“女性特有の悩み”を網羅するトモズ 白金高輪店のフェムケア売場

首都圏を中心に259店舗(2025年2月現在)を展開するドラッグストア(DgS)、トモズ。同社が白金高輪店で展開しているフェミニンケア(フェムケア)売場は、吸水ショーツや温活アイテムといった定番アイテムにとどまらず、デリケートゾーンケア、妊活関連など、幅広く、そして深いアイテムをラインナップする。その狙いを聞いた。(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

月経ケア、デリケートゾーンケア、妊活…女性の悩みに寄り添う売場

トモズ 白金高輪店

地下鉄白金高輪駅から徒歩数分、国道1号線沿いのマンション1階に立地するトモズ 白金高輪店。2024年に改装オープンした同店舗で、ひときわ目を引くのがフェムケア売場だ。

3尺棚3本の売場に「女性特有の悩みを解決する」というコンセプトに合わせたアイテムが品揃えされている。

生理用品の棚から続くフェムケア売場の左側の棚には、ワコールのYOJOY、Bé-A(ベア)の吸水ショーツなどの月経関連アイテムが並び、棚下部にはアロマアイテム、温活グッズなどを配置。

おすすめ新商品としてPBであるAPSのデリケートゾーンケアアイテムとモアディーテを陳列

一番目につく中央の棚上段には、人気が高まるデリケートゾーンケアのアイテムが陳列されている。トモズのプライベートブランド(PB)ブランドである「APS」では新ライン「APSfond of me」のデリケートゾーンケアアイテムを展開。

Woman‘s Health Careコーナーとして、3尺棚3本で展開

 

具体的な売場の品揃えは月刊マーチャンダイジング note版で!

[店舗概要]

店舗名 トモズ 白金高輪店
所在地 東京都港区高輪1-3-1 プレミストタワー白金高輪1階
売場面積 126坪
営業時間 9:00~22:00

知っておくべき薬機法改正~OTC販売制度の変更~

厚生労働省は、2024年「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会」(以下部会)において10回の会議を重ね医療用医薬品、OTC医薬品の製造、流通、販売に関して見直し、2025年に薬機法の改正を行う見通しである。ここでは、ドラッグストア(DgS)に関係する2つの見直しについて解説する。なお、本記事の編集時点では、途中経過のみ公表されているので、内容は最終決定ではない。(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

濫用等のおそれのある医薬品の販売方法の変更

[図表1]全国の精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の「主たる薬物」の推移

近年、若年層が風邪薬や咳止め薬などを規定量を超え大量に服用し、意図的に高揚感を得る、いわゆる「オーバードーズ」が社会的に問題視されている。図表1は厚生労働省が発表している資料だが、10代の薬物依存で治療を受けたことがある人が、主にどのような薬物に依存したかという問いに対して市販薬(OTC医薬品)と回答した人は年々増加している。

これを防ぐために、常習性を引き起こす特定の成分を含むOTC医薬品=「濫用等のおそれのある医薬品」の販売方法を厳格にする対策が厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」にて検討された。

2024年の見直しでは、濫用等のおそれのある医薬品の陳列は購入者の手に届かない場所とする(空箱陳列等)、購入者の住所、氏名等を記録し保管するなどの対策が検討された。検討対象である濫用等のおそれのある医薬品を販売する主要チャネルはDgSである。

また、JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)のアンケート調査によれば、濫用等のおそれのある医薬品を150品目以上揃えている店舗は、回答37社の1万3,401店舗中、約72%に当たる9,600店舗あった。DgS側は、JACDSを中心に、この見直し案は実際に法律化されると、販売店側は大幅な作業増加につながり、本来の説明販売する余力がなくなるとして対案を提示するなどして厚生労働省と協議を重ねた。

その結果、2025年の1月に公表された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ(以下とりまとめ)」では、次のように記載されている(一部抜粋)。

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【冷凍食品は食卓の主役になれるか】イオンリテール(@FROZEN)食品本部デイリーフーズ商品部長 青木郁雄氏インタビュー

@FROZEN(アットフローズン)は2022年8月、「イオンスタイル新浦安MONA」内に1号店がオープンしたイオンリテール直営の冷凍食品専門店。日常食とは離れた有名店の逸品料理、日本各地の名産品、海外の人気商品など「非日常的な食を自宅で手軽に楽しもう」という新たなライフスタイル提案をしている。同事業の商品責任者であるイオンリテール(株)食品本部デイリーフーズ商品部長の青木郁雄氏に話を聞いた。(聞き手/月刊MD編集主幹 野間口 司郎)(月刊マーチャンダイジング2025年6月号より抜粋)

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冷食に注力し続けるイオンの力と市場成長により専門業態が誕生

─まず、@FROZEN開業の意図や経緯について教えてください。

青木 イオンリテールは従来から冷凍食品に力を入れており、イオンスタイル北戸田では、実験的な要素もありましたが、他店と比較してもかなり広い売場を冷凍食品に充てており、品揃えに苦労したという過去もあります。こうした努力の積み重ねで、当社の冷凍食品のマーチャンダイジング(MD・商品政策)は進化してきました。それと並行して市場も成長しています。

以前は冷凍食品というと手抜きのイメージが強く、簡単にできるが味はもうひとつというのが現実でした。最近は冷凍技術が飛躍的に進歩して、味も品質も相当に高いレベルになっています。

加えて、女性の社会進出、単身化、高齢化が進んで、時短、簡便な食を求め「料理のつくらない化」が進行しています。さらに、1人分や2人分といった量をうまくつくるのは難しく、つくり過ぎて結局廃棄するというフードロスの問題もあり、それならおいしくなった冷凍食品でいいという考えが広く浸透してきました。

こうした状況をトータルに踏まえて、今後伸びる冷凍食品に投資しようということで@FROZENが誕生しました。

─開業した2022年8月はコロナ禍の最中でしたが、これは意図したタイミングでしょうか。

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《取材協力》

イオンリテール(株)
食品本部デイリーフーズ商品部長
青木 郁雄氏

「管理栄養士おすすめ」ブランドで付加価値アップ目指すツルハグループの食品PB改革

ツルハグループの食品プライベートブランド(PB)では、「管理栄養士おすすめ」など、専門性をイメージさせるネーミングと健康を意識した機能性で付加価値づくりに成功している。このブランドを含む同社の食品PB改革のプロセスをTGMD※に取材した。
※TGMD=株式会社ツルハグループマーチャンダイジング。ツルハグループの物流、商品調達、店頭サポート、PB商品の企画・販促、通信販売(EC)事業を担う企業。
(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より抜粋)

ひと目でPB商品と分かる食品PBがなかった

ツルハグループでは2018年、それまでの日用品とHBC(ヘルス&ビューティケア)商品のプライベートブランド(PB)を、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」に刷新。PB開発の本格的な強化に乗り出した。以降、PB商品のSKU数、売上高を順調に伸ばしている。

[図表1]ツルハグループのPB商品業績(2024年5月期決算)

図表1は、ツルハホールディングス(HD)の2024年5月期のPB商品実績である。PB商品合計の売上高は943億2,400万円、売上高に占める構成比は10.5%となっている。

同社ではメーカー専売品(ツルハグループだけで販売するNB商品)もPB商品に含んでおり、PB商品全体の粗利益率は41.8%で収益への貢献性は高い。くらしリズム、くらしリズムMEDICALの合計の売上高は496億4,900万円、構成比5.5%となる。

日用品とHBCには、「くらしリズム」と「くらしリズム MEDICAL」で対応、順調に開発を進めている一方で、食品PBに関しては核となるブランドを確立できていないという課題感もあった。

「食品PBは店頭で見てもそれがPB商品であるかどうかが分からない、PB商品でもパッケージデザインに統一感がないといった課題がありました。ここを修正しようということで、コンセプトやブランドを整理して全体的な開発マップをつくりました」(TGMD 食品MD本部 本部長 寺西正芳氏)

食品PBの改革に当たっては、通常PB開発本部の下で行われる開発を、寺西氏が本部長を務める食品MD本部の管轄に置き、寺西氏の前職である杏林堂商品本部長時代の経験も生かし、開発メンバー一丸となりフルスクラッチ(ゼロから)に近いかたちで臨んだ。

[図表2]食品PB開発軸のマップ

図表2は、食品PB開発軸のマップである。管理栄養士のおすすめやおくすり屋さんを前面に出した「①健康・美容」、ツルハ発祥の地である北海道にこだわった北海道シリーズを中心とする「②食べたくなる、おいしそう」、価格を訴求する「③買いやすい」、若年世代に面白さを提供する「④エンタメ、ダブルチョップ」以上4つの軸である。

「管理栄養士おすすめ」ブランドのオートミール。ツルハグループ内で売れ行き好調

「新しい食品PBづくりに着手して、1年経ちようやく形になってきました。既存の食品PBもこのどこかに当てはめてつくり直すことに現在力を入れています。今期中に140〜150のSKUを上市する予定です」(寺西氏)

コンセプト、ターゲットを明確にし、4つの開発軸を定めることで急ピッチの開発に成功している。

油の吸収率を抑えるパン粉でカテゴリー拡大

DgSは小商圏化に伴い、繰り返し来店につながる食品部門の重要性が増している。この分野でリピートも高い粗利も取れるPB商品の開発は各社にとって重要な戦略となっている。

先に見たようにツルハグループの専売品を含むPB商品の粗利益率は40%を超える優良分野である。重要戦略を任された開発チームがとくに期待しているのが「管理栄養士おすすめシリーズ」だ。

続きは月刊マーチャンダイジング note版で!

 

《取材協力》

左から PB商品開発部PB商品開発グループ 上條 俊之氏
食品MD本部 本部長 寺西正芳氏
食品MD本部 PB商品開発担当 嵩山しげみ氏

セブン−イレブン「成長に向けた取り組み」と「次世代店舗システム導入」による発注効果

昨年6月にセブン−イレブン・ジャパン執行役員商品本部長に就いた羽石奈緒氏。国内店舗売上5兆3,000億円を誇るセブン−イレブンの成長を担うキーパーソンである。折しもカナダのコンビニ大手からの買収提案に揺れる中で、セブン&アイの中核企業であるセブン−イレブン・ジャパンは独自の成長路線を明確にし、実証していく必要がある。2025年3月26日に会見を開いた羽石氏が「将来への成長に向けた取り組み」を語った。その内容とともに、今春から導入を図る「次世代店舗システム」との関連にも言及したい。
(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年5月号より抜粋)

ヨコ軸のお店の使われ方の幅とタテ軸の食場面の幅を拡大する

「我々が提供する商品は、あくまでも調理の補助(的な位置付け)だったものから、食卓を彩る一品になり、食卓のメインになるような商品の品揃えが増え、幅を広げています。自宅でもオフィスでも購入できるお店として幅が広がっています。これからもセブンイレブンの使われ方、利用のされ方、体験価値を地道に、地道に押し上げていくことによって、成長を遂げていきたい」(羽石氏)

[図表1]セブン−イレブン・ジャパンが目指す姿とは

会見で羽石氏が語るのは、セブン−イレブンが今後目指す姿だ(図表1)。

創業から早い段階でセブン−イレブンの成長を加速させたのが、移動の際に片手で食べられる、おにぎりやサンドイッチなどのワンハンド商品だ。当初は他社から仕入れた「いなりずし」をレジ前に置いて販売していたが、すぐにベンダーと協力して、おにぎりやサンドイッチなどの専用商品の導入を図った。

次に中華まんやおでん、揚げ物をカウンターに陳列、出来たてをすぐに食べたい需要を満たし、その後2013年に全店に導入したセブンカフェにより、挽きたてのレギュラーコーヒーを提供。さらに2025年2月に立地上、導入可能な全店にお届けサービス「7NOW」を取り入れている。図表のヨコ軸のように「来店目的・お店の使われ方の幅」を広げてきた。

一方のタテ軸については、例えば「カップデリ」(丸形容器の惣菜)を2017年に開発、サラダ、おつまみ、副菜を軸に約20アイテムを展開し、「食卓を彩るプラス1品」として「食場面の幅」の広がりに尽力してきた。

図表の右上が現時点の目指す姿であり「買い回りよくワンストップショッピングが可能」と位置付けている。冷凍食品を拡大し、プライベートブランド(PB)比率を高めると同時に、売場はアイスケース、中島冷凍リーチインを拡大する。また、日配商品を拡充し、2025年度より青果物のいっそうの拡大を図り、2030年までにオペレーションの体制を整えていく。

既存のミニスーパーとは異なる、コンビニが手掛けるワンストップショッピングの新しい業態開発を推進させていく考えである。

以上のような道筋を示した上で、将来への成長に向けて現在取り組んでいるのが、カウンターで販売する「出来たて商品の強化」である。

「我々の強みの一つである出来たての商品が家の近くで購入できれば、お店の使われ方が“さらに近く”に変わっていく、ここをチャンスと捉えて力を入れていきたい」(羽石氏)

出来たて商品は、おでんや中華まん、セブンカフェへと充実を図ってきた。現在は定番商品の「ななチキ」「揚げ鶏」に加えて、新たに「若鶏のからあげ」280円(本体価格、以下同)を販売する。

そして将来の成長に向けて、埼玉県29店舗でテストを実施(2025/1/9〜店舗改装せず、設備導入にて対応)、新たな商材として「セブンカフェティー」「セブンカフェベーカリー」として焼きたてのベーカリー(メロンパン、チョコクッキー、フィナンシェなど)をラインナップとして加えた。既存の揚げ物、カレーパン、ドーナツも継続している。

出来たて商品の拡充によるワンストップショッピング効果

カウンター商材に新たに加わるセブンカフェティー。コーヒーとカニバリせず、売上の上乗せに期待する

セブンカフェティーは、アールグレイ、アッサムブレンド、ダージリンティーの3種類の茶葉をアイス、ホット、ミルクから選択できるようにして、レギュラーサイズ、ラージサイズで展開している。

「テスト販売は好調です。女性客比率が高く、午後の時間帯が売れて、スイーツや菓子と一緒に購入されるお客様が多い。コーヒーとはカニバリせずに上乗せになることが、テストで分かっている状況」(羽石氏)

この埼玉県の29店舗のテスト店の売上動向だが、テスト前の11月を100とした指数で、新カウンターの商材を品揃えした店舗では、1月6日の週から3月10日の週の平均では、155と売上を大きく乗せることができた。

テスト店と同じ埼玉地区の他の店舗については、11月と比較した際に、1月6日の週から3月10日の週の期間は、一般的に(おでん・中華まんの低下にともない)87%とダウントレンドにあるが、テスト店では逆にカウンター商材を大きく伸ばしている。

また売上もカウンター商材だけではなく、それを買い求めるお客の来店により客数が前年4.2%増と効果を確認している。

出来たてのカウンター周りの商品だけでなく、併売効果によりカウンター商材の売上以上の効果を生んでいるという。カウンター商品は粗利率が高いので、全体の荒利を押し上げる効果も確認ができている。

お届けサービス「セブンNOW」についても、テスト店では焼きたて、揚げたて効果により注文が伸長している。

前述と同様に11月を100とした指数で、1月6日の週から3月10日の週の平均で1.5倍の注文件数の増加を確認している。

設備機器の導入について、ベーカリーの焼成機は2025年度上期に4,000台、下期には8,500台、セブンカフェティーは3月時点で90店だが、下期に2,000台を導入していく。

「商品タグ付け機能」による消費シーンを想定した発注

セブン−イレブンは今春より新たな基幹システム「次世代店舗システム」を順次導入している。これまでセブン−イレブンの情報システムは、基幹システムの集配信サーバを経由して、店舗ごとのストアコンピュータ(通称ストコン)に店舗システム機能を構築してきた。

それを改めて、今後はクラウドに店舗システム機能とデータを集約して、基幹システムとクラウドの間でデータを送受信する。基本的には有事の際を除いて全てをクラウド化にする。

加盟店オーナーは、情報が欲しければ、いつでもクラウド上でアクセスし、チェーン本部と円滑なコミュニケーションを図ることができる。

店舗システム機器については、既存のストコンを撤廃、また、これまでの「専用端末」に代わって「汎用端末」を利用する。従業員が普段から使い慣れているデバイス(タブレットとモバイル端末)で業務を行うため、店舗オーナーにとっては教育負荷の削減と、それに伴うコストの軽減を期待できる。

レジに関しても、タブレットを用いた小型サイズのものに2026年度から切り替えていく。小型化によりレジカウンターに30%程度の余裕をつくり、前述したベーカリー、あるいはセブンカフェの新シリーズに充当する。

商品発注に関して、既にセブン−イレブンは「AI発注」を加工食品や飲料などに取り入れており、今後は長鮮度商品(チルド温度帯)にも拡大を図っていく。弁当や惣菜は、加盟店の意思を反映するため、AI発注には現状は含まれていない。

また商品発注の際に、店側の欲しい商品やイベント、例えば「気温上昇時」に必要な商品とは何か?といった「商品タグ付け機能」により、消費シーンでの絞り込みや検証を可能としている。商品タグは、既存のカテゴリー別のタテ割り発想ではなく、カテゴリーをヨコ串にした、横断的な発注の切り口として期待が掛けられている。

「お店の方たちが発注する際に、暑ければ冷たい麺(冷やし中華や冷やしそばなど)だとピンときます。ただ、消費動向を見ると冷たい麺だけじゃなくて、冷たいパスタとかパスタサラダ、あとは梅のニーズとか、一緒に売れるものが変化しています。タグ機能により関連商品の発注が増えてくる、あるいは発注カウンセリングがしやすくなるメリットがあります」

新たな情報システムの導入により、店舗責任者(オーナー、もしくは店長)はストコンを使わずに、タブレットやモバイル端末からの商品発注やシフト管理を可能として、事務所という場所に縛られず、店舗経営に専心できるようになる。

セブン−イレブンの将来に向けた成長には、「出来たて」という付加価値の高い商品、その半面、最新デジタル機器を拡充した店舗運営の効率化により、成長を図っていく。

セブン−イレブン・ジャパン
執行役員商品本部長
羽石 奈緒氏

統計から「踊り場」脱却は見えないが売上高、客数、店舗数で前年クリアと上向き傾向のコンビニ業界

日本の小売業を牽引してきたコンビニ業態が「踊り場」から脱却できていない。日本のセブン−イレブンを実質創業した鈴木敏文氏は1979年3月、セブン−イレブンがわずか800店舗の時代に、「食品小売業75万軒の1割の7万軒、少なくとも5万軒はCVS(コンビニエンスストア)の可能性ありと考えています」とコンビニ業態の未来を語っている。その数は的中したものの、5万店の半ばで足踏みした状態が長らく続いている。コンビニ業態に成長の余地はあるのか─。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年4月号より抜粋)

来店客数は前年を上回るが2019年の水準には達せず

コンビニ大手はフランチャイズ方式を基本としている。加盟店とチェーン本部が車の両輪として、各自の役割を遂行することで、互いの発展を可能としてきた。2010年代中盤まで、特に東日本大震災の後に、それまで訴求が弱かった女性や中高年を上手に取り込みながら、リーマンショック後に停滞していた店舗数を再び拡大基調に乗せた。

一方で、2010年代の後半になると、本部の好業績に反して加盟店の窮状が一部で伝えられるようになる。人手不足や人件費上昇に耐えられず、コンビニの未来に黄色信号が灯った。

こうした状況を受けて、2019年6月に経済産業省は有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」を立ち上げた。チェーン本部は「拡大」よりも、加盟店の「利益」を重視しないと、コンビニの将来が見通せないとする危機感が業界全体で共有された。

そして2020年春から始まったコロナ禍の収束が見えてきた折、燃料価格の上昇と食品原材料価格の高騰がコンビニを襲った。生活者の最も近くで日常生活を支えるコンビニは、加盟店、本部ともに厳しい対応を迫られている。

そうした大きな変化に、コンビニは上手に対応できているのか、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が発表した2024年(1〜12月)におけるコンビニ7社の統計データをもとに、過去の数字と比較しながら考えてみる。

[図表1]コンビニエンスストア統計データ

2024年は売上高(全店、既存店)が過去最高、客単価の既存店ベースも過去最高となった(図表1)。全店売上高は2022年に11兆円を超えて、2024年は11兆7,953億円、2025年は12兆円に届くか届かないかの伸び率を示している。

ただし2024年の売上高については、消費者物価指数(2020年比)が106〜108%で推移、コンビニの商品も値上げ傾向にあるので、業態の成長と単純に見てはいけないだろう。

例えばセブン−イレブンは、カウンターで販売するホットコーヒー(レギュラー)を2022年7月に100円(税込み)から110円へ、2024年3月に110から120円に値上げしている。おにぎりやサンドイッチ、米飯弁当も、内容を変更しながらも単価を上げてきた。コーヒー豆や小麦粉、鶏卵など原材料の値上げを価格に転嫁した結果の売上高になる。

そこで着目すべきは、業態への支持を最も適格に示す「客数」になる。新規客が増えたのか、来店頻度が高くなったのか、いずれにせよコンビニ業態へのお客の支持を見る尺度として重要である。

2024年の来店客数は全店と既存店ともに前年を上回った。2022年、2023年と3年連続で上昇している。一方でパンデミックにより、2020年と2021年に連続して減少、2024年は上昇傾向とはいえ2019年の水準には達していない。2024年を2019年と比較すると全店ベースでマイナス6.2%の水準になる。2019年と比較して店舗数は0.2%増加しているので客数の減少は問題である。

高齢化が進み、人口が減少する日本は、今後ますます商圏が狭小化していく。商圏人口が減少する環境下では、既存のお客に足繁く自店に通ってもらえる店づくりがポイントになる。飽きのこない商品力もフレンドリーな接客も大切で、スマホアプリを顧客接点とする、お得な特典の付与も効果があるだろう。

セブンは“コンビニは高い”の印象を松竹梅の梅にスポットを当て解消

客単価は2019年より毎年上昇している。客単価は「1品単価×買上点数」になり、本来であれば、お客の欲しい“もう一品”の品揃えによる買上点数の増加が業態の成長にとって好ましいのだが、値上げラッシュ時には多くの店舗で1品単価の上昇が客単価に強く影響した。コンビニは加盟店ビジネスであり、大前提として重視すべきは「お客の利益」であるが、もう一つ「加盟店の利益」も重要になる。その点が直営店ビジネスと大きく異なる。

年々上昇する店舗従業員の時給に十分に耐えうるように加盟店の売上と利益を高める必要がある。チェーン本部は主力の弁当や調理パン、惣菜の価格を上げてきた。原材料費の上昇も理由にあるが、加盟店の利益確保を目指した値上げもこれに含まれる。

もちろん高単価であっても、価格以上の品質やおいしさを実現できれば、お客は喜んで手に取ってくれるであろう。その一方で、高単価が先にありきで、他業態の相場と比較してお値打ち感に乏しい商品も散見されている。

例えば、チルドの調理麺について、品質の向上が図られていても、中国料理の外食チェーン店と比較して、明らかに高価格帯のポジションを取れば、消費者に「コンビニは高い」といった印象を与えてしまう。実質賃金の下落が続く昨今の環境下において、価格重視のお客も多くなっている。

実際にセブン−イレブンは、松竹梅の価格戦略の中で、「梅」に相当する商品がお客に訴求できていなかった反省に立ち2024年9月に「うれしい値!宣言」をスタート。オリジナルのフレッシュフードについては、さまざまな業態の価格を確認しながら65アイテム(首都圏規格)を「うれしい値!」に設定、それまで「安心価格」で展開してきた205アイテムを「うれしい値!」に名称を統一、さまざまな販促物を用いて、買いやすい価格を訴求している。

2024年9月18日の会見でセブン−イレブン・ジャパン取締役常務執行役員商品戦略本部長の青山誠一氏は「お求めやすい商品も、しっかりと品揃えしていることを、より多くのお客様にお伝えしたい。数カ月は連続して、うれしい値!宣言を実施しなければいけない」と述べている。

図表1の)コンビニ業態では2024年の客単価は全店ベースで前年マイナスになった。セブン−イレブンの「うれしい値!宣言」と、それが競合チェーンに波及したことも要因として考えられるが、仮に1品単価の下落が影響を与えているとすれば、その分、買上点数が増えて、客単価の上昇が見られるのが理想であろう。とはいえ、従来と同じような品揃えでは、もう一品には手を出しづらい。

セブン−イレブンは「SIPストア(セブン−イレブン松戸常盤平駅前店)」でスーパーマーケット機能を備えた品揃えを展開し、成功事例を既存店へ導入している(2025年1月15日、筆者撮影)

そこで過去10年以上にわたって買上点数アップの方向性を示したのがスーパーマーケットの代替機能である。コンビニは、家庭の食卓に上るチルド惣菜やカット野菜など利便性の高い商品を強化してきた。昼食用の米飯弁当や調理パン、調理麺といった即食品を目的に来店したお客に、今日の夕食に出せる商品の購入を促してきた。新しい利用動機を創出して、買上点数の増加につなげようとしてきたのだ。

買上点数向上のもう一つの突破口は出来たて商品の提供である。セブン−イレブンは「お店で揚げたカレーパン」のインフラを活用した「お店で揚げたドーナツ」の展開をスタートさせている。カウンターで販売するドーナツを2024年9月段階で5,000店舗に導入、店舗平均販売数25個/日、日販効果プラス0.4%、粗利効果プラス0.2%を本部は確認している。2025年2月末までに導入可能な全店に拡大を図っている。

一般に出来たて商品の提供は、店内オペレーションの負荷が大きいことと、商品の完成度にブレが生じる懸念があり、特にコンビニのような加盟店ビジネスにはなじまないとされてきた。

しかし一方で「出来たて」は訴求力が強く、目的来店性に効果が認められるため、各コンビニチェーンは、商品を絞り込んで販売を強化してきた。ファミリーマートのファミチキや、ローソンのからあげクン、ミニストップのハロハロなどを看板商品にしている。各コンビニチェーンは、商品を絞り込み、店舗の負荷軽減を図りながら出来たてを育成してきた。集客の武器となる「出来たて」商品の拡大について、店舗への負荷と、どのように折り合いをつけていくのか、チェーン本部に問われている。

出店数は頭打ちも配送サービスを強化

2024年の店舗数は55,736店舗で、前年をクリアしたものの、2021年の55,950店舗に達していない。2010年代の半ばにセブン−イレブンは年間1,000店舗の純増、他チェーンも数百規模の純増を経験してきた。そうした往時と比較すると、現在は成熟期に入ったといえそうだ。

しかし店舗数に関しては別の見方もある。セブン−イレブンは2025年2月末までに、お届けサービスの「7NOW」を配達が可能な全ての店舗に導入している。

ローソンもミニストップも、ウーバーイーツや出前館といったフードデリバリーサービスと組んでお届けを強化する方向にある。デリバリーサービスによって商圏の拡大や深耕が図れるわけだから、新規出店に固執する必要はないとする考え方である。

将来的には配送ロボットやドローンの活用も普及していくだろう。新規出店によるドミナント構築だけではなく、お届けサービスによる商圏の占有率向上も期待できる。

現状デリバリーサービスの売上は、加盟店売上と利益を格段に高めるものではないが、今後の成長が見込まれる分野だけに、本部および加盟店は、車の両輪として拡大を図っていく必要があるだろう。

コンビニ各社が「ローリングストック」の啓発強化

ローリングストックとは「普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法」(農林水産省ホームページ)を意味する。なぜ今、ローリングストックの啓発なのか、コンビニ各社の取り組みを解説する。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2025年3月号より転載)

自然災害多発地帯に生きる 日本人のライフスタイルを変える

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では1週間を過ぎても物資が届かない地域があることがローリングストックの啓発強化につながった (Photo by Adobe Stock)

本年1月で阪神淡路大震災から30年が経過した。昨年は1月に令和6年能登半島地震、8月には宮崎県の日向灘で地震が発生、翌日の神奈川でも地震が発生したことから、南海トラフ地震の関連を疑う人たちが買いだめに走り、スーパーマーケットの店頭から飲料水や米、パンなどが消えるなど、ちょっとしたパニックを生んだ。昨年から今年にかけて大地震を意識せざるを得ない状況にあるといってよい。

(一社)日本フランチャイズチェーン協会は、コンビニ各社と専門家を委員とする「大規模災害対応共同研究会」を2021年12月に設置、その最終報告書「首都直下地震・南海トラフ地震対応の共同研究成果」を本年1月16日に公表した。

その一環として同協会および加盟するコンビニ7社がローリングストック啓発キャンペーンを約1年間継続して実施するとした。

具体的には、各家庭が最低3日、通常は1週間を目標に食料や日用品の備蓄を促していく。例えばセブン-イレブンではホームページにイラスト入りで次のように訴えている。

コンビニでできるローリングストックの準備として、優先的に必要なのが飲料水と湯を沸かす道具、紙皿等の食器類だ。水は1人あたり1日3リットルを目安として、ラップもあれば皿にかぶせて汚れを防ぐこともでき便利と提案している。

コンビニでそろう備蓄の食料として、米のレトルトパック(5個入り)とスパゲティ(4束入り)を推奨、「これだけで、一人が3日間、9食分の食事をとることができます」と訴えている。これ以外にも「そうめんやひやむぎは茹で時間が少なく、ガスを節約できます」と提案している。

「ご飯の副菜」としてレトルトカレーや鯖缶、パスタの副菜としてレトルトのミートソースやフリーズドライのオニオンスープ、「ホッとひと息するための備え」として、普段から食べている菓子を推奨する。

食べ物以外の備蓄については、コンビニでの扱いとは関係なく、おむつや乳幼児のミルクや離乳食、代替えのきかない常備薬やコンタクトレンズ、また下水管の破損に備えて「家族の人数×5〜7回×3〜7日分」の携帯トイレを訴えている。

セブン-イレブンに限らず各社では、SNS(X)を活用してローリングストックの取り組みを発信している (ハッシュタグ#コンビニでローリングストック)。それに加えてコンビニ店舗においては、ポスター、レジ画面、店内放送などによる啓発について、国や自治体と連携して検討するとしている。

こうしたローリングストックの普及促進について日本フランチャイズチェーン協会専務理事の大日方良光氏は次のように訴える。

「被災者への物資輸送に関して、どれだけ事前の準備を尽くしたとしても発災後3日以上、物資を届けることができない地域が必ず出てしまう。また南海トラフ地震の被害想定地域は非常に広範囲にわたっており甚大な被害が想定される。そこでコンビニ各社ができることの一つとして、ローリングストックによって、各家庭で備えをすることの重要性を国民の皆様に周知をしていくべきだという結論に達した」

仮に南海トラフ地震により沿岸部の道路が寸断されると、コンビニの物流を機能させるために多くの時間を要してしまうことが懸念される。

(一社)日本災害食学会理事・副会長の別府茂氏は、首都直下地震、南海トラフ地震の発生が想定されるだけではなく、被害の規模まで具体的に想定がされて、それに備えることができる状況にあると説明する。

例えば、30年前に発災した阪神淡路大震災は予測が進んでいなかったので、被災者の生活が非常に困窮したと指摘している。

現在は当時と比較して、耐震性能が向上した家屋や集合住宅が増えている。その意味では在宅避難ができる人たちが増える。

さらに電気や水道が止まっても、バッテリー、カセットコンロ、飲料水が身の回りにあれば、レトルトご飯を温めたりパスタを茹でたり簡単な調理ができる。震災時でも温かい食事をとれるような備え方が向上している。

「ローリングストックは非常食とは全く違う考え方になる。健康を守る食事を自分で選択できるし、災害時に発生する品不足を抑制できる。こうした取り組みが自然災害多発地帯に生きる日本人のライフスタイルを変える一つのきっかけになると期待できる」(別府氏)

ローリングストックにより地域社会で品不足を抑制できれば、結果的に「共助」につながるとする考え方になる。すなわち自助と共助に貢献できるのだ。

内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)の後藤隆昭氏も自助、共助、公助の三つが大事だと訴える。

「能登半島地震では災害関連死を含めて500名以上の方が亡くなっている。過疎地、高齢化が進んで、特にアクセスが非常に難しい地域であり、非常に困難な対応を迫られた。発災時の公助は私ども(国、自治体が)努力しているが、なかなか公助が行き届かず、自助、共助が大事だと考えて、ローリングストックという形で、日頃購入している食品や生活必需品を無理なく備蓄する方法があるので、ぜひ実践してほしい」

コンビニの震災支援については、1995年1月の阪神淡路大震災時に存在感を発揮している。当時ダイエーとローソンを率いた中内㓛氏は発災から3日後に現地入りをして、電気が通じず、店を閉じているローソンを見て、駐車場や店頭に商品を並べてでも販売するように発破をかけたといわれている。

当時、被災地の大阪府・兵庫県に店舗もなかったセブン-イレブンも、滋賀県の工場からおにぎりなどの救援物資を積み込んで神戸にヘリコプターを飛ばしている。

コンビニがライフラインとしての認知を深めた事例であるが30年が経過して、物資の供給において確実性、効率性を高める公助に加えて、より安全性を高めるためにローリングストックという日頃からの自助の啓発に注力を始めている。

コンビニ配送車が緊急通行車両に

前述した最終報告書「首都直下地震・南海トラフ地震対応の共同研究成果」について以下、ポイントを記しておく(※報告書は日本フランチャイズチェーン協会のホームページからダウンロードできる)。

本報告書には、国、自治体、コンビニエンスストアの実態から抽出した具体的課題とその解決方法を検討した結果がまとめられている。

[図表1]大規模災害時の国・自治体と民間(コンビニ)の目標と役割

第1の成果は「官民の相互理解が促進したこと」(図表1)。共同研究の目標として全ての被災地を支援する物流を実現するという参加者全員で共通の目標を置いて国、自治体、コンビニ各社が一緒になって検討してきた。

「当初は国の方々、そして自治体の方々は避難所を中心に考えていて、在宅避難者について、あまり関心を示していなかった。一方、民間であるコンビニ各社は、いかにお店に商品を届けるのか、交通規制などクリアしたい課題があった。それぞれの思惑が異なり、考え方が違う中で、お互いを知りながら、そしてコンビニ各社は国の制約や法律などを学びながら共通の目標に向かって進めてきた」[大規模災害対応共同研究会座長の中澤剛氏(セブン-イレブン・ジャパン リスクマネジメント室エキスパート)]

その結果、第2の成果が「災害時における物流の迅速化の推進」だ。商業物流の早期回復による在宅避難者への食料供給のために、「指定公共機関のコンビニ配送車も緊急通行車両」であるという認識を共有。

その上で、2023年9月1日、警察庁を中心とした関係省庁の協力で「緊急通行車両確認標章」の事前交付を可能とする政令改正を実現できた。さらに、配送車は遠距離輸送の際の燃料供給についても中核給油所で給油が可能な旨を確認した。

「官民相互理解のもとで成果を得ることができたが、共同研究の最後の1年は能登半島地震が発災、その教訓として、どんなに物資を届けたいという思いがあっても、3日や1週間では物が届かない地域があることを現実として私たちコンビニが受け止めざるを得ないと認識をした。そこで自助努力により水や食料品を備蓄する。この災害準備を促進するために、私たちコンビニ各社と国、自治体と一緒になって、ローリングストックの普及促進に努めていきたい」(中澤氏)

こうした取り組みにより、ローリングストックを新たなライフスタイルとして定着させることが、チェーンストアに求められている。

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セミナー内容

1.業界の第一人者が語る!ジョイントビジネスプランと最新動向

月刊『マーチャンダイジング』主幹を務める日野眞克が、メーカーと小売店の双方にメリットをもたらすジョイントビジネスプランの概念と、業界の最新動向について解説します。

2.小売視点でみる「されたい営業」

大手メーカーの流通支援も手掛けるセレブリックスの大矢氏が、小売店営業において押さえるべき具体的なノウハウを解説します。お客様に「また会いたい」と思わせる「されたい営業」の秘訣をお伝えします。

3.ディスカッションセッション

日野眞克と大矢氏による対談形式のディスカッションを通じて、より深い理解と気づきを提供します。

本セミナーは、小売店との関係を強化し、成果を出したいメーカーや卸売企業の営業担当者、営業企画担当者の方におすすめです。

開催概要

日程 9月25日(木) 12:00~13:00
視聴方法 オンライン配信(Zoomウェビナー)
PCやタブレットなどの端末と、インターネット環境があればご覧いただけます。
※セキュリティソフトウェア等の機能により配信システムがうまく機能しない場合がございます。あらかじめご了承くださいませ。
対象者 小売店営業に携わる企業の方
費用 無料
注意事項 アーカイブ配信無し
・法人様対象のセミナーのため、個人でのお申し込みは受け付けておりません。
・当日セミナー中の録音、撮影はご遠慮ください。
・登壇各社の事業と競合する企業様からのお申し込みは、お断りいたします。
・講演内容は予告無く変更となる場合がございます。

 

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イオンリテールのシニアケア新機軸「MySCUE」

イオンリテールが2023年9月に開始したシニアケア事業「MySCUE(マイスキュー)」は、家族の介護に携わる「ケアラー」を支援するプラットフォームだ。情報サイト、マーケットプレイス、店舗の3つの柱で展開され、事業開始から約2年弱で会員数は20万人に達した。2024年9月にはイオンスタイル品川シーサイド店内に初の常設店舗をオープン。既存事業とのシナジー効果をどう生み出していくのか。同社MySCUE事業部長の駒井一郎氏に、事業スタートの背景から今後の展望までを聞く。
(月刊マーチャンダイジング2025年9月号より転載)

\記事全文は月刊マーチャンダイジング2025年9月号でご覧いただけます!/

会員数20万人擁するプラットフォーム

[図表1]MySCUE事業のビジネスモデル

MySCUEは「シニアケアの負担と不安を軽くする」ことを目的として、シニアケアや介護にまつわる困りごとや悩みに対応するさまざまな情報の結節点となる総合プラットフォームだ。単なる情報提供にとどまらず、商品・サービスの紹介、専門家への相談、コミュニティ形成など、ケアラーが必要とする機能を包括的に提供する。

店舗外観。黄色のテーマカラーが目を引く。遮るものがなく入店しやすい。あえて通常の介護用品売場とは少し離れた場所に出店した

事業の立ち上げは2021年秋にさかのぼる。駒井氏は、立ち上げの背景について「もともと、イオンリテールには社会課題を解決していこうという思いがあり、高齢化社会への対応を考えてスタートしたのがMySCUEというプロジェクトです」と振り返る。

\記事全文は月刊マーチャンダイジング2025年9月号でご覧いただけます!/

背景には、2030年にケアラー人口がピークを迎え、日本の人口の10人に1人はだれかの介護をしていると予測される(日本介護予防協会)という社会状況がある。さらに、イオンはジャスコ時代から現在の高齢者とともに成長してきた歴史があり、「恩返しの意味も込めて、この社会課題に一歩踏み出した形で関与しなければいけない」(駒井氏)という使命感が事業化を後押しした。

MySCUEの最大の特徴は、自社単独ではなく、多様なプレイヤーを巻き込んだプラットフォーム事業である点だ。介護やケアの領域における知見や経験が少なかったイオンリテールは、専門性が高い同領域への参入にあたり、自前主義を排した。

MySCUEは、①サービスの提供者であるパートナー企業・行政、②支援の対象となるケアラーとその家族(顧客)、そして③両者をつなぐ場を提供するイオンリテール、という3者で構成される。

そして、ケアに関する情報提供や、パートナー企業の商品・サービスを購入できるウェブサイト、商品を実際に見て、触れて、体験できる場を実店舗、そして、全国のイオン店舗などで開催し、地域行政とも連携する体験・相談会という3つのタッチポイントを持つ。

ウェブサイト開設から約2年半で会員数は約20万人、パートナー企業・団体は約200社にまで拡大した。2026年2月末には会員数30万人の目標を掲げるなど、着実にその規模を広げている。

介護に知見がないという半面、イオンリテールには「生活インフラとして、長年事業をさせていただいて、専門家の方であったり、ほかの企業さまや、行政の方々に対するネットワークがある。また、常にお客さまとして、ご高齢の方々とそのご家族と、つねに接点がある」(駒井氏)という強みがある。この強みを生かし、イオンリテール、ケアラー、パートナー企業の3者をつなぐプラットフォームビジネスが生まれた。

\記事全文は月刊マーチャンダイジング2025年9月号でご覧いただけます!/

実店舗オープンによる手応え

「何より介護についての話題は皆さんどうしても避けたがるのですが、われわれは日常に根差しながら啓発できる立場にいると考えています」と駒井氏は、小売業ならではの優位性を強調する。

2023年9月のサービス開始から約1年後の2024年9月、MySCUE初の常設店舗がイオンスタイル品川シーサイドにオープンした。店舗ではさまざまな商品の紹介はもちろん、セミナーなども頻繁に開催している。

品川を1号店に選んだ理由は3つある。第1に情報発信基地として利便性のよい立地である点、第2にさまざまなタイプのケアラーが住むエリアであること、そして第3にパートナー企業へのアピール効果だ。集客力のある店舗である方が、パートナー企業の賛同も得やすいという現実的な判断もあったようだ。

店舗オープンの効果は顕著で「2024年に実店舗をオープンしたあとは、もちろん品川のお客さまもですが、マスコミの方々であったり、お取引先さまからの反応が全然違ってきました」と駒井氏は手応えを語る。

「12の課題」を軸にした商品・サービス選定

MySCUEの12の解決アプローチの視点。左側がケアラー、右側がシニア向けのもの。店内の商品もこの切り口で分類されている

MySCUEは、商品・サービスを、「12の解決アプローチ」の視点で分類している。ケアラーへの解決アプローチとして「身体のケア・ストレス緩和・お金のやりくり・時間の節約」の4つを、シニアへの解決アプローチとして「身体の健康・お口の健康・食の改善・認知機能・心の豊かさ・人生の楽しみ・自尊心向上・孤独の解消」の8つを挙げる。

これらの課題を解決できる商品・サービスを持つ企業をパートナーとして選定しているのだ。現在、イベント参加や情報提供を含めると約200社がパートナーとして参画。業種は食品、家電、介護用品、見守りサービス、自動車など多岐にわたる。

店舗での成功事例として印象的だったのが、骨伝導イヤホンのエピソードである。日本で、当時は同店舗を含めて数店舗でしか実物を陳列していない商品だったが、聴覚に不自由があるお客さまがわざわざ体験するために沖縄から品川まで足を運び、実際に商品を試用して、「聞こえる」という体験に感動されたとのこと。「実際に商品に触れる」という店舗の強みが生きた例だ。

実際に触れて、体験できるのが実店舗の強み。店頭に在庫はなく、スマートフォンでPOPに添付されたRFIDタグをスキャンして、オンラインで購入する流れになっている。左写真は、重量物を扱う人向けに腰の負担を軽減するサポートジャケットをケアラー向けに提案。右写真は軽量な歩行器や、電動車いす、足こぎ車いすの展示
排泄や消臭などに関わる商品を集積したコーナー。強力消臭洗剤のように低単価のアイテムは、「〇階〇〇売場で販売しています」とPOPで案内してほかの売場に誘導。吸水サニタリーショーツや、排泄予測機器なども展開する
家での生活が中心になる高齢者や多忙なケアラーに向けた心の癒しにもなる水耕栽培の提案

\続きは月刊マーチャンダイジング2025年9月号でご覧いただけます!/

店舗概要

店舗名 MySCUE イオンスタイル品川シーサイド
所在地 東京都品川区東品川4-12-5
開店日 2024年9月12日
売場面積 約36坪
展開内容 ケアラー・シニア向け商品(電動車いす・健康食品・日用品など)や各種サービス(家事代行や見守りサービスなど)の紹介/セミナーの開催/専門家や介護経験者への相談

 

《取材協力》

イオンリテール株式会社
経営企画本部
MySCUE事業部 事業部長
駒井 一郎氏

NFI定例セミナー「顧客満足最大化のセオリー研究」「ニューフォーマット開発事例研究」(2025/11/19 13:00~16:10)開催ご案内(リアル・リモート)

今回のテーマは、オムニチャネル、狭小商圏時代の「顧客満足最大化のセオリー研究」です。毎年、月刊MD で実施している「顧客満足度調査」(500 店以上の店舗を調査)の調査結果に基づいて、これからのリアル小売業の顧客満足最大化のためのセオリーを解説します。

2025年11月定例セミナーは、「リアル」と「リモート」の併用セミナーとします。

今回のテーマは、オムニチャネル、狭小商圏時代の「顧客満足最大化のセオリー研究」です。毎年、月刊MDで実施している「顧客満足度調査」(500店以上の店舗を調査)の調査結果に基づいて、これからのリアル小売業の顧客満足最大化のためのセオリーを解説します。

また、登録販売者の大活躍時代の到来のための、登録販売者の再教育の事例も解説します。

オンライン小売業との競争激化など、多くの小売業や既存の業態が陳腐化しつつあり、ニューフォーマットへの挑戦が加速しています。ドラッグストアも業態の成長期から約30年が経過し、変化しなければ生き残れない時代に突入しています。各社のニューフォーマット開発の事例研究を解説します。

※座席数が限られているため、リアルでの参加の方は先着順とさせて頂きます。

開催概要

・開催日:2025年11月19日(水) 13:00~16:10(会場受付開始:12:30)
※昼食は各自お済ませの上ご来場下さい。
※セミナー開催中の途中入場はお断りします。
※リモートでの途中退席は申込責任者に報告します。

・会場:エッサム神田ホール1号館6階(601)(※案内図をご参照ください)
・実施方法:リアルとZOOMによるリモートセミナー
(ZOOMセミナーアクセス方法はお申込み者様にのみご案内いたします)
・料金:20,000円(税別・1名様)
(※ニューフォーマット研究会会員企業様には会員価格でのご案内になります)
・申し込み締め切り:2025年11月10日(月)

スケジュール

オムニチャネル、狭小商圏時代の
顧客満足最大化のセオリー研究

[13時~14時45分頃]

NFI代表取締役 日野 眞克

(1)2025 年顧客満足度調査の詳細分析
(2)顧客満足向上の優先順位の変化
(3)「登録販売者」の戦力化の仕組みづくりで顧客満足最大化する事例 他

変わらなければ生き残れない
ニューフォーマット開発事例研究

[14時55分頃~16時10分頃]

月刊MD 編集主幹 野間口 司郎

(1)ドラッグストア各社が挑戦するニューフォーマット戦略
→マツキヨココカラ、スギ薬局、ゲンキーその他
(2)化粧品のニューフォーマット戦略(@コスメ、良品計画など)
→オムニチャネル化、敏感肌で二番目のシェアを獲得する良品計画 他

※講演時間は予定よりも短くなることも長くなることもあります。

会場案内図

会場詳細

〒101-0045
東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
エッサム神田ホール1号館6階(601)
URL:https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1

【アクセス】
●JRでお越しの方
神田駅東口より徒歩1分
●東京メトロ銀座線でお越しの方
神田駅3番出口より徒歩0分

注意事項

アーカイブ動画の配信はいたしません。当日参加でのみセミナーのご受講が可能です。
(配信の不備等によりご視聴頂けなかった場合には、後日動画のご案内をいたします。)

②リモートの場合はZOOMウェビナー形式で行います。11月14日(金)までに、お申込書に記載された受講者のメールアドレス宛に受講用URLを記載したメールを送付いたします。

お申込みフォーム

・お申込みは以下のお申込みフォームからお願いいたします。お申込み受付後、お申込み確認メールをお送りします。また、ご請求先として記入いただいた方宛に、請求書を発送させていただきます。
・ご入金後は、理由の如何に関わらず返金は致しません。あらかじめご了承ください。

本セミナーのお申込み受付は終了しました。
たくさんの参加申込み、ありがとうございました。