新・流通用語集

知っておきたいシステム開発に関する用語

第2回オープンデータの活用で加速する小売業のデータ分析

続々登場する流通小売業に関する用語や新しいコンセプト。この連載では流通小売業に携わる方であれば知っておきたい新しい用語を取り上げ、解説していきます。今回は、システム開発に関する用語です。

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オープンデータ

オープンデータ(Open Data)とは、誰もが自由に入手することができ、再利用・再配布できる公開されたデータのことをいいます。インターネットから無料で自由にダウンロードでき、著作権や利用分野などの制限はなく、加工したデータの再配布や譲渡ができる点が特徴です。

オープンデータは主に、政府や自治体、研究教育機関などによって公開されており、企業のもつビッグデータと組み合わせることでさらなるビジネスチャンスを生み出すなど、経済を活性化させる取り組みとして注目されています。

オープンデータの活用例としては、タクシーの需要予測システムなどが挙げられます。カーナビにAIを搭載し、気象・施設データといった公共データと、タクシー会社の持つ乗降記録などのデータを組み合わせ、需要予測の精度を向上させています。

日本では、総務省がオープンデータ戦略の推進を掲げており、オープンデータの定義を「営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの」「機械判読に適したもの」「無償で利用できるもの」とし、オープンデータに関するガイドラインなども策定しています。

小売業においては、商圏に関する国勢調査データや、人口動態データ、気象データなどがよく活用されています。これらのデータを上手に使うことができれば、データ分析の精度をより高めることが可能になります。

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API

APIは、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略語です。APIは、コンピューター上で機能するプログラム(ソフトウェア)を、利用者により使いやすくなるよう導くインターフェースで、ソフトウェアの機能を共有するための接点の役割を果たします。

APIを利用することで、開発にかかる時間を大幅に削減できるだけでなく、無料で使えるのでコストカットにもつながります。アプリケーション開発を効率的に進めるツールとして、APIは急速に世の中に広がっています。

例えば、たまたま読んでいた記事をFacebookでシェアしたいと思ったとき、APIが導入されていないサイトからは、いちいち手で記事をコピーしてきてFacebookに貼り付け、公開するという手間が発生します。しかし、サイトにFacebook APIが導入されていれば、記事が掲載されているサイトから直接「いいね」をすることができたり、Facebook上でシェアして公開することができます。

同じように、ECサイトでも、アフィリエイト向けのリソースをAPIで公開し、手間なく自社で販売する商品をシェアして販促に結びつける動きがあります。

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RFID

RFID(Radio Frequency IDentification)とは、電磁波を用いて商品に付いたRFタグを非接触で読み書きすることができるシステムです。商品側にはRFタグを取り付け、RFタグ対応のリーダライタなどを用いてデータを読み込みます。

従来のバーコードは、商品に付いたタグを1つ1つ読み取らねばなりませんでしたが、RFIDはスキャナをかざすだけでタグを一括して読み取ることができるため、時間と手間を大幅に削減することができます。また、電磁波が届く距離であれば非接触で読み取りができるため、高い棚にある商品を手に取ったり、箱を開封して商品を1つずつ出すという作業も不要です。RFタグのデータは書き替えが可能ため、バーコードに比べ経済的である点も特徴の1つです。

RFIDの実用例としては、入荷した商品のRFタグをリーダライタで瞬時に読み取り検品を終わらせたり、レジに導入することで会計を迅速に終わらせ待ち時間を短縮したり、リーダライタを店内の主要ポイントに設置することで顧客の行動分析に活用する、などが挙げられます。

近年小売業の在庫管理や決済にRFIDを活用することができないかという実験、議論が進んでいますが、(1)水分が多い商品や、金属を使ったパッケージに添付すると誤動作が起きるという技術的な課題や、(2)1枚あたり十円~数十円という価格の高さという2つの課題から、一部のSPA企業以外では活用が進んでいません。

RFIDの実物(画像はイメージです)

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SaaS

SaaS(サース、Software as a Service)は、従来パッケージ製品としてライセンス販売されていたソフトウェアを、提供者側のサーバにおいて、インターネット経由で必要な分だけ利用する、クラウドサービスの利用形態の1つを指します。

インターネット経由で利用するため、データはインターネット上に残ることや、端末を選ばずアクセスすることができる、チーム内でデータを共有することができるなどの特徴があります。

また、ユーザーにとっては、使用した分だけサービス料が発生するためコスト削減になり、システムの構築・管理が最小限で済みます。また、ユーザー数の増減に対応しやすく、提供側にとっては、ユーザー獲得・サポートに対する障壁が低い、パッケージ製品よりも売上が見込めるなど、それぞれにメリットがあります。

同じくクラウドサービスの利用形態として「IaaS」「PaaS」が挙げられます。IaaS(イアース、Infrastructure as a Service)は仮想サーバやネットワークを、PaaSは(パース、Platform as a Service)はハードウェアやOSなどのプラットフォームを、インターネット上のサービスとして提供するものをいいます。

アジャイル

アジャイル(Agile)は、直訳すると「敏捷な・機敏な・頭の回転が速い」、などになりますが、プロジェクト開発手法としてのアジャイルは、実装とテストを繰り返し、より短い期間で開発をする手法を指します。アメリカのユタ州で2001年、ソフトウェア開発に携わる17名の技術者・プログラマーが開発手法について議論し「アジャイルソフトウェア開発宣言」をまとめたことで一躍主流となりました。

アジャイル開発のイメージは次のとおりです。

1.顧客とエンジニアからなる共同開発チームを立ち上げる
2.開発プロセスを短期間の範囲に分ける
3.どのプロセスから開発に着手するか優先度をつける
4.範囲分けした期間内に要件定義、実装、テスト、修正、リリースをする

以上を繰り返し、開発の精度を高めていきます。

従来のウォーターフォール開発は、プロジェクト立ち上げ当初に定義した要件の変更に柔軟に対応できなかったのに対し、アジャイル開発ではそもそも要件変更を想定しているため、開発を進めながらよりよいプロダクトを追求することができます。

著者プロフィール

MD NEXT編集部

お江戸日本橋で日夜売り方・買い方を研究し続けています。コンビニマニア、ECマニア、100均マニアなどなどが集まる、日本で一番「お店」のことが好きで研究し続けている編集部です。