている。さらに、感染への防御意識も高まりマスクプラスαを志向する人、実行する人も増加。こうした状況は、マスクで生じた肌トラブル対応商品の販売チャンスであると同時に、マスクやスキンケア商品を起点とした「もう一品購入」を促進する格好の機会でもある。WITHコロナ、WITHマスク時代、新たなニーズを捉えて生活者のQOL(生活の質)改善と業績アップを同時に実現させる商品、売り方を考える。

マスク利用者の肌トラブル急増

マスク+アクネでマスクネという新語も登場

新型コロナウイルス感染症を予防するためのマスク着用で、肌トラブルに悩む人が急増している。図表1は「マスク肌あれ」の検索件数を指数化したものだ。2019年と2020年を比較するとその上昇ぶりは明確である。マスクとアクネ(ニキビ)を掛け合わせた「マスクネ」という造語も使われるようになった。自身の体験で感じている人も多いだろうが、データの上でも多くの人がマスクによる肌あれに関心を示し、その解決策を求めていることが分かる。

一方、スキンケアの領域でWITHコロナのもと生活者の意識に変化が起こり始めている。図表23つのポイントをまとめた。ひとつは「メイクよりスキンケアに注力した17.9%」。マスク着用で多くの人がフルメイクをしなくなり、その分スキンケアに力を入れる人が増えている。第2は「化粧水の価格帯を下げたい20.7%」。コロナ禍による先行き不安から節約志向が高まっていることが背景にあると思われる。第3は「肌の清潔さ、健康を重視する27.4%」。先述のようにマスクによる肌トラブルへの対策・対応をする人が増えていると同時に、感染予防の意識から肌の清潔志向も高まっている。

3カテゴリー横断で新ニーズ対応のイハダ

3つのカテゴリーをカバーするブランド

先に見たようにWITHコロナ、WITHマスクの影響で社会は変化し、生活者の間に新たなニーズが生まれている。資生堂薬品のイハダはトラブルの原因から肌を事前に「守る(防御)」シリーズ、薬用スキンケアでトラブルが起きにくい肌に「整える(薬用ケア)」シリーズ、起きてしまった肌トラブルを速やかに「治す(治療)」シリーズと、3つのカテゴリーでWITHコロナ、WITHマスクで生まれた新たなニーズに柔軟に対応できる稀少なブランドである。

それを証明するようにイハダは20203カテゴリーすべてで業績を伸ばした(図表4)。とりわけ、感染予防意識の高まりから防御シリーズは大きく躍進。ブランド全体を牽引した。さらに薬用ケアシリーズから発売されている「薬用バーム」は2年連続アットコスメの年間No.12020年発売のシミ・そばかすを防ぐバーム「薬用クリアバーム」は発売5ヵ月でアットコスメのほか美容誌などで、ベストコスメとして9冠を達成。2種の薬用バームは単品としての圧倒的な強さを見せている。ブランドとしての好調な実績や単品の強さを背景に、2021年からイハダは3つのカテゴリー、3つのケアから自分の悩みに合わせてアイテムを選び先回りする新習慣を「肌トラブルのセルフコントロール」という表現で提案する。

マスク着用でいままでにない「肌トラブル」や感染症の不安を感じる人が多い中、イハダの持つ総合力を新たなコンセプトとして表現した「肌トラブルのセルフコントロール」は生活者の心に響き、新しい領域を開拓する大きな可能性を持っている。

防御シリーズ 予防意識の高まりでニーズ拡大

スプレー、ジェルで花粉やウイルス等からユーザーを守る。マスク着用時に使うという新習慣の効果もあり花粉防御剤市場で売上No.1の「アレルスクリーンEX(スプレータイプ)」は2020年ブランド躍進の牽引役を果たした。同年12月には手あれに配慮した「薬用消毒ハンドジェル」も発売。また、夏へと向かっていくこれからの季節、気になる紫外線から肌を守り、日焼け対策としても効果が期待できるノンケミカルの「UVスクリーン」も展開。ブランドの入口として大きな役割が期待できるカテゴリー。

薬用ケアシリーズ ベストコスメ多数受賞の2種のバーム

「薬用ローション」(化粧水2種)「薬用エマルジョン」(乳液)「薬用バーム」「薬用クリアバーム」を展開。特にスキンケアの最後に使うバームは、べたつかない使用感と高い保湿力で先述のとおり高い評価を得ている。買上点数を上げる追加の一品としては最適のアイテムだ。シリーズ全体を低刺激処方とし、抗肌あれ成分も配合。夏に向けておすすめしたいのは、さらっとしたテクスチャーに美白有効成分を配合した「薬用クリアバーム」だ。エアコンなどの夏の乾燥から肌をまもりつつシミ・そばかすも予防する。「肌トラブルのセルフコントロール」の新習慣が普及すれば、レギュラーケアのアイテムが多いだけに大きな伸びが期待できるカテゴリー。

治療シリーズ マスクによる肌トラブルにも対応

起こってしまった肌トラブルを速やかに治す。エッセンス・クリーム・軟膏など、使い心地の異なるアイテムを展開。全アイテムがノンステロイドで、乾燥トラブルから花粉期のかゆみ、マスク生活で悩みが増えつつある「マスクネ」(マスクニキビ)まで、さまざまな症状に対応。顔全体のマスクあれに対応するエッセンスタイプやマスクのフチがあたってかぶれがちな目元にも使えるアイテムが好評資生堂が長年培ってきた化粧品の乳化技術を活用し、使い心地のよさも追求している。治療効果でロイヤルユーザー育成に効果を発揮できるカテゴリー。

これからよりニーズの高まる「効く」肌トラブル対策

市場、社会環境の変化を捉え順調に成長するイハダ

スキンケア市場では、「安心安全スキンケア」のニーズが高まっている。とくに、イハダの薬用ケアシリーズが属する低価格帯(2,000円未満)商品は2016年から2019年までの4年間で年平均成長率10.3%という大きな伸びを見せている。

また、皮膚治療薬市場は4年間の年平均成長率が2.1%2019年の市場規模は831億円※1に上る有望市場である。近年では、かゆみの部位を選んで使用する商品がヒットするなど、パーソナル化、細分化が進んでいる。イハダの治療シリーズでも使用部位や目的を明確にしたアイテムを販売している。

さらに、マスク常用による肌トラブルで悩む人が増えていることから新たな需要が生まれている。これは、イハダの提案する「肌トラブルのセルフコントロール」が受け入れられやすい環境へとつながる。

こうした市場、社会環境のもとイハダの認知率は上昇、20204月時点で30.5%で皮膚治療薬平均の24.7%を上回っている※1

顧客数に関しても、2019年上期(1-6月)と2020年上期(同)の比較で、治療シリーズで17%、薬用ケアシリーズで37%、防御シリーズで46%の伸びを見せている。※2これらデータからイハダがさらなる成長をとげる土台は整っているといえる。

※1インテージSDISRI調べ

※2資生堂ジャパン調べ

※3ID-POSデータとインテージSRI-MSDI-Mから算出

イハダを効果的に陳列して、買上点数を上げる

イハダ一品プラス購買を促進新規客獲得、潜在需要を掘り起こす

最近の情勢から当面WITHコロナの時期が続くものと思われる。WITHコロナはWITHマスクの時代でもあり、先に見たようにこれにより新たな需要が生まれている。加えて感染に対する防御意識、不安も高まっている。

これらの状況から生活者がいままで使っていなかったアイテムをプラス一品で購入する可能性は大きい。イハダにより新規客を獲得し潜在需要を発掘するために、まずこの可能性を追求すべきだ。図表5にもう一品提案、クロスマーチャンダイジング(MD/多箇所陳列)の提案例をまとめた。

定番売場でブランド展開すると同時に、追加購買、新規客獲得を狙うためにはマスクやスキンケア売場でのクロスMDは必須である。そのためにイハダでは吊り下げ什器などの店頭支援を準備している。