大創産業3ブランド大型複合店

店舗レポ「DAISO / Standard Products / THREEPPY ビックカメラ新宿東口店」

2024年10月2日、大創産業が「DAISO(ダイソー)」「Standard Products by DAISO(以下「Standard Products」)」「THREEPPY(スリーピー)」の複合店を、東京都新宿区のビックカメラ新宿東口店へオープンした。新宿駅から地下通路で接続という高い利便性、ビックカメラ、ユニクロ、GUというテナント力で多くの集客が見込める立地だ。(月刊マーチャンダイジング2025年1月号より転載)

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無骨でシンプルなStandard Products

DAISO、Standard Products、TREEPPYの3業態での都市中心部に出店する事例が多く見られる大創産業。同店舗も新宿駅から徒歩数分の立地で、元々「ビックロ」として営業していた商業施設に3業態で出店したもの。

《売場レイアウト》

同ビルのテナントは、地下3階〜6階がビックカメラ、1階から3階にユニクロ、7階にGUと、相乗効果で集客が見込める環境。その最上階に出店した形になる。売場面積は合計504坪。新宿エリアでは最大規模だ。

エスカレーターで8階に上がると、目の前に広がるのはStandard Productsの店舗である。同業態は「ちょっといいのが、ずっといい。」をコンセプトに、ベーシックで洗練されたデザインに特化したアイテムを展開する。

97坪に約2,700SKUのアイテムを取り揃えた。スチール製と木を利用した什器は温かみと無骨さ、シンプルさを感じさせる。店内の照度は落とされ、商品はスポットライトで照らされている。

入り口付近から奥に向かって「インテリア」「食器/キッチン用品/行楽・レジャー/キッチン消耗」「文具・電気」「リビング/収納」「掃除/洗濯」「化粧/バス用品」「玩具」「バッグ」「園芸・ペット」「靴・トラベル・雨具」とカテゴリーが並び、アイテムの価格帯は110円〜1,100円で中心価格帯は330円とお値ごろなものが多い。

コーヒーグッズ売場。棚1本がまるまるコーヒー関連アイテム
お弁当関連アイテム。1,000円のわっぱのお弁当箱から300円のお弁当箱、保冷剤、ステンレスボトル、ランチ用のバッグまで取り揃える。什器上部ではコーディネートした様子も見せて、利用シーンを想起させる
店頭には北欧をイメージした落ち着いたデザインのクッション、スリッパなど。近づく冬の暮らしをサポートする
同店舗から投入されたギフトボックス。ブランディングが受け入れられギフト需要も高まりつつあることを示している

トップボードには、商品を使用しているイメージの写真を展示したり、写真入りのPOPで商品開発のバックグラウンドを伝える、什器の上部で商品をコーディネートしてディスプレーするなど、単なる陳列販売ではなく、手をかけた売り方を志向している。

例えばコーヒーグッズ売場だけで棚1本分の尺を取り、コーヒータイムを楽しむ商品を20種類ほど展開。コーヒードリッパー、コーヒーを計量するためのスプーン、ティーポット、耐熱ふた付きガラス容器、マグカップ、USBカップウォーマーなどなど、コーヒーとそれにまつわるアイテムを集積している。

お弁当という切り口では、1,000円のわっぱの弁当箱から300円のランチボックスをはじめ、保冷剤、ステンレスの水筒、保温機能付きのバッグ等、お弁当のあるシーンを切り取った商品を展開。上段ではコーディネートしたディスプレーで利用シーンを想起させる。

同店舗から販売が開始されたのが「ギフトボックス」。ギフト需要に応じたもので、300円から500円で、販売しているアイテムを封入してプレゼントとして使ってもらうことを想定している。なお近隣には同店舗より広い166.49坪でStandard Products新宿アルタ店も展開しており、面で抑える可能性もありうる。

お掃除関連グッズ。ほうきやカーペットクリーナー、掃除ジョイント伸縮ポール(バス用スポンジやデッキブラシと組み合わせて使える)などから、消耗品であるお掃除シートまで展開
園芸カテゴリーでは生のグリーンとそれを飾るための植木鉢、LEDランタンなども豊富に取り揃える
人気のアロマディフューザーは「ミント&セージ」「ベイリーフ&シトラス」などの新商品を投入。価格も数年前は1,000円以上するようなアイテムが市場の中心だったが、500円という値段で投入している
スリッパだけで棚2本分を展開。価格も1足300円〜と値ごろだ

トレンドカラーを使った雑貨中心のスリーピー

隣り合って展開されているのがTHREEPPY。「あいらしい、そして私らしい」をコンセプトに、大人かわいい雑貨を追求する。トレンドカラーを随所に盛り込んだ雑貨が特徴。ロングファーのクッションや、キッチン雑貨、セルフケアアイテムなど、50坪に3,500アイテムを展開する。

THREEPPYのおもちゃのコーナー。Standard Productsのおもちゃは木のシックなアイテムが中心なのに対して、カラフルでポップ、プラスチック製のものが多い
人気のロングファークッションも取り揃える
映画『アナと雪の女王』シリーズのアイテムを先行発売で入り口付近に展開。ヘアブラシ、小物入れ、ブランケットと多様なアイテムを統一デザインで展開するにはマーチャンダイジング力が求められる
ⓒDisney

同じ子供用のおもちゃでも、Standard Productsが木製のシックなおもちゃを展開する一方、THREEPPYはプラスチックが中心の、カラフルなおもちゃを販売する。情緒軸で商品の幅を広げ、別ブランドの店舗で売ることによって、客層を広げている。

アクセ・推し活…趣味を前面に推すダイソー

DAISOは357坪の売場面積で約5万アイテムを展開する。入り口近辺で季節のプロモーション(取材時はハロウィンアイテムやクリスマスアイテム)を大きく陳列し、続いて本店で強化しているアクセサリーコーナーや推し活グッズなどが続く。

ヘアアクセサリーコーナーのエンドでは、タブレットにTikTok風ショート動画を流し、ヘアアクセの利用シーンを伝えるような取組みも行っている。

ダイソー入り口付近には、強化しているヘアアクセのコーナーを展開
ヘアアクセコーナー上部には有孔ボードを使ったカラーバリエーション展開の紹介。推し活用に
熱烈なファンのいるプチブロックのエンド。同社初の試みとして、サイネージに、ファンコミュニティ「DAISOの輪」へユーザーが投稿した画像を掲載。お客にプチブロックの可能性を感じさせるようなプレゼンテーションになっている
シーズンアイテムの買い場として定着した感がある。取材した9月はすでにハロウィン準備売場が最盛期。コスチューム、身に着けるアイテムからお菓子まで、ワンストップでイベントの準備ができる
コレクター向けアイテムも注力カテゴリーのひとつ。トレーディングカード、アクスタ(アクリルスタンド)そのものだけでなく、それらのケースなど保管道具まで揃うのが魅力

什器上部に有孔ボードを使ってヘアアクセアイテムをお客様に見やすくアピール。ヘアアクセのカラーバリエーション展開を見せることで、「推しの色を選んで使う」ことを提案している。

銀座店などと同様、複数個選んで100円になるお菓子売場は、屋根などの装飾が施された駄菓子屋風のしつらえ。キャンプコーナーではソロキャンプを訴求し、500円の1合炊きメスティンや1,000円のホットサンドメーカー、ダッチオーブンなど、下手なスポーツ用品店より気が利いた品揃えになっている。

もちろん日用雑貨や文具の売場も広いのだが、立地も相まって個人の趣味やビューティにフォーカスした売場づくりへの意思を強く感じる店舗である。

レジはすべてセルフレジで、2ヵ所に設置。ダイソー店内に27台、THREEPPY店内に7台の合計30台。有人レジの設置はないという潔い割り切りを見せている。

まさにDAISOの「いま」が凝縮された旗艦店といえる本店舗。立地は申し分なく、都心に住む周辺住民のニーズもある程度見込まれる。満を持しての新宿区での大型出店にダイソーは鼻息が荒い。

意外と近隣に買い場がない靴下を豊富な品揃えで展開する。サイドネットには年齢性別問わず使える黒ソックスも
普通のスポーツ用品店より気が利いているのではないかと思えるアウトドア売場。100円食器から1,000円のホットサンドメーカー、ダッチオーブン、バーベキューグリルまで。店頭ではソロキャンプを訴求。『キャンプが100倍楽しくなるCAMP IDEAS』という書籍も販売
即席麺売場は3尺棚2本分で展開
お菓子売場は屋根の付いた什器で遊び心を感じさせる

DATA

店舗名 DAISO ビックカメラ新宿東口店
Standard Products ビックカメラ新宿東口店
THREEPPY ビックカメラ新宿東口店
所在地 東京都新宿区新宿 3-29-1
ビックカメラ新宿東口店8階
売場面積 DAISO ビックカメラ新宿東口店 357坪
Standard Products ビックカメラ新宿東口店 97坪
THREEPPY ビックカメラ新宿東口店 50坪
営業時間 10:00〜22:00
休業日 無休