新しい売り方調査隊!

モデルを社員がつとめ、親近感も

コーディネート販売で余剰在庫の削減を目指すアパレルEC「AUNE」

今回、「新しい売り方」調査隊!で取り上げるのは、アパレルショップで売れ残ってしまったデッドストックといわれるアイテムを活用しコーディネートを提案、販売するECサイト「AUNE」です。余剰在庫問題と環境問題の解決に挑戦する「AUNE」のサービスを試してみました。(ライター:宮原智子)

  • Facebook
  • Twitter
  • Line
  • Hatena

デッドストックアイテムをコーディネートで販売

食品業界ではフードロスの問題が深刻ですが、アパレル業界でも余剰在庫が問題となっています。

販売シーズンが過ぎるなどして売れ残った余剰在庫は、一定期間が経つと焼却処分されてしまいます。余剰在庫を抱えることは、事業者にとって不経済なだけでなく、焼却することによって地球環境にも悪影響を与えます。

「MOUSSY」や「SLY」といったアパレルブランドを展開するバロックジャパンでは、こうした問題を解決すべく、デッドストックの商品をコーディネートで販売するサイト「AUNE」を立ち上げました。

「AUNE」の利用はサイトのトップページから。

サイト右上の検索ボタン(虫めがねマーク)をクリックすると、検索条件を指定するウインドウがポップアップします。

1.検索条件を指定します。

検索条件の項目でユニークなのが「気温」。季節に合わせてコーディネートを表示することができます。

2.検索条件結果が表示されるので、アイテムを選びます。

デッドストックを流行のコーディネートにアレンジして提案。

3.選んだアイテムのサイズを選択し買い物かごに入れます。

在庫があれば、コーディネート提案されたアイテムの別の色を注文することもできます。

4.支払い情報を入力し会計をして終了です。

支払い方法はクレジットカードか代引きが選べます。

コーディネート販売が「時短」というメリットを生み出す

メーカーのアパレルECサイトは、一般的には「トップス」「アウター」「パンツ」「スカート」というふうに、アイテムごとにカテゴリーわけされています。

このため、1つのECサイト上で「トップス」と「スカート」を購入する場合には、カテゴリーごとにアイテムを一覧表示させて選ぶ必要があります。

これにはなかなか時間がかかるばかりでなく、「このスカート、さっき見たトップスに合うかな」と思ってページを戻ろうとすると、「さっき見たトップス」が迷子になってしまって諦める、いわゆる「カート落ち」にもつながりかねません。

この点、コーディネート販売は「時短」を実現します。ゆっくりスマホで服を選ぶ時間のない人にとってとても便利です。

ハードルを下げる「価格設定」と「社員モデル」

AUNEには、「時短」のほかにも服を買うことへのハードルを下げる要素があります。「価格設定」と「社員モデル」です。

今回購入したコーディネートは、本来であればトップスは3,850円、スカートは19,800円、合計23,650円のところ、約80%オフの4,950円。最安のコーディネートは1,980円からと、誰もが購入しやすい価格設定となっています。

通常、アパレルECサイトの画像にはモデルを起用することが一般的が、AUNEではバロックジャパンの社員がモデルを務めている点も特徴的です。モデルではなく一般社員が服を身につけることで、サイトを訪れた人にとってそのコーディネートを身近に感じられる効果があるといえそうです。

AUNEはコーディネート販売で余剰在庫に再び命を吹き込みました。今後「持続可能な社会」に向け、小売業界ではどのような取り組みが行われるのか。「新しい売り方」調査隊でも注視していきたいと思います。

著者プロフィール

MD NEXT編集部

お江戸日本橋で日夜売り方・買い方を研究し続けています。コンビニマニア、ECマニア、100均マニアなどなどが集まる、日本で一番「お店」のことが好きで研究し続けている編集部です。