無骨でシンプルなStandard Products
DAISO、Standard Products、TREEPPYの3業態での都市中心部に出店する事例が多く見られる大創産業。同店舗も新宿駅から徒歩数分の立地で、元々「ビックロ」として営業していた商業施設に3業態で出店したもの。

同ビルのテナントは、地下3階〜6階がビックカメラ、1階から3階にユニクロ、7階にGUと、相乗効果で集客が見込める環境。その最上階に出店した形になる。売場面積は合計504坪。新宿エリアでは最大規模だ。
エスカレーターで8階に上がると、目の前に広がるのはStandard Productsの店舗である。同業態は「ちょっといいのが、ずっといい。」をコンセプトに、ベーシックで洗練されたデザインに特化したアイテムを展開する。
97坪に約2,700SKUのアイテムを取り揃えた。スチール製と木を利用した什器は温かみと無骨さ、シンプルさを感じさせる。店内の照度は落とされ、商品はスポットライトで照らされている。
入り口付近から奥に向かって「インテリア」「食器/キッチン用品/行楽・レジャー/キッチン消耗」「文具・電気」「リビング/収納」「掃除/洗濯」「化粧/バス用品」「玩具」「バッグ」「園芸・ペット」「靴・トラベル・雨具」とカテゴリーが並び、アイテムの価格帯は110円〜1,100円で中心価格帯は330円とお値ごろなものが多い。




トップボードには、商品を使用しているイメージの写真を展示したり、写真入りのPOPで商品開発のバックグラウンドを伝える、什器の上部で商品をコーディネートしてディスプレーするなど、単なる陳列販売ではなく、手をかけた売り方を志向している。
例えばコーヒーグッズ売場だけで棚1本分の尺を取り、コーヒータイムを楽しむ商品を20種類ほど展開。コーヒードリッパー、コーヒーを計量するためのスプーン、ティーポット、耐熱ふた付きガラス容器、マグカップ、USBカップウォーマーなどなど、コーヒーとそれにまつわるアイテムを集積している。
お弁当という切り口では、1,000円のわっぱの弁当箱から300円のランチボックスをはじめ、保冷剤、ステンレスの水筒、保温機能付きのバッグ等、お弁当のあるシーンを切り取った商品を展開。上段ではコーディネートしたディスプレーで利用シーンを想起させる。
同店舗から販売が開始されたのが「ギフトボックス」。ギフト需要に応じたもので、300円から500円で、販売しているアイテムを封入してプレゼントとして使ってもらうことを想定している。なお近隣には同店舗より広い166.49坪でStandard Products新宿アルタ店も展開しており、面で抑える可能性もありうる。




トレンドカラーを使った雑貨中心のスリーピー
隣り合って展開されているのがTHREEPPY。「あいらしい、そして私らしい」をコンセプトに、大人かわいい雑貨を追求する。トレンドカラーを随所に盛り込んだ雑貨が特徴。ロングファーのクッションや、キッチン雑貨、セルフケアアイテムなど、50坪に3,500アイテムを展開する。



ⓒDisney
同じ子供用のおもちゃでも、Standard Productsが木製のシックなおもちゃを展開する一方、THREEPPYはプラスチックが中心の、カラフルなおもちゃを販売する。情緒軸で商品の幅を広げ、別ブランドの店舗で売ることによって、客層を広げている。
アクセ・推し活…趣味を前面に推すダイソー
DAISOは357坪の売場面積で約5万アイテムを展開する。入り口近辺で季節のプロモーション(取材時はハロウィンアイテムやクリスマスアイテム)を大きく陳列し、続いて本店で強化しているアクセサリーコーナーや推し活グッズなどが続く。
ヘアアクセサリーコーナーのエンドでは、タブレットにTikTok風ショート動画を流し、ヘアアクセの利用シーンを伝えるような取組みも行っている。





什器上部に有孔ボードを使ってヘアアクセアイテムをお客様に見やすくアピール。ヘアアクセのカラーバリエーション展開を見せることで、「推しの色を選んで使う」ことを提案している。
銀座店などと同様、複数個選んで100円になるお菓子売場は、屋根などの装飾が施された駄菓子屋風のしつらえ。キャンプコーナーではソロキャンプを訴求し、500円の1合炊きメスティンや1,000円のホットサンドメーカー、ダッチオーブンなど、下手なスポーツ用品店より気が利いた品揃えになっている。
もちろん日用雑貨や文具の売場も広いのだが、立地も相まって個人の趣味やビューティにフォーカスした売場づくりへの意思を強く感じる店舗である。
レジはすべてセルフレジで、2ヵ所に設置。ダイソー店内に27台、THREEPPY店内に7台の合計30台。有人レジの設置はないという潔い割り切りを見せている。
まさにDAISOの「いま」が凝縮された旗艦店といえる本店舗。立地は申し分なく、都心に住む周辺住民のニーズもある程度見込まれる。満を持しての新宿区での大型出店にダイソーは鼻息が荒い。




DATA
店舗名 | DAISO ビックカメラ新宿東口店 Standard Products ビックカメラ新宿東口店 THREEPPY ビックカメラ新宿東口店 |
所在地 | 東京都新宿区新宿 3-29-1 ビックカメラ新宿東口店8階 |
売場面積 | DAISO ビックカメラ新宿東口店 357坪 Standard Products ビックカメラ新宿東口店 97坪 THREEPPY ビックカメラ新宿東口店 50坪 |
営業時間 | 10:00〜22:00 |
休業日 | 無休 |