コンビニネクスト

出来たてとイオンPBで大手3チェーンと差別化

ミニストップが「ニューコンボストア」をオープン

ミニストップ創業以来の「ファストフード」と「コンビニエンス」を融合したコンボストアを展開しているが、コロナ禍を経た現在の環境変化や多様なニーズに応えるため、さまざまなチャレンジを集めた「ニューコンボストア」(ミニストップ神田錦町1丁目店)をオープンした。ミニストップによる次世代のコンビニづくりの全容をリポートする。(構成・文/流通ジャーナリスト 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2024年7月号より転載)

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「出来たて」を提供 おいしさで優位性を発揮

ミニストップ神田錦町1丁目店(東京都千代田区神田1-1)。店舗面積は約79坪、ファサードのカラーも、この店舗に限り、黄色を外して青色に統一した

ミニストップは、コンビニ大手3チェーンの次に来る中堅チェーンに位置付けられる。店舗数は国内1,856店舗(2024年2月末、以下同)、国内チェーン全店売上高は2,830億3,400万円。セブン−イレブンの国内2万1,535店舗と比較すると店舗数は10分の1以下であり、イオンを親会社に持つコンビニとしては、物足りないことは確かである。

セブン−イレブンの1号店は1974年5月、本年で半世紀を迎えた。一方のミニストップは1980年7月にジャスコ(現イオン)を母体にスタート、このときセブン−イレブンは既に1,000店舗を突破しており、「同じフォーマットで勝負するには出遅れた」と判断、別のフォーマットを模索する中で「コンボストア」を開発した。コンボとは組み合わせを意味し、ミニストップは「コンビニ+ファストフード(FF)」の新しい店づくりで他チェーンと差別化を試みた。

当時の資料を見ると、1号店のミニストップ大倉山店(横浜市・港北区)は、コンビニの売場とFFの売場を明確に分けて、レジを別々にして設置して運営していた。FFの売場には客席を設けて、ポークハムサンド(200円)、チキンサンド(250円)などを提供していた。

確かに「出来たて」の提供により、おいしさで優位性を発揮したかもしれない。買物だけではなく、店内飲食の利用動機も取り込めた。その一方で、設備投資の大きさ、作業人員の多さ、厨房を含めた店舗面積の広さなどが重しとなった。従業員教育にも時間を要して、出店速度も他チェーンに後れをとった。

その後、FFの売場やイートインを徐々に縮小して、規模的には大手3チェーンと大差のないレベルに落ち着かせている。それでも厨房設備はしっかりと残して、他チェーンでは提供できない商品を数多く提供してきた。

中でも、「ハロハロ」シリーズなど店内で製造するコールドスイーツは人気で、7月、8月の夏休み期間には、順番待ちの子どもたちが店内にあふれかえる様子は、夏のコンビニ風物詩といわれるまでになった。

寡占化が進んだコンビニ業態にあって、現在でもミニストップが一定のポジションでチェーン展開できている理由は、このようなコンボストアのフォーマットに依るところが大きいといえる。

スーパーマーケット型商材拡充 トップバリュも充実

ミニストップは、2023年度より「ニューコンボストアモデル」の確立に向けて、商品改革やオペレーション改革を推進している。

「お客様のニーズや生活スタイル、価値観の変化が急速に進む今、提供価値の定義も進化させなければならない。コンボストアを構成する2つの要素、FFとCVSのそれぞれを磨き上げ、魅力的にしていくことが、ニューコンボストアの取り組みであり、この提供価値を引き上げることで社会課題の解決につなげていく」(ミニストップ 藤本明裕 代表取締役社長)

2023年度には、先行モデル店舗にて成果を実証した売場づくりや取り組みを「成功カセット」と呼んで、既存店への導入を推進している。ラーメンや菓子・スナック、ホビーなどの雑貨をはじめとする計76の成功カセットで売上を押し上げたという。

さらに、今期2024年度には、これまで新規事業として取り組んできた、Eコマースやクイックコマース、アプリや職域事業(オフィスに設置するミニコンビニ)の機能を統合させてOMOを実現していく。

そうした新たな売場づくりや「成功カセット」を集約させた直営のフラッグシップ店舗「ミニストップ神田錦町1丁目店」(東京・千代田区)を2024年5月20日に既存店をリニューアルオープンしている。ここで実現された売場を、立地特性、商圏特性に応じて既存のミニストップへ導入を図っていく。

この神田錦町1丁目店の特徴を大きく分類すると4つある。

第1にFFの世界観。具体的には、入り口正面にFF専用のカウンターを配置したこと。ここではキオスク端末を設置、モバイルオーダーにも対応、フルセルフで簡単に注文を受けられるようにした。出来たての商品を直接お客に渡す「対面提供」にこだわっている。売場全体の省人化を進める一方で、有人スペースとしての価値を高めていく。

デジタルサイネージをカウンターの背面に設置、ファストフード専門店の装いで注文を受けてからつくる出来たてを提供する

第2に専門店品質のFF。「創業から45年間、培ってきたノウハウを結集して、出来たての商品を専門店品質でスピーディーに提供する。全粒粉といった素材へのこだわり、野菜をふんだんに使用するなど、おいしさに健康の価値を加えていく。商品価値の訴求や提供方法も一新して、ミニストップが目指すFFの世界感を体験いただく」(藤本社長)

平台ではベンダーから仕入れた米飯類と、店内で調理した弁当とおにぎりを両軸で展開する

商品内容については、ツーオーダー(注文を受けてから作る)で提供する「ホットドッグ」(199円税抜き、以下同)を主食の核商品とした。ドッグパンは北米産主体のフランスパン専用粉とオリジナルブレンドの強力粉を使用し、国内工場で生産。そこに、あらびきポーク100%のソーセージを挟んでいる。

カウンターコーヒーは、加圧設定により多様な味が可能なエスプレッソマシンで提供。カフェラテはエスプレッソマシンで抽出。また周辺がオフィス街であるため、大人数向けポットサービスも用意している。

ミニストップはソフトクリーム専門店「MINI SOF(ミニソフ)」を展開しているが、そこで人気のスイーツドリンク「シェイクソフト」(いちご、マンゴー、バナナ、各540円)を主力商品として訴求、お客がシェイクする回数により食感が変わるといった楽しさを提供している。

また野菜を多く含んだサラダラップ(390円)、カンパーニュ(490円)、野菜のポタージュ(熊本県産にんじん、北海道産たまねぎ、各250円)などで健康を訴求している。

第3の特徴はコンビニ売場における「ワンストップショッピング」と「ショートタイムショッピング」。

既存店の品揃えと比較して、スーパーマーケット型の商材を拡充、お値打ち価格で訴求する。キャッシュレス化、フルセルフ化を通じて、新たなコンビニとしてのワンストップかつショートタイムのショッピングを提供していく。

「今の時代のコンビニは、即食需要だけではなく、暮らしの品を拡充して、お手軽価格で提供することでワンストップショッピングが求められている。買い回りしやすさを重視したレイアウトと、キャッシュレス対応、フルセルフレジ導入によるショートタイムショッピングも実現している」(藤本社長)

お手軽価格については、イオングループのPB「トップバリュ」商品を既存店の1.5倍にあたる1,000アイテム以上を導入、神田錦町1丁目店の全3,500アイテムのうち構成比で3割以上と品揃えを拡大している。

スーパーマーケット型の品揃えに関しては、農産70アイテム、畜産30、水産20の生鮮計120アイテムとした。畜産と水産はグループ企業「イオンフードサプライ」のプロセスセンターを活用、農産についてはグループと取引のある青果卸しから仕入れている。

第4にOMOの実現。ミニストップアプリ(160万ダウンロード、4月末時点)を媒介に、リアル店舗とデジタルを融合させていく。アプリでは購買分析からクーポンを配信、プレミアム会員にはロイヤルティプログラムを実施している。

Eコマースは、商品の自宅での受け取り、あるいは店頭での受け取りなどを可能にして、店外には留め置きロッカーも設置している。店舗から商品をお届けするクイックコマースは、これまで取り扱って来なかった即食カテゴリーの拡充の他、品切れを防止するオペレーション体制の確立を進めている。

コンビニ各社はミニストップに限らず、次世代の業態の在り方を模索、改革を進めているところである。セブン−イレブンも未来志向店舗「SIPストア」をオープンしている。各社はコロナ禍で加速した人々の意識と行動の変容にスピードを持って対応していく。

著者プロフィール

梅澤聡
梅澤聡ウメザワサトシ

札幌市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、西武百貨店入社、ロフト業態立上げに参画、在職中『東京学生映画祭』を企画・開催。89年商業界入社、販売革新編集部、月刊『コンビニ』編集長、月刊『飲食店経営』編集長を経てフリーランスとなり、現在は両誌の編集委員を務める。