「使いやすく」「固定客化」を促すアプリの条件とは?

DX先進国のアメリカの有力小売業ではアプリを店舗とみなし、買物機能だけではなく、ユーザーの利便性を考えた多彩な機能を搭載している。操作性もきわめて簡易で、一部日本の小売業アプリのように、配慮に欠けたUI/UX(アプリ画面構成、使用体験)ではなく、使う立場を考え抜いた設計になっている。ここでは、アメリカ在住の小売業アプリ利用者へのアンケート調査を通じて、顧客支持を上げ、固定客化につながる小売業アプリの条件を考える。(月刊マーチャンダイジング2022年5月号より抜粋)

ドラッグストア2社とウォルマートのアプリを調査

今回調査を担当したRxR Innovation Initiative(アールバイアールイノベーションイニシャティブ:本社/北海道札幌市、代表取締役社長/近藤典弘)は2020年設立、会員企業向けのメディア事業(専門性の高い情報提供)、国内外問わず情報収集や事業強化のための人材交流(コミュニティの運営)、市場調査、企業・団体のマッチングを主な事業領域としている。

今回同社が米国在住の「CVSヘルス」(ドラッグストア)、「ウォルグリーン」(ドラッグストア)、「ウォルマート」(ディスカウントストア)の各アプリの利用者にアンケートを実施。各企業アプリごとに調査結果を見ていく。

[CVS]個別化されたマーケティングで会員数が大幅拡大

CVSは米国で最も成功した小売業会員向けプログラムのひとつである「ExtraCareCardプログラム」を通じて、ターゲットを的確に捉えた個別対応型の販促を推進している。

アプリ機能のひとつである「薬局事業」では、CarePassというサービスを提供しており、このサービスに登録すると、対象となる処方せん薬の全国無料配送などの特典が受けられる。このプログラムは、月額5ドル、年会費48ドルで利用できる。

CVSの会員プログラムの持つ3つの特徴

CVSアプリ特徴

(1)スマホアプリを中心としたサービスのタッチポイントの利便性向上
カーブサイド(店外専用荷物受取スペース)でのネット注文商品のピックアップ、紙伝票なしの返品など利便性を重視したサービスの強化など

(2)個別化されたコミュニケーション手法の確立
CVSでは、ダイレクト・テキスト・メッセージ・マーケティング(SMSマーケティング)を採用。米国ではテキストメッセージ(ショートメール/SMS)はブランドとコミュニケーションを取るための好ましい方法と考えられており、同社の顧客70%が、SMSマーケティングは企業が注意を引くための良い方法であると答えている。

(3)柔軟なシステム・アプリの更新
日々の実際の結果をモニターし、定量的な証拠をベースに、必要に応じてプログラムの特性を調整したり、マッピングを変更したり、常に会員向けプログラムのブラッシュアップを図っている。

こうした3つの特徴を磨き続けた結果ExtraCareCardプログラムのテキストメール数は、2021年は前年比で45%以上増加。CVSpharmacyアプリのダウンロード数は2桁の伸び。

アプリからユーザーのExtraCareカードに送信されるクーポンは2倍以上に増加。CVSは2019年以降、ロイヤルティー会員を16%増加させた(2021年上期実績)。

アプリダウンロード後は購入金額が5.6%増えている

[図表1]調査対象者属性

調査対象者は7人、西海岸と東海岸に分けそれぞれ無作為に選んでいる。属性は図表1のとおり。世帯所得(年収)は最低区分が5万~10万ドル、最高区分が20万ドル以上、1ドル110円で換算すると(以下同)下は年収約550万円、上は2,200万円以上と比較的経済的にゆとりがある層となっている。

[図表2]月間利用回数
[図表3]1回当りの購入金額

月間の利用回数(図表2)は4回がもっとも多く、5回、2回と続く。1回当たりの購入金額は21~30ドル(2,310円~3,300円)がもっとも多い。仮に週4回買物し、1回当り30ドル購入すると年間購入額は1,560ドル(約17万円)となり、物価の違いもあるが相当な優良顧客である。

[図表4]アプリダウンロード前後の来店回数
[図表5]アプリダウンロード前後の購入金額

アプリダウンロード前と後のリアル店舗の来店回数を比較すると(図表4)ダウンロード前では2回がもっとも多く、後では4回がもっとも多い。回数と人数を掛けた総来店数を比較すると前が33回、後が30回でやや減少しているがそれほど大きな変化はない。

アプリダウンロード前と後の購入金額を比較すると、前が7人平均で142ドルだったが、後は150ドルとなり、ダウンロード後には明らかに購買金額の上昇(105.6%)が見受けられる。

画面のシンプルさ、操作性の容易さが支持されている

以下はアンケートの自由記述による回答である。「CVSの店舗を使う理由と、アプリによる影響があればどの部分、機能か」という質問に関する回答は次の通り。

「今まで紙レシートで入手していた商品クーポンなどをデジタルで入手できること」、「PCR検査や各種証明書の予約が簡単にできること」、「ウォルマートなどはオンライン注文の返品がとても面倒。CVSは返品プロセスが比較的容易にできる」、「店舗訪問はするがドライブスルーで済ませられる」、「個人事業をやっているが、購買履歴がしっかりとアプリで仕訳されているので年末に向けて税金の対応が楽」、「母の処方せんの受取りを同社でしている。これもドライブスルーでできるので楽。特に、コロナ禍期間は店舗内に入るのを控えたので、便利だった」。「混雑していない。アプリで全ての購入履歴が管理できる。処方せんアプリの使い勝手が良い」、「アクセスの良さ、購入する商品が決まっている、あるいは商品を数個しか買わない場合は、ウォルマートやスーパーに行くより手軽(クーポンを使い洗剤とかを買うとさほどウォルマートと価格が変わらなくなる)」。「アプリが使いやすい。ドライブスルーが便利」、「オンライン注文、処方せんアプリ機能の使いやすい」

「クーポン以外の日常的に使う機能」としては、「薬局機能」、「処方せん関連の機能」、「各種証明書の発行」、「特売品」、「オンライン注文」が挙がっている。

「店舗内利用以外の、よく利用するアプリ機能」では、「定期的な処方せんのリフィル」、「水や炭酸飲料の配達注文」、「クーポン利用」、「特売情報」、「処方せんの支払い」、「オンライン注文」となっている。

「アプリの中で使いやすいと思うポイント」として、「各種予約が分かりやすい」、「シンプルなユーザーインターフェース(画面構成)」、「CVSでの購買や処方せん利用などの一元管理ができること」、「全体的に見やすい」「『Deals&Rewards』という特売品情報機能がデジタルに詳しくない自分にもわかりやすく、使いやすい」という声があり、画面のシンプルさ、使いやすさを評価する声が多い。

[ウォルグリーン]随所に固定客化を促す仕掛け店舗と同等に関係構築に貢献

Walgreensアプリ特徴

ウォルグリーンは、2021年9月に、これまでの会員向けプログラム「BalanceRewards」から、オンラインと店舗の両方で買物客に個別化された買物体験を提供するアプリ「myWalgreens」にリニューアル。

アプリに個人情報を登録すれば、調剤や買物、ワクチン接種などの履歴に基づき、会員個別向けの告知が届く(入会費無料)。また、約30分で店舗、カーブサイド、または店舗のドライブスルーで購入した商品を受け取ることができる。個別対応性はCVS同様ウォルグリーンアプリの大きな特徴である。

トップ画面最上部にコロナ検査のバナーを大きく配置。詳細を見るとドライブスルーか自宅検査をお勧めするとあり、それぞれ予約できる。その下には、ウォルグリーンからのお知らせなど3枚の告知系バナーがある。その下にはmyWalgreensへの登録促進の告知が大きめのバナーで入っている。

その下は週間広告とクーポン、これらも会員の属性、利用履歴に応じてカスタマイズされている。

リフィル(繰り返し使える)処方せんのスペースでは、処方せんのバーコードを読み込んで登録薬局に送信するだけで調剤してくれる。

最下段はマスターカードとウォルグリーンの提携クレジットカードの案内があり、このカードを使ってウォルグリーン系列の店舗かアプリでPB商品を購入すればいつでも10%割引、それ以外でも5%割引(年会費無料)などインセンティブは高い。随所に固定客づくりの仕掛けが見られ、アプリが店舗と同等に会員顧客との関係づくりに貢献している。

アプリダウンロードにより来店頻度、客単価がアップ

[図表6]調査対象者属性
[図表7]月間利用回数
[図表8]1回当りの購入金額

CVSと同様の要領で抽出した調査対象は8人(図表6)。世帯所得はCVSとそれほど大きく変わらない。月次の店舗利用回数は8回、12回、15回が各2人とヘビーユーザーの割合が大きい(図表7)。1回当たりの購入金額は平均すると約22ドルでCVSの約30ドルより低い(図表8)。

[図表9]アプリダウンロード前後の来店回数
アプリダウンロード前後の来店回数は回数×人数の総来店数を比較すると62対74でアプリを入れた後が約1.2倍来店するようになっており、アプリによる店舗と会員客の関係強化(来店頻度向上)に成功している(図表9)。

[図表10]アプリダウンロード前後の購入金額

また同じく、1回当たりの購入金額を比較するとダウンロード前が平均114.2ドル(約1万2,500円)、後が168.7ドル(約1万8,550円)と147%上昇。来店回数、1回当たりの購入金額とも1.5倍近い伸びを見せ、アプリが顧客の優良性を大きく高めているのが分かる。

「在庫情報のリアルタイム確認」に改善希望がある

以下はアンケートの自由記述による回答である。「Walgreensの店舗を使う理由と、アプリによる影響があればどの部分、機能か」という質問に関する回答は次の通り。

「ドライブスルー機能と各種証明書の予約取り」、「デリやサンドイッチ商品の品揃えの広告」、「処方せんのピックアップ」、「クーポン」、「食品スーパーのように食品の品揃えが豊富」、「セットメニュー(特に朝食)が、ファストフードより安上がり」、「アクセスの良さと食料品が豊富」、「配達アプリ(2~3時間で配達)」

「クーポン以外の日常的に使う機能」は「水やスパークリングウォーターの定期購入」、「リフィル処方せん」、「週間広告」、「配送」、「同日配達(注文後1~2時間で配達)」、「処方せんアプリ」となっている。

「アプリの中で使いやすいと思うポイント・機能」は「注文履歴へのアクセス」、「メニューが豊富。生活のほぼすべてのショッピングや処方せん、各種手続きがウォルグリーンで完結できること」、「カスタマイズされた私の嗜好に合った特典情報(Yourweeklyads)」などが挙がっている。

「アプリの中で使いにくいと思うポイント・機能」は、「トップ画面がごちゃごちゃしてて見づらい」、「CVSに比べて予約取りが難しい」、「処方せんピックアップ(CVShasabetterservices)」、CVSとの比較によるものが目立つ。

「もっと欲しい機能・改善点等要望」は、「リアルタイムの在庫情報(デリやサンドイッチ購入を夜遅くにするので、在庫がないと注文が落ちる)」。「食料品、特に牛乳や卵の在庫情報」、「処方せんピックアップ機能の使いやすさ」。デリや日配のリアルタイムの在庫情報がほしいという要望は、裏を返せばそれ以外の在庫情報はリアルタイム化が進んでいるということである。

[ウォルマート]8つの戦略骨子に沿った会員プログラム

Walmartアプリ特徴

ウォルマートのスマホアプリを含む会員向けプログラムの骨子は次のとおりである。

①エブリデー・ローコスト(EDLC):経費を徹底管理し、その節約分を顧客に還元する。

②エブリデー・ロープライス(EDLP):ウォルマートの顧客がウォルマートに対して信頼を築き、他の企業のように販促活動だけで価格が頻繁に変わることはないという考えを持つように、日々非常に安い価格で製品を販売

③Savings Catcher & Ad Match:競合のプロモーション価格と同じかそれ以下になるようにデザインされたマーケティング戦略

④ロールバック:EDLPが基本の同社の唯一の価格販促。選択した商品の価格を下げ、コスト削減を顧客に還元

⑤Walmart Pickup:顧客がオンラインで注文し、最寄りの店舗から無料で受け取ることができる。このサービスはWalmartDistributionFacility(中間倉庫)を経由して行われる

⑥Pickup Today:オンラインで注文し、その後4時間以内に最寄りWalmart店舗から無料で受け取ることができる

⑦Online Grocery:オンラインで注文し、自宅まで配送する

⑧返金保証:野菜や果物の鮮度や品質が完璧であることを確認できる。もし、そうでない場合は、100%の返金保証を提供

以上のような戦略に基づいて会員向けモバイルアプリ・サービスを提供。パンデミック後は、飛躍的に会員数や事業を伸ばしている。アプリを活用した買物手段の多様化は非接触ニーズの高まりを受け、ウォルマート成長の核になっている。

アプリダウンロードで来店回数減、購入単価増

[図表11]調査対象者属性

図表11はウォルマートの調査対象者である。今回調査した3社の中で世帯所得はもっとも高い。ウォルマート創業者のサム・ウォルトンは「年収2万ドルの世帯に年収4万ドルの生活を提供する」ことを創業期のモットーとしており、ウォルマートのコアな利用者は近年まで比較的低所得者層だった。多額の投資を行い進めているDX戦略で時短意識の高い、効率的で合理的な買物を好む高額所得世帯の固定客が増えている。

[図表12]月間利用回数
[図表13]1回当りの購入金額

月当たりの利用回数は平均で4.6回、ほぼ週1の来店となる(図表12)1回当たりの購入金額は62.5ドル(約6,800円)。食品の多い総合業態なのでCVS、ウォルグリーンと比較すると2倍から3倍高い(図表13)。

[図表14]アプリダウンロード前後の来店回数
[図表15]アプリダウンロード前後の購入金額

ダウンロード前後の来店回数は平均で7.35回から4.75回に減少(図表14)。金額は月平均で292.8ドルから500ドルと約1.7倍に跳ね上がっている(図表15)。アプリ利用で購買意欲が高まり、非入店のオンラインショッピングの比率が高まっている。ウォルマートが出店ではなく「アプリの店舗化」により売上を伸ばしていることがこの調査からも分かる。

デジタル、リアル多彩なサービスで固定客の心をつかむ

「当該小売店舗を日常的に使う理由は?アプリの影響があればどの部分・機能の影響か」に関する回答。「品揃え、オンライン購入、配達機能等、どれをとっても他の小売店より秀逸。

特に商品の返品等、ほぼアプリで対応できるので楽」、「Groceryshopping(配達)、返品の容易さ、すべてのショッピングがワンストップで可能」、「配達機能等、店舗に行かずに享受できるサービス機能」、「豊富な商品の品揃え」「Onestopshopでさまざまなモノが購入できるオンライン注文での食料品配達」、「配達機能の充実度が高い、Scan&Go(スマホでスキャンして精算する店内買物)、WalmartPay」、「他の小売と比べ、店舗だけでなくオンラインでも扱っていり商品がダントツに多い。Scan&Goはとても楽」

「日常的に使う機能は?クーポン以外の機能は具体的に」に対する回答。「Scan&Go」、「Checkaprice(商品画像スキャンで価格がわかるアプリ)」「スピード配達」「Lists(高度な買物リスト機能)」、「MoneyCenter(銀行口座を持たない人向けの銀行サービス)」。ウォルマートのデジタル、リアル多彩なサービスが支持されていることがわかる。

[サイバーエージェント キーマンコメント]今回の調査を振り返って

今回の調査の結果を振り返って、小売業アプリのプロである、サイバーエージェントのAI事業本部DXデザイン室室長兼全社クリエイティブ統括室所属 鬼石 広海氏と、Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長 藤田 和司氏に感想をうかがった。

鬼石 3社のアプリを調査した結果として、まずいちばんの特徴は「月当たりの利用金額」の向上が挙げられると思っています。アプリによるお客様のロイヤルティ向上がわかりやすく明らかになったと感じています。

同時に、「来店頻度」への影響が小売によって異なっていたというのも面白いポイントだと感じています。来店促進したいのか、アプリ完結型を目指すのか、まさに、「アプリによってどのような顧客体験を届けたいか」という点がしっかり考えられているからこそではないでしょうか?

藤田 ちょっと視点を変えてみると、「すでにロイヤルティの高かったお客様」がアプリによって「更にロイヤルティが高まった」という見方もできるのかなと思っています。特にウォルグリーンはわかりやすくその結果が見えています。

アプリをダウンロードする前から、月10~15回、週2回以上来店しているお客様であっても、更に来店頻度を上げ、利用金額を向上させることができています。ウォルグリーンが特に「お客様情報」に合わせた情報提供をアプリ内でしっかり特化しているからこその結果だと思っています。

鬼石 確かに、既存のロイヤルティ顧客に対しては、「日々のお買物がより便利・お得になる」ためにアプリを提供し、そうでないお客様は「定期的なキャンペーンやお買い得情報」により、来店習慣を作ってもらう。

ただクーポンを配るだけではロイヤルティ向上に効果がない、ということはすでに明らかになってきていますが、「お客様に最適化」された体験提供こそが重要になってきていると思います。

AIやデータサイエンスの活用で、この流れはもっと加速していくんじゃないでしょうか。

 

(企画設計:株式会社サイバーエージェント)(調査協力:RxRInnovationInitiative株式会社)

 

〈取材協力〉

サイバーエージェント
AI事業本部DXデザイン室室長
兼全社クリエイティブ統括室所属
鬼石 広海氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏

資生堂150周年プロモーションは“最好の自分”を叶える革新的商品を次々発売

資生堂は1872年東京・銀座に民間洋風調剤薬局として誕生。今年で150周年を迎える。西洋薬学に基づいた香水、和装・洋装に合う髪型、洋食店(資生堂パーラー)、女性化粧品販売員など時代に先駆けて資生堂が送りだした事業、文化は多い。150周年を飾る企業メッセージに「美しさとは、人のしあわせを願うこと。」を据え、これを記念してさまざまな情報発信や新商品を発売していく。(月刊マーチャンダイジング2022年4月号より抜粋)

資生堂150周年スペシャルサイト
https://corp.shiseido.com/150th/jp/

定型だった生活が一変。自分らしい美しさを追求

インターネット、SNSの発展もあり、好みや志向は多様化している。また、コロナ禍はこれまでの働き方や買物など多くの生活様式を変え多様化に拍車を掛けた。その結果、生活者はこれまでの「普通」を脱して、自分がどう思うかを重視するようになった。

こうした状況や生活者の心理を受けて資生堂では自分が思う「似合う」、自分が思う「カワイイ」、自分が思う「きれい」を引き出すお手伝いをすることが大切であり、それを冒頭紹介した「私は、いちばん好きな私をめざす。」という言葉で表現。「最好の自分」という造語も使って150周年プロモーションの基本的なメッセージとした。これに沿って新商品を発売していく。

人生の1ページを彩った資生堂との「再会」を促進

資生堂150周年記念企業テレビCMには「君のひとみは10000ボルト」のカバーバージョンが使われている。オリジナル曲は1978年のキャンペーンソングである。資生堂の歴代キャンペーンソングや人気商品の名前を聞いてその時代を思い起こす人は多いだろう。

資生堂が行った調査によれば、同社製品の使用経験者は75%以上、年代別好感度では10代から60代までの全世代で7割を超え、知名度に至っては99.7%に及ぶ。こうした資生堂の企業イメージや多くの人の使用経験も活かし、新規ユーザーの獲得、再度利用者を開拓し、コロナ禍で縮小傾向にある化粧品市場を元気にしたいという強い思いが150周年プロモーションには込められている。

3つの軸で新商品発売愛用者育成に大きな期待

150周年プロモーションに関連して発売される新商品は、「記念商品」、「感謝品」、「新価値商品」の3種類。各商品に特色ある機能とメッセージが込められている。以下、主要な商品を紹介しよう。

資生堂150周年を記念する自由に使えるオイル状美容液

[記念商品]万物資生 LIFE DEW
1/21発売 数量限定 120mL※ 参考価格 4,500円(税別)
※完売している店舗もあります

資生堂の社名は中国の古典にある一節「至哉坤元万物資生」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる。)に由来している。万物資生 LIFE DEWは、この一節を商品名に使い自然の恵みと資生堂の先端技術を結集。150周年を記念する商品と位置づけられている。

6種の自然由来のオイルを使い、顔、からだ、髪のいずれにも使うことができ、使用量や順番などの使い方を問わない、まさに自分らしく自由に使えるアイテムである。爽やかな香りでパッケージは青を基調とし、女性はもちろん男性にも勧められる一品である。

既存愛用者へ感謝の気持ちを込めた特製メイクパレット

[感謝品]マキアージュ ドラマティックパレット
3/21発売 数量限定 2種 参考価格 4,000円(税別)

感謝品の目玉としてマキアージュから発売される限定商品である。アイシャドウ、口紅、チーク・フェイスカラーがセットされており、上段左上と下段には別売りのアイカラーやパウダリーがセットできる。惹きつける顔が、ひとつで叶うパレット。上質な華やかメイク「スイッチモードカラー」ときれいめカジュアルメイク「リラックスモードカラー」の2種で展開。

中身は入れ替え可能、好きなアイテムを買い足して継続的に楽しむことができる。

「太陽の光を変換する」革新的技術で新しい市場をつくる

[新価値商品]アネッサ デイセラム
2/21発売 30mL ノープリントプライス

アネッサは資生堂の代表的な日焼け止めブランド。今回の新商品は、紫外線をカットするとともに、太陽の光を美容効果のある光に変換する世界初の成分アプローチ(※)「サンデュアルケア技術」を採用。日焼け止め効果に加え、ハリ、うるおいが続く。

同社では、常識を覆す新価値を「はじめよう、太陽エステ。UVカット+美肌光」と表現し、美肌を目指す毎日のサンケアの提案とともに「新市場」創造を狙う。

※肌を守るUV防御剤および、UVを美容効果のある光に変換するスピルリナプラテンシスエキスと蛍光酸化亜鉛、その光を増幅させるPEG/PPG-14/7ジメチルエーテルを配合した処方。(2021年4月Mintel社データベース及び独自調査による当社調べ)

フルカバーとスキンケア効果を兼備毛穴レス肌を演出

[新価値商品]マキアージュ ドラマティックエッセンスリキッド
2/21発売 25mL 5色 参考価格3,200円(税別)

毛穴の目立たない極上つるん肌を叶えるフルカバー効果と、スキンケア効果を兼備した美容液ファンデーション。「フルカバー×スキンケア乳化技術」、「ラスティング美肌効果」、「浸透型うるおい美容液」が三位一体となり、マキアージュ史上最高の美肌が実現する。マスク着用でもくずれにくく、つや、透明感のある肌が続く(※)。資生堂の高い技術で満足度を上げ新規客、リピーターの獲得に大きな期待の持てる商品。

※13時間化粧もち(毛穴の目立ちのなさ・つや・透明感・カバー力・化粧くずれのなさ)データ取得済み(当社調べ。効果には個人差があります)

エンドユーザー、店舗スタッフ両方使えるスペシャルコンテンツ

日本国内の150周年プロモーションに関する情報発信ツールとして「BeautifulmeJOURNEY」というスペシャルコンテンツをWEBサイト、SNS両方で展開している。

このコンテンツは「最好の自分」に出会う旅をイメージ。商品に関する詳細情報はもちろん、関連するテクノロジーの情報や、スキンケア、メイクなど豊富な美容のヒント、CM撮影の裏側などオモシロ情報も発信予定。楽しみながらブランド、商品に親しみを持ってもらえる。

サイト、SNS内では商品発売に合わせ、美容コンテンツエリアが順次オープン。第一弾として、今回資生堂が新市場の創造を狙う日中美容にフォーカスしたエリア「STREET」が登場する。

エンドユーザーはもちろん、店舗スタッフも商品や150周年プロモーションの戦略理解に活用できる。

「現在、化粧品全体の需要が伸び悩み、小売業の担当者さまもご苦労されていることと思います。私たちは化粧品でお客さまに提供できる価値を信じて150年歩んできました。その思いを込め、価値を感じてお客さまにご支持いただけるような商品を年間を通じて出していきますので、是非一緒に化粧品業界を盛り上げていきたいです」(資生堂ジャパン150周年プロジェクトグループグループマネージャー岡田美樹氏)

150周年プロモーションは年間通して行われる。資生堂が化粧品業界活性化のために打ち出す大型企画、商品を店頭で活用し、化粧品部門の業績アップを狙おう!

スペシャルサイト BeautifulmeJOURNEY
https://www.shiseido.co.jp/cms/beautiful_me_ journey/

アース製薬、入浴剤の新商品は、子供向けバスボールと旅情を誘う入浴剤

入浴剤市場は、2021年も前年比約7%増とコロナ禍2年目であるが、引き続き拡大継続中の注目カテゴリーである。入浴剤の使用率・購入単価共に増加しており、入浴剤使用が定着していることが、上期(春・夏)の入浴剤市場の拡大にもつながっている。今夏、アース製薬は、伸長中の剤型・コンセプトに新商品を投入し、入浴剤市場全体の底上げを図る。(月刊マーチャンダイジング2022年4月号より抜粋)

夏場の入浴剤市場も前年比約5%増

新型コロナウイルスが流行してから約2年が経過し、ニューノーマル(新しい生活様式)の定着が進んでいる。おうち時間の増加を受けて拡大中のカテゴリーが「入浴剤」である。

[図表1]コロナ禍における入浴剤の消費者状況
消費者状況を考えると売場の拡大が必要
アース製薬の調査によると、コロナ禍において入浴剤の使用率・購入単価が増加していることを確認している(図表1)。

[図表2]「上期」市場状況コンセプト別
3〜8月の「上期(春・夏)」の市場状況は図表2に示した。コロナ禍2年目にあたる2021年においても、前年比105.2%と昨対越え。特におうち時間の充実のための「エンジョイ(子供向け)」コンセプトの入浴剤や、おうちで旅情気分が味わえる「温泉」コンセプトの入浴剤の構成比が拡大しており、市場拡大を牽引していることがわかる。

剤型別の市場では、1回使い切りタイプの「個包バラ」、箱入りなどの複数回・アソートタイプの「分包」の構成比が拡大中。

そこで同社は2022年の上期、急成長中の子供向け入浴剤市場に「温泡Kidsわくわくバスボール」、伸長する分包・温泉市場に「バスロマン旅する沖縄」を新発売する。

これまで入浴剤は、9~2月の下期(秋・冬)の売上構成比が高く重要視されがちであった。ところが、2017~2021年の年平均成長率は下期(秋・冬)7.6%増に対して、上期(春・夏)9.1%増と高く、春・夏の売上構成比が高まっている。つまり春・夏の売場拡大が今後の市場拡大にとって重要である。

子供も親も満足する玩具入りバスボール

温泡 Kids わくわくバスボール くまのプーさん(80g 1回分)

2021年が前年比20%増と急成長中の「子供向け」入浴剤市場に、「温包 Kids わくわくバスボール」を新発売。「しゃぼん玉で遊べる」こだわりの玩具が出現するバスボールである。アース製薬が入浴剤メーカーとして、初めて発売する玩具入りバスボールである。

マーケティング会社「インテージ」の2020年の調査によると、未就学・小学生の子供と同居している入浴剤使用者の「4人に1人」が、「おふろ時間を楽しくする」ことを期待しバスボールを使っていると回答している。

新商品の特長は、①キッズ&パパママに大人気の「くまのプーさん」とコラボしている点である。プーさんは生誕95周年になり、関連するイベントも多く、SNSやホームページなどから商品情報を発信することで、認知度アップを目指す。

②しゃぼん玉で遊べるこだわりの玩具を採用した点である。アース製薬の調査によると、84%のパパママが「しゃぼん玉」で親子のコミュニケーションがアップしたと回答。バスボールがとけると中から「くまのプーさんと仲間たち」が出現する(図表3)。

[図表3]業界初!しゃぼん玉で遊べるこだわりの玩具
③パパママにも満足して頂けるこだわりの香りと成分である点だ。これまでの子供向け入浴剤は、「香りが人工的」「成分が体に良いか不安」「色が濃すぎる」といった入浴剤としての使用感が良くないという不満点があった。

そこで、入浴剤メーカーの開発技術を活用して、こだわりのハニー&フルーツの香りが泡と共にはじけて浴室全体に広がる工夫や、お風呂上がりのお肌をぷるぷるにする、シアバター&ホホバオイル(保湿成分)を配合するなど、パパママにも満足して頂けるバスボールに仕上げている。

1箱で4種類の「沖縄の海の色」「香り」を堪能できる入浴剤

バスロマン旅する沖縄(分包タイプ、12包4種類×3包)
おうちのお風呂で旅行気分が味わえるように沖縄の絶景写真を最大限にデザイン

「旅情」を誘う入浴剤が外出自粛のコロナ禍で拡大中である。新商品の「バスロマン旅する沖縄」は、沖縄の心揺さぶられる4種類の海の色やこだわりの香りで旅行気分が味わえる入浴剤だ。

[図表4]心揺さぶられる4種類の香りのイメージ
1箱で4種類の「沖縄の海の色」が楽しめるだけでなく、各地のロケーションに合った「香り」も堪能でき日常から解放される。

各離島の観光協会などの協力のもと、旅情感を堪能できる現地の写真を最大限にデザイン。個装フィルムの左下の二次元コードからは、各観光協会などのHPへアクセスでき、自宅のお風呂に浸かりながら沖縄の4つの離島を旅行した気分になれる。

使用感は、清浄作用もある炭酸水素ナトリウム配合で、湯上がり後のお肌がさっぱり爽快になる。大自然の恵みミネラルである塩化ナトリウムも配合している。

SNS、店頭販促物の強化で認知獲得と購買促進を両立

子供向け入浴剤は、ドラッグストア(DgS)での金額規模が、2017年~2021年比較で約300%と急成長している。すべての業態で子供向け入浴剤の取扱い店舗数が増えているものの、DgSはまだ少ない。

そこで「温泡 Kids わくわくバスボールくまのプーさん」の販促では、プーさん周年記念のイベントや、SNSなどで露出を最大化、イベント(5月こどもの日)などに合わせ公式Twitterで告知をするなど、お客の「認知獲得」を図る。

[写真1]投げ込み什器(子供目線に設計)
[写真2]商品を取るとキャラクターが後ろから出てくるHDP(ハンガーディスプレイ)
また、「キャラクターの可愛さと使用感の良さ」を訴求する店頭販促物(写真1、2)を活用して、すべての展開に対応し、「購買促進」を図る。

[写真3]「バスロマン旅する沖縄」の販促物
「バスロマン旅する沖縄」は、各観光協会の協力のもとSNSやイベント等での情報発信と並行し、写真3の販促物などを活用することで「旅情」を誘う入浴剤の需要を掘り起こしたい。

販促の準備を万全にし、上期(春・夏)の入浴剤の「シーズンファーストバイ」(その季節の第1回目の売上)を確実に掴みたい。

重要ポイントのまとめ

  • 入浴剤市場は、下期(秋・冬)だけでなく上期(春・夏)も伸長傾向
  • 拡大中の「子供向け」「旅情コンセプト」の市場に新商品を発売
  • 販促の準備を万全にし、上期のシーズンファーストバイを獲得しよう

意外と知らないフェミニンケアの「基礎知識」

女性に支持されるフェミニンケア売場をつくるためには、女性の体の仕組みそのものを理解する必要がある。意外と知らない現代女性の体と暮らしの基礎を紹介する。(月刊マーチャンダイジング2022年4月号より抜粋)

調子がいいのは1ヵ月に1週間だけ!?

女性の体には、約28日の周期で排卵や月経が起き、基礎体温が上下するという特徴がある。その変動を引き起こすのが、2つの女性ホルモン(卵胞ホルモン「エストロゲン」と黄体ホルモン「プロゲステロン」)の分泌量の増減である。そしてその28日の周期は、大きく「月経期」「卵胞期」「黄体期」の3つに分類される。

[図表1]女性の1ヵ月の体のリズム

月経期は生理がスタートしてから3〜7日間続く。期間中の経血量は20〜140mℓと人によりまったく異なる。日中は定期的に生理用品を交換する必要があるし、経血が多い人は、下着や寝具を汚さぬように注意しなければならない。下腹部が痛い、身体がだるい、眠いなどの症状が現れる人も多い。1ヵ月の中で一番つらい時期である。

生理が終わるころから1週間程度を「卵胞期」という。基礎体温が低く維持され、気分がよく、肌の状態もよい時期だ。

しかしあっという間に調子がよい時期は終わってしまう。「卵胞期」は排卵により終了し、次の生理が始まるまで2週間ほど「黄体期」と呼ばれる時期に入る。この時期は体温が高温に維持され、むくみやいらいら、眠気、体重増加が見られる。

重要なのは、すべてにおいて個人差が大きいという点だろう。生理も軽く、体調や気持ちの変化が少ない人もいる一方、激しい生理前症状を訴え、動くこともままならないという人もいる。

こういった生理前の不快な症状によって社会活動や学業に支障が出てくると、PMS(Premenstrual Syndrome)と診断されることもある。

月経前の3〜10日の間に続く精神的、身体的な症状で、月経が始まるとともに症状がおさまったり、なくなったりするものを指す。このようなケースの場合は適切な治療やケアが必要となる。

昔の数倍になった一生の生理回数

女性のライフサイクルにもホルモンは影響を及ぼす。女性が初潮を迎えるのは10〜15歳。エストロゲンの分泌の増加によって月経が始まる。そこから閉経を迎えるまでの約40年間で、女性は450〜500回の生理を経験することになる。

[図表2]女性ホルモン(エストロゲン)量とライフサイクル

20〜30代は女性ホルモンがもっとも安定する成熟期で、妊娠・出産適齢期でもある。一方で働き盛りの時期でもあり、仕事と家事育児の間で振り回される人も多い。

40歳後半ごろから、女性ホルモンが急激に減少して更年期となる。月経の間隔が短くなるなど、生理の周期が乱れだし、卵子の元となる卵胞数も減少。最終的には排卵がなくなる。閉経を迎えるのは50歳前後の人が多い。閉経を過ぎ、老年期に入ると、それまで女性ホルモンによって良好に保たれていた身体の機能に影響が出てくるようになる。

なお、昭和初期より以前は、妊娠が可能な期間中、子供を産み育て続ける女性が多かった。妊娠・授乳中は月経がないため、生涯の月経回数は100回に満たなかったのではないかといわれている。

それに比べると現代の女性は数倍多い月経回数となっていて、それに伴い、子宮内膜症や乳がんのリスクも高まっているのである。

吸水量・機能で進化する生理ケア用品

では実際の女性の生活は、どのようなアイテムに支えられているのか。生理期間中の生活を中心に説明する。

月経の期間中は出血に対応するため、ナプキンなどの生理用品と防水加工されたサニタリーショーツを併用して過ごす女性が多い。生理用品の中で構成比が高いのはショーツに貼り付けて使うナプキンで、吸収力により「昼用」「長時間用」「夜用」などの違いや、ずれやヨレを防ぐために羽根が付いたもの、香り付きのものなどがあり、多様化するニーズに合わせた商品企画がされている。

そのほかの生理用品としてはタンポンが挙げられるが、日本における構成比率は欧米のそれと比べると低く、アイテム数も少ない状況。最近は、吸水力のあるショーツ(生理用吸水ショーツ)やシリコンでできたカップを膣内に挿入し、経血をためる「月経カップ」、身体に貼り付けて使う生理用品など、ナプキン、タンポン以外の選択肢も登場している。

なお、生理はいつくるかわからないものである。ジーユーとオムロンヘルスケア、エムティーアイが実施した「FEMALE LIFESTYLE FACTBOOK」の調査によれば、生理周期の記録をしている人は半数以上で、31.9%の人がアプリに、26.8%の人が手書きで記録している。

それでも正確に次の生理がいつくるかを当てることは難しく、腹部の違和感などで、なんとなくはじまる時期がわかる程度。普通は徐々に出血量は増えるが、時折突然多くの出血から始まることもあり、下着や衣服を汚してしまわないかと、生理日前後の女性は不安を感じていることが多い。

[図表3]フェミニンケア用品のCDT

図表3は編集部が作成したフェミニンケアのCDT(カテゴリーディシジョンツリー)である。ぜひ女性の生活の理解ならびに売場づくりに役立ててもらいたい。

 

※本記事作成にあたり、一部「オムロン式美人」を参照させていただきました。
https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/

日米DXトレンドは「お客さま中心」へと回帰する

2022年1月、NRF2022–RetailʼsBigShowがアメリカ・ニューヨーク市で開催された。このイベントは全米小売業協会(NRF)が主催する世界最大級の小売業の展示会で、リアル会場では2年ぶりの開催。ウォルマートCEOやターゲットCEOなど全米を代表する小売、ICT企業の重鎮が一堂に会した。今回はアメリカ在住のR×RInnovationInitiativeの近藤典弘氏が大会に参加して感じた日米の現状や課題を5つのポイントに分け解説。サイバーエージェント 藤田氏、CA無人店舗 平川氏と共に語ってもらった。(月刊マーチャンダイジング2022年4月号より抜粋)

パンデミックで加速したお客さま中心の技術

藤田 2年ぶりの会場開催となったNRF2022ですが、現場の雰囲気や熱気はどのようなものでしたか。

近藤 大手ベンダーのなかには出展を控えた企業もあったのですが、ウォルマート、ターゲット、クローガーといった一流大手企業のCEOクラスの方の参加もあり、会場は2020年より混んでいた印象です。

とくに、基調講演、特別有料セッションは2,000〜3,000ドルを支払うのですが、非常に盛況でした。

2021年はM&Aや技術に多額の投資が行われた年なので、それら先駆者たちの取り組みがどのように機能しているかを参加者たちは知りたかったのだと思います。

基調講演、各セッションに参加して強く印象を受けたのは、多くの講演者が「お客さまをすべての中心に据える」ということを反省も含めて述べていたことです。コロナ前からたくさんの先進的な技術を導入していましたが、それが果たしてお客さまに真摯に向き合った上での技術なのか、時代から取り残されたくないというモチベーションによる技術導入ではなかったか、こうした考えが今回の大きなポイントだったかと思います。

パンデミック下、小売業は今まで経験することのなかった様々な課題に直面し、どのような戦略を取るべきかの解が見いだせない状況が長く続きました。そこで起点になったのが「お客さまは何を求めているか」、店舗に来るのは何がモチベーションになっているのか、そこに真摯に向き合わざるを得なくなったのです。ウォルマートUSのCEOジョン・ファーナーはこんなことを言ってました。

NRF2022で講演を行ったジョン・ファーナーは、同社のEC、デジタル事業を推進した立役者の一人

「ある意味パンデミックが小売業の甘やかされた体質を変えてくれた。あのままの体質では新しい業態で乗り込んでくる新規競合企業に勝てなくなっていただろう。たとえば、ウーバーイーツはレストランやファストフードの宅配サービス事業者だが、彼らが物流倉庫に在庫を持って食品や生活必需品を宅配するようになったとき、中小の食品スーパーとの競争が必ず発生する。店に来てもらう意味は何か、そもそも店に来てもらったほうがよいのか、パンデミックで変わったお客さまの買物行動に私たちは真摯に向き合うようになった」といったことです。

大会スローガンの「ACCELE-RATE」には、パンデミックで小売業の変化に加速がついたという背景があります。

ファーナー氏の論法で考えれば、お客様に店舗にお越しいただくのではなく、商品がお客様に向かって動く宅配サービスが、まさに顧客を中心に据えたサービスの良い例だと思います。

各社がデリバリーを強化してこれが普及すると、次の段階として30分以内、15分以内というようにより速く届ける競争になってきました。また。配達する商品のカテゴリーも増えていきました。

宅配サービスは配達時間の短縮競争が限界まで来ていて次はどこで差別化するのか、岐路に立たされています。宅配と並ぶようなお客さま中心のサービスが模索されています。

藤田 宅配に関して言えば、日本における配達の文化は飲食店の出前や宅配便に見られるように、欧米より発達していたように思います。

日本での配達は時間指定とか再配達とか丁寧でキメ細かなサービスが特徴的です。一方で、BOPIS(BuyOnlinePickupInstore=ネット注文店舗受取)に取り組む日本の小売業も出てきていますが、それに関連して店内のピックアップの態勢が十分でない、アプリの使い勝手が悪い、そもそもアプリを開発していないなどの問題があります。取り組んでいない企業もまだ多いです。こういった点は「お客さまを中心に」考えた、利便性を上げるためのチャレンジでしょう。

アメリカで来店と配送の比率、現状はどうなっていますか。

近藤 地域によってまったく異なります。同じ州でも人口の少ない地域では来店してまとめ買いする習慣はまだ根強いですし、都市部に行けば配達やBOPISの比重は高いです。

企業によっても異なる様相を呈しています。ウォルマートは従来どおりのキャッシャー精算もありますし、自動精算機もあり、BOPISのためのピックアップの場所もある。買い方が非常に多彩でレジ周りの風景が他の企業と違います。

また、アメリカでは昨年末、百貨店の客数、売上が伸びました。配達とは違うお客さま心理が働いています。リアル店舗はショールーム化していくという考えがありますが逆の流れですね。この辺りにもお客さまを中心に据えたサービス開発のヒントがあります。

採用難の影響もあり従業員の待遇は改善方向へ

近藤 お客さまを中心に据えるためのひとつの課題が人手不足です。いまアメリカではいくつかの理由で雇用の確保が難しくなっています。ひとつは賃金の高騰です。従来時給13ドルで採用できていたのに、20ドル以上でないと応募がないとか、人件費問題は相当深刻です。

もうひとつは「燃え尽き症候群(BurnOut)」です。トランプ政権ではパンデミック対策のために行った外出禁止、企業の営業停止の救済手段として多額の予算を付けて現金給付が行われました。日本円にして月に15万〜20万円といった金額を受け取っていた労働層が勤労意欲を失ってしまったという現象です。

3番目は若い人を中心に企業の正義や社会貢献性を厳しくチェックする人が増えたことです。環境、人権、地域などに関して問題があると思うとその企業で働くどころか批判の的にされます。こうした観点で小売業からIT業界へ転職する人もいます。

従業員のマネジメントでは、いろいろな例が挙げられていましたが、記憶に残っているのはピザハットやケンタッキーフライドチキンを展開するヤム・ブランズの教育プログラムです。

同社は統計的な手法で、「ある属性」を持つ人たちは成果を出さなければいけないという思いが強過ぎて、下からの意見をあまり聞かないという傾向を発見しました。そういう人たちのために部下から意見や評価をもらう教育プログラムをつくって受けさせたところ成果を挙げたそうです。気づきを与える能力開発には有効だと思います。ちなみに「ある属性」というのは人種やジェンダーに関するもので、アメリカ的な難しさをはらんだ問題でもあります。

また、アメリカには交通費を支払わない企業が多いのですが、それを支給するように改めたとか、子どもがメンタル系の病気になったとき治療費の補助を出すとか福利厚生を改善した事例も多数ありました。

平川 日本でも従業員と向き合うこと、ES(従業員満足)は重要なのに、あまり多くが語られることのなかったテーマだと思います。これがアメリカで大きく取り上げられているのは新しい発見です。

日本ではコロナ禍で保育園や学校が閉鎖されると親が働きに行けないなどの問題が起こっています。リモートワークが定着したのに社会制度やインフラが追いついていないという問題です。勤務実態と現実の乖離といってもいいでしょう。ここはテクノロジーも使って埋めていくべきです。

たとえば、非常に興味深く読んだニュースですが、JR東日本がある駅のホームに今年4月に診療所を開設すると発表しました。内科は対面で、皮膚科、耳鼻科、婦人科はオンラインブースで提携する医師の診療を受けられるそうです。これは現状、医療機関の開院時間と勤務時間が重なっているので多くの日中働いている人が平日診察を受けられないという患者側の問題だけでなく、従業員である医師側にとっても課題解決につながる取り組みだと思っています。

育児や子育て中の医師は、働ける時間や場所が限られるため働きにくいという医師側の課題がありました。こうした状況をオンライン診療という技術も使って、患者側・医師側双方の視点にとってより便利な形に解消していく。法的にもオンライン診療は使いやすい形に向かっていますので、勤労者が諦めていた不便なことが技術や法改正によって解消されていくよい事例だと思いました。

こういった分野はまだまだたくさんあるでしょう。インフラ整備や法改正以外にも、企業の側でも従業員の労働環境を改善する余地はあると思います。

近藤 平川さんの挙げた例に関連していうと、ニューヨークの大きなターミナル駅に特設のワクチン接種会場ができたのですが、そのうちいくつかは常設の診療所として残してオンライン診療を導入する、そういう動きがあります。

また、アメリカの大手銀行バンクオブアメリカなどは、予約を取った上で相談ブースでオンラインによる資産管理や投資の相談ができる無人型の店舗をつくっています。労働環境の改善にもリモートでできることはありそうです。

平川 私もこれまで広告運用支援を行う子会社の経営を行っていましたが、「従業員が創造性のある仕事に取り組むことができる」というのも、従業員の働き方を今後考える上でポイントになるのではないかと思っています。標準化すべき業務に関してはソリューションによって、無人化・省人化し、従業員はより自分の創造性を発揮できる接客などの業務に従事しやすくすると言ったような、「従業員との向き合い方」も一つなのかもしれません。

クローガーが移動販売に進出。自動運転による移動販売も登場

近藤 アメリカの大手食品スーパークローガーは小規模なトラックに商品を載せて地域に出て行くサービスを始めています。公園などに止めてそこで販売しながらお客さんと会話してそれを品揃えに生かすという仕組みです。

また、西海岸のスタートアップ企業が運営する「ロボマート」という移動販売はミニバンに500個程の商品を積み込み自動運転で移動しながら販売するという仕組みです。利用にはあらかじめ専用アプリをダウンロードする必要があり、クレジットカードなどの登録が必要です。

自動運転で商品を運ぶロボマート

アプリ上で近くにいるロボマートを探して指定の場所まで呼ぶというシステムです。地域限定で実験的に運用されていて、完全な自動運転まではまだ至っていません。私が実際に見たロボマートは人間が運転していました。富裕層が住む住宅街をターゲットエリアにしています。

[写真A]韓国企業新世界の無人店舗
写真Aは韓国の新世界(シンセガエ)による無人店舗「SPHAROS(スファロス)」です。AmazonGoのようにカメラと重量センサーを組み合わせて購入した商品を特定して自動精算することで、お客さんはそのまま出て行くシステムです。唯一違うのは店舗を出ると大きなスクリーンがあり、そこに購入した商品のリストが出るところです。

こういう無人店舗や移動型店舗、エコ重視の店舗など「お客さまを中心に据える」ことの方法論として、多数の新しいスタイルの店舗が展示されていました。

平川 確かに、日本国内でも「お客さま中心」に据えた店作りは今後更に増加してくると考えられます。「とにかく過疎化が進んで出店が難しいエリアに、無人店舗を出せないか?」といった相談を受けることが非常に多いです。

移動スーパーの領域では「とくし丸」さんが、各地の小売業と連携しながら移動店舗での生鮮食品の販売を始めていますが、過疎化により出店が難しいエリア等では、「商品数や接客などの面が多少不足していても、とにかくそのとき最低限必要なものをすぐに買える環境をつくる」ことがより重要になる、と考えています。

ECに人系要素をプラス。ライブコマースには大きな可能性

これは、弊社の事業パートナーであるコアサイトリサーチ社のデボラ・ウェインズウィッグが参加したセッションで取り上げたテーマです。彼女は日本や中国の動きも見ながら、動画配信=「ライブストリーミング」や動画配信を起点にした物販=「ライブコマース」の可能性の高さを指摘しています。これがアメリカでも主流になってくると予想しています。

いままでリアル小売業ではECに大きくシフトできなかった。なぜなら、リアル小売業が得意とする接客や商品説明がECではできなかったからです。それを可能にするのがライブストリーミングでありライブコマースなのです。

いまメタバース(Metaverse)という世界があります。これは仮想空間にデジタル的な自分の分身が入り込むことで、もうひとつの世界での生活が生まれることを意味します。旧Facebook社はこの可能性にかけて社名をMetaに変更したほどです。ある調査会社では2026年までに全世界の25%の人が1日1時間以上メタバースで過ごすだろうと予想しています。ライブコマースはメタバースとの相性もよいと考えられています。

アメリカで100年以上続く化粧品の訪問販売エイボン社は全米の田舎町まで至る所を訪問して泥臭い営業を展開することで有名ですが、こうした人系の営業もライブコマースならできるとウェインズウィッグは語っています。

実利的なメリットとして、普通のECと比較して人がオンラインで説明販売するライブコマースは返品率が50%減ったというデータもあります。デジタルに人系の要素を入れる、これも大きなテーマとして取り上げられていました。

ライブコマースによる返品削減効果(イメージ図)

新しい血と伝統的なDNAを融合させた経営を進める

ウォルマート外観

近藤 日本の皆さんが注目されているウォルマートの最近の動きですが、一番の話題はM&A、テック企業を含む買収です。ジョン・ファーナーが基調講演で話していたのは、新しい血を積極的に入れる。同時にウォルマートが長年培ってきたDNAを体現する人材も育成する。この2つのバランスを取っていくということです。

この2軸をいかにコントロールしていくか非常に難しいが、そこは経営者冥利に尽きるといったことも発言していました。ウォルマートの具体的な動きは今回の大会では発表されませんでした。

ネット注文した商品を専用の受け渡し場所でピックアップするカーブサイドピックアップ
ウォルマートのセルフレジスキャンアンドゴー

藤田 ファーナーの視点はそのとおりですね。コストカット、標準化といったチェーンストアが重視するDNAと、投資や自由な発想というDXに必要な要素を人レベル、組織レベルでいかに融合させるかは至難の技で、それができた企業が次のステージにいくのでしょう。

直近のウォルマートにおける大きな動きでいうと、元Jet.comCEOでウォルマートのEコマース責任者だったマーク・ロア氏が退任し、ウォルマートCEOのジョン・ファーナー氏がリアルにおける店舗とEコマース両方を見ることになっています。マーク氏はウォルマートDXの最高責任者でもあったので結構大きな影響があるように見えますが、近藤さんはこのあたりどのように捉えておられますか?

近藤 ファーナー氏は、同社の決算発表会で店舗から店舗へのフルフィルメントが増えており、店舗自体がフルフィルメントセンターの役割も果たしていると述べています。これは、今までのデジタルと店舗の融合というDXの流れから、店舗自体が新しい事業モデルの“主体者”としてDX化を図ってきている大きな潮流だと考えます。マーク・ロア氏が顧客エクスペリエンスをEコマースという業務の中で高めたのと同じように、今後は、事業トップであるファーナー氏が、Eコマースや店舗の垣根を超え、全ての顧客エクスペリエンスに関連する業務のDXについて旗振りをするのは、とても自然な流れのように思います。

藤田 確かに、トップ自らがDXを先導していく動きは今後もさらに加速していくのかもしれないですね。今回近藤さんからお話を聞き、発露の仕方、ソリューションは違うのですが、アメリカと日本は改めて同じような課題に直面していると感じました。本日はありがとうございました。

 

〈取材協力〉

Falkon Team社
代表
近藤 典弘氏
株式会社CA無人店舗
取締役
平川 義修氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏

植物の力で低刺激処方をさらに追及。雪肌精から「敏感肌用」誕生

雪肌精は「雪のようにみずみずしく透明感あふれる美しい肌のお客様を増やしたい」という思いを込め1985年に誕生。以来、日本を代表するスキンケアブランドに成長し、その人気は遠く海外にまで及んでいる。2020年には若年層を主力ターゲットに新シリーズ「クリアウェルネス」を発売。2022年3月、そのシリーズから時代の要請を受け「敏感肌用」が誕生する。(月刊マーチャンダイジング2022年3月号より抜粋)

[商品写真左から] ❶ピュア コンクSS 125mL(参考価格:2,200円) ❷ピュア コンクSS 200mL(参考価格:3,400円) ❸ピュア コンクSS 170mL詰め替え用(参考価格:2,700円)❹リファイニング ミルクSS 90mL(参考価格:2,400円) ❺リファイニング ミルクSS 140mL(参考価格:3,600円) ❻リファイニング ミルクSS 120mL詰め替え用(参考価格:2,900円)❼ピュアコンクSSマスク16mL×1枚(参考価格:380円) ❽1Dayトライル2回分(参考価格:190円)

マスク着用で自分の肌に向き合う人が増えた

自分の肌が刺激やストレスに弱く敏感であると感じる人が増えている。実際、敏感肌用のスキンケア市場は2020年対2017年比で17.2%増と大きく拡大している(図表1)。コロナ禍でマスクを着用することで摩擦や蒸れといった問題が起こり、敏感肌を自覚する人は一層増えている。

[図表1]敏感肌用市場

買物行動から見れば、コロナ禍の影響もありショートタイムショッピングやEC(ネットショッピング)のニーズが高まり、商品特徴を短時間でわかりやすく伝える重要性も増している。

こうした背景から、雪肌精ではクリアウェルネスシリーズの低刺激処方であるフリータイプを改良「敏感肌用」として新発売。明確な肌悩みを訴求し、ニーズに合った商品で若年層獲得をさらに強化、より一層の店舗貢献を目指す。

着目したのはうるおいの「運搬能力」

一般のスキンケアは「うるおいをつくること」にアプローチ。新商品ではこれに加えて「うるおいを運ぶ」機能に着目し、うるおいのもとを必要なところにきちんと届けるアプローチで、乾燥などの敏感症状に悩む肌をケア。雪肌精がこだわる植物のやさしさで敏感肌のうるおいバリアをサポートする。既存品と同様、アルコールや香料、合成着色剤は一切無添加。国産ゲットウヨウエキス、国産シャクヤク花エキス、国産ノニ果汁を配合した天然由来の独自成分「イトワ」もそのまま入っている。

低刺激処方をさらに追求し、敏感肌の人でも使用できる商品へと進化(※1)。コーセーが行った調査によれば83%の人がピュアコンクSSをまた使用したいと回答(※2)。使用者の満足感も証明されている。

さらに、環境への取り組みとして、廃棄して焼却される際CO2の発生を抑制する効果(※3)がある「グリーンナノ素材」(※4)をパッケージと店頭サンプルに使用(マスクと1Dayトライル)。これは化粧品業界初の取り組みである。
※1 アトピー疾患の既往歴があるお客様向けに開発された商品ではありません
※2 敏感自覚症状のある方を対象としたアンケート(KOSE調べ)回答者42名
※3 ラボスケールによる実験
※4 樹脂の添加物のこと

商品特長

ネット、SNSから店頭へ誘導する動線強化

スキンケアを購入するとき、重視される2大ポイントは「保湿効果」と「肌への優しさ」である。雪肌精のクリアウェルネスシリーズ敏感肌用は、36年の自然科学研究により植物の効果を最大限生かすことで保湿効果はもちろん、高いレベルの肌への優しさを実現。これをアピールすることで売場での注目が高まる。コーセーでは植物の優しさを前面に出したビジュアルを用意(画像1)。売場やネットを含む販促物で活用する。

[画像1]植物の優しさを前面に出したビジュアル素材

また、若年層は、購入前にネットで情報収集する傾向にあるため、SNS周りの強化はもちろん。ランキングメディア等ECブランドが常連化している媒体で情報発信して店頭へ誘導する導線を強化する。敏感肌用は試すことが重要なのでリアル店舗の優位性も発揮しやすい。テスター、サンプルが用意されているので活用しよう。また、雪肌精には男性ユーザーもいるので若年男性への紹介で可能性も広がる。雪肌精という高シェアブランドの新商品で2022年春夏の化粧品部門活性化を狙おう。

[画像2]植物の優しさを前面に出したボードを使用した売場提案

重要ポイントのまとめ

  • 新成分「モイスチュアナビゲーション成分」配合
  • 高まる敏感肌需要+雪肌精のブランド力で新規客開拓

532店舗の実地調査から分かった店舗の課題と生活者ニーズ 月刊MD2022年12月号の見どころ紹介

12月号の特集は『DgS顧客満足度調査2022』です。ドラッグストア(DgS)の2021年度の売上合計は8兆5,408億円(前年比106.2%)、店舗数は382社2万1,725店舗となっています(日本チェーンドラッグストア協会調べ)。コロナ禍の生活スタイルも定着してきた現在、業態として伸び続けるDgSの店舗運営の状況と生活者のニーズを、今年も500店を超える店舗調査から考えます。その他、実務企画は『食品の利益率を上げる実践テクニック』、企業リポートは『「営業改装」で閉店売上ロスなく店舗年齢を若返り化既存店強化をサポート』などを掲載しています。

月刊マーチャンダイジング最新号の読みどころのご紹介です。

特集「ドラッグストア顧客満足度調査2022」

特集は年々注目の高まる「ドラッグストア顧客満足度調査2022」です。

41企業、532店舗を調査。「店舗設備・クリンリネス」「販売促進」「商品陳列・品揃え」「基本接客・商品知識」「レジ対応」など7分野計46設問で調査しました。

最後の「この店での買物を知人に勧めるか」という設問には0〜10点で答えてもらい、これは「総合満足度」と呼ばれ最も重視する指標です。

各設問、この「総合満足度」に与える影響度を「総関係数」として計算、46問中もっとも総合満足度に影響を与える(相関が強い)のは「この店で日常的な買物は済むか」というワンストップショッピング性に関するものでした。つまり、この満足度が高い(ワンストップショッピング性が高い)店程総合満足度も高いということです。

2番目に高いのが「他のチェーンにない特徴、工夫」、3番目がテレビ、ネット、アプリなどで見た商品を店舗で見て購買意欲が高まったか」4番目が「短時間で買物できる仕組み、配慮」と続きます。

生活者は1ヵ所の店で、生活に必要なもの全てを短時間で買物したい。そして、店舗の独自性、オリジナリティを好み、広告の品を店頭で見ると気持ちが上がるという実態が見えてきます。特集ではこうした詳細な分析を展開、企業、店舗のランキングも紹介しています。

実務企画食品の利益率を上げる実践テクニック

その他、店舗を閉めることなく営業しながら全面改装できるシステム「営業改装」、ドラッグストアの食品の利益率の上げ方など実務情報も充実。

地域密着小売業研究「千葉薬品 ヤックスケアステーション、ヤックスタウン」

店舗は地域密着型企業千葉薬品のヤックスケアステーション、ヤックスタウンをリポート。DgS、介護施設、調剤薬局を集約させた新業態です。八川昭仁社長のインタビューも合わせて紹介しています。

ドラッグストア、調剤薬局、介護施設、高齢者住宅が一体となった「ヤックスケアタウン」
ドラッグストア店内には管理栄養士が対応する「街の保健室」を設置

今年も残り少なくなって来ましたが、年の瀬も月刊MDでしっかり情報収集!

一部記事はnoteでもご購読いただけます!

最需要期の年末、売り逃しを防止、チャンスを最大化! 月刊MD 2022年11月号の見どころ紹介

11月号の特集は『カテゴリー別年末売場強化大作戦』です。年末は小売業の売上が上がる「書き入れ時」です。12月の特性をID-POS分析で解説し、その後カテゴリー別に市場や売れ方の動向、強化すべき商品、売場づくりの工夫などを紹介します。チャンスロスを防ぐため、本特集をご参照ください。その他、トップインタビューは『レデイ薬局代表取締役社長 白石明生氏』、特別企画は『ドラッグストア、本気のSDGs』、企業リポートは『フマキラーの開発・研究・情報発信拠点「ブレーンズ・パーク広島」』などを掲載しています。

月刊マーチャンダイジング2022年11月号の見どころ、読みどころをご紹介します。

特集「カテゴリー別 年末売場 強化大作戦」

特集は「カテゴリー別 年末売場 強化大作戦」と題して、ドラッグストアにとって最需要期、書き入れ時の年末、売れる商品、売るべき商品のカテゴリー情報、売り方、売場づくりの情報をお届けしています。

紹介しているのは「洗濯」「住居用洗剤」「防カビ剤」「軽度失禁」「総合感冒薬」「入浴剤」「殺虫剤」「頭皮トラブル(かゆみ、フケ)」「メイク」の9カテゴリー。

プラスID-POSで購入金額、来店頻度、買われる商品など、年末、年始の特性を分析しています。

少し、ポイントをご紹介!

①住居用洗剤、大掃除シーズンですがエアコンのクリーナーは、冷房使用開始前の5月、6月に売上のピークがあって、大掃除シーズンまだ空白に近い状態、ここを深掘りすれば売上プラスオン。

エアコン洗浄、フィルター奥のフィンにスプレー

②軽度失禁用品は寒くてトイレが近くなる年末、くしゃみが出やすい花粉の時期が売り時。生理期間中の40代以降、活動的な高齢者、男性といった対象に適切な売場づくりでアピールすることが重要。

③風邪薬は2022年8月からV字回復の兆し。いつ熱が出ても対応できるよう買い置き需要が上昇、大容量化などで単価アップも進行中。行動制限を取らないこれからは風邪をひく人や、これに備えたい人が増える見込み。1,000億円からコロナ禍で600億円まで落ちた市場の復調が期待できます。

図表 総合感冒薬(風邪薬)の市場規模と推移

その他、年末強化したい有益な情報をお届けしています!

特別企画「ドラッグストア、本気のSDGs」

特別企画としては「ドラッグストア、本気のSDGs」

日本チェーンドラッグストア協会と、薬王堂さんの取り組みを紹介。

薬王堂さんは返品を減らして店間移動させたり、障がい者のアートを店舗に採り入れたりと、SDGsを意識した事業を行っています。

秋の夜長、月刊マーチャンダイジングで業界情報をインプットしてください。お昼、リモートワークの合間でもぜひ!

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1兆円企業誕生、競争熾烈になる九州エリア 月刊MD 2022年10月号の見どころ紹介

2022年10月号の特集は『DgS白書2022』、新業態リポートは『新生堂薬局 地下鉄筑紫口改札前店』、第2特集は『男の美意識が変わったまこそがチャンス!「男性化粧品売場改造計画」』です。

月刊マーチャンダイジング2022年10月号、特集は恒例のドラッグストア白書です。上場企業を中心にドラッグストアと調剤薬局の財務分析をしています。

特集①ドラッグストア白書2022

売上高ではウエルシアホールディングス(HD)がついに1兆円を突破。

図表1はドラッグストアの上場企業の売上高ですが(月刊MD2022年10月号より)、スギHDより上の6,000億円以上の6企業、ウエルシアHDを除く5企業も5〜6年以内には1兆円突破の見込み、あるいはそれを目指すとしています。ドラッグストアの上位グループの売上は1兆円時代を迎えつつあります。

[図表1]ドラッグストア上場企業2022年売上高

図表2はドラッグストアの売上総利益率(粗利益率)と販管費率をバーの長さで表現したものです(月刊MD2022年10月号より)。

売上総利益率―販管費率=営業利益率ですが、営業利益率が最も高いのがマツキヨココカラ&カンパニーで粗利益率32.9%とこちらも業界トップ、販管費率27.2%こちらも業界最高値、経費を掛けて利益を取りに行くという儲けパターンです。

次に営業利益率が高いのはサンドラッグですが、こちらの粗利益率は24.1%業界8位、販管費率は18.9%低い順に数えて業界3位。粗利も低めだけど、コストを抑えることで利益を残すパターン。各社の儲けのパターンが分かります。

[図表2]ドラッグストア売上総利益率と販管費率

その他、部門別の売上高、売上構成比、商品回転率、交差比率、出退店数など広く、深く業界の財務状況を分析しています。

ちなみに上場ドラッグストアで商品回転率が最も高いのは食品の売上構成比が57.9%のコスモス薬品で9.5回転(年)、365日をこの回転率で割ると同社の平均在庫期間は約56日。

商品回転率の一番低いの調剤・医薬品・化粧品3部門合計の売上構成比が68.4%のマツキヨココカラ&カンパニーで4.4回転(年)平均在庫期間は約83日。

ドラッグストアと一口にいってもこれだけビジネスモデルが違うんですね。

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【女性2,631人調査】フェムテック・フェムケアに43.7%が関心あり!

月刊MD4月号のフェミニンケア特集では、「生理用品の購入」に関する会員アンケートを実施し、購入動向や、レシート調査による購入商品を分析しました。今回「このカテゴリどこで買う?」では、女性が生理前や生理中に感じる心身の不調や女性特有の悩みを理解し、「フェムテック」「フェムケア」領域に寄せる関心など、女性の率直な意見をまとめました。

アンケートの対象は、20代~60代の女性2631人(平均年齢:44歳)で2022年1月23日~25日にインターネット調査を実施しました。

7割以上の女性が生理前から生理中に不調を感じる

[図表1]生理前や整理中に心身の不調を感じることはありますか

最初に、「生理前および生理中に感じる心身の不調」を聞くと、女性2111人のうち、「生理前に感じる」(77.2%)で、「生理中に感じる」(77.0%)の割合とほとんど変わらず、生理前〜生理中の期間において、何らかの不調を7割以上の女性が感じていることがわかりました。

[図表2]年代別:生理前に感じる心身の不調(複数回答)

次に、生理前と生理中の心身の不調を聞くと、「生理前の不調」は、「イライラ・情緒不安定」(61.3%)が最も多く「腹痛(生理痛)」(50.8%)、「乳房の張り・痛み」(39.7%)「頭痛」(38.7%)、「腰痛」(36.4%)、「肌荒れ」(33.8%)を上回りました。そして「生理中の不調」は、「腹痛(生理痛)」(75.8%)が7割以上で、「腰痛」(43.2%)は生理前と比較すると<+6.8pt>増加し、「イライラ/情緒不安定」(42.1%)、「頭痛」(35.9%)、「乳房の張り・痛み」(19.2%)、「肌荒れ」(24.1%)の不調を感じる人の割合は減少することがわかりました。

[図表3]フェムケア・フェムテック領域に興味関心はありますか?

若い年代ほど関心度が高いフェムテック

続いて、近年「フェムテック」や「フェムケア」といった言葉を耳にするようになり2021年の「新語・流行語大賞」にも「フェムテック」がノミネートされるなど、新しい市場として社会的にも注目度が高まっています。

「フェムテック」はFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性が抱える様々な悩みをテクノロジーによって解決に導く商品やサービス、「フェムケア」は、Feminine(女性の)とCare(ケア)を掛け合わせた造語で、女性の体や健康をケアする商品やサービスを指し、経済産業省の調査(※)によると、2025年時点の「フェムテック」による経済効果は約2兆円/年と推計されています。
※経済産業省「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査」

アンケートでは、女性全員に対して言葉を説明した上で、「フェムケアやフェムテック領域」に関して、4割が「興味関心がある」(43.7%)と回答し、「30代 N=835人」では(46.2%)となり<+2.5pt>高く若い年代ほど関心度が高いことがわかりました(図表3)。

[図表4]フェムケア・フェムテック領域で「興味関心」があることをお選びください。

そして、「フェムケア・フェムテック領域に興味関心があると回答した人」を対象に、年代別でその内容をみると、「〜30代 N=386人」では、「PMS(月経前症候群)の解消法」(68.4%)が最多回答で、「生理中の悩みの解消」(53.1%)、「生理周期の管理アプリ」(36.3%)がそれに次ぎ、主に生理に関する悩みの解消が上位となり、特にPMSに関するコメントが多く「PMSが気軽に相談できる場があればよい(20代)」「PMSについては相談したことはないが、解消法があるなら知りたい(30代)」など、PMSがつらいときなど、産婦人科でカウンセリングや治療などが受けられることがあまり知られていない印象を受けました。

そして、「40代 N=422人」、「50代 N=303人」になると、いずれも「更年期障害の解消グッズ」が最も多く、40代(57.8%)、50代(69.9%)と割合は大きくなり、「更年期の症状は個人差があるし、理解されにくいと思う。心構えなどわかれば助かる(40代)」「更年期の時に飲むと良いサプリや、受診した方が良い症状など色々な情報がわかるとありがたい(50代)」といった声がありました。

他にも50代では、「尿漏れ」(39.9%)など、年齢とともに相談しにくいデリケートな悩みを抱えるケースもあり「女性特有の病のオンライン診療」(27.4%)が、他年代よりも回答を集めました。

今回の調査結果から、生理や女性特有の悩みを多くの女性が抱え、生理前や生理中の不調への対処法としては、多くの女性が「何もしない」「鎮痛剤の服用や、身体を温める、ゆっくり休む」などといった内容が多く、「主人に伝えて、家事を手伝ってもらう(30代)」「家族にマッサージしてもらう(30代)」など、若い年代の女性は、身近な家族に理解や協力を求める人もいました。

また、PMSに関しては、自身の関心だけではなく、「娘がPMSに悩んでいるので関心がある(50代)」「娘が月経痛に悩まされているので、生理前からとても辛そうで何か情報が欲しい(50代女性)」といった声もありました。

今まであまり語られることがなかった生理や女性特有の悩みの解消において、政府関連では、20年10月にフェムテック振興議員連盟(会長:野田聖子議員、事務局長:宮路拓馬議員)が発足して普及に向けた規制見直しを進め、昨年3月にファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)が、「フェムテック」市場への参入を発表するなど、ポジティブな影響を与える大きな動きが広がっています。