防災の日、敬老の日、スポーツの日、ハロウィン…。企画のネタ盛りだくさんの9月、10月
毎月のプロモーションのネタに便利に使える販促企画書。2022年9月、10月のアイディアです。
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毎月のプロモーションのネタに便利に使える販促企画書。2022年8月、9月のアイディアです。
コロナ禍の反動減にもかかわらず、底堅い需要に支えられ堅調な成長を続ける虫ケアカテゴリー。しかし近く予想される世帯数減少局面においてそのままの売り方を維持していると縮小傾向に陥ることは想像に難くない。アース製薬はそれらの課題を「予防軸の高付加価値アイテムの投入」「新規顧客の獲得」という2つの戦略で乗り越えていく。

虫ケア用品の市場規模は、コロナ禍の2020年に1,306億円まで伸長したが、2021年は反動で前年比97%の1,270億円にとどまった。しかしCAGR(年平均成長率)を見ると虫ケア用品全体で1.8%と変わらず成長傾向であり、なかでも伸長しているのが、ゴキブリやダニなどの不快害虫用虫ケア用品だ(図表1)。コロナ禍によって在宅の時間が増え、これまで気にならなかった自宅のダニ、コバエなど不快害虫が気になるようになったのがその理由の一つと考えられる。
現状では拡大基調を示す虫ケア市場だが、3つの課題に直面している。
①人口減・世帯数減による売上減
今後日本経済が直面するのが人口ならびに世帯数の減少である。虫ケア用品も、現在と同じ販売施策を維持するだけでは、売上・利益ともにシュリンクしていくことは間違いない。
②気候の影響で実績が左右される

当然のことながら、虫ケア用品の売れ方は気候の影響を受けやすい(図表2)。夏の長雨や気温低下が見られる年は、実績が低迷することがしばしばである。気候の影響を受けにくいカテゴリー育成が急務とされている。
③若年層の購入率が低い

虫ケア用品の世代別購入率・人数構成比を見ると、50代、60代の購入が多い一方で、30代、40代は来店人数のわりに購入率が低く、世代間に大きなギャップがあることがわかる(図表3)。30代、40代の新規使用者の獲得が課題といえる。
アース製薬はこれらの課題の解決策として「高付加価値、高単価の商品提案」「若年層の新規顧客の獲得」という戦略を提案する。既存カテゴリーの育成を続けるのはもちろん、新規購入者(カテゴリーエントリー)を獲得し、平均単価を上げていく取り組みだ。虫ケア用品のサブカテゴリー別平均単価推移を見てみると、すべてのサブカテゴリーで平均単価が上昇傾向にある。そこに共通するキーワードが「長期間用」「予防」「高機能」である。特に「予防軸」の商品は気象変動の影響を受けにくく、安定した売上・粗利の確保にもつながる。この軸を掘り下げていくことで、まだまだ虫ケア用品市場は拡大の余地があるはずだ。
アース製薬が2022年の春夏に向けて打ち出した期待の新商品の一つが「ゼロデナイト」だ。ワンプッシュ式スプレーとくん煙剤の2種類の剤型を展開し、いずれも1度の使用で1年間ムカデ、コバエ、アリなどの不快害虫を駆除する。

アース製薬の調査によれば、虫ケア用品購入時に重視する機能として、速効性や効果の信頼性はもちろんのこと「効果が長く続くこと」「虫を予防できること」などを挙げる人が多い(図表4)。そこで開発された「持続ニーズ」を狙う高付加価値商品がゼロデナイトなのだ。
ゼロデナイトには50年ぶりの新規作用性有効成分「テネベナール」が日本で初めて家庭用製品として採用されている。忌避性がなく、害虫が十分に薬剤に接触するため高い効果が期待できる。また、長期の残効性があり、幅広い害虫に対してすぐれた効果を示す。また安全性が高く、環境毒性が低いことも特長だ。
メーカー希望小売価格2,980円(税抜き)とカテゴリー貢献度も高い。
もう一つの新商品が置き型虫よけの「マモルーム」(蚊用、ダニ用)だ。ノーマットの蚊とりは、中高年齢層の購入率が高いものの、若年層の購入率は低いという弱みがあった。そこでアース製薬はこれまでの「蚊とり」のイメージとは異なる「虫よけ」という予防軸で新ブランド「マモルーム」を提案。若年層の取り込みを目指す。
液体状のカートリッジを設置したマモルームを稼働させると、超マイクロ粒子が部屋に広がり、蚊の侵入をブロック、蚊を速効退治したり(蚊用)、ダニアレル物質の生成を抑制し、ダニを除去しやすくする(ダニ用)。

また容器形状にもこだわっており、狭い空間にも挿せるスイングプラグや小さなお子さまのイタズラ防止ボトルカバーの採用で、お部屋のインテリアにもマッチする仕様となっている。
これまでの「蚊とり」を別ブランド化することで若年層に向けて訴求していく。
「ゼロデナイト1プッシュ式スプレー」は2022年2月の発売以降非常に好調な滑り出しを見せており、不快害虫用のカテゴリー全体で見ても、予防軸の新商品が上乗せされることで、既存の商品を含め出荷量が120%アップ(2022年3月末時点)している。高付加価値化・高単価が市場に受け入れられていることがわかる結果となった。

不快害虫を絶対目にしたくないと考えるお客は、少し値段が張っても効果が得られる商品を求める。しかも1年間効果が持続するとあれば、喜んで購入するだろう。アース製薬では、店頭での視認性を高める各種演出ボードを用意している(写真)。店頭で積極的に本商品の価値を伝えていってほしい。
2020年、キンチョウが開発した無煙処方・空間用ワンプッシュ剤「ゴキブリムエンダー」が大ヒット。2022年、シリーズ第3弾となる「お風呂の防カビムエンダー」を新発売。2週間に1回・浴室空間に5プッシュするだけで、お風呂の隅々まで「防カビ」ができる新商品でキンチョウは「防カビカテゴリー」の拡大を計画している。

「防カビ」の5年間の成長率は173%と急成長中のカテゴリーである(図表1)。ただし、「カビ取り」に比べ「防カビ」のカテゴリー販売金額は50%も少ない。また、「防カビ」の購入率は「カビ取り」よりも低いのが現状であり、「カビを防ぐ」という意識自体を持つ人が少ないことがわかる。
一方、購入層を年代別にみると、40代~60代には「防カビ」よりも「カビ取り」の方が支持が高く、20代~30代には「防カビ」の方が支持が高い。
つまり、20代~30代は、カビが発生してから対処するよりも、事前にカビを防ぐ意識が高まっている。
さらに、防カビマーケットを拡大させるためには、売場以外での適切な情報発信によりカテゴリーの認知率を高めることで「防カビ」の意識を掘り起こし、若年層を獲得することが重要になる。
昨年まで、防カビカテゴリーは「くん煙剤タイプ」だけで形成されていた。新たに発売された「お風呂の防カビムエンダー」が「空間用ワンプッシュ剤」の機能を売場で訴求することで、カテゴリーの認知率が向上し、市場規模の拡大が狙える。

防カビカテゴリーは、カビが発生しやすい梅雨時期の前(5月)から指数がアップする為、5月~6月は重点的に売場づくりが必要となってくる(図表2)。
一度、カビが成長して黒のメラニン色素を分泌してしまえば、黒カビ菌を取っても「黒い色」は沈着して消えなくなる。「防カビ」によって、黒カビ・ピンクぬめりの原因菌を「黒くなる前に予防する」ことで浴室内のキレイは持続される。

キンチョウが実施した「カビ掃除の消費者調査」(図表3)によると、浴室のカビ掃除の不満点は「色々な場所にカビが発生する」ことである。
新商品は、空間に5プッシュすれば「浴室まるごと処理」が30分以内で完了する。
プッシュした後、10分間浴室を閉め切り、10分〜20分間換気するだけで、浴室全体の黒カビ・ピンクぬめりの原因菌を除菌でき、処理後に浴室内を洗い流す必要もない。浴室を掃除した後の仕上げに行うと効果的である。
一方で、排水溝・換気扇・浴槽のフタ・浴槽と壁の隙間など「掃除がしにくい場所」のカビにも不満を感じている消費者も多い(図表3)。
同商品は、カビが気になる場所に直接1プッシュするだけの「ポイント処理」もできる。また、配合している「ジェミニ型除菌成分」の効果で、防カビ効果は約2週間持続する。定期的に使用することによって防カビ効果が高まる為、「浴室まるごと処理」と「ポイント処理」を繰り返し行うことでより高い効果が発揮できる。
「カビを防ぐ」という消費者意識を高める売場づくりが、防カビカテゴリーの「認知率」「購入率」を高める。

例えば、写真1の売場では、浴室用洗剤のエンドで「浴室まるごと防カビ」のPOPを活用。浴室掃除の「仕上げ」としての防カビの必要性を訴求することでお客様の潜在需要を掘り起している。

写真2の売場では、洗剤売場のサイドエンドで「お風呂の防カビムエンダー」のクロスMDを実施。生活必需品を購入しようとするお客様に「お風呂のカビは事前に防ぐ」という気付きを与えている。


さらに、写真3、4のPOPを活用することで、「お風呂の防カビムエンダー」の「時短」「浴室まるごと処理」「ポイント処理」の機能を効果的に訴求できる。
ムエンダーシリーズはテレビCMの大量投入によって新規客を獲得する方針である。また、既存品のゴキブリムエンダーのリピート率が高いことも特徴だ。
ムエンダーの「無煙処方」というブランド価値を売場で明確に訴求し、リピート購入者を育成することが「来店頻度アップ」と「防カビカテゴリーの拡大」に貢献する。
外食最大手のゼンショーが昨年6月にコンビニ業態を開発、現在(4月末)まで同じ群馬県で6店舗を展開、もはや実験の域を超えて本格的なチェーン展開を図っている。「飽和」と指摘される令和の時代のコンビニに勝算があるのか、店舗を取材した。(構成・文/流通ジャーナリスト、月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡)(月刊マーチャンダイジング2022年6月号より抜粋)
ここ数年、コンビニは飽和した、成長が止まった、現場が疲弊しているといったネガティブな議論が続いてきた。たしかに、フランチャイズチェーンを基本とするコンビニにとって、加盟店オーナーの収益をどう伸ばしていくか、実態として厳しい環境に置かれてきた。コロナ禍の影響もあるが、それ以前から店舗数の増加が急速に鈍化し、前年維持か割り込むチェーンも出てきた。現実の数字だけに着目すれば、成長は止まっているし、飽和したと見る理由もわかる。
しかし、それは大手3チェーンが現状の形態を脱せず、業態革新の速度が遅いために、飽和しているにすぎない。そう考える理由は、いまの令和の時代に、新たにコンビニを立ち上げたチェーン本部があるからだ。
和風ファストフード(FF)「すき家」を展開する外食最大手のゼンショーホールディングス(以下、ゼンショー)が、コンビニ業界に参入を果たした。しかも2021年6月から2022年4月まで群馬県に6店舗を出店している。本部は実験段階であるとしてメディアの取材を受けていない。
ただし、1店舗ではなく、“一気に”と形容してもいいくらいに、群馬県の南東の端っこに計画的な出店を果たしている。実験の域を超えて、本気でチェーン展開を始動させたと見てよいだろう。
ゼンショーは1982年に創業、「すき家」のチェーン展開をスタートさせ、積極的なM&Aによる店舗拡大も手伝って、2011年には日本マクドナルドホールディングスの売上高を抜いて外食企業のトップに立つ。
その後、2012年11月には埼玉県をドミナントにするスーパーマーケットチェーンのマルヤを子会社化、以降はローカルスーパーを積極的に買収するなどして、業容拡大を図ってきた。コンビニ業態への挑戦も、この10年の間に培った食品スーパーのノウハウが生かされている。
実際に店舗(館林瀬戸谷店)を視察すると、いわゆるコンビニの品揃えが欠落なく揃っていた。日常的にコンビニを利用しているお客が、おにぎりと総菜、ビールにたばこ、ティッシュに電池などコンビニ商材を意識して入店しても、すべて満たされる品揃えがされている。コンビニの基本の品揃えに不足しない売場を最初からつくり込んでいる。
例えば、(常温の)酒類のゴンドラと隣接させた「つまみ」類の充実、調味料にレトルト食品、その他加工食品、大手メーカーを軸とするパンやデザートなど、商品構成を見たかぎり、大手コンビニチェーンと比較して遜色のない売場といえる。各部門の商品構成と配置を見ると、既存のコンビニの経験法則が生かされている。だからこそ来店客は迷いなく商品を手に取ってレジに向かうことができる。
ただし、そうはいっても、セブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3チェーンで9割以上のシェアを占める令和の時代に、コンビニの新業態である。大手と比較して「遜色のない」だけでは闘えない。そこでゼンショーの「さくらみくら」が取った戦略が「店内調理」の充実による集客である。
もともとゼンショーは和風FFの「すき家」「なか卯」、ファミリーレストランの「ココス」、専門店の「ジョリーパスタ」「はま寿司」など20の外食ブランドを持っている。すべてがチェーン志向のブランドなので、仕組みとしてその技術を取り入れることは可能であろう。
「さくらみくら」の公式ホームページを開くと次のような紹介文がある。
『「出来たてのおいしさと、暮らしの便利を。」さくらみくらは、全く新しいコンビニです。生活必需品や食品が24時間手に入るのはもちろん、出来たてにこだわり店内調理でお作りするあつあつのお弁当、「みくら食堂」もいつでもご利用いただけます。日本発のコンビニとして、桜の花のように地域に根差し笑顔を届ける存在になりたい。開放感あるイートインスペースもご用意しております。ぜひ一度、お気軽にお立ち寄りください。』

「さくらみくら」の店内調理は、店内で調理して売場に並べるのではなく、ツーオーダー(注文を受けてからの調理)である点も見逃せない。タッチパネル方式の発券機で商品を選び、番号が記されたレシートをカウンターで提示して精算、レシートを持って待つこと数分、自動呼出し音声により再びカウンターへ行き商品を受け取る。最初にタッチパネルで発券した時点で調理態勢に入ると推測される。親子丼を購入した際に、従業員にどのくらい待ちますかと質問したところ、アイドルタイムではあったが「3~4分」と返答があった。実際、ゼンショーグループの和風FF「なか卯」で食べる親子丼より、待ち時間が短いと感じるくらい提供時間は早かった。
本格的な店内調理と、それに付随するイートインスペースに関して、大手コンビニチェーンは標準装備として導入していない。ローソンは約8,000店舗に店内厨房を設置し、さらに既存店に増設していくとしているが、基本はピークタイムに合わせたつくり置きを前提にしている設備であり、「さくらみくら」とはオペレーションが異なる。



基本メニューは、みくら唐揚げ弁当470円(税込み、以下同)、大きなハンバーグ弁当500円をメインに、ソースを変えてバリエーションを広げている。ほかに、ふんわり卵の親子丼480円、ロースかつ丼580円、ふっくら香ばしい鰻丼650円、お出汁染みるきつねうどん390円、明太子バターの和風パスタ450円などだ。
近年のコンビニでも500円台の米飯弁当やラーメンも多数投入されている現状から、「さくらみくら」のツーオーダーによる商品が、お客にとって「高い」とは感じないだろう。

ドミナント政策については、店舗はすべて群馬県に立地、おにぎり、米飯弁当を製造する主要ベンダーの総菜加工センターは群馬県の太田市にあり、ちょうど出店エリアの中心部に位置している。製造ベンダーと店舗が一体となってエリアを深耕する戦略は原則的である。今後はドミナントを強化するために、恐らく埼玉県に向かって南下していくと予想される。
かつてセブン−イレブンは人口の多い首都圏に集中出店し、1都3県で300店舗を達成したあとに、飛び地の北海道に、その翌年に福岡県に出店している。「さくらみくら」は外食チェーンで培った技術により競争優位を発揮して、大手3チェーンに挑んでいく。
元食品商業編集長の三浦美浩氏にさまざまな食品スーパーをストアコンパリゾンしてもらう企画の第6段では、関東に126店舗を展開するスーパーマーケット「ベルク」を取り上げる。営業利益率4.4%と、2〜3%の同業態平均と比較すると優れた数字をたたき出す同社。その背景にあるのは、「奇をてらわないシンプルさ」だ。(構成・文/エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦 美浩)(月刊マーチャンダイジング2022年6月号より抜粋)
チェーンストアの経営用語に“3つのS”を意味する「3S主義」がある。
簡単に言えば、テーマや課題を少なくしていき、それを道具、動作、手順を統一することでだれでもできるようにし徹底し、他社と差をつけていくことである。
つまり出発点は「課題が明確なこと」「シンプルなこと」であり、差別化とは「奇をてらうこと=わざとほかと変わったことをする」のではないということになる。
埼玉県を本部に持ち埼玉県、千葉県、群馬県、東京都などに126店舗を展開するスーパーマーケット(SM)企業のベルク(原島一誠社長)の店舗の特徴は、この「奇をてらわない=シンプル」さにある(数値は2022年2月期)。
営業収益は3,002億円で1店当り営業収益は23.8億円となり特別に売上高の大きな繁盛店ではない。しかし営業総利益率(粗利率)は26.0%で低いにもかかわらず、販管費率(経費)を21.3%に抑えることで本業の利益である営業利益率は、一般的なSMの2〜3%より高い4.4%を誇っている。この数値はコロナ前から高い水準にある(図表1)。

コロナ禍「1年目」の2021年2月期決算はドラッグストア(DgS)、SMともに「まとめ買いで客単価増×感染恐れ客数減」のチェーンが多かったが、ベルクは客数前年比102.1%、1品単価102.7%、買上点数107.2%で、既存店売上高は112.4%と2桁増になった。コロナ禍で数少ない「客数も客単価も増」のチェーンである。
このシンプルな奇をてらわない売場がなぜ高効率やお客の人気を生むのかをスタディした。
今回、視察した店はベルク フォルテ津田沼店で、2013年4月に習志野市のJR津田沼駅から徒歩10分程度の立地に出店した。線路を挟んだ駅東の商圏がGMS(総合スーパー)のイトーヨーカ堂、イオンリテール、パルコなどが出店している大型店のエリアに対し、駅西側の商圏にはダイエーなどがある比較的新しく開発された地域でもある。
JR津田沼駅は総武線の始発駅で東京圏にも通勤しやすく人気のエリアで、周辺には高額なタワー型、高層階のマンション分譲が進んでいて、子育て世代などの生活者も多い。
ベルクが出店したショッピングセンター(SC)「フォルテ」にはしまむら、バースデイ、サンドラッグ、東京靴流通センター、ダイソー、サイゼリヤなど低価格訴求のチェーンがまとまって出店していて人気になっている。

ベルク フォルテ津田沼店の売場は約600坪の長方形。ベルクの店舗レイアウトは実はどの店もほぼ同一である。野菜・果物、鮮魚、精肉と主菜から豆腐・パンなどの日配の副菜に進み、最終コーナーが総菜となっていて、中央部の縦の列には冷凍・冷蔵ケースの冷食・アイスや牛乳などの飲料が並んでいる。すべての什器が直角に交わり、シンプルなゾーニングだ。
お客は入り口そばの果物で季節を感じつつ壁面の第1磁石を見ながら歩いていき、第2磁石の通路突き当たりの刺し身コーナーで今夜のおかずを考え、次にまた壁面の精肉を見ながら、第3磁石のエンドスペースに配置された牛乳を見て「そういえば牛乳がなかった!」と思い出し購入する。
さらに主通路突き当たりには購買頻度の高い豆腐や納豆があるのでかごに入れ、主通路内側には毎日の主食のパンがあるので、これも忘れずに購入。最後にお父さんのつまみの一品に総菜の煮物を追加する。
途中、奥主通路を歩いている間に、通路内側の常温ゴンドラをのぞき込んだら通路両側に目立つカップ麺・ラーメンの投げ込み陳列があるので、中通路に入って昼食用に購入する。
酒好きな家庭ならレジに進む間の酒の売場に入りビールやワインを選ぶし、さらに進んで非食品のレジ前のエンドを見たらティッシュペーパーがなかったことを思い出し購入する。ベルクの店ではこんな買物のストーリーを描くことができる。
珍奇なものや売場はないが、すべて論理的で、売場を一周すれば「日常生活に必要なものは一とおり揃う」のがこの売場なのである。それが見通しの良い長方形の売場に配置されていて、しかも大量陳列や関連陳列が多いので、余計な時間がかからないし、買い忘れもない。
店頭の果物売場の内側には菓子68円(本体価格、以下同)などがかご車1台=1アイテムで並び、価格訴求力は抜群である。
チラシの野菜やバナナなどは94円の2桁売価だし、もやしは「毎日得値」として18円で販売している。
火曜・水曜には均一セールなども実施していて店内のゴンドラ脇には94円、77円などの2桁売価商品がたくさん並ぶ。
売場もわかりやすいし、安さもすぐに伝わる、それがベルクの人気の秘密なのである。
わかりやすい一方で、「気が利いている」のも、ベルクの特徴だ。
続きは、月刊マーチャンダイジング2022年6月号でお読みください。
約8兆円市場と言われている調剤市場の獲得は、ドラッグストア(DgS)にとって非常に重要な経営戦略である。顧客(患者)から選んでもらう調剤薬局・DgSになるためにも、調剤のデジタル顧客接点強化は不可欠の取り組みである。今回は医療DX企業の株式会社MG-DX社長の堂前紀郎氏に調剤DXのポイントを聞いた。(月刊マーチャンダイジング2022年6月号より抜粋)
今月号は、ドラッグストア(DgS)の調剤DXについて解説します。アメリカのDgSは、売上構成比の70%は調剤で占められており、ウォルグリーンのようなアメリカのDgSは、調剤を受け取る利便性の強化にアプリを活用しています。

ウォルグリーンのアプリユーザーの調査を実施したところ、N数は少ない調査ですが、アプリの使用前と使用後では店舗への来店回数が増加しています(図表1)。

一方、ウォルマートのアプリ調査では、アプリの使用前と使用後では、来店回数が平均で7.35回から4.75回に減少しています。ところが買物金額は月平均で292.8ドルから500ドルへと約1.7倍に跳ね上がっています(図表2)。第2の「店舗」であるアプリ利用で購買意欲が高まり、非入店のオンラインショッピングの比率が高まっていることがわかります。
それに対して、ウォルグリーンは、アプリ利用後に来店回数も買物金額も両方が増えています(図表1)。アプリ利用後の来店回数の増加に関しては、売上構成比の70%を占める調剤に関するアプリ機能の利用率が高まったことが、来店回数増につながっているのだと思われます。
日本のDgSでも、調剤の利用客は来店回数も買物金額も多いロイヤルカスタマーであると言われています。
調剤DX強化は、調剤併設DgSの来店回数を増やし、ロイヤルカスタマーを増やすための最重点の経営戦略であると思います。
調剤に関する法改正で、国の方針で調剤加算の点数が、調剤から患者さんへのフォローアップに大きく変わってきています。
また、調剤薬局を300店以上運営するチェーンドラッグなどの事業者は、調剤基本料を下げられるという法改正がありました。
その減益をカバーするために、「地域支援体制加算」が獲得できる患者さんのフォローアップを強化するという流れになると思います。
患者さんがお薬を服用した後のカラダの状態を薬剤師さんがヒアリングしてフォローアップしていくことや、患者さんから聞いた内容をお医者さんにフィードバックすることが重要になってきており、この2つの取り組みが、「地域支援体制加算」の対象になっていきます。
でも、薬剤師さんが患者さんに1回1回電話して、「調子どうですか?」と聞き続けることは、人件費的にも難しいと思います。つまり、患者さんのフォローアップのデジタル化がすごく重要になってきています。
たとえば、LINEを使ってフォローアップのメッセージを送り、LINEでオンライン服薬指導の連絡ができれば、コミュニケーションのためのコストを大幅に下げられます。
患者さんへのフォローアップに関して、デジタルサービス、デジタルツールで支援できそうなことがたくさんあります。
現在は、アプリなどのデジタル上で患者さんとの接点が増えてきて、患者さんの情報を蓄積するところまではできている企業は多いと思います。
これからは、フォローアップの部分でもデジタルを本格的に活用する時期に来ています。患者さんへのフォローアップが、今年の4月以降に大きく求められるようになったからです。
ただし、フォローアップだけデジタル化しようと思って、急にLINEでメッセージ送っても、誰も答えてくれません。部分的にツールを導入するのではなくて、調剤に関する「デジタル顧客接点」の全体設計をつくることから始めなければなりません。

DgSさんでいえば、自社の公式アプリの中に調剤の機能をきちんと入れることがまずは重要です。たとえば、図表3はサンドラッグさんの調剤機能に関する「LINEミニアプリ開発」の事例です。
サンドラッグさんのLINEのミニアプリを起動し、LINEアカウントと連携した当社(MG-DX)の「薬急便」のアカウントに移行し、店舗検索→処方箋画像送信→LINEでの予約の確定や準備完了の連絡までが、サンドラッグさんの動線の中ですべて完結できる仕組みになっています。
これが、調剤のための新たなアプリをダウンロードするという工程が途中で入ると、一気にアプリの利用率が低下してしまいます。

患者さんとのデジタル顧客接点は、大きく3つに分かれています(図表4)。公式アプリから調剤に入ってくるケース、LINEを使って入ってくるケース、Google検索などのブラウザから入ってくるケースです。
LINEから入ってくる顧客は高齢者が比較的多いですね。高齢の顧客は、アプリをダウンロードして登録するのは面倒ですが、お孫さんとの連絡などでもLINEは普通に使われていますので、LINEからの顧客接点が多いわけです。
一方、公式アプリから入ってくる顧客は年代的には少し若めです。つまり、この2つの顧客接点の顧客はあまり重なっていないのです。また、Googleから入ってくる顧客は通りすがりの新規客です。だから、3つの顧客接点の構築にはすべて取り組まなければなりません。
図表4に示したのが3つの顧客接点の概念図です。マーケットとして一番大きいのが公式アプリですが、LINEやGoogle検索で入ってくる顧客接点も小さくはなくて、どちらも中くらいのマーケットです。つまり、公式アプリだけの顧客接点ではマーケットの取りこぼしが大きいということです。
また、公式アプリとLINEはすでに店を利用している既存顧客との接点ですが、Google検索から入ってくる顧客は「新規客」なので、一般的なブラウザの顧客接点を強化することは、今後はとても重要だと思います。

この3つの顧客接点をCRM(Customer Relationship Manage-ment。顧客関係管理)につなげるためには、顧客接点→ミニアプリ→顧客データベース→フォローアップまでの入口から出口までの仕組みがフルセットであって初めて、患者さんへのフォローアップが機能していくわけです(図表5)。
まずは顧客(患者)接点を増やすことで、フォローアップの顧客(患者)の人数を増やしていくことが重要です。
しかし、調剤の加算点数がもらえるからと、フォローアップのためのメッセージ送信ツールを導入しても意味はありません。顧客接点と顧客情報のデータベースがないのに、メッセージツールだけを導入しても、誰にどんなメッセージを送ればいいかは決められません。3つのデジタル顧客接点を持って、会員管理をして、フォローアップにつなげていくという全体設計がなくて、部分最適のツール導入ではうまく機能しません。
ホップステップジャンプでいうと、デジタル顧客接点がホップ、顧客管理(CRM)がステップ、フォローアップがジャンプです。いずれにしても、まずはホップ(デジタル顧客接点)をまずきちんとつくることが大切です。
図表3のサンドラッグさんの仕組みは、デジタル顧客接点は公式アプリ、LINE、Google検索とさまざまですが、すべて「薬急便」という当社の仕組みに統一されますので、すべてのデジタル接点の顧客管理も一元化できるわけです。
また、最近は「自社アプリ」から「ウェブブラウザ」を調剤サービスの入口にする動きが急速に進んでいます。少し前は、アプリの中にすべての機能を組み込むべきだという意見が大半でしたが、入口をブラウザにしてしまえば、新規客も取れますし、後から機能を追加するのも簡単なのです。
自社のアプリを入口にすると、既存の公式アプリとは別のアプリが複数必要になります。DgSさんも大手の調剤薬局さんも、「次のアプリ開発に関してはブラウザを入口にしてほしい」というオーダーがとても多いですね。
新しいアプリをダウンロードする工程が入ると、アプリの使用率は一気に下がってしまいます。アプリのダウンロードページの離脱率は70%という調査結果もあるくらいです。
アプリをダウンロードすることから調剤体験が始まるのではなくて、ブラウザのURLをクリックすることから調剤の動線が始まるというイメージです。

ブラウザがデジタル顧客接点の入口だとしても、図表6のように「公式アプリ」と「LINEアカウント」とは連動しており、店舗へも処方せんが送信されます。公式アプリから入ってもいいし、LINEから入ってもいいし、ブラウザから入ってもいいわけです。
ただし、最近は最初の入口をブラウザにした方が、汎用性があって、顧客接点が大きく広がると考える企業さんが増えているようです。

一般的なアプリですと、Safariを開いて別の外部ブラウザに一度飛んでからまた戻ってくるという手間と時間がストレスになっています。
しかし、この仕組みだとアプリの中にウェブページを組み込んでいるので、利用者からはひとつのアプリの中で操作が完結する感覚なので、ストレスなく利用できます。
4月から「リフィル処方せん」が始まりました。まだ病院がリフィル処方せんをどのくらい出すかはわかりませんが、1枚の処方せんで何回か調剤を受け取れるようになれば、面分業のDgSにとっては追い風です。
そのためには、2回目、3回目のリフィル処方せんを出す患者さんを、自分たちの店(調剤部門)に戻ってもらうためのマーケティングが重要になってきます。
前回の来局から28日が経過したので、「そろそろお越しになりませんか?」とプッシュ通知する仕組みが、リフィル処方せんの2回目以降の獲得には重要です。
リフィル処方せんの2回目は別の調剤薬局に行ってもいいわけですから、患者さんとの関係性づくり(CRM)がとても重要です。
つまり、リフィル処方せんが進んでいくと、図表4、5のような全体最適の仕組みがますます重要になっていきます。
最終的には、CRMを構築することで、「あなたのための情報」をデジタルで個別に通知することができる仕組みを設計し、ロイヤルカスタマーを増やすデジタルマーケティングに挑戦すべきです。
〈取材協力〉

今回のテーマは「SDGs※(持続可能な開発目標)につながる行動や商品に関する関心」です。2015年国連サミットで採択されたSDGsの目標達成をするためのゴールとされた2030年まで残すところ10年を切り、日常生活の中でも「サステナブル」や「エコ」を訴求する広告や、それらに配慮した商品やサービスなどを見かけるようになり、SDGsに対して生活者の意識はどのように変化しているのでしょうか。

また、「就業中」の1619人に対しては、「勤務中の会社で、SDGsの17の目標のうち、何かしら実践しているか」尋ねると、およそ3割が「実践している」(29.7%)と回答し、その目標は、「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(41.8%、N=481人)が最も多く、「8.働きがいも経済成長も」(39.1%)、「5.ジェンダー平等を実現しよう」(38.9%)、「12.つくる責任つかう責任」(35.1%)「3.すべての人に健康と福祉を」(34.9%)が続きました。
具体的な取り組みの一例としては「外部へEV授業(50代男性、自動車メーカー勤務)」、「カーボンニュートラルや、働き方改革に力を入れている(40代女性、エネルギー関連勤務)」、「看護師には女性が多いがジェンダーレスの実践として男性上司も増えてきた(50代女性、医療関係勤務)」といったコメントがありました。
次に、「普段生活の中でSDGsを意識した行動をしているか」尋ねると、半数以上が「意識している」(52.3%)と回答しました(図表2)。


次に、小売チェーンや、食品・消費財メーカーが取り組む「SDGsを意識した商品の購入やサービスの利用」を調査するために、今回は図表内に記載した取り組みをセレクトして尋ねました(選択肢・複数回答)。

他にも、利用経験のあるSDGsを意識した商品やサービスとしては、「紙パッケージのキットカット購入(ネスレ日本)」(40.0%)、「エコ割、消費期限が迫った商品の割引(ファミリーマート)」(30.7%)、「規格外野菜の購入(スーパー、ネットスーパー)」(30.7%)、「ボトルレス商品購入(花王)」(24.2%)が上位回答となりました。
次からは、メディアで話題を集めた3つの商品に着目して、購入者のコメントをみていきましょう。
まず1つ目は、2020年春に「無印良品」から発売された「コオロギせんべい」。コオロギは栄養価が高く、飼育面での環境負荷の低さから、食料危機への対策として注目を浴びている昆虫食のひとつです。「コオロギせんべいは、無印の店頭で見てインパクトがあって購入(40代女性)」、「ダイソーで、コオロギせんべいを見かけて購入(30代女性)」など、無印良品がブームの火付け役となり、販売も広がりをみせているようです。
2つ目は、今年で38周年を迎える「日本ハム」のロングセラー商品「シャウエッセン」。特徴的な巾着タイプの包装から、2022年2月にプラスチック使用量を28%削減できる「エコ・ピロタイプ」包装に変更しました。
「パッケージの違いを確認したく購入(40代男性)」、「断髪式の動画を見て、プラスチック削減に共感してシャウエッセンを購入(60代女性)」など、「シャウエッセン断髪式」と題した公式twitterアカウントで配信された動画では、巾着部分を力士の髷(まげ)に見立てて、ハサミを入れていくユニークな動画がきっかけで購入したといった声もありました。
【シャウ、断髪。】
37年間慣れ親しんだ
あの形とは、もうお別れ。これまでの感謝と
プラスチックごみ削減への決意を込めて、
シャウエッセンは、断髪しました。まげを切って、エコなパッケージへ
「 #シャウエッセン断髪式 」
公開です
協力 #日本相撲協会#はじめましてシャウエッセンです pic.twitter.com/On9JC9DRvu
— 【公式】シャウエッセン (@schauessen_nh) February 1, 2022
最後に、2019年9月から、海洋プラスチックごみの課題解決に向けた取り組みを加速するため、世界で最も「キットカット」を販売する日本市場で、大袋タイプ5品の外袋を紙パッケージに変更した「ネスレ日本」。
従来のプラスチック製パッケージと比較して、年間450トンのプラスチック削減を見込んでいるといいます。紙パッケージを活用したコミュニケーションや、環境問題の啓蒙活動などの効果もあり、「キットカットが、プラスチック削減で紙パッケージにしたことがきかっけで、久しぶりに購入した(30代女性)」「キットカットが紙パッケージになったことを知り、購入頻度が上がった(30代女性)」といったコメントもありました。
実際に、「キットカット」の購入率がどのように推移したか、「POB会員から取集する購入レシート全枚数」に占める「キットカットのレシート出現率」を分析しました。

チョコレート菓子の購入数が減少する夏場の21年6月から8月は、レシート1000枚あたりのキットカットレシート出現率は<1.2〜1.8%>となりましたが、21年9月以降は上昇傾向で、同年12月には、受験生応援商品「キットカットミニ紅白パック」の販売もあり、レシート1000枚あたりの出現率(2.7%)に上昇。翌年1月にはその反動で(2.0%)になったものの、2月以降も2%台をキープし現在も好調です。
これまでの調査結果から、生活者のSDGsを意識した取り組みに関しては、「フードロス防止・削減」、「ゴミを出さない、リサイクルする」など、日常生活の中で習慣化している行動が上位を占め、「SDGsや環境問題などに配慮した商品購入」においては、「コンビニなどのエコ割」「規格外野菜の購入」「詰め替え・ボトルレス商品の購入」といった、身近で購入しやすい商品が選ばれていました。
企業は消費者に対し、その商品やサービスを利用することでどのようなサステナビリティに貢献できるのか、わかりやすく訴求するのはもちろん、商品に関する驚きや楽しさとともに発信することで、より共感を得られやすく、企業のブランディング、商品やサービスの認知や購入促進につながることがわかりました。
2022年4月から、プラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的とする「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。プラスチック資源循環促進法の目的は、プラスチック製品の設計・製造から廃棄物の処理に至るまでのライフサイクル全体を通じたプラスチック資源循環(3R+Renewable)の促進を図ることです。プラスチック資源循環促進法が施行されると、これまで無料提供が当たり前だったホテルのプラスチック製の使い捨て歯ブラシやクシ、カミソリなどのアメニティも有料化されます。生活の中で、脱プラを初めとする環境問題やSDGsに対しての理解が深まることで、自分がどんな行動ができるかなど、改めて考えるきかっけになりそうです。
調査期間:2022年3月17日〜18日(エリア:全国、平均年齢47歳)インターネットリサーチ調査
今回は、コーヒーを初め、世界の輸入食材やオリジナル商品が人気の「カルディコーヒーファーム(キャメル珈琲グループ、オーバーシーズ東京・世田谷、以下カルディ)」に注目し、レシート分析で、消費者の利用実態を調査しました。アンケートの調査対象は、全国のPOB会員女性2017人(平均年齢45歳)です。


また、「ショッピングモールや駅ナカなどアクセスがよい」(31.7%)は、「50代以上」の女性では、(39.0%)で平均値を上回り、「おいしい・味がよい」(30.1%)における評価も高いことがわかりました。
一方で、「セールや特売なども行っている」(18.2%)、「手頃で買いやすい価格帯(12.3%)」など、価格に対しては、相対的にみて低いことがわかりました。

また、「40代以上の女性」の購入経験に着目すると、平均値を上回るカテゴリーが多いことがわかります。
上位カテゴリーのコメントをみると、「豆乳クッキーが美味しい。パクチーポテトチップスも好きです(30代女性)」、「トリュフチョコレートが凄く美味しい(40代女性)」「珈琲豆はシーズンごとに色々試して購入。コスパが良い(20代女性)」「杏仁豆腐が濃厚で舌触り最高(30代女性)」など、一般的にスーパーの購入カテゴリーに対するコメントでは、「安さ」に対するコメントがみられますが、カルディでは、味や、独自性の高い品揃えや、特定の人気商品を評価するコメントが多く挙がりました。
図表の購入商品カテゴリ―選択肢は、カルディのHPや店内商品を参考に作成しており、購入商品全体を通して、どのカテゴリーも一定数購入されていることが特長的です。
次からは、「カルディ」の利用実態を定量的な観点で分析するために、2021年1月〜12月の購入レシートデータを、同じく輸入食材やワインなど取り扱い商品が近しい「成城石井」「北野エース」の2チェーンと比較しました。


購入レシート全体に占めるカテゴリー構成比(2021年1-12月)
一般的なSMでは、「生鮮・総菜」の構成比が全体の3~4割程度を占めるため(当社POBレシートデータ調べ)、それら構成比が極めて低い「カルディ」は、「成城石井」や「北野エース」よりも、日々の食卓向けの食材を買い揃えるSMと本質的に異なる使われ方がされていると考えられます。
それをさらに裏付けるデータとしては、カルディの購入レシートから推測される人気商品をみると、「冷凍マリトッツォ(270円)」の人気スイーツや、SNSで話題の「カルディ冷凍キンパ(486円)」や「ぬって焼いたらカレーパン(306円)」、カルディで年に数回新フレーバーが発売される「ティムタムマレーリバーソルティッドダブルチョコ(360円)」などがよく購入されていることわかりました。※()内の金額はPOBレシート平均購入単価
「話題だったので冷凍のキンパを買った(40代)」、「ティムタムが大好きです。ちょっとした手土産に他にないものがあるので良い(70代女性)」といった声がありました。
カルディの利用シーンとしては、他店にはない話題の商品を買い求めに行く、ショッピングモールや駅ナカなど、利便性の高い場所に立地しているため、ふらっと立ち寄り、珍しい商品を探したり、ちょっとした贅沢を楽しむなどが考えられます。

コメントでは、「セールや特売のお知らせがあれば行きたい。現在は買い物のついでに立ち寄るくらいなので、お知らせがあると、カルディに行く目的で外出する機会が増えると思う(30代女性)」、「見たい商品があっても他の人がいたりすると、すれ違うことができないので、見るのを諦める(20代女性)」、「美味しいけど、割高なところ。ポイントカードがあればと思う(40代女性)」といった声がありました。
他にも、「以前のコーヒーサービスがあったほうがよく行った(20代女性)」「味が全く分からない未知の食品が多いので試食があれば嬉しい(50代女性)」など、再開できるようになったら以前のコーヒーを飲みながら店内をみたり、試食についても要望がありました。
これまでの調査結果から、「カルディ」は、独自性やトレンドを押さえた商品を取り扱い、他のスーパーでは手に入らない、輸入食材やお菓子などが手軽に手に入るお店として、多くの女性に広く認知され支持されていることがわかりました。
また、味に対する評価はもちろん、店内で買い物をする楽しさや、驚きや発見をもたらし、「カルディに行くと面白い商品に出会える」と、期待しながら買い物をしている人が多く、レシート分析結果からも、他とは一線を画す使われ方がされており、独自のポジションを確立していることがわかりました。
小売業大手は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い営業時間の短縮を続けています。そこで今回は、新型コロナ感染拡大前(2019年)、感染拡大後(2020年、2021年)における、POB会員から収集した食品・総合スーパー、ドラッグストア、コンビニ各業態別のレシート合計枚数に占める発行時間帯別構成比から、コロナ禍の生活様式の時間帯別の消費行動を分析しました。
レシートには、購入時間が打刻されており、それを弊社でデータ化しているため、時間帯別の消費行動分析が可能となります。

コロナ前(19年)とコロナ後(20年と21年)の構成比をみると、買い物時間帯のピークは開店直後と考えられる10時頃〜正午であることは変わりませんが、コロナ後は、開店直後〜午後5時頃までの時間帯において、コロナ前よりもレシート構成比が高く、買い物時間帯が早くなっていることがわかります。

コロナ前(19年)とコロナ後(20年と21年)で、買い物時間帯のピーク変化がみられ、コロナ前は、午後午後6時以降の帰宅時間〜夜間の構成比が高い状態が続いていたのが、コロナ後は、開店直後の利用が増え、夜間の利用が減少しています。
食品・総合スーパー、ドラッグストアともに、コロナ後の買い物時間帯が昼間に変化した理由をみると、「その日の特売をめがけて開店直後に行き、まとめ買いするようになった(30代専業主婦女性)」「在宅ワークになったため、昼休みに買い物に行く機会が増えた(40代就業中男性)」、「ドラッグストアが好きなので仕事帰りに毎日のように通っていたが、感染が怖いので行く回数が減り、人の少ない時間帯に時々利用するようになった(40代就業中女性)」「スーパーだけで用事を済ますことが増えた。どうしてもの時だけドラッグストアに朝一に行く(40代就業中女性)」など、在宅勤務の定着や、感染症対策、特売狙いなどの理由が挙がりました。
次に、食品・総合スーパーやドラッグストアよりも営業時間が長く、自宅や職場などから近く利便性も高いコンビニの買い物時間はどのような変化があったのでしょうか。

コロナ前(19年)の買い物時間は、通勤時間帯の朝(午前8時)と、ランチ時間(午後12時)の構成比が大きく、通勤時間~ランチ(午前8時~12時)のレシート構成比は<35.2%>が、コロナ後(21年)は<28.5%>となり、6.7pt減少しました。
そして着目すべきは、コロナ後(21年)は、夕食前から夜間(午後4時~午後9時)のレシート構成比が<39.1%>となり、コロナ前(19年)<32.8%>よりも6.3pt増加し、昼間の客足が増えた食品・総合スーパーやドラッグストアとは異なり、コンビニでは夕方以降の客足が増えていることがわかりました。
コロナ前のコンビニといえば、おにぎりやお弁当など、いわゆる中食で売上を伸ばしてきましたが、コロナ後は、「カレーやシチュー、ハンバーグなど、チルド商品を購入する機会が増えた(50代男性)」「お総菜をよく買うようになった(40代女性)」「家飲みが増えて、お酒やおつまみを購入回数が多くなった(70代男性)」といったコメントからもわかるように、主菜や副菜向けの商品の拡充や、冷凍食品の強化、家飲み需要など、新しい食卓ニーズの取り込みにより、客層が拡大し、利用時間が変化したことがうかがえます。
[調査概要]
各業態の分析チェーン数とレシート枚数(19年〜21年の合計)
「食品・総合スーパー」約180チェーン/856,561枚
「ドラッグストア」約60チェーン/396,284枚
「コンビニ」約20チェーン/556,672枚