チェーンストアはどう進化する?デジタル活用と店舗省人化の未来

変化対応業といわれ続けている小売業。実際に小商圏化、顧客接点のデジタル化、少子化による働き手不足など、チェーンストアを取り巻く環境は、この数年で劇的に変化している。チェーンストアの在り方は、今後どのように変わっていくのか。デジタル活用に積極的に取り組み、北海道という地域を軸とした事業を次々と立ち上げている、サツドラホールディングス(HD)の富山浩樹氏にこれからのチェーンストアの在り方について、お話を伺った。(月刊マーチャンダイジング2022年3月号より抜粋)

チェーンストアはデジタルと親和性が高い

藤田 今回のテーマは「未来のチェーンストア」です。私どもは2021年11月にCA無人店舗という無人店舗ソリューションの提供を行う新子会社を設立しました。今回同席している平川さんは、サイバーエージェントでインターネット広告事業のオペレーションを担当して、国内外合わせて1,300人のオペレーションを統括した後に、2021年11月からCA無人店舗の取締役に就任しています。

平川さんと一緒に、小売業さんからのDXに関する相談を伺うと、「これまでのチェーンストアのやり方が通用しなくなっている」という共通した課題感があることに気付かされます。小商圏化が進み、人件費率が上昇しているという状況下で、これからのチェーンストアの在り方について悩まれている企業さんが多いという印象です。

そこで今回は、積極的にデジタル活用を進められているサツドラHDの富山社長に、チェーンストアの今後についてどのような課題感をお持ちでいらっしゃるのかを伺いつつ、デジタルをどう活用していこうとしているのかを聞いていきたいとおもいます。

富山 チェーンストアの形が変わりつつあるという話についてはとても共感します。

一方で、これまで私たちが取り組んできたチェーンストアづくりの本質と、ITやデジタルの活用は親和性が高いとも感じています。

チェーンストアはもともとシステムづくりであり、仕組みづくりです。チェーン化された店舗をどのように運営するかというオペレーションづくりが非常に重要になってきます。

標準化されたチェーンストアシステムをつくる際に、3Sという考え方があります。3Sとは、「Standardization(標準化)」「Simplification(単純化)」「Specialization(専門化)」のことです(図表1)。

[図表1]チェーンストアの3Sとは

業務を標準化し、一つひとつの職務に応じた能力を持つ人材を組織化し、職務に応じた報酬を与え、生産性高く店舗を運営していくということです。ですが、それができている小売業さんとそうでない小売業さんの間で、デジタルの使い方には大きな差が出てくるのではないかと感じています。この「マスストアオペレーション」が確立されたうえでないと、テクノロジーの活用は進まないのではないでしょうか。

省人化や無人化は、もちろん私も不可逆な流れであると理解しています。しかしそれ以前に本部と店舗の業務の切り分けや、店舗内部での業務の振り方などがきちんと整理されていないと、ちぐはぐな省人化になってしまいかねません。業務の効率を上げ、生産性を高めるための肝はそこにあると私は考えています。

藤田 販促やマーケティングなど、お客さまに向けたデジタル活用は目につきやすいところではありますが、一方で、私たちが受ける相談のなかには、店舗を運営する従業員さんのデジタルの使い方に関するものが多いようにおもいます。平川さん、そのあたりはいかがでしょうか。

平川 そうですね、AIカメラを導入した企業さんが、お客さまの動線調査を行いつつ、従業員さんの動線調査も行って、作業効率を上げていこうという話はよく耳にします。

ですが、その土台となる店舗運営のオペレーションが整っていない段階で、システムを導入して動線調査をしても、仮説検証さえすることができません。モヤモヤと時だけが過ぎている、という相談は多いです。

藤田 役割の切り分けや、ジョブの設計が甘い状態で、とりあえずデジタルを入れたらなんとかなるのではないかとおもったのだけれども、結局どうにもならなかったというのは、「DXあるある」ですね。

富山 そうですね。泥くさく、デジタル化を支援してくれるパートナー企業さんと、現場に即したオペレーションを組むことが重要になってくるとおもいます。

藤田 平川さんも、広告運用業務に携わられていたころは、1,000人以上のメンバーを抱えていらっしゃったわけですが、オペレーションの運用や改善、組織づくりで大事にしていたことはありますか。

平川 極力決められたルールどおりに業務を遂行してもらうようにしていました。それに加えて人の作業を可視化するシステムを入れていたという点も、工夫していたポイントといえます。

広告運用業務では、クライアントからさまざまなインターネット広告に関する依頼を受けます。それを実現する手段にもさまざまな種類があるのですが、一番最適とおもわれるシステムをレコメンドし、どうやって作業するべきかまで担当者にレクチャーするわけです。担当者は一つひとつ「レコメンドされた方法でこう対応しましたよ」という完了報告をします。もっとこういうふうにした方がいいのではないかという改善の声も、現場から拾えるような工夫をしていました。

藤田 作業の量も多いですし、関わる人数も多いので、個々人の判断に全部任せているとなかなか効率は上がりませんよね。いかにオペレーショナルに進めるかというのは、広告運用業務でも重要ということですね。

社内ツールのUI/UXも重要だ

富山 チェーンストアの未来を語るうえで、もう一点気付いたのが、UI/UX(※1)の重要性でした。これまでチェーンストアがまったく関知してこなかった技術です。
※1 UI…ユーザーインターフェースの略。一般的にユーザーとプロダクトをつなぐ接点を意味する。
UX…ユーザーエクスペリエンスの略。ユーザーがプロダクトやサービスを通して得られた体験を表す言葉。

もちろん、お客さまの接点となるスマートフォンアプリや、WEBマーケティングについてもUI/UXは重要なのですが、企業のなかで働く人にとっても、UI/UXは非常に重要です。

藤田 UI/UXが優れた業務システムやマニュアルは、直感的に理解し、短期間で使いこなすことができるようになります。

富山 そうです。そこの仕組みやシステムづくりは、小売業はまだまだ紙に始まってアナログベースのことが多い。デジタル支援事業者さんとのパートナーシップで、直感的に使えるような、社内のツールや、オペレーションの構築が進められるのではないかと考えています。

チェーンストアは労働集約型産業です。現場のパートさんやアルバイトさんのような、非熟練労働者の方たちが、直感的に業務を理解できるようなUI/UXの設計の仕方というのがあるはずです。そこを練り上げていくことと、「そもそもこの業務はいらないのではないか」というような、業務の精査を両方同時に進めていく必要があります。

当社では、店内で使う端末はスマホベースになっています。ですが、これまでのPCや専用端末でやっていた業務を、そのままスマホに移しただけでは不都合が生じてしまうことが少なくありません。画面のレイアウトひとつ、画面の表示順ひとつとっても違ってくる。そういったものを素早く変化させ続けられる組織づくりができるか、ということが肝のようにおもいます。

デジタルコミュニケーションの基礎の基礎から着手せよ

藤田 CA無人店舗に頂く相談のなかで、省人化や無人化を進めていこうと考える際、どこから手をつければいいのかというものがよくあります。カメラを付けて従業員さんの動きを確認したり、あるいはレジは作業量が多いので無人化したのだが、結局あまり使われていない…というようなご相談も来ていて、皆さん苦労なさっているようです。富山さんは、従業員さん向け、お客さま向けにデジタルを活用しようとする際、どこから手をつけるべきだとおもいますか。

[写真1]サツドラアプリ内の画面例

富山 企業さんごとに違うとはおもうので、あくまで私たちの考えですが、UI/UXがパートさんやアルバイトさんに至るだれもが使いこなせるほどわかりやすくないと、お客さまにご提供することはできないと考えています。そこで私たちは、まずは社内のコミュニケーションツールを、徹底的にシンプルなものにしていく、というところからスタートしました。

業務をスマホベースにしたとき、一番波及効果が大きかったと感じたのは、SmartHR(※2)を導入して、給与明細をはじめとする労務管理のワークフローをすべてペーパーレスにしたときです。当時は人事に対してパートの方から「給与明細は紙でもらわないと困る」と、激しいクレームが来ました(笑)。ですが、「それは申し訳ないのですが、一切受け付けません。当社で働いていただく際の条件です」という対応を続けたところ、なんとか受け入れていただいて、若い社員さんにスマホの使い方を聞きながら、使いこなせるようになったそうです。
※2 SmartHR…クラウド人事労務ソフト。入退社手続きや従業員情報の一元管理、年末調整などの人事・労務管理をスマホ上で行うことができる。

スマホを業務に使う場合、「よくわからないから」「怖いから」といって使いたがらない人も少なからずいるのですが、スマホベースで仕事を進める社内文化をつくっていかないといけません。「私はチャットツールを使いたくありません」という人がいると、結局社内のコミュニケーションスピードが落ちたり、伝達事項が漏れるというようなロスが起きてしまうからです。

IT系の企業さんから見たら、「え?1そんなことで?」というようなデジタルコミュニケーションの基礎の基礎を、いかに社内全体に浸透させるかということが、ベースとして非常に重要だなと考えています。

藤田 デジタルはツールにすぎませんし、同時に使ってもらわなければ、真価を発揮することはできませんよね。そこに非常に共感しました。

富山さんの日常の活動を拝見していると、デジタルを相当意識的に使われているのではないかとおもうのですが、いかがでしょうか。

富山 そうですね、とても意識して使うようにしています。私も数年前は若手みたいにいわれていましたが、もう45歳で立派なおじさんになってきまして(笑)、意識的に若い世代の人にどんなツールをどのように使っているのか話を聞くようにしています。

藤田 富山さんが意識高くデジタルツールについて情報を収集しているからこそ、このツールを使うぞと判断したとき、現場への浸透を強く進めることができるようにおもいました。われわれが小売業さんと接しているなかでは、「現場の人はこのツールを使うべきとわかっているけれども、経営幹部や上司がその有効性を理解できずにいる」というような局面があります。ですが、このような状態では、ツールとしての効果も限定的になりかねません。結局、特定の部署だけでツールを使うにとどまったり、PoC(※3)で終わってしまいます。
※3 ProofofConcept。新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。概念実証。

省人化で接客はどう変わるのか

藤田 平川さん、CA無人店舗では、具体的なDXに関する相談に接していらっしゃるとおもいますが、小売業の皆さんは現在具体的にどのような悩みを抱えていらっしゃるんでしょうか。

平川 まずは省人化についての提案を求められることが多いです。一番大きいのは人件費をいかに削減していくか、あるいは労働者人口の減少が予測されている状況での働き手の確保というところだとおもいます。

富山 マーケティング的な要素と、生産性を上げる省人化という点では、後者の方がこれから切羽詰まった経営課題になっていくようにおもいます。経営課題にしやすいので、経営トップの方も、意思決定をしていかざるを得ないポイントなのではないでしょうか。アフターコロナでの人不足は、いままで以上の波がくるように感じていますので、そこは大きな課題です。

藤田 省人化について、私がいつも考えているのは「人がやらなくていいことは、どんどん機械に任せるべき。人間がやるべきところは人間の色をどっぷり出すべき」ということです。チェーンストアに限らず、今後お店の色づくりは重要になるとおもいます。接客もそのひとつのテーマだとおもうのですが、富山さんはそのあたりをどのようにお考えでしょうか。

富山 お客さまとのコミュニケーションとして非常に重要な接点であり続けることは間違いありません。

ドラッグストア(DgS)という業態は、より小商圏化していきますから、客層を広げていかなければなりません。大商圏型の商売であれば、一部の客層をあきらめて、ターゲットとする客層に限定したスマートな使いやすいものをつくればいいのですが、地方においてはそれは非常に難しい。ですのでDgSはDXに着手する際に「一定の世代にだけ心地よいUI/UXがDgSのビジネスにはフィットしない」ということに配慮する必要があるのだとおもいます。

たとえば、当社の場合、セミセルフレジを導入しただけで、お客さまから「こんなものを入れるぐらいならもうサツドラには行かない」というような相当なお叱りを受けることもありました。プリペイドを導入すれば「自分のお金はどこにいったんだ」とクレームをつける方もいらっしゃいます。40代以下の世代にとってシンプルで使いやすいものでも、全世代を対象とするとそうでないこともあるわけです。

ですから、DgSに新しいオペレーションやツールを導入した際に、シンプルに使い方をサポートして差し上げられる人員を割くことが、今後求められる新しい接客のひとつなのではないかとおもっています。

[図表2]CA無人店舗の提供サービス
[写真2]AIアルバイターのイメージ

藤田 CA無人店舗の提供するソリューション(図表2)のなかでは「AIアルバイター」というAIの接客要員(写真2)を提供する予定ですが、これが富山さんのいまのお話に関係してくるようにおもいました。まだ構想中のものですが、平川さんに現状で考えている使い方ですとか、設計の思想などを伺えますでしょうか。

平川 AI接客アルバイターは、CGで作成した架空のAI人間、バーチャルヒューマンやロボットを用いた「AI接客アルバイター」を派遣する独自サービスです。最終的な形態としては、店頭で問い合わせ対応やお客さまへのお声掛けを行うようなインタラクティブなものを構想しています。

現在の導入段階では、セルフレジの使い方をご説明差し上げるだとか、無人店舗がそもそもどういうもので、どのように使えばいいのかというような、ピンポイントな説明をするようなものを検討しています。

無人店舗への導入の場合、出口周辺で決済が済んでいない商品を持って退店なさろうとするお客さまに対して、角が立たないようないい方で、まだ決済が済んでいませんというようなことを伝えるような使い方も考えています。

藤田 ユニクロさんがセルフレジを導入した際、レジ1台に対して店舗従業員さんが一人ついて、お客さまに使い方を丁寧に教えている様子を見たことがあります。やはりそういうサポートがないと、新しいツールはなかなか定着しません。わかってしまえばなんてことがないものでも、使い方がわからないとどうしようもない、ということは多々あります。

私たちも、はじめAIアルバイターに接客をさせようかと考えていて、もちろんそれはそれで進めていくのですが、最初はセルフレジのように、「ずっと人員配置しておくわけにはいかないが、ツールの使い方がわからなくて困る人がいる」というようなところに、すぐ質問に答えられるAIアルバイターがいるというような在り方には可能性があるのではないかと考えています。

富山 新しいツールを使うことに対する心理的ハードルはとても高いなと感じています。とくに年配のお客さまは「わからないことは怖い」と拒否反応をお持ちの方が多いようです。都市部と地方ではアプローチが変わってくるかなとおもいますが。

藤田 そうですね。サイネージの中から人が話し掛けてくることに違和感を覚える方も多いかもしれませんから、見せ方を考えていく必要もありそうです。相手は人間ですので、「どう心地よく感じてもらえるか」という点は、われわれが追求していくべきテーマだとおもいます。

翻って、デジタル化を推進し、新しいツールを使う際に、社内から反対の意見が出ることもあるのではないかとおもいますが、富山さんはどういった点を意識して進めていますか。

富山 新しいツールやオペレーションを浸透させるために、私たちが力を入れているのは社内広報です。WEB社内報の「TUNAGU.com」で情報を都度配信していて、私も毎週動画で従業員に対して発信をしています。これはメディアと同じで、いかに見てもらうかという努力が重要です。社内広報の部署のKP(I重要業績評価指標)を組織エンゲージメントに設定しています。新しい施策に対して、社内の人がどう感じているか、どこに不満を持っていて、どこに浸透していないのかということを、常に吸い上げてもらっています。

フラットでオープンな組織をつくることも非常に重要ですね。たとえば、SmartHRを導入して、スマホで給与明細を確認しなければならないときに、わからない人に対して周りの人が教え合う雰囲気かどうか。そのような周囲の人に「わからないから教えてください」といえる空気感をつくっていくのは、地味でありながらとても重要なことではないかとおもいます。

業務改善のプロジェクトの進め方

藤田 デジタルによる業務改善を行おうと考えた際に、店舗側で実作業に携わる人、全体の設計をする人、ともにデジタルのスピード感に慣れた人たちばかりではないとおもいます。サツドラさんではどのように組織で取り組まれているのでしょうか。

富山 タスクフォース的にチームをつくって取り組んでいます。チームには現場のオペレーションが得意な人材と、専門家ではないもののテクノロジーについて理解する役割の人、そしてその上司を巻き込みながら進めていくというのが、とても重要だとおもいます。

藤田 実務にたけた人、技術に詳しい人、そして判断の権限がある人をチーム化して進めるということですね。

DX化を外部の企業に依頼して進める場合、「自分たちはよくわからないから」「相手は専門家だから」と投げてしまった結果、「期待した成果が得られなかった」「ノウハウが内部に残らなかった」という声を聞くことが多いように感じています。そういった組織を自社の内部につくっていくことが重要だとおもいます。

富山さんは、タスクフォースで仕事を進める際に気を付ける点はどこにあるとお考えでしょうか。

富山 デジタル化のプロジェクトについては、通常のプロジェクトより、よく注視していく必要があるとおもいます。外部のDX化支援企業さんとのプロジェクトでは、双方の文化や価値観が違うためにうまくいかないということがよくあります。現場同士がいつのまにか行き違ってしまっているとか、目の前の課題に固執して、プロジェクト全体の進行が止まってしまっていたりとか。そういうときには、上の階層の人に入ってもらって、課題を整理することが必要になりますね。

藤田 外部のDX支援企業さんとのやりとりで、もどかしさの背景にあるのは、文化や価値観の違いもあるのですが、意外と双方の時間軸や進め方の違いという基本的な点を理解していないことのようにおもいます。

デジタルの世界では、週単位、月単位で物事が動きますが、実際の店舗でオペレーションが絡む部分はそう簡単に変えられません。DX支援企業側から見ると「発注者はやる気がないのだろうか」「危機感が共有できていないのだろうか」とおもうようなスピード感でも、実は全然そんなことはなかったということはよくあります。

現場で情熱を持って改革にあたる人材をチーム化することはもちろん重要ですが、それだけでは乗り越えられない課題があります。それを吸収する仕組みはなんなのだろうかと考えています。

具体的にいえば、たとえばどこかにオフィスを借りて、そこにこもって一緒にやりましょうよ、ということなのかもしれません。案外そういった泥臭いことでしか、価値観や物事の進め方はわからないというところがあるように感じます。私たちもいまサツドラさんとプロジェクトを進めていますが、サツドラさんの本社の2階にあるインキュベーションオフィスフロアに場所を借りて、かなりの頻度でそちらで作業をしています。理屈だけではなかなかうまくいかないんですよね。

小売業とIT企業の取組みをうまく進めるためのポイントがほかにあれば教えていただけますか。

富山 コミュニケーションツールを揃えるというところでしょうか。slackや、チャットワークのようなチャットツールを使った、テキストでのコミュニケーション能力を高めていく必要があります。スピード感の話も含めて、「ここはチャットツールでのやりとりで十分」「ここは会って話をした方がいい」というコミュニケーションの仕方にずれがあると、プロジェクトを進めるうえでは厳しいものがありますよね。

それと、情緒的な話になりますが、小売業はIT系の企業さんを単なるベンダーとして扱って、業者に対して上から発注するという姿勢になりがちです。そうではなくて、本当に対等なパートナーとして、うまくいくことも、いかないことも一緒に取り組んでいくんだというスタンスが重要だと感じています。

藤田 平川さんは、小売業さんと無人店舗をつくっていくうえでのコミュニケーションにおいて意識されていることはありますか。

平川 小売業さんは、チェーンストアで多店舗展開をしていても、店舗ごとに課題が違うことが多く、その会社に合った提案をしていく必要があります。

私たちは企業名にこそ「無人店舗」と書いてはいますが、無人店舗のソリューションを押し付けるようなことはせず、きちんと課題を伺ったうえで、国内外のベンダーのソリューションを組み合わせて適切に課題解決ができるようなものを提案していきたいと考えています。課題解決に向けて歩調を合わせたコミュニケーションが取れれば、きちんと進んでいくようにおもいます。

 

未来のチェーンストアは「暮らしの一部の丸投げ先」に

藤田 富山さんは、未来のチェーンストアの姿はどうなるとおもわれますか?

富山 チェーンストアにもいろいろなフォーマットがありますが、私たちのように小商圏の実店舗で地方展開しているチェーンストアにとって、物販の機能は一部になるようにおもっています。

私たちの店舗では、補充的な買物をなさるお客さまが多いのですが、そういう「補充的な買物」は実店舗で陳列して販売するだけでなく、お客さまの家までお届けする、あるいはお客さまが店頭に行って引き取るなど、いろいろな手段が登場してきていて、ここは省人化が進む部分と考えています。

そうなったときの実店舗は、コミュニケーションとエンターテインメントの場所になるのではないでしょうか。スナックみたいに、約束なんかなくても、行ったらだれかがいて、お話ができる。そこで情報を仕入れて、生活のインフラがアップデートされていく。

使い方を教えるのも、従業員が教えるだけではなくて、集まっている人同士が勝手にやりだす…というような。物販の機能だけではなく、サービスやコンテンツもある場所になるのではないかとおもいます。

私は「DgSで洗剤を買わなくなる日」について、いろいろなところでお話しています。お客さまは、洗濯をするから店で洗剤を買うわけで、洗濯を丸投げできるようになったら洗剤は買わなくなるわけです。もしかするとDgSがそのような役割を担うようになるかもしれません。

Amazonプライムは、始めはモノを買うためのサービスでしたが、徐々に動画見放題や音楽聞き放題というサービスも提供し始めるようになりました。実店舗でも、物販の機能にさまざまな生活サービスが付いてきて、年会費を払えば暮らしの一部を丸投げして、豊かな生活を送るようにできるのではないでしょうか。ですから私は「暮らしの一部を丸投げできる先になる」というのが、未来のチェーンストアの機能になるようにおもいます。

藤田 私たちもそのお手伝いをしていきたいとおもいます。今日は面白いお話をありがとうございました。

 

〈取材協力〉

サツドラHD
代表取締役社長兼CEO
富山 浩樹氏
株式会社CA無人店舗
取締役
平川 義修氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏

MD NEXTおすすめセミナー「AI・経済学 プライシングセミナー ~経済学を活用した価格・クーポン・ポイント付与の最適化~」

MD NEXTからおすすめのセミナーのご紹介です。株式会社サイバーエージェントは、ビジネスにおける経済学の考え方や、プライシング領域での活用事例を共有する「AI・経済学 プライシングセミナー ~経済学を活用した価格・クーポン・ポイント付与の最適化~」を、2024年8月6日(火)にAbema Towersにて開催いたします。ぜひご参加ください。

近年、GoogleやAmazonなどをはじめとする世界的な企業を中心に、ビジネス課題の解決に経済学を活用する「社会実装」の動きが盛んになってきています。日本でも同様に、小売やサービス業界における需要予測や価格設定、企業における人材配置や経営戦略などに対して、最新の経済学の知見を取り入れる動きが急速に進んでいます。

これらの学術的な成果は学会発表や論文として研究発表がされていますが、社会実装の取り組みや成果についての議論はまだ少ないのが現状です。

現代ビジネスにおける勝機は、データドリブンなプライシング戦略にあり。2024年8月6日、Abema Towersで開催される「AI・経済学プライシングセミナー」は、その最前線を学ぶ絶好の機会です。

第1回目となる今回は、「価格や割引における経済学の活用」をテーマに、サービス事業者・小売・メーカー等において価格・クーポン・ポイントなどの設定に携わる方々向けに、学術的視点や具体的な事例を紹介。

米国MBAトップスクールで教鞭を執る石原 昌和氏が、マーケティングサイエンスで考えるプライシングについて解説。書籍「あの会社はなぜ、経済学を使うのか?先進企業5社の事例でわかる「ビジネスの確実性と再現性を上げる」方法」著者の今井 誠氏は、既存/新商品における経済学を活用した価格戦略事例を紹介予定。さらに「効果検証入門」の著者であり、株式会社サイバーエージェント主席データサイエンティストの安井 翔太氏が、経済学を活用した店頭価格/クーポンの最適化について紹介します。

AIと経済学を活用した価格・クーポン・ポイントの最適化について、ビジネスの収益性と競争力を高めるためのヒントが明かされます。理論と実践を融合させたこのセミナーは、現代ビジネスで勝ち抜くための価格戦略を模索するすべてのビジネスパーソンにとって、見逃せない内容です。

参加費無料。この貴重な機会をお見逃しなく。

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◾︎登壇テーマ・登壇者情報

登壇テーマ「マーケティングサイエンスで考えるプライシング」
登壇者:石原 昌和 氏(ニューヨーク大学 スターン・スクール・オブ・ビジネス 准教授)
定量マーケティング及び実証産業組織論を専門とし、マーケティング戦略のダイナミックな影響や消費者および企業の先見的な意思決定についての研究を行う。
ニューヨーク大学MBAにおいてはPricingやCRMの講義を担当。
最近の論文では、缶詰スープのPOSデータを用いて、需要が高まる時期におけるプロモーションの効果が高いことを示し、需要が高まる時期に価格が低下する原因がプロモーションの効果にあることを示した。
その他にも、エンターテイメント業界におけるマーケティングや広告の効果検証など、マーケティングに関わる様々なテーマについて研究中。

登壇テーマ「既存/新商品における経済学を活用した価格戦略事例(仮)」
登壇者:今井 誠 氏(株式会社エコノミクスデザイン 共同創業者・代表取締役)
1998年大学卒業後、金融機関を経て、不動産オークションベンチャーに参画。東証マザーズへの上場に貢献。2000件以上の不動産オークションを経験、不動産ファンドにて1000億円以上の不動産投資を実行。2009年不動産コンサルティング企業を創業、その後複数の不動産ベンチャーを経験し、不動産業界での経済学のビジネス実装に取り組む。2020年経済学の社会実装を加速するため、経済学者3名とエコノミクスデザインを創業し、代表取締役に就任。著書に、「あの会社はなぜ、経済学を使うのか?先進企業5社の事例でわかる「ビジネスの確実性と再現性を上げる」方法」がある。

登壇テーマ「経済学を活用した店頭価格/クーポンの最適化」
登壇者:安井 翔太 氏(株式会社サイバーエージェント 主席データサイエンティスト)
AIや経済学を用いた効果検証を専門とし、プロモーションや広告などのマーケティングにおける効果検証を広く担当。効果を最適化するためのプロモーションのデザインやターゲティングの提案なども行う。
2016年よりAILabを立ち上げ、以降様々な国際会議にて効果検証に関する論文を発表。
著書:
『効果検証入門』(技術評論社、2020年)
『施策デザインのための機械学習入門』(技術評論社、2021年)

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開催概要

開催日時 2024年8月6日(火)18:00~20:15(予定)
主催 株式会社サイバーエージェント
参加対象者 サービス事業者・小売・メーカーで価格・クーポン・ポイントなどの設定に携わる方々
定員 現地50名程度/オンライン100名程度
※定員を超えるお申込みがあった場合は、抽選により参加者を決定させていただきます。
参加費 無料
開催形式 【ハイブリッド開催】
Abema Towers 10F セミナールームA
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers※ウェビナー配信もあり

 

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MD NEXTおすすめセミナー「物価上昇社会における生活者の変化と必要なマーケティング施策」(開催:2月7日・主催:新報メディア)

MD NEXTからおすすめのセミナーのご紹介です。2024年2月7日(水)に開催される「第3回 業界発展戦略セミナー(主催:新報メディア)」では、コロナ禍後の日用品・化粧品業界の企業はどのよう方向を歩み、発展を目指すべきか等について、有識者の皆さまからご意見をいただきます。ぜひご参加ください。

コロナ禍から日常は戻ったものの、円安、原材料高、物流問題への対応等、厳しさが増す環境下で、日用品・化粧品業界の企業はどのよう方向を歩み、発展を目指すべきか、有識者の講演を通じてヒントを探る。

新報メディアオンラインセミナーについて

日用品・化粧品業界の専門紙として業界全体を俯瞰しながら「これからの業界発展に何が必要か」を考え、オンラインセミナーという新しい情報発信形態にチャレンジしております。

実施概要

開催日時 2024年2月7日(水) 13:00〜16:30
※Zoom ウェビナー形式
(後日、期間限定でオンデマンド視聴可能)
申し込み期間 2024年2月6日(火)
対象者 日用品・化粧品業界のメーカー様、卸売業様、小売業様、その他関連企業様
お申込み 専用ページからお申込みください。
(定員になり次第締め切らせていただきます)
費用 9,900円(税込)
※申込完了後、お支払いについてご案内します
特別協力 株式会社プラネット

内容

(1)基調提言「業界発展と中央物産のマーケティング&セールスカンパニーとしての役割」

提坂 直弘 氏
中央物産株式会社 代表取締役社長


CBグループマネジメントの卸売事業会社「中央物産」は、営業活動を“マーケティング&セールス活動”に昇華させ、市場の創造、カテゴリーの活性化、得意先小売業や仕入先メーカーの売上・利益アップを図る提案を続けている。今後の業界発展のための同社のマーケティング&セールスカンパニーとしての役割について提坂直弘社長が語る。

(2)講演「生活者の意識変化と購買行動の新たな潮流下でのマーケティング」

田中 宏昌 氏
インテージ株式会社 生活者研究センター・センター長


マーケティングリサーチ業界のリーディングカンパニーのインテージは、『生活者理解の深化』と『データ活用の高度化』により顧客ビジネスの未来創造を支えている。同社生活者研究センター・センター長の田中宏昌氏がコロナインパクトを経ての生活者の生活意識・価値観の変化、購買行動の新たな潮流を背景に、これからのマーケティングに必要とされる考え方やヒントについて解説する。

(3)講演「成長を続けるホームセンター・グッデイのDX戦略」

柳瀬 隆志 氏
株式会社グッデイ 代表取締役社長
嘉穂無線ホールディングス株式会社 代表取締役社長


九州北部と山口県を中心に64店舗を展開するホームセンター「グッデイ」は、2015年からグループウェア(Google Workspace)やBIツール(Tableau)を導入し、2015年から2020年の5年間で売上が25%成長、過去最高益を記録した。なぜ九州の一企業が、DX推進で、これほどまでに成長したのか。その取り組みと手法を柳瀬隆志社長が解説する。

(4)新報メディアからの提言

お申し込み

お申し込みはこちら
【問合せ先】新報メディア株式会社
(E-mail)seminar-g@shinpo-media.co.jp
(住所)大阪市北区天神橋2-2-11 阪急産業南森町ビル7階

MD NEXTおすすめセミナーご紹介 | 2023年2月8日(水)「第2回 日用品/化粧品業界発展戦略セミナー」(主催:石鹸新報社)

MD NEXTからおすすめのセミナーのご紹介です。2023年2月8日(水)に開催される日用品/化粧品業界発展戦略セミナー(主催:石鹸新報社)では、日用品業界/化粧品業界におけるコロナ禍、ならびにコロナ収束後の、新しい業界構造における役割や求められる社会的責任への考え方等について、有識者の皆さまからご意見をいただきます。ぜひご参加ください。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって生活者の意識、ライフスタイルが変化し、企業にとっても働き方改革の一層の推進、DXの導入加速など大きな変化をもたらしました。また、最近のエネルギー価格の高騰は家計や企業経営に大きな影響を与えています。

第2回目となる本セミナーでは、こうした業界環境の変化を踏まえ、様々な分野の有識者からご意見をいただき、業界発展戦略を考えていきます。

石鹸新報社オンラインセミナーについて

日用品/化粧品業界の専門紙として業界全体を俯瞰しながら「これからの業界発展に何が必要か」を考え、オンラインセミナーという新しい情報発信形態にチャレンジを始めます。

実施概要

開催日時 2023年2月8日(水) 13:00〜16:30
※Zoom ウェビナー形式
申し込み期間 2023年2月7日(火) 16:00まで
対象者 日用品/化粧品業界のメーカー様、卸売業様、小売業様、その他関連企業
お申込み 専用ページからお申込みください。
(定員になり次第締め切らせていただきます)
費用 10,000円(税込)
※申込完了後、お支払いについてご案内します
特別協力 株式会社プラネット
後援 一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会

内容

(1)基調提言「新型コロナを経験した業界の進むべき方向」

畑中 伸介氏
株式会社あらた 取締役会長


日用品・化粧品業界で日本最大級の卸商社・あらたは、21年前に全国各地の有力卸が歴史と伝統を一つに結集して設立。「世の中のお役に立ち続ける」という企業理念の下、サプライチェーンの好循環を目指し、改革を進め、順調に発展を遂げている。同社の畑中伸介会長が中間流通の立場からこれからの業界の発展について語る。

(2)講演「日本チェーンドラッグストア協会の活動と今後のドラッグストア業界」

田中 浩幸氏
一般社団法人 日本チェーンドラッグストア協会 事務総長


今や生活のインフラといえる存在となったドラッグストア。業界団体の日本チェーンドラッグストア協会はセルフメディケーションの推進など10兆円産業へ向け様々な活動を推進している。田中浩幸事務総長が注力している協会活動、ドラッグストアの成長戦略について有力企業の最新動向を交えて解説する。

(3)講演「我が国の訪日観光とインバウンド政策」

中山 理映子氏
独立行政法人 国際観光振興機構(日本政府観光局) 理事


ウィズコロナ、アフターコロナの国内消費に大きく影響を与える訪日観光とインバウンド消費。その目的や消費ニーズはコロナ前とは変化しており、トレンドの把握は重要だ。日本政府観光局の中山理映子理事が最新の訪日観光の状況と政府のインバウンド政策について、日用品・化粧品、流通関係者に向けて解説する。

(4)石鹸新報社からの報告

お申し込み

お申し込みはこちら
【問合せ先】株式会社石鹸新報社担当:藤岡
(E-mail)hotline@sekkenshinpo.com
(住所)大阪市北区天神橋2-2-11 阪急産業南森町ビル7階

MD NEXTおすすめセミナーご紹介 | 2022年2月9日「日用品/化粧品業界発展戦略セミナー」(主催:石鹸新報社)

MD NEXTからおすすめのセミナーのご紹介です。2月9日に開催される日用品/化粧品業界発展戦略セミナー(主催:石鹸新報社)では、日用品業界/化粧品業界におけるコロナ禍、ならびにコロナ収束後の、新しい業界構造における役割や求められる社会的責任への考え方等について、有識者の皆さまからご意見をいただきます。ぜひご参加ください。

石鹸新報社オンラインセミナーについて

日用品/化粧品業界の専門紙として業界全体を俯瞰しながら「これからの業界発展に何が必要か」を考え、オンラインセミナーという新しい情報発信形態にチャレンジを始めます。

実施概要

開催日時 2022年2月9日(水) 13:00〜16:15
※Webセミナー形式
申し込み期間 2022年2月8日(火) 16:00まで
対象者 日用品/化粧品業界のメーカー様、卸売業様、小売業様
お申込み 専用ページからお申込みください。
(定員になり次第締め切らせていただきます)
費用 10,000円(税込)
※申込完了後、お支払いについてご案内します
特別協力 株式会社プラネット

内容

(1)基調提言「コロナを経験した業界の進むべき方向」

三木田 國夫氏
(株式会社PALTAC代表取締役会長)

(2)講演「経営史の視点からの日用雑貨業界の歴史と展望」

佐々木 聡氏
(明治大学経営学部教授)

日用品業界の学問的研究を進める佐々木聡教授が経営史の視点から中間流通を担う卸売企業に焦点を当て、その歴史的な位置づけの変遷をたどる。流通の大きな変革のなかで、「流通革命」論を警鐘と受け止めた主体的な革新の動きや、流通の動態的な変化をみるときの規模・範囲・通量の経済性、垂直的統合・水平的結合などキーワードを解説。歴史的な展開を基盤に未来を切り拓く中間流通企業に期待される経営のあり方について示唆する。

(3)講演「SDGs起点の事業戦略とエシカル消費の行方」

河口 真理子氏
(立教大学特任教授/不二製油グループ本社株式会社CEO補佐/株式会社大和総研特別アドバイザー)

今、企業にはSDGsへの取り組みが社会から求められており、SDGsの目標達成を意識した事業活動が不可欠になってきた。本セミナーではSDGsの目標ゴール12「つくる責任つかう責任持続可能な消費と生産のパターンを確保する」に焦点を当て、業界企業が取り組むべき「SDGs起点の事業戦略」を中心にサステナビリティ研究・教育の専門家である河口真理子氏が解説する。

(4)石鹸新報社からの報告 [約15分]

お申し込み

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【問合せ先】株式会社石鹸新報社担当:藤岡
(E-mail)hotline@sekkenshinpo.com
(住所)大阪市北区天神橋2-2-11阪急産業南森町ビル7階

小売アプリで既存商圏を深掘るためには、UI/UXの継続的改良を!!

今後重要性を増す小売業のアプリ。新規客獲得、固定客増加につなげるためには、どのように画面デザイン(UI=User Interface)や利用者体験(UX=User Experience)の設計をすればいいのだろうか。人気アプリのUI/UXに携った2人の専門家に聞いた。(月刊マーチャンダイジング2022年1月号より抜粋)

年代問わず増加しているスマホ、アプリ利用者

総務省が発表した「令和3年版情報通信白書」によると、スマホの世帯保有保有率は約89%、年代別のスマホ利用状況では20〜29歳の95.0%、30〜39歳の94.5%が利用、60歳以上でも81.0%が利用している。

また、民間の調査会社によれば、スマホ保有者のうちGoogleやヤフー、LINEなど主要メディアを利用する人は月間計算で98.8%に及ぶ(※1)。
(※1)ニールセンモバイルネットビュー(2019年4月)

現代は高齢者を含む大多数の人がスマホを保有し、アプリを通じて連絡を取ったり情報を得たりしている。これは日々の生活レベルで考えても納得いくことである。

一方、社会状況を見るとコロナ禍によりECの売上が大幅に拡大した。総務省の「電子取引による市場調査」によると2020年のBtoC(企業対個人)のEC市場規模は「物販系分野」で12兆2,333億円、EC化率8.08%、伸長率は21.71%と大きく成長した。

一段階ギアが上がった感のあるECだが、これに限らずクーポンの発行、商品・イベント・割引などの各種情報発進、ポイント計算、処方せん送信などあらゆる買物体験を一つのスマホアプリに凝縮させる「アプリファースト」という考えがあり、小売業がさらなる成長を遂げるためのキーワードになりつつある。

世界最大の小売業ウォルマートは米国内事業では2021年1月期、店舗数は前年より13店舗減らしているが売上は8.5%伸ばしている(図表1、2)。アプリファーストの考えをフル活用した既存店・客の深掘り、新規客獲得が成功している好事例である。

[図表1] ウォルマート米国事業店舗数
[図表2] ウォルマート米国事業業績

日本の有力DgSは出店を成長戦略の柱に据え、積極的な店舗展開を続け売上を伸ばしている。これを維持しながら同時に、商圏の深掘り、潜在需要を開拓していくためにはアプリファーストの考えに基づきアプリも店舗のひとつと見なし、集客や売上を設計していく「新しい店舗戦略」が大きなカギになるだろう。

店舗を主、アプリを従と考えるのではなく、顧客接点があり購入チャンスがある場所をすべて店舗と捉え可能性を追求していく。リアル店舗の投資金額に比べればはるかに低く改良がしやすいアプリの「店舗価値」をいかに上げていくか、そのひとつのポイントがアプリのUI/UXにある。

リアル店舗とアプリを同等の顧客接点として考える

生活者はスマホと頻繁に接触し多くの時間を費やしている。ある調査によれば15〜69歳までの生活者がスマホに接触する時間は121.2分、10年前の5倍近い時間である(※2)。リアル店舗に例えれば、商圏人口や店舗前を通過する人数が以前より格段に増えている。その人たちに「入店」してもらい快適な「買物体験」を提供するために核となる技術がアプリのUI/UXなのだ。

リアル店舗には入り口の位置決定、売場レイアウト、回遊計画(マグネット売場)、POP(情報発信)などISM(イズム/In-store Merchandising)とよばれる店づくりの技術があり、絶えずこれを見直すことが必要とされる。

アプリの世界のISMに相当するものがUI/UXと考えれば分かりやすいだろう。

図表3はリアル店舗とアプリ利用のプロセスを比較したもので、双方の各プロセスにはそのプロセスを可能な限り快適に体験させ購買まで進ませ、体験全体の満足度を高め再利用を促すという使命が課せられている。これがISMでありUI/UXなのだ。

[図表3] リアル店舗とアプリの利用プロセス比較

そしてリアル店舗が5〜6年に1度改装しISMを大幅リニューアルさせ店舗年齢を若く保つのと同様に、アプリのUI/UXも定期的にまた必要に応じて、リアル店舗よりももっと短い周期で見直し改善する必要がある。
(※2)生活者のメディア環境と情報の意識(2021年博報堂)

《新しい店舗戦略》 顧客接点があり購入チャンスがある場所は、すべて店舗
       スマホアプリは有望な店舗になり得る

1,000万人ユーザーアプリABEMA担当者が解説するUI/UXの設計法

ABEMAはサイバーエージェントが開発した動画配信のスマホアプリ、WEBサービスで「新しい未来のテレビ」を標榜している。ABEMAのスマホアプリの週間利用者(WAU)は1,000万人を超え、日本でも有数の人気アプリである。このアプリの立ち上げ時期からUI/UXを担当したUIデザイナーの鬼石氏と、現在小売向けのUXデザインに従事するUXデザイナーの佐竹氏に、アプリ価値を最大化するUI/UXの設計プロセスについて聞いた。

図表4はUI/UXの視点も加味した上でのアプリ開発のフローである。

[図表4] アプリの開発プロセス

①まずUX担当者がクライアント企業と綿密に話して何を目指すのか=どのようなアプリ体験(UX)を実現させるか「ゴール」を共有する。クライアントが持つ自社アプリの情報や課題を引き出し、それに対してUX担当者が持つ豊富なソリューション(解決策)のアイデアを提案し方向性を定める。アプリの土台となる重要なプロセスだ。

②既存のアプリであればレビュー(ユーザーの投稿)を徹底的に見るなどして課題を洗い出す。ちなみに現在のサイバーエージェントのUI/UX設計は新規立ち上げより、既存アプリの改良の依頼の方が多いとのことである。

③の段階からUI担当者が入りワイヤーフレームと呼ばれる設計図をつくっていく(画像1)。最初は手描きで起こし、試行錯誤しながら実際の画面に近いデジタル画像へと解像度を高めていく。

[画像1] 手書きのワイヤーフレーム

④ある程度方向性が固まったら画面デザインしてエンジニアがプログラムを組みプロトタイプ(試作版)をつくり実証実験を重ねる。この段階でもスムーズに使えない機能や、使いにくいデザインなどを洗い出し何度もプロタイプをつくり直す。この過程は「スクラップ&ビルド」とも呼ばれるプロセスだ。

⑤試行錯誤を重ねて完成品となりリリースされる。しかし「スクラップ&ビルド」は完成品ができた後も続く。サイバーエージェントではアプリのUI/UX含め全事業、全業務、よりよいものを求め運用し続けることにとくにこだわっている。ABEMA では開発開始からリリースまでの1年間に200以上のプロトタイプをつくり検証を重ねた。

デジタルで閉じない実際の使用シーンを考える

UXでカギとなるポイントを佐竹氏に聞いた。

「小売業のアプリで一番大事なことは、デジタルで閉じることなくリアルな環境、使用シーンも織り込んで設計していくことです。たとえば、小売のレジ業務は決済手段の確認、ポイントカード確認、レジ袋がいるかどうかの確認など作業が増えていて普通の精算でも時間がかかります。その上アプリの利用でもどこかが詰まると余計に時間が掛かりレジ待ちの列は長くなり、お客さまはこれを嫌って利用しなくなります。複数のクーポンが出ているとき、いちいちその画面を出して使っていくと時間がかかるとか、クーポンが表示される速度が遅かったり、読み取りに時間がかかると使いにくさを感じ利用率は下がります。

こういう実際の使用シーンで起こるかもしれない条件を加味しながら設計することがポイントでしょう。

そのために、開発時のスクラップ&ビルドの過程では会議室などを模擬店舗に見立てて店頭で実際にアプリを使うとき、使いやすいか途中離脱につながる要素はないのかなどを実験しています」

UXの基本方針が定まれば実際の画面デザイン(UI)の段階に移る。リアル店舗でいえば、出店が決まったあとに出入り口の位置や売場レイアウトなどISMを設計する段階だ。

リアル店舗では入り口を端に取り、入店客の70%が通過する主通路を通し入り口から対角線上に利用頻度が高い食品売場などを置き客足を店舗奥まで誘導するなどの定石がある。アプリのUIの定石について鬼石氏に聞いた。

「小さい画面のなかで重要な場所、視線の流れなど定石は決まっています。たとえば、パソコンでは左上から横に、そして下にというように視線はZ型に流れていきます。スマホ画面ではスクロールすることで下方向に視線が流れていくので、一画面に要素を盛り込み過ぎず、興味のある要素を下方向に向かって盛り込んでいきます。

また、初期画面では一番下の左に視線が止まり、そこから右に視線が流れるので、もっとも重要なのは左下でここには多くのアプリがホームボタンを置き、その隣に次に見て欲しいボタンを順次置いていきます」

こうした基本機能の置かれる一番下の列に置かれたボタンはタブと呼ばれ、たとえば、画像2のABEMAアプリ画面の最下部、もっとも左にホームが置かれ、隣に動画の「ジャンル」、見たい動画の「検索」、視聴履歴やお気に入りの作品を登録する「マイページ」、有料会員への切り替えである「プレミア」と続く。これもユーザーの使いやすさやプレミアム会員獲得のために最適と思われるUXから導かれたデザイン(UI)である。

[画像2] スマホによる目線

また、iPhoneに代表されるように、スマホ機器は定期的にモデルチェンジがあり、画面の大きさや操作が変わるのでこれに対応することも使いやすく効果を上げるためにUIの基本となる。

さらにいえば、ダウンロード数が多いアプリ、アプリに限らず流行の動画サービスなど利用者が多いアプリ、サービスに準拠したUIを採用すれば、使い慣れている分快適なUXが実現しやすいとのことだ。変化や流行を常に捉えていなければならない。

自社アプリのUI/UXをチェックする10のポイント

ワイヤーフレームはアプリの設計図だが、利用者がどのようにアプリと接触し利用するかなど体験全体を時系列的に設計するのが「カスタマージャーニー(ジャーニー)」である。

[図表5] カスタマージャーニー(サンプル)
アプリ利用のフローを分解(使い始め〜継続/離脱まで)

図表5はその見本だが、単に開発・改良するアプリだけでなく、オフライン、オンライン含め利用者との接点全体を描き、そのなかでアプリの役割を最適化するという俯瞰的な見方もする。個別アプリに関しては、そのアプリの最初の接点、登録、クーポン利用、プッシュ通知、決済などあらゆる使用シーンを想定してそれがいかにストレスなくスムーズに行えるかをシミュレーションしていく。

ジャーニーが大枠の流れ(抽象)でワイヤーフレームは実際の機能設計(具体)と位置づけ、利用者の時間的な流れと個別機能の間、抽象と具体の間を何度も行き来して、課題を洗い出しそれを潰していく作業が続き、課題が減ってきたらプロトタイプをつくり実証実験に入るという流れだ。

それではアプリに起こる問題にはどのようなものがあるのだろう。図表6はサイバーエージェントによるアメリカと日本の小売業のアプリの評価である。図表7はその評価ポイントで、自社アプリのUI/UXをチェックする際も役立つ。図表8は改善例だ。

[図表6] 日米小売業アプリの評価
[図表7] アプリの利用プロセス別評価ポイント
[図表8] アプリトップ画面改善例

ウォルグリーンのタブは左からホーム、Prescription(処方せん)、FindCare(自社オリジナルのオンライン健康相談、診療サービス)、Shop&Saving(買物、クーポン)、Photo(写真プリント)のサービスが並び店舗のよく使う機能が凝縮されている。操作性も簡単でトップ画面のタブからほとんどのサービスは2〜3ステップでアクセスできる。

アメリカでは慢性疾患に関してリフィルと呼ばれる1年程度使える処方せんが出されアプリで処方せんを送るだけで宅配や店舗受取で薬がもらえる。規制が異なるので日本では提供できないサービスもあるがアプリのUI/UXだけを純粋に評価しても分かりやすく使いやすい(図表9)。

[図表9] ウォルグリーンのアプリ利用例
オンライン診療を選ぶと対象科目、料金案内、対応症状がワンタップでサクサク出てくる。24時間365日対応

これに対して日本の小売業のアプリは発展途上である。ある小売業アプリは登録しにくい、ECがWEBページをそのまま表示しただけで使いにくい、片手だけ(親指)で操作できないなど、相当に課題がある。とりわけ登録のしにくさは多くのアプリに共通しており、リアル店舗でいえば、ドアにカギかかかっている、ドアが開くのに時間がかかるなど、入店しにくいままでアプリが公開されているものが多いのだ。

「ユニクロのアプリは会員登録しなくても新規でダウンロードすると仮のバーコードが発行されそこにポイントがたまるようになっています。好きなタイミングで登録すれば仮アカウントのポイントが統合されます。このUXの設計にはひと手間要するのですが、煩わしい会員登録はあとでゆっくりしてもらうという利用者の立場に立った設計になっています」(鬼石氏)

「会員登録で心理的なプレッシャーになることのひとつが、位置情報の確認を許可しますかとか、プッシュ通知を受け取りますかといったように、説明やメリットを示されることなく質問ダイアログが次々に出てくるパターンです。多くの人はなぜ自分の情報を晒す必要があるのかを不安に感じて許可しません。もしくは登録をやめてしまう人もいます。

アメリカの小売アプリの多くには、位置情報の確認を許可すると、最寄りの店舗情報をお知らせするとか、登録時の確認事項の背景説明をする『オンボーディング』という機能がついていて、利用者は意味を分かった上で許可する、しないを決められるのです。こういう細かいけど、当然感じるであろうユーザー心理にまで配慮したUXの設計が日本の小売アプリでは未発達な状況です」(佐竹氏)

アプリも店舗のひとつと見なし、既存商圏、既存店の深掘りを追求する「新しい店舗戦略」の意義を理解すれば、アプリ登録しにくいという、リアル店舗で例えれば物理的に入店しづらいという状況は放置されないだろう。

この理解が進まないが故に、使いにくいから利用率が上がらない→利用されないからアプリから利益が見込めない→アプリへの投資や改良が滞る→アプリが使いづらいまま、という悪循環が起こる。

まずは、アプリ=店舗という意義を理解し、その上でUI/UXを洗練させる、リアル店舗でいう改装を行う。ここから新しい店舗戦略での真の業績追求が始まるのだ。

 

〈取材協力〉

サイバーエージェント
DXデザイン室 UXデザイナー
佐竹 裕行氏
サイバーエージェント
AI事業本部DXデザイン室室長
兼全社クリエイティブ統括室所属
鬼石 広海氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏

乳酸菌飲料で免疫力強化はトレンド化、ウィズコロナの消費者ニーズ

今回のテーマは、日々の体調管理や感染予防対策に毎日飲用する人も多い、「乳酸菌飲料(ドリンクタイプのヨーグルトを含む)」です。ウィズコロナが常態化する中で、消費者が乳酸菌飲料に何を求めているのか。2021年11月3日~4日に、全国のアンケートモニターを対象にアンケートを実施しました(N=3004人、平均年齢49歳、全国エリア)。

乳酸菌飲料・ヨーグルト、購入状況は「微減」

まずは、弊社が独自に収集するレシートデータから、「乳酸菌飲料」と「ヨーグルト」の購入状況をみていきます。

上図は、「飲料」カテゴリーのレシートに占める「乳酸菌飲料」の構成比と、「食品」カテゴリーのレシート枚数に占める「ヨーグルト」の構成比を、2020年1-10月、21年1-10月で比較したものです。

「乳酸菌飲料」の構成比は、<5.6%→5.4%>、「ヨーグルト」の構成比は、<10.9%→10.3%>となり、いずれも微減していることがわかります。

「買い場」はスーパー、コンビニ、次いでドラスト

市場の活性化を図るためにも、消費者が求めることとは――、アンケートでさらに深堀してみていきましょう。

まず、「直近1年間で乳酸菌飲料(ドリンクタイプのヨーグルトを含む)の購入経験がある」と回答した2426人に、購入場所を尋ねると(選択肢・複数回答)、約9割が「スーパー(89.0%)」と回答し、それに次ぐ「コンビニエンスストア(44.4%)」と「ドラッグストア(41.9%)」が4割となりました。年代が上がるにつれて「宅配(4.6%)」利用者は増加し、「60代以上」では、(6.0%、N=315人)となり、利用者からは「ヤクルトの宅配専用の商品を購入するため」、「販売店の人にすすめられ、明治R1ヨーグルトを飲んでいる」といった理由が挙がりました。

また、購入する際に重視することは、「味・飲みやすさ(71.4%)」が最も多く、「価格(71.0%)」、「機能性・期待できる効果(60.9%)」が続きました。

次に、乳酸菌飲料の飲用頻度は、2426人のうち、3割以上が「週に4回以上(32.0%)」と回答し、「週に2回~3回(21.8%)」、「月に2回~3回(25.3%)」となりました。

年代別では「60代以上」が、「毎日乳酸菌飲料を飲む人」の割合は、(27.9%)で、全体平均値を<+7.3pt>上回り、習慣化している人が多いことがわかります。

免疫力強化・整腸機能・子供ウケ商品が上位に

次からは、年代別でどういった乳酸菌飲料が飲用されているか、乳酸菌飲料の機能性に対する消費者意識を分析していきます。

「直近1年間で飲用した乳酸菌飲料」を尋ねると(選択肢・複数回答)、2426人のうち「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ(48.9%)」 が最も多く、理由は、「免疫力をつけたいから毎日飲用(60代以上男性)」、「コロナで免疫力をつけるために飲用(40代女性)」など、あらゆる年代で“免疫力強化”が多く挙がりました。

次に、「明治ブルガリアのむヨーグルトLB81プレーン(45.3%)」が続き、「価格も安く飲みやすい(30代女性)」、「腸内環境を整える働きがあり、美味しくて日常的に飲めるから(60代以上女性)」など、おいしさと手軽さ、特定保健用食品として許可を受ける整腸機能が支持を集めました。

また、3割を越えた「アサヒ飲料 カルピスウォーター(32.7%)」、「ヤクルト ヤクルト400(32.3%)」、「日清ヨーク ピルクル400(31.1%)」は、特に30代~40代の子育て世代から人気で、「カルピスウォーターは、子どもが好きで、特に夏時期、水分補給としても買っています。容量と価格重視(30代女性)」や、「ヤクルトやピルクルなど、子どもがよく飲む。量がちょうどよく、甘さがあるものを重視して買うことが多い(40代男性)」といった理由が挙がり、「カゴメ 植物性乳酸菌ラブレ(15.8%)」は、「ラブレのプルーン味を、鉄分を摂取するためにできる限り続けて飲んでいる(50代女性)」、「肌の保湿効果があるから(40代女性)」など、40代以上の女性の支持が高いことがわかりました。

腸内環境を整える「善玉菌」の代表として、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」がよく知られていますが、市販の乳酸菌飲料はその機能性ごとに、含まれる善玉菌が異なります。

機能性の認知は含まず、あくまでも「聞いたことがあるか」調べると、全年代で半数以上を越えたのは、図表3で上位に挙がった乳酸菌飲料として、CMでも馴染みのある「乳酸菌 シロタ株(74.6%)」、「R-1乳酸菌(67.4%)」、「ガセリ菌SP株(60.1%)」、「LG乳酸菌(58.8%)」となりました。
※乳酸菌 シロタ株=ヤクルト400など、R-1乳酸菌=明治プロピオR-1、ガセリ菌SP株=恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト、LG乳酸菌=明治 ブルガリアのむヨーグルト

「乳酸菌を取り入れ、免疫力を強化すること」がトレンド化

年代別では、「40代~50代」では、「カゴメ 植物性乳酸菌ラブレ(50.8%※40代~50代平均値)」に含まれる「ラブレ菌」や、「キリンiMUSE」に含まれる「プラズマ乳酸菌(50.2%※40代~50代平均値)」の認知度は、全体平均値よりも高くなり、「~30代」では、「森永乳業 シールド乳酸菌タブレットやチョコレート」などに含まれる、「シールド乳酸菌(30.0%)」の認知度は3割で、平均値よりも<+6.2pt>高いことがわかりました。

最後に、既に発売されている乳酸菌飲料の機能性を並べ、「魅力的に感じる乳酸菌飲料の機能性」を尋ねると、乳酸菌飲料の期待する機能性として浸透する「腸内細菌の種類と善玉菌を増やす(68.3%)」が約7割で、「免疫力を高める(58.9%)」は、「便秘や下痢の整腸作用(48.6%)」を<+10.3pt>上回り、全年代でもニーズが高く、今までの調査結果からも「乳酸菌を取り入れ、免疫力を強化すること」がトレンド化していることがうかがえます。

また、「体脂肪を減らすのに役立つ(37.3%)」、「ストレス緩和・睡眠の質向上(31.2%)」、「肌荒れ・肌トラブルの予防に役立つ(30.3%)」などの機能性においても3割が魅力的に感じると回答し、理由としては「コロナ太りで体脂肪が気になる(50代男性)」、「コロナで仕事環境が急変しストレスを感じやすく、不眠にも悩まされている(50代男性)」、「マスクで肌荒れがひどいため(30代女性)」などのコロナ禍で顕在化する悩みが多くみられました。

それらに効果を発揮する乳酸菌飲料は既に発売されているため、売り場での提案・機能価値の理解を広め、消費者の裾野を広げるだけではなく、ウィズコロナが常態化する中で、時代に対応した新商品の投入や施策により、新たなユーザー層を獲得することが市場の活性化につながると言えるでしょう。

[調査概要]
調査期間:2021年11月3日~11月4日
インターネットリサーチ エリア:全国
調査機関:mitoriz

注目高まる冷凍食品。販路・商品拡大で半数近くが週2回以上利用

コロナ禍の巣ごもり需要やまとめ買い、テレワークのランチなど、簡便・保存性の高さから以前より需要が伸長する冷凍食品。冷凍食品の購買行動の変化、消費者が冷凍食品に求めることとは何か——ソフトブレーン・フィールド社が全国のPOB会員に対し、2021年9月に実施した「冷凍食品の利用状況に関するアンケート」結果から紐解きます。(N=2609人、普段冷凍食品を購入する人:平均年齢47歳、全国エリア)。

「冷凍食品」レシート調査 販路・商品拡大で「週2回以上利用する人」は半数近く

まずアンケートでは、「冷凍食品を購入する場所」および、「利用頻度」を、前回2018年10月結果と比較しました。

普段冷凍食品を購入すると回答した人(2018年N=2806人、2021年N=2609人)に、「冷凍食品を購入する場所」を尋ねると、主戦場は「スーパー」であり、およそ9割を占めますが(2018年89.2%、2021年94.1%)、特にコロナ禍では、冷凍食品売り場の拡大により、「ドラッグストア」が<12.8%→36.5%:+23.7pt>、PB冷凍総菜や冷凍野菜といった商品投入により、「コンビニエンスストア」は、<5.9%→26.6%:+20.7pt>と、いずれも大きく伸長しました。

コメントをみると「スーパーやコンビニで冷凍食品コーナーを覗く機会も増え、よく購入する(就業中50代女性)」店頭で商品を手に取る機会が増えた人や、「ドラッグストアで決まったものを特売の時に買うことが多い(就業中60代女性)」特売を利用してストックする人も多くことがわかりました。

また、「ネット通販」は少数派ながらも、<1.1%→6.3%:+5.2pt>」となり販売チャネルが広がっていることがわかります。「宅配の場合はスーパーに売っていない珍しい冷凍食品が多いので最近はスーパーよりも多く買っている(就業中50代女性)」といったコメントがありました。

「冷凍食品の利用頻度」は、「週2回以上利用する人」が<38.8%→49.8%:+11.0pt>と最も増加し、日常的に利用する人が増えていることがわかりました(図表2)。

利用頻度が増えたのは「外食に行けない」「自炊機会増え楽したい」から

次に、普段冷凍食品を購入すると回答した人(N=2609人)に、「コロナ感染拡大前と現在における冷凍食品を食べる頻度の変化」を尋ねると、7割が「今も感染拡大前も利用頻度は変わらない(70.7%)」と回答しましたが、2割以上が「現在のほうが利用頻度が増加した(24.9%)」と回答しました。年代別では、「20代~30代(26.0%、N=573人)」、「40代~50代(25.0%、N=1721人)」、「60代以上(21.9%、N=315人)」となり、若い人ほど「利用が増えた」と感じていることがわかりました。

そして、「現在のほうが冷凍食品の利用頻度が増加した」と回答した人(N=649人)に、「その理由(選択肢・複数回答)」を尋ねると(図表3)、「外食に行けないから(55.2%)」、「自炊機会が増え少しでも楽したい(54.7%)」といった、コロナ禍の食卓ニーズを解消する目的で利用が増えていることがわかりました。

また、「おいしくなったから(31.3%)」というように、「手頃でおいしいものが増えたから」など、味への評価を挙げるコメントが多くみられました。また、「価格が安定しているから(33.4%)」や「節約のため(25.0%)」といった、天候などによる野菜の高騰を受けにくいことや、調理時間短縮のために下ごしらえ済みの冷凍野菜を支持するといった声もありました。

次に、普段冷凍食品を購入すると回答した人(2018年N=2806人、2021年N=2609人)に「冷凍食品を利用するシーン(選択肢・複数回答)」を尋ねると、最多回答は「夕食」で<57.7%→60.6%:+2.9pt>となりましたが、「昼食<40.4%→48.1%:+7.7pt>」や「お弁当<25.3%→30.9%:5.6pt>」は、「夕食」よりも増加率が高いことがわかりました。

その理由としては、「テレワークのランチ利用」といったコメントが多く挙がり、「コロナで人混みを避けるため、ランチを買いに行かず冷凍食品中心の弁当を作るようになった(就業中50代女性)」コロナ禍で弁当を作るようになったなど、テレワーク中のランチ事情と大きく関わりがあることがコメントから伺えます。

前半の調査結果からは、コロナ禍における冷凍食品の利用状況は、外出自粛やまとめ買い、テレワークなどライフスタイルの変化により、主戦場はスーパーだけではなく、ドラッグストアやコンビニエンスストア、ネット通販など、販売チャネルや商品カテゴリーが広がり、利用頻度は「週2回以上利用する人」は半数近くとなりました。

味や質においても、消費者の評価は高く、様々な食卓ニーズを取り込み、食生活の一部となっていることがわかりました。

餃子、から揚げの購入回数アップ

フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:木名瀬博)は、全国のアンケートモニター(以下、POB会員)から月間1100万枚のレシートを収集する国内最大規模の(提携サイト含める)、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPointofBuyⓇ(以下、POBデータ)」を活用し、生活者の購買行動を分析しています。

後半は「レシートデータから購入状況や購入商品」、「冷凍食品に期待することやニーズ」を探ります。

最初に、普段冷凍食品を購入する人(N=2609人)に、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品はあるか」尋ねると、およそ3割が「購入が増えた冷凍食品がある(28.3%)」と回答しました。

購入が増えた冷凍食品がある人(N=738人)に、その商品を尋ねると、5割を越えたのが「餃子(61.4%)」、「からあげ・竜田揚げ(52.0%)」で、「メインにもつまみにもなる」、「昔より美味しくなって、温めるだけで十分に晩御飯のおかずになる」といったコメントが多くみられました。それに次ぐ、「チャーハン・ピラフ(46.7%)」、「パスタ(43.5%)」は、「テレワークのランチでパスタやチャーハンを食べる機会が増えたため(50代男性)」といった声が多く挙がり、在宅勤務中のランチに重宝している家庭が多いことがわかります。

また、料理用の冷凍素材を充実させるスーパーも増えており、「冷凍野菜(42.3%)」の他、「冷凍・魚などの切り身(19.5%)」、「冷凍・肉類(18.0%)」、「冷凍・果物類(17.6%)」の購入が増えたと感じる人が、およそ2割となりました。

その理由としては、「買い物の回数を減らすために、保存がきく冷凍野菜や果物、魚の切り身などが増えた(女性40代女性)」コロナ禍での買い物行動の変化や、「冷凍野菜は価格が安定し、下茹での必要がなく調理が楽。(50代女性)」「間食や朝食など、手軽な冷凍フルーツを食べるようになった(40代女性)」、料理時間の短縮や利便性、健康意識により購入するようになった人もみられました。

業態別・企業別にみる冷凍食品買い方状況

次からは、当社が独自に収集する「冷凍食品」のレシートデータから(調査期間:2021年1月~9月)購買行動を分析していきます。

業態別では、「スーパー(N=179,028枚)」・「コンビニエンスストア(N=30,360枚)」・「ドラッグストア(N=20,627枚)」の購入状況(レシート1枚あたりの平均購入個数・購入金額)と、スーパーのチェーン別では、「イオン(N=8,590枚)」、「イトーヨーカドー(N=4,227枚)」・「オーケー(11,488枚)」・「ライフ(6,225枚)」をセレクトして、購入商品をみてきましょう。

まず、上図の業態別では、「スーパー」・「コンビニエンスストア」・「ドラッグストア」の冷凍食品のレシート(2021年1月~9月平均値)から、購入状況(レシート1枚あたり:平均購入点数と平均購入単価)をみると、購入点数は<1.3~1.5個程度>、平均購入金額は、「スーパー(315円)」と「ドラッグストア(324円)」が横並びで、「コンビニエンスストア(258円)」となりました。

スーパーのチェーン別では、「平均購入金額(343円、4チェーンの平均値)」で、平均値を上回ったチェーンは「イトーヨーカドー(368円)」、「オーケー(347円)」でした。

どういった冷凍食品が購入されているか、チェーン別で詳しくみていきましょう。

上図は、「イオン」・「イトーヨーカドー」・「オーケー」・「ライフ」の冷凍食品購入レシートの冷凍食品購入レシート(2021年1月~9月平均値)におけるブランド別レシート出現率を表したものです(上位10ブランドまで)。

図表2で述べた、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品」で上位回答をとなる、餃子は「味の素ギョーザ」や「イートアンド王将餃子」、冷凍パスタや炒飯は、「日清フーズママ―」や「ニップンオーマイ」、「ニチレイ本格炒め炒飯」といった商品が、一定数購入されていることがわかります。

「イオン(トップバリュ)」、「イトーヨーカドー(セブンプレミアム)」における、10位以内のPB(プライベートブランド)商品のレシート出現率に注目すると、「トップバリュ(7.4%)」よりも、「セブンプレミアム(15.7%)」のほうが、<+8.2pt>と出現率が高く、イトーヨーカドーでは、「セブンプレミアムさぬきうどん(レシート出現率7.5%」や「セブンプレミアムハンバーグステーキ主に和風ソースの直火焼きハンバーグ(レシート出現率4.0%)」のレシート出現率が高く、NB(ナショナルブランド)商品よりも、PB商品のほうが多く購入される傾向があります。

子育て世代は大容量訴求、40代以上は本格志向の味を支持

最後に、今後冷凍食品に期待するニーズを探るべく、まずは「冷凍食品において、どういったキーワードに購買意欲がそそられるか」調査をしました(選択肢・複数回答)。

年代別でみると「20代~30代」では、子育て中のファミリー層も多く、「大容量パック(46.4%)」や、「まとめ買いセール(35.3%)」といたお得感や値ごろ感がある言葉が響き、「40代以上」になると、「家庭で専門店の味(42.6%、40代以上平均値 N=2036人)」といった、本格的な味に対する支持が高まることがわかりました。

また、どの年代においても「野菜たっぷり(33.9%、全体平均値)」は、3割以上に選ばれ、「カロリーや塩分カット(25.2%、全体平均値)」を挙げた人からは、「コロナ太りが気になる」「中性脂肪が気になるから」といった声があり、「糖質オフ(24.2%、全体平均値)」は、若年層「20代~30代(26.7%)」の支持が高いことがわりました。

他にも、「冷凍食品に対する要望」を尋ねると、「安くておいしい商品」といった声はもちろん、女性からは「冷凍野菜や肉・魚など調理用の食材を増やして欲しい」・「国産の冷凍野菜の種類を増やしてほしい」といった、日常的に冷凍食材を料理に取り入れたいという意識が感じられました。

パッケージや包装においては、「ごみができるだけ出ないような包装にしてほしい」、「冷凍野菜は、冷凍庫に沢山入るように、かさばらない包装にしてほしい」といった声があり、限りある冷凍庫の週能力を補うための「セカンド冷凍庫」のニーズが急速に高まり、従来の上開きタイプに加え、前開きタイプも普及していると言います。

コロナ禍で食に手軽さを求める傾向は今後も続き、冷凍食品の需要が伸びることが予想されます。新たな提案が商機となりそうです。

[調査概要]
調査期間:2021年9月25日~9月26日 インターネットリサーチ
エリア:全国
調査機関:ソフトブレーン・フィールド

すすむドラッグストアの食品強化。主要チェーンの品揃を徹底調査!

進行する小商圏化。限られた商圏人口で客数を上げるためには食品強化は必須だ。そんな中ドラッグストア(DgS)が食品の買い場として存在感を増している。生鮮を含むフード&ドラッグという業態に進化しつつあるDgS。今回は大手DgSの食品売場を調査して食品部門の進化と課題を考察する。(月刊マーチャンダイジング2021年12月号より抜粋)

7割が調剤併設。食品強化と二正面作戦

今回の調査では首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に出店する郊外型のウエルシア、コスモス薬品、ツルハ、クスリのアオキ、カワチ薬品、クリエイトSD、マツモトキヨシの各社、計20店舗調査した。店舗選びで調剤の有無は問うていないが結果的に20店舗中70%に当たる14店舗が調剤薬局を併設、程度に差はあるが14店舗いずれも生鮮の取扱いがあり、一ヵ所完結型のフード&ドラッグ業態が増えていることを示している。

今回は菓子、飲料類などではなく、食事の準備に利用できる食品を中心に「品揃え」「鮮度状況(見た目)」などを調査し、DgSがどの程度食品スーパー(SM)の代替ができるかといった視点で売場を見ている。ヘルスアンドビューティを主力とする、あるいは調剤薬局を併設したDgSが食品売場のレベルを上げれば「業態としての競争力」は非常に高くなり、地域シェア獲得に有利となる。

今回の調査は食品売場の充実ぶりを通して、DgSがどの程度業態としての競争力を高め進化しているかを見ているといってもよい。併せて改善ポイントも考察している。

各社の公式サイトなどで食品の取扱い店舗を事前確認し調査したが、各店舗食品売場の規模は異なるため、企業間比較は意図するところではなく合計スコアは採用していない。

調査内容は各調査、得点式の評価に加え売場の感想や意見など自由記述を設けている。青果、精肉に関しては品揃え、豊富感、見た目の鮮度、日配品は品揃えと各アイテムの品数(種類)、価格(最高と最低)、冷凍食品に関しては売場規模、必要な品揃えだったか、安さを調査した。最後に総合評価として「朝昼夕の3食を賄えるとおもったか」「食品購入を第一の目的にこのDgSを利用するか」「よく行く食品SMと比較して優れている点」をそれぞれ調査員に自由記述で回答してもらった。

[青果]各社充実する品揃え。豊富感と鮮度には課題も

青果の品揃えでは、17品目を調査、自由記述ではそのほかに品揃えのあった商品も記述してもらっている。得点はある100、ない0で見た。品目別に見ると日配の物流に乗りやすいカット野菜、モヤシの品揃えが90を超え、在庫率は高い。

トマトが80を超えるのは少し意外だがニーズの高い品目を強化していることがわかる。玉ネギ、ジャガイモ、ニンジンといった常温の保存が可能で使い勝手のよい品目の在庫率も70~75で高い。レタスが10でもっとも品揃えされていない。クリエイトSD、クスリのアオキが33.3なので、鮮度管理の難しい葉物まで店によっては販売していることがわかる。

比較的安価で腹持ちがよく朝食として食べることが多いバナナの品揃えは65.0で高い。その他果物ではリンゴ、ミカン、キウイを調査しており、常温で日持ちのよいキウイがバナナに次いで在庫率が高かった。ビタミンCや食物繊維が豊富で比較的安価なので、朝食用などとして品揃えすれば食品売場の充実に有益な商品である。

陳列の十分さ、豊富感に関しては各店舗それほど評価は高くない。限られたスペースなので数量をそれほど確保できない売場事情が改めて確認できる。それでも、モヤシ、カット野菜は比較的豊富感のある陳列になっている。鮮度、見た目の印象は概して評価は高くない。冷蔵ケースの導入や適切な見切り、廃棄など改善を要する分野だろう。各店の特徴は次のとおり。

●クリエイトSD青果の品揃え強化の戦略が明らか、立地条件によって店舗タイプ(食品売場)を変えている。
●クスリのアオキ食品SM並みの品揃えと物量。DgSのイメージを超えている。店内回遊で購買点数アップの狙いが見える。
●カワチ薬品早くから青果の取扱いをしていたが、品目と物量は絞っての展開が見える。
●ツルハ…こちらも食品取扱い強化の路線が見える。ただし、品目と物量は絞り気味。
●コスモス薬品…青果の品揃えは、絞り切っての展開、もしくはカット野菜以外は販売しない手法。効率的な戦略が見える。
●ウエルシア標準化が浸透しているので、立地による変化は少ないが、店舗によっては必要最低限の取扱い。
●マツモトキヨシもっとも従来型のDgSらしい食品売場ともいえる。公式サイトに食品取扱いの記載はあるが、主に「飲料」「菓子」がメインで冷蔵ケースも飲料のオープンケースのみであったりする。

このほか、日配、精肉、冷凍食品、総合力について、主力チェーンの状況をレポート!詳しくは、月刊マーチャンダイジング2021年12月号に!

価格個別化で利益率は向上する!DX時代の「ポイント・クーポン」戦略

これまで「どんぶり勘定」が中心だった小売業界。だがデジタルを用いれば、適切な「値付け」「値引き」を実現できるという。そんなことが実際に可能なのか?多くの先端企業で「価格の最適化」に関わる経済学者の成田悠輔氏に、サイバーエージェントAl事業本部の藤田和司氏と、同データサイエンティスト白木紀行氏が「最先端の価格決定論」を聞く。(月刊MD2021年12月号より)

価格個別化で利益率 15%以上アップしたWayfair

藤田 今回は価格の「最適化」「個別化」がテーマです。たとえばAmazonは数百人単位で経済学者を採用し、経済学を駆使し、価格政策を高度化しているといいます。(コラム参照)

価格政策によって急速に成長している小売業で、成田先生が注目している企業はほかにありますか。

成田 Amazon以降に創業したアメリカのEC企業のなかで、時価総額が数兆円まで伸びた企業のひとつ「Wayfair」の価格政策は注目すべきかとおもいます。Wayfairは、家具や寝具などの生活用品に特化したEC事業を展開している企業です(写真1)。

[写真1]Wayfairのウェブサイト。個々の商品の価格が購買履歴などによって個別化されている

この会社は、大勢の経済学者やデータサイエンティストを雇用し、顧客の過去の購買履歴に基づき「どのように価格を決定すれば最大の利益が得られるのか」を研究しています。サイトで取り扱われている商品の値段はすべて自動的に決定されていて、さらにすごいのがその商品価格が「ユーザーによって違うことがある」ということです。

つまり僕がある商品をクリックしたときと、藤田さんがクリックした場合で、過去の購入履歴などを参照して、人によって違った価格を表示する。価格のパーソナライゼーションを実現しているといえます(写真2)。

[写真2]Wayfairの個別商品画面。閲覧者の動向によって価格が変わる(写真は時間をおいてアクセスした例)

数年前にWayfairがすべての商品価格決定アルゴリズムを設計し直した際の資料があります(図表1)。もともとこの会社では商品ごとに、Amazonなどの競合サイトでの販売価格をスクレーピング(ホームページのデータを自動で抽出すること)して、その価格の下をくぐるということをやっていました。ですが、これをやっていると、より強い企業が、より安い価格を提示したら負けてしまいます。そこで価格を個別化することによって、利益率がどう変化するのかという実験をしたのです。

[図表1]Wayfairの価格の個別化実験

図表1では、縦軸が収益、横軸が日数の経過を表しています。「Day0」までは既存の価格決定の仕組みを使っていました。「Day0」以降、価格を完全に個別最適化する新しい仕組みを導入したのです。

商品をランダムに2つに分け、商品群B(青線)はそのままの価格決定の仕組みを使い、商品群A(赤線)は商品ごとに価格を最適に個別化して表示したところ、商品群AとBで20%前後収益に差が出ました。

さらに、Day30以降、商品群AとBで使用する価格決定の仕組みを逆にしました。するとちょうどきれいに赤と青がひっくり返ったというのがわかるとおもいます。ですからこの赤組と青組の差は、古い手法と新しい手法の差によるものであると推測されます。そこで、Day60以降は全体を新しい手法に変更したところ、もともとの基準から見ると全体で15~20%程度高い収益を達成しました。

藤田 価格を完全にパーソナライゼーションするとこれだけ大きなインパクトがあるんですね。「価格の個別最適化」は言葉としては昔からあるのですが、すでに実現している企業があるということに驚かされます。

WayfairはEC企業ですから、オンラインで取引が完結します。どんなお客さまがどんな情報を閲覧して、何を購入したかをデータで取得しやすいからこそ、データ分析しやすいという背景もありますよね。

成田 そうですね。ECとリアル小売業とでは、あらゆることに対するデータのたまり方が違います。それぞれの商品が、どれぐらいの価格で、どれだけ売れているのか。いつ、だれに売れたのか。在庫の状態はどうなのか。さらに商品を購入したそれぞれのお客は、どのような人たちで、何にどれぐらいお金を使う人なのか…という情報の質、そして情報の量がまったく違います。

ただ、リアル小売業でも、スマホアプリを導入することで、購入履歴やそのほかのユーザー情報がどんどん蓄積されています。リアル店舗とECの境界は、そういう意味ではどんどんあいまいになっていくのではないでしょうか。

[コラム]経済学者を大量採用するAmazonの狙い

データ経営の最先端をいくAmazon。同社が現在注力しているのが、経済学者の採用だ。経済学博士を約400名採用し、事業の中核でさまざまな分析を行い、事業の方向性を決定している。
Amazon上で販売している商品の値付け、値引き額の決定はもちろん、Amazonプライムの年会費や、同社が提供しているクラウド基盤「AWS」の値決め、口コミの掲載方法、商品の掲載順…ありとあらゆる局面で、蓄積されたデータに基づいた判断を行うのである。
このように、アメリカの企業では経済学者が事業の中核を担う流れがあり、彼らは「デジタル経済学者」や「テック経済学者」などと呼ばれている。

価格の個別化の前提と現状

藤田 私たちサイバーエージェントも小売業さまと「データをためる」ところから「データをつないで分析できるようにする」、実際に「データを活用する」ことに取り組んでいます。

このようなことが実現できるようになったのも、お店でスマホ支払いをする方や、アプリ上のポイントカードを提示するお客さまが増えているということが背景にあります。一方、店舗での実務に目を向けると、実店舗で個々のお客さまに合わせて価格を変更するのは、現実的ではありません。プライスカードを一枚一枚張り直していくわけにはいきませんから。

ですから、実店舗における価格の最適化は、お客さま一人ひとりに対して発行するクーポンや、ポイントバックという形で実施していくことになるのではないかとおもいます。

成田 おっしゃるとおりですね。これまで販促の手法には、直接の値引きや、クーポンによる値引き、ポイントバックなど、さまざまなものがありました。つまり、クーポンも、ポイントも、実店舗がそれぞれのお客さまに合わせて価格を最適化するための道具と捉えることができます。

ただ、価格の最適化は、小売業に関わる皆さんの頭の中にイメージとしては存在していても、実店舗の小売業では遅々として進展していないというのが実態ではないでしょうか。

ECをはじめとするデジタルネイティブな産業でさえ、まだまだ勘と勢いで経営判断している企業が少なくありません。国内の小売業さんでは、データに基づく価格最適化や、それを実現するためのクーポンやポイントのデザインをしっかり推し進めている企業は皆無に等しいのではないでしょうか。

DgSも数から質に潮目が変わった

藤田 たしかに、いま成田先生がおっしゃったような企業が大半なのではないでしょうか。たとえばドラッグストア(DgS)に目を向けると、この10年、20年は新規出店で売上げを伸ばしてきました。一人ひとりのお客さまに対する価格最適化よりも、1店舗でも多く出店する、あるいは企業間統合をしてマーケットシェアを上げていくということで売上と利益を伸はしてきたのが、この数十年の傾向でした。

ですが、マーケット全体が数兆円にまで成長し、トップ企業も売上1兆円に迫るという状況で、そろそろ出店して売上を伸ばすという、規模の論理は飽和状態になっていくのではないかとおもいます。ここから先の5年10年は、数よりも質の世界にシフトしていくのではないでしょうか。

私どもにもお問い合わせやご相談をいただく内容として「これまでやってきた、一律○%オフとか、決算月に毎週クーポンを打つというようなやり方を、そろそろ改めたいが、方法がわからない」というものが増えています。方向性が大きく変わりつつあります。

成田 これまでに申し上げた価格の最適化の話は、ある程度その企業のマーケットの規模が大きくないと、メリットがコストを上回らないという構造です。ですから規模が大きな企業さんから順番に取組みが進むのではないでしょうか。

10円のクーポンで80円利益が増えることも

[図表2]値引き・クーポン・ポイントの比較

藤田 そこでDgSの価格の最適化をしようとすると、おそらくクーポンやポイントバックの料率を変化させることで実現していくことになるわけですが、一方クーポン、ポイント、それぞれの施策によって、お客さまの捉え方も違っているのではないかとおもうのです。

成田 そうですね。ポイントとクーポンではまず全然反応が違います。僕たちの日常的な感覚として、ある商品が「その場で100円引きになります」といわれるのと、「これをいま買えば100ポイント分たまってそれを次の買物で使えるかもしれません」といわれるのでは、だいぶ受け取り方が違います。

理想的にはポイント、クーポンそれぞれについて、どういう人が、どれだけ反応しているのかを測り、それに基づいて一番よさそうな割引内容を細かく設定していくというのが重要になります。

クーポンに関していうと、日本ではとてつもなく効果がある場合があります。

先ほど紹介したWayfairは、全商品の価格をチューニングした大がかりな事例ですが、もう少し小さな範囲の実験結果があります。以前メルカリで行ったクーポンの効果に関する実験では、10円クーポンに投資するたびに、利益が80円ほど上がるという結果が出ました。あるクーポンを10円分発行した場合、低く見積もって80円程度利益が増え、高く見積もった場合130円程度増えるという結果でした。

メルカリは、個人間の売買のプラットフォームです。商品が売れたとき販売額の10%が手数料としてメルカリの収入になります。そこでメルカリが10円分のクーポンを発行すると、うまくいけばプラットフォームの利益が80円になって返ってくるということです。これは特定のブランドや商品にひも付かないクーポンですが、ブランドとひも付いたクーポンで実施すると、もっと効果が出る場合もあります。

クーポンには、お祭りのような意味合いもあるのだとおもいます。ですから「◎◎のクーポンが手に入ったから、あのお店に行ってみよう」というように、クーポンがきっかけで行動したり、人間関係が生まれるというような、金銭的な価値から少し離れた側面までクーポンに組み込んでいくことが重要だとおもいます。

ポイントの持つ「継続的な関係性構築」という意味合い

白木 クーポンには販促的な効果もありますが、同時に広告的な要素もありますね。広告として企業や商品を認知してもらう効果と、値引きによって集客をするという、2つの効果を期待した施策といえます。

一方、クーポンを発行することで、需要が一時的に増え、在庫のコントロールが難しくなるということを懸念される小売業さまもいらっしゃるのですが、これはデータに基づいた分析を行い、在庫を含めて総合的に管理することで改善できます。価格をどう設定し、どれぐらいのリターンのクーポンを発行すると、どれぐらい需要が増加するのかを予測し、あらかじめ在庫を確保する。これらを自動化して推進していくのが今後の方向性なのではないでしょうか。

成田 在庫管理も、クーポンとポイントの出し分けも、「人がどういう商品を欲しいとおもっていて、価格がどれぐらいになるとその欲しさがどれぐらい変わるのか」ということがもともとの根幹にあります。その根幹に基づいて、ポイント、クーポン、そして在庫を統合管理できる体制がつくれたら理想的です。

白木 付け加えると、価格だけではなくて、広告活動も含めて検討をしていく必要があるとおもいます。紙でもネットでも、広告が露出することにより商品の需要は変化します。メディアでの露出も含めて管理しつつ、価格もその一部として検討していくというのが、あるべき小売の販促施策の姿なのではないでしょうか。

藤田 いまはおそらく必要としていない人に割引を提供するということも少なからず起きているはずです。定価で買ってくださる人にわざわざ割引して販売する必要はありませんし、逆に大きな割引率を提示しても買ってほしい人がいるかもしれません。今後はそのような出し分けもしていく必要があります。

ポイントとクーポンの違いでいうと、クーポンには広告的な意味合いがあり、爆発的な効果を示す場合がある一方、継続的な関係性をつくるためにはポイントの方が向いているのではないかともおもいます。これからのDgSを考えていくうえで、今後どのようなチェーンを目指すかによって、ポイントとクーポンの使い分けは重要な要素になっていくでしょう。

地域に根差した店づくりを標榜するDgSであれば、「ポイントがたまるからこの店で買物をしよう」というような、お客さまとの継続的な関係づくりも狙っているはずです。難しい取組みですが、「愛着の設計」というようなものは重要になるのではないでしょうか。

成田 クーポンはカンフル剤のようなもので、ドカンと打ってその場で結果が出るイメージです。一方ポイントは短期的な効果は小さくても、長い目で見たときに、顧客と会社の関係づくりに役立つ、コミュニティづくりに役立つ、いわば「サプリをのむ」とか「整体に行く」というような意味合いもあるとおもいます。

データで分析してはいけない分野もある

成田 こういった施策を検討する際には、長い目でKPIを測ることがとても大切です。短期的な収益への貢献と、顧客の継続来店を促す施策は、相反することが少なくありません。

そういう意味で、いまのデータに基づくマーケティングにありがちなわなは「短期的な指標にとらわれすぎること」ではないかとおもいます。同時に長い目で見たときの指標も取り続けて、効果を測っていくことが重要です。

データに基づいて判断するということは、データで測れるものしか考慮に入れられないということです。20年、30年という長期で見たときの企業のブランド価値は、データで測ることはできません。そこには注意が必要です。

藤田 たしかにそうですね。短期的な結果におもねてしまうことで目的を見失ってしまうことには配慮しなければなりません。一見するとすごく非効率で無駄があるようにおもえるけれども、実は価値がある、ということはありそうですね。

成田 たとえばDgSであれば一昔前ではオーガニックや無添加系のカテゴリー、最近であれば男性向け化粧品のように、新しいカテゴリーをつくったり、生活習慣を変えること自体を目指しているような取組みでは、短期の指標にとらわれすぎるのはよくないのだろうなとおもいます。

藤田 小売業さんは、いま世の中にないものを、売場で紹介して、生活のなかの定番商品をどんどんつくる、というようなことに何十年も取り組まれています。これからは新しいものを紹介するだけではなく、生活の質を上げる体験の提供に取り組んでいくのではないか、というようなことをいまお話ししていておもいました。そのためにデータを使ったり、経済学を活用するのかもしれません。

プロジェクトの成否を決めるのは「課題の切り取り方」

藤田 自社の事業に経済学やデータサイエンスを取り入れる場合、どのようなことに苦労される企業が多いのでしょうか。

成田 一番わかりやすい難しさとしては、データを活用したいとお考えになられても、そもそもデータが存在していない企業さんが少なからずあります。データはあっても、紙やエクセルでしかないとか…。ただ、こういった困難は、時間がたてば徐々に乗り越られるものだろうともおもっています。そういう課題を乗り越えたうえで難しいとおもうのは、「課題をどう切り取るか」です。

そもそも事業会社の方は、何が課題で、何ができて、何ができないのかがわからない状態で、プロジェクトに着手せざるを得ません。ですから過剰な期待をお持ちになられていることも多い。打ち得る施策のなかで、何を変えたくて、それを変えるためのどのような道具が手元にあるのかを理解されているかどうかが重要なのではないかとおもいます。

白木 そうですね。データ分析は、そこで得られた結果が、何かの意思決定につながらないと意味がありません。「何をしたいのか」「何を変えられるのか」「その結果がどうだったら、何をどのように変えられるのか」を、事前に決めておかなければなりません。

成田 そのプロジェクトの目的とKPIにあたる指標は何なのか。それをどう変えたいのか。それを変えるために、どの指標をいじることができるのか、これが、最初の段階でかなりはっきりしていることが、プロジェクトの成否を分かちます。

藤田 プロジェクトの対象範囲が大きすぎると、利害関係者が多くなり、進みが遅くなって、ゴールにたどり着けなくなる…ということは往々にしてあります。最終的には全体最適を目指しつつ、最初は小さな範囲に集中して、成功事例をつくっていくというような進め方の方が、結果として早く、大きな成果にたどり着けるような気がします。

成田 先ほど出てきた、「価格」「ポイント」「クーポン」関連であれば、まずは「特定のこのクーポンをどうするか」だとか「このポイントキャンペーンを今後どうするか」というレベルのプロジェクトからスタートするのが現実的です。

「経験の束」に適切な価格の付く未来

藤田 小売業のアプリ活用についてはどうでしょうか。われわれは小売業さんのDXを推進するうえで、重要となるのはすべての買物体験をひとつのアプリに集約する、いわば「アプリファースト」であるという話をさせていただいています。

そして、この先データを活用していくためには、会員情報や購買履歴など、すべてのデータをアプリ経由で蓄積し、より適切なポイントバックやクーポン発行などのオファーを提供していけるようになっていかなければなりません。

小売業さんも、この1〜2年でアプリに対する考え方が大きく変わりつつあるように感じています。これまでのアプリはポイントカードの代替品で、使い勝手に関する評価も気にしないという企業さんが多かったのですが、最近は「アプリを店の顔にしたから、もっと使いやすく、見栄えよくしたい」というご相談を受けることも増えています。

白木 これまでお客さま個人に対する値引きなどの案内は、登録されているメールに個別に送るというような企業さんも多かったのですが、メールだとどうしても限定された商品だけを対象にせざるを得ません。そうではなくて、個別の割引の案内についても、顧客体験の質が高いアプリで見てもらうということが非常に重要になってくるとおもいます。

IKEAは、経済学者だけではなく、行動経済学者も雇用していて、アプリのデザインをどうすれば、購買行動がよりスムーズになるかという観点から研究を行っているようです。

 

成田 IKEAのアプリはすごいですね。自分の部屋を写真で撮影してアップロードすると、アプリ内に自分の部屋ができて、アプリ上で部屋にIKEAの家具を配置するようなことができます。さらに部屋の写真をアップするとそれに対しておすすめのコレクションを紹介してくれて、合わせていくらですという価格まで表示される。(編集部注:国内のアプリは2021年11月現在未対応)

ただ商品そのものと価格が表示されるだけではなくて、コーディネートされた商品や、それに基づく経験全体が僕たちに紹介される。その「経験の束」のようなものに最適な価格が付けられていく世界が、いろいろな産業で登場するような気がしています。

藤田 DgSのアプリも、お客さまの購買履歴や薬歴などを参考にしながら、「こういうお悩みがあるのならこのサプリがおすすめです」「こういう食べ物がいいですよ」という提案をしてくれる未来はそう遠くないようにおもいます。

成田 そうですね。DgSであれば、自分の健康状態に関する情報や、お医者さまから受けたアドバイスのような情報と、店舗からの商品提案が組み合わさっていくような将来がありそうです。

僕たちの生活についての情報がスマートウォッチをはじめとする電子機器経由で蓄積されつつあります。体重、血圧、体温…あるいは何を食べたか、睡眠状態はどうだったか…などの情報に基づいて、薬やサプリなどを提案し、未病・予防に貢献できるタイプのDgS起点の商品提案も増えていくでしょうね。

藤田 そんな世界が本当に来るといいですね。本日はありがとうございました。

 

〈取材協力〉

経済学者
成田 悠輔氏
サイバーエージェント
Al事業本部DX本部統括 経営戦略部長
藤田 和司氏
サイバーエージェント
データサイエンティスト
白木 紀行氏