北海道の豊かな原材料を地産地消。お客のニーズに沿った独自商品を生み出す

PB比率33%!異色のコンビニ「セコマ」の売場が楽しい理由

北海道のご当地コンビニとして愛されながら、独自の戦略でメーカー機能を持つなど、新たな利益の柱をつくり、成長を続ける「セコマ」。同社の商品開発について、広報部長を務める佐々木威知氏に話を聞いた。道内店舗で実際に購入したセコマのプライベートブランド商品の紹介とともに“つくる力”とその原動力を読み解く。(月刊マーチャンダイジング2020年2月号より編集の上転載)

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ポテトチップス売場、上段、2段目にPBのスナック菓子が並ぶ。PB比率は3分の1以上ながら、あえてデザインの統一感を崩すことで、PBばかりではない、品揃えの豊富感を戦略的に演出している

総合流通商社として自社で製配販をコントロール

現在、北海道を中心に約1,200店舗のコンビニ「セイコーマート」を展開するセコマだが、酒店の近代化を進めることでチェーンへと発展した歴史がある。また、1号店の開店も1971年とセブン−イレブンより早く、現存する中では日本ではじめてのコンビニチェーンとしても知られている。

この来歴を踏まえれば、セコマがワインを輸入しプライベートブランド(PB)商品として自店で販売するほか、スーパーやドラッグストアなど他企業にまで供給していることに違和感を覚えることはない。

セコマの究極の強みは、小売機能だけでなく、卸機能だけでもなく、メーカー機能も備え、自社で製配販を行い、物流網も含めてトータルでサプライチェーンをコントロールできるところにある。セコマが、ほかの大手コンビニチェーンに比べ、価格を抑えた商品を多く並べられるポイントもそこだ。

PB総菜は、首都圏では200~300円が相場だが、セイコーマートでは1点120~130円で購入できる。グループ所有の生産工場は約21ヵ所、物流拠点は7ヵ所あるという。セコマは、野菜や肉、海産物など北海道の豊かな原材料を地産地消する形で、お客のニーズに振り切った独自商品を多く開発している。

セイコーマートの代名詞ともいえるPBワイン。酒類を豊富に取り揃えているのもセイコーマートの強みだ。PB酒類を集めたリーチインケースも

店頭での見せ方含め商品開発。地域に愛される原動力に

週ごとに発売される新商品PBや話題の商品は、入り口近くに島陳列を設けたり、専用トップボードなどを用いて、しっかりと販促強化を行っている

「商品をつくるときには、サプライチェーンの中でどういう商品に仕上げたいのかを考えます。高いクオリティで、できるだけ買いやすい値段に仕上げるためには、製造で、物流で、店頭で、それぞれどんな工夫をするのかがあって、はじめて価値の高い商品ができ上がってきます」(広報部長 佐々木威知氏、以下同)

どこまでを自社で行い、どの過程を外注し、どの企業と戦略的に手を組むのか。企業によって最適なPB開発の仕方は異なる。

セコマは、北海道という土地柄、気候、自らの出自や経緯などを踏まえて、大部分を自前で賄う方法を答えとして導き出し、大手チェーンとの差別化に成功した。

商品を並べるまでが商品開発だが、セコマでは商品開発部門と売場企画や広告戦略を担当する部門が本社内の同フロアにレイアウトされ、日々自然とコミュニケーションが生まれる場づくりが行われているという。

「メーカーとは異なり、われわれは店頭に並ぶ姿まで自分たちの手でつくり、見届けることもできます。いい原料との出合いがあれば、それを商品化して、最終商品としてお客さまにいかによさを伝えるか。そこまでできて商品開発。商品に対するおもい入れあっての試行錯誤が、地域に愛される原動力につながっているとおもいます」

PB比率は33%、売上構成比は50%

「中札内産卵のふんわり玉子焼」「ひじき五目煮」「大きなおにぎり 昆布」の3品合計で税込み440円。健康的な軽めのランチには十分なメニューだ。総菜は大部分が税込みでも120~130円で購入できる。大手コンビニとは異なり、安さの訴求も特徴的だ

現在、セコマのPB比率は約33%、取扱いアイテム数3,500のうちPBが1,000を占め、全体の売上の半分以上がPB(たばこを除く)だという。ナショナルブランド(NB)の取扱いも行う国内小売企業の売上高PB構成比を見ると、カインズが40%、セブン−イレブンのセブンプレミアムが25%程度。道内るセイコーマートの50%がいかに高いかがわかるだろう。サプライチェーンを経営しているからこそPB戦略がもたらす粗利面での経済効果も、相当大きいものと想像できる。

面白いのは、ここまでPBに力を入れているにもかかわらず、セイコーマートの店頭で「PBばかり」といったような印象を受けることがない点だ。そのポイントはパッケージデザインにある。

「通常、PBはシステマチックに統一した形でパッケージデザインを行います。この方法のメリットは、ブランド認知がされやすく、整然とした印象を与えることができる点です。

一方で、皆が皆PBが欲しいわけではないし、NBを求めている人にとっては面白みのない売場に見えてしまう。セコマでは、ある程度の統一はしながらも個々が独立したデザインを目指しています」(佐々木氏)

PB比率が高いからこそ、買物をする楽しさ、発見する楽しさ、選ぶ楽しさのある売場づくりを心掛けているという。

–続きは月刊マーチャンダイジング2020年2月号でご覧ください。

・ID-POSをどのように参考にしているのか?
・まるでNBのようなバラエティー豊かなPBパッケージ
・来店頻度の高さがの秘密とは?

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店舗情報

    • 店舗名
    • セイコーマート北海道大学店
    • 所在地
    • 北海道札幌市北区北11条西7
    • 営業時間
    • 24時間
    • 売場面積
    • 約106坪
    • オープン日
    • 2018年7月24日