業績絶好調のペット専門店 最大店舗がオープン
アレンザホールディングスグループのアミーゴが2019年12月21日、福島市に売場面積726坪の最大店舗「ペットワールド アミーゴ福島西店」をオープンした。
アミーゴの企業全体の粗利益率は40%を超えている。また福島西店の商圏人口は50万人で、宮城県方面まで広域集客できることから、近所で安く買物を済ませる量販店とは異なる「専門店」の経営構造であることがわかる。
「アミーゴのプロトタイプは250坪です。売場面積が約3倍の福島西店では、トリミングサロンやペットホテルに加え、新たに動物病院やドッグスクール(しつけ教室)、多くの休憩スペースを設けました」(専務取締役営業本部長 横須賀忠明氏)



横須賀氏は、年商6億円を目標に掲げる。アミーゴの客単価(お客1人当りの平均購買額)は2,800~3,000円であるため、年商÷客単価で1年間に20万人の客数を見込んでいることになる。
ペット専門店アミーゴ全体でとくに好調なのは「既存店売上高」である。限られた商圏内で既存店の売上が伸び続けている理由は、店に通い続ける「固定客」の存在にほかならない。
1年当り20万回ある接客の質向上のため、アミーゴは「Eラーニング」などのツールを活用して、ペットに関する知識の勉強会を担当チームごとに実施している。
知識を深めた従業員が、ナショナルブランド(NB)や自社のプレミアム専売商品を「接客販売」することで、商品の安全性などお客の信頼が得られる。
このように、固定客をつくることが、アミーゴ内のさまざまな施設に通うお客を増やすことにつながり、「客単価・売上・粗利益率向上」といった相乗効果が生まれるのだ。
ペットの種類ごとに4つのエリアに分割
アミーゴの売上構成比は、犬・猫65%、小動物20%、魚10%、その他5%。福島西店も、犬、猫、小動物、アクアの4つのエリアに分けたレイアウトとなっている(図表1)。

店長によると、アクアエリアでは、福島県内では飼う人が多いという「鯉」をはじめて取り扱い、水草もスタッフ自身で植えたという。
「売場のコンセプトとして、ペットの周りに関連する用品やフードを陳列し、大きくゆったりラウンドさせました」(横須賀氏)



各エリアごとに関連購買を推進する売場づくりを行っている。たとえば、ドッグエリアでは犬用キャリーバッグ、歯磨き、働く犬用の服などユニークで深掘りした商品を並べることによって買上点数向上をねらっている。







プレミアム専売商品でHC、DgSと「完全差別化」

40%という高粗利益率を支えるのが、「ニュートロ」や「ロイヤルカナン」といったアミーゴのプレミアムフードである。最大の特徴は、一般的なNBとは異なりHCやDgSでは販売していない点だ。
HCやDgSで販売していない理由は、プレミアムフードは資格がないと販売できない「特別療法食」であるからだ。つまりメーカーは、接客販売を条件にペット専門店と取引している(DgSのカウンセリング化粧品に似た販売方式である)。
「アミーゴのプレミアムフード『ニュートロ』や『ロイヤルカナン』の価格帯は乱さないようにしています。ただし、アミーゴのターゲットである初級者~中級者の方も店に入りやすいように、NB商品も多く取り揃えます。



そして、いざ店内に入ると見たことのないプレミアム商品が並び、それらに触れてもらい、接客販売するビジネスモデルです」(代表取締役社長 中村友秀氏)
特別療法食のプレミアムフードは、安売りチラシで集客する商品ではない。「什器」や「POP」を工夫し、実際に売場でお客にプレゼンする。

接客販売を3年ほど続けると、はじめはNB60% 、プレミアム40%だった売上比率が、プレミアム60%、NB40%に逆転するという。アミーゴは3年かけて、新規客の「固定客化」に取り組んでいるのだ。
「固定客化の施策として、アミーゴ1号店の旧福島西店はポイントカードの会員さんが1万6,000人いました。今回移転増床した福島西店ではプラスして、2万5,000人まで会員数を引き上げたいです」(横須賀氏)
ほかにも特別療法食は、同店内の新施設である動物病院内にも陳列されており、獣医師の許可がないと購入できない仕組みになっている。
アミーゴは、量販店との「徹底的な差別化」を実行する。接客が販売条件の特別療法食で差別化。固定客をつくることで差別化。NB、オリジナル商品を組み合わせた売場で差別化。
そうした差別化戦略がアミーゴを、HCやDgSと隣接出店しても影響がない「オンリーワン」の存在にしているのだ。

〈 取材協力 〉
